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写真展「百年後もここに集う。」京大吉田寮

 

恵文社_吉田寮展.jpg以前に、ブログ禅でもご紹介した、カメラマン平林克己氏の写真集『京大吉田寮』

この写真集発刊を記念した写真展が、今、京都市の恵文社一乗寺店て開催されています。

いまだに、ある種、学生運動の拠点になっていた魔窟のように想像されている方も少なくないとは思いますが、どう感じるかは写真展を観たり、写真集をご覧になったあなた次第ですね。平林氏ご本人も在廊されているときが多そうですので、直接お話も聞けるかも知れません。

会期は2020年2月11日〜2月17日。会期が短いですのでお急ぎ下さい。

詳しくはこちらに掲載されています。

 

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東京国立博物館の総合文化展

 

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先週、東京出張がありました。本件がはやく終わったので、上野にある東京国立博物館の総合文化展に行って参りました。

特別公開「高御座と御帳台」の方は平日にもかかわらず60~90分待ちの様子でしたが、総合文化展の方は待ち時間などなく、人もすくなくゆっくりと自分の興味のある展観を観ることができます。
それに、特に撮影禁止となっているもの以外は、写真を撮ることも可能なのが魅力。興味のあるものを撮って帰って、改めて楽しむこともできます。

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たとえば、あいにく往路に新富士あたりから臨んだ富士山は、あつい雲に覆われていてみえなかったのですが、総合文化展ではいくつかの富士山を拝むことができました。そのうちの一つがこちら。狩野探幽筆の「富士・美保・清見寺図」です。

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それから、重要美術品に指定されている雪村周継筆の「鷹山水図屏風」(室町時代/六曲一双)が展示されていて、豪快な筆致で、射るような鷹の目や、逃げる雁のユニークな顔つき、隠し絵のように描かれている兎など、目の魔に置かれていたソファに腰掛けてじっくり楽しむこともできました。雪村といえば、戦国時代を生きた奇想の画家といわれる水墨画僧です。

ちょうどこの屏風について、東京芸術大学大学院のインターンによるギャラリートークもありましたので聞いてきました。描かれているものについてや、左右から中央に向けて水の流れや木々の配置が施されていることなど、美術的な説明を15分ほどかけてしてくれました。
禅僧でもある雪村が描いているのだから、本来はここにはもっと禅的なとらえ方もあるはずなのですが、もちろんそういった話は一切なく、さすがに美大のインターンにそこまで求めるのは酷というものですね。

 

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特別展「茶の湯-禅と数寄」(相国寺 承天閣美術館)

 

b_191204.jpgただいま、大本山相国寺の承天閣美術館では、特別展「茶の湯-禅と数寄」展が開催されています。

会期は下記の通り。

Ⅰ期 2019/10/5~2019/12/22

Ⅱ期 2020/1/11~2020/3/29

禅ととても関係の深い茶の湯。禅の心は、茶の湯の「わび」「さび」に欠かせないのでしょう。戦国時代の信長、千利休もこの相国寺で茶会を催したなどから、相国寺にもたらされている銘品も少なくないようです。

先日のサンガセミナーのカメラ講座でも撮影をしていたのですが、この承天閣のエントランスのもみじがとても美しく見頃です。また、ちょうど相国寺では12月15日まで秋の特別拝観も開催されています。あわせてお出かけになっては如何でしょうか。

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-陶-潮桂子&-水墨-平川功 展

 

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この前のブログ禅で書いた今年度最後のサンガセミナー第5回ですが、午後には、「水墨画講座 -来年の干支「子(ね)」を描いてみよう-」を開講します。講師は水墨画家の平川功先生です。こちらもまだ残席がありますので、よろしければ是非受講申し込みをお願いします。お申し込みは、こちらのお申し込みフォームよりどうぞ。3日前まで受付可能としておきます。

この平川功先生の作品をもうすぐ京都で見ることができるのでご紹介します。

「-陶-潮桂子&-水墨-平川功 展」

会期:2019年12月11日(水)~17日(日)
会場:高島屋京都店6F 美術画廊 ※最終日は午後4時まで。

案内ハガキにある高島屋美術部からの案内文を下記に転載しておきます。

このたび、高島屋京都店にて、柔らかな表情を魅せる釉裏紅の技法で作品を制作される潮桂子先生と水墨の静謐な濃淡の作品で様々な自然の空気感を表現される平川功先生の二人展を初開催いたします。
お二人は異なる分野ではあるものの、余白のあり方を大切にした作品の制作に日々励んでおられます。
今展では、『余白への想い』をテーマに、お互いに作品の調和を目指しながら、新しい発見と発想をもとに挑戦された新作の数々を一堂に展観いたします。
ぜひ、この機会にご高覧賜りますようお願い申し上げます。

 

 

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瀬戸内国際芸術祭2019 秋季 その2

 

019-瀬戸内国際芸術祭_191101_0040.jpgaw06 思考の輪郭/エステル・ストッカー

瀬戸内国際芸術祭2019の秋季のブログの続きです。

初日は本島だけで時間切れ。二日目は、須田港から粟島と高見島をめぐりました。
乗船予定の船の時間にあわせて須田港に向かったものの、港に着いてみたら、芸術祭来場者用の駐車場は5km以上も離れた場所にあるとのことで、そこからのシャトルバスを利用するようにとのこと。予定していた船に乗れず1時間以上またなければいけないということになったのですが、人も多いとのことで臨時の船があると朗報。無駄に時間を過ごさずにすみましたが、これからはもっとリサーチが必要ですね。

粟島につくと、まずはレンタサイクルを借りました。これは昨日の失策をカバーしての行動です。笑

元気な内にちょっと坂道を登って、まずは廃園担った幼稚園と、その隣のこれまた廃校になった小学校へ。幼稚園での作品が上の「思考の輪郭」でした。そして、隣の小学校。結果的に私はこの小学校の一連の作品が心に残ったので、今回はこの小学校の展示のご紹介を。

学校内に入ると、廃校になる前の子供達の賑やかな声がスピーカーからずっと聞こえています。でも校内には子供の姿はありません。

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そして、懐かしさを覚える理科室。

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音楽室には、この学校の校歌の楽譜が置かれたピアノがあり、来場者がときおり、その譜面をみて演奏されたりもしています。

019-瀬戸内国際芸術祭_191101_0208.jpg屋上にもあがってみることができるというので、階段をあがってみると、瀬戸内がみえる絶景。と、なにやら壁に書かれています。

 

019-瀬戸内国際芸術祭_191101_0209_0.jpg「もしわすれたいなら、そうすればいい。覚えておきたいのなら、それは高くつくだろう」と。他の壁にも別の言葉が書かれていて、どういう意味なのだろうと考えながらこの後の展示を見て回った私でした。なんか外国語を和訳したような文言ですが……。

019-瀬戸内国際芸術祭_191101_0206.jpgちょっと中途半端ですが、今回は余韻を残してこの辺で……。

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瀬戸内国際芸術祭2019 秋季 その1

 

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ho03 そらあみ/五十嵐靖晃

3年に一度開催される、瀬戸内国際芸術祭2019の秋季に行ってきました。

瀬戸内海の島々で開催されている芸術祭。香川県の各港から船に乗ってそれらの島へ渡るのですが、大きく分けて東部と西部に分かれています。東部は高松港から向かうようですが、今回は西部の島のうち、本島、粟島、高見島、そして伊吹島の4島を巡ってきました。

この芸術祭ではオリジナルのスタンプブックが用意されており、それぞれの島の各作品の前に行くと作品番号プレートにスタンプが用意されていて、それをスタンプブックに押していくことができます。そんなわけで4島の全作品のスタンプをゲットして帰ってきたというわけです。以前、京都で行なった京都禅寺巡りスタンプラリーを思い出しました。

まずは、本島。車も10台くらいつめるフェリーで到着日の午後から向かった本島は、港周辺の作品を歩いて廻っていたのですが、夕方までに遠いところまで廻りきれないと思い、3時頃からレンタサイクルも借りて走りました。島には、何ヶ所かの砂浜もあり、それらの自然を活かしての作品もあり、気持ちよく楽しむことができました。

20191020-_MG_0872.jpgho10 "Moony Tunes"/ツェ・スーメイ

またこういった古い民家を利用して、真っ暗な空間に展示される作品もあります。島の中はけっこう坂もあるので、自転車もなかなか大変ですが、運行時間の決まっているシャトルバスを頼りにしていると、廻りきれないので仕方がないのです。一日かけていれば、大丈夫だったのでしょうが。全13ヶ所をかけめぐりました。

そして最後になんとか間に合ったというか、屋外だったので関係なくみられたのが、下の作品。

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ho13 "水の下の空"/アレクサンドル・ポノマリョフ

網でできた船のイメージですが、船の下には大理石のような反射する石も敷かれていて、空と海とが一体化したような印象を受けました。

小さな島ですが、東側と西側では集落の印象がだいぶ違うように感じました。戦国時代には塩飽水軍(しわくすいぐん)のいたという伝統のある島。塩飽大工と呼ばれる腕のいい船大工さんも多かったようです。
それから小さな島なのにお寺が多いことにも意外でした。すぐ近くを瀬戸大橋が通っていて、昔とはずいぶん景色がかわっただろうなぁと、昔の景色を想像しておきました。

一回で書いてしまおうかと思いましたが、分けて書きます。

つづく

 

 

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高知 吸江寺展(高知歴史民俗資料館)

 

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去る10月6日土曜日に、土佐を訪ねてきました。というのも、高知県立歴史民俗資料館で行なわれている特別展「吸江寺(ぎゅうこうじ)」の展観を観るため、そしてこの日の午後に行なわれる、吸江寺(兼務)住職・小林玄徹師の「吸江寺について」という講演を拝聴するためです。小林玄徹師は私と同じ道場で修行した同輩です。

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吸江寺は高知市にある夢窓国師が開山の名刹で、県立の博物館(資料館)が一つのお寺の特別展を開催することは、珍しいとはいいませんが、実際にはあまり行なわれていないことでもあります。そしてこうやって、展観品の写真撮影がOK(一部不可)ということも珍しいですね。

 

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小さな展示室ではありますが、吸江寺の宝物の数々、そして関係する逸品が展観されていました。吸江寺は、夢窓疎石の建立によるものですが、その後、五山文学の双璧として有名な義堂周信や絶海中津も住職をつとめ、当時の土佐の守護代であった長宗我部氏に護られてきました。また山内一豊の子(拾・ひろい)が湘南と名を変えて住職となったりして、土佐と大変深い関係がありました。明治時代に廃仏毀釈で一旦廃寺となったのですが、妙心寺から特命を受けた少林踏雲によって再興され、今日に到っています。

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展示室内は多くの人がおいでになっていて、高知の人たちにとってなじみの深い吸江寺の歴史を知ることができ、展観に興味を向けられていました。また同じく講演会を聴きにこられた、愛媛の大乗僧堂の河野徹山老師ともお出逢いしました。
右端の小さな木造は、夢窓国師自らが水鏡に写して彫刻されたという夢窓国師木像です。

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午後2時より2時間にわたる小林住職の講演を拝聴しました。プロジェクターで画像を出しながらのお話で、夢窓国師の足跡や知らなかった吸江寺の歴史を詳しく紐解いていただきました。130名の定員で満席。直前のお申し込みには、残念ながらお断りされていたほどの盛況です。

吸江寺はその上に竹林寺という文殊菩薩を護るお寺がある五台山という山の中腹にあります。まさしく中国の五台山を模したものかと思われますが、その地名がいつ名付けられたかは不明としながら、おそらく夢窓国師ではないかと想像します。

吸江寺の目の前には湾がありますが、こちらも今は干拓されたりして少々狭くなってはいますが、それ以前の古地図を見せて貰えたり、またそこに書かれている吸江寺の建物なども知ることができました。

この展覧会についてお知らせしておきます。

企画展「開創700年記念 吸江寺」
会期:2019/10/4(金)~12/1(日) 9~17時 会期中無休
観覧料:大人(18歳以上)700円
主催:高知県立歴史民俗資料館(公益財団法人 高知県文化財団)

なお、11月3日(日)14~16時に「吸江寺と禅僧の文芸」と題して、中村健史氏(神戸学院大学准教授)の講演があります。こちらも先着130名で要予約となっています。あわせてお出でになっては如何でしょうか。

2019-10-05-18.06.jpg高知駅前には高知出身の英雄、武市半平太、坂本龍馬、中岡慎太郎の三方の銅像が立っています。秋の夕暮れにライトアップされ、勇ましいことでした。


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秋の特別展

この秋に開催される禅に関する展覧会をご紹介します。
この機会に足を運ばれてはいかがでしょうか。

一つは佐川美術館(滋賀県守山市)で開催の「ZENGA 白隠と仙厓展」です。江戸時代に活躍し、衆生済度の精神で禅の普及に努めた白隠と仙厓。彼らの描く自由で豪放な書画は、一見するとユーモア溢れる筆致で描かれていますが、そこには痛烈な社会諷刺や謎掛けといった様々な仕掛けが散りばめられています。
個性の違う二人の書画から、本来伝えるべきそのメッセージを読み解くことで、禅画の魅力を紹介します。

会期は10月1日から12月1日まで。

http://www.sagawa-artmuseum.or.jp/plan/2019/03/zenga.html

①白隠慧鶴《蓮池観音》_江戸時代(18世紀)_個人蔵.jpg


もう一つは鳥取県立博物館で開催される「殿様の愛した禅 黄檗文化とその名宝」です。江戸時代の鳥取藩の歴代藩主は、中国僧隠元禅師が伝えた黄檗宗を信仰し、その菩提寺である興禅寺は「黄檗三叢林」とされ高い寺格を誇りました。この展覧会では、江戸時代鳥取における黄檗宗に光を当てる初めての試みで、鳥取の文化に大きな影響を与えた黄檗の歴史を紹介します。

会期は10月5日から11月4日まで。

https://www.pref.tottori.lg.jp/obaku/

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「日本の素朴絵」展

 

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東京の三井記念美術館で、今月6日から9月1日まで開催されている特別展「日本の素朴絵」のご紹介です。

本展は、日本に残る、ゆるくてかわいく楽しい素朴な絵画を集めたものとのことで、さまざまな時代、形式の素朴絵を出陳し、新しい美術の楽しみ方を提供されています。絵画だけでなく、彫刻品も少し出るようです。

改めて、

会期:2019/7/6(土)~9/1(日)
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:土曜日(ただし7/15、8/12は開館)、7/16(火)
主催:三井記念美術館、NHK、NHKプロモーション
監修:矢島 新(跡見学園女子大学教授)

来たる7/20(土)14:00~15:30には、「日本の素朴絵~ゆるカワ日本美術史~」と題して、矢島新先生の講座もあるようです。定員50名・聴講料2000円とのことです。

なお、関西の方には、9/21~11/17に龍谷大学 龍谷ミュージアムにて巡回展が予定されていますので、お楽しみに。

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西田幾多郎記念館へ

 

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先週末、石川県かほく市にある西田幾多郎記念哲学館へ行ってきました。私は二度目の訪問になりますが、高校時代の友人達との旅行中に立ち寄った次第です。

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かつて学業優秀だった友人達ですが、特に理系の友人などは哲学と聞いただけで頭が痛くなるとかいいつつも、十牛図のモチーフ展示でそれが何なのかを話したり、「私が井戸を見ているのか、井戸が私を見ているのか」について考え込んだり、西田先生の生涯を知って、前半生があまりにも悲惨な状態だったのに、あれほどの世界的な哲学者になり、60歳台で再婚をされたあとのゆるやかな顔を見て、定年が近づいてきている自分たちも、じつはまだまだこれからだと思い直すに至ったりと、なかなか有意義な時間をすごすことができました。

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この空間の美しさには毎回、息を呑んでしまいます。あの安藤忠雄氏の設計によるものです。

なお、来たる8月10日には、“「京都禅哲学」の諸相 -『十牛図』から見た西田・西谷・上田の「場所」論再考-”と題して、禅文化研究所哲学研究班のメンバーでもあります、森 哲郎氏(京都産業大学教授)が講演をされるようです。

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日本海やかほくの町が見渡せる、気持ちいいところです。

ここに入館すると、金沢市内の鈴木大拙記念館に無料で入館できるということでした。おすすめです。

 

★禅文化研究所の「哲学・思想・文学」書籍★

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円覚寺の至宝展

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4月20日より6月23日まで、東京の三井記念美術館で「円覚寺の至宝-鎌倉禅林の美」展が開催されています。
本展は大用国師200年釈宗演老師100年大遠諱記念特別展として開催されるもので、前日に行なわれた開会式に行ってまいりました。

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190422_管長挨拶.jpg開会式では、横田南嶺円覚寺派管長を導師に円覚寺派僧侶による記念法要が営まれ、続いて主催者による挨拶がありました。
横田管長は、美術館のあるこの土地は江戸時代前島と呼ばれ、円覚寺の所領であったという因縁に触れ、江戸後期、沈滞の中にあった円覚寺を中興した大用国師と、明治の廃仏毀釈後、禅を「ZEN」として欧米に広めた釈宗演老師の功績を称えられ、本展が文化遺産の展覧に留まらず、会期中に行なう坐禅や法話等を通して現代に息づく禅を伝える場であることを話されました。
本展では、円覚寺と円覚寺派寺院に遺された名宝だけでなく、無学祖元像と蘭溪道隆像が並んで展示されるなど、建長寺の名宝も多数出品されています。
なお、鎌倉派の絵画の展示室では、弊所の雪村周継筆「蕪図」も展示されています。
会期中は多彩なイベントが行なわれます。この機会に足を運ばれてはいかがでしょうか。

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写蘭会グループ展 vol1

 

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先般、本ブログでお知らせしました、弊所スタッフである私も出展しておりますグループ写真展『写蘭会 第一回グループ展』が、京都市中京区の烏丸仏光寺西入にあるラボ京都の4F会場にて開催しております。

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先週土曜日から始まった本展は4/26(金)までの1週間限りですが、昨日までの3日間でおかげさまで120名を超える来場者にお越し頂きました。私も土曜日と月曜日に在廊しておりましたところ、小さな会場ですがほぼひっきりなしに来場者があり、ありがたいことでした。

もちろん、私を含め出展者の知己の方も多くおいでになるので、お花をお持ち下さったり、お菓子などの差し入れもあったりし、用意した作品目録を片手に、じっくりと写真をご覧頂きました。在廊しているものも、毎日入れ替わりでおりますが、他の方の撮影された情報も、カメラ講座の時にご本人から聞いたりしていますので、その情報をお伝えしたりしていると、あっという間に時間が過ぎます。

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中には手厳しく酷評をいただく方もおられますが、もちろん私達はまだまだアマチュアの身。そういう御批評ももちろんありがたいことですが、この写真が良いねぇとかいうお声には、私の作品でなくても嬉しくなりました。

今、京都では「KG+ 2019」という写真展や、アーティストによる展覧会が市内各所で開かれています。KYOTOGRAPHIEヘおこしお越しのおついでに、我々の小さな写真展にもお越し頂ければ幸いです。あと4日です。お待ちしております。

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ミホミュージアムで「曜変天目」を観てきました

 

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本ブログでもすでにご紹介しましたが、現在、滋賀県の信楽にあるMIHO museumでは、「国宝曜変天目と破草鞋」という展覧会が開催されています。大本山大徳寺塔頭の龍光院さまがご所蔵の逸品が一挙に観られるチャンスです。

ということで、私も去る日曜日、かなりの方がおみえになるだろうし、朝10:00から展観が始まるので早めに向かおうと10:30前にはMIHO museumに自家用車で到着したところ、いつもなら一番上の駐車場のどこかには駐車できるのに、なんと、連絡道の一段下の駐車場で係員の方に止められてしまいました。こんなことは今まで一度もありません。そこで、車を降りて、シャトルバスでミュージアムのレセプション棟前まで……。

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よく知られる銀色のトンネルの手前、アプローチロードはしだれ桜がまさに満開! 訪れた人たちも、スマホやカメラで撮影されている姿が目立ちます。ここでもかなり人が多いなぁという印象です。そして美術館棟に入ってまっすぐに特別展の会場へ向かいますが、その通路半ばで、「最後尾」と掲げたプラカードを持つ係員の人が。これまた初めての経験です。

行ったことのある方はおわかりかと思いますが、突き当たりに売店があり、その右手の階段を登って鍵の手に右に折れたところが特別展の入り口です。ところが、階段を登りきったところで左に折れ、中庭をぐるっと回るように遠回りしてから特別展の入り口に到達しなければならないようです。というわけで、最後尾に立ってから1時間弱して、ようやく展観に……。

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龍光院二世の江月宗玩禅師の書などを中心に、その師、春屋宗園の頂相や墨蹟、伝牧谿の柿図・栗図も観ることができました。

そして国宝・曜変天目茶碗。その手前でまたストップし、12名ずつ曜変天目のガラスケースの回りに進むことを許可されるものの、その与えられた時間はたった1分間でした。

それでもそのお茶碗の中には宇宙が見えるようでした。世界に3つしか現存していない曜変天目。現代の先進技術を以てしてもマネのできないものなのですね。

じっくりゆっくりご覧になりたいのなら、平日午後がお勧めのようです。土日は待ち時間1時間と思ってお出かけ下さい。

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写真展

 

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個人的なことで恐縮ですが、NHK文化講座でカメラ講座を受講しております。講師は、禅文化研究所のサンガセミナーでも開講してもらっています、柴田明蘭先生でして、このたび、その講座の受講者で初のグループ展を開催することになりました。
会の名前を先生の名前から一字いただいて「写蘭会」と命名。今回の写真展に先生から与えられたテーマは「ストレート」です。先生の他11人の受講生の写真を展観します。私は3点を提出します。みんなで25点ほどの力作写真をご覧頂けます。

なかなか撮った写真を人に観ていただく機会というのがないので緊張もしますし、展示写真の選定に悩みました。

素人とは言え、それぞれの個性も出ていて面白いと思います。
もし、ついでの機会がありましたら下記の日程で開催しておりますのでお立ち寄り頂ければ幸いです。入場無料です。

写蘭会グループ展 vol.1
会期:2019.4.20(土)~4.26(金)
平日・土曜9:00~18:00/日曜10:00~17:00
(但し、最終日は16:00まで)
会場:ラボ京都4階ギャラリー(烏丸仏光寺西入)
  京都府京都市下京区釘隠町248-1 TEL075-353-4188

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大徳寺龍光院 国宝曜変天目と破草鞋

 

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来たる2019/3/21~5/19に、滋賀県のMiho Museumにて、京都紫野の大本山大徳寺塔頭龍光院の宝物を一挙に公開される、「大徳寺龍光院 国宝曜変天目と破草鞋」展が開催されます。

龍光院は、黒田長政が、その父黒田官兵衛の菩提を弔うために、江月宗玩を開山にして開創されたお寺です。江月宗玩は、堺の豪商であり茶人としても知られる津田宗及の息子ですので、茶道との繋がりも強く、龍光院は当時の文化人が集うお寺でした。

そして、大坂夏の陣をくぐりぬけて、津田宗及の所有していた逸品が龍光院に寄進されており、現在まで歴代の住職が粛々と守り続けてこられた宝物が遺されています。

実は、私が研究所に入ってそう長くない頃、龍光院さまより依頼を受けて、こういった宝物の写真撮影にプロのカメラマンとともに龍光院に通い詰めた10日間ほどがありました。当時は私も青二才で、これらがどれほど重要なものなのかもあまり解っておらず、それでも蔵で大事にされている書画などを丁寧に運び出しては撮影補助をするということをしていた記憶があります。あのとき、もっとじっくり見ておけばよかったのにと今さらながら思う次第。
研究所では今はデジタルアーカイブス事業として宝物調査を行なっていますが、当時はフィルムでの撮影でした。今、その時のポジフィルムを大切に保管しています。

この機会に展覧会を訪ねて、今一度、あの宝物に対面してこようと思っているところです。皆さんも如何でしょうか。こんな機会は初めてですよ。

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百年の光跡 写真展京大吉田寮

 

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京都大学吉田寮。名前は知られていても、内部までは知らない人が多いのではないでしょうか。
耐震性にかけるとのことから、昨年9月末をもって住人である学生に退去命令が出ています。これによって学生自治で成り立ってきた長い歴史にも終止符が打たれるのです。またここでも支配したい大人が若者の大事な場を奪ってしまう、そんな風潮が感じられてなりません。
とまれ、その記録を遺さんがために、藤川 佳三という映画監督が、強制退去を迫られている京都大学・吉田寮を描くドキュメンタリー映画『自治と青春(仮)』の制作されていて、それを援助しようとクラウドファウンディングで募集されています。

この「吉田寮記録プロジェクト」で、臨済禅師・白隠禅師の遠諱の時に写真記録班を手伝っていただいたフォトグラファー平林克己氏もまた、吉田寮の写真を撮ってこられました。
今回、この映画制作のプロモーションの一環で、横浜、京都、東京で「百年の光跡 写真展京大吉田寮」が開催されています。

残念ながら、京都は去る2月3日で終了してしまったのですが、私は先週、京都ルーメンギャラリー(麩屋町通五条上ル)で開催されていた京都展を観に行ってきました。

一々の写真に付けられているキャプションは、吉田寮の住人である京大生が書いたとのこと。インパクトのある写真ももちろんのこと、それらのキャプションも読み応えがありました。

東京では2月11日まで観ることができます(入場無料)。
会場は、イリヤプラスカフェ カスタム倉庫 2F(東京都台東区寿 4-7-11)です。東京近辺の方、是非ご覧になって下さい。

それから、吉田寮の見学もできるようです。
今月は、8日、15日~17日、22~24日の各18:00から、一時間程度ということですが、事前予約は不要とのこと。
吉田寮の公式Twitterアカウントにて予定を更新されているようですので、行かれる前にお確かめを。

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承天閣美術館「温故礼讃」展

 

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昨日はとても冷え込んだ朝でした。あぜ道に氷が張っていて、自転車のタイヤでそれを踏みつけながら出勤しました。

こんな寒いと出歩くのもおっくうになるかもしれませんが、大本山相国寺の承天閣美術館で「温故礼讃」展のⅡ期が、来たる1月13日(日)から開催されますので、お出かけになっては如何でしょうか。

足利将軍家によって創建された相国寺ならではの、足利家御用絵師による室町時代の水墨画をはじめ、当時から守り継がれてきた相国寺や金閣寺の寺宝を存分に楽しめます。

室町時代のいわゆる京都五山で育まれた五山文化と、少し異なる独自の文化を構築した相国寺の寺宝をじっくりご覧下さい。

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フルーツ&ベジタブルズ

 

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既に展覧会タイトルにやられた感がありますが、京都市の泉屋博古館で、2018/11/3~2018/12/9にわたって特別展「フルーツ&ベジタブルズ」展が開催されます。もちろん担当の学芸員さんは女性でした。

こちらの展覧会は、中国・朝鮮・日本の絵画で、野菜や果実の描かれた中世から近代の作品を集めた、とてもユニークな展覧会のようです。季刊『禅文化』196号(2005/4 発行)の表紙でも採り上げた、伊藤若冲の「果蔬涅槃図」(重要文化財)をはじめ、狩野探幽の「草花写生図巻」、呉春の「蔬菜図巻」といった彩色の巻子も展示されます。

また、禅文化研究所所蔵の雪村筆「蕪図」も出陳します。

会期は京都が紅葉で賑わう季節。東山を散策の際には、脚を運ばれては如何でしょうか。

※ 上下のリーフレット写真はクリックすると大きく表示されます。

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東山魁夷展(京都国立近代美術館)

 

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先日、台風来襲前だからきっと人も少ないはず!と思い、京都国立近代美術館の「東山魁夷展」に出かけてまいりました。
今回は虫眼鏡鑑賞の方もおいでにならず、比較的大きなキャンバスに描かれているせいもあり、絵に近づかず遠目での鑑賞の方が多いようでした。
最初に絵の前に立った時、居住まいを正して正面から、まず深呼吸を…。
そんな行動が自然にできてしまう始まりでした。

青・緑・白・橙などとても豊かな色彩で、こんな色がどこから、どうやってと思う素晴らしい絵ばかり。
北欧、ドイツ、京都、そして有名な奈良唐招提寺御影堂障壁画、京都の絵などは、あっここ知ってる! ここは何処? という、連想ゲームをしているような気持ちで観ておりました。
会期は平成30年10月8日(月・祝)までですが、機会のある方はぜひ足を運んでみてくださいませ。

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えしん先生の個展

花園大学名誉教授で、弊所の前所長でもある西村惠信先生の個展「趣味の淡彩画展」に行って参りました。



001.JPG会場の「ギャラリーめん」さんは、温かみのある木の看板が目印。ご覧のとおり緑の山々に臨む落ち着いた立地です。ウェスティン都ホテルのお向かいですよ。



002.JPGギャラリーを覗くと、こぢんまりした空間に、モチーフもさまざまに大小約40点の作品が展示されていました。



003.JPG1点1点に先生のメッセージが添えられているのですが、これが楽しかったです! 作品が描かれたシチュエーションや、その時の何気ないエピソードが印象的な文句で綴られており、引き込まれてしまいます。



004.JPGちょっとした空き時間、「サンドウィッチ片手に」筆を執られるえしん先生の姿、旅先でスケッチに夢中になる先生に「早く宿に戻ってくださいね」と声をかけるご同行者の様子など、ありありと目にうかびました。ピアノ演奏会場のざわめきや、川の水音も聞こえてくるようです。



005.JPG日本の大自然に海外の街並み、ある日のご自坊の食卓(!)までマイペースにじっくり楽しませていただきましたが、どれか1点と决めるなら私は銀の食器のような額に収められたこの絵がお気に入り。

つやつやした実を見ながら添え書きを読んでいるうちに、自分が子供時代手をベタベタにして食べた庭のいちじくのこと。すっかり忘れていた香り、柔らかさ、皮を剥くときのあの指の感触までが、鮮明に蘇ってきたのでありました。

個展は10日まで開催中。ぜひお出かけください。

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西村惠信(禅文化研究所前所長)の絵画個展

 

blog_2018-05-02-16.26.20.jpg禅文化研究所の前所長、西村惠信先生は、淡彩画を趣味とされており、旅先などで風景をさらっと絵を描くことを愉しみとされています。

どんなに美しい山でも、カメラで撮影しただけでは山の稜線を覚えてはいないだろうが、じっくり眺めて描くと憶えているものだ……

とおっしゃる言葉に、なるほどと頷く次第。

このたび、第4回となる、西村惠信「趣味の淡彩画展」を、本日より下記の通り開催されています。

会期:平成30年5月3日(木)~10日(木)10時~16時
ところ :ぎゃらりー「めん」
  京都市東山区蹴上東町243 TEL.075-771­-6343
  三条蹴上「ウエスティン都ホテル」の筋向かい

ご本人曰く、「下手な絵ですが、これが最後の機会になると思って、お出かけください」とのことです。

今日からゴールデンウィーク後半、京都にお出かけの際、小さなギャラリーの小さな個展にもお出かけ下さい。

ブログ禅も来週までおやすみです。皆さんも初夏をお楽しみ下さい。


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柴田明蘭氏の写真展 in Kyoto

 

blog_180423-1.jpg弊所のDVD「禅僧が語る」シリーズでのスチール写真や、昨年度の弊所のサンガセミナーの「お寺で写真講座」の講師としてお願いもしました写真家の柴田明蘭氏が、このたび、地元京都で初の写真展を開催されます。氏は金閣寺を始め何ケ寺かの寺社のオフィシャルカメラマンでもありますが、上の写真のように、メルヘンチックな写真も多く楽しめると思います。

題して、柴田明蘭写真展「小さな都の物語」縲弋he little story of Kyoto。

会期は明日、2018年4月24日(火)~5月3日(木)の11:00縲鰀19:00。
会場は、ギヤラリー270(〒602-0862 京都市上京区河原町通り丸太町上る出水町270番地)

本写真展は、2013年より行なわれている、「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」と連携した「KG+」の一つとして企画されたもので、「EXHIBITION No.24 : http://www.kyotographie.jp/kgplus/kgplus2018-1st-announcement/」に登録されています。

私自身、この柴田氏の写真講座に通って数年。なかなか上達ができない不肖の弟子の一人ではありますが、我が師の写真展ということで、これはもう何を置いても観に行かねばなりません。皆さんもどうぞお出かけ下さい。

ところで、2018年度のサンガセミナーでも秋に柴田氏の「お寺で写真講座 紅葉を綺麗に撮ろう」を開講します。開講案内や受講受付はまもなく開始します。どうぞこちらへもお運び下さい。

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お釈迦さんワールド展

 

お釈迦さんワールド01.jpg先日お知らせした圓福寺展の会場に上記のようなポップなチラシがあったので、目を引きました。

龍谷ミュージアムにて企画開催される展覧会のようです。どれどれ、見てみましょう。

リーフレットによると、「お釈迦さんワールド ブッダになったひと」という展覧会は、

  お釈迦さんの人間としての姿を求め、彼が生きた時代とその生涯の物語を紹介します。

とあります。

仏教徒であっても、仏教を開いたお釈迦さんのことをどれほど知っているでしょうか。そのルーツを改めて見直すことができそうな展覧会です。

会期は2018年4月13日(土)~6月17日(日)の朝10時~夕方17時まで。月曜日は休館です。
3回の記念講演会や、記念シンポジウム、その他もろもろのイベントも用意されているようです。

詳しくはこちらの本展のリーフレットや、龍谷ミュージアムのWEBサイトをご確認下さい。私も観に行ってみようと思います。

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ボストン美術館の至宝展(神戸市立博物館)

 

blog_IMG_1199.jpg神戸市立博物館にて「特別展 ボストン美術館の至宝展 東西の名品、珠玉のコレクション」が開催されておりますが、遅ればせながら行ってまいりました。

天候も悪く寒さも手伝い人出は少なくゆったり見ることができました。
ゴッホのルーラン夫妻がメイン展示ですが、「英一蝶の涅槃図」170年振りの里帰り、色彩の豊かさ緻密さそして大きさ圧倒されました。
隣で観ていらしたご年配の方は、虫眼鏡を手にそれはそれは熱心に…。そうか!!虫眼鏡の手があったかと…。
ただ、人が多いと気が引けますし、それに負けない気合いと根性が必要と一人ごちておりました。
曾我蕭白もクスリと笑ってしまうところがあり、行かれた方は、その小さな笑を探してみてくださいませ。
他にも見どころ満載の展示ですが、2月4日で終了しますのでお早めに!!

会期:平成29年(2017)10月28日(土曜日)~平成30年(2018)2月4日(日曜日)
開館時間:9時30分~17時30分(※土曜日は19時まで開館)

詳しくは、神戸市立博物館のホームページでご確認下さい。

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KOGEI Art Fair Kanazawa 2017

 

kogei2017.jpg先般、2017/11/24~26に金沢で開催されました、KOGEI Art Fair Kanazawa 2017に行ってみました。

もとより金沢は、小京都とも言われ、以前から文化レベルが高く、色々な工芸品でも有名な街ですが、北陸新幹線が開通し東京からのアクセスもよくなったことで、多くの観光客が訪ねてきています。そんな街、金沢で若手から熟練までの工芸作家による作品が、国内外のギャラリーによって持ち寄られたフェアが開催されたのです。

そして、開催会場となったのは、KUMUという近江町市場と香林坊の間に位置する最近できたばかりのシェアホテル。このホテルのコンセプトによると「禅や茶の湯といった武家文化が色濃く残る街金沢。その文化を未来につなぐサロンとしてのホテルが誕生します」とあり、「禅」を意識していたことを後で知りました。屋上では朝ヨガなども開催予定とのこと。
ここの2~6階まである客室の2~5階の部屋を使って、それぞれのギャラリーが展示しています。こういうやり方も斬新ですね。

部屋によってはバスルームにまで作品を展示していたりして、なかなか楽しめました。茶道具や花器などの陶器をはじめ、ガラス、書画、鋳物や銀製品など多岐に亘りました。

会場内の撮影はpressの人しかできないようでしたので、その様子は上記WEBサイトか、Facebookページでご覧いただくとして、せっかくの機会なので、花器の2作品を購入して帰りました。

帰ってさっそくに花を生けてみました。それがこちら。

一点目は、「3ta2 gallery」さんの出展品で、「いもの道具みちくさ」さんの作品。花台は縁あって作って頂いた、岸野承氏による作品。材は自坊の古材です。三方に仏様が彫られています。

blog_MG_6880.jpgもう一点は、「ギャラリーIDF」さんの出展品で、「阿倍有希」さんの作品。

blog_MG_6889.jpg陶器なのですが、金属風の釉薬がかかっていて、陶器には見えないですね。

花器が素晴らしいだけで、なんだか、花までうまく生けられたような気がしました。いいものが手に入って、ちょっといい気分です。

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企画展「蘇山玄喬 -禅画と墨蹟」徳源寺・円福寺・見性寺所蔵作品

 

蘇山展ポスター.jpgこの冬、禅文化研究所は、花園大学歴史博物館と共催で、「蘇山玄喬 -禅画と墨蹟」徳源寺・円福寺・見性寺所蔵作品展を開催します。

一昨日(平成29年11月15日)、名古屋・徳源僧堂において、蘇山玄喬禅師(神機妙用禅師・1799~1868)の150年遠諱が勤修されましたが、本展覧会は、この蘇山禅師の150年遠諱を記念し、名古屋・徳源僧堂の全面的ご協力をいただき、由緒寺院である八幡・円福僧堂、そして熊本・見性寺の3ケ寺に所蔵される蘇山禅師の禅画と墨蹟を、弊所が行なっておりますデジタルアーカイブス事業として調査させていただき、花園大学歴史博物館と共同で開催するものです。

蘇山禅師の書画のみを展観する本格的な展覧会は本展が初となります。また、会期中には禅師の行履をお話し頂く記念講演会「蘇山玄喬禅師 -その人と行履-」(講演:瀧瀬尚純氏〔花園大学国際禅学研究所研究員〕)も花園大学教堂にて開催します。講演会についてはこちらもご覧下さい。

 

リーフレットはこちらのパンフレット(pdf)をご覧下さい。

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安野光雅の『洛中洛外』展

 

001.png丹後ちりめんで有名な京丹後市久美浜にある、「安野光雅館」に行ってきました。今年6月にオープンしたばかりの同館には、画家・絵本作家で装幀家の安野光雅さんの作品が常時展示されています。



20171110_002.jpg現在、特別展「安野光雅の『洛中洛外』」を開催中。こちらは、禅宗ではありませんが嵐山にある大悲閣・千光寺です。「絵は、見えているものだけを描けばいいということではありません」と安野先生が仰るとおり、周囲の山並みや険しい階段、凜とした秋の空気まで目に浮かんできませんか。


20171110_003.jpg禅のお寺は慈照寺(銀閣寺)が描かれていました。それぞれの絵に先生のコメントがつけられているのですが、「いぶし銀というのは最高の褒め言葉だ」と。創建から500年以上の佇まいや歴史の重みを、こんなにも短く、しかも的確な言葉で表されるのだなあと。自分も何度も足を運んできたお寺だけに、同じものを見ても受け取るものが全く違っていたことを思い知らされます。芸術家の感性は、やはり一般のそれとは違うんだなあ!という感動が改めてありました。




20171110_004.jpg他にもさまざま印象に残る作品がありましたが、絵を見てぜひ実見したくなったのがこちら。樹齢千年という椿です。念のため地元の方に訊ねてみたところ、残念ながらやはりお花のシーズンではないそうで、再訪を誓いました。

この『洛中洛外』は書籍化もされています。ぜひぜひ、お手に取ってみてください。とても楽しい心の旅になるかと思います。

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特別展「今を生きる禅文化 -伝播から維新を越えて」

 

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去る平成29年10月13日(金)、本ブログですでにご紹介した、高知県立歴史民俗資料館で開催される特別展「今を生きる禅文化 -伝播から維新を越えて」の開展式ならびに内覧会にお邪魔してきました。京都から車で5時間弱、なかなかの距離です。

 blog_MG_5525.jpg開展に先立ち開催された開展式では、初日にある講演会にあわせておいでになった相国寺派管長の有馬賴底老師のご挨拶があり、「禅は何も難しいことではないのだ。どうかこの機会に展観品をみて、禅を身近に感じて欲しい」というお話がありました。

blog_MG_5536.jpgまた、本展は臨黄合議所が特別協力をしているため、臨黄合議所理事長であり南禅寺派宗務総長の蓮沼良直師もご挨拶されました。ちなみに禅文化研究所も本展の後援に名を連ねさせていただいています。

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その他来賓のご挨拶や、ご紹介につづき、テープカットが行なわれました。

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本展は四国の高知で開催される、禅文化に特化した初の展覧会ということになります。本展は、高知県の妙心寺派の和尚さん有志が熱い意思を持って大変尽力されて開催がかなったと言っても過言ではないでしょう。京都の各本山などに宝物の借用に頭を下げて回られ、四国の地では、これまでにない貴重な書画が集められています。

blog_MG_5588.jpg本展の担当学芸員である那須さんが、ギャラリートークとして出品作品の紹介をされ、来場者が説明を聞きながら、熱心に展観されていました。特に四国の方々は、今まで目にしなかった重要美術品も多く、じっと眺められている様子が特徴的でした。

余談ですが、那須さんは出品依頼の時、集荷の時にも京都を訪ねられ、おそらく本展のおおくの処理を担っておられたと思われます。ポスターやチラシのできあがりが予想より遅く、正直、少しやきもきしておりましたが、無事に展覧会が開催できて、私もホッとしました。

blog_MG_5647.jpg土佐から出られた高僧、義堂周信(1325~1388)・絶海中津(1334~1405)などの墨蹟も展観されています。キャプションも丁寧に書かれていました。

会期は11月26日まで。機会をみつけて、どうぞご来場下さい。

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地獄図絵解き

 

blog2017-10-09-20.06.jpg先の3連休、如何お過ごしでしたか?

私毎ですが、法類寺院の先住職7回忌法要やら、市会議員選挙に出る友人の事務所開設のお手伝いやらで、あっという間の3日でしたが、最終日の夕方に、このブログでもご紹介しました、龍谷ミュージアムで開催中の「地獄絵ワンダーランド」展特別企画「◆プレミアムナイト企画〈地獄絵 絵解き×音解き×美解き-今夜は地獄へ行かナイト〉」に参加してきました。

内容は以下のとおりでした。

第1部 「地獄絵 絵解き」    西山 克 氏(関西学院大学文学部教授)
第2部 「地獄絵 音解き」    組曲六道 影絵付き演奏:ファンファーレ・ロマンギャルド
第3部 「地獄絵 美解き」    特別展「地獄絵ワンダーランド」ナイト観覧

第1部と第2部は、龍谷大学大宮学舎本館で、ここは重要文化財に指定されている建物。その2階講堂にて行なわれました。

blog2017-10-09-19.29.59.jpg残念ながら会場内での撮影・録音・録画は禁じられていたので、言葉だけでのご紹介になるのですが、西山先生の「地獄図絵解き」は、「熊野観心十界曼荼羅」を用いてされたんですが、軽快で、ご本人曰く、「今日は短い時間なので難しいが、2時間も話させてくれたら皆さんが極楽より地獄に行ってみたいと思うようにさせてあげます」とのこと。

事実、1時間弱のお話でしたが、極楽浄土が無味閑散としていて何にも楽しそうではなく、逆に地獄のお裁きの方がなんだかロマンチックだったり、罪人通しの協力ができたりしそうで、楽しそうに思えるから不思議でした。

そのお話を聞いた上での第2部「地獄絵音説き」は、クラリネットとテナーサックス、そしてギターとドラムの四人の演奏される組曲「六道」の進行に合わせた影絵を、プロジェクターで観ることができ、不思議な世界に引き込まれてしまいました。

続いて場所を龍谷ミュージアムに移動して展観品を目の前にし、「地獄絵 美解き」として龍谷ミュージアム学芸員によるギャラリートークが開催されました。いくつもの十王図を拝見でき、なかなかの圧巻。白隠禅師の閻魔大王図や「南無地獄大菩薩」の書も展示されていました。

ほかにも、怖いばかりでなく、江戸時代に描かれた、とてもユニークなお顔の十王図などもあり、六道、なかでも地獄のことをじっくりと観ることができた楽しい展観でした。

禅文化研究所のサンガセミナーではここ数年、「涅槃図お絵解き講座」を開催していますが、来年度は西山先生にお願いして、「地獄図お絵解き」を2時間たっぷりお願いできないかと思いました。

開催の際には、是非ご参加下さいませ。

なお、龍谷ミュージアムの「地獄絵ワンダーランド」展は11月12日(日)まで開催中です。是非お出かけ下さい。

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京都国立博物館 開館120周年記念特別展「国宝」

 

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現在、京都国立博物館 平成知新館にて、開館120周年記念 特別展覧会「国宝」が開催されています。

会期は2017(平成29)年10月3日(火)~ 11月26日(日)で、その間4期にわけて、200点を超える国宝ばかりが、2週間毎に展示替えされて展観されるという、夢のような展覧会です。

今回の展観は、京都国立博物館で41年ぶりとなる国宝展だそうです。

ご存知の通り、禅文化研究所では、各地の寺院にてデジタルアーカイブス事業のために寺宝調査をさせていただいています。今まで未調査だったり未発見のとても優れた書画をみつけることもありますが、さすがに国宝となるようなものはそうそう出てくるわけではありません。国宝に指定されるものは、それだけに非常に価値のあるものということですから、観ておくに超したことはないと思います。

これから京都は観光シーズンに突入。観光客であふれかえる時期ではありますが、是非、機会を観てお運び頂いてはいかがでしょうか。

詳しくは京博のホームページにてどうぞ。

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特別展「今を生きる禅文化」(高知県立歴史民俗資料館)開催のお知らせ

 

高知As.jpg白隠禅師250年遠諱を記念して、四国は高知で、初の禅の展覧会が開催されます。

ことの発端は、臨済禅師1150年・白隠禅師250年遠諱を記念した、京都国立博物館・東京国立博物館での「禅 心をかたちに」展の準備をしているころ、高知県の妙心寺派の某和尚さんが、土佐高知ではこういう禅に特化した展覧会が開かれたことがないので、是非、高知で禅の展覧会をひらきたい。ついては協力してくれないかと禅文化研究所に来て依頼をされました。その和尚さんに同道して、いくつかの本山に借用のお願いに出向いたりしておりましたが、それがようやく形となるわけです。

土佐は、義堂周信(1325~1388)・絶海中津(1334~1405)・義天玄詔(1393~1462)・山本玄峰(1866~1961)という4人の有名な高僧と縁があります。

「五山文学の双璧」とされる義堂周信と絶海中津はともに土佐の同郷の出身。京都おいて春屋妙葩らとともに、五山文学を代表する学僧です。義天玄詔はも土佐の出身で、枯山水の石庭で有名な京都龍安寺の開山です。和歌山県生まれの山本玄峰は、目を患ったために四国八十八所霊場の行脚をし、7回目の遍路の途中、ついに高知の雪蹊寺の門前で行き倒れとなりそうになったところを助けられ、そこで出家して、のちに昭和を代表する禅僧となりました。

ほかに土佐に伝わる寺宝なども展示されます。会期は平成29年10月14日~11月26日まで。会期中、前期後期にわけて展示替えがあります。

詳しくは下記のパンフレットをクリックして開いてみて下さい。

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とくに四国のみなさま方、是非、本展にお運び下さい。

 

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「雪村-奇想の誕生-」展

 

blog2017-08-04-14.49.04.jpg先日、「雪村-奇想の誕生-」の展覧会に行ってまいりました。

巡回展示で、このブログで御昇華したとおり、3月28日~5月21日まで東京藝術大学大学美術館で開催されてましたが、なかなか東京までは行く機会がなく、関西ではMIHO MUSEUM(滋賀県甲賀市信楽)で8月1日~9月3日の展示でした。

後期展観では幣所所蔵の雪村周継筆「蕪図」を出展していることもあり、展観期間ぎりぎりでしたが行ってきたしだいです。

雪村だけでなく、雪村より影響をうけた琳派の尾形光琳や酒井抱一、そして、江戸~明治期までの狩野派による図なども展観されており、あらためて、雪村の偉大さを感じた一日でした。

余談ですが、幣所にて販売しております一筆箋「布袋」(税別350円)には、この雪村筆の「蕪図」も入っております。 機会がありましたらお求めくださいませ。

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特別展「地獄絵ワンダーランド」

 

20170825地獄絵.jpg関西では地蔵盆も終わりましたね。

今年も地蔵盆で子供達に地獄絵を見せて、「できるだけ嘘をつかないでいようね。そしてもしついてしまった時でも、悪いことしたなぁと心から反省しようね」とお話をしました。嘘ついても平気でいると、この地獄絵のように、舌を抜かれるんだよ。それも一回だけじゃなくて、永遠に続くんだよと云うと、だいたいの子供達はいや~な顏をしています。

さて、そんななか、もうまもなく9月3日で終了してしまうのですが、東京の三井記念美術館にて、「地獄絵ワンダーランド」という特別展を開催されています。

地獄は六道輪廻の最下層にあり、あの白隠禅師も幼少の頃にお寺で聞かされた地獄の話が頭に残り、自宅で母とともにお風呂に入っているときに、竈にくべた火が轟々とお湯を沸かしてくる音におびえ、「地獄に行きたくない」と真剣に悩み、そして出家に至ったのです。

そんな地獄絵のことをとりあげた小さな特別展です。お近くの方はお運び下さい。

関西の方も観られますよ。巡回展が予定されています。

龍谷大学 龍谷ミュージアムにて、2017年9月23日(土・祝) ~ 11月12日(日)に開催されます。くわしくはこちらをご覧下さい。私も観に行こうと思います。

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特別展「雪村-奇想の誕生」 MIHOミュージアム

 

su01a.jpg来たる平成29年8月1日から9月3日まで、滋賀県のMIHOミュージアムにて特別展「雪村-奇想の誕生」が開催されます。

今年の春に東京芸術大学大学美術館で展観されていた同展の関西開催です。

室町後期から戦国時代に主に東国で活躍した画僧、雪村周継(せっそんしゅうけい)は、それまで日本では中国画を基本にした山水画や人物画が描かれていた画風を、独自の画風で一新した画家です。

その主要作品約80点と、雪村から影響を受けた後代の関連作品約30点で構成される本展、春の展覧会にも出展した、弊所所蔵の「蕪図」も再び出品(後期展示)されます。

暑い時期ではありますが、MIHOミュージアムは関西でも最も涼しいところかも知れません。納涼を兼ねて出向かれては如何でしょうか。

同展のパンフレットはこちらからご覧頂けます。

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特別展「悉有仏性」と弓弦羽神社

 

blog_2017-06-18-12.05.32.jpg先般、本ブログでご紹介しました神戸市の香雪美術館での特別展「悉有仏性」に出向いて参りました。
そもそも香雪美術館とは、朝日新聞創設者の村山龍平氏が蒐集した品を収蔵する美術館で、東灘区御影の閑静な住宅街にあり、さらに周りと隔絶する塀に囲まれた、香雪の杜の中に建つ小さな美術館です。

blog_2017-06-18-12.08.jpg門を通ると掃除の整った瀟洒な庭があり、禅寺にお参りしたときのような、外との空気の違いを感じられました。
今回の展示は世界のトップコレクター200人の一人に数えられる佐藤辰美氏の所蔵品から、仏教関係のものばかりを展示されていて、Ⅰ期とⅡ期、そしてそれぞれが前期後期に分けられている中の、Ⅰ期後期の展示でした。
平安や室町時代の仏像や工芸、経典がほとんどなのですが、佐藤氏ご本人も意識を持ってコレクションされた、断簡や断片の展観品に興味を引かれました。

例えば、仏像の指先だけ、光背の一部、火事により焼け焦げた経典の一部。
指や手首の欠損した仏像を観ることは多いですが、逆に欠損した方だけの展示を観る機会は少ないのではないでしょうか。
例えば、その指先だけでは全体像はわかりません。そのかわり想像はたくましくなります。
そういうフェチなのだとご本人はおっしゃっていました。まさしく「悉く仏性を有する」品々でした。
第Ⅱ期は7/15から9/3まで。機会があればまた訪ねてみたいと思います。

 

blog_2017-06-18-12.56.jpg美術館をあとにし、ふと見ると美術館の隣に神社があります。せっかくなのでお詣りしてみました。きれいに掃除された立派な神社です。弓弦羽(ゆづるは)神社とあります。
その神社名になにやら覚えが……。あ、思い出しました。神社名に預かって、フィギュアスケートの羽生弓弦選手の活躍を祈る人たちが後を絶たないと、いつぞやテレビでやっていた、その神社だったのです。
風変わりな楕円形の絵馬には、羽生選手のことを祈ったものがたくさん掛かっていたのでした。

皆さんも是非お運び下さい。

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香雪美術館 「悉有仏性」展

 

blog-170605.jpg時々、本ブログで書かせていただいている弊所のデジタルアーカイブズ事業での調査。この調査に、時折お手伝いいただいている外部の美術館の学芸員の方が数名おられるのですが、その中のお一人が担当されている展覧会をご紹介します。

神戸市灘区御影にある香雪美術館では、現在、日本を代表するコレクター・佐藤辰美氏の所蔵品の中から選りすぐりの仏教美術品を二期に分けた特別展「悉有仏性(しつうぶっしょう)」展を現在展覧中です。会期は2017年5月20日(土)~7月2日(日)。

佐藤辰美氏は、現代美術収集家として知られているそうですが、実は私はまったく存じませんでした。しかし、2万点を超える所蔵品の中からの展覧会。お釈迦様の説かれた「悉有仏性」、つまり、「一切衆生、生きとし生けるものすべてに仏性(仏の心)がある」という言葉になぞらえた展覧会。是非お運び下さい。

かくいう私もまだ観に行けていないのですが、かならず会期中に足を運ぶつもりです。展観を観てからとも思ったのですが、ご紹介が遅くなると意味が無いので、まずはご案内まで。

 

香雪美術館 「悉有仏性」展の続きを読む

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特別展「雪村-奇想の誕生」

 

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東京芸術大学大学美術館において特別展「雪村-奇想の誕生」が開催されています。 戦国時代の画僧、雪村周継(せっそんしゅうけい)の主要作品約100件と関連作品約30件で構成される大回顧展で、弊所所蔵の「蕪図」(下の写真参照)も出品されています。 雪村の生涯は未だ謎に包まれていますが、その作風は、伊藤若冲、歌川国芳など「奇想の画家」と呼ばれる絵師たちの先駆けと位置づけられ、今まさに注目すべき画家といえます。

会期は5月21日(日)までです。この機会にぜひご来場ください。

なお同展は、8月1日(火)より9月3日(日)までMIHO MUSEUM(滋賀県)でも開催されます。

 

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「蕪図」(雪村筆/禅文化研究所蔵) 禅文化研究所デジタルアーカイブズ「禅の至宝」より

 

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特別展「原の白隠さん」

花園大学歴史博物館では、来たる4月3日(月)~6月10日(土)のあいだ、白隠禅師250年遠諱記念「原の白隠さん -松蔭寺と静岡沼津伝来の禅画・墨蹟」展を開催されます。

今年の白隠禅師250年遠諱正当に合わせて、昨年秋より3部にわけて開催されている白隠禅師の特別展の一環で、今回は第2部にあたります。(前回は「正受老人と信濃の白隠」:2016年10月10日~12月10日)

白隠禅師が得度をされ、また住職を勤めながら多くの弟子達を接化されていた沼津市原の松蔭寺。この松蔭寺に残されている多くの遺墨を中心に白隠画の魅力にせまる展覧会です。

会期:2017年4月3日(土)~6月10日(土)
休館日:日曜日および5月5日・6日(但し大学行事により臨時休館する場合があります)
開館時間:10:00~16:00(但し土曜日は14:00まで)
入館料:無料
主催:臨済宗妙心寺派、花園大学歴史博物館
協賛:学校法人 花園学園

期間中、2期にわけて展示替えも行なわれます。是非、お近くにおいでの際にはお立ち寄りください。

 

※展覧会の詳細は下パンフレットの画像(表・裏)をクリックすると拡大して表示されます。

2017白隠展(表).jpg表面

2017白隠展(裏).jpg裏面

 

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泉屋博古館 特別展「高麗仏画-香りたつ装飾美」


001.JPG京都は岡崎にある、泉屋博古館に行ってきました。南禅寺、永観堂、法然院など有数の紅葉名所が建ち並ぶエリアとあって、一帯は大混雑だったのですが

002.JPG館の周辺は、こんなに静か。山裾の瀟洒な美術館です。

003.JPG泉屋博古館は住友家が蒐集した美術品を保存・展示する施設。特に第15代・住友春翠(友純)が集めた中国の古銅器と鏡鑑は白眉で、中国以外では最も充実したコレクションといわれているそうです。実際、広い展示室が4つもありじっくり観るなら半日は必要かも。

004.JPGエントランスにて。遊び心のある演出が少し意外でした(いくつになってもこういう仕掛けには心が動きますが、あいにく単独行動でした。残念です)。

005.JPG前置きが長くなりました。この日の目当ては、高麗王朝後期(13~14世紀)に制作された華麗な仏画。館所蔵の重文「水月観音像(楊柳観音像)」の全面解体修理が終わったタイミングで、国内38年ぶりという高麗仏画の特別展が開催されているのです。

かつて韓国で高麗仏画を拝見する機会に恵まれた私は、一目でその繊細な美しさの虜になってしまったのですが……。現存する高麗仏画は全世界でも160点ほどだそうで、まとまった形ではあまりお目にかかれないのが実情と知りガッカリ。まさかこんな日がやってくるとは。とても嬉しかったです。

006.jpgこれらの荘厳は仏の徳を表わすのだそうです。やはり、このうっとりするほど繊細な装飾が人の心を掴むのでしょうか、開会早々すでに人気の展覧会だとか。会場では修復の技法や成果なども紹介されています。「どれだけ細かいんだ」と気が遠くなる作業ぶりですが、人が畏敬の念を抱く仏画の秘密を垣間見た気もしました。皆さまも是非。

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「近世京都の宮廷文化 ~宮廷大礼文化の風景~」展

 

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昨日のブログ禅で書いた光雲寺に遺る東福門院像は、現在、この「近世京都の宮廷文化 ~宮廷大礼文化の風景~」展に出品されています。まことに京都ならではの展覧会、お運びになってみては如何でしょうか。

上記リーフレットの裏側も掲載させて頂いておきます。いずれの画像もクリックすると大きく表示します。

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「永源寺に伝わる書画」展(滋賀県・觀峯館)

 

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先日、滋賀県東近江市にあります觀峯館に行ってまいりました。
書家の原田観峰氏の名前を冠されており、中国様式の建物と新館とに分かれており、今まで見たこともない大きな硯や、中国の書、離宮避暑山荘内部の復元などが展示されており、山荘内部は装飾品や天井まで細部にわたり復元されていました。

koba_0806.jpgこれにはアナウンスの説明もあり、当時の隆盛が良くわかります。
また、建物の最上階は展望台で、遠くの景色まで見渡せ、この日は天気があまりよくなかったのですが、晴れた日にはどんなにか気持ちが良いだろうと、少し残念でもありました。
また、オルゴールやクラッシクカーの展示もあり、多彩な展示物で楽しく過ごせます。

koba_0805.jpg今回は、滋賀県東近江市にある臨済宗永源寺派の大本山永源寺の開山である寂室元光禅師の650年遠諱に合わせて觀峯館で開催されています、「永源寺に伝わる書画」を伺いまいりました。あわせて、先月弊所より刊行いたしました季刊『禅文化』242号にも特集「永源寺開祖・寂室元光禅師」を組ませていただいています。

この企画展は11月20日まで開催されています。
会期は9月17日からでしたので、現在は後期展示となっていますが、ふだん拝見する事のできない寂室元光禅師や一絲文守禅師の墨蹟等、素晴らしい展示ばかりでした。
もう少し展示物の紹介をしなければいけないとは思うのですが、ぜひ、幣所刊行の242号を手に、寂室元光遺戒や墨蹟、江戸前期に書かれた「達磨図」の朱の色、そして、「地蔵十王図」の迫力に、足をはこんでいただきたく、少しだけの紹介とさせていただきます。

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作品の集荷

 

10月18日(火)から東京国立博物館で始まる特別展「禅―心をかたちに―」(特設サイトはこちら)に出展される作品の集荷に大徳寺本山に伺いました。大徳寺では、前々日に本山の宝物を一堂に展観する曝涼展があり、1500人を超える観覧者があったそうです。

 

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特別展には大徳寺から国宝・重文クラスを中心に十数点出展されます。集荷では、絵画や彫刻担当の博物館学芸員が、一点一点状態をチェックします。確認を終えた作品は運送業者によって丁寧に箱詰めされてゆきます。この一連の流れは手慣れたものです。



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daitoku03_b.jpg開幕まであと僅か。会場の準備も順調に進んでいます。東京展のみに出品される宝物も多数あります。また、前期・後期で大幅な作品の入れ替えもあります。この機会にぜひ足をお運びください。

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花園大学歴史博物館 特別展「正受老人と信濃の白隠」

 

2016-10-04-1.jpg来たる10月10日より12月10日まで、花園大学歴史博物館にて白隠禅師250年遠諱記念「正受老人と信濃の白隠」が開催されます。

このたびの特別展は、妙心寺派の白隠禅師250年遠諱事業の一巻として開催されるもので、今回を含め3回の特別展が予定されているようです。

とくに今回は、白隠禅師の修行時代に縁の深い信濃国(長野県)に伝来している遺墨を展観するとのこと。今まであまり眼に触れなかった逸品も展示されるとの事ですので、是非、花園大学までお運び下さい。

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大茶の湯釜展 -MIHO MUSEUM-

 


160726-1.jpg滋賀県のミホミュージアムを訪れました。
恐らく釜のみの展覧会でこれほどの規模のものは初めてなのでは?!と思うのですがいかがでしょうか。

「大茶の湯釜展-茶席の主-」。
副題に「茶席の主」とあります。確かに客の席入り前から見送り後までずっと鎮座まします茶の湯の釜。茶会を催す事を「釜を掛ける」とも申しますし、そうもとれなくはないのかもしれません。
個人的には「主」とまで言ってしまうのはどうなのだろうと思うのですが、まだまだわかっていない証拠でしょうか。

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長年茶の湯の稽古は続けていても、一つ一つの道具となると意外と詳しいところまでは知らない事も多く、改めて学ばせていただきました。

ただいま少し稽古を中断しておりますが、最後に濃茶を点てる映像(釜の音の変化を聴く為のVTRが流れていました)を観て、茶室での様々な音を聴いておりますと、点前をする時のあの心地よさ、精神の落ち着きを感覚的に思い出し、なんともいえない気持ちになりました。
少し離れる事でまた、新たに深まるおもいもあるものだな……と思った次第です。

今週末、7月31日まで。是非おでかけください。

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俺たちの国芳わたしの国貞展

 

2016-07-02-12.53.jpg神戸市立博物館で展観されているボストン美術館所蔵「俺たちの国芳わたしの国貞」展を観て参りました。

歌川国芳と歌川国貞などの浮世絵師によって描かれた浮世絵は、江戸から明治期に、その美しさ、奇抜さに惹かれた医者のウィリアム・ビゲロー(1850-1926)たちによってその多くが海外に持ち出され、今はボストン美術館に多数所蔵されています。100年ほどたって、最近ようやく14000枚もの浮世絵のアーカイブが整理されたとのことで、その中から厳選されたものとはいえ、この二人の浮世絵がこれほど多く一同に公開されるのは初めてとのことでした。

水滸伝の登場人物で、「花和尚」と呼ばれカラクリモンモンで有名な魯智深から始まる、水滸伝の登場人物を日本の歌舞伎役者に当てはめて描かれていたり、当時の花形役者を並べて描いたり、ホラー的な絵があったり、歌舞伎の楽屋裏を描いたりと、広範囲でユニーク。書かれている文字も漫画的であったり、非常に楽しむことができました。

2016-07-02-13.03.jpgそして、驚くことに、7月末までの期間限定ではありますが、場内をこのようにスマホなどで撮影することが許可されていて、それをどんどんSNSにアップして欲しいとのこと。それぞれの絵には丁寧なキャプションがありましたが、その他に、絵の上部には一行のコメントが付されていて、それがまた若者ウケしそうな内容。「花形役者」の横には「アイドル」とルビがあったり、この展覧会に若者達を呼び寄せ、浮世絵に興味を持って貰おうという主旨がはっきり見て取れました。

それから、猫好きだった国芳ならではの猫満載の絵も。可愛い猫や化け猫があちこちで登場します。

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猫だらけでしょう?

会期は8/28まで。夏休みに入ると混み合うかも知れませんが、いまのところは、ゆっくり観ることができました。暑い夏です。お近くにおいでの際は、涼みがてらいかがでしょうか。

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鈴木大拙館 -金沢市-

 


160531.jpg 「鈴木大拙没後50年記念特別展 O Wonderful !」が開催中の鈴木大拙館にお邪魔しました。

O Wonderful ! はご存知シェイクスピアの『お気に召すまま』に出てくるセリフであります。
大拙先生が「妙」の英語訳に頭を悩ませておられたところ、このセリフと出会い、まさにこれこそ「妙」を表現するのにぴったりだということで、西洋に「妙」の概念が伝わる事となったわけです。

大拙先生の秘書をされていた岡村美穂子先生は、この事を仰る時には必ずといって良いほど、「and yet agein ってもう1回最後に言ってるでしょう?そこなのよ!!!」と。
それを仰る時の先生の目の鋭さと輝き、力強い口調もいつも同じです。
皆さまどうでしょうか???

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美穂子先生とお話させていただいておりますと、直訳ができない、日本語にしか無いような言葉、仏教用語などを、大拙先生が絶妙な英語で訳された事を知る機会が多く、感服すると同時に、その背景に仏教の教えや文化が含まれている日本語の豊かさに気付かされます。


話は変わりますが、先日ブログにてご紹介しました言葉についてお尋ねしますと、

大拙先生がアメリカにいらした時に、ある西洋人の登山家が、エヴェレスト登頂に成功し、「自分はエヴェレストを征服した……」と表現したことから出てらしたお言葉であった事が判明しました。
さらにその登山家は、自国の旗を山頂に立ててきたのだとか。
一方、ネパール人シェルパは、自身の持ち物の中から、命綱ともなるチョコレートを埋め、下山したのだそう。

私も、いろんな宗教に触れたいと、大学の卒業旅行でネパールに行きましたが、結局は、どんな聖地や寺院よりも、4200メートルから見た8000メートル級の山々の方が、どうしたって鮮明に印象に残っています。
神そのものなのだと思うしかありませんでした。
大自然は決して人の手でどうにかなるものでは無く、神仏そのものの現れ。
東洋的考え方、見方はいつも最先端かと。

今一度、大拙先生のお言葉に触れてみる機会を、皆さまも是非。
東京からの新幹線開通のせいか、いつも以上に賑わいを見せる金沢の町でした。
 
 
*季刊『禅文化』237号は、鈴木大拙先生と西田幾多郎先生の特集号です。詳細はこちらからどうぞ。

 

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岸野承展 -日本橋高島屋-



0510pickup_e06.jpg日本橋高島屋にて、彫刻家の友人・岸野承氏の個展が開催されます。

埋もれ木や古材を使い、その木々たちが内含していた力を、形として現わす手助けのような事を彼がしているのだと思うのですが、時に彼が昔傾倒したジャコメッティのようだと表現されたり、円空のようと言われたりしています。

私自身は、作品を観て「~のようだ」などとは表現しようと思った事もありません。
どこまでいっても彼自身なのか、それともそれを捨て去っているのか、それだけのような……。

 
是非ご覧になってみてください。
ちなみに、先日は上司のお寺の扁額を作っていましたので、こちらの記事もあわせてどうぞ。

6月1日(水)~7日(火)
日本橋高島屋
6階 美術工芸サロン
※最終日は午後4時閉場。

 
サンガセミナー受講者募集中

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杉本博司 趣味と芸術-味占郷 -細見美術館-


160523-1-1.jpg杉本氏の作品との出会いは、何年か前に美術館で彼独自の表具、“杉本表具”に驚嘆したのが最初です。

できあがってきた表具に対して、「こういうイメージではなかった。もっとここをこうして…」などと言う事は少しはできても、本紙を目の前にビシッと「こうしたい」と明確に表具のイメージを持つ事はとても難しいことだと思うのです。

それが、彼の手にかかれば、大燈国師墨跡から西洋の古い絵画に到るまでが、寸分の迷いもなさげな表具により、引き立てられるのです。使われている紙や裂や軸先にも弥が上にも興味をそそられてしまいます。


どこにもカテゴライズされない自在の人。
どういう経歴の持ち主で何をしている人なのかは私は詳しく存じませんが、そんな事はどうでも良いと思わされ、ただただ彼の世界を楽しみたいと思うのです。
誤解を恐れずに申し上げるならば、私にとってはなんとなく利休さんを彷彿させる人であります。

6月19日まで、京都は岡崎の細見美術館にて。

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「山と仲良しになった」 -鈴木大拙先生のおことば-

 

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登山に成功したら「山と仲良しになった」と何故言わないのか。征服するべき対象を探し求めるのは自然にたいする東洋的態度ではない。われわれは富士にも登るが、その目的は富士を「征服する」のではなくて、富士の美麗、壮大、孤高に打たれるにある。 
(『続 禅と東洋文化』鈴木大拙 より)



本年は、海外に向けて仏教や日本文化、そして何よりも“禅”を伝えられた鈴木大拙先生の没後50年の年にあたります。

個人的にも、秘書であった岡村美穂子先生にお目に掛かる機会が度々あったりと、大拙先生のおことばに触れる機会に恵まれており、時代が変われど褪せる事のないその御教えに、改めて感じ入っております。

昨今日本を揺るがす自然災害ですが、同時に自然とは我々に計り知れない恵みをももたらしてくれることを、日本人はちゃんと知っています。
では、どのように付き合ってゆくのか。

自然とのつき合い方、自身との向き合い方、日本人としての在り方のヒントが多々、大拙先生のお言葉にはちりばめられています。
どれだけ時代が変われど、それらは普遍的な人類の遺産ともいうべき智慧であります。

私自身、今一度それらに触れる機会を持とうと意識しているこの頃です。


*金沢市にあります鈴木大拙館では、「没後50年記念特別展」が開催されます。
ポスターにある「O wonderful」は、「それはそれとして…」と共に、私の最も好きなお軸の一つで、訪れるのが楽しみです。皆さまも是非!


『相貌と風貌-鈴木大拙写真集』

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京都駅ビル"京都美風"にて「COOL 禅~ZEN~」パネル展

 

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本日4月1日より、京都駅ビルの南北自由通路にありますイベントスペース(JR京都伊勢丹前)にて、“京都美風” 「COOL 禅~ZEN~」パネル展が開催されております。
これは、臨済義玄禅師1150 年遠諱、白隠慧鶴禅師250 年遠諱を記念して行なわれる「春の京都禅寺一斉拝観」事業や京都国立博物館の特別展「禅 -心をかたちに-」と連動し、「禅」をテーマにしたパネルおよび墨蹟の展示を行なうものです。
昨日、その施工工事に出向いてきました。

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書画墨蹟は6点を禅文化研究所から貸し出し、またこの度の遠諱にあわせて作成されたDVDを開催中、常時放映するものです。
京都駅にお出かけの際には、是非ご覧下さい。
開催期間:平成28 年4 月1 日(金)~平成28 年4 月27 日(水) 
開催時間:10:00 ~ 19:00

主催:京都駅ビル開発(株)/西日本旅客鉄道(株)
協力:臨済宗黄檗宗連合各派合議会/公益財団法人禅文化研究所/公益社団法人京都市観光協会

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 また、期間中、二度、パネル展会場近くにあります「京都茶寮」にて、禅僧による法話や椅子坐禅指導がある、“「禅」文化講座 in 京都茶寮”もあります。参加費2000円でお弁当付き。こちらは人数限定でご予約が必要です。詳しくは下記をご覧下さい。

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今年は秋に東京国際ブックフェア開催

IMAG3216.jpgまだまだ先の話ではありますが、毎年開催されて今年で第23回を迎える、「東京国際ブックフェア」。今年は出展するべく、その開催説明会に足を運んできました。

禅文化研究所も過去に3度、この本の見本市とも呼べる東京国際ブックフェアに出展しました。
以前のブログ禅に記事を載せています。

2010.7.8 東京国際ブックフェア 本日より開催
2010.7.16 第17回 東京国際ブックフェアを終えて
2013.7.9 「朝鮮通信使」絵図 -東京国際ブックフェア2013にて-

など。2008~2010年の3年間連続出展しました。

近年は諸事情により出展を見合わせていたのですが、今年、ブックフェア事務局からの案内に、開催方針を一新し、「読者のためのブックフェア」の開催とし、「本好きの方々に喜んでいただく場」「読書に馴染んでいない方々が、本を読むきっかけとなる場」になるようにしたいということが記してありまして、弊所も、そういうことであるならばと、出展しようではないかということにいたしました。

特に今年は、開催時期が秋の9月23日~25日の3日間となり、土日も含むことから、多くの一般来場者が見込めるということと、ちょうどこの直後にあたる10月18日~11月27日に東京国立博物館にて遠諱記念特別展「禅 -心をかたちに-」が開催されるため、このアピールにも最適だと考えたためです。

詳細はこれから考えていきますが、禅文化研究所の刊行物を可能な限り展示即売いたしますので、どうぞ、今から楽しみにしておいて頂ければ幸いです。

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天龍寺・臨川寺特別参拝のおしらせ


160128.jpgおはようございます。

本年は、臨済禅師の1150年遠諱(お亡くなりになられてから1150年の節目です)、白隠禅師の250年遠諱(正確には来年)の大法要の年。
それを記念して、様々な行事を開催する予定です。 

京都国立博物館において、4月12日から5月22日まで開催予定の特別展「禅 ―こころを形に―」にあわせまして、京都では「春の京都禅寺一斉拝観」が開催されます。
その中で、禅文化研究所では、約20年以上公開されていなかった臨川寺(夢窓国師のお墓があります)の特別参拝日を設けさせていただきました。

既に定員に達している日もありますが、空いている日にちでご都合つく方は是非ご参拝ください。
この日は天龍寺の法堂や非公開の茶室なども拝見させていただける事となりました。
お申込み、詳細はこちらからどうぞ。

私も、皆様にお目にかかれるのを心待ちにしております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

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春の京都禅寺一斉拝観 〈2016年開催〉

平成28年春、臨済宗を開かれた臨済義玄禅師の1150年遠諱、ならびに日本臨済宗中興祖である白隠慧鶴禅師の250年遠諱を記念して「春の京都禅寺一斉拝観」を実施すべく準備にとりかかっております(遠諱の詳細はこちら)。

渾身の作。と申しましょうか、我が上司(お坊さんです)が作りました公式サイトはこちら


151211-1.jpg遠諱の一事業として京都国立博物館で開催される特別展「禅 ―心をかたちに―」(平成28年4月12日~5月22日)の展観期間にあわせて、京都市内を中心に、数多い本山をはじめとした禅宗寺院(約60ヶ寺)で通常非公開の寺院や寺宝の特別公開、坐禅会や写経体験・法話など、期間中に特別な催しが一挙に開催されます。
また通常公開寺院においても、期間中スタンプラリーなどを実施予定です。スタンプを集めて応募すると、抽選でプレゼントももらえます。

期間:平成4月12日(火)~5月22日(日)

 

「そうだ 京都、行こう」を、来年の春は「そうだ 京都の禅寺へ行こう!」ということで、宜しくお願い致します。

私自身、研究所でお仕事させていただいている御縁から、様々な禅寺に出入りします。
あの無駄の無い伽藍や庭の美しさ、隅々まで掃除が行き届き、空気まで引き締まっているような空間は、ほんとうに何度お邪魔したお寺さんでも、毎回毎回感動するものです。

庭をテーマに、エリア別に、坐禅会や写経会や茶会に参加。皆さまそれぞれに禅寺との出会い方があるかと存じます。そんな出会いが、自己を知る機縁となりますように。

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ジョン・C・ウェバーコレクション -MIHO MUSEUM-

 

151201-3.jpg紅葉も盛りを過ぎた山の中にあり、さらに、ジョン・C・ウェバーが何者?!かを知る人も少ないからでしょうか(すみません、私は存じ上げませんでした)、いつもの土日では考えられないくらいのゆったりとしたMIHO MUSEUM。
桜や紅葉が美しい事で多くの人が賑わう季よりも、贅沢な気持ちで鑑賞できました。

151201-2.jpgさて、ジョン・C・ウェバー氏ですが、ニューヨーク在住の医師で、美術品蒐集家だそうです。
長年コーネル大学医学部の教授をなさり、同学部長さらにはニューヨーク病院の副院長も務められた経歴を持ち、さらにマラソンやトライアスロンの欧米での大会での優勝経験も数知れずというような、まさにスーパーマンのような御方なのでありました。

今回は、そんな彼の、日本の美術品を中心とした蒐集品の展観なのでした。

151201-4.jpg多岐にわたる美術品の中でも、私が最も惹かれたのは朝鮮王朝時代の“日月五峰図”です(フライヤーの裏の左上にあります)。
太陽と月が同等に崇められているかのような画を拝見しますと、私の中で太古から受け継がれる記憶が蘇るような気持ちになります。宗教が宗教として歩き出す以前の自然信仰を思うからでしょうか。
日本とはまた違った朝鮮の独特の美意識にもいつも感銘を受けますが、この画もまたそうなのでした。

151201-1.jpg蒐集品を拝見していますと、頭脳、運動神経、美意識はもちろんのこと、ユーモアセンスまでも兼ね備えた紳士なのだろうな…と。選ぶ物は、その人そのものですね。
12月13日(日)までの開催です。

*ミホミュージアムの1階、2階にあるミュージアムショップは必見です!作家さんの様々なミュージアムセレクト品が並び、行く度に新たな出会いが。1階ショップには、私の友人でもある音楽プロデューサー・宮本貞雄氏がエグゼクティブプロデューサーをつとめたCD、“MIHO Journey to the Mountain”も置かれています。
世界各国、時空を超えて旅するかのような音がつまっていて、私はいつも部屋にいながらにして旅をしているかのような感覚で音にひたりきっています。こちらもオススメします!



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光悦ふり 光悦名碗と様式の展開 -楽美術館-

光悦というと、学生時代、そしてお茶を始めた若かりし頃にはまりにはまって、展覧会を見て歩きまわったり、それが叶わぬものは、図録に掲載された茶碗を眺めては、まるで何の囚われもないかのようなその造形が見せる印象に、焦がれに焦がれた記憶があります。

151126-1.jpgもちろん茶碗にとどまらず、特に俵屋宗達の画とのコラボは一度観た者の心を決して離さず、寛永の三筆の一人とされるのも当然の、ダイナミックさと繊細さを併せ持ち、流れるように美しい筆跡とそこでも垣間見られる、やはりとらわれのないような境地に心ときめいたものでした。
かの徳川家康が、あまりにも才知溢れる光悦を危険視して、鷹峯に封じたという説もあるのがうなずけます。


そんな光悦の、私もまだ実際にも、図録でも拝見したことのなかったお茶碗が並び、また、楽家歴代の逸品はもちろんのこと(私の大好きな左入さんの器も多く出展されていました)、光悦に多大なる影響を受けた方(陶芸家のみならず、作陶を趣味とした実業家など)たちの茶碗がならぶ、とても興味深い展観でした。12月23日(祝)までの開催です。

【光悦ふり 光悦名碗と様式の展開 -楽美術館-】

151126-2.jpg*楽美術館へゆかれましたら、是非お手洗いへもお立ち寄りください。階段途中などに生けられている花がとても素敵で毎回楽しみなのです。

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正木美術館名品撰 茶墨精粋 -裏千家茶道資料館-

禅の書画の名品を多く所蔵する事で、皆様もよくご存知かもしれません。
大阪府泉北郡忠岡町にあります正木美術館

151030-1.jpg京都からですと電車で約2時間ほどかかりますので、私も実は1度訪れたのみなのですが、この度、裏千家茶道資料館に選りすぐりの名品が展示されていますので、早速足を運びました。
個人的には朝鮮時代の堅手、柿の蔕、伊羅保茶碗などがたまりませんでした。中でも熊川のぽってりとしたあの形、しっとり艶やかな肌には特に魅了されてしまいます。

151030-2.jpgクリックで大きな画像がご覧いただけます

と、お茶の事のみならず、なんといっても無学祖元賛「六祖慧能図」(重文)や、大燈国師の「渓林偈・南嶽偈」(国宝)などは必見。こちらは前期のみの展示ですので、11/3までに皆様是非お運びください。

後期にも錚々たる禅の書画がおでましですが、以前鎌倉彫の事を取材・執筆させていただきましたので、桃山時代の鎌倉彫香合の展示も楽しみにしています。

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筑前・黒田家が伝えた名宝 -香雪美術館-

おはようございます。

終了してしまった展覧会ですが・・・。
久々に大名家の宝物を拝見。格の違いを見せつけられたと申しますか、見せつける気は毛頭無いのでしょうが、これぞさすがに筑前52万石の殿様方に愛でられた道具に美術品がずらり。

151027-1.jpg福岡市美術館のコレクションが神戸にやってきていたわけですが、眼福の極みでした。
特に、江月宗玩の書、女性が描いたとは到底思えない天璋院篤姫による力強い竹図。博多の豪商で、茶人でもあった神屋宗湛が所持し、秀吉に所望された折に、「日本の半分となら交換しても良い」と返答し、さすがの秀吉も諦めた博多文琳(茶入)、その他禅や仏教に関する書画も多数出展されており、ことに裂地好きな私としては、どの表具も素晴らしかったのが印象的でした。

関西からは去ってしまいましたが、博多にある黒田家のコレクション。どちらかでまたお目にかかれますように。
10月31日からは「竹の美 茶道具を中心に」が開催予定。また足を運ばねばなりません。

151027-2.jpg普段は非公開の庭園が、11月28日、29日と予約制で公開もされます。紅葉も素晴らしい事でしょう。
お見逃し無く!

筑前・黒田家が伝えた名宝 -香雪美術館-の続きを読む

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初しぐれ -北村美術館-

毎回、日本語の美しさを感じる展観名が楽しみな北村美術館。
山林王の異名を持つ北村謹次郎翁の蒐集した茶道具を、毎回テーマに沿った茶事形式で拝見できる美術館です。

「初しぐれ」

今回は、和漢朗詠集の冬の巻頭を飾る、「時雨ぞ冬のはじめなりける」をテーマに、親しい茶友と気軽な雰囲気でお茶を楽しもう・・・という日の道具組だとか。
「気軽な雰囲気」とありますが、どれもこれも私どもから見るとため息の出る道具ばかりです。もちろん北村コレクションの中だと、そうなるのでしょうが・・・。それぞれのお茶の道がありますね。

151022.jpg展観を見る前にいつも荷物を置いておく椅子があるのですが、ふと楽しみにしているお床(展示目録には載らない、北村美術館所蔵のお軸がそっと掛けてある床があるのです)を見ると、

秋来ても 寂しうはなし 菊の庭

堀内宗心宗匠の色紙が・・・。ぐっと来てしまいました。
秋が来てなんとなく孤独を感じ、なんとなくものがなしいような雰囲気の中、まるで宗匠が微笑まれているお姿がそこにあるようで、 「あぁ、そういう事か・・・」と妙に腹にすとんと落ちて納得したものです。

151022-2.jpg弊所発刊 『歩々清風』堀内宗心著より  撮影・柴田明蘭

どうしても自身の内と向き合わざるをえないような季節ですが、四季がある日本に住んでいるのですから、それに添うのも良いものですね。

旅立たれてなお、私たちに気づきと教えを下さる宗匠。5月に天寿を全うされ、北村謹次郎翁とも縁の深かった宗匠の展示コーナーを特別に設け、そのよすがを偲びたい・・・との美術館のはからいでした。

以前拝見した事がありましたが、宗匠が翁に、袱紗のたたみ方について絵に描いてお教えしたお手紙をお軸に仕立てたものがあるのですが、それが再度飾られていました。
あぁ・・・なんとも宗匠らしい細やかなお心遣いだなぁ・・・と、しみじみ一人宗匠を偲び、やはり茶の道はまぎれもなく人生の友であるな・・・と確信するのでした。

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ヴァンジ彫刻庭園美術館 -静岡県長泉町-

 

150917-4.jpg以前、秋に訪れましてご紹介しましたヴァンジ彫刻庭園美術館

150917-1.jpg季節ごとに味わいたい美術館だと思っていたところ、機会あって、夏に訪れる事ができました。
前回はあまり観られなかったクレマチスも、様々な種類が咲き乱れ、クレマチスの丘(クレマチス丘と呼ばれる複合施設の中の一つに、ヴァンジ美術館があるのです)というに相応しい様相を呈していました。

150917-2.jpg同じクレマチスの丘内にあります、ベルナール・ビュフェ美術館では、私も大学生の頃少し勉強しましたルドルフ・シュタイナーに関する展覧会が。
機会あるごとに展覧会を観に行ったり、本を読んだりするのですが、あまりに深淵なる世界観で、いまだにわけがわからない事も多々。それでもやはりどうしても惹かれてやまない世界。一生をかけて、少しずつ理解を深めてゆきたいと思っています。
こちらは10月13日まで開催です。是非お運びください。

150917-3.jpg

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龍谷ミュージアム

 

150908-1.jpg展示内容はもちろんのこと、解説のわかりやすさやそのビジュアルの面白さにかけては群を抜いていると思える龍谷ミュージアム
縁あって訪れた、仏教については詳しくない一般の方々にもわかっていただこうという心くばりが随所に見られ、個人的にも大好きなミュージアムです。

さて、今回は『玄奘』展。かの玄奘三蔵法師がテーマなのです。
玄奘三蔵といえば、中国は唐の時代、7世紀に実存したお坊さんで、国禁(唐は鎖国政策を採っていました)を侵してまで、困難な旅の末にインドから経典を持ち帰った御方。実在の人物です。

中国からインドへというと、皆様地図を広げてみてくださいませ。登山グッズや便利グッズが溢れている現在でも、どれだけ重装備をして用意すれど、そこを現代的な乗り物に頼らず行こうと思えば、、、想像もつかない道のりなわけであります。

150908-2.jpg度重なる困難を乗り越え、インドから経典を持ち帰り、生涯を賭してその翻訳に携わった玄奘三蔵。
まさに伝説的なその超人的偉業は、行く手を阻む様々な妖怪などが現れては邪魔をするのを、時にはお付きの者たちが、また時には神通力でたちまち倒してしまう・・・そう、かの『西遊記』という物語の基となったわけであります。

150908-5.jpgパンフレット500円。三蔵法師の歩いた道がわかる地図が!


今回の展示では、そんな伝説化した、超人的な存在としてとらえられがちな玄奘三蔵を、多くの困難や苦悩に苛まれながらも、強い意志を持って生きた一人の人間として見つめてみようではないか・・・という素晴らしい試みなのでありました。

この夏私の中で一番熱い展覧会でした。

 

と申しますのも、くしくもこの展覧会を観に行った直後に、玄奘三蔵も学んだインドのナーランダ、たどり着いた時に突っ伏して号泣されたというブッダガヤのお釈迦様悟りの地、マハボディ寺院に訪れる予定だったからです。
「インドは人を呼ぶと言うが、今回は三蔵法師に呼ばれたのではないか・・・」などと一人都合の良い妄想にふけて心躍らせるのでありました。


実際この夏は三蔵法師にまつわる色々が私の周りにあったのですが、他のお話はまたいずれ。
展観は9月27日までです。私もいま一度訪れようと思っています。皆様も是非!

150908-4.jpg************
インドに数ある大僧院の中でも、このナーランダほど壮麗崇高な僧院はない。
ここでは、1万ともなる僧達が大乗も小乗の教えも共に学び研鑽している。慎み深く、そして厳粛に。
『大慈恩寺三蔵法師伝 巻3』

150908-3.jpg僧坊。玄奘三蔵が使ったと伝わる部屋。遺跡の入り口で雇ったインド人ガイドが言っていたので、本当かどうかは定かではありませんが、信じて思いを馳せてみました。

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井戸尻遺跡 -長野県諏訪郡-

 

150904-1.jpg8月の初旬、かねてから気になっていました長野県の井戸尻遺跡を訪ねてみました。湧き水が豊富なこの地域には多くの遺跡が残ります。
私の大学のゼミ担当教授が憧れる時代が、“縄文時代”。
学生の頃はこれを聞いてもさほどピンともこず、「先生らしいな・・・」くらいの感想で終わっていましたが、今となっては頷けるような・・・。

150904-2.jpg地球を汚すこと無く、自然と共生する持続再生可能な生活スタイル。歴然とした身分や貧富の差の無いくらし。

150904-3.jpg東日本大震災を経て、今でこそパーマカルチャーなどという言葉も随分と注目されるようになりましたが、私が高校生の頃バブルが崩壊し、大学卒業の就職時には過去最悪の超氷河期時代と言われ、私自身も今となっては信じられませんが「一部上場企業に入る事こそ!!!」などと思っており、パーマカルチャーという言葉すら聞いた事も無かったと思います。

世の中も自身も、自身の意識もこんなにも15年ほどで変わるとは思ってもみませんでした。
そんな中訪れた縄文時代の遺跡。先生が縄文時代を好む理由がすとんと腹に落ちてくるような・・・。
なんともクリエイティブで、やはり現代の人間の方が人間力という意味でははるかに後退してしまったのではないか・・・と思うのでした。

150904-4.jpg資料館では、当時の暮らしぶりも再現されています。シンプルで無駄が無い。なんだかふと僧堂の典座(てんぞ・台所)を思い出してしまいました。
ここからは素晴らしい縄文土器の数々を。今でもステキに使えるものばかりです。



150904-5.jpg季節のフルーツを盛りたい気分になりますね。

150904-6.jpg傘立てにしたらかっこよすぎるのではないでしょうか。

150904-7.jpg花を生けたいです・・・。

150904-8.jpgかの有名な、水煙渦巻文深鉢です。岡本太郎氏が縄文時代を絶賛していた事を思い出しました。
自然界にある、ふと見逃してしまうような日常の風景の中の美を表現。縄文時代の人々の豊かさに思いを馳せました。

 

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武蔵野の禅刹 平林寺-伝来の書画名宝展-

 


150821-1.jpg9月24日より、埼玉にあります平林寺(平林僧堂)の珠玉の宝物をご覧にいれます展覧会、【武蔵野の禅刹 平林寺-書画名宝展】を、花園大学歴史博物館にて開催させていただきます(博物館と禅文化研究所共催)。

150821-2.jpgそのため、花園大学の調査チームの先生方と禅文化研究所の職員が、宝物の数々をお借りする為、平林寺へお邪魔しておりました。



150821-3.jpg展示予定のお軸がならびます。

150821-4.jpg一つ一つ確認作業をさせていただきます。

150821-5.jpgこちらに写っている3幅は、全て14世紀のものだとか。お楽しみに。

150821-6.jpgそしていつも有難く、欠かせない存在。日通の宝物輸送スペシャリストの方々!

150821-7.jpg

この平林寺は、関東以外の方はあまりご存知無いかもしれませんが、13 万坪におよぶ境内林に囲まれた静寂な空間のなか、開山・石室善玖(直指見性禅師、1294~1389)はじめ中興開山・鉄山宗鈍(霊光仏眼禅師、1532~1617)等の法灯が連綿と受け嗣がれています。
また、広大な平林寺境内の景観は武蔵野の面影を今日にのこし、多くの人々に親しまれています。

150821-8.jpg“知恵伊豆”として知られた名君、松平信綱公(平林寺の檀越・大河内松平家代々の墓があります)が着手し、開削された野火止の用水路は、歴史上の大事業(全長24キロ)としても有名ですが、そんな江戸時代初期の出来事を彷彿させる地でもあります。
この事業によって土地が潤い、人々の生活も豊かになったのだとか。詳しくは、『智恵伊豆に聞け』(文春文庫/中村彰彦)を是非お読みになってみてください。 

150821-9.jpg本展覧会では、歴世住持および中興開基・大河内松平家の関係資料のほか、平林寺にゆかりある黄檗僧・独立性易(1596~1672)の品々や、松永安左エ門(耳庵、1875~1971)の遺愛品をご紹介します。

また、平林寺の永い歴史のなかで蓄積された多彩な美術作品のうち、元時代に遡る中国絵画はじめ中世絵画や近世の禅画などの優品の数々をとおして、武蔵野に華開いた禅文化の魅力に迫ります。
また、記念講演会も開催致しますので、是非ご来場ください。


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【前期】9/24~10/31 【後期】11/2~12/12
於・花園大学歴史博物館 開館時間10:00~16:00/日曜休館

【記念講演会】 於:花園大学教堂

2015年10月14日(水)13:00~14:30
「平林寺に関わった名僧」 竹貫元勝先生(花園大学名誉教授・正眼短期大学副学長)

2015年11月18日(水)13:00~14:30
「平林寺の伽藍と境内」 松竹寛山老師(平林僧堂師家)

入場無料・申込不要 先着150名

 

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秋野不矩 ~インドの大地を行く~ -秋野不矩美術館-

 

150807-5.jpg大好きなインド。
お釈迦様、仏教、ヨーガ、マハラジャに手厚く保護されていた様々な美しい手仕事、大自然、混沌。
古より人々が天竺と呼び憧れたかの地。抑えがたい憧憬の念。

150807-2.jpgとっても純粋な、少女のような眼差しで秋野不矩さんが見つめたインドに会いに行きたくなり、心おもむくままに、浜松市にあります秋野不矩美術館へ行って参りました。
私が最も愛する美術館の一つです。

150807-3.jpg藤森照信氏による建築で、秋野不矩さんご自身が、彼に頼みたいと仰ったのだとか。
木と土がふんだんに使われた館内にいると、どことなくほこりっぽいインドの空気を思い出すかのような。

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何度訪れたとしても到底行き尽くす事もできなければ、知り尽くす事もできないようなインドの地。
この夏も訪れたいと思っています。

 

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ドラッカーコレクション 珠玉の水墨画

 

150729-1.jpgマネジメントの父と呼ばれた経営学者、ピーター・F・ドラッカー(1909-2005)が日本画、ことに水墨画を愛しコレクションしていた事を私は全く知りませんでした(すみません、本も読んだことがありませんもので)。

千葉市美術館にて開催中に足を運びましたが、室町時代の珠玉の水墨画が数多く展示され、しばしその世界に遊びました。

150729-2.jpg
と申しましても、まだまだ水墨画というのは私にとっても敷居が高く、「わかる、わからない」などで表現できぬような深い世界。
ドラッカーはこの世界でどのように遊んだのでしょう。これほどにはまるくらいですから・・・。

「正気を取り戻し、世界への視野を正すために、私は日本画を見る」

皆様にとっての正気を取り戻させてくれるものとは、何でしょうか。


現在は巡回して長野県信濃美術館にて開催中。この後は、雪舟の弟子の画も多いことからか、山口県へと場所を移して巡回予定のようです。

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絶景 瀟湘八景図 -香雪美術館-

神戸市にあります香雪美術館を訪ねました。今回の展観は、「絶景 瀟湘八景図」。

最も理想的な美しさとされるような景勝地を描いた瀟湘八景図。その起源は、中国は北宋時代に活躍した宋迪(そうてき)という画家により描かれた洞庭湖周辺の景色を描いたものとされています。

150721-1.jpgこうした画は、鎌倉時代に日本に伝わりましたが、古来より、宗教も政治も都市計画でも中国に倣ってきた日本。かの地の景勝地にも格別の憧憬の念があったのでしょうか。やがて日本にも、近江八景をはじめ、○○八景が各地に生まれました。

今回の展観では、中国の八景図のみならず、長谷川等伯を目玉とした日本のものも何点か。さらに八景が描かれた工芸品が集い、それは魅力的な展覧会となっていました。

150721-2.jpg美術館前の弓弦羽神社にもお参りしてきましたが、近頃羽生君効果で、参拝者には若い女性や、娘さんを連れた母親が多く見られるようになっています。

泉涌寺の楊貴妃観音に石田純一さんがお参りして子どもを授かったことから、楊貴妃観音は子宝観音として参拝者を集めていると言いますが、弓弦羽神社もそのご祭神関係なく、スポーツの神様に?! おそらく羽生君より前からでしょうか、八咫烏つながりで、御影石のサッカーボールもありました。

150721-3.jpg拝む人々の心に沿い、神仏はその役割をも変えてくださるということは、結局はこちらの在り方次第ということでしょうか。面白いものだなぁ、、と思いつつ、たまに訪れるこの御影の地を後にしました。

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徳川美術館

おはようございます。

先日ご報告致しました、名古屋の徳源僧堂さんでの講演会。午後からでしたので、午前中は久々に近くにあります徳川美術館にお邪魔してきました。

150717-1.jpg常設展示に加え、企画展としまして「対局の美 白と黒が織りなす世界」が開催されていました。
常設展にも様々な素晴らしい宝物が展示されていましたが、中でもこれ一つ拝見できれば、来た甲斐があったというもの・・・と思えましたのが、宮本武蔵の「蘆葉達磨図」なのでした。
剣豪が描き出すあの線には、剛と柔の絶妙なバランスと言いましょうか、その精神がそのまま線に現れているかのような。昔から枯木翡翠図などを本で見ては憧れていましたので、禅宗の画でよく題材とされる達磨図が拝見でき、感無量。

150717-2.jpg企画展では、かの有名な徳川将軍家伝来の白天目、それと引き合いに出される黒織部や黒楽茶碗。能であって能にあらずの“翁”からは、白式尉と黒式尉。
様々な白と黒を拝見しましたが、この日はうだるような暑さ。この2つの色が揃うと妙に涼やかで気持ちまでスッキリし、少し暑さも和らぐようでした。

さらに興味深かったのが、黒の染め方についてが、天然染料なども紹介され、詳しく解説されていた事。一つの染料で染める事はできず、様々な色を重ねてその深さを出す黒。つまりは、手をかけた物とそうでない物との差が出やすく、母がよく「皆が黒を着ている時、つまりは喪服の黒が一番よくわかる」と言っていた事を思い出しました。

なんとも面白い着眼点の展覧会。7月26日まで開催中です。

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マスク展 -東京都庭園美術館-

またお気に入りの美術館が増えました。

150713-1.jpg旧朝香宮邸がそのまま美術館として利用されている東京都庭園美術館。
今までお邪魔したことが無く、マスク(面)好きの私としては見逃しがたい美術館でしたので、マスク目当てに訪れました(この展観、6/30まででした)。

150713-2.jpgすると玄関を入った途端に、“美しい”を通り越して神聖さまで感じてしまうようなラリックの女神像が。アールデコの世界に憧れていた若い頃、特にラリックが大好きだった私は、それだけでもこちらに来た甲斐があるというもの。
ところが、それにとどまらず、各部屋の照明やラジエーターカバ-、壁や天井や床に至る全てのデザインが非常に魅惑的な旧朝香宮邸

150713-3.jpg各部屋があまりに素敵すぎて、展示物のマスクを観たら良いのか、部屋の細部を観たら良いのかわからなくなり息切れしそうなほどでした。
スッキリした新館の建物も心地良く、庭園が望めるカフェではノリタケとコラボして作ったアールデコ調の器が使われており、一日中ゆったり過ごせそうです。

150713-4.jpgもちろん、各国のマスクには圧巻。まだまだ知らない世界、思想、信仰が溢れている事を、このマスクの背景を想像する事で知り得る可能性を秘めた展覧会でした。
巡回はしないようなので残念ですが、次回の庭園美術館の展観は「アール・デコの邸宅美術館 建築をみる2015 + ART DECO COLLECTORS」。こちらで開催するにふさわしき内容。楽しみです。

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インドの仏像 -東京国立博物館-

特別展「コルカタ・インド博物館所蔵 インドの仏 仏教美術の源流」を観に、東京国立博物館にお邪魔しました。

150403-1.jpgインドのコルカタからやってきた、珠玉のインド仏教美術を日本で観るチャンスです。
意外にも、日本での寺巡りなどが好きな方も、仏教の生まれた国といえばインドで、お釈迦様がいらしてこそ始まったものですのに、インドには興味が無かったりします。
「日本の寺院建築や仏さまが好き」というのもわからなくもありませんが、その源流ともいえるインドにも目を向けてみてはいかがでしょうか。面白い発見があるかもしれません。

150403-2.jpg今回は、どんな初心者?!にもわかりやすいよう、お釈迦様の生涯などが説明されたパネルもあり、とてもわかりやすい展示となっていました。

さらに、桜がとても綺麗でした。上野公園は、桜を観に来たのか、人を見に来たのかわからぬほどの混雑ぶりでしたが、休みの日の東京国立博物館としては、待ち時間も無く、快適でした。オススメします。

150403-3.jpg

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どこにもない世界


150402-1.jpgバリ
でもお世話になりました、世界的なキルト作家・染織家の秦泉寺由子さん
彼女の比叡平にあるギャラリーにて、ガラス作家・荒川尚也さんの展示会をするとのことで、「お炭をしにきてー」とお声がかかりお邪魔してきました。
彼女のギャラリーには、○○風だとか、○○スタイルという決まり切った形とは全く無縁の、彼女の世界そのものがあります。
「人間、本来の自己を生きれば、みんな一人一人違って当たり前なのだから、誰も同じようなスタイルにはならぬはずだな・・・」と思い起こさせてくれる彼女だけの世界が広がっています。

お茶室も彼女のデザインで作られたものがありますので、「まぁおそらくお茶会でもするのかな?!」と、よくわからないままにお邪魔しましたら、このようなお席が。

150402-2.jpg炭も、「何流もなく適当で良い」とのことでしたが、ご用意いただいていた炭をのこぎりで切り(お茶で使う炭は、綺麗に切って売っている物もありますが、自分で切って洗って使うものもあるのです)、できる限り忠実に組んでおきました(枝炭無しスタイルですが)。

「○○風や、○○スタイル」に凝り固まる事はどうかと思う私ですが、やはり先人たちが長年かかって作り上げた型というものはどうしたって尊いもの。無駄なく美しく、順番に炭に火がついていこってゆき、釜の水がよく煮えるように考え抜かれているからです。
釜を据えれば見えないのですが、そういう問題でもありません。見えない所は掃除しなくて良いわけではないのと同じです。
“気”はごまかせないものです。

150402-3.jpg展覧会は4月5日(日)まで。写真で見ていただいても恐らくこの空間の素晴らしさは充分に伝わりません。
是非お運びいただき、感じてみてください。

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救いとやすらぎのほとけ 菩薩 -根津美術館-



150325.jpg東京に参りましたらほぼ必ずや訪れる根津美術館。
リニューアル前には、「今のままがいい!」と頑なに思っていたわりに、スッキリ美しく、現代的ながらも趣ある建物になった今、既に以前の姿を忘れ(東京ということもあって足繁く通ったわけではないというのも理由にありますが…)、嬉々としてでかける薄情な私です。
人は良くも悪くも、忘れるものですね…。

150325-1.jpgさて今回は、菩薩さまにスポットが当てられていました。
衆生を救う為に奔走される菩薩さまとあって、菩薩信仰は根強く、「如来さまが好き」ということばはあまり聞きませんが、菩薩好きな方は多くいらっしゃるように思います。
装飾が美しい為、わかりやすく惹かれやすいのも、菩薩さま好きが多い理由でしょうか。
仏像はもちろんのこと、軸などの逸品もお目見えで、その精緻な表現に、見ている者は飽く事もなく引き込まれます。おすすめの展観でありました。

150325-2.jpgさらに、根津美術館に来て忘れてはならないのが、広大なお庭。そしてその随所に点在する石たち。
五輪塔、宝篋印塔、磨崖仏に朝鮮の石人・石羊、そしてつくばいに至るまで、石好きにはたまらない素晴らしいコレクションが惜しげも無く配されています。
2月に訪れた国東半島にのみ見られる形の宝篋印塔も…。
この蒐集を拝むだけでも、昔の実業家の趣味趣向、数寄者ぶりに圧倒されます。現代ではもうなし得ない事ですね。
展覧会のみならず、こちらも是非ご覧になってみてください。

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「朝・思索のすゝめ」  -鈴木大拙館-


150226.jpg金沢に参りましたら、必ずや訪れる“鈴木大拙館”
いつも、どのような講演会やイベントを開催されているのだろう?!と、HPをチェックさせていただいています。

近くに住んでいたり、旅行で訪れるのなら是非参加したい、「朝・思索のすゝめ」。
あの素晴らしい思索空間。朝まだ早いうちに訪れ、思い思いの時間を過ごせるのだとか。
3月29日(日)に開催の「六花(りっか)編」の募集が、3月1日から始まるようです。

さらに、3月14日(土)、15日(日)の夜は北陸新幹線開業を記念して、金沢市の文化施設12施設が無料夜間開館されるのだとか。鈴木大拙館はライトアップされるそうですよ。
おすすめ致します。

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ワザとこころ 能の伝承 -京都観世会館-

成人の日、京都観世会館にて開催されました「ワザとこころ 能の伝承~稽古と修行と教育」という大変興味深いシンポジウムに参加しました。

150119-1.jpg
これは、京都大学こころの未来研究センターとの共同企画で、センターの鎌田東二先生を進行役に、なんと観世流宗家・観世清河寿氏と、さらにご子息の三郎太さんを迎えて、まさに題名にあるごとく、父から息子へと連綿と受け継がれてきた能の稽古や修行、教育について、空気を読まない(とご自身や同僚の先生方が仰っておられました)鎌田先生が忌憚なく質問を投げかけられ、またそれに宗家と三郎太さんが忌憚なく答えられるという、前代未聞、能ファンにとってはありえないような興味深すぎる会なのでした。

プログラムは下記のとおり。

■開会挨拶:吉川左紀子(京都大学こころの未来研究センター長)
■趣旨説明:鎌田東二(京都大学こころの未来研究センター教授・宗教哲学・民俗学)
■第1部 :能の稽古の伝承のトーク
観世清河寿(観世流二十六世宗家)、観世三郎太、鎌田東二(司会)
■実演  :舞囃子
観世清河寿、観世三郎太
■休憩
■第2部 :シンポジウム「能の伝承~稽古と修行と教育」
観世清河寿、観世三郎太、西平直(京都大学教育学研究科教授・教育人間学)、
河合俊雄(京都大学こころの未来研究センター教授・臨床心理学)、鎌田東二(司会) 

なんと、実演まで。
舞囃子というと、面や装束をつけず、紋服袴のままで、地謡と囃子を従えて舞うのですが(今回囃子方はいませんでした)、曲中の最も盛り上がる部分を抜き出して拝見するような感じ。今回は「とうとうたらり~たらりら~」の始まりで有名な翁を。
1月ですから、国家安泰、鎮魂と未来への再生を願うこの舞を拝見できた事は特に有難い事でした。

また、宗家の公演は東京が主ですので、拝見するのは大学生の頃以来、約15年ぶりでしょうか。学生の頃に感じたのとは全く違い、宗家が変わられたのか、私が変わったのか、いやどちらもなのでしょうが、月日を経てまた出会うとは、なんとも良いものだなぁ・・・としみじみ思いつつこの会に感謝。
朗々たるお声にしばし違う世界へと誘われました。

150119-2.jpg我々一般人からすると、観阿弥・世阿弥の時代から続く家に生まれた重みという事にすぐに思いが至るものですが、ご子息の三郎太さんはそれはもう、生まれた時からそこに居るわけなのですからごく自然の平常心。なんのてらいも無い中学三年生。清々しいものでした。
宗家も仰っていましたが、「近頃お客様の方が違ってきている。育てる眼というものどうか持っていただきたい」と。

京都のとある能楽堂で、初めて舞台に立つ家元のご子息を観て、おばあさん二人が「いやぁ、大きうなりはったなぁ若も」と孫でも観るかのごとく愛しげに見守っていらした姿を思い出します。

現代を生きる我々は、スピードを常に求められ、早い成長、完璧さを求めがちですが、成熟してゆく過程というものを、その中に潜む良さを発見しつつ、心の余裕を持ちつつ楽しめる人でありたいと思いました。

鎌田先生を筆頭に、西先生、河合先生それぞれの個性にもいたく惹かれたこの会。
始まりと終わりには、鎌田先生の法螺貝の音で会場も清められ・・・(神道がご専門です)。
こころの未来研究…これは、いつか禅とのシンポジウムも開催されねばならぬのでは?と一人妄想しています。

*翁発祥の地、奈良豆比古神社の記事はこちら。能役者ではない、地元の方が継承している翁の舞は、現在のお能のように洗練されてはいませんが、それがまたその起源を思わせ感動したものでした。

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ヴァンジ彫刻庭園美術館 -静岡県長泉町-

 

141217-1.jpg紅葉の頃の話ですが、静岡県長泉町・クレマチスの丘内にありますヴァンジ彫刻庭園美術館を訪ねてみました。

141217-2.jpg現代イタリアを代表する具象彫刻の巨匠、ジュリアーノ・ヴァンジの作品を常設展示する世界で唯一の個人美術館。山の上から借景できる町の景色、そして庭園と彫刻が一体というのがまた素晴らしく。

141217-3.jpg人間のさまざまな心の葛藤や、生きる意味を問うてくるかのような作品に、いっぺんに魅了されてしまいます。

141217-4.jpg勝手に「禅的だわ・・・」と思ったり、まるでお能を拝見している時と同じような心持ちになってみたり。彫刻の魅力というものに改めて気づけたような……。

141217-5.jpg休みの日という事もあり、子ども達もたくさん訪れていましたが、嬉しくて仕方の無い様子。単に騒いでいるというのではなく、歓喜と興奮の叫びがこだまし、それは心地の良いものでした。
大人よりもあの空間を生き生きと感じ取り、スッと入ってゆけているのだな…と、どこか羨ましく。

141217-6.jpg大好きな美術館の一つに加わったこの美術館。 季節ごとに訪れてみたいものです。

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天神万華鏡 -松濤美術館-

 

141205-1.jpg渋谷区にあります松濤美術館にて、週明けの12月9日火曜日より、【特別展 学問の神様に会いに行こう。 天神万華鏡】が開催されます。

神様として祀られるまでに至った菅原道真公は、古来より様々な姿で表現されています。その“様々”を一挙に拝見できる展観が開催されます。
禅宗と道真公の関わりといえば、“渡唐天神”。天神が無準師範(ぶじゅんしばん/1177~1249)に参禅したとの中国の伝説が、日本においては菅原道真公が参禅したとされ、掛物によくよく登場します。

そして今回、研究所所蔵の『渡唐天神画賛』を用いて作らせていただきましたマスキングテープ、“渡唐天神こぼれ梅”が、会期中に美術館にて販売していただける事となりました!
渡唐天神と、梅を切り出して配置して作ってみたものです。絶対に他には無いデザイン(当たり前ですね・・・)ですので、なかなかにご好評いただいております。
このマスキングテープの収益は、墨跡の修復に使わせていただきます。どうぞよろしくお願い致します。

141205-2.jpg

 

 

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無限庵 -石川県-

 

141204-1.jpg一度訪れてみたいと願っていました、石川県・山中温泉にあります無限庵を訪れてみました。

石川県の指定文化財となっているこちら、元は金沢市内にあった家老の屋敷が、大正時代に移築されたものです。
それはそれは貴重な木材を贅沢に使った作りで、明治末期の木造技術の枠を傾けた最高級の普請と名高いようです。例えば手すりの材が全て黒柿だったり・・・。欅の寄木張も粋なのです。

141204-2.jpgそして川に沿った庭にある立派なお茶室。

141204-3.jpgおや、扁額は朝比奈宗源老師によるもの?!と思い説明を読んでみますと、元は広島浅野公爵(赤穂浪士として知られている浅野家)の茶室で、戦後東京において唯一焼け残った茶席なのだとか。

141204-4.jpg後に東京美術倶楽部に移築され、またその後、美術倶楽部建て替えに際し、山中温泉に移築されました。どなたが朝比奈老師に揮毫をお願いされたのでしょうか・・・。
数奇の運命ですね。
現在でも年に一度大きな茶会が開催されているようです。
 

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鈴木大拙館の秋 -金沢-


141126-1.jpg141126-2.jpg141126-4.jpg141126-3.jpg
金沢 鈴木大拙館の秋
真冬はこちら
新緑はこちら
次は春ですね。

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蒐集家 芹澤銈介 -静岡市立芹澤銈介美術館-

 

141119-1.jpg静岡市にあります弥生時代の遺跡、登呂遺跡の公園内にあります、静岡市立芹澤銈介美術館を訪ねてみました。
型絵染めの人間国宝としても知られ、民芸運動に関心を持った者は必ずや目にする事となり、その作品を見ればもう、ひと目で彼の型絵染め!とわかるようになる独特な世界。

今回の展観では、彼が蒐集した世界各地の、染織、やきもの、人形、家具、仮面、絵画などが展示されるとのことで、楽しみにでかけました。

141119-2.jpg展覧会のサブタイトルがまた良い!―選択という名の創造―。
誰のものさしを用いるでもない、自身の眼力によって物を選ぶという事は、創造という行為に等しく、またその人以上でも以下でもなく、その人自身を表現するものとなり得るのでしょう。

141119-3.jpgこの展覧会で拝見した蒐集品からは、民芸関連の本で読んでのみ知っていた彼を、より深く知る事ができるような気がして、心打ち震えました。
個人的には、自身も大好きで集めているインドの更紗。その古い物に目を奪われました。なんと細かく手の込んだ仕事でしょう。今はもう同じ物は作れないであろうと思います。

141119-4.jpgまた、建築家白井晟一(1905~1983)の設計による建物にも、独特の世界観に包まれる感あり。約200点もの蒐集品が並ぶ展覧会、この機会に是非!

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茶の湯の名碗 -裏千家茶道資料館-

 

141118.jpgシンプルに、ほんとうに、そのままなのですが、名碗揃いの展覧会です。
ポスターになっている4つの茶碗も、図録か展覧会か、どこかで出会った事があるはず。

左下にありますお茶碗。ご存知光悦作の赤楽「加賀」。加賀前田家の茶堂となった千宗旦の子・仙叟宗室が所持した為に加賀光悦と呼ばれています。
私は一時期、ことのほか本阿弥光悦に惹かれ、彼の墓参り(いつも白い菊が2本お供えしてあり、その美しさに胸打たれたものです。光悦寺さん、紅葉美しい秋でも昔はひっそりしていました)のみならず、茶碗が出展されると耳にすれば趣き、光悦宗達の2人にしかなし得ない世界を堪能する為に美術館へも足繁く通ったものでした。

お茶碗をひと目拝見するだけで、当時にタイムスリップするかのよう。やはり力強い印象を持つお茶碗で、「あぁ、好きだなぁ・・・・・・」と改めて思うのでした。
自身はどんどん変化していきますから、好みが変わったり関心の対象が変わったりします。
見続けていると色々な発見があって面白いものですね。

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リー・ミンウェイとその関係展 -森美術館-

 

141114.jpgどうやら、参加する事もアートなんだそうです。


六本木ヒルズ森タワー53階にあります森美術館にて、「リー・ミンウェイとその関係展 参加するアート 見る、話す、贈る、書く、食べる、そして世界とつながる」が開催中です。

現代アートはどうもとっつきにくい(すみません)と思っている私のような人間も、ちょっとこれは展観名を読んだだけで参加してみたくなる感じ。

さらに、【個展でありながら、作品の文脈を読み解くために、他のアーティストの作品も併せて展示】とのことで、我らが臨済宗よりご存知白隠さん(日本臨済宗中興の祖)、今北洪川老師(幕末・明治時代を代表する臨済宗の禅僧で、円覚寺中興の祖といわれています)、久松真一先生鈴木大拙先生の書が登場ということです!

そんな事もあって、11月18日(火)には、花園大学教授の佐々木閑先生と、森美術館シニア・コンサルタントの広瀬麻美さんによる「リー・ミンウェイと禅について考える」トークイベントが開催との由。なんて興味深いことでしょう!
東京まで趣く事はできぬ私は嫉妬を覚えます。こういった展覧会やイベントは、どうしても東京に集まるようですね。近郊の方は是非お運びになってみてください。


お申し込み・詳細は下記です(美術館HPより転載)。

***

「リー・ミンウェイと禅について考える」

本プログラムでは、仏教哲学の専門家である佐々木閑氏をお招きし、東洋的な思想、特に禅思想からリー・ミンウェイ作品について考えます。

出演: 佐々木 閑(花園大学教授)
広瀬麻美(森美術館シニア・コンサルタント)
日時:2014年11月18日(火) 19:00-20:30(開場18:00)

会場:森美術館展示室内
定員:80名(要予約)
料金:1,500 円(展覧会チケット付)、MAMCおよび年間パスポートメンバー無料
お申し込み:こちら

※プログラム開始前18:00-19:00の間、プログラム終了後20:30-21:30の間、本プログラムにお申し込みいただいた方のみ展覧会をご鑑賞いただけます。 また、お配りする展覧会チケットで、後日展覧会をご鑑賞頂けます。

 

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獅子と狛犬 -MIHO MUSEUM-

 

 

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11月2日に訪れました、滋賀県は信楽にありますMIHO MUSEUM。さすがは山の中という事もあって、もう紅葉が随分と進んでいました。

141112-1.jpg今回は異色の展覧会?!と言っても過言では無い気がします。なんと神社のあの獅子と狛犬にスポットが当てられ、もう最初から最後までありとあらゆる獅子と狛犬がずらりと並んでいるわけであります。

141112-3.jpg否、最初は獅子に至るまでの古代オリエント世界やエジプトなどで権力の象徴でもあった猛獣、ライオンの彫像やライオンをモチーフにしたアクセサリー、タペストリーなどが拝見できます。そこから、時と場所を経て日本に獅子&狛犬が登場するまで、大きな歴史の流れを焦点を絞って学ぶことができるようになっていました。

141112-2.jpg紅葉を愛でに、獅子と狛犬に会いに、おでかけになってみてください。

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浜松にもたらされた黄檗文化 -浜松市博物館-

141105-1.jpg静岡県は浜松市にあります浜松市博物館にて、特別展「浜松にもたらされた黄檗文化」が開催中です。
日本における禅宗と言われる宗派は、曹洞宗、臨済宗、黄檗宗です。
禅宗の宗派の1つ、黄檗宗関連の展覧会のご案内。

以下浜松市のHPより。

明国からの渡来僧・独湛禅師は、寛文4年(1664)に旗本近藤登之助貞用の招きに応じ遠州金指(浜松市北区引佐町)を訪れ、初山宝林寺(浜松市北 区細江町)を開創しました。寛文7年(1667)には仏殿(重要文化財)が完成し、延宝7年(1679)の境内絵図によると、明国風の建築様式による七堂 伽藍が整備されました。「南無阿弥陀仏」を唱えれば涅槃の悟りが得られると説く独湛禅師の教えは、異国情緒あふれる雰囲気とも相まって、民衆の帰依を集め ました。

今年、初山宝林寺は開創350年を迎えます。今回の展示では、独湛禅師の師・隠元禅師が、京都宇治に黄檗山萬福寺を開いて間もないころ、浜松にもたらされた黄檗文化をご紹介します。

 

日本とはちょっと違う?!異国情緒あふれる展観。
イベントや講演会も盛りだくさんのようです(HPをご確認ください)。

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東山御物の美 -三井記念美術館-

東京に用事がありましたので、これは是非!と、新しくなりました三井記念美術館へと趣きました。

141031-1.jpg高層ビルの7階、ゴージャスな感漂う美術館は、京都には絶対にあり得ないシチュエーション。東京駅を出て、日銀本店(上空から見ると“円”なのだなぁ・・・と横目に思いつつ)を通り、おのぼりさん以外の何者でもない感じ・・・・・・。

141031-2.jpg現在こちらでは、「東山御物の美-足利将軍家の至宝-」が開催中です。
言葉になりません・・・・・・。足利将軍家に伝わる宝物、当時随一の目利き集団が集めたものとは、格が違うものなのですね。
頭がガンガンするほどに力あるものを数多く拝見し、眼福の極み中の極み。これは身心共にパワーみなぎる時にご覧になられた方が良いかもしれません!

もちろん、宋代の禅僧の賛などにも多くお目にかかれます。南宋や東山の美術などについて、新たに学びたい気持ちを抱き、美術館を後にしました。必見の展覧会です!

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妙興寺展  一宮市博物館


141029-1.jpg愛知県の一宮市博物館にて、妙興寺展が開催中です。

以下博物館サイトより。

貞和4年(1348)の創建以来、尾張の臨済宗の中心寺院として発展していきました。博物館の常設展示リニューアルオープンにあわせて、新たな国指定の重要文化財、愛知県指定文化財、一宮市指定文化財などをはじめ、これまで公開されることがなかったさまざまな文化財などを紹介し、妙興寺の歴史をたどります。

以前、取材にて妙興寺さんを訪ねた際のブログはこちらからどうぞ。
僧堂である妙興寺、なかなかに宝物を拝見する機会も無い事と存じます。期間中には講演会や体験会なども。詳しくは写真をクリックしてご覧くださいませ。


141029-2.jpg*写真をクリックしていただくと大きくなります。

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竹喬美術館 -岡山県笠山市-


141027-1.jpgかねてより念願であった、小野竹喬先生の生まれ故郷にあります笠岡市立竹喬美術館を訪れました。

個人的に、日本の四季や、時のうつろいを、こんなにも柔らかく優しい色で、豊かに表現した方はいないなぁ・・・と思い、様々な美しい日本の風景を見ては、「竹喬先生はこれを描かれたのだなぁ・・・」と考える事が多いのです。
また、作品を観る度に、彼のフィルターを通して、私は日本の美しさを改めて知らされます。
写真でも絵でも、そのものの本質をよりよく引き出して人々に紹介する方、自身の我が入り、自身が見せたいように表現する方、様々ですね。

141027-2.jpgある日の新幹線から。あまりの美しさにうっとりと眺めつつ、竹喬先生の事を思い出しました。

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「心頭滅却自涼火」 甲斐恵林寺展はじまる

恵林寺展1.jpg

こちらのブログで集荷の様子を書きましたが、「心頭滅却自涼火―甲斐の名刹恵林寺の至宝」展、花園大学歴史博物館にて展観が始まっております。

一度は御来館になった方はご存じでしょうが、小さな博物館。2つの展示場に所狭しと恵林寺の至宝がならんでいます。

恵林寺と言えば、武田信玄、武田信玄と言えば、お不動尊。下の写真の左端は、お不動尊の板木。中央はそれを刷って着色したものです。

ほかにも鎧不動など、ちょっと珍しいお不動尊も展観されています。

恵林寺展2.jpg

もちろん、快川国師をはじめとする禅僧の貴重な書画もあります。

ちょうど今年、没後300年を迎える柳沢吉保公とも縁のある恵林寺ですので、柳沢一族の書画も残されています。

恵林寺展3.jpg

本展覧会は入場料は無料です。ゆっくりと心ゆくまでご覧下さい。

会期中に行なわれる2回の講演会にあわせてお越しになると、講演会後のギャラリトークも聞いて頂けます。

ちなみに、柳沢吉保公の没後三百年を記念したこんな展覧会が埼玉県でもあるようですよ。

没後300年記念「柳沢吉保とその時代―柳沢文庫伝来の品々を中心に―」
川越市立美術館
会期:10月18日(土)~12月1日(月)

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仙厓と鍋島 -細見美術館-

 

141015.jpg京都は岡崎、細見美術館にて開催中の「仙厓と鍋島 ―美と向き合う、美を愉しむ―」を拝見しにお邪魔しました。
仙厓さんといえば、出水美術館のコレクションが有名ですが、なにせ東京と門司にある美術館ですのでなかなか足を運ぶ事が叶わず、いつも出光さんからいただくカレンダー(ちょうど私のデスクの真ん前にあります!)を楽しむのみでしたが、今回は一度にこんなにたくさん拝見できるなんて!!というほどのコレクションを楽しませていただけました。

個人の蒐集家が時間をかけて集められたその思いまで伝わってくるよう。
本紙を引き立てる表具や軸先も、どれもこれも素敵だなぁ、大切にされているのだなぁ・・・・・・と思いましたので、そちらにもご注目ください。

細見美術館さんには、20代の若かりし頃、屋上にある東山を借景した素晴らしいお茶室での茶会に足繁く通わせていただきました。所蔵品を惜しげも無くお使いになられるその茶会で、どれだけお勉強させていただいたことでしょう。
現在も様々な企画がおありの模様。是非お運びくださいませ。

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曾我蕭白 鳥獣画の探求 -香雪美術館-

 

141007-1.jpg三重県には所蔵作品が数多く残る事もあり、三重県立美術館にて開催されていた展観も記憶に新しいところですが、今回は私設のこじんまりした美術館、香雪美術館にて・・・という事で、また違った物が見られるのかもしれないと楽しみにでかけてみました(10/13まで)。

141007-2.jpg蕭白の蕭白らしさ、彼以外の何者が描いたものでもない彼の画!に至るまでの若い頃の作品なども拝見でき、三重県立美術館での迫力有る展示と比べてしまうといささかおとなしい感じが否めませんでしたが、幼い頃から絵師として生き抜こうと決意をしていた人物の生き様を感じる事ができました。

阪急御影駅近くの閑静な住宅街にあるこの美術館、学生時代からのお気に入りですが、なんと大阪の真ん中に分館ができるのだとか!それはそれで楽しみですね!

 

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大織部展 -岐阜県現代陶芸美術館-

陶芸家の友人が素晴らしかったというので、これは是非とも!と、岐阜県現代陶芸美術館(多治見市)で開催中の、“大織部展”にお邪魔しました。
以前、禅と文化の旅にて、永保寺さん(多治見にゆかれるなら、是非ご参拝ください!)を参拝させていただいた後に立ち寄った美術館です。懐かしく思い出しました。

141001.jpg展覧会名から、織部の名品が集まるのか?!と思いきや、織部のみならず、唐津や黄瀬戸、志野、朝鮮王朝時代の茶碗から、花入や釜、そして織部直筆の消息にいたるまで、どれもこれも、何らかの図録や名品図鑑の類で見たことのあるものが日本中からおでましのようでした。
息をのみ、ため息をつくような物ばかりを拝見しつつ、今や使われなくなった道具類(美術館の茶会などでよもや使っている物もあるかもしれませんが・・・)に思いを馳せました。
遠くでも足を運ぶ甲斐のある展覧会。オススメ致します。

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高麗・李朝の工芸 -愛知県陶磁美術館-



140929-0.jpg愛知県瀬戸市にあります、愛知県陶磁美術館にて、「高麗・李朝の工芸―陶磁器、漆器、金属器―」が開催されていましたので初めて訪れてみました。
門を入ってから美術館へとたどり着くまでの道があまりに長く、どういう事でこんなところに建てたのだろう?!と思っていましたが、なんと山中からみつかった平安時代の窯跡などをそのまま保存&展示されているからなのでした。

140929-1.jpgこの窯は、このあたりで最も古いもので、平安時代後期(11世紀末)のものだそうです。なんと立派な窯でしょう。灰釉(かいゆう・草木の灰類を媒溶剤とした釉)がかけられた皿や碗が焼かれたそうな。平安時代から使われていた釉薬が今も・・・と思いますと、尊い営みだなぁ・・・と感慨深いものなのでした。

展示に関しては、何度も通った東洋陶磁美術館(大阪)の逸品も何点かおでましで、改めて日本人が憧れる李朝の白、無作為の美に触れる事ができ、このようなものを生み出した朝鮮という地も素晴らしければ、それを見いだした昔の日本人も素晴らしいものだ・・・・・・と、自身の物さしが、いつも何ものにもとらわれないものであって欲しいと願うのでした。

高麗・李朝の工芸 -愛知県陶磁美術館-の続きを読む

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良いかたち、美しい色 -昭和美術館-

 

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茶道具を多く収蔵する、名古屋市内にあります昭和美術館を久しぶりに訪れてみました。
今回は「良いかたち、美しい色」(12/7まで)という展観名。

「何が楽しめるのだろう・・・・・・」と楽しみにお邪魔しますと、日本の歴史上最も有名といっても過言では無い能筆家(能筆家というだけにはとどまらない才能を携えていらっしゃいましたが)“寛永の三筆”として知られる本阿弥光悦・近衛信尹・松花堂昭乗の書が。
私も学生時代より、特に本阿弥光悦に魅せられ、俵屋宗達が下絵を描き、光悦によって美しい字が認められたものを追いかけて、方々の美術館を巡ったものです。久々に拝見、しかも初めて拝見するものがあり、新鮮な気持ちになれました。
その他茶道の道具類も眼福。足を運んだ甲斐がありました。

140925-2.jpg美術館敷地内にあります南山寿荘(なんざんじゅそう)内にあります茶室、「捻駕籠(ねじかご)の席」も拝見したかったのですが、現在工事中にて叶わなかった為、また再訪したいと思った次第。
名古屋には有名な徳川美術館がありますが、こちらの美術館もオススメです。

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「滅却心頭火自涼 -甲斐の名刹 恵林寺の至宝-」 集荷の様子

20140912-1.jpg禅文化研究所のホームページの方で既にお知らせしていますが、この秋の特別展として、「滅却心頭火自涼 -甲斐の名刹◆恵林寺の至宝-」を、花園大学歴史博物館で開催します。

来月からの会期ではありますが、今月末には恵林寺様の新命住職晋山式がありますので、少し早めではありますが、恵林寺へ出展作品の集荷に出向いて参りました。

運送するのは、日本通運の美術品専用輸送車と専門スタッフです。大切な宝物をお預かりするため万全を期しています。

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恵林寺の境内には、「信玄公宝物館」があり、恵林寺蔵の多くの宝物を寄託保存されていますが、今回の集荷にあわせて、事前に恵林寺に一時返却をしていただき、すべての集荷作業は恵林寺の書院にて行なわさせていただきました。

20140912-3.jpg

まずは、一本一本、軸物を吊して、状態を確認し、折れや虫食いの場所などを集荷調書に記載していきます。このチェックには古いものほど時間がかかります。

20140912-4.jpg集荷のための調査を終えたものを、日通の美術スタッフが順次、丁寧に梱包していきます。軸物の箱がきちんと入ってしまうように、とても大きな軸の場合には、それに合わせた段ボール箱をその場で作ってしまうところは、さすが専門スタッフの熟練の技術です。

20140912-5.jpg朝からかかって丸一日を費やして、約70作品の梱包が完了しました。すべて完了すると、こういう形になります。これを翌朝、トラックに積み込んで一路京都へ、という段取りですすみました。

20140912-6.jpg恵林寺の文化財がまとまって寺外にて公開されるのは、今回が初のことだと聞いております。是非、「滅却心頭火自涼 -甲斐の名刹 恵林寺の至宝-」へおいでください。

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如法寺展 -大洲市立博物館-

 

140829-1.jpg3年前に訪れました、愛媛県大洲市にある古刹、如法寺さん(詳しくは以前の記事にありますので、リンク先をご覧くださいませ)。
当時はあちこちで修復作業が進んでいましたが、このたび、重要文化財でもある仏殿の保存修理を終えられたとのことで、市立博物館で展覧会をされる運びとなったようです。
ご案内をいただきましたので、是非とも皆さまに足をお運びいただきたく・・・。
近くには、臥龍山荘もあり、かの地の文化度の高さに、胸躍らせながら旅をした事を思い出します。木蝋で栄えたお隣の町、内子などの風情も素晴らしく。
また是非とも訪れてみたい地の一つです。
お近くの方は必ずや、遠方の方も旅がてら、是非!

「如法寺展 ~大洲に伝えられた盤珪禅師の歴史と心~」

【期間】平成26年7月23日(水)~平成26年11月3日(月)9:00~17:00
【場所】大洲市立博物館 4F展示室
所在地:松山市大洲市中村618-1 社会教育センター内
電話番号:(0893)23-4107
FAX番号:(0893)24-4107
駐車場:14台 (有料。最初の1時間150円。その後30分毎に80円)
【交通】JR大洲駅から徒歩約5分
【料金】無料

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岡本太郎記念館 -東京・南青山-

 

140717-1.jpgこの界隈を訪れると、どうしてもふらふらと根津美術館に引き寄せられてしまう私ですが、今回は気になる存在であった「岡本太郎記念館」を訪れました。

140717-2.jpg岡本太郎といえば、関西人にはかの“太陽の塔”で馴染み深いわけですが、私の場合は実家にありました岡本かの子の『観音経を語る』・『仏教聖典を語る』を家人が熱心に読んでいた事から、どちらかというと「岡本かの子の息子」という目線で、なんとも興味深い親子だなと思っておりました。

140717-3.jpg元々、岡本太郎の住まい兼アトリエだったお家が、現在は記念館となっています。
「理解する」などということは飛び越えて、岡本太郎が死してなお発する波動を感ずるような世界が広がっていました。
こちらのお庭で1955年に開催された「実験茶会」の記録では、裃に身を包みお茶を点てられるお姿が。亭主が亭主なら、客も名だたる方々。即興連歌も詠まれたようで、なんとも興味深い茶会なのでした。

140717-6.jpg帰りにショップをのぞき、序文からほとばしるパッションに魅せられてしまい求めました。
____________________

世界をこの眼で見ぬきたい。
眼にふれ、手にさわる、すべてに猛烈に働きかけ、
体当たりする。
ひろく、積極的な人間像を自分自身につかむために。
純粋な衝動である。
そんな情熱が激しく噴出するとき、それは憤りの相を呈する。
だから、私は怒る。また大いに怒らなければならないと思っているのだ。
____________________

日本人の在り方を危惧し、警鐘を鳴らしてくださった太郎先生の著作、『美しく怒れ』  (角川oneテーマ21)の、“はじめに”より。

日本人のアイデンティティの確立、自己をみつめる為に、大いに手助けとなり得る本かと思いました。どこを読んでも美しい怒りに溢れる本。記念館と共にお勧めします。

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久松真一記念館 再訪


140715-1.jpg6月に開催の禅と文化の旅にてお邪魔しました、岐阜市の久松真一記念館。禅と文化の旅の折には時間の制約がありましたので、今度はゆっくり堪能したく、再訪して参りました。

禅と文化の旅の時はどくだみの季節。今回は半夏生が我々をお玄関で出迎えてくれました。

前回とは違うお軸をかけていただき、貸し切りの状態で友人3人とゆっくり、お床や茶室や書斎、先生のお父上が作られたという職人顔負けの茶器や仏像なども心ゆくまで拝見。館長の久松定昭さんともゆっくりお話させていただき、充実の滞在となりました。

近頃では、裏千家関連の冊子に久松先生の特集が組まれた為、お茶人さんの訪問が多いのだとか。茶の湯を学ぶ者に、先生の禅風はどのようにうつることでしょう。先生が生きておられたら、私の茶に対する姿勢をどう仰るだろう・・・考えている時点で一刀両断されそうですが、そのような事を意識しつつ、私も茶の湯の道を学んでゆきたい所存です。

さて、最後に少しご紹介。
最近友人に勧められて読みました、精神科医・加藤清先生の『この世とあの世の風通し』という本にも、久松先生の禅風と、一種突き抜けた存在であった事が偲ばれる文章が出て参りました。この本については、また詳しくご紹介できればと思っています。

なお、記念館は予約制です。岐阜近辺にゆかれる際には是非お運びください。

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仏教と思想の文化 -龍谷大学ミュージアム-




140714-1.jpgチベットの仏教世界
の展観にお邪魔しましてから、すっかり虜になってしまったこの龍谷ミュージアム。
8月3日(日)まで、「仏教と思想の文化 第Ⅰ期-インドから日本へ-」が開催中です(第Ⅱ期は8月9日から)。
こういう世界(禅文化研究所)にいますと、仏教=お釈迦様は当たり前中の当たり前だと思いがちですが、意外にも若者のみならず、お歳を召された方にも「あれ、禅宗も仏教だし、あれでしょ、元はお釈迦さんなわけ?」と自信なさげに聞かれたりする事があります。
インドでお生まれになったお釈迦様という偉大な覚者の教えが、長い年月をかけて伝播し、土着の信仰と結びついたり混じったりしつつ日本へもやってきて、そしてまた様々な宗派が生まれました。

そんな、インドからの仏教の流れを知る絶好の機会ではないでしょうか。

2階展示室では、アジアの仏教を大きな柱として、「仏教とは」「釈尊の教えとその継承」「大乗仏教とガンダーラ・西域」「中国の仏教」、さらに3階展示室では、「仏教伝来」「国家と仏教」「仏教文化の円熟と日本的展開」の3章で日本の仏教を紹介されていました。

さらに、日本の信仰において特徴的ともいえる、“神仏習合”の例を見るべく、「日本の神とほとけ」の展観もなさっておられました。非常にわかりやすく充実した展観。お勧めします。

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仏教と思想の文化 -龍谷大学ミュージアム-の続きを読む

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かやぶき美術館 -京都府美山町-

 

140703-1.jpg先日はかやぶきの里の小さな藍美術館をご紹介しましたが、今回ご紹介しますのは、かやぶきのお宅が並ぶかやぶきの里からは少し離れた所にあります、かやぶき美術館です。

140703-2.jpgみんなで花を摘みにでかけます

かやぶきの里では、茅葺き屋根が並ぶ姿には感激しましたが、幾分観光地化されており、しかもバイク好きの方が団体でいらっしゃる為、静かな山あいの里・・・というよりも騒がしく(日によるでしょうが・・・)、私はこちらのかやぶき美術館の辺りの静かな、日本の原風景が残り、観光客もまばら・・・という雰囲気の方が好ましく思えました。

140703-3.jpg私が摘んだ花は、研究所に飾りました

かやぶき美術館での土楽さんの展覧会に合わせて開催されました、当主・福森雅武氏による花の会は、学ぶところ多々。お隣にある資料館からお借りした日常の道具類が、先生の感性によって立派な花器へと変貌。花が生けられると、途端に息を吹き返したかのようでした。
かやぶき美術館での土楽窯展は、7月13日まで。
さらに、7月25、26、27日は伊賀にて陶器祭が開催され、土楽さんも出店されるそうです。美しい日々のくらしの道具を見に、是非お運びください。

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「蓮-清らかな東アジアのやきもの」 -東洋陶磁美術館-

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先日少し書かせていただいた、“藍”もそうですが、この花も世界中、特にアジア諸国で象徴的な存在とされています。
東洋陶磁美術館にて開催中の「蓮-清らかな東アジアのやきもの×写真家・六田知弘の眼」を観てきました。

仏教で、泥の中より美しい花を咲かすという事でよく説法などにも登場したり、身近なところで言えばお盆のお仏壇やお墓の花にはいつもより特別に豪華に蓮の花が加わったり、物心つく以前からもう「特別」な感じのするこの花ですが、先入観無しに観ても、惹かれない人がいようはずもないであろうと思えるわけです。

ギリシア神話などでは、人間を誘惑する物の象徴、エジプトでは再生の象徴(蓮と睡蓮を厳密に分けないようですが・・・)のように書かれているそうな。
とにもかくにも、国や宗教によっての解釈は色々あれど、我々を惹き付けてやまない花である事は世界共通であるようです。

そんな花のモチーフが描かれた東アジアの器ばかりを鑑賞できるこの展観。陶磁器に描かれた蓮を見るだけで、もう頭には、「あの時に見たかの美しい蓮・・・」というのが想像できています。
ので、あえて写真展も一緒にする必要性があるだろうか・・・と個人的には思いました。今月27日(日)まで。

140701-1.jpg蓮の原産はインドとされているようですが、私の場合二度のインド滞在では、蓮よりも様々な種類の睡蓮をよく見かけました。
全く話が変わるのですが、この花を見ていると、黒田清子さんのお印が未草だったなぁ・・・・・・と、彼女のご結婚の際の立ち居振る舞いの美しさを思い出すのでした。

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小さな藍美術館


140625.jpg京都の奥座敷、美山はかやぶきの里にあります、“ちいさな藍美術館”を訪れました。
藍特有のにおいが立ちこめる染めの工場から、世界の藍の布まで、ちいさくともその内容は濃く深く、まさに藍の色のよう。

藍というと、日本古来よりある染めもの・・・と、なんとなく思っていましたが、その起源はなんと、さかのぼると古代都市テーベの遺蹟より発掘された紀元前2千年頃のミイラが、既に藍で染めた麻布を巻いていたのだとか。
エジプトで栽培されていた藍は、オーストラリアを除く全世界で栽培され、染めの原料として使われていたそうです。

140625-1.jpg世界各地で染められて織られたものや、刺繍をほどこしたもの、土地によって文様も様々。この深いブルーは、世界中の人々を虜にしたのですね。
私の中で最も印象的な藍染めの色といえば、研究所に入って間もない頃におみかけした、長年修行をされてこられた雲水さんのつぎはぎだらけの、色も浅黄色ほどに薄くなった麻衣です。
色も落ち、ぼろぼろになったはずが、着る人の醸し出すものからでしょうか、ぼぉっと光っておられたのを今でも鮮明に覚えています。

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南山城の古寺巡礼 -京都国立博物館-

140610-2.jpg京都国立博物館で15日(日)まで開催の、南山城の古寺巡礼。

南山城の古寺といえば、十一面観世音菩薩をお祀りされているお寺さんが多く、白洲正子さんの『十一面観音巡礼』に憧れ、何度も足を運んだ地です。この地にスポットが当たるとは!!と、嬉々としてでかけました。

東大寺造営に必要な材木が、伊賀や滋賀の地から木津川を使って運ばれた事、その木津川沿いに寺院が多く、十一面観音も多くお祀りされている事、終着地、東大寺の二月堂で行なわれるお水取り(十一面観音悔過)、お水取りに関心を持つと、そこから若狭のお水送りの舞台・神宮寺へも。
何もわからぬまま足を運ぶうちに、だんだんと点が線となり、信仰の道というのが繋がり、見えてきたものです。もちろんまだまだこれから色々と足を運ぶつもりです。
自ら足を運ぶのは尊い事。そのような事を教えられた原点の地、南山城。

140610-1.jpgもちろん、我らが臨済宗・一休寺(酬恩庵)さんの宝物も数多く展示され、それは興味深く楽しい展覧会でした。

この初夏は、大阪市立美術館での熊野の神仏も素晴らしかったのですがが、この展覧会も筆舌に尽くし難い内容。ゆっくり堪能し、美術館を出ると、とっぷりと日が暮れていました。

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山の神仏-吉野・熊野・高野 -大阪市立美術館-

 

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終わってしまった展覧会で申し訳ないのですが・・・また奈良や和歌山を訪れる方のご参考までに、大阪市立美術館にて開催されていました、「山の神仏-吉野・熊野・高野」を訪れましたのでご報告です。
大自然そのものが神であり仏である事を教えてくれるような地、吉野・熊野・高野におはします神仏が、美術館に集合!
近頃ことに関心を寄せ、参拝したりこれから参拝してみたいと思っている寺社の神様仏様に拝する事が叶いました。

先日参拝して参りました熊野速玉大社の熊野速玉大神坐像など、もう言葉になりません。普段は秘められた神様が、我々の前におでましいただく事すら恐れ多く、もったいなく思えるのでした。自身が拝観に足を運びながらおかしな事を言いますが、多くの人の前にさらけ出されるべきものではないのだな・・・という事を学ばせていただきました。まぁそんなことくらいで穢れる事もないほどに大きなお力をお持ちの坐像でしたが・・・。

土着の信仰や日本古来の神々、元はインド、そして朝鮮や中国から渡ってきた仏教の考えや仏様など、さまざまなものが混淆した信仰に、改めて日本人のおおらかさを感じました。
明治以降、様々な事柄を分離し、はっきりと区別をつける傾向にありますが、境界を設けない、曖昧さもよしとする日本古来の考え方、物事のとらえ方は、今こそ新たに注目されるべき点であるな・・・とことさらに感じた展観なのでした。
今なお神仏混淆の時代を色濃く残す地、吉野・熊野・高野へは、死ぬまでに何度でも足を運び、日本人である自分というものを考えてゆきたいと思います。

*個人的には、関心を持っている様々な役行者像、狩場明神の画が拝見できた事が嬉しかったです。

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吉岡幸雄の仕事展 「日本の暦・色かたち」 -日本橋高島屋-

 

140528-1.jpg5月21日(水) ~5月26日(月)まで日本橋高島屋にて開催されていました、「染織家 吉岡幸雄の仕事展-日本の暦・色かたち-」にお邪魔してきました。
今月初めにも、鎌倉の東慶寺さんにて、吉岡家所蔵の更紗展にお邪魔しました。京都に住んでいながらなぜか関東でばかりご縁があります。

140528-2.jpg季節ごとの行事には、その季節に見合った色が使われます。こんなにも豊かな色が日本には溢れている、そしてそれはそのまま、日本が四季のうつろいある自然豊かな土地である事を表しているのだと、感慨もひとしおでした。

140528-3.jpg思えば我々日本人は、さほど意識せずとも、毎月毎月の色というのは、自分達の中でもイメージがきちんとあるものですね。
会場は、天然染料の浄化作用?!からか、浄められているような心地がしました。

また、自然界と切っても切れない“色”の仕事が、寺院の宗教行事とも密接な関わりを持っていた事にも注目。ただただ、染色や布が好きで色々とみてきましたが、平安時代の装束のかさね色目にも前々から興味がありますし、もう少しこの世界についての理解を深めていきたいこの頃です。

140528-4.jpg6月3日 (火)~6月8日 (日)まで、北鎌倉の東慶寺さんにあります東慶寺ギャラリーにて、染司よしおか展が開催されるもよう。是非お運び下さい。
その他の予定はこちらでご確認いただけます。

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福森雅武 土楽窯展 -美山かやぶき美術館-

 

140526-1.jpg弊所の季刊『禅文化』でも、その自然と共にあるくらしや、花の会などの取材でお世話になっております、伊賀の土楽窯・福森雅武氏。
本日より、京都の奥、美山のかやぶき美術館にて展覧会が始まりました。福森先生の作品はもちろんの事、工房のものも並びます。

6月14日(土)には、福森雅武氏の四女で跡継ぎの道歩さんによるお料理の会、15日(日)には雅武氏の花の会が催されます。
お二人が、どのようにご自身の中に自然をとりこんで、自然と共に生きていらっしゃるのか(そんな事意識すらせずとも、そのようにあるお二人なのですが・・・)、日々のくらしには欠かせない料理と、花を生けるという事から、我々が学び、感じ取れるすばらしい機会かと存じます。

自身も自然界の一部であると自覚し、自然と共に生きる事は、禅の世界にそのまま通ずる事だと思い、私も足繁く土楽さんには通い、学ばせていただいています。是非皆さまもこの機会に感じてみてください。
ご予約&詳細はこちらからどうぞ。

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山茶碗 -多治見市美濃焼ミュージアム-

 

140522-tajimi.jpg“山茶碗”が展覧会の名称に挙がる事があるでしょうか。なかなかに無い事です。これは是非にと多治見まで足を運んでみました。

そもそも山茶碗とはいったいなんでしょう。美濃焼ミュージアムのHPでの解説には、「平安末期から鎌倉、室町時代を通じて東海地方のほとんどの窯業地で生産された無釉の碗で、地域によって土や形に差があります」との事。庶民の普段使いの器であったようです。

時代を経て味わいを増し、無心で作られたこの雑器を、茶人や骨董好きが放っておくわけもありません。確かに、無釉である事がより一層侘びた感じを抱かせ、時に灰などが熱により自然釉となってとろりと垂れている姿など、何かに見立てず見過ごす事があろうはずもなく。そんな趣きを見て、歌でも一句読めそうな人々こそ、日本人なのでありましょう。
抹茶茶碗としてはもちろんのこと、懐石の向付、はたまた日々の器としてお漬け物入れにしてもよさげな、様々な窯元から発掘された山茶碗が所狭しと並んでいました。

また、こちらのミュージアムでいつも楽しみにしているのは、「実際に触れてみよう!」のコーナー。今回も窯跡から発見された山茶碗が置いてあり、実際に触れて感じる事ができました(前回訪れた時には、発掘された織部や志野の陶片を触る事ができましたよ!)。

 

 

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利休・剣仲・織部の時代 -野村美術館-

140521.jpg緑美しい南禅寺参拝とあわせてお邪魔したいのは、野村美術館です。
現在、ホープ揃いとでも言いたくなるほどの名品がずらりと展示されています。それもそのはず、展観名を拝見すればわかる事なのですが・・・。

「利休・剣仲・織部の時代 ―天正から慶長の書と茶陶―」

当時の最先端、今まであったものにとらわれる事なく自分を生きた茶人にまつわる茶道具たち。面白くないわけもありません。

先人が新たに生み出し、長い年月伝わってきた茶道具というものを、我々現代の茶の湯をする者は拝見しているわけですが、現代においても常識を覆すような茶道具が出てきた時に、「今までに無いもの」に、単に拒否反応を持つのではなく、その物の真意を問える自分でありたいと願います。
ただ、単に奇をてらったものや、型を習得する前に型破りをしているような物(人)には、用心したいものです。

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チベットの仏教世界 -龍谷大学ミュージアム-

 

140512-1.jpg学生時代に旅行したネパール。訪れたチベット寺院で見た僧侶達の衣の色や、亡命してきたチベット人の営む商店の記憶は、今も鮮やかに脳裏に焼きついています。
店番をする女の子とは、同じ仏教徒という事や、私自身ダライラマ法王を尊敬しているという話から仲良くなり、チベットやチベット人は、いつからか心揺さぶられる存在となっていました。
この展観も見逃せるはずもなく、嬉々としてでかけてみました。

140512-2.jpg他宗派の事となるとお恥ずかしながら無知なもので、大谷探検隊の存在は知っていましたが、その中に、明治の初期という時代に、チベットにて学んだ2人の若き学僧がいらした事は知りませんでした。
ダライ・ラマ13世の治世下、その許可を得て、主に市井に暮らし、チベットの風俗や文化、原語などを習得する事に努めた青木文教師、チベットの寺院にて、10年もの長きに亘りチベット仏教の修行を積んだ、多田等観師です。

彼らの足跡、成果などをふまえながら、仏像やタンカなど、チベット仏教縁の品々が並ぶ展覧会。それはすばらしいものでした。
特に、多田師がダライラマ13世より贈られた「釈尊絵伝」には、日本では重要とされていない為か釈尊の伝記を読んでも書かれていない場面などが描かれており、とても興味深く、間近に美しい細密画を堪能させていただきました。

また、同じ会場にて、ベゼクリク石窟の大回廊復元展示もされており、トルファンが栄え、仏教美術の華開いた当時さながらの回廊を歩き、この素晴らしい事業に感銘を受けました。
シアターでは、この復元事業についてのVTRも拝見し、じっくり3時間ほどこのミュージアムを堪能しました。オススメの展覧会です。

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武家のみやこ 鎌倉の仏像 -迫真とエキゾチシズム- -奈良国立博物館-

 

140509-1.jpg武家のみやこ 鎌倉の仏像-迫真とエキゾチシズム-と題しまして、鎌倉の仏様が奈良国立博物館に集まっていらっしゃいます。

質実剛健、鎌倉のもののふの気配、そういったものを仏像の特徴からもまた感じ取る事ができます。

140509-2.jpg平家の軍勢により焼き討ちにあった東大寺を復興する為大勧進を行なった重源に、並ならぬ力添えをしたのが、時の将軍源頼朝でした。そのような縁もあって、重源が重用した康慶・運慶・快慶ら慶派の仏師らは鎌倉でも活躍するようになったとの事。

この展覧会、仏像はいうまでもなくそれはそれは数々の美形の仏様がお集まりですが、私の興味をひきましたのは、頼朝への感謝の証でしょうか、大仏殿供養に参列した折に手向山八幡宮から頼朝に送られたという舞楽面なのでした。猿楽発祥の地、能の原型ともいえるようないくつかの面は、シルクロードを経てやってきた大陸の文化までをもこちらに思い起こさせ、しばし時空を旅するごとき心地でした。

140509-3.jpgまた、浄光明寺の観音菩薩坐像などは、もしも「絶対的な美」というものがあるのだとしたら、まさにこのお像なのではないかしらんと思えるほどに、ぐるりと一周してどこを拝見してもあまりに美しいもので、ともすれば心惹かれすぎてあやうくなりそうな心地がしたくらいです。首のかたぶき加減まで、完璧な角度ではないかと思えてしまうのでした。

140509-4.jpgこの日は時間が無かったのですが、せっかくの奈良ですから、大好きな大木と、野生の藤、神の使いに会ってから、帰路を急ぎました。

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東慶寺 「吉岡コレクション 更紗展」

 

140507-1.jpg弊所の書籍を置いて下さっている書店様への営業の為、東京・神奈川へ行って参りました。書店を廻っていると、土地柄や、今どのような本が主流になっているのかなど、様々な気づきがあります。

140507-2.jpgさて、せっかく東へと赴くのであれば・・・と、是非とも拝見しておきたかった、鎌倉は東慶寺さんにて開催中の「吉岡コレクション 更紗展」にお邪魔して参りました。

140507-3.jpg東慶寺では花も楽しみの一つ。シャガの群生は光を浴びて」妖精のよう。

更紗の色の深さは、インドやインドネシア等の歴史、文化の深みそのもの。文様もそれぞれに面白く印象的で、日本人に古来より愛され、時を経てお寺の静かな宝蔵で今私が拝見できる不思議を思いました。世界各国に様々な織や染色が残りますが、更紗ほどひきつけられるものはありません。

140507-4.jpg十二単が群生していました

この日は境内にあるお茶室で茶会も開かれており、宝蔵隣にあるショップにもセンスの良い素敵な便箋や小物が揃っていました。うちの書籍も置いていただいていますよ!!!

140507-5.jpg大好きな花が!白雪芥子です

お寺が文化を守り、さらにそれだけではなく縁の下の力持ちとなって文化の発展に貢献する姿がこちらにはあり、素晴らしい例を目の当たりにしました。やはり、ほんものを見て、感じての感動なかりせば、到底守ってはゆけぬものと思いました。

140507-6.jpg珍しい翁草も咲いていました


東慶寺の寺庭・井上米輝子さんの生けられる花や、四季折々のしつらえ、お料理の大ファンです。出版なさった本のページをめくりながら、いつもうっとり、お手本にさせていただいたりしています。近くでしたら、足繁く通いたいお寺なのでした。
お近くの方は是非ともご参拝なさってみてください。


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江戸の異国万華鏡 -MIHO MUSEUM-



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布好きにはたまらない展観が、滋賀県は信楽のMIHO MUSEUMにて開催中です。
江戸時代に、オランダの東インド会社によってもたらされたインド更紗の名品の数々。その展示によって、まさに異国万華鏡というに相応しい世界が繰り広げられていました。
茶の湯の世界では、茶碗や茶入などを入れるお仕覆(袋)に、よく更紗が使われています。名器であればそれに相応しい布が使われており、昔の日本人の、異国文化を受け入れ、自国の文化の中に取り込み昇華させてしまう才能には惚れぼれします。
期間中に再度訪れるつもりです。

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ポジャギとチュモニ展 -高麗美術館-

 

140409.jpg3月末で終了しましたが、大好きな美術館の展観です。

-「ポジャギとチュモニ展」-
韓国刺繍博物館より、選りすぐりの逸品が京都にお目見えという事で、布好きにはたまらない展観なのでした。

母から娘へと受け継がれたり、また、嫁入りの為に自らが作るこういった布や、織物などが世界各地に存在し伝わっていますが、どれを見てもその“おもい”が伝わってきて、共通した精神を感じます。そんな時、国境はあって無いようなもの。世界は一つ、人間は皆同じ・・・・・・という思いに至ります。柳宗悦のことばが浮かびます。

こちらの美術館、今開催されている展観も楽しみ。近々訪れます。

 

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「不立文字 -禅の書画と典籍・六〇〇年-」展開催

 

不立文字展

禅文化研究所創立50周年記念所蔵作品展として、4/2より花園大学歴史博物館にて「不立文字 -禅の書画と典籍・六〇〇年-」展が展観開始されました。
本展覧会では、当研究所における禅宗関係資料の収集・保存活動によって、今日までに蓄積された28,000点を超える作品・資料のうち、室町時代から現代に至る墨蹟をはじめ、書画および典籍の優品約100点をご紹介します。
当研究所所蔵優品資料が一挙に公開されるのは本展が初の試みです。時代が異なれば、種類や画題も様々です。またとない機会に、研究者のみならず広く皆さまに鑑賞いただき、禅の文化と美術に親しんでいただけましたら幸いに存じます。

展示品一覧

会期は平成26年4月2日(水)~6月7日(土)、開館時間は10:00~16:00(土曜日は14:00まで)、日曜と5月5日(月・祝)は休館です(但し、大学行事により臨時休館する場合があります)。入場は無料です。是非お立ち寄り下さい。
また、会期中に記念講演会を二回開催いたします。詳しくはこちらをご覧下さい。

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無量寺 ―南紀串本―

 


140327-1.jpg2011年のMIHO MUSEUMでの展観
を観て以来、いつか必ずや訪れてみたいと思っていました、円山応挙、長沢芦雪ゆかりの寺、南紀串本にある臨済宗東福寺派の無量寺さん。


140327-2.jpg樹齢は?!南国の寺らしく、巨大な蘇鉄です

宝永4年(1707年)の地震による大津波で全壊・流失。その地震と津波より時を経る事79年、天明6年(1786)に、白隠下の文保愚海和尚が、現在の地に本堂再建の悲願を果たされたのだとか。
その再建に際し、かねてより親交のあった円山応挙に本堂の襖絵等の制作を依頼するものの、都で引く手あまたの人気絵師。さらに年齢の事もあり、祝いに障壁画12面を描きましたが、その他の仕事を一番弟子の芦雪に託しました。

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芦雪は、約十ヶ月間の南紀滞在中に、270点余りもの絵を描いたのだとか。MIHO MUSEUMにてその秀作に出会う機会を得たおかげで、実際に串本に足を運び、その土地の太陽や海、山々、大自然の圧倒的な美しさに触れ、芦雪が如何にこちらの寺で自由に創作に励んだのかを伺い知る事ができました。

140327-4.jpg美術館などでこれだと思うものに出会えば、その作品の描かれた土地を訪れると、より深く自分の中に入ってきますね。足を運んでみる事の尊さを、改めて感慨深く思ったのでした。

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南方熊楠記念館 ―南紀白浜―

 

140325-1.jpg2月にお仕事でお邪魔した際に、次に和歌山におもむく際には必ずや訪れようと思っていた南方熊楠記念館へ。
熊楠先生については、私の父祖の地が田辺市である為に親からたびたび聞かされつつ育ち、幼い頃に記念館に訪れていたものの、田中神社の合祀反対運動についてを知り、いま一度この和歌山が生んだ稀有な存在をみつめたいと思ったわけです。
記念館に入り、なにやら熊楠先生ファンのようなおじさま方が「どんな人、何してた人って聞かれると困っちゃうんだよねぇ」と談笑・・・。確かに、あらゆる分野に精通しすぎていて、彼を一言で説明できるような言葉など存在しません(一応、民俗学者・生物学者となっていますが・・・)。


神社の合祀反対運動にしてもそうですが、もう随分昔から、この世界の自然破壊に警鐘を鳴らし続けていらっしゃいました。一体自然界で何が起きていて、今後どうなってゆくのか、全てを見通していらっしゃったのかもしれません。
粘菌類などの小さな小さな世界をみつつ、広い世界を観ていた熊楠先生。原子力発電について、先生が生きていらっしゃったら何と仰るのか・・・など考えつつ、今後の自然と人間の共存についてのヒントが隠されている気がして、もっと広く熊楠先生についてを世の人々に知ってもらいたいと思った次第です。

140325-2.jpg昭和4年(1929年)6月1日には、保護に努めた神島(かしま)にて昭和天皇へ粘菌学などを進講、その際に変形菌の標本をキャラメル箱に入れて勧献した事はあまりに有名な話です。
この時の感慨を、熊楠先生は歌に詠んでおられます。

一枝も心して吹け沖つ風 わが天皇(すめらぎ)のめでましし森ぞ

なんと美しい歌でしょう。そして昭和天皇が、昭和37年(1962年)、南紀行幸の折に熊楠を追憶し詠まれた歌が、熊楠記念館に碑となって、日本の、和歌山の生んだ宝ともいえる人物を讃え続けていました。

140325-3.jpg雨にけふる神島を見て 紀伊の国の生みし南方熊楠を思ふ


140325-4.jpg熊楠記念館の屋上より

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午歳の春 ―北村美術館―


140320.jpg“竹花入”といえば、戦場で竹を切って即興で花入れを作り、花を生けた利休さんが有名で、その後掛花入れとして茶室でももてはやされましたが、これを置き専用の花入れとして発案されたのは、宗旦四天王の一人、藤村庸軒だそうです。
そんな庸軒の、置き花入れの本歌とされる“遅馬”のご銘を持つ竹花入れがお目見えする今回の展観(豪快な花入れで圧倒されました)。

北村美術館の展観は、待合のしつらえから濃茶、薄茶の道具と、茶事の流れそのままに道具類を拝見できる為、非常に勉強になります。
良い物がたくさん並ぶ展覧会も魅力的ではありますが、じっくり味わい、わからなかった事を調べたりして向き合うには、これくらいの展示が一番良いと個人的には思い、春と秋の展観には必ず足を運ぶ美術館です。

午歳の春 北村美術館
詳細はこちら

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道教・仏教と人物の書画 ―澄懐堂美術館―

 

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三重県は四日市にあります澄懐堂美術館にて、「道教・仏教と人物の書画」が開催中。
なかなかに希な展覧会です。詳細はサイトにてご確認ください。
私もまだ訪れた事の無い美術館ですが、今後注目していたいと思っています。

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大西清右衛門 茶の湯釡の世界

 

140115.jpg美術館「えき」KYOTOにて開催中の、「御釡師400年の仕事 -大西清右衛門 茶の湯釡の世界-」へと足を運びました(本日17時までです!!!是非!!!)。

お茶の稽古をしていなければ、ほぼ一生知らずに終わる存在である釜師。その仕事というものが、大々的にこのような美術館で紹介される事を好ましく思いました。
御釜師というその名の通り、茶の湯で使われる釜を主に制作する職方で、大西家は千家十職にも名をつらねる職家です。

鉄という素材があそこまで様々な表情を見せる事に、初めての方は驚かれた事と存じます。茶の湯を稽古する者も、改めて普段使うお道具の奥深さを知る機会となりました。


「あなたの好きな釜は?3つ挙げてください」というアンケートを行なっていました。興味無いかもしれませんが、私の3つをご紹介。

1、古天明 茄子釜 銘「金槌」
2、天明 播知釜
3、芦屋 月ニ波兎地文繰口釜

一位はありきたりですが、利休さんが藪内剣仲に贈ったと伝わる釜です。ハッと息を飲む意匠。まさに金鎚でわざと釜の肌を打ち砕いたような・・・。
やはり利休さんは同時代はおろか、歴史に比類なき天才です。
この釜を拝見していますと、正月に我が研究所の所長が書いていた下記のことばが思い浮かぶのでした。一見わけのわからない禅語、公案?!のような釜なのです。
ガーンと頭を打たれたような衝撃でした。

「このような本分の機語はわれわれを焦げ付いた常識から開放しようとする禅者の鉄鎚なのです。固定観念に囚われて窮屈に暮らしているわれわれ凡人の常識を粉砕してやろうというわけです。意味を理解しようとしたら、また新たな鉄槌が下るでしょう」


二位は、佐久間真勝所持ゆえ、龍光院に伝わった釜。半端ない品格をたたえている事、所持者に愛された事などがひしひしと伝わってくる釜です。どれでも使って良いと言われたら、これを使ってみたいと思いました(天変地異を起こしてしまいそうなくらいに分不相応な事を承知の上で言ってみましたのでご放念ください)。
この釜1つで、佐久間真勝という人に会ったような気分になる、もっと彼を知ってみたい・・・そんな釜でした。

三位はほっと一息、胴がたっぷりした芦屋釜。表は月に兎、裏は鷺という美しい地紋に魅せられました。

現在大西清右衛門美術館にて開催中の、「新春の寿ぎ -福をよぶ茶道具-」も近々お邪魔する事としましょう。

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西村惠信所長 淡彩画展

 

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禅文化研究所所長西村惠信先生の趣味は淡彩画。
先般の禅と文化の旅の途中、慈照寺(銀閣寺)ででも、拝観中にスケッチブックと鉛筆を取り出してデッサンを始められるほど、行く先々で写真を撮るように描かれてきました。
去る7月に傘寿を迎えられた先生は、今まで描かれてきた淡彩画の一部をまとめた画集『いのちの風光』(非売品)を自費出版して、傘寿祝賀会の出席者にプレゼントされたほどです。
今回、そんな中から数点を展示される展覧会が、京都東山の小さなギャラリーで開かれています。会期が短いですが、お近くにおいでの際には、是非お運び下さい。

 


第三回 三余居(西村惠信)淡彩画展
とき:2013/12/8~12/21 11:00~17:00(ただし12/15・16日は休館)
ところ:ギャラリーめん(TEL 075-771-6343)
京都市東山区東町243(ウェスティン都ホテル京都 斜め向かい)
地下鉄東西線「蹴上」駅②出口より徒歩3分


※先述のとおり淡彩画集『いのちの風光』は非売品ですが、もし手元に欲しいという殊勝な方がおられるようなら、研究所までお便りをいただければ進呈しますと所長が申しております。

〒604-8456 京都市中京区西ノ京壺ノ内町8-1  花園大学内
禅文化研究所所長 西村惠信 宛

 

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西田幾多郎遺墨展 -京都大学総合博物館-

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おはようございます。
11月最終週のはじまりです。早いですねぇ・・・・・・。

興味深い展覧会が目白押しのこの時期、まだ行けていないのですが、12/1までのこちらをご紹介しておきます。

西田幾多郎遺墨展

京都大学ならではの展覧会。なかなか他の美術館などで西田先生の書のみの展覧会は開催されることがないような気がします。必見ですね!

 

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開館20周年記念 村上華岳・山口薫・北大路魯山人展 -何必館・京都現代美術館-

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祇園にひっそりと佇む美術館、何必館・京都現代美術館を訪れました。
開館20周年記念を記念して、館所蔵の名品より、さらに選りすぐられた作品のおめみえです。
眼福の極みでありました。

辛いことがある時、何かもやもやとしたものが頭をもたげている時、苦しんで格闘しながらも作品を生み出し続けた先人たちの思い(作品)に触れる事は、誰にどのような言葉をかけてもらうよりも自身を癒やしてくれる事がありますね。
開館20周年記念展は先日終了しましたが、今月23日より、山口薫展が始まります。

最後に、館内にありました印象に残ったことばを・・・・・・。

-座辺師友-
自分の周辺の生活空間、自分の身辺にあるものこそが、おのれの師であり友である

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夕ざりの茶 -北村美術館-

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これまでに幾度もご紹介させていただいております北村美術館

こちらは毎度、茶事形式での展観(今回は寄付・濃茶席・続き薄)にて、拝観後はさながら何時間にもおよぶ茶事を楽しんだ後のように満足できるのが特徴です。

-夕ざりの茶-

はて、夕ざりとは?!と思っておりますと、いただきました展示目録にありました。
近代数寄者の茶会記を繙くと、社会的に多忙な財界人である彼らは、仕事を早くに切り上げられる日に集まり、夕方のまだ日のあるうちに席入りし、その後灯火も必要となるような時間帯に寄り合い、茶事を楽しむ事をなさっていたそうな。
冬の夜長を楽しむ「夜咄(よばなし)」の茶事とも違い、季節は関係なく行なったのが夕ざりの茶事だそうです。

忙しい合間を縫ってそのように茶事を行なった事、我々茶の湯を稽古する者としても見習わねばなりません。と、自分で書きつつ耳が(目が?)痛いです。
その昔の天下人や武士たち、そして近代の数寄者でもあった財界人、一服の茶に何を求め、何を見ていたのでしょう。数々のそれは素晴らしいお道具を拝見しながらしばし感慨にふけりました。

 

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物 黒 無 monocrome -正木美術館-

 

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大阪は南の方、泉北郡忠岡町という、泉大津市と堺市に挟まれたごくごく小さな町に、珠玉の名品を多々所蔵する美術館があるのです。

正木美術館

今後ご一緒に何か新しい試みができたら・・・と、館長の高橋範子先生にご挨拶に伺っていました。
高橋先生が水墨画・禅画のことを語られたら、興味無い人ですら、その深淵なる世界にひきこまれてしまいます。そんな風に、画の事を情熱を持って、わかりやすく、楽しく、多くの人に伝えていらっしゃる方です(先生のご著書はこちら)。

正木美術館の展示も、他とはひと味もふた味も違います。
今回は、国宝の大燈国師墨跡や重文の雪舟と、写真家・現代美術作家として日本が世界に誇る杉本博司氏の作品、所蔵品とのコラボレーションが見事に成立しているのでした。

私の場合は、大燈国師さえ展示されていたら観に行くかもしれませんし、禅宗のお坊さんたちもそうかもしれません。また、逆に、デザインや現代アートの世界にいる方は、杉本氏の作品やコレクションが出ているという事だけでも、足を運ぶかもしれません。
ここで出会うものが、今まで足を踏み入れなかった世界であった・・・という事が、起こりうるのです。この美術館に足を運んだ事で、新たな可能性や世界が広がり、知らなかった自分に出会えるかもしれません。
私は、ものごとを見る時に、真の部分となるのはいったい何であるのか・・・そういった事を考えさせられました。

また、杉本氏の作品やコレクション、そして“杉本表具”といわれるあたらしい形の表装にいたく感動してしまいました。世界で認められている日本の芸術家が、大燈国師の墨跡を愛蔵されている(表具をみたら愛蔵ぶりがわかります)事も、新鮮な驚きなのでした。

この展覧会の主旨はこちらに。とても面白く興味深いので、是非ともご一読いただき、足を運んでみてくださいね!
お茶会や、子どもが参加できるようなワークショップの企画も充実しています。
私は、後期の展示品入れ替えの後に、また訪れたいと思っています。

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開館30周年記念名品展Ⅱ -野村美術館-

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開館30周年記念名品展Ⅱが開催されている野村美術館を訪れました。毎回足を運んでいると、何度かお目にかかれる名品があるのですが、本当にその時々によって、自身の好みも変わってゆくものですね。
今回は、朝鮮の刷毛目茶碗、ご銘“四海兄弟”のおなり(形)や雰囲気にいたく心ひかれ、いつまでの眺めていられるなぁ・・・・・・と思いました。

空気も爽やか、少し汗ばむ日もありますが、歩いて野村美術館の界隈を散策するのも心地良い時期となりました。南禅寺参拝とあわせて、是非こちらの美術館にもお運びください。

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みほとけのかたち-仏像に会う- 奈良国立博物館

 

1309nara.jpg奈良国立博物館へとでかけて来ました。

みほとけのかたち-仏像に会う-(9月16日まで)と題した展観です。

「仏像ブームと言われる昨今に、あらためて 仏像って何だろう という問題を考えていく展覧会です。いろいろな仏像に出会いながら、仏像のすがた、かたちに込められた意味を読み解いていくものです」との事。

なにげなく拝んでいた仏像の、頭部の特徴や、印相、衣などなど、細かな部分についてがクローズアップされていて、仏像参拝初心者にもわかりやすい、改めて基本的なところを学ぶような展観となっていました。

そもそもお釈迦様は偶像崇拝を禁じたと言われますが(そう解釈されていますが)、仏教が世界各地に広まり、その土地の文化や土着の信仰などと混じり合いつつ、様々な形の仏像が作られてきました。
そしてこのように仏像の細部について学んで、「ほー!」などと感心しているのですから、面白いものですね。

連休は奈良へのおでかけ、いかがでしょうか。9月16日までです。

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根来 中世に咲いた花 -MIHO MUSEUM-

 

130911-1.jpg滋賀県は信楽にあります、MIHO MUSEUMの秋季特別展にお邪魔して参りました。

この日は友人が信楽高原鉄道の信楽駅まで迎えに来てくれるという事で、初めて乗ってみたのですが、素晴らしい景色が楽しめました。
“高原”と名のつく鉄道であるからして、上のような景色が楽しめます。

130911-2.jpg緑の中を走ります

 

130911-3.jpg線路はつづくよどこまでも

 

130911-4.jpgそして、いよいよ会場へ。いつもより展示室もかなり暗く、黒と赤の強烈さを強調した空間に。
日本中から根来の名品が集ってきているのではないか?!というくらいの内容でした。

特に興味深かったのは、東大寺二月堂ゆかりの道具たち。使われて使われて使われ続けてきた道具の持つ美しさには、何物もかないませんね。
それが祈りの場で使われていたのですから、その独特の気を纏った雰囲気はことさらに我々を魅了しながらも、自身がそれを骨董として使おうだなんていうことは、未熟な私には思いすら及びません。

久々に、和歌山は根来寺の聖天堂にある根来塗の修法壇を見にでかけたくなりました。
秋の紅葉狩りは和歌山に決まりですね。
もちろん、MIHO MUSEUMあたりの紅葉もいつもとても美しいので、展示替えもあることですし、再訪する事にいたしましょう。

 

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ー企画展 朝鮮文化と京都ー 高麗美術館

 

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いつも楽しみに足を運ぶ高麗美術館(京都市北区)。

企画展 朝鮮文化と京都-高麗美術館コレクションに見る「韓流」の歴史-
2013年8月17日(土)~10月14日(月・祝)

が開催中です。
毎回、“気”の良い韓国の美しいものに心底うっとりし、静かな心になり館を後にするのですが、今回は京都との様々なつながりを詳しく知り得て、興奮してしまいました。

大学生時代、家人から、「美しいでしょ?」と、見せられた本にあったのは、李朝白磁の壺。

以来、京都の骨董屋さんなどをうろうろし、いろいろと見てきましたが、なぜこんなにも自身が朝鮮文化に惹かれるのか、、とよく考えていました。
その答えは明白で、古くから渡来人が日本文化に多大なる影響を与えてきた事を思えば、私のDNAにも深く刻まれた記憶が、惹かれざるを得なくしていたのでしょう。
そんなところをはっきりと自覚させてくれるような展観だったのです。

そして、今回初めて拝見した、朝鮮綴。
世界中には、数多くの染色や織物の技術が伝わっており、大切にされてきた名品が今も各国で見られますが、朝鮮綴の品格と美しさは、群を抜いていると思いました(個人的な感想ですが)。
なかなか見る機会が無い物だと思いますので、この機会に是非、ご覧になってみてください。

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光象展 -奈良-

 

130902_kohsyo.jpg昨年もこちらで御案内させていただきました、-光象展-。

取材で何度もお世話になっている、伊賀は土楽窯の福森雅武先生道歩さんかみ添さんをはじめ、私の大好きな友人知人も何人か参加されます。

今年は昨年より更にパワーアップして、縁のあった多くの作家さんが集う会になるようです。

グループ展となると、だいたい普通は、似たような雰囲気の物を作る、似たような方達が集い、そのような雰囲気の展覧会をするのがごく一般的なのでしょうが、全くもってそうではないところが、面白いなぁ…と思いながら遠まきに見ています。

それでも御縁あった方達が集うのですから、混沌としているようでまとまったものになるのでしょうか。ベテランから若手まで様々な分野の物づくりの人たちが集うのもまた興味深く。

私なんぞは物づくりをしている者でもなく、出展するわけでもない為、ただただ楽しみにお邪魔しますが、若手の方々は胃が痛くなるかもしれませんね。
どんな叱咤激励が飛ぶのか、今から楽しみにしています(他人事のようですが、私もまたそこから学ばせていただくのです)。

当日は福森先生が花を生けられますし、しつらえなども楽しみにしていただけたらと思います。私も8日は会場におります(お手伝いしてますので遊びにいらしてください)。
どうぞよろしくお願い致します。



場所:国際奈良学セミナーハウス
日時:2013年9月6日(金)~8日(日)
10時~17時(最終日は16時まで)

〈陶磁〉
大杉康伸 岸野寛  清水志郎 辻村唯
福森雅武 福森道歩 細川護光 山中恵介

〈彩色/修復〉
廣戸一幸

〈木工〉
川合優

〈硝子〉
安土忠久 安土草多 安土天平 佐藤聡

〈紙〉
嘉戸浩

〈彫刻〉
岸野承

〈絵画〉
福井一 平川功 松村哲男

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「朝鮮通信使」絵図 -東京国際ブックフェア2013にて-

 

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先日、東京ビッグサイトで開催されていた、「東京国際ブックフェア2013」へ足を運んできました。
数年前、3年間にわたって禅文化研究所もここでブースを開いていましたが、ここ数年はご無沙汰です。今回は1来客としてみてまいりました。
まず初日の午前中、「電子出版の著作権と契約」についてのセミナーを聴講し、はやりの電子書籍にまつわる契約がまだ流動的でありまだ馴染んでいないこと、われわれ出版に携わる者が今後気をつけていなければならないことなどを学ばせてもらってきました。

その後、ブックフェアのブースへ移動。弊所が出展していた時とはだいぶ様変わりした感じがしており、外国からの出展やクリエイターやデザイナーの小さなブースが多いことを感じました。いわゆる紙本の出版社の数はだいぶ減っているような印象です。

そんな中、今年はテーマ国として「韓国」が取り上げられていたので、近寄ってみると、なにやら楽しそうな絵が見えます。

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韓国人に読まれている日本の書籍、日本人に読まれている韓国の書籍などがずらりと並べられて紹介されていましたが、例の絵は何だろうと近寄ってみると、どうやら朝鮮通信使を描いたもののようです。

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朝鮮通信使といえば、白隠慧鶴禅師の仮名法語『遠羅天釜』巻上には、朝鮮通信使の接待役である鍋島公を労う文言も出てきますし、滋賀の私の自坊の近くには、今も「朝鮮人街道」と呼ばれる朝鮮通信使が通った道(今は県道)がありますから、なにかしら身近に感じてしまうのです。

 

2013-07-03-4.jpg正使の籠をかついでいるのは日本人のようで、付近には唐人も同行している様子が書かれています。アジアでの外交問題は今に始まったことではなく、昔からいろいろと神経を使っていたんでしょうね。
しばしの間でしたが、興味深く見せてもらったのでした。

 

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BLUE & WHITE 藍と白の美 -大阪日本民芸館-

 

130625.jpg大阪は千里の万博公園内にあります、大阪日本民芸館を訪れました。

現在、「BLUE & WHITE 藍と白の美―そばちょこ・藍染めを中心に」と題して、大阪府藤井寺市在住の佐藤禎三氏(1933-)が個人で蒐集し、寄贈された物の中から、約1000点もの蕎麦猪口がお目見えです。

よく見たことのある図案から、「え?!こんなものまで蕎麦猪口の柄になってしまうの?!」というようなものまで、それはまぁ多種多様で、見ていて飽きるという事がありません。

そしてやはり、夏に染付けやガラスというのは、目で感ずる涼にもなりますね。季節に見合った展観で、暑い一日でしたがしばしそれも忘れる事ができました。

私自身はあまり古い物に手を出した事が無いのですが、最近は少しずつ気になる物を手に入れたりしています。寄贈者、佐藤氏は、最初は難物(いわゆる、欠けていたり、ヒビがあるもの)を求め、御自身で金継ぎをされていたのだとか。

私が何ヶ月か前に求めた蕎麦猪口も、江戸中期のとても色の美しい染付け。こぶりで何とも言えない風情。我ながら良い物だと思っていますが、ヒビが入っているということで破格だったのです。時間が無いと言っては後回しにしていた金継ぎですが、そろそろ習う事になりそうですね。

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岸野忠孝・承・寛 三人展

 

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私が敬愛する親子の3人展をご紹介させてください。

何度かこのブログでもふれていますが、岸野忠孝氏・岸野承氏・岸野寛氏の展覧会が東京で開催中です。

現代のものづくりに携わる人達の中においても、この親子はもう絶滅危惧種ではないか?!と思いながら、いつも周りをうろうろしている私です。
「あぁ、良いなぁ……」と、感動し、自分自身と響き合うものがあるので、拝見していて心地が良いのです。
14日(金)まで。是非ともお運びください。

詳細はこちら

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愚堂禅師の禅 講演会

 

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何度かご紹介させていただいておりますが、花園大学歴史博物館と禅文化研究所が共催で、2013年春期企画展「大圓寶鑑國師350年遠諱記念 大仙寺展」を開催中です(6/8まで)。

本日はそれにちなんだ講演会の日です。
おでかけの予定がまだ決まっていない方は、是非ともおこしください。

展示も今週土曜日までですので、本日展示をご覧いただき、講演をお聴きいただくのが、愚道禅師の息吹に触れるには一番かと思います。

◆6月5日(水)本日! 13:00~14:30
「愚道禅師の禅」 河野太通老大師(妙心寺派管長)
*無料

場所は花園大学内、教堂にて。
花園大学への行き方は、こちらからどうぞ。

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武家屋敷跡野村家 -金沢-

 

130603-1.jpgさて、長々とお付き合いいただいた金沢の旅のご紹介もこれで最後です。
唯一一般公開されている武家屋敷跡、野村家を訪れてみました。

兼六園はもちろんのことなのですが、加賀・金沢というところを知るてがかりとしては、こちらのお宅の庭を拝見するのが一番色々な事が見えてくるのではないか……と思えました。

130603-2.jpg百万石の江戸時代から明治の廃藩置県、大正時代の紆余曲折、数奇な運命を経て守り続けられたこの庭が語りかけてくるそのものが、金沢の歴史と文化そのものなのでした。
比較するのも変な話ですが、京都のお庭との対比もしやすいように思いました。

この日は雨で、庭の苔も石もしっとりと……えもいわれぬ美しさで、二階の舟形の茶室から一階の庭を眺めていると、時間などはあって無いようなものなのでした。

-壺中日月長-

今年もはや、長雨の季ですね。しっとりと濡れた金沢の町もまた情緒あることでしょう。
京の都に降る雨に、野村家の庭を思い出しています。

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-花の風姿- 金沢能楽美術館

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恐らく、金沢にゆかれた方はほぼどなたもが立ち寄るであろう、現代美術館としては異例の(と言うとおかしいのでしょうか…)人気を誇る、金沢21世紀美術館
そのお隣に、ひっそりと佇むのが、金沢能楽美術館です。正直、現代アートというものを心底楽しむ事ができない私には、とても落ち着く美術館です。
今回は“藤”の花にちなんだ能装束などが飾られ、それは見事な展観なのでした。

能楽は武家の嗜みであるからして、金沢にて盛んであった事は何の不思議もありません。初代利家は、秀吉の影響もあり金春流を贔屓にしていたそうですが、五代藩主綱紀が、五代将軍綱吉の影響を受け、宝生流の能楽を奨励した事から、加賀宝生として、現在もなおその伝統を守り続けています。
金沢の地では、専業の能役者、それに準ずる家柄のみならず、町人が兼業として能楽をたしなむ町役者の存在があり、手厚く保護されたのだとか。茶の湯に感じた身近さと同じく、能楽に関しても、庶民が鑑賞できるような機会も多々あり、次は能楽鑑賞の為に金沢を訪れたいと思いました。

こういった文化芸能が、ある特定の人のみによって保護されたり楽しまれたりするのではなく、広く一般に染み渡っている事が、加賀の三太郎(鈴木大拙・貞太郎、西田幾多郎、藤岡作太郎)など、日本の文化や思想を後世へと引き継ぐのに重要な役割を果たす人物を生み出す事へと繋がるのであろう……と感慨深く、美術館を後にしました。

*追記
以前お邪魔した時には無かったのですが、今回訪れてみますと、能装束の着装コーナーができていました。舞妓さんの疑似体験には全く興味の無い私も、これには足を止めざるをえず……。なんと面まで自分の好きなものが撰べるのです。般若ですとあまりに似合いすぎる(というか、そのままです)ので、普通に小面をつけさせていただきました。初めての体験でしたが、なんと視界の狭い事。能役者が舞台で舞うことの苦労をほんの少しでも味わう事ができました。オススメです。

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藩老本多蔵品館 -金沢市-

 

130527.jpg安土桃山~江戸時代にかけての歴史に興味があり、茶道をしているのであればなおさら……“五万石の壺”の異名を持つルソン壺、“村雨の壺”を拝見しに、加賀八家(1万石以上の禄高を持つ加賀藩の重臣)筆頭でもある、本多家の蔵品館を訪れました。

加賀本多家の祖である、本多政重(徳川家康の重臣、本多正信の次男)が、主君・前田利長から褒美に下賜されるはずであった五万石を固辞した変わりに拝領したのがこの壺で、このエピソード故に、五万石の壺と呼ばれるようになったそうな。

むむー(これが五万石の壺かぁ……)。フィリピン(ルソン)には行った事がありませんが、以前訪れたミャンマーで、水がめとして村人達が自由に水を飲めるように使われていた壺(甕)や、家の軒先などに置かれていた壺が、まさにこんな感じでした。なんでもなかったであろう壺が、日本の歴史に名を残す武将達の手から手へと渡り、最後には五万石の出世。
壺自身、思いもよらなかったことでしょう。物の“価値”とは面白いものですね。

この本多家の屋敷跡、今は“本多の森”と呼ばれ、下記の施設が点在しています。加賀百万石の地は、前田家のみならず、有力な家老の影響も色濃く現代に残し、住む人、訪れる人々に今なお多大な影響を与えているようです。

 

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鈴木大拙館 -金沢市-

 

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私の中では、兼六園よりも、21世紀美術館よりも、ここ最近では“金沢”といえば、“鈴木大拙館”に訪れるのが一番の楽しみとなりました。

前回訪れたのは、雪のお正月でしたので、今回の新緑の頃もまた新鮮なこと。時間を気にしない旅であれば、いつまででも思索空間に坐っていたくなるような……。

展示品に、(時にうるさく感じるような)解説が無い事も、お気に入りの理由の一つです。感じる前に、誰かによって書かれた感想や意味を頭に入れてしまえば、そのように見てしまう(あるいは、そのようにしか見えなくなる)わけで……。
解説が無いのを不親切と感じる方がいらっしゃるかもしれませんが、これは本当の意味で、非常に親切な事だと私は思っています。

130524-2.jpg裏庭からのプロムナードをゆけば、松風閣庭園が。そしてお隣の敷地へゆけば、そこは中村記念美術館。こちらにもお邪魔しましたが、立派な茶室があり、翌日の茶会の準備をされていました。

兼六園でも立派な茶室にて釜がかかり、大勢のお茶人さんがお見えでしたが、今回の旅では、お茶(茶道)がとても身近にある印象を受けました。
百万石の城下町であった事、先人達が残したもののみに依存し、甘んずる事なく、今を生きている人々が、伝える努力を怠らない所にこそ、現在の金沢の文化度の高さを保ち続けている由縁があるのだな……と、感じ入りました。

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開館30周年記念名品展 -野村美術館-

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新緑の美しい南禅寺界隈にあります私設美術館。野村美術館を訪れました。
現在、開館30周年記念の名品展が開催中。

何年にも亘り、何度も足を運んでいますと、同じ名品に遭遇する機会が度々得られます。
「前にもう見たし今回はいいか……」というのではなく、前の自分と今の自分は変わっているわけですから、また見方も変わるもので、そんな風に回を重ねて見てゆくと、より一層、色々なものごとに対する理解も深まってゆくような気がしています。

常に自分を写してくれるような名品の数々。今のお前はどうなのかと問われているような気がして……。名品を鑑賞して自己をみつめる休日もまた、良いものです。

新緑の京都の山々は眩いばかり。是非お運びください。6月2日まで。

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室町の花 観世宗家展 -承天閣美術館-

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相国寺(ただいま春の特別拝観中)内にあります承天閣美術館にて、-室町の花 観世宗家天-が開催中です。
私自身、お能には若い頃より惹かれてやまない為、楽しみにしていた展観でした。

第一展示室から、数々の名工の技をこらした能装束。どのような番組の時に着用する衣装であるかなど、解説を読みながら、その意匠に見入ります。

第二展示室への長い通路へと歩みを進めると、あのなんともいえない笛と鼓の音が聞こえてきます。DVD視聴コーナーが設けられおり、御存知“道成寺”(安珍と清姫の道成寺縁起を題材とした番組)が流ていました。ちょうどクライマックスの鐘の場面。あぁ……人間の悲しき性、女の怨念、鎮まる魂。観に行きたくなりますね。

第二展示室では、お待ちかね、能面です。まだまだわかりかねる難しいものでもありますが、数々の番組をみてゆけば、この能面は、あの能面は……と、能面のことも少しはわかってくるのでしょうか。
白洲正子さんのように、能が洗練される前の猿楽や伎楽の面など、大陸からの影響を色濃く残した古い面も拝見してゆきたいと常々思っています。

この展観は5月26日まで。その後には、流派が違いますが、私が毎年楽しみにしています、金剛家の夏の虫干があります。今年は7月20日・21日に開催されるもよう。
日に何回か、お家元御自らによる、とてもわかりやすい解説がなされ、ガラスケースなど無く、間近に能面や装束を拝見する事ができます。一見の価値大いにありです。

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狩野山楽・山雪 -京都国立博物館-

130508.jpg京都国立博物館・狩野山楽・山雪の展観にお邪魔してきました。

紆余曲折ありながらも、常に強力な外護者を得て、当時高価な顔料もふんだんに用いた、色鮮やかで力強い描写に圧倒される人が多い事かと思います。

が、やはり、「あぁ、良いものだなぁ……」と心から思うのは、墨一色で描かれた禅画。“雲門体露金風図”や、“達磨梁武帝会見図”には殊の外惹かれたのでした。もう少し、一般の方にわかりやすいこの画の解説があれば、より一層面白く拝見できるのにな…と老婆心ながら思いました。
?と思い、帰ってから御自身で調べる方はどれくらいいらっしゃるでしょう。

妙心寺さん関連のものがとても多かったですね。これだけ一度に拝見できる機会はそうは無いと思いますし、普段公開されない塔頭の所蔵品も多く出展されています。眼福の極み。
5月12日(日)まで。

臨黄ネット“禅語”より 体露金風
ブログ禅 えしん先生の禅語教室より 不識

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しむらの色 -細見美術館-




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細見美術館にて、志村ふくみさん・志村洋子さん母娘の展覧会が開催中です(5/6まで)。
染色・織にとどまらず、その随筆の素晴らしさでも知られるところの志村ふくみさんと言えば、もう説明もいらないかと思いますが、紬織における重要無形文化財保持者(人間国宝)です。
洋子さんは御存知お嬢さん。母娘作歴30年の記念すべき展観とのことでした。

自然より、染めの材料となる草木をいただき、糸を染め、織る。
人間の思い通りとはゆかない自然とともにある日々。日本の信仰の根底にあるものを彼女の仕事や文章に観る事ができる気がして、昔から事あるごとにページをめくっては、語られている事全てにハッとしつつ、ドキドキしながら読んだものです。
いまだに、琵琶湖岸で夕焼けを眺めると、「志村先生がこの色を着物に写されたのだなぁ……」と毎度同じ事を思い出します。

今回の展観で、ひときわ惹かれてやまない着物がありましたが、それは志村ふくみさんのお母様の作品でした。志村先生の原点をそこに観たように思いました。

今後、後進を育てるべく新たな事にも挑戦してゆかれる模様。楽しみです。

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我々の方の問題




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禅文化研究所の職員でもある私(在家)ですが、臨済宗黄檗宗連合各派合議所の職員でもあります。
昨日は、臨済宗黄檗宗各派本山の宗務総長の集まる会議でした。

このような職場で働いているのですから当然かと言えば当然ですが、禅宗寺院や禅宗のお坊さんが大好きなわけで、この日も皆様の御様子を色々と眺めておりました(こわいですね……)。

茶を喫する時には、まるで茶と一体になっているかのように向かい合い、しみじみと味わっていらっしゃる御様子にハッとし(私はお茶を習っていますが、お茶を喫する時、そこまでお茶に向かい合っているでしょうか……)、斎座の時の動きが無駄なくキビキビと美しく心地良かったり、ちょっとウィットに飛んだ会話をしてみてオチャメだったり、お辞儀が果てしなく丁寧で美しかったり……と、15本山の総長方には、いつもご一緒させていただくだけで、これぞ熏習ともいうべき学びがあるわけです。

そこで思い出したのですが、ある人が、土樂窯の福森雅武先生に、まるで最近の坊さんはなっとらん!とでも言いたげに、「先生、最近の禅僧はどうですか?」と尋ねたところ、

「そりゃね、師から何かを引き出すのも我々なんです。立派な和尚がいっぱいいるわけだけれど、私に少しだけ与えてくれることがあるというところを、引き出すんです。我々の方の問題です」。

と仰ったのです。

全ては自分の問題。
最近の禅僧がどうだ、最近の子どもはどうだ、教師はどうだ、と誰かに矛先を向ける前に、自分なのですね。

そんな福森先生と土樂窯の展示会が京都で開催され、土曜日には、先生と浜美枝さんの対談が行なわれます。どんなお話が聴けますでしょうか、今から楽しみです。
皆さんも是非、こういう方のものづくりをご覧になってみてください。

ギャルリー田澤 河原町店
4/11(木)~21(日)
11:00~19:00(月曜休廊)



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「大圓寶鑑國師350年遠諱記念 大仙寺展」 開催中!




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花園大学の歴史博物館において、「大圓寶鑑國師350年遠諱記念 大仙寺展」(花園大学歴史博物館、禅文化研究所共催)が始まっています。

無料です! 退蔵院さんで「そうだ、京都、いこう!」の桜をご覧になった後は、こちらにも是非お立ち寄り下さい。

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会期:平成25年年4月2日(火)~6月8日(土)
※会期中、作品の展示替を行います。
1期:4月2日(火)~5月4日(土・祝) 
2期:5月7日(火)~6月8日(土)

休館日:日曜日、5月6日(月)
※但し、大学行事により臨時休館する場合があります。
会場:花園大学歴史博物館(無聖館4階)
開館時間:10:00~16:00(土曜日は14:00まで)
入場料:無料

詳しくはこちらから。

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岸野忠孝展 -奈良-




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私が最も敬愛する方々の内のお一人で、よくこちらでもご紹介させていただいている、岸野承さん寛さんのお父上でもある、岸野忠孝氏の個展にお邪魔して参りました。

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説法

忠孝氏はほとんど視力がありません。ですが、今でも家からタクシーに乗り、東大寺の松を観にでかけられては描いていらっしゃるのだとか......。
そのものの持つ"気配"というものは、動物であれ植物であれ、生きている以上、どうしたって隠せるものではありません。
その、"気"を受け止めて描いていらっしゃるかのような画でありますから、視力云々は、もう関係ないのかもしれません。私達とは違う、"ものを観る目、感じる目"をお持ちなのであろうと、作品をみるにつけひしひしと感じてしまいます。焦がれてやまない境地。先生の作品が大好きです。

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渡仏

先生にお会いすると、私の事も、お見通しだろうなぁ......となんとなく勝手に緊張しているのですが、何の枠もとらわれも無いような所にいらっしゃる為、お話し始めると、そんな緊張もなくなり、なんだか軽やかな気分に。
その昔、山田無文老師に3年間参禅された氏から、今後も色々伺い、何らか掴めたら...と思っています。

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長ぐつ

【岸野忠孝 墨彩画展】
本日(4/2)まで
時間:10時~17時
於:国際奈良学セミナーハウス

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花の美 石の美 庭園の美 -大和文華館-

4月ですね。新しいスタートを切る方も多くいらっしゃるのでしょうか。
期待や不安を同時に抱え気の張る季節。
是非とも新しいスタートを切るこの機会に、坐禅をしてみたり、呼吸を意識してみてください。

新年度も、研究所のブログは代わり映えもなく粛々と続けさせていただきます。
さて、もう展観は終わってしまいましたが、ご紹介。
奈良の大和文華館です。いつもポスターや招待券を頂き、有り難い限りです。

この度の展観は、「花の美 石の美 庭園の美」。詳しくはこちらをご高覧下さい。

そういえば、私はまだ中国へは行ったことがありませんが、中国支配の長かったベトナムにて、おおよそ日本庭園の石とは異なるような奇石を、庭に配していたのを拝見しました。これでしょうか。

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フエの王宮にて 右端に大きな石が配されています

さらに、ティエンムー寺では、臨済宗の僧侶たちが丹精こめて育てている盆栽の奥に、石が見えますね。
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ティエンムー寺にて

先日訪れたお茶会では、亭主が朝鮮にてみつけてこられた美しい石を盆石にしたものが、床に花の代わりに飾られていました。石があるので、花までは飾りません。何かしら自然を一つ配置し、愛でるのですね。なかなかに姿の良い石で美しく、興味深く拝見しました。

今回の展観では、中国の文人文化に関する書画や石などが多く展示されていた為、訪れる人には、煎茶道を学んでおられる方や、黄檗宗のお坊さんなどが多かったように見受けられました。

私は、ちょうど訪れた日に、黄檗文化研究家の大槻幹郎先生の、「黄檗文化と煎茶と石」 を拝聴し、全く門外漢であった煎茶の文化に触れられたこと、また、黄檗文化が日本文化に与えた影響などを教えていただいた事が、大きな収穫となりました。

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茶人のあそび 形物香合番付の世界 -野村美術館-




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南禅寺近く、野村美術館で開催されている香合展にお邪魔しました。

香合。お茶では、炭点前や、炭をつぐ際に、炉の時期であれば練り香、風炉の時期であれば香木をくべます。そのお香の入れ物を香合といいます。

今回は、お茶を習っている者であれば、何らかの機会に耳にしたり、目にした事があるであろう、「香合番付」の展観です。
そう、実は、香合には、お相撲さんのように番付があるのです。

江戸時代の、安政2年(1855)に、道具屋や目利きが集い、作られたものらしいのですが、一つの主題で同じ傾向の形または、模様のある香合は「形物香合」と呼ばれ、当時の人気度や、その格によって、ランク付けされています。
香合番付から、当時の様々な事をうかがい知る事も可能ですね。
香合好き、お茶を稽古する者のみならず、小さい物がお好きな方、焼き物の世界が好きな方、中国が好きな方(唐物が多く出ています)、お子さんにも楽しんで頂けるであろう展観でした。
界隈の桜も見頃を迎える頃ですね。

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岸野寛展 -阪急梅田本店 美術画廊-




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若手陶芸家として活躍中の、岸野寛さんの展覧会が阪急梅田本店にて開催されます。
岸野寛さんは、福森雅武先生のお弟子さんでもあり、度々紹介している岸野承さんの弟さんでもあります。

岸野兄弟のお父様・岸野忠孝氏(画家)が、福森雅武先生と無二の親友なわけですが、2人は若い頃、臨済禅師の、「仏に逢うては仏を殺し。祖に逢うては祖を殺し。羅漢に逢うては羅漢を殺し。 父母に逢うては父母を殺し。……お前はどうなのか!!!」と、やりあった仲なのだとか。
片や無文老師に参禅をされ、片や若い頃から禅寺に出入りし坐禅し、比叡山の阿闍梨さんについて天台の修行をされた事もあるからして、このお2人の若き頃のお話は、聞いていてあきるという事がありません。

岸野家と福森家の人々。こんなに面白い方たちはもう、絶滅危惧種ではないか!?といつも思わされるのと共に、憧憬の念を抱きつつ、この方達の後を追っかけている私です。
こういう方達の“ものづくり”を、多くの人に見ていただき、知っていただきたいなと思います。

新装オープンした阪急での個展。楽しみです。

会期/平成25年3月27日(水)~4月2日(火)
*催し最終日は午後6時終了
会場/阪急うめだ本店 7階 美術画廊

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福森雅武展 -陶仏・茶碗・花入・器-  ギャルリー石塀小路和田




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焼締台皿に苔を敷き、椿と梅を生ける

先日、招待されてお邪魔しましたピアノコンサート。
井澤利先生(兵庫教育大学名誉教授/神戸女学院音楽学部でも教鞭をとっておられました)の演奏では、まるでピアノが生きており、おのずから弾いてもらう事を欲しているかのような音を奏でていました。
先生とピアノが一体となって、相互にその命を生かしきり、それにより、衆生を済度するかのようでした。
そこでふと思い出したのが、土樂窯の跡取りで、友人道歩さんがお父さんの轆轤について言ったことばでした。

「うちの父はどんな職人よりもやれる。土のほうが言う事を聞く」

昔、この発言を聞いた時には、「ふぅむ、そんなものなのかぁ...」と思ったのが、なんとなく、わかった気がしたのでした。

土と一体となり、土が欲して形作られたもの。
そういう器と日々共にある暮らしは、ともすれば自らを救ってくれる機縁を結んでくれると、私は本気で思っています。日々の暮らしが、なんでも良いわけが無いと思うのです。

今回の氏の個展も楽しみです。本日より始まっています。
先生の生けられた花もご覧いただけますので、是非とも皆様に実際に見て感じて欲しいと思います。

花を生ける時は自然そのもの、自然と一体になっておられます。美しいと感じたものをそのままそこに再現するのみ。だから何のてらいも無く、嫌らしさも無いのでしょうね。
そんな花が、いつになったら生けられるでしょう。
いつもいつも、先生の花を見てはいろんな意味で溜め息をつく私です。

花についての記事はこちら。
福森雅武の花 -季刊『禅文化』225号より-


【福森雅武展 -陶仏・茶碗・花入・器-】
2013年3月21日~31日(3/27は休廊)
12:00~18:00(21、23、24日作家在廊)
ギャルリー石塀小路 和田

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古代ガラス -色彩の饗宴-  MIHO MUSEUM




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冬眠から目覚めた、信楽のミホミュージアムへとお邪魔してきました。
毎回欠かさずにお邪魔するのを楽しみにしていますが、今回はまた興味深くも古代ガラスの展示。

紀元前に、高価な石を真似て作られた宝飾品としてのガラス、器としてのガラス、透明に憧れるもまだ不純物が多かったそれが、時を経て不思議な色を発し、現代に生きる我々を今なお魅了しています。

時代も下り透明なガラスが作られるようになると、さらにその透明なガラスに様々な技巧をこらし始める。人々が美しいものを求める欲求は、とどまる所を知らないのだな……と思わされます。

“染司よしおか”の吉岡先生が、奈良時代の染色や織の技術に、いまだ我々は追いつけないのだといつも仰っていますが、ガラスも同じで、古代の人々がどのようにして作ったのか、いまだ不明な点も多いようで……。
何をもって発達というのか、わかりませんね。
現代を生きる我々人間は、地球上の歴史において、さも自分たちが一番進化し、科学技術を持った事により偉くなったような錯覚を起こしていますが、こういった素晴らしい古代の技法、美しいものに触れていると、傲慢な考えは吹き飛んでしまいますね。


今回は特別に大英博物館の名宝、スパイラル・レースガラス碗がお目見えしています。これが制作される過程の復元映像などもあり、非常に興味深いものでした。
この展覧会にも関連した、古代オリエント美術については、3月号の『目の眼』に詳しく掲載されており、非常に読みごたえのあるものでしたので、是非ともオススメしたいと思います。

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岸野承展 -岐阜 画廊光芳堂-




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友人、岸野承さんの個展が岐阜で開催されます。
詳細は下記のとおり。

平成25年3月19日(火)~24日(日)
午前10時半~午後6時 会期中無休
作家在廊日 19、20、23、24日
於:画廊光芳堂 岐阜市梶川町1番地


先月の京都での個展(大盛会でした)。
さて、どのような変化があるのだろう?!と楽しみに訪れましたが、"今"を生きている彼は、どんどん新しくなってゆくのだな......と思わされました。

今までは、"仏教"のくくりに入る仏を多々彫っていましたが、その枠がとっぱらわれてきているように思え、古いキリスト教の教会にあってもしっくりくるかのような彫像がありました。
宗教の根底に共通するものをそこに見たような気がして、物を作る人、生み出す人のすごみを感じ、言葉を失っていた私です。

岐阜近辺の方は是非とも一度、彼の空気に触れてみてください。

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「書画と白磁、そして民画の世界  ―朝鮮時代の絵画と陶磁」 高麗美術館




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高麗美術館へお邪魔しました。
今月末までですので、是非お運びください。

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『墨蹟の至宝展-気迫あふれる禅僧の書-』 -承天閣美術館-

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美術館への道に咲く梅 僧堂の大木も満開

先日やっとお邪魔して参りました。
眼福の極みでした。
歴史に名を残した多くの祖師方の墨蹟をこれほどまでに一度に拝見できる機会は、そうは無いと思います。
以前、有馬管長のDVD撮影にて、茶室に伺った際に掛かっていたお軸も展示されていましたよ。美術館で展示されるのみならず、このように茶室に掛けられてこそですね...。
17日、日曜日までの展観ですのでお見逃し無く。

また、相国寺の塔頭、慈照院、そして近くの尼門跡寺院、大聖寺も特別公開中です。
京都御苑の梅も満開、桃もほころびはじめていますし、この界隈が熱いです!(個人的にとても興奮してしまいます)
是非ともこの土日におでかけになってみてください。 

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墨梅  -正木美術館-




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面白そうな展観ですが、会期ぎりぎりにしか行く暇がありませんので、先に皆様にお知らせを。

大阪は泉北郡にあります正木美術館にて、【墨梅】と題した展覧会が開催中です(3/3まで)。
正木美術館には未だ足を運んだ事が無く、前回も面白そうな展観を見逃しましたので、今回の展観は必ずや!と今から意気込んでいます。

絶海中津賛の墨梅図が、ことのほか楽しみです。
絶海中津と言えば、この時の事を思い出します。時間が無くて行けませんでしたが、やはり一度訪れてみたいな......と思っています。

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渋谷の白隠展に




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このブログでもすでに2度、記事にしていますが、現在、渋谷東急 bunkamuraにて開催されている「白隠展 -禅画に込めたメッセージ」を、やっと観に行くことができました。
何しろ、100点もの白隠禅師の書画を一度に展観している展覧会は、めったに出逢えるものではありません。開催時から観に行きたくて仕方がなかったのですが、やっと叶ったといったところです。

3連休の初日土曜日の昼下がり、どちらかというと夕方に近い時間でした。
渋谷ハチ公前のスクランブル交差点の人の波には、いつも溺れそうになるのですが、久しぶりの東京渋谷は、相変わらずの人混みでした。また渋谷駅が大規模な工事をしているので、なんだか、普段ひっそりと生活している者には、頭の中で半鐘を打たれているような気分です。

まっすぐbunkamuraを目指します。
地下にあるミュージアムに入ると、すぐに白隠の書画が目に入ってきました。多くの方が来場されていますが、比較的じっくり観ることができるほどの人数でした。部下が行ったときにはもっと多かったのかも知れません。
図録では何度も見たものがほとんどなので、私にとって決して目新しいわけではないのですが、やはりホンモノを目の前にすると、とても感動的です。予想していたよりもなんとも圧巻。
また、今回の展覧会のポスターやパンフレットにあしらわれている「布袋お多福を吹く図」は、大洲のお寺から新たに見つかったものらしいですが、これは大きな対幅で、とても素晴らしい作品でした。

また、42歳で大悟するまでの画と、大悟してから晩年までの画の違いは一目瞭然。同じ達磨を描いた麼ものでも若い頃の繊細なタッチと比べると、大悟後の画のユニークさといったらありません。ただそれをただユニークだと受け止めていられないのが白隠の書画。
展覧会のキャプションでは、あまり詳しく書かれていないので、キャラクターの面白さや、構図の楽しさに目を奪われ勝ちですが、白隠禅師法語全集の仕事をしていた時に知らされた、痛烈な幕府批判や民衆教化、弟子の育成叱咤の言葉が、随処にちりばめられています。

たまたま、今回の展覧会の監修者の一人、芳澤勝弘先生が来られており、声をかけてもらいました。先生は前職が、禅文化研究所の編集主幹だったので元直属上司。沼津永明寺蔵の若書きの巨大な達磨像の上には、じつは賛が書かれていたのではないかと思われるというような、キャプションには書かれてないミニ講座のようなお話も聞かせてもらうことができました。

展覧会は2/24(日)まで。あれこれ難しいことを考えなくても、また、白隠禅師のことなど知らない人でもきっと楽しめます。なぜ東京国立博物館ではなく、若者の集う渋谷のbunkamuraにて開催されたのか。是非、その不思議を探ってみてきてください。

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ついでに、リニューアルされた東京駅、なかなかの壮観でした。丸の内北口や南口のドーム天井も美しかったです。それと、いたるところにあるポスターなどで、東京にオリンピックに招致しようというムードが満ちている東京でした。

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岸野承 木彫展 -京都・蔵丘洞画廊-




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岸野承さんの木彫展が、京都にて開催されます。
詳細は下記のとおり。


【岸野承 木彫展】
平成25年2月2日(土)~16日(土)
午前10時半~午後6時半 会期中無休
作家在廊日 2、3、9、10、11、15、16日
於:蔵丘洞画廊 京都市中京区御池通寺町東入ル(本能寺文化会館1階)


彼の人となり、暮らしというものを、わずかながらも知っていますが、家族がありながらもどこか世捨て人的風情もあり、非常に興味深い、面白い人なのです。
そんな彼が、何を思い彫るのか、何も思わずただ彫るのか、私の知るところではありませんが、ともかく新しい作品が拝見できる機会を今から楽しみにしています。

“ギャラリーでの個展”となると、敷居が高いように思えて、ましてやぱっと買えるような物を置いているわけでもなく、おでかけなさりにくいかもしれませんが、絶対に面白い、今まで見た事の無い世界が見られますので、何も気にせずに、是非ともお運び下さい。

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白隠展 -禅画に込めたメッセージ




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渋谷駅。
電車を降りたらすぐに目に飛び込んで来た白隠白隠白隠さんのポスターポスターポスター!!!
駅構内が白隠さんのポスターで一色と言っても過言ではないほど。

「おぉぉ、こんな事があるのか!!」と興奮ぎみに東京渋谷のbunkamura「ザ・ミュージアム」にて開催中の「白隠展 -禅画に込めたメッセージ」へ向かいました。

開館と同時くらいに入ったのですが、団体の見学者をはじめ、平日の午前から多くの方々でにぎわっていました(休日だと一体どうなるのか……と思われるほどに)。
混雑を避けて、人がまばらな所から拝見していたのですが、今までにもいろいろと白隠さんのお軸は拝見してきたものの、数多く(一万点とも言われています)ある中から選りすぐられたものばかりという事もあって、本当に「これほどのものを、一度に拝見する機会は、もう私が生きているうちには無いかもしれぬ」と、感動でうち震えながら一つ一つを拝見させていただきました。



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最後に拝見する事になったコーナーで、達磨・臨済・雲門の三幅対を前にし、なんだか祖師方と白隠さんの大大大慈悲に触れたような、何かぶわっとせまってくるものがあり、涙が出そうになるのをこらえるのに必死でした。
おおげさでもなんでもなく、それくらいに素晴らしい展観です。

各地を巡回しないのが残念でなりませんが、その変わりといってはなんですが、開催期間は長めです(2/24まで)。
東京近郊にいらっしゃる方、おでかけになられる予定がおありの方は、足を運ばぬという選択は有り得ません!

時代を超えてなお、私達に厳しくもあたたかな慈悲の心をもって語りかけてくる白隠さんの書画。
残されているという事への感謝、所持者の展観に対する理解への感謝、そしてこの展観を開催するにあたって色々と奔走された全ての方々への感謝をもって、有り難く拝見させていただきました。


丁寧な解説がありますが、それを読む前に、一度頭に何も入れないままに見て回られるのもまた一興かと思います。



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素通りできるはずもない、白隠グッズの数々。色々と買ってしまいました。

【白隠 -衆生本来仏なり-】(別冊太陽 日本のこころ)絶賛発売中!

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「白隠展 -禅画に込めたメッセージ」




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この冬、注目の展覧会が東京渋谷のbunkamura「ザ・ミュージアム」にて開催されます。「白隠展 -禅画に込めたメッセージ」です。
元・禅文化研究所の主幹(私の元上司)だった芳澤勝弘(現・花園大学国際禅学研究所教授)が研究されている白隠の書画の集大成、『白隠禅画墨蹟』(二玄社)が先年刊行されました。それ以来、芳澤先生は世界各地を股にかけて、白隠禅画の特徴を講演してまわっておられます。
このいまや白隠研究の第一人者ともいえる芳澤先生と、明治学院大学の山下裕二教授(美術史)が監修されて、この展覧会が企画されました。

期間は2012/12/22~2013/2/24です。期間中、以下イベントが企画されており、こちらもとても興味深いものです。

◆シンポジウム(場所:学士会館にて)
1/30 白隠フォーラム「白隠禅画の面白さ」
出演:横田南嶺老師(円覚寺管長)、アラン・スペンス氏(作家)、竹下・ルッジェリ・アンナ氏(京都外大准教授)、芳澤勝弘教授、ベッカー・ヤン・クレメンス(テュービンゲン大学アジア地域文化研究所日本学科研究員)

◆トークイベント(場所:Bunkamuraにて。1/20のイベントのみ渋谷ヒカリエ8にて開催)
○12/25 「ハッピーバースデー、白隠さん」 白隠禅師の御誕生日に行なわれます。出演、しりあがり寿氏(漫画家)、山下裕二教授
○1/14 & 2/6 「白隠禅画を読み解く」 芳澤勝弘教授による、白隠画賛の読み解き。
○1/20 「山下教授の特別課外授業」 山下裕二教授と、音声ガイドを担当する井浦新氏(俳優、クリエーター)のスペシャルトーク
○1/23 「日本美術応援団、白隠を応援する」 日本美術応援団団員の赤瀬川原平氏(現代美術家・作家)、南伸坊氏(イラストレーター)が、団長の山下裕二教授とともに白隠を応援。

詳しくはbunkamuraのWEBサイトを御覧ください。
私もいずれかには必ず足を運ぼうと思っています。

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うつわの力 -大山崎山荘美術館-




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紅葉の時期の大山崎山荘美術館は、信州あたりのコテージに来たかのような雰囲気で、我々の目を展示品のみならず楽しませてくれます。

今回の展示は、「うつわの力 -くらしを彩るいれものたち-」です。
私も器が大好きで、少しずつ増えていっています。これ以上いらないのではないか?と思うものの、やはりその時の自身の心にかなう物が欲しくなるものです。
心にかなう物と共にある暮らしは、豊かなものですね。

さて、そんな器の展示ですが、今回一番心に残りましたのは器ではなく、三國荘で使われていたという李朝のさじをティースプーンに見立てたもの。初めて拝見する形で、さじの文化の国のそれは、日本の形とはまた違い、いたくひきつけられ、誰かこれを写してはくれないものかと思ったほどです。

昔親しくしていただいていた骨董屋のおじさんが、あらゆる航空会社のティースプーンを集めていらしたのを思い出しました。お国柄で柄やつぼの形が違うのですよね。食べる物や文化が違えば当たり前の事かもしれませんが、なかなかに面白いものです。

それにしましても、何年も何年も、同じ場所(美術館)に通い続けるのは良いですね。
その時々の心性をこの風景が思い出させてくれます。
また、今の私は今の心性を通してこの場所からの風景を眺めて物思います。

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東嶺圓慈 特別展 第2期が始まりました




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以前お知らせしましたとおり、現在、花園大学歴史博物館にて、2012年秋企画展「東嶺圓慈 禅画と墨蹟」ならびに、禅文化研究所曝涼展「江戸前期の三大禅匠」を同時開催しております。
11/6までの静岡龍澤寺所蔵品を展示していた第1期展示には、沢山のご来場をいただき、大変興味深い展示であったなどとご好評をいただきました。

ついで、去る11/9より、第2期内容に展示替えをし、東嶺禅師示寂の地、齢仙寺をはじめとする故郷近江の寺院につたわる遺墨を展観しております。
また、第二展示室の禅文化研究所曝涼展では、引き続き雲居希膺・愚堂東寔・大愚宗築という江戸前期三大禅匠の墨蹟、ならびにその三禅僧と関係の深い禅僧の墨蹟もあわせて展観しております。
会期中に下記の記念講演会も開催します。

■2012年12月6日(木)13:30~14:30
「東嶺圓慈墨蹟に流れるもの」 丸山 猶計 氏(九州国立博物館主任研究員)

申込不要、入場料無料、ただし先着150名となりますので、ご注意ください。

なお、本特別展の図録は現在制作中です。東嶺禅師の書の内容は神道に関わることも多いため、釈文に手間がかかっており、大変お待たせをしておりますが、上梓の際にはこちらでもお知らせいたします。

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詳しくは、こちらのページを御覧ください。

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清雅なる仏画 白描図像が生み出す美の世界 -大和文華館-




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11月11日(日)までだったのですが、大和文華館にて面白い展観が開催されていました。

仏画の元となる、墨のみで輪郭がはっきりと描かれた白描図像の展観です。
なかなかお目にかかる事は無いように思います。力強い線、繊細な線で表現される仏様の数々。

私達が何気なく見ている仏画の中には、この白描図像を元に描かれている物も多く、何体かの仏様が描かれている画などでは、実は解明不可能な組み合わせがあったり、向きを変える事なくそのままに描かれていて不自然であったりする事もあるようです。

今回は金胎仏画帖断簡の美しさと、一枚一枚大切にされたであろう事がわかるその表具の美しさにも感激しました。
そして何よりも、この日一番に私の心をひきつけてやまなかったのは、金剛峯寺蔵の善女龍王像でした。随分と退色し、既にうっすらとしかその姿を確認できないのですが、軸からはみださんばかりのパワーは圧倒的で、まさに生きているかのごとしでした。

瀟洒な住宅街にあって自然豊か。ひっそりと佇むこの美術館は私のお気に入りの美術館の一つです。
次回は11/18~12/24まで、「桃山、江戸前期の美術 -都市文化の華やぎ-」と題した展観が開催されます。


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正倉院展 -奈良国立博物館-




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今年もこの季節がやって参りました。奈良国立博物館・正倉院展(昨日で終了)。

毎年頑張って朝早くから長蛇の列に並んでいましたが、今年は、「オータムレイト(閉館の1時間30分前より販売する当日割引券)が始まる1時間前くらいに入るのが良い!」との情報を奈良の知人に教えてもらい、言われた通りに参りましたら、土曜日ですのにすっと入れました。

宝物が美しいのは明らかなのですが、この度は、宝物を納めた箱や、その箱を陳列した棚などがえもいわれぬ良い風合いで、私の心はそちらにひかれました。

と、話は変わりますが、友人が、「単なる古い箱とか布やん…」とのたまうおじさまの発言を聞いたらしいのですが、皆さんどう思われますか?

なるほど確かに、「正倉院から何十年に一度出てきて我々の前にお目見えする宝物」という頭があるからこそ、“良い、素晴らしい”と見えるのかも知れませんね。
螺鈿や象牙細工はいわずもがな、誰がどう見ても精緻で立派な細工なわけですが、箱や、退色して朽ちてしまった布などの場合、どうでしょう。こんな事は無い事ですが、そのあたりに打ち捨てられていても、「何かただ物ではない、美しいものがある」と気付く“目”をはたして持っているでしょうか。

そう考えてみると、私の言う「美しい」・「心ひかれる」なども、あやふやで所在無いものかも知れず、おじさんの事を見下して、さも自分はわかった風にいる事はできないものだな……と妙に反省した次第です。

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追憶の茶 -北村美術館-




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いつも主題を楽しみにでかける北村美術館(京都市上京区)。
今回は、-追憶の茶-と題して、無学祖元(鎌倉・円覚寺開山)の墨蹟を中心に、蒙古襲来の頃を偲ぶ企画だとか。
その墨蹟は、「鎖口訣」。建長寺にて示寂される一ヶ月前に書かれたもの。
他に仙厓さんの「望蒙古山詩」なども展示されており、茶人のみならず禅宗僧侶必見の展示となっていました。
12月9日まで。

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布志名焼舩木窯 -松江のやきもの-




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松江藩おかかえ、不昧公好みの物を作った窯元といえば、布志名焼の窯元がいくつか挙げられますが、布志名焼は、茶陶として民芸運動には参加しなかった窯元、参加した窯元で特色はわかれています。

参加した代表的な窯元の一つに、宍道湖そばにあります“舩木窯”が挙げられます。
松江にゆくならば、是非とも訪ねたかった窯元です。

こちらは、バーナード・リーチが松江を訪れる際には常宿とし、お庭からいつも宍道湖をスケッチしていたところ。それは素晴らしいロケーションにある窯元です。
現在のご当主の舩木伸児さんに直々に御案内いただき、様々な御縁の繋がりも発覚し、それは楽しいひとときを過ごさせていただきました。

お宅にある世界各国の様々な物のコレクションも興味深く。
物を作る方達は、いつも私に物を見る眼や、そこから何か新しい物を生み出す、創造するという事をえてくださり、日々のくらしもそれは美しく、私もそうありたいもの……と心ときめくのでした。

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BIWAKOびえんなーれ2012 -御伽草子 Fairy Tale-




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今、滋賀県の近江八幡エリアと五個荘エリアの二ケ所で、「BIWAKOびえんなーれ -御伽草子 Fairy Tale-」が開催されています。

近江商人のお屋敷や空き町家など、江戸期の建物を会場として、たくさんの作家が作品展示を行なっています。特に土蔵の真っ暗な空間を利用して展示されているものもあったり、庭や座敷に展示してあるものも多くあります。

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田部美術館 -島根県松江市-




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松江に趣くならば是非とも足を運びたかった、田部美術館

奥出雲の山林王、たたら製鉄で栄えた田部家23代当主の長右衛門氏といえば、実業家としてのみならず、政治家、そして近代を代表する数寄者としても必ず名が挙がる方です。

私の場合は、出雲出身の母から、「出雲の人間は長右衛門さん長右衛門さんといって親しみをこめてよんでいる。あそこのお家は代々長右衛門を名乗るのだ」と、同じ話ばかりよく耳にしていた為、それがいつの間にやらしみついて、勝手に親しみを持ち、翁が集めた茶道具を拝見するのを楽しみに足を運んだのでした。

このような人物がこの土地から出るのには、やはり茶人として独自の美意識を後世に残した、松江城主・松平不昧公を忘れてはならないと思います。連綿と受け継がれて来たその土地の気というものが、後世に立派な人物を排出します。

美術館では、不昧公の軸から書き付け、お好みの窯元の茶碗など、山陰の茶の湯の中心がここである証を大いに感じ、楽しませていただいた。
私にとっては、こじんまりとした私設美術館ではあっても、どんな立派な美術館よりもこの地へ趣けば外せない美術館なのでした。

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朝鮮王朝の意匠(デザイン)と装身具 -高麗美術館-




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大好きな高麗美術館を尋ねました。
暑さやわらいでくる=様々な美術館で魅力的な催しがひっきりなしの季節。
ということで、夏の終わり頃から、私の休日は美術館巡りだけでも忙しくなります。

韓国の布のものは、ポジャギワークショップにでかけるほどに大好きなのですが、今回の展観では、ソウルの徳成女子大学所蔵の珠玉の所蔵品がお目見え。

婚礼衣装に見られる美しく色鮮やかな布。日本の平安時代のかさねとはまた違った色の重ね方、使い方。
吉祥を願い、嫁ぐ娘の幸せを願い、また、子孫の繁栄を願い作られた意匠の数々。
どこの国でも、“思い”は一緒ですね。こういう視点から見ると、ごく自然にお互いの事を尊重できますね。
どちらも、尊い。

11月11日まで。

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松花堂庭園 美術館 -京都府八幡市-




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“松花堂の茶の湯-八幡の茶室に学ぶ-”を拝見しに、八幡市にあります松花堂庭園・美術館を久しぶりに尋ねました。

いわずもがな、松花堂昭乗は、近衛信尹・本阿弥光悦と共に寛永の三筆と讃えられた書の名人ですが、書のみならず、画、茶、作庭、その他諸々に通じたこの時代を代表する文人でした。

石清水八幡宮の境内にあった寺(明治維新までは八幡宮の境内に約60を数える坊があったのだとか)にいた社僧(真言密教を極めた阿闍梨でもありました)でしたが、寺を譲った後は、“松花堂”と名付けた庵に住まいしました。
その庵が移築され、今もなお松花堂庭園内にその姿を残していますが、茶道を習い始めた頃の私が初めてこちらを訪れた時には、衝撃を受けたものです。

「茶を点てて、仏にそなへ、人にほどこし、吾も飲む」を具現化、まさに必要の無いものは極限まで削ぎ落としたような草庵。それでいて、侘び過ぎているわけではなく、どこか気品漂い、こじんまりとしつつも荘厳な寺院のごとく厳かな雰囲気あり、なぜか江戸の文化が花開いた当時の事も思わせられ、神仏習合も見て取れるような、形容しがたい佇まいを見せていたのです。松花堂昭乗その人そのものがよくよく現れているなぁ……と思ったものです。
久々に見てもその思いはやはり色あせる事なく、それどころかさらに感動してしまいました。茶を習う者が行き着きたいと願う境地ではないでしょうか。

美術館では、親類でもあった小堀遠州との交流がみてとれるような茶道具が出展され、松花堂の周りの数々の文化人についても学ぶ事ができ、非常に充実した内容となっていました。

この展観は14日(日)までですので、是非ともご予定無い方はおでかけ下さい。

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住友コレクションの茶道具 -泉屋博古館-




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野村美術館を訪れた日、近くの泉屋博古館も訪れてみました。
こちらは御存知、住友家十五代、吉左衞門友純(号・春翠)が蒐集した美術品等を展示している美術館です。
青銅器のコレクションがとても有名ですが、今回は彼の蒐集した茶道具の逸品がお目見え。
青銅器に惹かれる春翠らしく、中国美術の造詣が深く、唐物の名品が多いのが特徴です。

関西には他に、阪急の小林一三の蒐集品を展示している逸翁美術館、野村得庵の野村美術館、山林王として名高い北村謹次郎翁の北村美術館、朝日新聞社の創業者・村山龍平翁の香雪美術館などなど、多くの実業家のコレクションを拝見できる美術館があります。

長い所で、既に10年以上は通い続けてコレクションを見てきていますが、本当にそれぞれに個性があり、面白いものです。
その人に実際に会った事はなくとも、蒐集された物から、人となりを勝手に想像して楽しんでいます。
あつめた物、あつまった物とは、その人自身、その人をうつす鏡のようなものだと思います。財力のあるなしは関係ありません。

財界人の茶道具や美術品のみならず、私達が普段使う器一つ、何を選ぶかにしても、その人を写しているのだと思います。
我が研究所の西村惠信所長が、「禅はどこにでも転がっている。茶の間にでもだ」とよく仰いますが、まさにそうで、日々の暮らしを省みる事は、まさに自身を省みる事なのでしょう。

*おしらせ
野村美術館と泉屋博物館、どちらも訪れると割引があります。場所も近いですし、是非に!

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茶の湯名碗展 -野村美術館-




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名碗と世に名高い茶碗が数々並ぶのを拝見しに、南禅寺近くの野村美術館へ。

茶を点てる器とはふしぎなもので、抹茶碗でなくとも、「あ、これで茶が点てたいな…」と思うものもあれば(昔の茶人が朝鮮の雑器を茶に用いたのがよくわかりますね)、抹茶碗として売られていても、「何故これに茶が点てられよう……」と思うものもあるわけで、では自分はどういった感覚でその判断を下すのだろう?!と思う今日この頃です。
そこには単なる好き嫌い、好みだけでは決してない、普遍的なものがあるのかなと思います。

たまに、若い作家さんが“抹茶碗”と題して作品を展示しておられて、目に入った瞬間に私のどこかが疑問を抱くと、意地悪な事に「お茶のお稽古はどちらで?」などと尋ねてみます。
本当にイヤラシイのですが、自分の疑問を明らかにしたいのです。すると、たいがい習っていなかったりするものです。
茶を点てず喫せずして、どうして茶碗が作れよう……と私などは立腹寸前までゆくのですが、では、茶をしていないと茶碗が作れないか…というと、そうとも言えない事もあり。
そして、私が勝手に思うところの「茶を点てるに値する器」というものが、はたして正しいのか正しく無いのかも、誰が判断できようというものです。

世の中には、抹茶碗と題されて茶碗でないものあり、先生と呼ばれながら先生でない人あり、衣をまとえどお坊さんでない人あり、様々なまやかしがあるもので、もうこれは自分の目を、心を鍛錬して見る目を養うしか無いのだなぁ…。そしてかくいう私も、着物を来て茶人面をしておきながら、茶の無い人間にならぬようにせねばならないな…と自身を律する気持ちになるのでした。

何の話でしょう。お茶碗ですね。
今期やはり素晴らしかったのは、青井戸でした。でもこれも、自分が変わればまた好みが変わり、その時の自分によって惹かれるものは変わるのものですね。
後期も楽しみにでかけたいと思います。

【前期】9月8日(土)~10月21日(日) 
【後期】10月23日(火)~12月9日(日)
※ 前期・後期で全面的な陳列替あり。

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東嶺圓慈 禅画と墨蹟




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禅文化研究所は、花園大学歴史博物館と共催で、10月1日~12月15日まで、2012年秋企画展「東嶺圓慈 禅画と墨蹟」ならびに、禅文化研究所曝涼展「江戸前期の三大禅匠」を同時開催します。

本展では、東嶺ゆかりの寺院に蔵されている遺墨を2期にわけてご紹介します。
第1期では東嶺の創建道場である静岡県三島市の龍澤寺専門道場の所蔵作品を、第2期には東嶺禅師示寂の地、齢仙寺をはじめとする故郷近江の寺院につたわる遺墨を展観します。
また、禅文化研究所曝涼展では、雲居希膺・愚堂東寔・大愚宗築という江戸前期三大禅匠の墨蹟、ならびにその三禅僧と関係の深い禅僧の墨蹟もあわせて展観します。

詳しくは、こちらのページを御覧ください。

また会期中に記念講演会も開催します。講演内容は、以下のとおりです。

■2012年10月5日(金)13:30~14:30
「東嶺禅師『宗門無盡燈論』に学ぶ」 横田 南嶺 老大師(臨済宗円覚寺派管長)
■2012年12月6日(木)13:30~14:30
「東嶺圓慈墨蹟に流れるもの」 丸山 猶計 氏(九州国立博物館主任研究員)

申込不要、入場料無料、ただし先着150名となりますので、ご注意ください。

第1期第2期とも、是非、花園大学まで万障お繰り合わせの上、足をお運びください。

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奈良さんぽ




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同じ古都でも京都とはまた違った空気を求めて、奈良へは度々でかけます。

東大寺南大門の仁王像の手足の力強さに、ヨガの先生の美しいアーサナ(ヨガのポーズ)を思い出し、最近はレッスン時に仁王像の手足を意識しています。

久しぶりに拝ませていただいた大仏さまは、年齢を重ねるごとに、聖武天皇と光明皇后の偉業、そして当時の職人の技術に思いを馳せ、言葉を失うほどに感動します。

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二月堂より

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福森雅武展 -京都高島屋-




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本日より、私が大好きな土樂窯・福森雅武先生の個展が京都高島屋にて始まります(25日火曜日まで)。

先日、土樂窯にお邪魔して、野焼きの様子を拝見させていただきました。
とても原始的なこの焼成方法に、

「どうなるかはわからない、もしかしたら全部あかんかもしれん。非効率で無駄で、だぁれもしないような事やけど、やってると楽しいでしょう?それがいいんです」。

と、いつものごとく楽しそうな先生。
無心で薪を窯にくべてゆく道歩さん(福森先生のお嬢さん)の迫力を前に、黙り込んでしまっていた私。そんな私の隣にふといらして、「何でも一生懸命がいいんです」と先生。
私はこんなにも何かに一生懸命に打ち込んでいる時がはたしてあるだろうか……。

いつもいつも、私の胸にその時に一番響く事をさらっと仰います。その度に目から鱗な私です。
見ていないようで、とてもよく人の事を見ている方だな…と思います。見ているというより、感覚で、相対する人の事を感じ取られているのでしょうか。
様々な方達と交わり、修行をされてきた方のすごみというものをいつも感じさせていただいています。
“すごみ”と表現してしまうとなんだかとってつけたような、わざとらしさを感じられるかもしれませんが、先生はいつも自然です。こちらが「すごいなぁ…」と思う事全て、当たり前のごとく自然に仰り、なさるわけなのです。そういう“すごみ”なわけです。

生きた学びが楽しすぎて、先生のいらっしゃる所にはよくお邪魔していますが、先生はいつも誰に対しても「ありがとう」の言葉をたくさんかけられます。
今回も、お弟子さん達や手伝ってくれる人皆に、ありがとう、ありがとうと……。

「こんな事(野焼き)、一人でしようと思ったって出来る事じゃあありません。そうでしょ?手伝ってくれる人がいるからこそできるんや。ありがたいことやなぁ」。

そういえば、以前取材させていただいた時にも、

 「職人ていうのはね、今から思えばこういう人たちがいるから一つの物ができるっていうのがあるからね。よってたかって一つの物ができるっていうのはね、一人の作家の物よりも、ものすごく力が強い。一人の者がいくら名人として一つの物を作ったって大したことはないんだよ」。

と仰っていらしたのを思い出しました。

今回の展覧会はもちろん福森先生お一人の個展ではありますし、先生がいらっしゃらないと何も始まらないわけではありますが、その周りには、奥様や道歩さんや円さん(先生のお嬢さんで、土樂窯の近くで作陶をされています)、お弟子さんなど多くの支える方がいらっしゃり、その息吹も感じられる事と思います。
会場では、野焼きの様子も写真スライドショーで見られるようですよ!
そんな“ものづくり”の様子から、先生の作品から、皆様にも何か感じ取っていただければと思います。

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野焼きの仏様。火のまわり方は自然におまかせ。人間が操作できるものではありません。それぞれに、それぞれの色をまとって姿を現されます。
後日、火がおさまり、姿を現したお不動さんの真っ赤な色が今も目に鮮やかで忘れられません。

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日本玩具博物館 -姫路市-




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恩師たっての願いで、日本玩具博物館へ。

私はその存在すら知らなかったのですが、姫路駅から播丹線にゆられる事約15分。
電車はどんどんのどかな風景の中に入ってゆきます。

田んぼと民家の中を歩き、白壁土蔵づくりの6棟からなる博物館がおめみえ。

我が恩師は、お家にも数々のおもちゃを収集されているのですが、この博物館でも、まるで「良寛さんはこのようであったのかな……」と思わせられるほどに、子どもたちと一緒に無邪気に遊んでおられました。
私は正直、おもちゃよりも、おもちゃで遊ばれる先生に興味津々でした。

そして、その姿に、いつだったか先生が教えて下さった、神谷美恵子さんがお年寄りについて書いたことばを思い出していました。

「有用性ではなく、存在の仕方そのものによって周りの人々を喜ばせるという点において、子供と同じである」

先生が楽しそうだと、私や仲間たちも本当に嬉しく楽しい。
70歳を迎えられ、毎日たくさん歩き、畑を耕し、合気道をし、とても元気な先生。末永く私達に様々な事を教えていただきたいと願うばかりです。
このような恩師に大学で出会い、長く師事できる事に改めて幸せを感じた日なのでした。


*さきほど、おもちゃで遊ばれる先生に興味津々…と書きましたが、もちろん私もおもちゃで遊びました。大人も子どもも必死になって楽しめる博物館です。ゆっくり時間を作っておでかけ下さい。

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土祭 -栃木県益子-




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写真はHPより

益子といえば、焼き物好きにとっては憧れの地。
私はまだ一度も訪れた事が無いのですが、そんな益子が大きなにぎわいをみせようとしています。

土祭 HIJISAI2012 2012年9月16日(新月)~30日(満月)まで。

新月から満月までというのが、物事をはじめて終える期間として、素晴らしいですね。
本当の豊かさを求め、そこをベースに、さらなる益子の発展を願ってこの祭を開催している、そんな主催者の気持ちが伝わってきます。

数々催されるイベントの一つに、鈴木大拙先生の秘書を長く務められた、岡村美穂子先生の講演があります。

-民藝や手仕事から考える益子の未来-
9月22日(土)午後13:30~14:30(終了予定)会場:つかもと迎賓館
講演:岡村美穂子
民藝と宗教哲学や禅の思想。この繋がりをあらためて考えます。
柳宗悦が生涯の師と仰いだ、鈴木大拙(仏教思想家・禅の研究者)の秘書を長年務めた、
日本民藝館評議員の岡村さんをお招きします。

との事。なんて興味深いのでしょうか。

さらに、上田閑照先生、岡村美穂子先生に監修をお願いしました、私どもの『鈴木大拙写真集 相貌と風貌』が、ブックフェアではお取り扱いいただいております。もちろん、柳宗悦と一緒の写真も収録されています。
外見は内面そのもの。その相貌と風貌から、我々は多くを学べます。
素晴らしい写真集ですので、是非とも手にとってご覧いただければと思っております。
HPよりご購入の方はこちらからどうぞ。

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姫路城




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改修中の姫路城へと出かけてきました。
友人の知り合いのガイドさんに様々な事を説明していただき、「へ~!ほ~!」と関心するしか無いほどに計算されつくしたお城のあれこれ。

改修工事のため、すっぽり覆われていても、やはり滲み出る美しさというものがあるのですね。
何度か来ているはずですが、何度見ても本当に美しいものとは見飽きぬものです。

よほどお城に詳しい方は無用かもしれませんが、おでかけになる場合、ゆっくり時間を取って、ボランティアガイドさんをお願いするのが賢明です。自分では気付けない所を多々、教えて下さいます。

一番心打たれたのは、わざと完成させずに、ある部分を未完成にしたままにしておく事。完璧に完成してしまえば、あとは崩れるのみ。遊びの部分を残しておく、完璧にしないでおくという所にいたく感動しました。

何にしてもそうですね。完璧は実はもろい。教訓にします。

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修復が終わりましたら(平成28年)また是非ともでかけましょう。

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土偶・コスモス -MIHO MUSEUM-




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お誘いいただき、滋賀県は信楽にありますMIHO MUSEUMへ、内覧会にでかけて来ました。
秋からの特別展、「土偶・コスモス」。

土偶。人間を模したり、精霊などを表現したとされていますが、私にとっては正直、良い悪い、美しい美しくない、そういった理解をはるかに超えたところにあるもので、太古の昔に宇宙人がやって来ていたのだ!というような説を信じたくもなるというもの。
南米の古代文明の産物を拝見した時と同じような不思議な感覚にひたりました。
それでも、不思議すぎて、理解の枠を超えているからこそ、一層ロマンがあり、魅せられるのかも知れませんね。

壺などには、なんともいえない形で、「良いなぁ~、花を生けてみたいなぁ……」と思うような、想像をかきたてられるようなものがありました。

国宝がお目見えするのは後半からだそうです。
これだけの土偶が一度に拝見できるのは滅多とない事でしょう。オススメします。

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「伊藤若冲 -釈迦・文殊・普賢三尊像と-」 相国寺・承天閣美術館




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臨済宗大本山・相国寺内にあります承天閣美術館にて、「伊藤若冲 -釈迦・文殊・普賢三尊像と-」が開催中です。
今週末9日(日)まで。お見逃しなく!!!

若冲が相国寺に通った居士であった事など、禅宗と浅からぬ縁ある人であった事なども皆さんに知っていただけたらと思います。

そして、若冲はもちろん素晴らしいのですが、私の心を打ったのは、ただいま展示中の、夢窓国師筆・「即心即仏」でした。よく展示されていると思うのですが、見る度にハッとします。

そして、次回の展観は、「最後の文人 會津八一の世界」。これまた楽しみですね!

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光象展 -於:国際奈良学セミナーハウス(旧世尊院)-




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-奈良にて 光象展開催-

知り合いが多く参加するグループ展の御案内です。私も少しだけお手伝いをさせていただくので、こちらでもご紹介させてください。

下記にご紹介させていただきました何人かの方達は、実際に私も存じ上げている方達なのですが、作品にも、その人柄にも、変な“臭さ”が無い、小手先のかっこよさでのモノ作りではないのが、大好きです。

私自身は、何かを生み出したり創り出したりする事がまったくの不得手で、何もできないのですが、こういった展覧会にお手伝いという形で参加させていただくことで、物を創り出す人達の息吹を身近に感じさせていただき、多くを学ばせてもらっています。

皆さんにも是非、実際に目で見て、手にとって、作り手と話して、感じていただきたいと思っています。

初秋の奈良に、是非お運び下さいませ。

【光象展】

場所:国際奈良学セミナーハウス(旧世尊院)
日時:2012年9月7日(金)~2012年9月9日(日)
時間:10:00~17:00(最終日は16:00)

陶芸:福森雅武/工藤二郎/山中恵介/大杉康伸/細川護光/日名子恵/福森道歩
ピアノ:山中和子

彫刻:岸野承

ガラス:安土忠久/安土草多

料理:鈴木浩治

木工:川合優

絵画:福井一/岸野忠孝/松村哲男/平川功

紙:嘉戸浩

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「森と大地の仕事展 福森雅武」 -北海道・十勝千年の森-




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何度かこちらでもご登場いただいており、私が若い頃から大ファンでもある、伊賀・土樂窯の福森雅武先生の個展が北海道でありましたので、お邪魔してきました。

今回の個展は、十勝にあります千年の森における、“北海道ガーデンショー”の一環です。
-森と大地の仕事展-と題され、紙・木・土・草をそれぞれに使った、自然に寄り添う美しい日本の手仕事が順次紹介される内の、-土の仕事-として、福森先生並びに土樂窯の職人さんの仕事が紹介されているのでした(9月6日(木)まで)。

「会場にねぇ、庭を作るんですよ」と笑って仰る先生に、諸事情を把握できないままついてゆかせていただきましたが、千年の森・ヘッドガーデナーの新谷みどりさん主導により、先生が望む形がみるみる間に会場に。
このような庭ができあがる行程を拝見させていただける、またとない機会となったのでした。



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KATAGAMI Style 世界が恋した日本のデザイン -京都国立近代美術館-




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デザインは全て、自然に学び、真似て、咀嚼してゆけば無限に創り出せるのだろうなと思います。
日本のデザインの様々を拝見していると、いにしえの人々が当たり前の暮らしの中にある自然に、如何に繊細に注意深く目を向けていたか…を感じ、優しい心持ちになれます。
また、その仕事の精緻な事には讃歎のことばも無いほどです。

そんな日本のデザインが、世界でどのように愛されてきたのか、皆さんもご確認にゆかれてみてはいかがでしょうか?
京都国立近代美術館での展観は終わりましたが、現在は三重県立美術館にて開催中です。

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心にしみ入る翡色の輝き -高麗美術館-




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残暑厳しいとある日、高麗青磁の翡色に涼を求め、高麗美術館を訪れました。
青磁といえば、私の中での随一はやはり高麗青磁。あの翡色は、私に鵜の瀬の清らかな流れを彷彿させ、心洗われる心地がするのです。

さらに大好きな李朝白磁にポジャギなど、朝鮮美術の様々な逸品を拝見しましたら、本当に心地良く、残暑による身心の疲れもいつの間にかどこへやら。
館内に飾られている楚々とした野の花もいつも楽しみなのです。

美しいものに触れる事は、明日への活力に繋がります!
暑すぎる夏には、涼しい美術館へ避暑にでかけるのが最高の過ごし方かと思う今日この頃です。

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京三条せともの屋町 -裏千家茶道資料館-




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以前、瀬戸物の本家本元、多治見の資料館に行って参りましたが、お次は京都の裏千家茶道資料館にて、京都三条通の中之町にて大量に発掘された瀬戸物や伊賀・信楽など、主に茶の湯に使われる道具類の展示を拝見しにでかけてきました。
当時、どのような流通があり、都でどのような流行があったのか、しばしタイムスリップして当時の都の興隆や、日常どのように使われたのかを想像し楽しんだのでした。
『へうげもの』でこの時代に魅了された方も是非! お菓子とお抹茶もいただけます。

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空想動物の世界 -MIHO MUSEUM-




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これだけ暑いと、大好きな寺社巡りも少し足が遠のいてしまうほど……。
涼しくて、美しいものを楽しめる美術館へ!となります。

以前ご紹介しました、「MIHO GRANDAMA Ⅱ 母なる方へ」と同時開催で、現在、-空想動物の世界-と題して、古来から東西において畏敬の念を持って人々に崇められて来た空想上の動物達の色々が紹介されています。自然や神仏への畏敬の念にも繋がるものですね。
ちょうど夏休みという事で、お子さんをお連れになられても楽しめるのではないでしょうか。


夏休みといえば、本日より禅文化研究所は都合上、いつもと勤務体勢が変わります。
お坊さんでもある上司達は、何キロか痩せる季節の到来。お盆・お施餓鬼の供養は大切であります。


10日(金)~19日(日)が一斉夏期休暇となりますが、その他の日もお休みをいただいている者がおります。
書籍のご注文につきましては、10日(金)午前中までのお申し込み分は10日中に発送。
10日午後以降のご注文につきましては、20日(月)以降の発送となります。

ご迷惑をおかけ致しますが、ご理解の程宜しくお願い申し上げます。

*ちなみにブログも不定期更新となりますが、今後とも宜しくお願い致します。

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石水博物館 -三重県津市-




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三重を代表する実業家でもあり、数寄者としてのありようもこの上なく軽妙洒脱で、特に陶芸に関しては独自の世界を築き上げた、川喜田半泥子ゆかりの石水博物館を訪れました。

私が彼の作品を初めて見たのは、家人に見せられた本の中ででしたが、まだ大学生くらいでしたので陶芸家とばかり思っていたものです。
彼の作品から出てくる奔放さやこの上ない品の良さは、陶芸をなりわいとする人が作った物とはまた違うもので、今もってなお、陶芸愛好家や茶人などを魅了してやまないのも、作品にふれれば納得のいくところです。

今回は、三重県立美術館にあわせての企画展-曽我蕭白と伊勢の近世美術-と、-半泥子の旅、スケッチと思い出の品-の開催でした。
陶芸のみならず、書においても、スケッチにおいても抜きん出たもので、非常に興味深く、わくわくと、楽しみながら拝見できました。

7月16日まで。お急ぎください!(ですが、通年、何らかの半泥子に関する展示がされていますので、いつおでかけになっても興味深いかと存じます)

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多治見市美濃焼ミュージアム -岐阜県多治見市-




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岐阜県多治見市にあります、美濃焼ミュージアムを訪れました。

古くは安土桃山時代に遡る美濃焼の歴史から、海外に大量に輸出されるようになった近代までの事を知るのにうってつけのミュージアム。
最近話題になった、『へうげもの』にはまった方は、実際に発掘された桃山時代の陶片に触れてみるのも一興です。



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発掘された陶片を実際に手に取れます

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デザインがいちいちかわいいのです

それにしましても、織部にみられる様々な模様を拝見していると、陶工たちが楽しみながら作っていた事が想像できて、こちらもゆかいな気持ちになってきますね。
均一化されたもの、決められたものの枠を超えた所にある美を教えてくれる、日本らしい焼き物だなといつも思います。

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開館30周年記念 蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち -三重県立美術館-




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-開館30周年記念 蕭白ショック!! 曾我蕭白と京の画家たち-が開催中の、三重県立美術館を訪れました。

以前、京都国立博物館で曾我蕭白展が開催され、話題を呼んでいた時には忙しくてお邪魔できませんでしたので、良い機会に恵まれました。

「違う世界と交流していたのでは?あちらとこちらの世界を行き来できるのでは?」と思わせるような作品ぶりに度肝を抜かれ、興味深く拝見はしましたが、決して個人的に好きとは言いかねるものでした。
ですが、ちらっと拝見しましたボストン美術館展のHPでは、秀逸な彼の作品が紹介されています。良い物が海外へ行ってしまっている事が非常に残念無念です。

さて、美術館博物館にて、丁寧な解説がついているのは、多くの方におこしいただき、わかりやすく…との配慮なのかもしれませんが、解説をされた方の私的感想が入ってしまうと、こちらの想像を奪ってしまう気がしました。美術品などの解説とは、なんとも難しいものですね。
私の友人知人、特にものづくりをされている方には、解説は全く見ないという人も多いです。自分の感じ方を大切にするからなのでしょう。

7月8日(日)までの開催です。

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根津美術館




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雨の日に訪れた、東京は南青山にあります根津美術館

隈研吾氏による設計にてリニューアルされてから、伺うのは初めてでした。
関西でいえば逸翁美術館がリニューアルされ、だんだんと昔ながらの風情を残した美術館が消えてゆくのには一抹の寂しさを覚えますが、これも時代の流れなのでしょう。

今回の展示は、“中世人の花の会と茶会”。これでもかというほどに、名品逸品が一堂に会した展観で、雨の日ながらも茶室では茶会が行なわれ、お茶人さんの来館が多く、東京の人の多さ、茶道人口の多さ、皆さんの熱心さを垣間見たような気がしました。

以前にも見たことはあるのですが、今回殊の外心惹かれたのは、“井戸茶碗 柴田”でした。時代を経た肌に…というよりも、その形にいたく感動しました。
このように心に深く残るものが、次回見たらどう自身に響いてくるのか、楽しみなものです。

中国人の観光の方でしょうか、子どもさんに唐物のお道具の数々について説明をされているのも興味深かったです。自国の古いものが他国へ渡り、珍重され現代にまで残っている。しかも名前までついて!!! 面白い事なのでしょうね。

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旧白洲邸・武相荘




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本の中の写真ではなく、白洲次郎・正子のくらしを実際に見てみたいとずっと思っていましたが、ようやく東京は鶴川にあります旧白洲邸・武相荘を訪れる事ができました。

この日はちょうど梅雨の入り、雨の一日でしたが、しっとりと雨に濡れた緑や、かやぶき屋根がまたことのほか趣がありました。

他の誰かが良いと言ったから良いのではなく、自分が見て良いと思うものを集め、それらに囲まれながら暮らすことは、自身をみつめる事に繋がるのだなと改めて思った武相荘訪問でした。

日本の文化や歴史、自己を知るには、もちろん禅の本を心からオススメしたいのですが、白洲正子著作もオススメします。

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白沙村荘の石塔・石仏 -京都市左京区-




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五月晴れのとある休日、白沙村荘-橋本関雪記念館-を訪れました。
中国風のお庭、関雪の趣味で作られた独特の建築(存古楼)、立派に再建された茶室、庭の山野草など、見どころは多々あるのですが、私が一番惹かれたのは数々の石塔・燈籠・石仏などの“石”なのでした。
本日は石コレクションをご紹介。

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白沙村荘の石塔・石仏 -京都市左京区-の続きを読む

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染織のための自然素材展 Ⅳ・十日町(新潟)




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詳しくはこちら


何かの本で読んだのか、どなたかに伺ったのかは忘れましたが、「日本人の精神性を崩壊し、日本文化を断絶させようと思えば、“麻”を取り上げてしまえば容易な事なのだ。それほどに、麻と日本人とは深い所で繋がっている」……と(麻といえば、神道が深く関わっているからだと思いますが)。

それ以来、麻を始めとする日本の布になんとなく心惹かれながらも、“機会”が無ければ忘れてしまうのが常というもので……。
そんな折に京都のギャラリーで目にした芭蕉布の数々。そしてそこに集う“布好き”な方達の情熱に、私の“日本の布熱”も上昇して来ました。
新潟に行って来ようか…(ついでと言っては何ですが良寛さんゆかりの地も訪ねたりなんかして)と思ってしまう今日この頃です。
お近くの方は是非!いろんな布が集うまたとない機会です。

ちなみに“麻”といえば、雲水さんの麻衣。ボロボロになっていても、とても美しくて私は大好きです。
以前、花園大学内で講演会か何かがあった時にお見えになっていた雲水さん。
その麻衣は透けそうなくらいにすり減り、あちこちにつぎはぎが。それでも、誰よりもキラキラと輝いていて、眩しかった事を思い出します。まだ私も研究所に入って間もない頃で、修行をしている者の美しさとはこういうものなのか……と初めて知った出来事でした。
「あの方は今どうしておいでだろう……どちらの僧堂の雲水さんか聞いておくべきだった!!!」といつも悔やまれます。

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南蛮にひかれて




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元々キリスト教関連のことには関心ある親友が、やけに南蛮南蛮と言って南蛮づいているので私も関心をそそられて、大阪は中津にあります、南蛮文化館と、神戸市立博物館における-南蛮美術の光と影-を訪れました。

訪れる数日前に研究所の資料室でふと目に入った、淡交社の『なごみ』(いつもお送りいただき、誠にありがとうございます)。なんと、ここに南蛮特集が掲載されていたのでした!
さっそく読んでみた所、なんとも面白く…。中でも、「南蛮人の証言」と題して、南蛮人達が日本人や日本文化をどのように思っていたのかを紹介するページが。その中の一つに、

「日本の禅僧は、もっとも理知的で、さかんに論争を挑んだ。それを論破することは容易ではなかった」
コスモ・デ・トルレス(司祭)

と、あったわけです。
「ふふーん、そりゃあそうであろ」と鼻高々(注:私は禅僧ではありません。研究所の一職員、一禅ファンです)になったのですが、ちょっと待てよ…。「容易ではなかった」という事は、その後に「それでも、論破したのであった」が続くのだろうか?と、何となく面白くなかったり……。
と、どうでもいい事をごちゃごちゃと考えている、とてもつまらなく、小さな私なのでした。どちらがどちらを論破したとか、上か下かなんて、どうでもいい事ですね。
いかんせん、ここに禅僧が出て来ているのは非常に興味深い事です!

現在では、禅文化研究所の事業として、禅僧とヨーロッパの修道士・修道女との交流(東西霊性交流)が行なわれています。
変わっているかのようで、実は案外、当時と現在のお互いの印象は、根本的には変わっていなかったりして……と思う私です。

さて、神戸市立博物館での大々的な展観(6/3まで)も素晴らしかったのですが、私は中津にある南蛮文化館をいたく気に入ってしまいました。こちらは5月と11月にしか開館していませんので、どうか皆様お急ぎ下さい!!!5月を見逃すと、お次は11月にしか開館しないのですっ!!
茶を嗜む武将か有力商人茶人のキリシタンが作らせたのでしょう。文化館にあったクルス文様の茶碗などが妙に斬新で古さを全く感じさせない事にいたく感動し、私も窯元の友人にお願いしてクルス文様茶碗を作ってもらい、いつか友人達と南蛮茶会など催したいもの……と、妄想はとどまるところを知らないのでした。

それにしましても、『なごみ』には毎月興味深い情報満載です。以前には、全く知らなかった、愛媛の臥龍山荘をこちらの月刊誌にて知り、お邪魔しました。カラーページも多く、解説もわかりやすく親しみやすい月刊誌です。 オススメします。

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白隠さん「布袋図」せんべい




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6月24日(日)まで名古屋の愛知県立美術館で行われている「魔術/美術 幻視の技術と内なる異界」展にいってきました。
美術館のHPやチラシなどにはあまり触れられていませんが白隠禅師の絵も以下の4点が展示されています。「吉田猿猴図」「寿老人図」「五位鷺図団扇」「布袋図」。

展覧会にお越しの方は、ぜひ美術館のミュージアムショップにもお立ち寄りくださいませ。白隠さんの「布袋図」をモチーフにした「愛知県美術館オリジナルせんべい」が売られています。

禅の布教のためにご尽力された白隠さんですからせんべいにされてお怒りになるとも思われませんが
いただくときに一瞬躊躇してしまうような気もしますね(笑)。
名古屋栄にある美術館です。お近くの方はぜひお立ち寄りくださいませ。

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せんべいの焼き印


開館20周年記念 愛知・岐阜・三重 三県立美術館協同企画No. 6
「魔術/美術 幻視の技術と内なる異界」展
会期:2012年4月13日(金)~6月24日(日)
会場:愛知県美術館 (愛知芸術文化センター10階)
開館時:10:00-18:00(金曜日は20時まで、入館は閉館30分前まで)
休館日:毎週月曜日
観覧料:一般・当日900円(前売・団体700円)
    高校・大学生当日600円(前売・団体400円)
    中学生以下無料

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仁徳天皇陵と堺市博物館 -大阪府堺市-

小学校の時に社会見学などで訪れた場所。当時はさほど興味なく、無理矢理な感が否めなかった場所なども、大人になってから再度とてつもなく興味を抱いたりする事がありませんか?

私の場合、小学生なりに埴輪や銅鐸に興味は持っていたのですが、その思いも薄れ、すっかり忘れていた今頃になって、古墳巡りをしたい思いに駆られています。

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そんな折、堺に訪れる機会がありましたので、まずは…と、仁徳天皇陵を拝みに。
堺市役所の21階展望ロビーからの眺め。
憧れはもっと上からあの“形”を拝む事ですが、それでもこんもりと茂った木々に覆われた、古代のやんごとなき人のお墓には、ロマンがありますね。
その昔、堺の港へと辿り着いた外国人がまず目にするのがこの仁徳天皇陵を中心とする古墳群で、横からみたそれはまるで要塞のごとく、日本の威勢をしらしめる事になったのでしょう。
本当に、想像をかき立てられますね。

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そしてもう一つ魅惑的な展観が。布好き、特に更紗好きにはたまらない珍しい展観です。堺市博物館の企画展、「和更紗-堺・京・長崎-」。
外から入ってきたものを、何でも日本風にして取り込んでしまう日本人のおおらかさ、豊かさに感心する事しきりなのでした。インドやインドネシアとはまた違う方法で染められた日本風の更紗。色も図柄もとても魅惑的でした。
展示数は少ないのですが、布好きな方には特にオススメします。
また、堺市博物館では、古墳時代からの堺の歴史などを時代ごとに垣間見られるような常設展示があり、少し足を延ばして訪れたこの町で、随分と楽しくお勉強させていただいた次第です。
皆様も是非!

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鎌倉国宝館「鎌倉の至宝 -国宝・重要文化財-」展




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ご存じの方も多いと思いますが、神奈川県鎌倉市では「武家の古都・鎌倉」としての世界遺産登録をめざして、活発な運動が現在行われています。
「鎌倉幕府を樹立した武家は、政治機構の整備、権力強化の過程において、禅宗を中核とする中国文化を積極的に取り入れ、“武家文化”を生みだした」として、大本山建長寺・大本山円覚寺・寿福寺・瑞泉寺が世界遺産の構成資産に選ばれています。

鎌倉国宝館・神奈川県立歴史博物館・神奈川県立金沢文庫でも、それを推進する展覧会が今年度はいろいろと予定されています。
GWに、建長寺・円覚寺・寿福寺・瑞泉寺の寺宝が多く寄託されている鎌倉国宝館の「鎌倉の至宝 -国宝・重要文化財-」展を見学してきました。
国宝「蘭渓道隆墨跡 法語規則」(建長寺蔵)をはじめ、建長寺・円覚寺・寿福寺・明月院・帰源院・浄智寺・鎌倉国宝館がご所蔵の重文の仏像・肖像彫刻・絵画・工芸品・墨跡が所狭しと並び、圧倒されつつ、会場を何周もしてしまいました。

同時開催の平常展示「鎌倉の仏像」展もガラスケース越しではなく、直接間近で拝見できるのがありがたく、なかでも以前から一度じっくり、と思っていた、
建長寺蔵「千手観音坐像」を念願かなってすぐ近くから拝見することができました。

鎌倉国宝館「鎌倉の至宝 ―国宝・重要文化財―」展 5月27日(日)まで
〒248-0005 神奈川県鎌倉市雪ノ下2-1-1[鶴岡八幡宮境内]
Tel:0467-22-0753 Fax:0467-23-5953
開館時間:午前9時~午後4時半(入館は午後4時まで)
休館日:毎週月曜日
主催:鎌倉国宝館(鎌倉市教育委員会)
観覧料:一般500円(350円)、小中学生200円(140円)



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東福寺名宝展の御案内




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東福寺・通天橋の新緑 柴田明蘭(写真)


大本山東福寺で、4月21日から5月6日まで東福寺名宝展が開催される予定です。

「この度の名宝展では、禅の伝法に生きた聖一国師の生涯に焦点をあて、東福寺に大切に護り伝えられてきた修行時代から晩年にいたる国師ゆかりの文化財を一堂に展観するとともに、国宝三門を特別公開いたします」(大本山東福寺のHPより)とのことです。

聖一国師の遺偈や自賛の頂相(肖像画)など、東福寺ご所蔵の国宝・重文の書画をはじめ、国宝三門も同時に特別公開されます。

国宝三門へのぼれば、「壮麗な極彩色の世界がひらかれています。中世建築ではめずらしい一面の極彩画は、画聖兆殿司(明兆)およびその門人寒殿司の筆と伝えられています」(同)とのこと。三門にのぼるのは大変そうですがぜひ極彩色の世界の世界を体験したいですね。
また「東福寺のみほとけ」展も同時開催され、ふだんは非公開の東福寺伝来の仏像・工芸品を拝見できるとのことで、こちらも楽しみです。

新緑の東福寺で名宝を満喫する前に、聖一国師や東福寺について「予習」したいと思われた方に、一つマニアックな文献をおすすめしたいと思います。
今枝愛真先生が『静岡市史 原始古代中世』(1981)に寄稿された「入宋の禅師 聖一国師と大応国師の活躍」です。一般にはあまり(ほとんど?)知られていないと思いますが、聖一国師についてのとても丁寧でわかりやすい伝記です。
各都道府県立図書館などの大きな図書館でぜひ一度探してお読みいただければと思います。

大本山東福寺 新緑遊行と特別名宝展
「聖一国師の遺宝 法をつたえ 宝をまもる」
(国宝三門、「東福寺のみほとけ」同時公開)
2012年4月21日(土)~5月6日(日)
名宝展・三門共に9:00~16:30(受付は16:00まで)
拝観料:
名宝展 大人1000円、中高大生600円
三 門 大人600円、中高大生500円
名宝展・三門・通天または方丈の三ヵ所共通拝観券が
大人1500円、中高大生1000円とお得です。

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「天龍寺寺宝展 夢窓国師と嵯峨・嵐山」展




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少し前になりますが、3月20日の午後、京都嵯峨嵐山の時雨殿で行われている「天龍寺寺宝展 夢窓国師と嵯峨・嵐山」展を訪れ、佐々木容道天龍寺管長のご講演「天龍寺と夢窓国師」を拝聴いたしました。
天龍寺ご開山の夢窓国師の事跡や思想、また天龍寺創建の意義について、1時間たっぷりみっちりとお近くでお話をうかがうことができました。

展示のほうは、出品数は多くありませんでしたが、天龍寺さんは寺宝展をなさらないので、長く夢窓国師を勉強してきたわたしもはじめて実物を拝見したものばかりでした。

なかでも感激したのは墨跡「謝宋船網司上堂偈」です。こちらは状態があまりよくないのが残念ですが、日本史上で名高い「天龍寺船」を主宰した博多の商人へ国師が贈られた偈、つまりは国師自筆の感謝状です。
写真でこれまで拝見してきましたが、実際に拝見したところ、予想以上にすばらしく、当時最高級の中国紙(蝋箋)に書かれたたいへん大ぶりの立派な墨跡でした。

南北朝の混乱の世に、天龍寺創建を無事なしとげられた国師のお心にしばし思いをはせました。

今週末は夢窓国師が心から愛した嵐山の桜を見がてら、いかがでしょうか。


-小倉百人一首殿堂時雨殿リニューアルオープン企画展-
【天龍寺寺宝展~夢窓国師と嵯峨・嵐山~】
6月24日(日)まで。10時~17時(入館16時半まで)
休館日:月曜日(ただし祝日の場合は開館)
入館料/高校生以上500円、中小生300円
小倉百人一首殿堂時雨殿
(京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町11。京福嵐山本線「嵐山」より徒歩5分。Pなし、周辺に有料あり/TEL.075・882・1111)

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MIHO MUSEUM -MIHO GRANDAMAⅡ母なる方へ-




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信楽の山奥、冬季は休館となるMIHO MUSEUM
心待ちにしていた春の開館。
この度は開館15周年記念となる展観で、-MIHO GRANDAMAⅡ母なる方へ-として、母性をテーマに、国内外の女神像などを中心とした所蔵品が展示されていました。

何度も足を運ばれている方には、何度目かのおめもじとなる所蔵品も多いかと思いますが、何度拝見してもこちらの所蔵品の素晴らしさには感動します。

いつも、美術品の“見せ方”も趣向をこらされていて、例えば今回、1世紀・ローマ時代の婦人像をその存在感を存分に感じられるようしつらえられた展示ブースの赤い壁は、その下に白・黄の漆喰を塗った後に赤で仕上げられたのだとか。感服です。そうしないと、奥行きのある赤にはならないわけです。

他にも色々と心ときめいたのですが、これからご覧になる皆さんの感動や気づきを奪ってはならないので、ふせておきます。

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雨の日もまた美しい美術館からの眺め


目に良いから 美しい物良い物を 観なさい
良い物を観ていたら 悪い物がわかる


子どものうちから
礼儀・礼節を尊ぶことの大切さ


どんな人からでも 学ぶのよ


美しく 生活を楽しむことの 大切さ


心に響く、小山美秀子女史のことばの数々。
私がこの美術館を初めて訪れたのが2000年。
この時に開催された-白洲正子の世界-を、白洲ファンだった家族全員で観にでかけて以来、もう12年も経ったのかと思うと感慨深いものがあります。
ほぼ欠かすこと無く毎回の展観にでかけてきましたが、どれだけ心豊かに、学ばせてもらっているか知れません。
美術館の存在が、そこを訪れる一人一人のくらしや一生に与える影響は、計り知れないものがあるな……と思いつつ、私もまた自身のくらしをより美しく、心豊かなものにしていきたいと思いつつ、MIHO MUSEUMを後にしました。

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朝鮮木のもの百選 -高麗美術館-




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京都市北区にあります、高麗美術館を訪れました。
今回の展示は、朝鮮の木のもの、いろいろです。

日本も木の工芸品が多い国ですが、お隣になるとそれがどのような形になるのか、日々の暮らしや、儒教の思想をどう反映しているのかなど、似ている所、違う所を見るのが面白いものです。
毎回の展観が楽しみなお気に入りの美術館。オススメです。

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承天閣美術館 -京都・相国寺-




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相国寺内にあります、承天閣美術館
現在、館内所蔵の屏風絵展が開催されています。

一時、俵屋宗達や本阿弥光悦に強く惹かれ、色々な美術館を巡っていました。
もう10年以上前になるでしょうか、大阪の萬野美術館にて観た記憶のある「蔦の細道図屏風」が、いつの間にか承天閣美術館に。
萬野美術館が閉館するのに伴い、その所蔵品の大部分が承天閣美術館に移ったようです。

この、「蔦の細道図屏風」の修復記念も兼ねた館内所蔵の屏風の逸品たち。日本を代表する絵師達の作品に数多く触れられる機会です。

昨日ご紹介しました、法堂龍図や開山堂の拝観と共に、是非お運びください。

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魯山人寓居跡 いろは草庵




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良い時代だなぁ……と、感慨深く。

石川県は加賀市の山代温泉にある、魯山人寓居跡にお邪魔してきました。
現在は、いろは草庵といって、魯山人の人生の軌跡を辿れる場所となり、公開されています。
集まるところには集まるのですね、面白い人が……。
賢人達の交流を、ことのほか興味深く拝見しました。

昔から、家人の趣味で魯山人の料理に関する本や器の図録を多々見てきました。
好きかと言われれば、個人的にはそれほどでもないのですが、やはり面白い方だなと思います。

京都では、何必館に魯山人の器や書が多く所蔵され、公開されたりしています。
お好きな方は是非!

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西田幾多郎記念哲学館 -石川県かほく市-




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石川県の旅。鈴木大拙館へゆけば、西田幾多郎記念哲学館もはずせません。
こちらはまた世界的建築家、安藤忠雄氏による設計だとか。

この“哲学館”という名称から、非常に敷居の高い所であるイメージを受けるかもしれませんが、小学生の社会見学にも良いのでは?と思うくらいに、「つかみ所無く、とっつきにくい、哲学」というものを、わかりやすく教えてくれるメディアライブラリーなどもあります。
西田先生の生い立ちから晩年に至るまでのこと、西田哲学のこと、世界の哲学者について、非常に幅広く“哲学”に触れる事のできるような館内となっていました。
読書会なども開催されており、羨ましい限りです。
金沢から能登にかけてご旅行される方などは、是非お立ち寄り下さい。

他の所員による西田幾多郎記念哲学館の感想はこちら

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鈴木大拙館 -石川県金沢市-




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昨年私の上司もこちらで案内しておりました、金沢市にあります鈴木大拙館。
お正月に金沢へ行った折に、もちろん私もお邪魔して来ました。

エントランスを入った所から大拙先生の写真に迎えられ、興奮して声高になる私に、受付の方は「変わった人だわぁ」と。私が変わっているのではなく、真実として、禅という、こんなにもかっこいい世界は他には無いだけなのだと本当に思います。未だ憧れの世界です。

と、こういう類の事(禅が好きだのなんだの)を話していると、ある和尚様が、「お前さんのように理想に燃える者ほど、僧堂に入ると挫折してすぐに逃げ出す」と仰いました。確かに、一体禅ってなんでしょうね
髮を剃る気はありませんが、そのように私の戯言が一掃されるのもまた、「禅僧とはなんと面白いのか……」と、楽しいわけなのです。

それはさておき、この記念館。世界的な建築家、谷口吉生氏による設計だとか。
凛とした空気と静謐さを抱き、まるで履き清められた早朝の禅寺を訪問したかのような心持ちを覚える建築。
禅の事をまったく知らない、わからない人も、“禅的”なものをここで感じ取ってもらえるような、禅の空気感・世界観を現代建築にて表現すれば、こうなるのだな…と納得のいくものとなっていました(何様?ですね……すみません)。

また、展示品に一切の解説がついていないのも良かったです。頭を空っぽにしたまま、自分の目で観て感じるという事ができます。
昨今の美術館博物館での展示品には、解説の長いもの、学芸員の私的見解などが書かれていて、自分の観る目や、感じる心を邪魔しかねない事が多々あります。

今回は大雪の中お邪魔しましたが、季節ごとに訪れてみたいものです。
皆様も、金沢へゆかれた際には是非お立ち寄りになってみて下さい。

鈴木大拙館HP
『相貌と風貌-鈴木大拙写真集』


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パラミタミュージアム -三重県菰野-




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御在所岳からの眺望を楽しんだ後は、大好きなパラミタミュージアムへ。

このような素晴らしい常設展示があるミュージアムを他に知りません!というくらいにお気に入りです。
池田満寿夫「般若心経シリーズ」が開館中はいつでも見られます。何度拝見しても感動してしまいます(以前の記事はこちら)。

今回の企画展は、-飛鳥園仏像写真展-と題して、大和路の数々の仏さまの写真が展示されていました。写真よりも本物を拝するのが一番と思っていた私でしたが、最近は自身が実際に参拝しても、とらえる事のできない角度、まなざしから写真家がとらえた一瞬を観て感じるのも良いものだな……と思っています。そしてまた、写真を拝見する事によって、実際に奈良の仏像に会いに行きたくなりました。

その他所蔵作品展にても眼福にあずかり、寒い一日でしたが、心はほくほく温かく帰路につきました。

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野村美術館




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能や茶に通じていなくとも、日本の名品から醸し出される気品や気迫を感じさせてくれる逸品が揃う私設美術館。
この秋の展観は12月4日まででしたが、次回の春の展観、3月10日から始まる【「かな」の美】を心待ちに。桜や新緑の美しい季節ですね。

さて、いつも野村美術館へゆく時は、人の多い道を避け、お屋敷街をぐるぐると、写真のような小川が流れ、自然の草花が茂る道を通ります。
散策される方も、時間がゆるすようであれば、ぐるぐると歩いてみられる事をオススメしたいです。
南禅寺さんまで参拝にこられたなら、併せて是非!

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肥後松井家の名品「武家と茶」 -裏千家茶道資料館-




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細川家家臣、松井家所蔵の茶道具の展観。相国寺の承天閣美術館と同時開催で、こちらでは茶道具等がお目見えです。
展観のポスターを見るだけでも、期待に胸ふくらむ展観です。すごい水指ですね。

千利休とも親交があり、禅にも傾倒した武家の当主のコレクションは、筋が通って凛としていて、拝見しているだけでこちらの気持ちも引き締まるもの。12月4日まで。必見です。

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神仏います近江 -MIHO MUSEUM-




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大津市歴史博物館滋賀県立近代美術館に続き、最後の会場となるMIHO MUSEUMを訪れました。
こちらの会場では、「近江伝来の仏像・仏画・経典などを中心に、釈迦入滅から始まり、大乗仏教とともに進展する仏・菩薩の世界、日本仏教の母山とも称される最澄、円仁、円珍らによる天台仏教の確立までの道のりを概観」との事。
なかなかにテーマが大きすぎる為か、少しまとまらない感じがありました。これは主催者側も承知の上での展示だったようです。
それにしても、いつも思いますが、MIHO MUSEUM所蔵品の美しさには、ハッとさせられます。「これはどちらのお寺のものだろう」と思えば、MIHO MUSEUM所蔵である事がしばしば。創設者の小山女史の審美眼にはいつも溜め息ものです。
12月11日まで開催。秋の紅葉を経て、枯れゆく野山の風景もとても美しいものです。

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臥龍山荘 -愛媛県・大洲-




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愛媛県は大洲市にあります"臥龍山荘"を訪れました。
市内を流れるおおらかな美しい肱川。その臥龍淵の崖の上に建つ不老庵、知止庵、臥龍院の建物からなり、敷地は3千坪。
もとは文禄期に渡辺勘兵衛が庭園を築き、その後大洲藩主の加藤家に引き継がれていましたが、明治期に入り荒廃。そこで、大洲出身の貿易商、河内寅次郎が復興させました。
京都の桂離宮を思わせるようで、それでいて独特な発想による様式も施され、構想10年・工期4年をかけた彼の理想の地である事を、随処に伺い知る事ができます。

茶の湯をたしなむ者には、臥龍院の建築において、雪輪窓の塗りや床框の塗りが中村宗哲、欄間は駒澤利斎、襖の引き手や縁側の留め釘が中川浄益、襖は奥村吉兵衛など、千家十職のうちのいくつかの職家が携わっている事に感嘆を隠せません。
もちろん、美しい唐紙の襖紙は、唐長によるもの。意識をもって見つめれば、学ぶ所だらけで、なかなか先に進めないくらいに素晴らしい名建築なのでした。

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臥龍院を裏から観た所。左官の仕事も見事。駒澤利斎による透かし彫も美しく、さらに屋根の手のこみよう、美しさも圧巻。日本の職人の仕事の凛とした美しさは、建物の印象を引き締めます。

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システィーナ歌舞伎「石川五右衛門」 -大塚国際美術館(鳴門)-

 

昨年に引き続き、今年も行って参りました。
もう“これでもか!!!”という、半ばなんでもあり?!のかぶきように、感動あり、笑いあり、驚きありで、息つく暇も無い時を過ごしました。

スペイン人を父に、日本人を母に持つ五右衛門が、幼い頃に秀吉により日本を追放された父、秀吉の室となる事を拒んで自害した母の無念を晴らすため、秀吉に復讐を誓い大盗賊となり……という設定の新作歌舞伎。

出雲の阿国と恋に落ち、都の人々に踊りが飽きられてしまったと嘆く阿国に、父親ゆずりのフラメンコを教えるという奇想天外なシチュエーション!
片岡愛之助さんが歌舞伎の装束のまま舞ったフラメンコに、会場の拍手も割れんばかり。阿国役の中村壱太郎さんの和フラメンコも艶やかで、眼福のひとときでした。

また、特別ゲストとして、徳島県出身で世界的に活躍するフラメンコ舞踊家、小島章司さんによるフラメンコの舞台もあり、この気迫こもる踊りに、私は涙するほどに魅せられました。スペインに行った事などないのに、あの情熱の国の風景がまるで彼の後ろに現れては消えてゆくように、ありありと浮かぶのでした。
彼の舞台を是非とも一度観に行きたいと思いました。

来年も是非訪れたいと思っています。ちなみに、この歌舞伎はシスティーナ礼拝堂を模した、下写真のようなホールで行われる為、いつも和洋折衷の新作歌舞伎なのです。
2階にはバルコニーがある為、例の「絶景かな、あ、絶景かな~~」も、バルコニーからなさいましたよ! 歌舞伎を知らない方にも楽しめる演出がたくさん。是非皆様も来年訪れてみてください!

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凩のころ -北村美術館-




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このたびの秋の北村美術館。【凩(こがらし)のころ】(12/4まで)。
毎回書いているかもしれませんが、いつも展観の“名(めい)”が楽しみで、「あぁ、いいなぁ…」と思うのです。
季節を感じるお道具類が、茶事の形式に則って並べられ、一期一会の茶事を体験するかのごとく拝見できます。

道具類にうっとりとし、溜め息をつくのは毎回の事。さらに今回は、私が尊敬し、お慕いする堀内宗心宗匠の消息が軸装されて飾られていました。北村翁と堀内家には交流があった為、度々宗匠方の消息などが軸装されて展観にて展示されています。
今回は、宗匠らしいとても懇切丁寧な袱紗のたたみ方についての消息(絵まで描かれています!)。なんとも微笑ましいものでした。

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「遂翁元盧」展 記念講演会




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既に本ブログでご案内しておりますとおり、現在、花園大学歴史博物館にて、2011年秋季企画展「遂翁元盧 禅画と墨蹟」を開催しております。
本展覧会では、丈山文庫・永明寺(いずれも静岡県)の所蔵する、白隠慧鶴の高弟・遂翁元盧(1717~89)の禅画、墨蹟を展観しており、10月の展示分は入れ替えを行ないまして、只今は中期の展示内容となっております。

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10月にお越しになった方でも展示内容が変わっておりますので、また改めて足をお運び頂ければと存じます。

なお、明日10日午後には、本展覧会の記念講演会を開催いたします。入場無料・申込不要ですが先着順150名までとなっておりますので、お早めにお越しください。

[日程]2011年11月10日(木)
[講演]
  13:00~14:30
   ◆「白隠と遂翁」 芳澤勝弘(花園大学国際禅学研究所教授)
  14:40~16:10
   ◆「白隠の禅」  玄々庵老大師(瑞泉僧堂師家) 
[会場] 花園大学 教堂(入場無料・申込不要・先着150名)


大きな地図で見る

 お問い合わせは、(財)禅文化研究所 まで
    〒604-8456 京都市中京区西ノ京壷ノ内町8-1 花園大学内
    TEL 075-811-5189 FAX 075-811-1432

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神仏います近江-滋賀県立近代美術館-




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先日の大津市歴史博物館の-日吉の神と祭-に引き続き、2会場目となる、滋賀県立近代美術館へ行って来ました(上司の記事はこちらに)。

こちらでは、-祈りの国、近江の仏像-と題して、平安時代から鎌倉時代まで、貴族社会から武家社会、天台からその他の宗派まで、幅広い時代・時代背景の仏像が一度に観る事のできるまれな展観となっていました。

京都・奈良・滋賀の仏像を観てまわっていると、専門家ではないのではっきりとうまく言葉で表現はできないのですが、それぞれに味わいがありますね。
今回の展観でも、奈良とも、京都とも違う近江の味を堪能しました。

と申し上げながら、“近江の味”とはまた違うような気もするのですが、やはり、どうしても、ひときわ目を引いたのは、快慶作の木像大日如来坐像(石山寺)です。これは、快慶作と聞かずとも誰しもその前でハッと立ち止まってしまうのではないでしょうか。
密教における最高仏、宇宙の真理そのもの、万物の長たる大日如来に相応しい、圧倒的な迫力と美しさと荘厳さを兼ね備えていました。

またもう一つ、普段は門の中で寺を守っている金剛力士像が、今回の展示では門から出て間近に拝む事ができ、私はことのほか、甲賀市は正福寺(臨済宗妙心寺派のお寺です)の金剛力士像に心打たれました。その“手”に です。

金剛力士像を思い浮かべて下さい。いろんな形がありますが、正福寺の像は、片方の手は力強く地面をおさせるかのような格好をとっています。その“気迫”に打たれたのです。
「あぁ、荒ぶるものを抑え、山門にて邪悪なものの侵入を拒むのだなぁ。土地が荒ぶる事も、この手で抑えていらっしゃるのかもしれない」と、ふと思ったのでした(かなり勝手な私の想像です)。

私の大好きな不動尊も、味のある矜羯羅童子・制多迦童子を従えてお目見え。
堪能させていただきました。ほんとうに、ありがたい展観です。

3館での開催のうち、2館拝見しましたので、残すはMIHO MUSEUM。こちらもまた楽しみです。勝手な感想を述べさせていただく事になると思います。どうぞ宜しくお願い致します。

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入江泰吉・杉本健吉展~大和路に魅せられた二人~ -奈良市写真美術館-




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時に意見を闘わせるライバルではあるものの、腹の底から互いを尊敬し、切磋琢磨しあう縁生の友。良いものです。

入江泰吉記念 奈良市写真美術館にて、そんな二人の展観が開催中です。
入江泰吉さんも、杉本健吉さんも大好きな私にとって、とても贅沢で心温まる展観で、国のまほろば、奈良の都をさらに好きになってしまいました。


老師のインタビューに伺っても、修行時代にそういう仲間に恵まれたお話をよく伺います。人生に、そんな存在がいるって、とても素敵な事だな……と思います。
今、皆様にはそんな大切な友人が、目に浮かんでいらっしゃいますか?

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大津市歴史博物館 -神仏います近江-




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滋賀県の神仏が3つの美術館博物館に集合。【神仏います近江-日吉の神と信仰-】を拝見しに、大津市歴史博物館に行ってきました(先日上司がでかけた他会場の記事もあります)。
こちらでは、神像が多く展示され、主に神仏混交の世界が繰り広げられていました。

ほぼ完全なる神仏分離の時代に育った者としては、「これは仏教の仏さん」、「これは神道の神さん」と分けて見たり考えたりしがちですので、この会場に並んだどっちとも取れるような神仏像や曼荼羅に???となったりします。
昔の日本では、インド(ヒンドゥーや仏教)の神仏が日本の神に姿を変えて現れる…と信じていました。とてもおおらかで深い懐を持った極東の国、日本の姿を垣間見る事のできる展示でした。

「源流ともいえるインドに私が憧れるのもわかる気がする」。
「私が、世界中どこの国に行っても、そこの土着の神やその土地の信仰上の神仏に畏敬の念を抱き、こだわりなく手を合わせられるのは、この為か」。

などと、自分の中に根付く宗教観を確認できるかのような素晴らしく意義ある展観でした。古き土地、近江の国の神仏は、我々日本人の原点を教えてくれるかのようです。


そして、日吉神社の山王祭。目と鼻の先のお隣滋賀県での大きなお祭に、是非参列してみたいと思い、来年のお祭の日をさっそくにも確認するのでした。

百聞は一見にしかず。「何でも、いっぱい見て来なさい。そうすると色々がもっと楽しくなるよ」との福森雅武先生の御言葉がいつも私の胸にあります。

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志賀直哉旧居 -奈良市高畑町-




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奈良市内、飛火野を抜け、春日大社の神官が通った禰宜の道をとおり、志賀直哉旧居へと行ってきました。
何度か訪れていますが、行く度に新しい発見のある家なのです。建築にさほど詳しくなくとも、その細かいしかけ、気配りに驚く事間違い無しです。

遠くの方はご旅行の際に是非、お近くの方は、何度か通ってみてください。その時の自分が、この家のどんな所に新たに気がつくのか、鏡のようなものだと思います。志賀直哉のメッセージが込められた家です。

これから紅葉の季節を迎え、春日山の木々や高畑町のナンキンハゼの街路樹がそれは美しい彩りを見せてくれるのも必見なのです。

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肥後松井家の名品「武家と能」 -承天閣美術館-




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相国寺本山内、承天閣美術館にて開催中の、-肥後松井家の名品「武家と能」-を拝見しにお邪魔しました。
私の個人的趣味によるものかもしれませんが、「こんなに面白い展観はそうは無い!」と思うほどに、溜め息がもれるような逸品の数々でした。
能面・装束はもちろんのこと圧巻ですが、それ以外の松井文庫収蔵品も現在では既に再現できないような職人の仕事が随処に。
大名家に並ぶほどの名門、現在まで続いている家の底力を思い知りました。

京都国立博物館では、松井家の主、細川家の展観も開催されていますね。この秋、どちらも必見!の展観です。
また、細川家、松井家共に、禅宗と深い関わりのあった武家です。そのあたりが垣間見られるのも私を喜ばせるのに充分過ぎたのでした。
裏千家の茶道資料館では、松井家の茶道具が拝見できます。また時間をみつけて訪れたいと思っています。

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人間国宝 北村武資「織」を極める -京都国立近代美術館-




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京都国立近代美術館にて10/30まで開催中の、-「織」を極める 人間国宝 北村武資-展へとでかけてきました。

初めて彼の作品を目にしたのは何年前の事でしょうか。とてもシンプルで、主張しているという風でもないのに、圧倒的な美しさで目が釘付けになったのを覚えています。それが人間国宝の技によるものと知り、納得する事しきりでした。

そんな北村武資先生の多くの作品を一度に、間近に拝見できる展観。羅の、軽やかで、繊細で、それでも強い輝きを放つ美しさは、天女を思わせ、しばし浮き世を忘れました。
ごまかしのない人生による、丹念で繊細で真摯な仕事。そこにこそ本当に人を感動させ、癒しまでをも与えるような力強さがあるように思えました。必見です。

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高麗美術館




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京都市北区にあります高麗美術館では、「刺繍ポジャギとチョガッポ展」が開催中です。
昔から韓国のパッチワーク、ポジャギの布などが大好き。今回も窓からさしこむ光をやわらかに、美しく届けてくれる布たちを堪能し、昔の韓国の女性達が、一針一針にどのような思いを込めたのか、心を沿わせながら拝見しました。
現代作家の先生方の作品も2階に並び、古きもの、それを受け継いで作られた現代のもの、共に楽しめました。私も生活の中に取り入れたいと思います。
11月6日まで。是非おでかけ下さい。

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伊賀 土樂窯訪問




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以前こちらでもご紹介しましたが、先日、友人たちと土樂窯を訪ね、福森雅武先生とお話させていただき、道歩さんに仕事場などを案内してもらいました。

いろりの間にお邪魔すると、私の目を釘付けにするものばかりなのですが、特に先生がいつも生けられる花には、心うち震えます。

「100年は経っているんじゃない?」と仰る、素晴らしい風合いの山ぶどうのつるの籠に、曼珠沙華や猫じゃらし、その他名前は知らずともよく見るススキのような草、そして何やら蔓が生けられています……。「これ、なんだっただろう…」と思ってしばし見入っていると、「さつまいもの蔓だよ」と。

私の頭の中に、母方の里、出雲にて幼い頃にさつまいも掘りをした記憶がぶわっと蘇り、感動が……。
皆さん、芋の蔓を生けようと思われますか?「だって芋の蔓だもん。野菜だよ」と思いませんか?他にも、そのあたりに生えている草花を見る時に、「それって雑草でしょ」と、花屋さんに並ぶ草花と境目を作って見てはいませんか?
私は大いに作っていると思います。もう嫌だというくらいに、境界線、自分のものさしだらけです。その境目やものさしを無くしたいと、茶道や禅やヨガなど、色々かじってはいるのですが、これがなかなか手強いものです。

「ふと、美しいな、綺麗だな、と思えば生ければいい。ただそれだけです」。

土樂さんへ伺うと、いつでも、生命の輝きと、迎えて下さる福森家の人々の温かさに触れられ、さまざまな事を学ばせてもらえます。いつもいつも頭で考え、結局よくわからなくなりがんじがらめにあっている自分が、解き放たれる心持ちがします。

大学で、教育哲学・生涯教育などを専攻していた事もあり、ふと、先生に「今の小学校や子どもたちの教育に関して、アドバイスはありますか?」とお尋ねしましたら、「農業をやるのが一番良いんじゃない?サイクルというもの、生命の循環というものを知る事になるからね」と。

教育に関しての本を読んだり勉強したりもしますが、どんなに多くの言葉で語られたものよりも、先生の一言に全ての答えがあるような気がしました。

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神仏います近江(滋賀県立近代美術館)




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先般、ご案内したとおり、展覧会「神仏います近江」が、滋賀県の3つの美術館で合同開催されていますが(大津市歴史博物館は10/8~)、その中の一つ、滋賀県立近代美術館に行ってきました。

ここでの展観は「祈りの国、近江の仏像-古代から中世へ-」ということで、仏像ばかりが展示されています。
開催2日目ということなので、混んでいるかもと思ったのですが、午後3時ごろという時間も関係してか、比較的すいていて、滋賀に残る古い仏像にゆっくりと対面することができました。
主に平安時代~室町時代に作られた木像が多かったのですが、そもそも平安時代には鋳造された神仏像はほとんどないとのことです。
なかでも私は、湖南市の善水寺(天台宗)蔵の「木像帝釈天立像」(重要文化財)が目にとまりました。ぷっくりとしたふくよかな輪郭で平安時代の一木彫像です。

やはり出品の多くは天台宗寺院のものでしたが、2点だけ臨済宗妙心寺派の正福寺(湖南市)のから出陳されていました。本尊十一面観音立像と金剛力士像ですが、いずれも平安時代の作。つまり禅宗が中国より伝わる前のものです。このようなことから、十一世紀ごろ、現在正福寺のあるこの地に本格的な伽藍を備えた大寺院が存在していたことを裏付けているようで、これからの研究が待たれるようです。

今回のような企画展は、まず二度とお目にかかれないであろうと思い、大部な図録『神仏います近江』(\2400)を購入してきました。じっくり見せてもらうとしましょう。



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江里佐代子の伝言 -中信美術館-




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京都市上京区にあります中信美術館にて、截金(きりかね)の人間国宝・亡き江里佐代子先生の作品展が開催中です。


【人間国宝 江里佐代子の伝言 -康慧とともに創った荘厳の世界-】
-10月16日まで-


以前、研究所のバス旅行にて、江里康慧先生の工房をお訪ねした際に、同じ工房内で截金の職人さん達の作業風景も拝見させていただきました。
そのお仕事たるや、見ている我々さえも息ができなくなるほどに繊細で、尊いものであった事を今も鮮やかに思い出す事ができます。

元は仏像に荘厳を施す截金の技法を、オブジェや茶道具など、さまざまな工芸品に施し、一つの独立した芸術作品として世に広く紹介され、常に新しい試みをされていた佐代子先生の来し方を垣間見る事のできる展観。
先生の自筆の御言葉が随処に飾られていますが、截金とは、仏に出逢った時の歓喜を表現したもの……というような御言葉が、私の心には一番響きました。


しかも無料!です。
是非この期間に京都にいらっしゃる事がありましたら、お運び下さい。

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大本山大徳寺(京都紫野) 曝涼のご案内




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このところ、展覧会の情報ばかりで申し訳ないですが……。

毎年恒例の、大本山大徳寺(京都紫野)の曝涼のお知らせです。
大徳寺所蔵の宝物の数々が、虫干しを兼ねて展観されますので、この機会に大徳寺をお訪ねになっては如何でしょうか。

 平成23年10月9日(日)
 午前9時~午後3時半
 但し、雨天中止。

※この曝涼は、毎年10月の第二日曜に開催されています。

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遂翁展のご案内




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この秋、禅文化研究所では、花園大学歴史博物館との共催にて、2011年秋季企画展「遂翁元盧 禅画と墨蹟」を開催いたします。
本展覧会では、丈山文庫・永明寺(いずれも静岡県)の所蔵する、白隠慧鶴の高弟・遂翁元盧(1717~89)の禅画、墨蹟を展観します。遂翁の作品のみで構成された展覧会は本展が初となります。
詳しくは、パンフレット(PDF)を御覧ください。
なお、会期中2度の展示替えがあります。ほとんどの展示品が入れ替わりますので、繰り返しのご来場をお待ちしています。

◇遂翁元盧 -禅画と墨蹟-   丈山文庫・永明寺所蔵作品◇
  会場:花園大学歴史博物館
  入館料:無料
  会期:平成23年10月3日~12月20日
  開館時間:10:00~16:00(土曜日は14:00まで)
  休館日:日曜/全学休講日
  お問い合わせ:花園大学歴史博物館・花園大学企画広報室
         電話:075-811-5181(代)


また、会期中の11月10日(木)13:00~16:10、花園大学教堂にて、記念講演会(禅文化研究所主催)を開催します。こちらも入場無料で申込不要ですが、先着150名に限ります。
予定しております講演は下記の通りです。

 ■「白隠と遂翁」 芳澤勝弘 教授(花園大学国際禅学研究所教授)
 ■「白隠の禅」  玄々庵老大師(瑞泉僧堂師家)

併せてご来場をお待ちしております。
記念講演会についてのお問い合わせは禅文化研究所(電話:075-811-5189)まで。

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神仏います近江




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牛歩で大雨により、近畿各地に大きな被害をもたらした台風12号もやっと通りすぎ、急に秋晴れの気持ちのいい青空が広がりました。
しかしながら、今年は水害の年かと思うほど、また多くの方が犠牲になられました。この青空ほど心は晴れません。ご冥福をお祈りします。

さて、駅のポスターを見て、これは是非観に行かねばと思っている展覧会があります。
それが、滋賀県の3つの美術館・博物館が連携して行なう特別展「神仏います近江」です。

近江の地は古い地で、私の自坊の近くでも大規模な縄文時代の祭場が発掘されたりしていますし、神話も遺っていたり、古き朝鮮との交流を思わせるような地名が遺っていたりします。
日本仏教の総本山ともいえる比叡山のお膝下であるためか、多くの仏教美術がのこり、神道美術の宝庫ともいえるでしょう。

その中から選りすぐられた300点が、ミホミュージアム(信楽)、滋賀県立近代美術館(瀬田)、大津歴史博物館(大津)で開催されます。すでにミホミュージアムの展覧は始まっています。

詳しくはWEBサイトを御覧頂ければ結構ですが、是非、この機会に、古き近江の宗教文化に触れてみてはいかがでしょう。

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魁夷さんと北欧の旅/森と湖の国】・【潮音/海を描く】 -東山魁夷せとうち美術館(香川)-




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度々訪れています大好きな美術館。東山魁夷せとうち美術館を訪れて来ました。

今回は、【魁夷さんと北欧の旅/森と湖の国】・【潮音/海を描く】と題して、北欧4カ国を旅された際に描かれたとても優しく柔らかいタッチの画、日本の海を題材にして描かれた海の風景の数々を楽しみました。

カフェからは穏やかな瀬戸内の海が一望。うだるような暑さだったこの日、しばし暑さを忘れてゆっくりとカフェでお茶をし、海を眺めました。香川にお立ち寄りの際は是非足を運んでいただきたい美術館の紹介でした。

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ハンブルク浮世絵コレクション展 -承天閣美術館-




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夏期休暇中はご迷惑をおかけいたしました。
本日より順次、ご注文いただきました書籍の発送、ご質問いただいておりました件など
、対応させていただきますので、宜しくお願い致します。

さて、9月11日(日)まで、相国寺内の承天閣美術館にて、-ハンブルク浮世絵コレクション展-が開催中です。浮世絵にはさほど興味の無かった私ですが、さすがのコレクション、精緻なる版画の世界、独特の色、江戸の風俗など、観にゆけばやはり興味深いものなのでした。
また、いつも思うのですが、承天閣美術館の庭にある石が素晴らしいのです。
そういえば見覚えあるなぁ……と思っていたのですが、大徳寺聚光院にあります、千利休さんのお墓の墓石と同じでした(下左写真)。
庭の石、灯篭などもお見逃しなく!

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天竺へ~三蔵法師3万キロの旅 -奈良国立博物館-




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この御方がいらっしゃらなければ、東アジアの仏教史はまた違ったものになっていたのでしょう。玄奘三蔵の天竺への旅に思いを馳せる、絶好の機会。
奈良国立博物館にて開催中の特別展、「天竺へ~三蔵法師3万キロの旅」にお邪魔してきました。

3万キロに及ぶ求法の旅が描かれた、全12巻・全長総計190メートルを超える絵巻物、国宝「玄奘三蔵絵」(藤田美術館蔵)。その精緻なること、美しきこと、写真やHPの画面で見て満足していてはいけません!実物を見てこそです。

幾多の困難を経て経典をもたらした玄奘三蔵に自然とありがたいという思いが湧き起こるのと同時に、多くの無名の侍者達にも頭下がる思いを抱きました。
会場入口すぐに、玄奘三蔵坐像がおはします。そのお姿拝見するだけでも感きわまる思い。お時間ある方、お近くの方は是非足を運んでみてください。

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弊所は、8月10日~17日の間、夏季休業とさせていただきます。
この間にご注文いただきました本の発送は18日以降となります。
メールやお電話などでのお問い合わせ等も、18日以降のご返答となります。
ご迷惑をおかけ致しますが、ご了承くださいませ。

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かんさい いす なう -大山崎山荘美術館-




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アサヒビール大山崎山荘美術館にて開催中の、-かんさいいすなう-にお邪魔しました。

実家では大ファンの木工作家さんの椅子を使っており、座り心地の良い椅子というものにはそれなりに私自身もこだわりがあります。それゆえ、今回の展示も楽しみにしていました。
違う作家さんの、これだけ多くの様々な椅子に腰掛けてみられる機会というのは、滅多と無い事と思います。また、夏休み期間にも開催されていますので、お子さんと是非おでかけになって、手のこんだ、心のこもったホンモノに触れられる機会を持たれると良いのでは……と思いました。

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樂歴代とその周縁 -樂美術館-




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京都市上京区にあります、樂美術館を訪れました。
今回の展観は、-樂歴代とその周辺-。その名の通り、樂家歴代の茶碗、そしてさらに樂家と深い関わりのあった方たちの茶碗も拝見する事ができました。“周辺”を知る事は、樂家や茶の湯の歴史などを知る上でもとても深く大きな意味があります。

光悦が好きだ好きだと言い続けてきた私ですが、今回は光悦のお茶碗よりも、尼焼(夫を亡くした妻が焼いたと伝わる物)にいたく惹かれました。その時々によって、自分が惹かれる、興味を持つものとは本当に違ったり変わってゆくものですね。
7/3(日)まで。

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岸野忠孝水墨画展 -加島美術-




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友人宅にて、およそ10センチ四方ほどの大きさに描かれた、小さいはずなのに大きな富士の絵に衝撃を受けました。「すごい!どなたの絵?」と尋ねたら、岸野忠孝さんとの事。

1938年、山口県生まれ。小林雲道人に師事し、山田無文老師に参禅する事3年。
東京での個展は6月27日から7月3日まで。私も伺いたいくらいだったのですが、都合上叶わず、泣く泣く断念しました。お近くの方は是非ともおでかけになってみて下さい。

“描いた”というよりも、画が“現れた”と言った方がしっくりくるような作品の数々。画からむらむらとたちこめる気が私を虜にしてやみません。

岸野忠孝水墨画展
会期:2011年6月27日~7月3日
会場:加島美術
   〒104-0031
   東京都中央区京橋2-9-9 ASビル1階

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藤田美術館




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大阪市都島区にあります藤田美術館。今まで機会が無く、私の大好きな岸野承さんの彫刻展もあるという事で、初めて訪れてみました。
藤田美術館では、国宝9点、重要文化財51点を含む約5000点を収蔵しており、このコレクションは、明治の実業家、藤田傳三郎とその長男平太郎、次男徳次郎の父子2代によって蒐集されたものだそうです。
個人のコレクションの中から、9点もの国宝認定の美術品が出るという事に、如何に物を見抜く力があったかが伺えます。

茶の湯を学ぶ者にとってはたまらないような収蔵品に、溜め息ばかりついていましたが、私が一番気に入ったのは、何の指定も受けていない、高野山から移築されてきたという、お庭にある多宝塔でした。なぜか妙に惹かれています。
次回この多宝塔に会えるのは秋の展観。必ずやでかける事にしようと思っています。

追伸:久々に大坂城を見て、その土木工事のすごさに圧倒されました。薪能を観にでかけた帰りに、道に迷って大坂城内から出られなくなった事を思い出し、攻め落とすのも一筋縄ではゆかないわけだ…と思った事を思い出します。 歴史で秀吉さんのことを習っているお子さんをお持ちの親御さんは、是非おでかけになって、お子さんに実物を体感する機会を与えてあげてみてください!

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浅川伯教・巧兄弟の心と眼 -東洋陶磁美術館-




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大学を卒業して間もない頃、何もわからぬままに(今もわかりませんが)骨董街をウロウロとしていた私は、とある店の前で白く静かに輝く白磁の壺(李朝の壺)に惹かれて立ち止まりました。そして、若さゆえか何の躊躇も無く、一見さんお断りのようなお店の中へと入りました。
「若いのに李朝に関心があるとは嬉しい」と、様々な事を教えてくれた店の店主と、民芸運動の柳宗悦氏の話などになった時、当時の私は李朝の雑器などの美しさを再認識し、世にしらしめたのは彼だと思い込んでいたのですが、一冊の本を渡されました。『白磁の人』江宮隆之著。

まさに、今回の展観の主役。浅川兄弟についての本なのでした。
韓国を愛し、韓国の人々に愛され、その土となった人。
日本人とは、日本人の感覚とは、、という所をしりたい方には是非読んでいただきたい一冊です。そして、東洋陶磁美術館、何度も訪れていますが、今回の展観が一番素晴らしいと思っている私です。
7月24日(日)まで。是非お運び下さい。

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藤田美術館 -岸野承 彫刻展-




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次号の季刊『禅文化』取材の為に訪れた、伊賀の土樂窯。床に飾られていた彫像に心奪われました(次号に写真掲載予定です)。
伺えば、岸野承さん作の“雲水”とのことでした。
彼の個展があるならば是非教えて欲しいと言っていた所、大阪の藤田美術館にて、今月12日まで彫刻展が開催されているとの由。行かないわけにはゆきません。

彼が作るものの形の優しさ、そのものの生命が持つ美しさを表現した姿は、木像でもブロンズ像でも、私の心を捉えて離しません!なんであんなに優しい目線で対象物を捉えて、表現する事ができるのだろう……といつも感動し、拝見していると心穏やかになれる気がするのです。

今回写真をお見せできないのが残念なのですが、グーグルやヤフーで彼の名を検索して、ご覧になってみて下さい。そしてお時間ある方は是非12日までに藤田美術館へ!
私もお邪魔するのを楽しみにしています。

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重春 -北村美術館-




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6月12日(日)まで開催中の北村美術館(京都市上京区)の展観、“重春”。
昨年旅立たれた表千家の重鎮・久田宗也宗匠の御著書『重春 四季の茶心』から“重春”という名を拝借し、そのテーマにちなんだ茶道具の展示となっています。

いつも思うのですが、こちらの美術館では、茶事において必要な道具が茶事の流れのとおりに展示されており、茶事全体を通しての道具の組み合わせ方、季節感の出し方など、“流れ”を感じられるのが特徴で、勉強になります。
久田宗匠のご著書から拝借されたという“重春”の名に、日本の季のうつろいのなんとも美しい事を改めて感謝し、久田宗匠が後見をつとめられる茶席の、お人柄がそのままに滲み出たような、やわらかい温かさまでをも思い出すのでした。

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長沢芦雪 奇は新なり -MIHO MUSEUM-




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6月5日で終了しましたが、ミホミュージアムで開催されていた長沢芦雪展へと足を運びました。
御存知、円山応挙のお弟子さんなわけですが、応挙とは違って、-奇は新なり-との副題がある通り、我々(当時の江戸の人々)をあっと思わせるような息のむ作品が並びます。
ですが、何も彼は奇をてらって作品を描いたのではなく、彼の心の中には、楽しいことが溢れており、それを表現したり、仏教を題材にしたものも多い事から、彼と寺との関わりや信仰心から表現されていたり、とても自然なものと感じ、とても好ましく拝見しました。

富士山に郡鶴の図なども、彼にはあの風景がみえていたのだろうと思うのです。
唐子や犬がころころと丸くて、もう誰がみえても微笑ましくなるような柔らかさ、温かさ、可愛らしさを感じるように描かれていますが、それも彼にはそう見えていたのだろうな……と思うのです。それをただ、表現しただけ。
凡人には“奇”に見えたりするわけですが、なんとなくこの奇という文字に違和感を抱いた私でした。我々凡人が見えないものが、彼には見えていた気がします。素晴らしい!の一言につきる展観でした。
芦雪の作品を一挙にこれほどたくさん楽しめる展観、素晴らしい美術館が比較的住まいから近い所にある事を改めて嬉しく思う休日でした。
関西にご旅行に来られる方には、少々山の中で時間はかかりますが、是非とも立ち寄っていただきたいと思う美術館です。

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茶の美の源流 唐物 -野村美術館-




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いつもポスターと拝観券をお送り下さる野村美術館様。他の職員の手に渡る事はほぼ(いえ、全く)無く、私がいつもお邪魔させていただいております。とても有り難い事です。

今回の展観は“唐物”。
茶の湯になじみの無い方には???かもしれませんが、読んで字のごとく、唐(中国、またはその一体)渡りのお道具類です。
お家元からのお許しを得て(お免状をいただいて)初めて師匠から伝授される点前がありますが、その中にも、この、唐物を特別に扱う“唐物のお免状”があります。これ以上は無いというほどに、お道具に対して丁寧な扱い(点前)をします。
この事からも、どれだけ珍重されたお道具か、おわかりでしょうか。

では、大名家などの家宝として伝わったり、昭和の経済界をリードしたような富豪茶人が所持したこのような唐物。我々庶民が所持し、扱う事などあるのだろうか?などという疑問を抱かぬでもありませんが、伝統の継承とはそういう事でもないな…などと思っています。
また、伝統の継承とは、とても丁寧に、心を込めて、これ以上は無いというほどに物を扱うという、その心そのものを学んでいるのだと理解しています。他事にも応用がきくというものです。

目に見えないもの、これです!と、目前に出して見せる事のできない“心”を継承するのには、型も必要不可欠なのだろう…。これがお茶から学んだ事です。
型が嫌で、覚えられなくてしんどくてお茶のお稽古を断念してしまうのは、非常に残念な事だなと思うのです。そこを超えたところに、とんでもなく広く、自由で、楽しくて仕方の無い世界が待っています。

美術館の御案内が違う方向へ行きましたが、茶の湯を学びつつ、様々な美術館の展観を尋ねる事、この上無い楽しみです。

“唐物”って一体?!と思われた方は、是非野村美術館にてその逸品を尋ねてみてください。地階で開催されていた、茶事にて使われたバカラの特注品もため息の出る素敵さでした。

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狩野派の絵画 -花園大学歴史博物館-




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現在、花園大学の歴史博物館では、2011年春季企画展として、「狩野派の絵画 ~枡米菴コレクション京狩野作品を中心に~」が開催されています。
個人蔵(枡米菴コレクション・枩子菴コレクション)や、妙心寺塔頭の大法院・麟祥院に所蔵される、普段はあまり大きく取り上げられてはいない京狩野の絵画を展示されています。
会期はすでに前半を終えて後期に入っています。小規模の展覧ですが、入場は無料ですし、すばらしい作品をじっくりと観ていただくことができます。
是非おはこびください。
ちなみに禅文化研究所も同じ花園大学の敷地内にあります。秋には、この歴史博物館で、禅文化研究所曝涼展も計画中です。

会期:2011年3月31日~6月4日
開館時間:午前10時~午後4時(土曜日は午後2時まで)
休館日:日曜・花園大学全学休講日
入館料:無料
主催:花園大学歴史博物館
お問い合わせ:花園大学歴史博物館・花園大学企画広報室 TEL 075-811-5181
マップ:花園大学へは……

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親鸞展 -京都市美術館-




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岡崎の京都市美術館にて開催中の、親鸞展にお邪魔しました。
御存知浄土真宗の宗祖、親鸞の750回忌を記念して開催中の展観です。

今回改めて思いましたのは、お釈迦様の修行・悟りに端を発した仏教が、日本ではこれほど多くの宗派に分かれ、それぞれの宗派が独自の特色を持ち発展するというのは、日本人の多様性や柔軟性ゆえなのか……という事でした。
いつも禅宗関連のものばかり拝見している私には、同じ仏教関連の展観でありながらあまりにも知識に乏しく……(念の為、うちの研究者は私とは違い、あらゆる宗派にそれなりに詳しいですのであしからず)。

親鸞が何を言い、何を伝えたかったのか-というところがもう少しわかりやすく、人々の心に訴えかける、伝わるような展観であればと思いました。
研究所が禅宗関連の展観のお手伝いをする際も、そこが大事なのだろうなと改めて思う、休日の午後でした。

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パウル・クレー展―終わらないアトリエ -京都国立近代美術館-




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5月15日まで、京都岡崎の京都国立近代美術館にて開催中のパウル・クレー展へと足を運びました。

彼の作品についてあれやこれやと語ることばを私は持ちませんが、いつもなんとなく「あ、いいな」「観ておきたいな」と思った自分の心を大切に、美術館へは足を運びます。
有名か無名か、海外のものか日本のものか、古いものか新しいものか……、といった事は関係無く、一人きままに、自分のペースで歩みを進める美術館での時間が気に入っています。

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マザー・テレサ生誕100年記念写真展 -思文閣美術館-




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思文閣美術館にて4/10まで無料にて開催されていた、「マザー・テレサ生誕100年記念写真展竏茶}ザー・テレサは生きている竏秩vを拝観に訪れました。

折に触れて色々なところで目にするマザーの言葉には、クリスチャンでなくとも万人に響き、届く愛があります。


大切なのは、どれだけたくさんの事をしたかではなく、どれだけ心を込めたかです

この御言葉は、私が以前東京国際ブックフェアに仕事で訪れた際に、お隣のブースにいらっしゃった女子パウロ会の方にいただいた栞に刻まれていました。今も自宅の机の上に飾っていますが、この御言葉がどのようなお話から出てきたのかを知る事ができました。

マザーがいらしたインドの孤児院で砂糖が切れてしまい、それをどこかで耳にした4歳の男の子が、「マザーに渡すのだ」と、自身が3日間お砂糖を取るのを我慢し、ビンに入れて親御さんと一緒に持参したのだとか。その時にマザーはこの4歳の男の子から上の事を教わったのだそうです。

その他にも印象深いマザーの表情、御言葉に多々出逢える展観となっています。
“祈り”とは尊いものだな……と改めて思いました。

次回開催は下記の模様です。お時間ある方は是非ともおでかけになってみてください。

2011年6月17日(金)~24日(金) 京都ノートルダム女子大学ユニソン館
連絡先:カトリック教育センター(075-706-3764)

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佐川美術館 -樂吉左衛門館の茶室-




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佐川美術館には度々足を運ぶものの、予約が必要な為先延ばしになっていた、樂吉左衛門館の茶室見学。

私の拙い言葉では表現できないような、生きている茶室でした。五感を研ぎ澄まし様々を感じる事でとても不思議な感覚に浸れる茶室。まるで茶室から接化を受けているかのようで……。案内してくださった美術館の方も、「ここへ来ますとスッとしますでしょう。何かが落ちるような……」と。

そこで思い出したのが、先日開催した私的な勉強会で読みました本、『いのちのシャワー』(くだかけ社松田高志著)の一文。

和田重正先生の『山にいて若者と共に――人生科』の中に、「人間というものは外側はそういうふう(自己中心的)にできているから、しょうがないけれど、その外側がだんだん稀薄になっていくのが、人間的成長ということで、人間の成長はそういう所に表れて来る」とありますが、ここで外側とか、それがだんだん稀薄になっていくのが成長であるという言い方は、大変印象的です。

外側を稀薄にしてゆく為に、私達は社会で様々な経験を積んだりするのでしょうが、私の場合は特に外側が強固で厚い為、茶や禅やヨガや…などと、稀薄にする為にせっせと色々なものに手を出しているのでしょう。
更に、この日茶室を訪れたように、芸術や文化に触れる事は、それがそのまま外側を稀薄にしていってくれるような気がして、美術館の方の「何かが落ちるような…」が妙に納得できたのでした。

また、私の友人が、「でも、その稀薄にしてゆく過程も楽しいもんやん」と。確かに茶も禅もヨガも厳しさがありながらも、楽しいです。苦行ではありません。
まだ短い人生ですが、大変辛かった経験も、今となっては糧となっています。

色々を考えると、やはり人生とは、和田重正先生が仰ったように「いのちの世界では、楽しみの中にも、苦しみの中にも、悦びがある」これにつきるのだなと思う今日この頃です。大学生の頃にこの言葉を知りましたが、まだわかったようなわからなかったようなあの頃の自分を思い出しました。

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綴プロジェクト 於:建仁寺




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3月19日より始まりました、建仁寺「綴プロジェクト作品展」-日本の文化財を最新デジタル技術と京都伝統の技で再現-。
詳細はこちらから。

日本の宗教やそれに関わる伝統美、心。それが受け継がれてゆくところを観て感じる事で、元気・勇気・やる気など、色んな良い気をいただける事かと思います。
京都においでになる際は是非お運び下さい。

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黄檗 OBAKU 京都宇治・萬福寺の名宝と禅の新風 -九州国立博物館-




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太宰府にあります九州国立博物館にて、萬福寺開創350年の記念展としまして、『黄檗 OBAKU 京都宇治・萬福寺の名宝と禅の新風』が開催されます(3/15~5/22)。
今回、初めて萬福寺を離れ、公開される彫像2霆€もあるとの事。
禅宗の中でも、臨済宗とも曹洞宗ともまた違う雰囲気を味わっていただけたらと思います。期間中、九州の旅をお考えの方、お近くの方は是非お運び下さい。

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運慶 中世密教と鎌倉幕府 -神奈川県立金沢文庫-




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神奈川県立金沢文庫にて、運慶-中世密教と鎌倉幕府-展が開催中です。
ある日、NHK教育テレビをつけると、日曜美術館のアートシーン(展覧会情報)の途中で、とても印象的な仏像がアップで映しだされている所でした。
運慶作の大威徳明王坐像。我々の驕りや貪りなどといったドロドロとしたものを戒めるかのような力強い表情にくぎ付けになりました。

運慶の真作は数えるほどしか残っていないと言われていますが、その真作が一堂に会すとの事。お見逃しなく。

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若冲水墨画の世界 -承天閣美術館-




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来月、平成23年3月19日(土)~5月10日(火)まで、臨済宗本山相国寺内にあります承天閣美術館にて、-若冲水墨画の世界-展が開催されます。
春に京都へのおでかけを予定されている方は、是非お立ち寄り下さい。
鹿苑寺(金閣寺)大書院障壁画も、前面修理完成記念として、五十面が一挙に特別展示されます。お見逃しなく!

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小泉淳作展 -なんば高島屋-




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日経イベンツガイドより転載

『平城遷都1300年 光明皇后1250年御遠忌 東大寺本坊襖絵完成記念 小泉淳作展』を見に、大阪高島屋を訪れました(既に終了)。

聖武天皇と光明皇后の治世の元、仏教文化が花開いた奈良時代。華厳宗の世界観を現すかのような色鮮やかな襖絵の数々に魅了され、天皇皇后の慈悲深さまでもが伝わってくるような御影と、それを祝福するかのような鳳凰や飛天の襖絵。
宗教と人間の生死・それを超えた所を現しているかのようで、なんともいえない感情の高ぶりを覚えました。

80歳を超えてこの大作に望まれた小泉氏の、「我我と、我があってはあんな事はできない。無になって制作に励んだ」ということばと、物を見るという事についての彼の研ぎ澄まされた感覚に、笑われそうですが、私もあのように生きていたいと思ったものです。
蕪一つを描いた墨絵にしても、蕪が生き生きと生きていました。命あるものの中にある仏性というのでしょうか、光を完璧に捉えて、描いていらっしゃる気がして、それは尊いものでした。

小泉淳作先生といえば、我々の間では臨済宗本山の建長寺・建仁寺の法堂龍図であって、実はお恥ずかしい事に、それ以外に作品を拝見する機会が今までありませんでした。東大寺の御遠忌のおかげでこういった展観が全国で開かれ、私にも目にする機会が巡ってきた事に改めて感謝した一日でした。

鎌倉建長寺・京都建仁寺の法堂龍図はこちらからご覧下さい。

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麻生三郎展 -京都国立近代美術館-




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今月20日まで開催中の、麻生三郎展へとでかけてきました。
ポスターを見て、「これは必ず行かねば」と衝動的に思ったのですが、行ってみると重厚感がありすぎて、重い疑問を投げかけられ、小々苦しいような気もしました。

それでも、今観ておくべき、感じておくべき作品なのだと理解しました(いえ、作品の理解には至っていませんが……)。若い頃に観たものを、またいつか、歳を取ってから観るのも人生の楽しみの一つだと思います。その時その時によって、全く違った印象を受けるものです。

ちなみに、この日の私は、4階のコレクションギャラリーにて、大好きな池田満寿夫氏の版画が多数展示されていた事に心躍らせていたのでした……。

皆様も是非おでかけになってみて下さい。

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ルーシー・リー展 -大阪市立東洋陶磁美術館-




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待ちに待ったルーシー・リー展に行ってきました(東洋陶磁美術館にて2月13日まで)。
私が初めて彼女の作品を目にしたのは、十年以上前の大学生の頃だったかと思いますが、その頃にはまさか彼女の作品単独での大きな展観が各地の美術館を巡回するなんていう事は夢にも思いませんでした。

生活スタイルが見直されて来ている昨今、彼女の生き方や姿勢、シンプルな中にも揺るぎない、そして押しつけがましく無い美しさがそこはかとなく漂う作品が、多くの人の指示を得るのでしょうか。美術館を訪れているのは、若い人の方が多いくらいでした。

彼女の来し方や作品から、我々はメッセージを受け取るわけで、現代のような混沌とした時代に自分らしい“生き方”を見つめさせてくれるようで、訪れた人々にルーシー・リーは種を持ち帰らせてくれるような気がしました。どのようにその種を育て、花を咲かせるかは、受け取ったこちら次第。

若い人々が、就職氷河期などと言われている現代、自身がどういった道を選んで生きてゆくかを考える上で、芸術や職人の仕事、その人生というのは、大きな影響を与えるものと思います。京都では、提携大学とは特別料金を設定していたり、無料になったりする美術館が多くあります。若いうちから様々なものに触れられる良い機会を見逃さずにいて欲しいものだなぁ…と思うのでした。

さてこの展観、次は私が大好きな、三重のパラミタミュージアムへとゆく模様(2/26~4/17)。パラミタミュージアムの常設展、池田満寿夫氏による般若心経シリーズが興奮せずにはいられない素晴らしさ。中村晋也氏による釈迦十代弟子にも会えてしまいます。
少し不便な所にありますが、行く甲斐あります。オススメ致します。

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小泉淳作展 -京都高島屋-




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日経イベンツガイドより転載


【平城遷都1300年光明皇后1250年御遠忌 東大寺本坊襖絵完成記念 小泉淳作展】が、1月24日(月)まで京都高島屋グランドホールにて開催中です。
まだ私も訪れていませんが、貴族文化や仏教文化が華開いた天平文化を彷彿とさせる、東大寺蔵の「聖武天皇御影」や「光明皇后御影」に会えるのを楽しみにしています。
大阪高島屋も巡回します(2/2~14日)。
皆様も是非この機会をお見逃しなく。


さて、小泉淳作氏といえば、我らが臨済宗の大本山とも関係の深い方。
鎌倉建長寺と、京都建仁寺の法堂龍図は小泉氏によるものです。
禅文化研究所に事務局を置いております臨黄合議所による臨済宗・黄檗宗公式HPには、各派本山の龍をご紹介しております。
是非ご覧になってみて下さい。

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成長を見守るよろこび -V-SQUARED CONCERTより-




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人生の一つの生きがい・楽しみに、“成長を見守るよろこび”というものがあると思います。それはもう多種多様で、ある人にはお子さんの成長であったり、またある人には、畑で育てている野菜の成長であったり…。

先日、バロックザール-青山音楽記念館-にて開催された、英国王立音楽大学の大学院にて勉強中の若い2人、谷本綾香さん(メゾソプラノ)と、田代裕貴くん(ヴァイオリン・ヴィオラ)のデュオ、V-SQUAREDによる、財団法人青山財団助成公演 V-SQUARED NEW YEAR'S CONCERT(ピアノ伴奏/小川春香さん)にお邪魔してきました。

静寂の中、ヴァイオリンの美しい音色が響いた瞬間に、本物に直に触れる悦びと感動が全身に溢れ、さらに、個人的意見ですが、どの楽器よりも最も尊いと思う“人の声”には、どうしようもないくらいの感情の高ぶりがあり、とめどなく溢れる涙を止める事ができませんでした。

自身が持つ醜く汚いドロドロとした部分。人間なら誰しも持ち合わせているものかと思いますが(いえ、そうでない方もいらっしゃるでしょうが私は持っています……)、芸術とは、そういったものを浄化する為に存在するのか…と思わざるを得ないのでした。涙しながら、色々なモノが綺麗に流されてゆくようでした。

しかしながら、そうして一旦は流されていっても、日々の生活を続けてゆく中で、どうしても心に塵や埃はたまるもので、それ故に、常に美しいものを求め続けるのでしょうか。人間の生活に、如何に芸術が必要か、如何に大切なものかを改めて知る事のできた一日でした。

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名残の紅葉 -大山崎山荘美術館-




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12月12日まで開催されていた-民芸誕生-を観に、大山崎山荘美術館へと足を運びました。
もう散ってしまっているかと思っていた紅葉もまだ美しく、名残の秋を楽しめました。

民芸に関しては思う所多々あり…で、今までも足繁く民芸関係の展観にはお邪魔してきましたが、その時々によって自身の心に添う物は変遷してゆくわけで、今の私にはなぜかあまり響く事はなく、「私は何を求めているのだろう?」と思いながら紅葉の道を歩いたのでした。

15日からは、-山荘美学 ~日高理恵子とさわひらき~展-が始まるようです。興味深い展観です。冬の山荘へもまた訪れたいと思いました。

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様ざまを ぴょーんと飛び越え 来年も
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直方の茶陶 春斎の壺 -陶芸の森 陶芸館-




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MIHOミュージアムから車を走らせる事約10分。信楽陶芸の森にあります陶芸館では、「直方の茶陶 春斎の壷」と題して、信楽焼の巨匠、上田直方と髙橋春斎2人の展観が開催中でした。

“信楽焼”について知りたい方に絶好の機会です。

私は、茶道を始めて11年ほどになりますが、面白い事に、その時その時の自分の心情や好みなどによって、どの窯元のものが好きかというのが変遷します。興味が無くなったと思えば、またその窯元が好きになったり……。
「ものを観る目」というのは、面白いものだなぁ…と思います。

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グランダーマ アルテ・デラ・ルーチェ -MIHO MUSEUM-




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今回のMIHOミュージアムは、スペシャルでした。

【グランダーマ アルテ・デラ・ルーチェ】(イタリア語で、「偉大なる女性 光の芸術」)と題して、創設者の小山美秀子氏の生誕100年を記念し、彼女が集めた秀逸なコレクションの中から選りすぐりの約90点が展示されていました。
要所要所に綴られる彼女のことばと共に観る珠玉のコレクションは、私達をよりふかく美しいものの世界へと誘うようで……。

美しいものを求めることは、神様を求めることなのよ

日本では古来より森羅万象に神が宿るとされてきましたが、日本人が“美”を見出す時、やはりそこに神を観るのでしょうか。最近よくこういった事を考えていて、神道や日本書紀なども勉強したいと思っている私にとって、いくつか新たな発見がありました。
「内側から光を放つようなもの、見る人の心を清らかにしてくれるようなもの」を小山美秀子氏は求めたとの事ですが、私にとって彼女のコレクションは、どんなに渋い茶道具にも、古代ペルシャのガラスにも、その全てに透明感と、凛とした趣きを感じます。それが、「内側から光を放つ」という事でしょうか。

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システィーナ歌舞伎「スサノオsusanoo」 -大塚国際美術館(鳴門)-




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徳島県鳴門市の、大塚国際美術館にて昨年より始まったというシスティーナ歌舞伎を観劇に訪れました。
私自身、能や狂言は好きでよく観にでかけますが、歌舞伎はどうも苦手でして(ファンの方申し訳ないです、好みです)よほどの機会が無い限りでかけないのですが、システィーナ礼拝堂を模したホール、異空間で行われる近松門左衛門「日本振袖始」のスサノオ?!どういった事になるのだろうと楽しみにでかけました。

歌舞伎役者のみならず、徳島での上演という事で、阿波浄瑠璃や、スサノオという題材から、石見神楽のヤマタノオロチまで登場するシスティーナ歌舞伎版のスサノオ!!!
母方の里が出雲の私としましては、幼い頃より、訪れる度に耳にした神話や地名など、馴染み深い題材という事もあり、一度で何度も美味しいような舞台にひきこまれてゆきました。
クライマックスの高揚感は、なるほど能や狂言では味わえないような、また違う感動があり、芸道の素晴らしさに心打たれるひとときとなりました。

ここでまた、毎度引用して恐縮ですが、弊所発行の『歩々清風』堀内宗心宗匠著の一文を思い出しました。

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「弘雲佛画の心」展 -相国寺承天閣美術館-




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中国人画家、弘雲氏による作品を中心とした日中友好仏教書画展が、相国寺承天閣美術館(京都市上京区)で開催されています。
弘雲氏は1964年生まれ。幼少より中国画を学び、日本画と装飾芸術を研究するために、日本にも留学したこともあり、現在、仏教絵画の創作及び仏教文化芸術の国際交流を中心に活動されています。
今回の書画展は、弘雲氏と関係が深い北京霊光寺と京都霊雲院との姉妹寺院締結5周年を記念してのもので、会場では開催に先立ち、日中両国の仏教関係者多数が集まり、盛大にオープニングセレモニーが行なわれました。
弘雲氏の仏画は、伝統的な中国絵画に日本画の手法を取り入れ、さらに仏教の持つ深い宗教性を感じさせるものです。
この書画展は11/23(火)まで開催され、入場は無料です(但し承天閣展示室観覧の場合は別途入館料が必要)。

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入江泰吉記念 奈良市写真美術館 -奈良市・高畑-




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奈良、高畑界隈の日記が続きますが…。
私が訪れました日は、志賀直哉旧居・新薬師寺・奈良市写真美術館・白豪寺の共通チケットのようなものが発売されていましたので、この-奈良市写真美術館-は、存在すら知らなかったのですが、ついでと言ってはなんですが訪れたのでした。

閑静な住宅街、田畑も残り、すぐ近くに新薬師寺という環境の中、このような素敵な美術館があったとは……。
まず建物が面白いのです。周りの環境を気づかい、建物は1階建て?かと思えば、地下に展示室があるのです。後で調べましたら黒川紀章氏設計との事。

この日の展示は、【平城遷都1300年記念「入江泰吉傑作選―大和路― 後期】でした。
まほろばの里、大和への憧憬の念がさらに増すような写真ばかり。そしてその写真一枚一枚に、入江氏の文章がパネル展示されているのですが、またその文章が良いのです…。奈良の歩き方についてのレクチャーを受けているようでした。

展示室へと階段を降りてゆく正面の壁に、なにやらとてもかわいらしいものが展示されていてひきつけられました…。
私も大好きな画家、杉本健吉さんの陶壁でした。入江氏と杉本氏は親友だったのだとか。


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志賀直哉旧居 -奈良市・高畑-




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11月3日、文化の日。毎年恒例の正倉院展を観に奈良へでかけました。
が、遷都1300年のイベントなども盛りだくさんなせいか、いつにも増してものすごい人人人!朝9時頃に着いたのですが、既に150分待ちでした。

待ってでも観る甲斐のある素晴らしい宝物の展観である事は重々承知していますが、今回は執着を捨て、前々から気になっていた高畑辺りを散策する事に。
地図もガイドブックも無いまま向かいましたが、執着していた一つのモノ・コトを手放せば、新たな出逢いや発見があるもので…。

奈良市高畑、とても素敵な所です。何回かにわたってご紹介致します。
今回は志賀直哉旧居です。

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秋の澄んだ空気の中、閑静な住宅街の、ハゼもほんのりと色付き始めた並木道を進んでゆくと、看板が出てきます。

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生誕100年特別展 白洲正子 神と仏、自然への祈り -滋賀県立近代美術館-




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今月21日まで、「生誕100年特別展 白洲正子 神と仏、自然への祈り」が、滋賀県立近代美術館で開催中です。生誕100年という事で、各出版社が特集を組んで本を発刊しており、皆さんも御存知かもしれませんが、私の実家では彼女の著作がほぼ全作揃っており、折に触れては目にしてきて、“白洲正子先生”と呼ばせていただいています。

日本人が“美”というものについて考えたとき、どうしても避けて通れないのが信仰だと思います。
様々な“美”を見て感じて学んで、その奥にひそむ“信仰”というものに辿り着いた時、神道と仏教と日本人の美意識との結びつきなどについて、多くの著作や、亡くなられた後も発刊され続けている関連著作からガイド役をしてくれるのが、白洲正子先生です。
最近、殊更に、彼女の残したものは大きいなぁ……と思う私です。彼女のおかげで、様々な美しいものに出逢い、そこから人との和も広がっています。

彼女が足繁く通った近江の地での展観。是非ご覧になってみてください。

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特別展樂吉左衞門還暦記念Ⅰ -樂美術館-




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こちらのブログではもうおなじみ、京都市上京区にあります樂美術館
12月12日まで、【特別展樂吉左衞門還暦記念Ⅰ】が開催されています。

樂家は、当代で15代を数え、代々樂焼を一子相伝にてつくり続ける家ですが、そのような家に生まれ、仕事をするようになってから、還暦を迎えるまでの折々の思い出深い茶碗が、ご本人の解説付きで楽しめ、当代の来し方を走馬灯のように拝見し、それでいながら深く味わえる素晴らしい展観でした。

先祖代々、同じものをつくり続けながらも、やはり同じではいけない。それが精神的にどのような重圧感を抱くものか、私どものような者にはわかるはずもありませんが、人生において、どんな人でも皆それぞれに今世でなすべき事、悩み、苦しみ、課題はあるわけで、それを受け入れ、葛藤しながらも乗り越えて歩んで来たからこそ、樂さんはあんなにも人々を魅了する方なのだと改めて思いました。

父親からは一切何も言われた事も、教わった事も無く、見て盗めの世界。若かりし頃の樂さんは、盛永宗興老師のもとへ、自身が作った茶碗を持ってよくでかけられたのだとか。
「坐禅せんでも、仕事机の前に坐っておればいい」、「禅坊主も茶碗屋も同じやわなぁ」。とは、老師が樂さんにかけられた御言葉。

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-栄西と中世博多展- 福岡市博物館




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博多を訪れた際に、福岡市博物館にて開催中の、-栄西と中世博多展-を訪れました。

御存知栄西(ようさい)禅師。関西に住んでいますとやはり京都の建仁寺(栄西禅師が開山)のイメージが強く、教科書で習ったくらいでは、博多との濃い繋がりは書いてあったかどうか…忘れがちです。
実は栄西さんは2度中国へ渡られており、その背景には博多で行われていた国際貿易があります。事実、博多にあります聖福寺(しょうふくじ)建立においては、貿易を生業とし、博多に住んでいた中国人達からの資金援助もあったとの事。
当時の中国-博多-禅-茶。そして栄西禅師の日本においての布教についてなど、様々な資料から詳しく知る事の展示はこれが最初で最後?ではないでしょうか。
禅や歴史に関心ある方のみならず、お茶をなさる方にも是非足を運んでいただきたい展観です。
残念ながら巡回も無いようですので、博多まで見に行く価値あり!です。
10/31まで。お近くの方、お仕事や観光でゆかれる方はお見逃し無く!

禅文化研究所より刊行の『栄西』-千光祖師の生涯-も宜しくお願い致します。

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秋佗ぶ -北村美術館-




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いつもその展観の名に、どんなお道具が並ぶのかと楽しみな北村美術館にて、秋の展観が始まっています。

-秋佗ぶ-
洋の東西をとわず人間の感性には、秋が深まるほどに佗びしさが募るところがあります。そのような思いを取り合わせの展示のなかに含め、秋季展の企画をいたしました。

との事。なんとなくものがなしい秋。春から夏にかけて生き生きと生命力を湛えたものが、だんだんと朽ちてゆく様を見るこの季。
それでも、四季ある国に生まれた私達は、それも循環の一つで、秋に朽ちゆくものたちに、わびしさや儚さのみを見るのではなく、朽ちゆくものたちの“美”を知っています。そこからまた新たに始まる再生をも知っているからでしょうか。
朽ちゆくものも、消えてなくなって終わりではない、そこからまた新たに何かが…という循環の感覚。
祖先から受け継いで来た感覚というものは、時代を経ても変わらぬものなのでしょうか。大切にしたいものです。

今回の展示は、この“秋”の気持ちを存分に味わえるようなものとなっています。
その季節を存分に味わい、季節の移り変わりと共に自分自身をみつめる。そのサイクルを繰り返し、人生を味わい深いものにしてゆく。
いつもいつも、茶の湯の道とはどえらいもんだなぁ…と思わざるを得ないのでした。

12/5まで

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Japanese Decorative Gigs 2010 窶骭€ 京 都 南 蛮 事 変 -妙心寺・春光院-




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「南蛮寺の鐘」が残る妙心寺の塔頭、春光院さんにて、10月24日、面白い会が催されます。
唐紙・襖紙の制作で、昨日ご紹介しました-かみ添-さんも参加されています。
私もお邪魔する予定です。
美しいモノ、新しい価値観との出会いに、自身が何を思うのか、今から楽しみにしています。

Japanese Decorative Gigs 2010 窶骭€ 京 都 南 蛮 事 変

*今回はご案内が遅れ、チケット予約期間を過ぎてしまいました…。昨年もこの催しは行われていたようですので、もしかすると来年も?! 関心を持たれた方は、アンテナを張り巡らせておいて下さい。

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秋期特別展 一樂二萩三唐津 -野村美術館-




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南禅寺近くの野村美術館にて、『秋期特別展 一樂二萩三唐津』が開催中です。
茶の湯の稽古をしていれば必ず一度は聞いたことのある響きで、当たり前になっていますが、そうでない方にはもしかして不思議な響きなのでしょうか。
「いちらく にはぎ さんからつ」です。

抹茶碗として茶人に愛され、親しまれる三つの窯を列挙した言葉なのでしょうが、時と場合により“何がふさわしいか”は違って来ますので、私は、何が一番で…というような事は無いと思っています。それでもやはり、この三つの窯のものとなると一種特別の思いを抱くという事は確かにあります。

正統派の逸品が、「これでもか!」と、お腹いっぱいになるまで楽しめる野村美術館。
世界から集められた“見立て”の逸品が面白い、小林一三のコレクションを展示する逸翁美術館も大好きですが、能も嗜んだ野村得庵(野村證券創業者)の稟とした正統派コレクションも「やはり素晴らしいものだなぁ」と……。

この時代の政界人・財界人のように、現代の要人達も茶や能を嗜んだなら、日本も少し変わるのではないだろうか?!と本気で私は思っています。

12月5日まで。秋の散策と共に是非。

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藤城清治 光と影の世界展 -福井市美術館-




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京都での展観を見逃してしまった、藤城清治さん。
福井市美術館にて拝見する事ができました。
この日はご本人のサイン会があるという事で、こじんまりした美術館はものすごい人でにぎわっていました。

会場内を歩いてゆくと、独特の世界観溢れる影絵の世界に、大人も子供も目を輝かせながら引き込まれてゆきます。
ファンタジー!メルヘン♪ 普段はこういった世界と全く縁のない私も心はずませ、胸いっぱいになりながら楽しめました。
86歳現役。ピンクオレンジの上品な麻のジャケットが似合いすぎていて素敵。
藤城さんの心の中が覗いてみたい気持ちになります。
“豊か”でもあり、“光と影”だからこそ…と色々考えさせられる展観でもありました。9月26日(日)までとの事。お近くの方は是非お運び下さい。

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愚堂東寔遺墨選はじまる




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ブログですでにお知らせしたように、花園大学歴史博物館で、昨日9月21日(火)より、愚堂東寔遺墨選が開催されている。
午前10時に開場されると、妙心寺管長河野太通老師にお出ましいただき、オープニングセレモニーとして、岐阜の大仙寺様より会期中ご遷座いただいた愚堂禅師木像の開眼誦経がおこなわれた。
管長猊下は誦経の後、陳列されている禅師の遺墨や頂相などを一点一点興味深くご覧になられた。
350年遠諱は10月1日に大本山妙心寺にて勤修される。




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今回の展示品の中には、所蔵寺院において、狩野探幽画と伝わる禅師の頂相が二点展示されているが、同博物館の福嶋主任のよると、画風からも探幽のものに間違いなく、探幽の描いた人物画の中でも出色のものであると言われる。

愚堂東寔禅師の『年譜』承応3年(1654)の項に、愚堂禅師が狩野守信(探幽)に道称を与えたという記述があることから、おそらく探幽は愚堂禅師に参じていたのではないかとも思われるし、当時、愚堂禅師が大きく関わられて完成した妙心寺法堂の天井には、探幽が蟠龍図が現存しておることからも、禅師と探幽の関わりは深かったものと考えられる。




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 展覧会は10月末日まで開催され、途中一度だけ展示替えが行なわれることになっている。
 ご都合の付く方は是非お出でいただきご覧いただきたい。

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「Withered Beauty in Tea Kettles 茶の湯釜にみる朽ちの美」
-大西清右衛門美術館-




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千家十職の御釜師、大西家の大西清右衛門美術館で行われている「Withered Beauty in Tea Kettles 茶の湯釜にみる朽ちの美」展を訪れました。

日本人は殊の外、朽ちたもの、朽ちゆくものの中に無常を感じ取り、胸しめつけられながらも「だからこそ」と、そこに美を見て取る。
茶の湯の釜や風炉なども、鉄で作られているという事は、いずれは朽ち果てる運命であるが、その「侘び」や「やつれ」をまた茶の湯の世界ではなんとも言えない“美しさ”として茶人は愛でて来た。
今回のパンフレットの写真は、鉄風炉。なんともかっこいい…。

また、茶の湯の釜や風炉の中には、わざとこういった風情を醸すために最初から「やつれ」や「破れ」の風合いを出して作られたものがある。茶の湯にふれる機会の無い方にはやや驚く事ではなかろうか?

朝夕少し涼しく、過ごしやすくなって来たが、10月に入れば風炉は客寄りになり、火が客に近づく。なんとなくもの悲しく、人肌恋しい秋。そういった季を深く味わう事のできる茶道具達である。どの季節も愛しいが、11月の茶人の正月(炉開き・茶壷より出されて挽かれた新しい茶)を迎える前のこの季はまた格別である。


会  期 平成22年9月3日(金)~12月23日(木・祝)
開館時間 午前10時~午後4時30分 (入館は午後4時まで)
休 館 日 月曜日(祝日の場合は翌日) ※ただし11月22日(月)は開館
入 館 料 一般700円 大学生400円 高校生以下無料 

*こちらの美術館では、特別鑑賞会や茶会、子供参加の会なども開催中。

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館蔵の名品展 -承天閣美術館-




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墨蹟を学びたい方必見の展観です。
臨済宗大本山・相国寺内にあります承天閣美術館にて、館蔵の名品展が開催中です。
禅の巨匠の墨蹟が多々出展されており、関心のある方には非常に興味深い展示となっていました。
「どの禅僧の字が私は好みかな…。この方が気になるなぁ……」などという所から、その禅師について調べてみたりするのも楽しみの1つです。
是非お運び下さい。>来年3月27日まで

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オルメカ文明展 -京都文化博物館-




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京都文化博物館にて、-古代メキシコ オルメカ文明展 マヤへの道-が開催中です(9/26まで)。

“オルメカ文明”。皆さん御存知でしたか? 私はこの展観で初めて知りました。
マヤ文明よりもさらに遡る事、紀元前1200年頃にメキシコ湾岸を中心に栄えた文明だそうです。
マヤ暦の元とも言われるような独自の暦などもあり、天文学・宗教・文化のレベルの高さには目を見張るものがあります。
日本初の展示との事です。

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アートキャンパス2010 -細見美術館-




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京都市の細見美術館において、アートキャンパス2010-日本美術の見方 京都(みやこ)編-が9月26日まで開催中です。

美術館をキャンパスに!という試みですので、普段足を運ばない方も是非。
わかりやすい解説などがあり、楽しめるよう工夫されています。

私と友人が虜になったのは、初めて目にした小川華岳の「蝶々踊図屏風」です。
天保年間に行われた豊作を祈願する奇祭らしいのですが、仮装行列が今宮神社を目指すのだとか…。
どじょう、かたつむり、だいこん、忍者、さらに高野山の行者の姿をした者まで、それは様々に工夫をこらしていて、見ていて飽きないのでした。現代に復活したら、どんな行列になるのでしょう…。楽しすぎて妄想が膨らみます。

期間中は館長による講演などもあり、ワークショップや茶会など、様々な催しを試みている美術館。オススメです。

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生存のエシックス -京都国立近代美術館-




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京都国立近代美術館において開催中の、-生存のエシックス-を訪れました(8/22まで)。

この展観、正直申しまして自分でも、何のことか…、わかっているのかわかっていないのかそれもわからない…というような展観でしたが、世の中にこういった研究や試みをされている方々がいるのだなぁ…という感心を持ち、美術館を後にしました。
一緒に訪れた友人とは、制作者の意図するところと合致するのかどうかは不明ですが、箱にすっぽり納まってみた自分達について、いまだ色々語り合っています。
なんだか面白い展観ですので、お時間ありましたら是非どうぞ。

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展覧会 愚堂東寔遺墨選




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本ブログでも紹介してきたが、今年は、近世初期を代表する傑僧、愚堂東寔(ぐどうとうしょく)禅師(大円宝鑑国師/だいえんほうかんこくし)の350年遠諱に正当しており、禅文化研究所は、遠諱事務局より依頼を受けて禅師の「語録・年譜」と、ゆかりの寺院を訪ねて撮影した「墨跡集」を制作している(現在印刷中)。
そして、この10月1日には遠諱大法会が大本山妙心寺にて行なわれるが、それにあわせて、花園大学歴史博物館で、愚堂禅師の遺された墨跡や袈裟や硯などの品々を展示される、「愚堂東寔遺墨選」が下記の日程で開催される。
前回は禅師300年遠諱の時に開かれた展覧会。今回、50年ぶりに開かれる愚堂禅師の遺墨展を是非ご覧いただきたい。

◇愚堂東寔遺墨選◇
大圓寶鑑國師350年遠諱記念/花園大学歴史博物館開館10周年記念
  会場:花園大学歴史博物館
  入館料:無料
  会期:平成22年9月21日~10月31日
  開館時間:10:00~16:00(土曜日は14:00まで)
  休館日:日曜/全学休講日

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館蔵の名品展-書画と工芸 -承天閣美術館-




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臨済宗大本山相国寺内、承天閣美術館で7月3日から、「館蔵の名品展-書画と工芸-」が開催中です。

展示されるのは、墨蹟・絵画、工芸を中心としたもので、同展の目玉として美術館の方にうかがったのは、『無門関』を編んだ無門慧開の賛(!)による「政黄牛・郁山主図(双幅)」、「即心即仏」(夢窓疎石筆)、「蘭梅図」(惟肖得巌・江西龍派賛)など。個人的には、どこかで見た(学習参考書だったか)「異国通船朱印状」(西笑承兌筆)の実物や、「黄瀬戸大根文鉦鉢」も捨てがたいところです。
ちなみに、「蘭梅図」で賛をしている惟肖得巌と江西龍派は、当時の五山で文名をはせていた禅僧たちです。現代に続く日本の芸術文化を完成させたと言われる室町時代。そして、その文化的精華である金閣・銀閣に代表される、北山・東山文化。それらの文化の基礎とも言われる、「禅」の美術的側面を味わってみてはいかがでしょうか。

8月10日(火)までは、『京の夏の旅』協賛の特別公開として、本山相国寺の方丈・法堂も公開されています。
※ただし、8月1日・2日は、行事のために方丈襖絵が見られないということですので、ご注意ください(拝観は可)。

是非ともこの機会に、一度足をお運びください。

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良寛遺墨展 -何必館-




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祇園にある私も大好きな美術館、何必館(かひつかん)にて、先日(7/19)まで「没後180年 良寛遺墨展」が開催されていました。
早くにご案内できればよかったのですが、ぎりぎりに参りましたので事後報告となってしまいました。
こじんまりした美術館で、心ゆくまで良寛さんを堪能。5階の茶室ではふーっと深い呼吸を。こちらの美術館へは、一人でゆかれる事をオススメします。

研究所の書籍、良寛和尚逸話選もなかなかに面白いですよ。機会がありましたらご覧になってみてください。

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西田幾多郎記念哲学館




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石川県かほく市にある、西田幾多郎記念哲学館をご存じだろうか。
かくいう私も、たまたまWEBサイトで見つけて訪ねてみた次第である。

まだ新しい建物は、安藤忠夫の手によって設計されたものである。
エントランスに入り、受付の女性の案内のとおり、1階⇒2階⇒3階の順に3つの展示室を閲覧していった。

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大遣唐使展 -奈良国立博物館-




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奈良国立博物館にて開催中(6/20まで)の、「大遣唐使展」へとでかけました。

幾多の困難が立ちはだかる事を覚悟しつつ、唐の政治・文化・宗教を学び、ひいては日本の国の発展を促す為、大海原へと漕ぎ出して行った、はるかいにしえの賢人達。
彼らによってもたらされた有形無形の諸物を拝見し、彼らや、彼らを送り出した当時の人々の気持ちを充分すぎるくらいに感じ取り、日本という自分が生まれた国を改めて好きになりました。

我が国は、国を形作る制度や思想、宗教、芸術文化などありとあらゆる面で、隣国である中国や韓国から多大なる影響を受けた上で独自の発展をとげ、成り立っているかと思います。
難しい政治の話や外交についてはわかりませんが、もっと自国を知り、もっと相手国を知り、如何に多くの素晴らしいものが我が国にもたらされて来たかを知れば、先の大戦の様々な辛い過去がありながらも、良好な友好関係を築けるのでは?!と思うのは一庶民の単なる理想に過ぎないのでしょうか。柳宗悦さんも、著書の中でそのような事を語っておられたかと思います。

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冷泉家 王朝の和歌守展 -京都文化博物館-




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今週末(6/6)まで開催中の、「冷泉家 王朝の和歌守展」をようやく拝見しにでかけました。
冷泉家といえば、天皇が東京へ移る際に留守居役を任され、京都に残ったお公家さん。藤原俊成、定家、為家を祖に持ち、歴代が宮廷や武家の歌道師範をつとめました。

茶の湯を稽古する者にとっては必須!さらさらとかな文字を書けるようになりたい!…と、年初より書道の稽古を始めた私。かな文字に取り組むにはあと何年かかるのか…といった具合ですが、今回、美しい料紙やそれぞれに個性ある流れるような文字に、一気に王朝文化の雅びな世界へと誘われ、とても良い刺激を受けました。

また、「茶の湯の稽古をするのなら、和歌も必須だよ」と、ある人に言われた事がありますが、確かに師匠も、そのまた師も和歌の勉強をなさっていました。
なんと奥深い日本文化でしょう。どの道も繋がっています。

さて、この展観では、長きに亘り受け継がれて来た冷泉家の宝(教科書でしか記憶のない鎌倉・平安時代の歌人達の直筆が目の前に…)に加え、古式ゆかしい冷泉家の四季の行事なども紹介されています。様々な困難の中、冷泉家の代々当主とその周りの人々が、国の宝といえる文化を守り伝えてきてくださった事に感謝せざるを得ないのでした。
6月6日(日)までです。是非お運び下さい。

冷泉家特別公開の記事はこちら

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新緑祭釜 -北村美術館-




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美術館受付にて会記をいただき、寄付・濃茶席・薄茶席の順序でお道具を拝見する事ができるこちらの展観をいつも楽しみにしている。
また、展観の題名も、どのような茶会が催されるのかを想像するのが楽しく、今回の-新緑祭釜-などは、緑美しく、各神社でお祭が盛んに行われるこの季節に相応しいお軸やお道具が拝見できるのだろうと心踊る気持ちにさせられる。
茶の湯を稽古する者にとって、亭主がどのように客を迎え、季節や主題に応じたもてなしをするのかが勉強できる美術館である。
6月6日(日)まで。

-新緑祭釜- 北村美術館

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心の詩 : 小畠由佳理スケッチ展 -ペンは友だち えのぐはごちそう-






「心の詩 : 小畠由佳理スケッチ展 -ペンは友だち えのぐはごちそう-」が開かれています。

場所や時間については、下記の通りです。

会期: 2010年5月10日(月)~6月10日(木)
会場: コミュニティ嵯峨野(全国手話研修センター)
時間: 午前10:00~午後5:00

小畠さんは、生まれてまもなく聴覚をなくす、というハンデキャップを持ちながらも、大学在学中に、第5回京都日本画美術新人展に入選し、平成14年10月には、東近江市立八日市図書館で初の個展を開き、以後、滋賀・京都など各地で個展を行い、最近は京都大学の100点のスケッチなど、精力的に創作活動を行っておられます。

小畠さんは、歩く・見る・触れるということを基本にしながらも、例えば、お子さんのためのお弁当など、普段あまり気に留めないようなモノや風景を、絵の題材として感得することのできる人のようですが、これは素晴らしい才能だと思います。

今回の展覧会は、気に入った作品を購入することができる初めての会、とのことです。それも、嬉しいことに、手の届きやすいポストカードなどから販売されるということですので、是非ともこの機会に、一度足をお運びください。

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-江戸の粋・明治の技-柴田是真の漆×絵 -相国寺・承天閣美術館-




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臨済宗大本山相国寺内にあります、承天閣美術館にて、6/6まで「-江戸の粋・明治の技-柴田是真の漆×絵」が開催中です。
漆黒の世界の、ほうっ……とため息をつくような美しさ。静かな光を放ち、見る人を魅了する精緻な蒔絵の世界。
そして、1本の掛け軸から、桜が咲き、水しぶきが飛んで来る……。
このような面白い展観は、見逃したら損です!!!
私も柴田是真という人を知りませんでした。なぜ知らなかったのか…と思うほどに大ファンになりました。
6/4までは本山の方丈・法堂・浴室なども公開中です。
是非この機会におでかけください。

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没後400年特別展覧会 長谷川等伯 -京都国立博物館-




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京都国立博物館で開催中の、長谷川等伯展へ。

特に好きだというわけでもなく、とにかく「これだけの作品が集まるのだから行っておこう」と、金曜日の夜を狙って訪れてみた(金曜日は夜8時まで開館)。遠方からの人は少ないだろうし、金曜日の夜に何も好き好んで美術館なんて皆行きやしないだろう…と思ったのが甘かった。皆同じ事を考えるのか、なかなかの人出。ただ、土日よりはましなのかもしれない。

最後の部屋に、「松林図屏風」が。墨一色の世界。もう何の迷いもないその筆使い(というのでしょうか?)に、彼の人生そのもの、歩んで来た道が刻み込まれているような気がして、彼の心の深淵部分を垣間見るようであった。あの屏風を描くのに要した時間はいかばかりか。大作のわりに時間をかけずに描かれたのではないだろうか。
時間をかけずとも、彼の人生が詰まった松林図屏風をしばらく眺めていると、濱田庄司(陶芸家)の、「60年が凝縮された15秒の釉薬がけ…」を思い出した。

さて、等伯は将来有望であった長男を26歳(だったか25歳?)で亡くしているらしい。その息子の死が、彼の作風により深みを出したのは皮肉な事だなぁ…。と思いながらも、それでもこれが人間世界なのだな……と。

一人の絵師の作品を時代を通して見られるのは、やはりなかなかに良いものだな……と、思った以上に感動した金曜の夜であった。
臨済宗寺院所蔵の宝物も、数多く出展されている。是非期間中にお運びいただきたい。

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奈良 富本憲吉記念館




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大正・昭和を代表する陶芸家、富本憲吉。
かねてより気になっていた富本憲吉記念館を訪れた。
古いお宅の並ぶ静かな住宅街の中にそこはあり、昔とそうは変わらぬであろう邸宅跡に感慨深いものがあった。
家人より、始めて富本憲吉の作品写真を見せられた時、「自然界にある羊歯(しだ)の模様が、彼の手にかかるとこのような美しさを引き出されるのか…。普段何気なく見ているものの中に美を見出すとは、こういう事なのか……」と感激したのを覚えている。
また、金・銀・赤という華やな色を使いながらも、どこか懐かしい落ち着いた風情を醸し出しているのは、彼の原点がこの奈良にあるからなのだろうか……民芸の人との交流からだろうか……と、今回邸宅跡を訪れて思った。

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堀文子 -いつくしむ命-  -香雪美術館-

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瀟洒な住宅街の中にあり、美しいお庭には四季の花々が溢れるこじんまりとした大好きな美術館、-香雪美術館-。茶道具の展示などが多い事から、昔から好きでよく訪れていた。
いつも私を豊かな気持ちにさせてくれていたこの美術館にて、大好きな堀文子さんの絵を堪能できるとは、至福の時になるに違いない!とでかけた。

庭の枝垂れ桜はまだ固い蕾のままであったが、八重の枝垂れ桃が満開で、そのもとには人々の笑顔が溢れていた。

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朝鮮の壺 -高麗美術館-




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雨の中、京都市北区にある高麗美術館へと足を運んだ。
韓国の石文化を意識して作られた庭は、石たちもしっとり、また違う風情で一段と美しく……。

現在、-朝鮮の壷-と題して、様々な時代の、様々な人々に、様々な用途で使われた壷壷壷!が展示されている(4月4日まで)。
身分の差による作りや描かれる画の違いなど、興味深いものだが、雑器のような壷にはまたその壷の良さがあり、朝鮮のこういった類のものを見ていると、日本に民芸運動をもたらすきっかけとなったのだ……と感慨もひとしおである。
民芸運動といえば、まず柳宗悦を思う皆さんが多いとは思うが、その前に、浅川伯教・巧兄弟の存在があったことを忘れてはならない。
もう10年も前になるだろうか……李朝の白磁に興味を持ちながらも何も知らなかった大学生の私であるが、ある骨董屋の店主から、日本の植民地統治下の朝鮮に渡り、朝鮮の人々にこよなく愛され、朝鮮の大地に眠る事となった浅川巧(たくみ)さんの生涯を描いた小説、『白磁の人』を読んでご覧なさい……といただいたのが懐かしい。

高麗美術館や、東洋陶磁美術館など、朝鮮の物が多く収蔵されている美術館に行かれる前には、是非とも読んでいただきたい一冊である。
余談だが、高麗美術館までゆかれるのなら、茶室建築の巨匠、中村外二工務店が手がけた茶室のような空間の店舗をもつ、御倉屋の和菓子を買いにゆかれる事もオススメしたい。また、和菓子よりも洋菓子!という方には、その並びにある、ドイツ菓子マイスターの店主が作るズーセス・ヴェゲトゥスのバームクーヘンをオススメしたい。まさに本場ドイツと同じ味!で、店主の人柄も素晴らしく、大変気に入っている店である。

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北宋汝窯青磁 - 考古発掘成果展 -大阪市・東洋陶磁美術館-




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昔、李朝白磁にはまっていた頃、足繁く通った東洋陶磁美術館。
現在、国際交流特別展「北宋汝窯青磁 - 考古発掘成果展」と題して、河南省文物考古研究所が進めてきた河南省宝豊県清凉寺の北宋汝窯青磁窯址の出土資料約80点が展示されています。

この国の青磁や白磁を見ていると、韓国の人々を見ているような気持ちになります。
文化・芸術遺産は、その国や人そのものを映しだすものなのだなぁ…と。
日本も多大に影響を受けたお隣の国、韓国の文化を存分に楽しめる美術館です。

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THE ハプスブルク -京都国立博物館-




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1月6日から京都国立博物館にて開催中の、-THEハプスブルク-。
そろそろ人の波も引いた頃かな?!と、訪れてみました(会期は3/14まで)。
朝早い時間に向かったので良かったものの、帰る頃には外にずらっと列が…。
さすがハプスブルク家の至宝を見られる機会とあって、近畿各地から人が押し寄せているようでした。
“ハプスブルク”と聞けば、高校の世界史の授業でやたらとその名を聞いた記憶がありますが、その系図も館内には用意され、如何にヨーロッパの歴史や芸術において重要な役割を担ったかがわかる展示となっていました。
西洋美術に関して素人な私としては、かの有名なマリア・テレジアの11歳の頃の肖像と、やはり何といっても皇妃エリザベートの息を飲むような美しさにうっとりしました。
絵画のみならず、シャーベット用センターピースなどには、女子は皆ため息をついていました。

なお、京都国立博物館を訪れた際には、庭にある石像などにも注目下さい!
古い石仏や塔、朝鮮のトルハルバンなどがあり、これらは必見です。

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描かれた能 -細見美術館-




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京都岡崎の細見美術館にて、2月14日まで開催されていた、「描かれた能 -絵で楽しむ 文様が語る」。
お能や狂言を鑑賞する機会は度々あっても、あの美しい衣装や扇子などをじっくり間近に拝見する機会は滅多にありません。
しかも国立能楽堂が所蔵する逸品となれば、なおさら行かねば!と滑り込みセーフででかけました。
長い年月が経ち、作られた当初の色が褪せてなお輝き続ける能装束に、感慨もひとしおでした。雪持ち椿の意匠がことのほか美しく、気に入りました。

また、舞台で使う道具類などの展示もあり、中でも、「道成寺」にて使う釣り鐘が展示してあり、興奮しました。
女性の、恐ろしくも悲しいまでのいかんともしがたい情念、また、その魂が昇華されるのを是非一度観てみたいと思っていますが、まだその機会に恵まれません。
先に鐘を観て、新たに想像を膨らますのでした。

2月20日から始まる展観は、雅の意匠-かぐやの婚礼調度と雛道具-。こちらも楽しみです。

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ボルゲーゼ美術館展 -京都国立近代美術館-




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12月27日まで開催の、ボルゲーゼ美術館展へと足を運びました。
この“ボルゲーゼ”というのが、地名なのか名前なのかお恥ずかしながら何も知らぬままにでかけました。
この“ボルゲーゼ”というのは、枢機卿やローマ教皇をも輩出したイタリア名門貴族だそうです。
今回は、カラヴァッジョやベルニーニのパトロンであった枢機卿シピオーネ・ボルゲーゼ(1576年-1633年)が集めたコレクションのうち、ルネサンスからバロックへの変遷を観る事ができる展観となっていました。
それにしましても、やはり西洋絵画は、キリスト教・聖書がある程度わかっていないとその絵を理解することは難しい事を痛感しました。

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青の風景/魁夷が心に描いたもの -東山魁夷せとうち美術館-




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瀬戸大橋を渡ってすぐの、東山魁夷せとうち美術館へ行ってきました。
来年の1月24日まで、「青の風景/魁夷が心に描いたもの」「雅(みやび)/日本の風景」が開催中です。
静か~な青の絵をたくさん観ていると、東山先生の心を覗くような、はたまた自分の心の深淵を覗くような、不思議な感覚を持つのでした。
海は美しく、おうどんは美味しい!もちろん八十八箇所のお参りも。
美術館以外にも魅力一杯の香川なのでした。

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妙心寺 -禅の至宝と九州・琉球- 【予告】




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去る11月23日をもって、名古屋市博物館で開かれていた、「開山無相大師650年遠諱記念 妙心寺―禅の心と美―」特別展が終了した。会期中55000人の来場者があったという。
これで、妙心寺開山無相大師の650年遠諱記念事業として、東京国立博物館(1月20日~3月1日)、京都国立博物館(3月24日~5月10日)、そして名古屋市博物館(10月10日~11月23日)での展覧が終わり、残すところは、九州国立博物館にて開催される、「妙心寺 -禅の至宝と九州・琉球-」(平成22年1月1日~2月28日)だけとなった。

この展覧会は、東京・京都・名古屋の巡回展ではなく、独自に調査蒐集し九州や沖縄の妙心寺派寺院に伝わる名宝を展覧するということなので、楽しみである。
お近くの方は是非、観に行かれてはいかがだろう。

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神谷美恵子が残したもの -思文閣美術館-




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「なぜわたしたちではなくあなたが?あなたが代わって下さったのだ」。
当時、差別を受け、身体のみならず、心も患っていたハンセン病患者の希望の光となり、その治療に生涯を捧げた精神科医・神谷美恵子さんが長島愛生園を訪れた際に詠んだ有名な詩の一文です。

現在、思文閣美術館にて、「神谷美恵子が残したもの」が開催中です(12/20まで)。

神谷美恵子さんといえば、我が母校にて教鞭をとられた事もあり、また私のゼミでは彼女の著書が課題図書でした。
学生時代、『人間をみつめて』(朝日選書)の一文、

「生命への畏敬ということをシュヴァイツァは言ったが、私は宇宙への畏敬の念に、このごろ、ひとしおみたされている。科学の武器をもってさえ、その全貌を把握できないこの宇宙の中で、私たちは“意識”ある生命を与えられた。この意識をもって宇宙を支えるものに賛歌をささげたい。それをささげうる心が人間に与えられたことを感謝したい。こういう広大な世界を、小さな心で思い浮べることこそ人間に与えられたおどろくべき特権であると思う。」

が特に大好きで、この本を繰り返し読み、また事あるごとにこの一文があるページをめくっていました。
栄西禅師「大いなる哉 心や」にも通じます。

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円空・木喰展 -美術館「えき」KYOTO-




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11月7日(土)~29日(日)まで、京都駅伊勢丹7Fにある、美術館「えき」KYOTOにて、「円空・木喰展」が開かれている。

独特の作風で知られる二人の刻られた仏像や神像が沢山展示されていて、とても興味深く観ることができた。
いかめしい顔をした力強いお不動さんや、千体仏と称して、細かな木っ端ひとつをも無駄にせず刻られた仏像。鉛筆の先ほどの小さなものもある。
それぞれの顔はユニークである。
立ち木に掘られたであろう観音様もあるし、円空の自身像もあった。
どこかの民間の場所にあって、その自身像の裏が皿のように彫り込んであるため、子供たちが持ち出してそり遊びをしたために、肝心の自身像の表面がすり減ってしまったというようなものもあった。
いかに民衆の中に溶け込んでいたのかが容易に想像できるのである。

美術館「えき」KYOTOは、京都駅の上であるし小さな美術館なので、気軽に立ち寄ることができるので、京都駅ご利用の際には是非おすすめしたい。

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妙心寺 禅の心と美  -名古屋市博物館-




名古屋市博物館

11月23日まで名古屋市博物館にて、【特別展 開山無相大師650年遠諱記念-妙心寺 禅の心と美-】が開催中です。
東京国立博物館、京都国立博物館と、妙心寺開山無相大師650年遠諱事業の一環として、順次開催されて来ましたが、今回は展示内容もまた異なっているようです。
予想を上回る人出だそうです。妙心寺所蔵品だけではなく、濃尾地区の妙心寺派寺院所蔵の宝物も多数出展されております。なかなか目にすることのできない宝物の数々、是非この機会にお近くの方はおでかけになってみてください。

お正月からは九州国立博物館で「京都 妙心寺 -禅の至宝と九州・琉球-」が開催されます。

栞いろは歌 禅のことをもっと…も各会場内にてお配りしております。

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いけばな -歴史を彩る日本の美- 京都文化博物館




京都文化博物館_いけばな

京都文化博物館にて11月15日まで開催している、「いけばな -歴史を彩る日本の美-」を観にでかけました。
神仏への献花に起源を持つ日本の“華道”の歴史を、様々な資料をもとに、時代の流れに添って展示解説がなされていました。
現在、数え切れぬほどの流派がある日本の“生け花”“華道”ですが、華道のお稽古をする者として、改めてその歴史を勉強する良い機会となりました。

四季ある和の国日本の伝統文化は、知るほどに奥深く、その精神性をも含めると、この一生で足りるだろうか…と思うほど学ぶことが多々あります。私の師匠は御歳80になられて、私から見ると「知らない事などあるのだろうか」と思うほどですが、未だ御自らも師匠につき、学び続けられています。

自国の文化の素晴らしさを知っていれば、どこの国を訪れても、どこの国の方とお話しても恥ずかしくありません。
また、相手の国の文化にも尊敬の念を持ち、興味深く学ぼう、知ろうとする姿勢が自然と出てきます。
皆さんもこの秋に、自国の文化について、さらに見識を高めてみませんか?

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北村美術館 -秋興の茶-




秋興

春、秋と年に2回楽しみにしているのがこちらの展観です。
今回のテーマは、『秋興の茶』。いつもこちらの展観のテーマは美しい日本語ですので、それもまた楽しみなのです。
秋は空気が澄み空高く、茶花も、美味しい食べ物も豊富で、山の彩りも錦で豊かになり、大好きな季節です。そんな秋の茶事とは如何に?!と思わせる、“秋興”の文字。
懐石に始まり、小間での重厚な濃茶、広間での心軽やかに楽しめる薄茶、そんな茶事に使われる道具組が順を追って観られます。
とりわけ心に残ったのが、千家十職のうちの、樂焼のお茶碗を作る家、樂家の七代目、左入(さにゅう)作の赤樂、“菊の絵茶碗”です。

既に8年ほど前になるでしょうか、美術館にて左入作の赤樂“吉野”を拝見しました。
まるで本当に吉野の桜を拝みに行ったかのような気持ちになれる、何とも言えない淡く美しい色合いのお茶碗で、また何とも優しい感じがにじみ出ていて心が和み、それ以来左入さんファンの私。今回の“菊の絵茶碗”にも和ませていただきました。
やはりこれらの茶碗は作った方をうつしているようで、今回の展観の案内にも、
「温厚篤実な人で風流人でもあったそうです。その作品は技巧にすぐれ、性格どおり温厚でしかも丁寧なものが多く、一般に黒よりも赤茶碗がもて囃されています」
とありました。

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野村美術館 -樂家の歴代展-




野村美術館

恒例の野村美術館、秋季特別展を訪れました。
この度は、千家十職、千利休時代から茶の湯に深く関わってきたおちゃわん屋、樂家の歴代の作品が並べられていました。
代々の作品をみていますと、新しい物を創造する事にチャレンジされた方、長次郎(初代)復古のように、これぞ樂茶碗というような茶碗をひたすら一本道に作り続けた方、特徴があり面白いものです。
地階では、「茶の湯の棚展」も開催されており、「こんな雅やかな豪華な棚が!?」と目を見張るようなもの、様々な茶会に行ったり長年稽古を積んでいても見たことのないような棚、自分が習っているのとは違う流派の棚などが拝見でき、非常に興味深いものでした。
12月13日まで開催中。野村美術館のあたりへは、南禅寺さんからずっと紅葉が美しい道。是非歩いてこのあたりを散策してみて下さい。

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MIHO MUSEUM -若冲ワンダーランド-




若冲ワンダーランド

大好きなMIHOミュージアム、秋の展観を鑑賞に訪れました。
今回は皆様もおそらく御存知、伊藤若冲。ワンダーランドと名付けた所以は、若冲の描く絵が、当時流行した「写生」とは少し異なる不思議な世界であった事からだそうな。
確かに若冲の絵を観ていますと、美しく一枚一枚鶏の羽が描かれているかと思いきや、顔は若干鶏の顔とは違っていたりユーモラスだったり、それでも現実の鶏以上に躍動感に溢れていたりと不思議な感覚を覚えます。
今回の目玉は、近年民家から新たに発見されたという象と鯨の屏風。これはまさにワンダーランドでした。圧倒されるような…、でもくくくっと笑いたくなるような、なんとも不思議な巨大な鯨と象の屏風。黒い鯨に白い象。地球上最も大きな哺乳類と言われる鯨に、これまた大きな神聖な白象。これを屏風におさめた若冲の心や如何に?!
その他未だ観たことなかった作品なども出展されており、非常に興味深い展観となっていました。

信楽の山奥ということで、少しばかり紅葉も始まっていますよ!是非おでかけになってみてください。

【第8回 西村惠信所長と行く“禅と文化”の旅 参加者募集中!】

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パラミタミュージアム 再訪 -三重県四日市-




アンコール展_パラミタミュージアム

大好きなパラミタミュージアムを再訪しました。
現在、特別展として、-アンコール・ワット展 アジアの大地に咲いた神々の宇宙-が開催中です。
世界三大仏教遺跡の1つとされるアンコール・ワット。私は7~8年前に訪れましたが、その頃よりさらに整備が進んだり、新しい発見があったりで、ますます興味深い遺跡になっています。
今回の展示では、2001年に発掘されたクデイ仏が日本初公開されていました。
日本とはまた違った感じの柔和な表情の仏像達に、心がおおらかになるようでした。
パラミタミュージアムでの展観は、明日9月30日までですが、その後各地を巡回します。
京都では、10月9日~11月3日まで、美術館「えき」KYOTOにて開催予定。
是非おでかけになってみてください。

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承天閣美術館(相国寺内) -相国寺 金閣 銀閣名宝展 ~パリからの帰国~-



承天閣美術館

臨済宗大本山相国寺内にある承天閣美術館を訪れました。
「相国寺 金閣 銀閣名宝展 ~パリからの帰国~」と題して、昨年パリのプチ・パレ美術館で開催された展観の帰国展示会でした。
貴重な墨蹟や茶道具など、ぎゅっと凝縮された展示品に圧倒されました。
会期も終わりに近いからか、訪れる人もたくさんでした。
承天閣美術館の気に入っているところは、靴を脱いで絨毯の上をそのまま歩いて展示品を見る為、靴の音やスリッパの音が全くしない所です。これ、美術品などを見る時にはとても嬉しく大事な事です。

さて、もう上の展観は終わってしまいましたので、次回展観をご案内しておきます。
西陣織といえばこの方、山口安次郎さんの能装束の展観です。
-心と技の饗宴-105歳 山口安次郎作 能装束展

この展観にあわせて、相国寺境内にて、お能の会も催されるとの事。その際の装束は、安次郎さんによるものだそうです。

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パラミタミュージアム 三重県四日市 菰野



パラミタミュージアム 壷の道

パラミタミュージアム”。
これを聞いて行かずにいられるでしょうか!おわかりになる方はすぐにおわかりになるでしょう!
般若波羅蜜多心経の、“波羅蜜多”のサンスクリット語、パラミタです。
一体全体どのような美術館なのだろう?!と興味津々ででかけました。

この美術館の名称は、メインコレクションである池田満寿夫氏による「般若心経シリーズ」から名付けられたとの事。私の中では池田満寿夫さんと言えば幼い頃にテレビみかけて、髪の毛が爆発していたという記憶しか……。芸術家でも、一体どのような作品をてがけているのかなどを知らずにでかけ、度肝を抜かれました。
「土と火が創造と破壊を繰り返す<陶>の世界に「輪廻転生」を感じ、仏教芸術が人々の意識のなかから消え忘れ去られることに危機感を覚え、-陶こそが般若心経にふさわしい-と考えた」と仰る池田氏の膨大な作品群。般若心経が生きて我々に語りかけてくるようで、土の風合いには、初期仏教の地、ガンダーラを彷彿させるものがありました。
開館直後に伺った為、まだ人もまばらで、友人と2人なのを良い事に、ああだこうだと話しながら夢中で拝見し、大ファンになってしまいました。

壷の道_内田鋼一作

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河合寛次郎記念館

河合寛次郎記念館

先日、久しぶりに河合寛次郎記念館を訪れました。
10年ほど前から度々訪れていますが、昔は土日祝日でも人がまばらでした。が、今回は美大の生徒さん達や、ご旅行中と思われる方々など、たくさんの拝観客でにぎわっていました。
昨今流行りの生活スタイルと、民芸の“用の美”の考え方がリンクする事や、静かな落ち着ける空間を求めてやってくる方もまた多いからでしょうか。
京都の伝統的な職人の仕事や、数寄屋建築などとはまた違う魅力のある河合寛次郎の作品とこちらのお宅。自らの生活にも、心豊かに暮らす為に取り入れられそうなヒントがいっぱいです。

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樂美術館 -樂焼のはじまり、そして今-

樂焼のはじまり、そして今

京都市上京区の、樂美術館では、平成21年6月13日(土)~ 8月30日(日)まで、夏休みのこの時期恒例の、-親子で見る展覧会、シリーズ樂ってなんだろう「楽焼のはじまり、そして今」-が開催中です。

初代から当代までの作品を総て拝見でき、さらに小学生にでもわかるような易しい説明書きがそれぞれの作品にある為、初めて樂焼の世界に触れる大人の方にもオススメします。
また、待合では樂焼の茶碗づくりの工程を映した貴重なVTRの放映がありますので、是非ご覧になってみてください。他の窯元とは違う作り方など、興味深い映像がたくさんです。
8月16日には親子で見る樂茶碗鑑賞会があり、当代樂吉左衞門さんが解説してくださるようです。
私が参加したいくらいです……。

樂美術館
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蓮の清香-君子の花 浄土の花 -高麗美術館-

高麗美術館

京都市北区の高麗美術館では、夏にふさわしい展観、「蓮の清香-君子の花 浄土の花」が開催中です。
何度も訪れている美術館ですが、やはりここを訪れるとまずはしばし庭を鑑賞。
誰でしたか、「庭の良し悪しは広さではない」と言いましたが、まさにその言葉を思わせる庭。
そして今回の展観は、朝鮮美術における蓮の花の用い方。
日本の文化も多々影響を受けている朝鮮の美術品を見ていると、なぜかふっと心が落ち着きます。
茶の湯の道具にしても、“民芸”を知るにしても、その上で朝鮮の美術を知る事は書かせない道です。
また、こちらの美術館では様々なワークショップも開催されています。今回は私も大好きな作家さん、村田森先生のワークショップもある模様。興味深いです。

是非京都へおこしの際は訪れてみて下さい。ゆったりとした気分で時を過ごせる美術館です。

蓮の清香-君子の花 浄土の花 -高麗美術館-
2009年7月3日(金)~9月27日(日)

蓮
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文房具 書院を飾る -裏千家茶道資料館-




文房具 裏千家茶道資料館

なかなか見る機会の無い“書”の道具ばかりの展示にお邪魔してみました。
世に名高い端渓の硯の名品、美術品・置物としてもよく骨董屋でみかける李朝の水滴など、比較的、書に通じていない者にもわかりやすいものから、むむ、これは?!という逸品まで幅広く拝見させていただく事ができました。
いつもこちらでは、美味しい季節の和菓子とお抹茶をいただけるのも楽しみに訪れています。
茶道をされていない方も、是非一度お運び下さい。

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PLAIN PEOPLE アーミッシュの生き方 -思文閣美術館-



バギー
思文閣美術館HPより転載 アーミッシュのバギー


「“アーミッシュ”といえば、アメリカで昔ながらの生活を営むコミュニティを作っている人々」という事くらいしか知らなかった私は、この思文閣美術館での展観を知り是非でかけてみたいと、前もってインターネットでアーミッシュについてを調べた。
するとすぐに2006年に起きた悲しい事件を知った。
アーミッシュの子供等が通う小学校で起きた銃乱射事件。何人かが犠牲になったものの、そのコミュニティの人たちは、犯人と家族をすぐに赦し、思いやり溢れる行動を取ったとの事(犯人はアーミッシュではない)。さらにアーミッシュについて知りたくなった。

アーミッシュのルーツは、ヨーロッパで幼児洗礼を否定し、洗礼は成人して後自らの選択で行うべきだと唱えたアナバプテスト(再洗礼派)で、厳しい弾圧と迫害を受けた人々だそうな。そのような歴史的背景もあり、平和主義を貫き、現代文明や世俗からは離れ、信仰に基づいた独自の生活を送っているらしい。
今回の展観では、その生活の柱となる聖書、マーティスミラー(殉教者の鏡)、アウスブント(宗教の歌集)を中心に、彼らが住む家の建築方法から日々の生活道具、衣服など、アーミッシュについてをよりよく知る為に充分な展示となっていた。

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茶と美-柳宗悦・茶を想う -大阪日本民芸館-




茶と美 日本民芸館

7月12日(日)まで大阪日本民芸館にて開催中の『茶と美-柳宗悦・茶を想う』を訪れた。
柳宗悦が催した茶会にて使われた数々の道具が展示されている。
昔、家にあった本でたまたまこの茶会の様子を写真で見て、柳宗悦の文章を読み、当時茶道のお稽古をはじめたばかりであった私は度肝を抜かれたものである。「こういった世界があるのかぁ…」と。
あれから早8年は経つが、相変わらずお稽古を続けている自分はどうであろうと顧みる。

それにしても、お隣の国立民族学博物館では、千家十職展が開催中。そしてこちらではこの展観。
単に「茶」で結びつけたのか、深い意図があるのか…。考えてしまうのであった。いずれにしても、どちらもお見逃しの無いようにお願いしたい。

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ユーラシアの風 新羅へ -MIHO MUSEUM-

ユーラシアの風 新羅へ


お隣の国韓国といえば、韓流スター、美容、食などで日本でも大人気ですが、その国を7世紀中頃にほぼ統一した“新羅”の素晴らしい文化については、御存知無い方が多いのではないでしょうか。
新羅の都が置かれていた慶州には私も2回ほど訪れていますが、恥ずかしながら、今回ミホミュージアムでの展観を拝見するまで全く知らない物が多々ありました。
ユーラシア西方文化の影響を色濃く受けた新羅の煌びやかな黄金文化、どこか日本の古墳時代を思わせる遺物など、興味深いものばかりが展示されています。
信楽の山奥にありますのでなかなか行きにくい処かもしれませんが、行けば必ず“あぁ、来て良かった”と思える事間違い無し。緑も最高に美しい季節です。
是非おでかけ下さい。

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千家十職×みんぱく -国立民族学博物館-



千家十職×みんぱく

3月12日~6月2日まで開催の特別展、千家十職×みんぱく -茶の湯のものづくりと世界のわざ-を観に、大阪府吹田市にある“国立民族学博物館”を訪れました。

千家十職(せんけじゅっしょく)とは、茶道具全般を作る十の家の事です。その歴史はそれぞれ300~400年ほどで、11~17代目を数えます。

【金物師】 中川淨益家
【表具師】 奥村吉兵衛家
【竹細工・柄杓師】 黒田正玄家
【袋師】 土田友湖家
【土風炉・焼物師】 永樂善五郎家
【茶碗師】 樂吉左衛門家
【釜師】 大西清右衛門家
【一閑張細工師】 飛来一閑家
【塗師】 中村宗哲家
【指物師】 駒澤利斎家

代々に亘って、家元をはじめとする様々な茶人をうならせるほどの物を作り続けて来た職家。
その職家の当代や後嗣が、「民博の所蔵品にインスピレーションを得て、何か新しい物を創造する」という初めての試みなのでした。これはもう、面白くないわけがないのです!
あくまでも「職人である」という事で、なかなか表舞台には出てこられない方もいらっしゃる為、そのお考えを知り、どのように制作に携わっていらっしゃるのかを垣間見る事はなかなか叶わない事なのです。

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きらめく朝鮮の技 -高麗美術館-

きらめく朝鮮の技 -高麗美術館-

日本も大きな影響を受けた韓国文化への親しみ、尊敬の念を、いつも再確認させてくれる美術館。京都市北区にある高麗美術館を訪れました。
現在、“きらめく朝鮮の技”と題して、螺鈿漆器と象嵌青磁を中心とした展覧が開催中です(6/28まで)。

今回一緒に訪れた友人は、前回の私の記事の写真を見て「もっと山の中に在るような美術館かと思ってた!」と。確かに写真を見ると、屏も韓国風、そして韓国の石文化をその小さな空間で見事に表現した庭に、山奥か、韓国の田舎のような所にある空気を感じるのかもしれません。
実は、京都市北区の閑栖な住宅街の中に、いばるわけでもなく、ひっそりと、でも美しい空気を醸し出して存在しています。こちらの美術館の庭は、私の知る限りでは美術館の庭としては一番小さな庭かもしれませんが、物理的な大きさなどは関係無く、心が感じる広さは無限大。とても素晴らしく気持ちの良い庭です。

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おしらせ -日曜美術館「妙心寺」・白隠禅画墨蹟集-

何度かこちらでもおしらせしましたが、5月10日まで、京都国立博物館において、“特別展 妙心寺”が開催されています。関連して、私も大好きな番組、4月12日のNHK教育テレビ『日曜美術館』で下記のとおり放送があります。

4月12日(日) NHK教育テレビ 朝9:00~10:00(再放送は翌週日曜日の夜8:00~)
「妙心寺 不屈の禅が生んだ美」 

番組内では、世に名高い狩野派や、海北友松などがとりあげられるようですが、忘れてはならないのが臨済宗中興の祖といわれる、白隠慧鶴禅師です!
膨大な数の画を残された白隠さんの事も是非こちらの番組でご覧になってみてください。絶対におもしろいですよ!
この、白隠さんの禅画墨蹟集が、現在特別価格(4月30日まで)にて発売中です。さらに、白隠禅師法語全集も割引価格にてご提供中です! 詳しくは下記からどうぞ。

白隠禅画墨蹟 全三冊

禅画をご覧になりたい方はこちらから

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特別展 妙心寺 -京都国立博物館-

特別展-妙心寺-

本日3月24日から、京都国立博物館において、特別展-妙心寺-が開催されます。>5月10日まで。
開山無相大師の650年遠忌を記念して行われるもので、国宝「瓢鮎図」をはじめとする、普段はなかなかお目にかかることのできない禅宗寺院の宝物が一挙に公開されます。
お近くの方、また、お花見や観光で京都へおでかけの方は是非この機会にお運び下さい。

妙心寺展に関するその他の記事はこちら

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春季展「春に笑む」 -裏千家茶道資料館-

春に笑む

裏千家茶道資料館において、春季展「春に笑む」と題して、梅・桃・桜にちなんだ展観が開催中です。
ことに日本人が好むこの春の花々を、茶人や職人はどのように表現し、愛でるのか?!
茶道をされていない方にも是非ご覧いただきたい内容でした。
また、茶家と大徳寺との深い関わりを伺い知る事のできる墨蹟などにも心ひかれました。
2階での展示の最後は、大徳寺現管長・高田明浦老師から現在の家元、坐忘斎宗匠に送られたという軸で締めくくられ、心地良い緊張感を持ちました。
1階にていただく季節の菓子と美味しい抹茶、お道具の数々もいつも楽しみです。

3月28日(土)まで。

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さて、大山崎 ~山口晃展~ -大山崎山荘美術館-

さて、大山崎

この人(山口晃氏)の目から、世界はどのように見えているのだろう?!
と心から感嘆し、心から大いに笑い、楽しめる展観でした。
普段は静かなこの小高い山の上にある美術館も、今回は評判を聞きつけた人たちで大入り満員状態。
長年通っている美術館ですが、このように人で賑わっているのは初めて?でした。

茶や戦国の武将に縁深い大山崎の地。現代と歴史が交錯、茶道や華道などの日本の伝統、色々なものごとがシンクロしていて、既成概念なんて枠に捕らわれないはまらない、山口氏が生み出す作品は、次を観るのがワクワクして仕方が無い……。
少年の心を持ったまま…だけれども、膨大な知識量に裏打ちされたかのような作品に夢中になりました。

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花のかんばせ -樂美術館-

花のかんばせ_樂美術館

京都市上京区にある、樂美術館を訪れました。
現在、-樂歴代 花のかんばせ-と題して、花にゆかりのある樂家のお茶碗がお目見えしています。
>3月29日(日)まで。
花の形をしたもの、花の文様が描かれたり彫られたりしているもの、ご銘に花の名がつけられたお茶碗などなど。
いわゆる“京の底冷え”のこの日、館内は既に我々が待ちこがれる春の陽気に満ち溢れていて、自分の心までもが暖かい春の日差しに触れたようでした。

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上野伊三郎+リチ コレクション展 -京都国立近代美術館-

上野伊三郎+リチ コレクション展

町でみかけたポスターの、色鮮やかな独特の表現に惹かれ、京都国立近代美術館へでかけました。
自分の好きな分野の美術館ばかりにでかけていると、偏りが出てきてしまい、なかなか他の世界に出会うきっかけを無くしかけますが、こちらの美術館での展観はいつも新しい世界へのいざないとなる為注目しています。
今回も、京都とは縁深いこの夫婦であるにも関わらず、分野が違う?私のアンテナには今まで全くひっかかってこなかったもので、二人の仕事を拝見するのは初めてでした。
日本人の表現とは違う独特の感性に、ファンタジーの世界に、心弾みながら歩みを進めていました。
日本の七宝の技術と、カラフルなリチさんの下絵が出会い、作られた飾り箱。見る者の心を彼女の世界へとひきこむようで、目がくぎづけでした。

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甲斐の国のたからもの -山梨県立博物館-

甲斐の国のたからもの_向嶽寺蔵 仏涅槃図

“甲斐の国”と聞けば、まず皆さんは何を思い浮かべられますか?!
やはり武田信玄公!!! でしょうか。もうそれしかないというほどに歴史上印象強い武将ですね。
そこまで思われたのなら、是非、我らが臨済宗としては、禅に深く帰依し学ばれた信玄公(そもそも信玄とは得度した時からの法諱です)とゆかり深い、本山向嶽寺恵林寺を思い出していただければとても嬉しく思います。
そんな名刹に残る宝物のうち、新たに山梨県指定の文化財に認定されたものが、「甲斐の国のたからもの」という展観名にて、山梨県立博物館にて展示されます。

禅宗関係のものとしては……

東禅寺(曹洞宗) 宝冠釈迦如来坐像
向嶽寺(臨済宗) 仏涅槃図
南松院(臨済宗) 桃隠和尚像(開山頂相)
南松院       渡唐天神像 策彦周良賛

蘭石図 伝雪窓普明筆(重要美術品)
柿本人麻呂図 如水宗淵筆(重要美術品)
陶弘景松聴図 天与清啓賛(重要文化財)

などが展示されるとの由。また、柳沢吉保ゆかりの調度品の数々も展示されていますが、これは元々吉保の菩提寺であった黄檗宗の永慶寺に奉納されたものが、移封の際に恵林寺に移されたものだそうです。
さらに、上写真の、修復を終えた「仏涅槃図」(向嶽寺蔵)展示室内で、2月15日(日曜日)午後1時より、仏教年中行事公開「涅槃会」の法要(向嶽寺派僧侶による)がご覧になれます。さらに、仏涅槃図についての解説や、法要についての解説もあるようです。
またと無い機会かと存じますので、是非この日におでかけになられてみてはいかがでしょうか。

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妙心寺展 開催中! -東京国立博物館-

妙心寺展

既に、このブログでも紹介した(2008/12/25)が、現在、東京国立博物館で、「妙心寺展」が開かれている。
今年、大本山妙心寺の開山無相大師の650年遠諱の年に因んでの特別展観である。
大本山妙心寺の宝物はもちろんのこと、妙心寺派の各寺院に収蔵、あるいはもともと収蔵されていた宝物なども展示されているのだが、その中に、「老梅図襖 旧天祥院障壁画」も展示されている。

この「老梅図襖」は現在、アメリカのメトロポリタン美術館が所蔵しているもので、今回の展覧会に特別に里帰り展示されているようだ。
このブログをずっと読んでいただいている方は、「おっ」と思われるかもしれない。
実は、この「老梅図襖」のことを、「狩野山雪・老梅図襖絵の複製  妙心寺・天祥院」に書いたことがあるからだ。

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ノリタケデザイン100年の歴史 -京都文化博物館-

oldnoritake.jpg

日本の多くの家庭で昔から愛用されてきた“ノリタケ ボーンチャイナ”。
西洋の高級食器メーカーの物よりも手が届きやすく、普段使いしやすい事からも各家庭においてもとても馴染み深いものだと思います。
この、日本を代表する食器メーカーの100年の歴史をこの展観で楽しむ事ができました(京都文化博物館・3/15まで)。

白く輝くような磁器の製造がまだまだ困難だった頃の苦悩と努力の積み重ねや、戦後の困難な時期を乗り越えて今がある事……。
美しくできあがった製品しか目にしない我々には知り得なかった様々な歴史、様々な作品を目にする事ができ、今あるこの会社の製品は、長い歴史と人々の熱意、思いが込められてこそ存在し、だからこそ、“物にも心は宿る”と、改めて感じる事のできた素晴らしい展観でした。

さて、この展観にあわせて?なのか、京都のあるホテルのロビーラウンジでは、オールドノリタケの復刻版のティーセットでお茶がいただけたり、百貨店の美術画廊では、オールドノリタケの展示即売会が催されていたりと、目に心に楽しいイベントがたくさんです。
私も大の紅茶好きですが、海外の磁器ばかりに夢中にならず、「日本のメーカーに元気になってもらわねば!」との思いもありますし、ホテルで見たオールドノリタケの復刻版も良いなぁ…探してみよう!と思った次第です。

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吉祥 福・禄・寿を中心に -裏千家茶道資料館-

裏千家茶道資料館

松の内の間に…と先日訪れてきました。
新春を寿ぐにふさわしい、おめでたいお道具がずらりと展示されてい、拝見するだけで華やかなお正月気分を味わえます。
特に私が印象に残ったのは、裏千家六代・六閑斎御手造りの福禄寿の香合。樂家の窯で焼かれたものでした。このような香合をお造りになる茶人とはどのようなお家元だったであろう…と想像もふくらみます。
呈茶席もあり、辻村史朗氏、利茶土(リチャード)さんや細川護熙氏といった作家さんのお茶碗でいただけます。周りの方のお茶碗にまで興味津々、楽しませていただきました。

平成21年2月15日(日)まで。

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若州一滴文庫

一滴文庫

作家の故水上勉氏が故郷に設立した若州一滴文庫は、小浜湾から少し山間部に入ったのどかな田園が広がる地にある。1985年に開館し、一時期閉館に追い込まれていたが、現在はNPO法人化され、水上氏の蔵書や水上作品に使用された挿画の原画などが常設されている。
庄屋を思わせる長屋門を入って正面にある本館には、蔵書のうち2万冊が開架されており、車椅子を利用できるスロープを使い各展示室を移動できるようになっている。

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妙心寺展 -東京国立博物館-

妙心寺展

臨済宗では最も多数の末寺を有する大本山妙心寺では、平成21年に御開山無相大師の650年遠諱(おんき・祖師の遺徳をしのび執り行う法要。通常50回忌以降50年ごとに行なう)を迎えられます。
そこで、これを記念し、東京国立博物館を皮切りに全国4か所の美術館・博物館にて『妙心寺展』が開催されます。
こちらのブログでも、各地での開催前には御案内させていただきたいと思います。
まずは東京から……。

【東京国立博物館】 1月20日(火)~3月1日(日)

無相大師(関山慧玄・かんざんえげん)をはじめとする妙心寺を代表する高僧の墨跡や頂相(ちんそう・肖像画)、その他有力な諸大名と関わり深かった禅宗寺院ならではの宝物がご覧になれます。
650年遠諱ならではの大規模な展観で、坐禅会や講演会など、各種イベントも開催されます。
詳しくは下記HPからご覧になってみてください!

妙心寺展_東京国立博物館

各種禅語カレンダー好評発売中!(08'12/26の午前中までにご注文いただきましたら、年内にお届けします)

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美の発見 魁夷の愛蔵品と中国の風景 -東山魁夷せとうち美術館(香川)-

東山魁夷せとうち美術館

少し前の話になりますが、9/20~11/3まで、香川県立東山魁夷せとうち美術館で開催されていた【美の発見 魁夷の愛蔵品と中国の風景】を観に訪れました。
川端康成との古美術を通しての2人の交流について、また、画伯が蒐集された古今東西の美しい(骨董・美術品)ものたちや茶道具などが展示されていました。
日本を代表する画家ゆえに、その絵は何度も拝見したことがありましたが、今回の展示では、今まで私が知らなかった部分を拝見する事ができました。
「この色は、あの代表的な絵にいつも使われている色じゃないか?!」「このようなものの中にまで美を見いだし、蒐集されたのか…」と、一つ一つ、色々な想像をしながらの鑑賞でした。芸術家の所持品というのは、どなたの物を拝見しても非情に興味深い物です。その、「ものを観る目」というのを、凡人の私たちも少しでも学びたいところです。

さて、香川にはアートスポットがたくさんありますが、是非、瀬戸大橋を渡ってすぐの、この美術館にもお立ち寄りになってみてください。

美術館内のカフェ
館内にあるカフェからはこの景色!
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館蔵名品展-野村美術館(京都市)-

紅葉美しい野村美術館界隈

南禅寺にほど近い野村美術館にて、【開館25周年記念 館蔵名品展】が開催中(12/14まで)です。
さて、開館記念の名品展ということで、HPの出品リストをご覧いただければ、どれだけすごい物がお目見えしているかは一目瞭然です。
今回、同じくお茶をお稽古する仲間と瞠目しましたのは、野村得庵御自らが筆をとり書かれた、美術品台帳、および茶会記でした。台帳には、御道具の彩色絵から寸法、手に入れた経緯、値段、特徴までもが細やかに記され、さすがのものでした。そして、財界人としても活躍され、多忙であった翁がこのように自らが選び抜き慈しんだ道具に愛着を持ち、帳面にこと細かく書いているのを目にし、自分を省みて恥ずかしくなる思いでした。
「すごい人って何がすごいのか…って、こういうことがすごいのだ…」と思った次第です。

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第6回西村惠信所長といく“禅と文化”の旅2 -平安佛所/泉屋博古館-

いつも美しいこの川のあたり

お昼を終えた一行は、紅葉並木美しい鴨川を横断し、平安佛所へ。
仏師の江里康慧先生を訪れます。

江里先生

制作中の仏像・現代の仏像の作り方について、また仏教の歴史と仏像の関係などについて、興味深いお話を伺う事ができました。 いつもお寺などを参拝しますと、ただただ仏像を拝し、思いに浸り、仏師の事にまで思いをはせる事は少ないかと存じます。
ですが、こちらで制作過程などを拝見し、江里先生のとてもお優しく穏やかなお人柄に触れ、古くから、弱い人間の信仰の対象となるような仏像を作り続けて来た職人の技と心が、今もなお連綿と受け継がれている事を目の当たりにし、ありがたく、感無量でした。

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japan蒔絵 -宮殿を飾る 東洋の燦めき- -京都国立博物館-

japan

12月7日まで京都国立博物館で開催されている、japan蒔絵 -宮殿を飾る 東洋の燦めき-の展観を訪れました。
今回のポスター、「マリー・アントワネットもお気に入り(ハート)」という如何にもかわいいキャッチフレーズ付きで、見に来るお客さんも若い女性が多く見られました。
さて、かわいいこのフレーズに反して、マリー・アントワネットのコレクションは、どれもこれもおそろしいほどに細かく技巧のこらされた物ばかりで、確かに女性好みのかわいらしい物と見ればそうなのですが、「かわいらしい」で片付けるような物ではなく、圧巻でした。あの時代に遠く離れた異国から、これだけのものをコレクションする力というものを感じました。
アントワネットの母、マリア・テレジアも宝石よりも蒔絵が好きと言ったほどとの事。親子に亘るコレクションの数々は、必見です。

第一章「中世までの蒔絵」
第二章「西洋人が出会った蒔絵―高台寺(こうだいじ)蒔絵―」
第三章「大航海時代が生み出した蒔絵-南蛮漆器」
第四章「絶対王政の宮殿を飾った蒔絵―紅毛漆器―」
第五章「蒔絵の流行と東洋趣味」
第六章「王公コレクションと京の店先」
第七章「そして万国博覧会」

今回、上記のような形で展示されていますが、膨大な展示数ですので、最初からあまりに1つ1つ丹念に見ていますと、最後にははっきり言ってあまりのパワーに疲れます。
私がやはり美しいと感じたのは、マリー・アントワネットのコレクションと、第一章の、中世までの、宗教に結びついた蒔絵の数々でした。
おもしろかったのは、蒔絵の細工に、インド特有のクジャラート地方の文様を螺鈿であらわしたものなどでした。
もう一度、自分の好きなものだけをじっくり見に行きたいと思います。

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高麗美術館 「鄭詔文のまなざし ― 朝鮮文化への想い」 -京都-

高麗美術館

京都市北区にある、高麗美術館を訪れました。
現在、開館20周年記念特別展Ⅲ 「鄭詔文のまなざし ― 朝鮮文化への想い」が開催中(12/23まで)です。
「高麗美術館」と聞いて、皆様はどのような美術品が思い浮かびますか?
私ならやはり、李子朝鮮時代の白磁やパンタジ(家具です)、民画でしょうか。
そして、日本の武将や権力者が韓国から連れ帰った陶工を祖とする日本の窯元の事、朝鮮半島からの渡来人が多く、石の文化が残る滋賀県のとある地方の事、京都の秦一族の事など、美術や文化から、祖先の事についてまで、思いはひろがります。
朝鮮の美術や文化を知る事は、日本の事をも学ぶ事になるのです。
是非一度皆さんも足を運ばれてみてはいかがでしょうか。素晴らしい美術館です!

素敵な瓦と塀

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青のコレクション-ピカソの青 モネの青-  大山崎山荘美術館

大山崎山荘美術館

京都は大山崎にあります、大山崎山荘美術館を訪れました。
現在、「青のコレクション-ピカソの青 モネの青-」と題した企画展を開催中(12/7まで)です。
「青」に焦点をしぼった展観、どのようなものか楽しみにでかけました。
本館はいつものように民芸の作家による染め物、陶器などから、青色が美しく表現されたものが選ばれ、安藤建築の新館に入った途端に、ピカソの「肘をつく女」に出迎えられ、衝撃を受けました。
さらに、今回展示されるとは知らずに先に進むと、ルオーの「聖顔」が。ピカソとモネという名前を前面に出した方がもちろん知っている人も多く、展観の目玉になるのでしょうが、私は是非ルオーの絵を皆さんに観ていただきたいと思いました。

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生活と芸術 アーツ&クラフツ展 -京都国立近代美術館-

アーツ&クラフツ展


京都国立近代美術館では、【生活と芸術 アーツ&クラフツ展 ウィリアム・モリスから民藝まで】が開催中(11/9まで)です。
19世紀後半にイギリスで興こったというアーツ&クラフツ運動。
最初はこの運動の先導者であるウィリアム・モリス(産業革命後に大量生産で粗悪な商品が溢れていたイギリスで、中世の手仕事を見直し、生活から芸術を切り離さぬよう活動しました。リネン類や壁紙、その他様々な生活道具をデザインしました)に関する展示が多く、その次にヨーロッパへと拡がったこの運動の紹介が。
最後には、我が国で興った「用の美」の再発見・再認識、-民藝運動-の紹介。
柳宗悦さんの周りにいた、河合寛次郎さん・黒田辰秋さん・濱田庄司さん等の作品が所狭しというほどに並べられた三国荘の再現は圧巻でした。
ただ…その三国荘の部屋の再現ですが、美しい物が展示されているのと、床の間が見えにくい事もあり、ついつい身を乗り出してのぞき見る人もしばしば。するとその度にけたたましいブザー音が館内に…。どう考えても、何も表示もなく、身を乗り出して見ても仕方のない展示方法。せっかくの空間に嫌な空気が漂いました。
いつも工夫された素晴らしい展観を考えて下さる美術館だけに、非常に残念でした。

さて、イギリスで興ったアーツ&クラフツ運動と日本の民芸運動。
イギリスでは結局、フィリップ・モリスの製品はどうしても値段が高くなってしまい、高所得者層にしか受け入れられなかったという面もあるのだとか。
日本の民芸運動に関しても、作家さんが人間国宝になられたり、そうでなくとも庶民の手には届かぬ物も多々あります。ですが、自分で歩いて探してみつける用の美は、手の届かないような物でもないはず。分相応な物で、長く使えて美しいものを求めたいものです。

〈アーツ&クラフツ展 下記を巡回予定〉
東京都美術館 平成21年1月24日(土)~4月5日(日)
愛知県美術館 平成21年6月5日(金)~8月16日(日)

季刊『禅文化』には、7号にて柳宗悦氏の「井戸と楽」が掲載されています。
既に7号は在庫切れ絶版となり、皆さまからのリクエストで、2007年春の204号にて再度、掲載しました。

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大和し美し -MIHO MUSEUM-

大和し美し

信楽のMIHO MUSEUMでは、良寛生誕250年を記念した特別展、「大和し美し(やまとしうるはし)-二大コレクションと良寛 美と文学のコラボレーション-」が開催中です。
「二大」とは、交友のあった川端康成と安田靫彦で、2人が愛した骨董や書画、また良寛さんの墨跡や手製(伝)の鞠など、厖大なコレクションが展示されていました。
美しい日本に住まう事をもう一度改めて考え直し、国民1人1人がどのような日本にしていきたいのか、今は亡き、日本を愛した賢人が問いかけているようでした。
それにしましても、広い館内にパワーのある美しいものがたくさん展示されすぎていて、私はいささか疲れを覚えるほどでした。まだまだ修行が足りないようです。

さて、最近、コンクリートの人工建造物は見えないような緑豊かな里山に住む事に少し憧れを抱いています。経済発展、より物質的に豊かな暮らしばかりを追い求める時代は終わった感もあります。日本は、古人からの「和」による智慧で、諸外国ともうまくつきあいつつも、日本独自の精神的発展と古来からの信仰(手を合わせる事)を大切にする事、日本の美しい風景、独自の文化を残す事につとめなくては、悲惨な事件は増える一方ではなかろうかと危惧します。
アレックス・カー氏活動がとても気になる今日この頃です。

MIHOミュージアム 信楽

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深秋のころ -北村美術館-

深秋のころ 北村美術館

河原町今出川近くにある北村美術館では、秋の展観(12/7まで)が始まっています。
今回も、懐石のお道具、濃茶席、薄茶席のしつらえを順に楽しめるような展示となってい、茶事に招かれた感にひたりながら逸品を楽しめます。
また、特別に仏教美術も展示されており、なかでも虎関師錬(こかんしれん/臨済宗 1278-1346)の消息が印象深く、茶をたしなむ者が、道具のみならずこういった禅僧の墨跡を実際に目にする事ができるのは非常に意義深い展示だと思いました。

数々の素晴らしい仏教美術に加え、逸品揃いで私のような者にはいささか重みを感じすぎる濃茶席のお道具。その後、薄茶席の展示にあった鳴滝窯で焼かれた「瓢文」のお茶碗に心癒され、さらにはこの人と言えばなぜか私は「秋」を思う北大路魯山人、そして数寄者が作られた茶碗など、最後は楽しい趣向で展観は締めくくられています。
私設美術館の中でも展示数は恐らく少ない方だといえる美術館ですが、本当に美しい良き物というのは、これだけで充分にお腹が一杯になるものです。
また、展観の題名が毎回素敵で、そこも私がこの美術館を気に入っている理由の1つなのです。

平成二十年春季 -吉野懐古-
平成十九年秋季 -暦年の茶-
平成十九年春季 -山笑ふ-
平成十八年秋季 -漸寒-

虎関師錬については、研究所の『本覚国師 虎関師錬禅師』をどうぞ。

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憧れの展観 「スリランカ 輝く島の美に出会う」 -東京国立博物館-

スリランカ 輝く島の美に出会う

9/17~11/30まで、東京国立博物館にて、「スリランカ 輝く島の美に出会う」と題した展観があります。
皆さんの中で、スリランカというとどういったイメージでしょうか。
ヌワラエリアをはじめとする紅茶でしょうか?!
テロなどのマイナスイメージもあるかもしれません。

私にとっては、憧れの仏教世界遺産の地です。海も緑も美しく、是非一度は訪れてみたい国です。
そんなスリランカの、日本で初めてとも言える大規模な展観が開催されるようです。
なぜ東京だけで開催なのだろうか……と残念でなりませんが、周辺にお住まいになられている皆さまにお知らせだけでもと、ご紹介させていただきました。

今年の夏に、ブッダ初転法輪の地、インドのサールナートへ行ってきましたが、そこでスリランカから参拝に来られた団体にお会いしました。
団体と一緒にいらっしゃっていたお坊さまが、「どこから来たの?」と話しかけて下さり、ここサールナートがブッダの初転法輪の地であることや、参拝の時や正式な行事の際には仏教徒は皆白い服を着るのだという事などを教えて下さいました。
インドで色々とトラブルがあり、少し疲れていたのですが、スリランカの仏教徒の方々の優しい表情、穏やかなものごしが非常に印象に残り、心おちつくひとときでした。

サールナートにて

サールナートにて
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狩野派と近世絵画 -承天閣美術館-

承天閣美術館

相国寺内にあります、承天閣美術館にて、-狩野派と近世絵画-展が開催中です(11月30日まで)。

訪れるたびに、美術館まわりの庭などが美しく手入れされていっており、美術館に美しいものを拝見しに行く際に、本山の境内を歩かせていただけるのはありがたいものだな…と思います。
今回の展示は、狩野派による絵画も必見ですが、様々な抹茶茶碗の展示も楽しめます。
9/15~12/8までは、秋の特別公開も始まるようですので、あわせておでかけになられてみてはいかがでしょうか。

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西国三十三所 観音霊場の祈りと美 -奈良国立博物館-

奈良国立博物館

奈良国立博物館にて開催中の、「西国三十三所 観音霊場の祈りと美」を見にでかけました。
西国観音霊場は、四国のお遍路と並び、古来より信仰深い人が「一生に一度は全てのお寺をまわってみたい」と憧れる巡礼の道。
本年は、この西国霊場巡礼における中興といわれる、花山法皇の崩御より壱千年を数える年にあたり、この展覧会のみならず、各寺院においても秘仏公開などが行なわれるようです。
今回、博物館では一度に見る事のできる機会はもう無いのではないかと思われる展示がそれは素晴らしいものです。是非奈良へおでかけ下さい(9/28まで)。

それにしましても、私も今まで、知らないままに観音霊場に数えられるお寺を巡っていたりしたものです。
何事にもその“とき”が来るのを待つ必要があるのでしょうか。
なんとなく今、改めてきちんと全てのお寺をまわってみたい気分なのです。この気持ちを持って参拝するのは、以前の参拝とはまた違う感慨がありそうです。
ちょうど花山法皇の壱千年忌とも重なる事ですし、これを機縁として観音霊場巡りを計画したいと思っています。

沐浴中
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インドネシア更紗のすべて -細見美術館-

インドネシア更紗のすべて

京都は岡崎の細見美術館にて下記が開催されている為、楽しみにでかけました。

日本・インドネシア共和国国交50周年記念
  「インドネシア更紗のすべて ─伝統と融合の芸術」展
会期:平成20年8/1(金)~9/15日(月・祝)

アジア諸国の布は本当に魅力的で、私も旅行で訪れますと、工房へでかけたりして求めています。
インドネシアはまだ訪れた事が無いものの、伝え聞くバティック(蝋纈染め)の美しさは是非一度目にしたいものだと常々思っていました。
前にテレビで見たのですが、神に踊りを捧げる女性達が体に巻き付けていたり、王宮の方達が公式行事や結婚式で身につけられるバティックがそれは美しく、インドネシアの風土と人々にとけこんでいてとても印象的だったのです。
今回の展示は、単に布を紹介するのみならず、蝋纈染めの工程や、インドネシアのどの地方でどのような物が作られているのか、また、外国から影響を受けて作られたバティックの紹介など、様々な内容でバティックの事を詳しく知る事ができ、大変興味深いものでした。

王家のみに伝えられる文様があったり、病気の時に着て、その平癒を願う為の文様があったりと、単に-着る為のもの-、ではなく、バティックが心底美しいと思えるのには、人々の思いや歴史が一枚の布に深く刻み込まれているからなのだと気づかされました。
素晴らしい展示でしたので、機会がありましたら是非おでかけになってみてください。

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生誕100年記念 -浜松市秋野不矩美術館-

浜松市秋野不矩美術館

静岡に出張に行くのなら是非に……と、部下が勧める美術館を訪れた。
5月11日までは、京都の国立近代美術館。そして、6月7日~7月27日までは私が今回訪れた浜松市秋野不矩美術館にて、日本画家・秋野不矩さんの生誕100年を記念する展観が開催されている。
正直に言うと、今まで、この画家の絵を見たことがなかったと思うが、彼女のために作られたこの美術館で見た、彼女の彩色豊かな絵に心を引きつけられた。
特に、インドでの民家を描いた絵は、日差しの強さと、それでいてカラッとした空気をも感じさせ、インドに行ったことのない自分をインドへと誘うような絵だった。思わず図録を買い求めた次第。

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第5回西村惠信所長といく“禅と文化”の旅 その3(細見美術館・山田松香木店)

六盛へ

光雲寺をあとにするとちょうどお昼時。今回は六盛さんにて名物手をけ弁当と、季節のお料理をいただきました。
その後は歩いて細見美術館へ。今回の展観は「祈りの美・かざりの美-仏教美術と工芸-」。重要文化財「愛染明王」 や「春日神鹿御正体」、その他圧倒されるような立派な観音様のお軸なども拝見させていただきました。
また、今回はせっかく細見美術館にお邪魔するのですから、屋上の茶室「古香庵」を是非皆さまに体験していただきたく、お点前もしていただいて美味しいお抹茶と和菓子(末富製・銘「青梅」)を頂戴しました。

細見美術館茶室_古香庵

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山口伊太郎遺作 源氏物語錦織絵巻展 -相国寺・承天閣美術館-

源氏物語錦織絵巻

相国寺にある承天閣美術館では、-山口伊太郎遺作 源氏物語錦織絵巻展-が7月6日(日)まで開催中です。

西陣織で絵巻物???と、実物を目にするまではいまいち想像がつきませんでしたが、かな文字まで全てが織られています。縦糸と横糸?がどのようにあわさったらあのように精緻で美しい織物による絵巻物ができあがるのでしょう。理解の範囲を超えていましたので、ただため息をつきながら眺めるばかり。
源氏物語の登場人物の衣装などは、まさに織物なわけですから、様々な美しい色の重ね、文様1つ1つにまで心が込められており、日本を、京都を代表する職人の精神に感服しました。
特に、薄物をまとっている人物の手がうっすら透けて見えるのにはもう…。

このたび研究所から発売される、禅僧が語る(DVD)シリーズの中で、妙心寺管長がお好きな句だと語っておられた、

  生きることは 一筋がよし 寒椿

この句を思い出させる一人の職人の生き様を見させていただき、気持ちがひきしまる思いがしました。

*承天閣美術館に、十牛の庭が新たに作庭されていました。また、相国寺法堂や方丈なども公開中です。是非おでかけ下さい。

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与謝蕪村 -翔けめぐる創意(おもい)-  -MIHO MUSEUM-

与謝蕪村

新緑美しい信楽のMIHO MUSEUMでは、与謝蕪村の展観が開催中です(6/8まで)。
今まで、色々な美術館でその作品をいくつか目にしたことはありましたが、これだけ多くのものが集まる機会はそうはない事と思います。
力強い山水画から、ほっと一息安心できるような江戸の人々を描いた画まで楽しめました。

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高麗茶碗への挑戦 -野村美術館-

南禅寺の青もみじ

南禅寺にほど近い野村美術館では、6月8日(日)まで-高麗茶碗への挑戦-として、朝鮮より渡って来て日本において伝世してきた高麗茶碗が紹介されています。
また、今回非常におもしろいのは、古い高麗茶碗と一緒に、日本・韓国で活躍している現代の陶芸家によって作られた高麗茶碗を展示している事なのです。

絵画などと違って茶碗の場合、どのような土・釉薬をもって、何度くらいで焼成されたのかを分析するのは難しく(茶碗を少し割って調べるわけにもいきません!しかも焼成される前と後ではだいぶ大きさが違います)、如何に「写し」の茶碗を作るのが難しいかが想像つきます。
今回の展示では、現代陶芸家が挑戦した「写し」の茶碗も多く見られますし、また、その他現代の陶工が丹精を凝らして作った高麗茶碗が楽しめます。

それにしましても、茶人が昔の朝鮮の雑器を茶碗にみたてて使ったからこそ「高麗茶碗」の地位は確固たるものとなりましたが、何よりも、何らてらいの無いその器達に美を見出した日本の古の人々の「こころ」に、私はいつも感動を覚えます。
現代の陶芸家が、元々は茶碗として作られたものではなかった高麗茶碗というものに挑戦するのは、悟った事さえ忘れてしまっているような、そんな境地が必要なのかも知れないなぁ…と思った次第です。

今回、お軸は松花堂昭乗の「維摩居士・寒山・拾得図」の素晴らしい三幅が展示されていて、こちらも必見です。
南禅寺の青もみじを見に…という方は、是非こちらにも立ち寄ってみて下さい。

野村美術館 高麗茶碗への挑戦

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生誕100年記念 秋野不矩展 -京都国立近代美術館-

秋野不矩展

京都近辺にお住まいの方は、5月11日(日)までに是非ぜひ、ご覧いただきたい展観のご紹介です。

インドを見つめる深いまなざしやその心、人柄が絵には正直に出るのですね。彼女の描くガンジス川やインドの村、遺跡などを見ていると、昨年初めて訪れて魅了されたインドへと心が飛んでいくようでした。
そして、その絵からは、現代の日本人が忘れかけている自然に対する畏敬の念や、信仰心などをインドを通して教えてもらうようで、暖かい思いと同時に、心ひきしまる思いも抱きました。

さて、この展観では絵画のみならず、90歳を超えてなおインドやアフリカを訪れた彼女の写真なども展示されており、アフリカの砂漠をガイドと共に軽やかに歩く写真にしばし目がくぎづけになりました。
キラキラとしていて少女のようで、とてもかわいらしく、自分はもう失ってしまったであろうものをずっと持ち続けていらっしゃるようなその姿がとても眩しかったのです。

本当に良いものを見させていただけた…と深く感動する展観でした。
時間には充分に余裕をもっておでかけになる事をオススメします。

今後は、下記を巡回するようです。 浜松市の秋野不矩美術館は、建物も非常に興味深く、是非私も一度訪れたいと願っています。

浜松市秋野不矩美術館 平成20年6月7日(土)~7月27日(日)
神奈川県立近代美術館葉山 平成20年8月9日(土)~10月5日(日)

京都国立近代美術館

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樂吉左衞門展 -佐川美術館-

佐川美術館

昨年、9月15日の樂吉左衞門館開館を記念して3月20日まで開催されていた、「樂吉左衞門展」 を見るために、滋賀県守山市にある佐川美術館を訪れました。
2001年から2007年にかけて制作された焼貫黒樂茶碗29点、黒樂茶碗10点、焼貫茶入4点、焼貫水指1点の計44点が展示されていました。この日、以前でかけたフォーラムにて色々とお勉強させていただいた茶室を実際目にしたいと予約の電話を入れたのですが、満員という事で念願叶わず…。茶室見学は次回訪れる際のお楽しみとなりました。

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乾山の芸術と光琳 -京都文化博物館-

乾山の芸術と光琳

京都文化博物館にて、4/13(日)まで、-乾山の芸術と光琳-展が開催されています。
ご存知のとおり、この尾形光琳(1658-1716)・乾山(1663-1743)の兄弟は、京都の呉服商雁金屋の生まれで、兄弟共に非凡な才能を発揮した、当時を代表する絵師と陶工です。

この乾山が、二条綱平公から与えられた山荘に開いた鳴滝乾山窯の窯跡は、今は研究所によくいらっしゃる和尚さんのお寺、法蔵禅寺の敷地内にあります。
そちらの窯跡での近年における発掘調査の全貌が公開されており、今まで様々な美術館で見てきた乾山の作品の裏側までもがわかるようで、非常に興味深い内容となっていました。
お花見はもちろんのこと、京都の土地や歴史が育んだ素晴らしい芸術、文化も味わいに是非いらしてみて下さい。

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吉野懐古 -北村美術館-

吉野懐古

いつも楽しみにしている美術館の春の展示が始まりました。*6/8(日)まで
昨年は「山笑ふ」。今年は「吉野懐古」。 季節とテーマにそった茶事を想定した素晴らしいお道具の数々が毎回楽しみな美術館です。
吉野といえば、いにしえから人々が様々な思いを胸にお参りし、大権現様への御供え、また御神木として桜の苗を植えたという…。単に桜の名所というばかりではない、人々の心の拠り所であるかの地を思い起こしつつ、展示されたお道具の数々を楽しめました。
土日祝日でも、比較的人の少ないこの美術館、ゆっくりと楽しめてオススメです。

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陶 雪月花・人と動物の意匠 -樂美術館-

樂美術館


3/30(日)まで、樂美術館にて「陶 雪月花・人と動物の意匠」と題して新春特別展が開催中です。
楽焼というと、あのぽってりとまるい感じの、ろくろを使わないお茶碗、そして色は黒や赤のみを思い浮かべるかもしれませんが、実は懐石道具から香炉、香合など様々な物が焼かれ、様々な意匠を楽しめます。
今回の展示は特に、十二支をはじめ、なかなかお目にかかることのできない意匠をこらした作品が多数お目見えしています。茶道をしている方にしか近寄り難い美術館かもしれませんが、一度この機会にご覧になってみられると良いと思います。

美術館では、樂家当代が席主をつとめられる茶会や、手にふれる樂焼鑑賞会、また、-親子でお茶一服-と題して、親御さんと子供さん(小中学生)が参加して美術館、樂家所蔵のお茶碗でお茶をいただく機会がもうけられています。この間参加した茶会にて、樂さんが「どんなお茶碗使えば子供が喜ぶかな~と思って考えるのが楽しいんです」とお話されているのをお聞きして、私も子供の頃の純粋な気持ちのままで樂茶碗に触れてみたかった…と思った次第です。

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ウィリアム・メレル・ヴォーリズ展 -滋賀県立近代美術館-

ヴォーリズ展

滋賀県立近代美術館にて、ウィリアム・メレル・ヴォーリズ展が開催中です(3/30まで)。
今回は、母校のヴォーリズ建築についてが語られる下記の特別講演会の日に訪れてみました。

◆特別講演会「窓からの眺め」神戸女学院キャンパスに見るヴォーリズの美学
  日時=3月2日(日) 午後1時半~ 会場=当館講堂(聴講無料)
  講師=神戸女学院大学文学部教授 濱下昌宏氏、石田忠範建築研究所 石田忠範氏

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佐川美術館 樂吉左衛門館開館記念フォーラム

樂吉左衛門展 3/20まで

佐川美術館 樂吉左衛門館開館記念フォーラムが、去る2月2日に京都市の金剛能楽堂にて行なわれました。
題して、「現代(いま)の精神(こころ)を語る-茶碗から空間へ-」。

樂家当代(15代目)の樂吉左衛門氏の設計により佐川美術館に新しくできた茶室は、ごく当たり前の、今まで私たちが知っている茶室とは異なる様相を呈している事は既に耳にしていました。
なんとなく、「樂さんの今風のあの樂茶碗に合う茶室なのかもなぁ…樂さんらしいなぁ」と、写真やらを拝見して思っていましたが、やはりそのようで、樂さんは自分の茶碗が生きる茶室というものがあれば…とずっと思われていたそうです。そして、佐川美術館には守破離(しゅはり:「規矩作法、守りつくして 破るとも 離るるとても 本をわするな」・千利休)をコンセプトとした樂吉左衛門館と茶室が作られました。

長年の夢がついに叶ったともいうべき茶室について、まずは伝統的建築の権威・中村昌生先生(京都工芸繊維大学名誉教授)の基調講演がありました。
スライドを見つつ、冗談を交えつつ、樂さんの茶室がどういった精神を宿しているのか、非常にわかりやすく、愛情こもった賛辞を樂さんに送っていらっしゃるように見受けられました。
素人がぱっと見たところでは、新しい以外の何ものでも無いように見える茶室にも、中村先生の頭の中にある膨大な知識や資料によれば、やはり伝統的な流れを無視しているわけではない、筋がちゃんと通っているのだという事を理解できました。

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『憧れのヨーロッパ陶磁』 -京都国立博物館-

京都国立博物館

特別展覧会、『憧れのヨーロッパ陶磁-マイセン・セーヴル・ミントンとの出会い-』を鑑賞しに、京都国立博物館を訪れた。
展観の紹介文章には、「いつの時代も、人は異国に対して一種の畏れを感じる一方で、強い憧れをもつようです。このところ、高級食器としてのヨーロッパ陶磁が人気を博し、テーブル・コーディネートで活躍している背景にも、おそらくある種の「異国趣味(エキゾチシズム)」があるのでしょう」とありますが、どうでしょうか。
最近の日本では、ブランドやラインを揃えて使わなければならない、そしてなんと言っても値の張る西洋の高級食器よりも、洋食であっても気軽に使える自分の好みの日本の窯元の作家物をどんどん使って、自分なりにコーディネートを楽しんでいる人が増えているように思えます。

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『京都五山 禅の文化展 』 -九州国立博物館-

九州国立博物館

太宰府の九州国立博物館にて、-足利義満600年御忌記念「京都五山 禅の文化展」-が開催されています。
 *2月24日(日)まで

京都五山とゆかりの寺院から、中世の禅文化の名品が一堂に集うまたとない機会。
来館の皆様には、栞いろは歌-禅のことをもっと-を配布させていただいております(なくなり次第終了)。お近くにお住まいの方、期間中に九州をご旅行される方は是非ご高覧下さい。

会期中には、様々な講演会や、坐禅会(HPに詳細あり)も開催されるようで、ただ鑑賞するだけでなく、実体験もできる企画があります。

この展示、地元京都では開催されない為、非常に残念なのです。
京都に五山があっても、その名品を一度に見る機会はほぼあり得ません。

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大徳川展-東京国立博物館-

大徳川展

来場者が40万人を超え、大成功のうちに終了したという大徳川展。
ちょうど出張中に行く事ができました。
「二度とない!」の文句に、平日でもものすごい賑わいでした。
日本人ならどれだけ歴史音痴でも知らない人はいない徳川家康。
その家康を頂点とする徳川の各御家のお宝がおでましとあれば、日本人としてはさほど興味が無くとも出向いてしまいそうです。
少し前から司馬遼太郎にはまって読み続けている私にも、リアルに当時を想像できる様々なものがお出ましで、非常に興味深く楽しむ事ができました。
日本史を、つめこみの勉強としてしかとらえられない学校の授業(私がそうであっただけかもしれませんが)が、こういった展覧を観る事によって、楽しくてもっともっと知りたいものになれば…と思いました。

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表千家北山会館 -元伯宗旦展-

元伯宗旦展

京都北山にある表千家北山会館では、12/20(木)まで、「350年遠忌記念 元伯宗旦展~残された手紙にみる生涯と茶の湯~」と題して、主に宗旦の手紙を中心とした展観が楽しめます。

宗旦ゆかりの道具などを単に見て感じるのみならず、実際に宗旦からその子息、江岑宗左に宛てた手紙、大徳寺の和尚方とのやりとりなどを拝読する事によって、宗旦の近辺の事、その思い、時代背景などが詳しく理解でき、展示されている消息全てに詳しい解説があるため、非常に勉強になる展示でした。
まるで歴史の教科書を詳しく勉強しているかのごとく、宗旦と交流のあった公家、武士、僧侶、町衆などが次々に登場し、歴史に詳しくない者にはいささか高度な内容であるかもしれません。
ですが、信長から秀吉、徳川へと急激に時代が動いたこの頃の、茶人を始めその周辺の才能溢れる人達の身辺が伺え、茶道や歴史が好きな者には、大変魅力的な内容でした。
なかなか自分自身で勉強するのが難しい内容かとも思われますので、このチャンスに是非足を運ばれると良いかと思います。

ちなみに、元伯宗旦とその子息、宗左については、現在『茶道雑誌』にて連載中の「掌のつむじ風」が大変読みやすくおもしろくて、毎月私は楽しみにしています。

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MIHO MUSEUM -MIHOコレクション 大いなる時を超えて-

MIHOミュージアム

開館10周年記念特別展Ⅲ-大いなる時を超えて-(12/16まで)と題された展示を拝観しに訪れました。
まず最初に我々を出迎えてくれるのが、なんともいえない表情の犬の埴輪。教科書で学んだ物ともまた違う感じで、『日本書紀』には、野見宿禰(のみのすくね)が日葉酢媛命(ひばすひめのみこと)の墓へ殉死者を埋める代わりに土で作った人馬を立てることを提案したとあるようで、現代の考古学研究により、この説話は否定されているようだが、日本書紀を信じた方が、時の権力者の慈悲に触れられるようで、ロマンがあって良い(そういうものではないのかもしれませんが、お聞き流し下さい)。

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元伯宗旦と樂茶碗 -樂美術館-

樂美術館

以前にも書きましたが、今年は元伯宗旦(千利休の孫にあたります)350年忌の年にあたり、京都の美術館では、宗旦にちなんだ展観が数多く見られます。
樂美術館もその1つで、長次郎が作った茶碗の中で、宗旦書付のある名碗や宗旦好みの茶碗、また、樂家歴代の茶碗を拝見する事ができます。

宗旦といえば、熱心な参禅の徒であった事、どこの藩にも茶堂として身を置くことをしなかった事、侘びさびに徹底していたというイメージがあまりに強く、その好みの道具や書付の残る道具とは一体全体いかなるものかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、多くの美術館を訪れ、宗旦のまわりにあった様々な物を見ていると、それだけではない宗旦の色々な面が伺えて、さらにその魅力に惹きこまれます。今回の樂美術館の展示でも、宗旦の新たな面を垣間見させていただけました。

*樂美術館では、様々な所に生けてある花がいつもとても素敵です。それも毎回この美術館を訪れる際の楽しみなのです。

*宗旦については、11/29に弊所発刊の堀内宗心宗匠『歩々清風』に、-元伯宗旦の茶と禅-として、詳しく書かれています。

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茶入・棗の名品 -香雪美術館-

香雪美術館

阪急御影駅ほど近くにある、香雪美術館(神戸市東灘区)を訪れました。
こちらは、朝日新聞創設者の村山龍平翁の蒐集品に加え、初代理事長の村山長挙(玉泉)翁の蒐集した物が所蔵され、春と秋に展示公開されます。
経済界で活躍され、茶の道にも通じた偉人の蒐集品を展示する私設美術館がことに好きな私ですが、それぞれの先人の楽しみ方、趣味趣向に触れられるのも、後々の人達の手によって、所蔵品が大切に受け継がれてきたからこそ。いつも有難く勉強させていただいています。
時を経てなお美しいく、斬新に思える意匠などもあり、茶入・棗の逸品を訪れる人もまばらな静かな美術館で楽しめました。

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相国寺の禅林文化 -承天閣美術館-

承天閣美術館

相国寺承天閣美術館にて、-相国寺の禅林文化-と題して、室町から近世にいたるまでの名品が展示中ですので訪れてみました。

さすがは足利家とのゆかり深い相国寺。金閣寺・銀閣寺も相国寺派に属しますので、その所蔵品の筋の良い事、そして格調の高さ、どれをとっても見応えのある物ばかりです。
他ではそうは見られない足利義政ゆかりの物も多数展示中です。
彼がいなければ日本の文化はここまで成熟するのにもっと時間を待つ、あるいは天下人にこのような鋭い感覚の持ち主が出現するのを待たなければならなかったであろうと思える点で、色々な事を言われているこの足利幕府8代将軍を、私はやはり尊敬せざるを得ないのです。身分関係なく、才能ある者は自分の同朋衆に加えた点も、心ひかれます。

さて、この素晴らしい展示と併行して、茶道具名品展も開催されており、美しい堆朱(ついしゅ)の台に乗せられた天目茶碗や、仁清のいかにも京都らしい茶碗、重厚感溢れる多くの水指、食籠なども展示されていました。
12/8までは、秋の特別公開で、相国寺の方丈や法堂、浴室もご覧になれますので、京都へのおでかけの際に、コースに加えられてみてはいかがでしょうか。
こちらの浴室は、有名な妙心寺の明智風炉とはまた違って、おもしろいですよ! 

相国寺にかかる虹
虹_同志社

この日は雨が振ったりやんだり、変なお天気でしたが、夕方にはこのような虹が。
相国寺と同志社の寮です。

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狩野永徳 -京都国立博物館-

狩野永徳展 -京都国立博物館-

京都国立博物館では、11/18(日)まで、狩野永徳展が開催されています。
少し前の話ですが、研究所メンバーで、有難くも内覧会に行かせていただきました。

戦国時代、天下統一を目指すほどの武将が出たこの時期、やはり、彼らを納得させるだけの人物があらゆる方面で多々出てくるものなのですね。そういう時代であったということでしょうか。
いくら才能ある人物でも、その人を活かすパトロン的な存在無しには、活躍の場も無い事でしょうし、その活躍ぶりが後世まで讃えられるものとはなり得ないでしょう。
今回は、史上初の永徳の回顧展、さらに今まで皆様の目に触れられる事の無かった物も初公開されています。戦国武将に愛された絵師だけに、その武将たちを祀る禅宗寺院にも彼の作品は数多く残っており、そのような物にもご注目いただきたいところです。

さて、内覧会でさえもものすごい人でしたが、一般公開が始まった今、あまりの人気ぶりに、金・土・日の開館を午後8時までに延長しているとの事です。最近、このような人気の展覧会では、混雑状況もHPにて確認できるようです。
なかなかゆっくり鑑賞とはいきませんが、ぜひ比較的すいている頃を見計らっておでかけになってみてください。

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第59回 正倉院展 -奈良国立博物館-

正倉院展 奈良の鹿_神の使い

奈良が一年のうちに一番賑わうのではないでしょうか。今年も、「正倉院展」が始まっています(11/12まで)。
約1200年も前に異国の地からやってきた、あるいは日本にて作られた美しきもの達。それが今もなお素晴らしい保存状態で受け継がれ、目に触れられる事に感謝の気持ちもひとしおです。
聖武天皇が派遣した遣唐使たちは目利きでもあり、予算の中から日本に持ち帰る美しきもの達を選び、当時非常に困難を極めたであろう航海の末に、日本に新しい文化をもたらしたのです。
異国からやってきた物、そしてその文化を吸収し、日本で日本らしさが加わり作られた物なども目にする事ができました。
異国の文化に尊敬の念を抱くと共に、自分が生まれた国、日本の情緒豊かな面にも触れる事ができ、自国の文化の豊かさに、新たに誇りを持つ機会を与えられた感じがして、是非今後もこの有意義な「正倉院展」が末長く続けられるよう祈るばかりです。

今回私は、展覧される宝物について少しだけでも簡単に勉強してから訪れたいと思い、公式ガイドブックにも認定されている、小学館の「和樂」を読んでから参りました。美しい写真と共にわかりやすく楽しい説明があり、少し知識を入れていくだけで、鑑賞のおもしろみは何倍にも増しますので是非皆様にもオススメしたいです。

さて、余談ですが、この日は張り切って8時半には奈良国立博物館に着いたのですが、既に長蛇の列。いったい、一番前の人は何時から並んでいらっしゃるのでしょうか?!
チケットをお持ちでない方は、チケット販売所の長蛇の列に並んだ後に、入館するためにまたまた長蛇の列へ。是非先にチケットをお求めになってからおでかけ下さいね。

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乾山の芸術と光琳 -出光美術館(東京)-

乾山の芸術と光琳

丸の内の出光美術館にて、11/3~12/16まで、-乾山の芸術と光琳-展が開催されます。
ご存知のとおり、この尾形光琳(1658-1716)・乾山(1663-1743)の兄弟は、京都の呉服商雁金屋の生まれで、兄弟共に非凡な才能を発揮した、当時を代表する絵師と陶工です。

この乾山が、二条綱平公から与えられた山荘に開いた鳴滝乾山窯の窯跡は、今は研究所によくいらっしゃる和尚さんのお寺の敷地内にあります。
そちらの窯跡での近年における発掘調査の全貌が、今回初公開されるとのことです。

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「開館30周年記念展 暦年の茶」-北村美術館-

秋晴れの鴨川

河原町今出川にある北村美術館を訪れました。
2007年9月9日(日)~12月9日(日)まで、「暦年の茶」と題して、開館30周年と宗旦居士350回忌の節目の年を記念するに相応しい道具が展示されています。

こちらでの展示が楽しいのは、待合や、小間での濃茶席、広間での薄茶席など、茶事の進む順番通りに展示がしてある事なのです。自分も茶事に参加しているかのように、「あぁ、この場面でこのお道具かぁ…」と、まるで亭主の心づかいを感じる事ができるようで、勉強にもなります。

今回一番心に残ったのは、宗旦作の花入で、瓢箪を使ったもの。「銘 達磨」です。
まるで一筆達磨のような形をした瓢箪をくりぬき花入れにしたもので、なんともいえないわびの世界を感じます。美術館にあるべき物かもしれませんが、秋の様々な草花を生け、茶会に登場したらどれだけ素晴らしいことでしょう!叶わぬ願いですが、見てみたいものです。

今年は千宗旦の350回忌の年という事もあり、茶道に関係する美術館では、宗旦の特別展が多く見られます。乞食宗旦といわれながらも京の人々に愛され、禅の道にも深く通じた千宗旦という茶人の生き方、人柄、その精神性は、現代を生きる我々の心にも深く感銘を与えるものと思われます。
まさにお釈迦様が涅槃の際に言われた、「法灯明自灯明」を生きられた方です。私も各美術館で、千宗旦という人に触れたい思いでいっぱいです。また足を運びましたらこちらでご報告する事に致します。

*「宗旦の茶と禅」に関しては、11月29日に研究所から出版される、堀内宗心著『歩々清風-科学する茶禅の人-』にも詳しく書かれています。

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「懐石のうつわ展」 -野村美術館-

茶室_天龍寺

南禅寺近くにある野村美術館を訪れました。
いわずもがな、野村財閥を一代で築き上げた得庵(野村徳七氏)のコレクションが収蔵されています。
主に茶道具、そして自らも嗜まれた能に関する所蔵品が数多くあり、春と秋の展示が毎回楽しみな美術館です。

今回は、「懐石のうつわ展」。
前期 平成19年 9月 8日(土)~10月21日(日)
後期 平成19年10月23日(火)~12月 9日(日)

茶の湯をお稽古されている方で、本格的な茶事の経験のある方にはおわかりでしょうが、茶事をするとなると、びっくりするほどの様々な器が必要となります(昔のかなりわびた茶事は、そうでもなかったのかもしれませんが…)。
茶事とは、茶の湯のフルコースのようなもので、お濃茶を美味しくいただく為の懐石に始まり、お濃茶、薄茶へと続きます。その一会は、会の形式にもよりますが、3時間にも4時間にも亘ります。その長い時間、亭主が趣向を凝らし自分の思いを込め客をもてなし、客は客で、その亭主の心を汲み取ってこそ主客交わり一体となる、一期一会の会となります。

今回はそんな茶事での懐石に使ううつわの展示だったのですが、得庵がどのようにもてなしたのかと想像するだけで楽しくなるような逸品が揃っていました。
中でも、原羊遊斎作・酒井抱一下絵の蕨蒔絵の膳と椀は、ため息が出るばかり。おしかりを受けるかもしれませんが、羊遊斎の塗りには、女性を「匂うがごとく美しい」という、その表現を思わせるような感覚を毎回覚えてしまいます。

また、バカラの懐石具は、明治末から大正時代の大阪の美術商が、自らフランスのバカラ社に注文し取り寄せたものを、得庵のところに収めたというもの。
この時代の実業家である数寄者の茶に対する向き合い方、力の抜きどころ、道具を見る目には、いつも感服せざるを得ず、現代にもこんな方はいるのだろうか…としばし考えてしまうのですが、その時代の数寄者を支える美術商、道具商などにも、このようなおもしろい人物がいたものなのかと目の覚める思いがしました。

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「開館50周年 特別記念展」 -逸翁美術館-

逸翁美術館

毎回訪れるのを楽しみにしている逸翁美術館。 今回は開館50周年というおめでたい年。 出展作品を見てもわかるように、選りすぐられた逸品にて、「特別記念展」が催されている。

今回心に残ったのは、大好きな俵屋宗達による「飛鴨図」。
光悦とのコラボを始める前の画だろうか??? たらしこみの技法も少しは見られるのだが、光悦とのコラボ作品のそれとはまた違う。なかなかお目に書かれない、どちらかというと渋めの味わい深い作品であった。
また、大棗・吹雪などの時代物も、昔の職人の心意気が見えるかのような味わいで、私は「竹林蒔絵大棗」に心惹かれた。後期(10/27~12/9)の展示替えでも、錚々たるものが出展されるようなので、改めてでかけたいと思っている。

さて、この「雅俗山荘」での展示は、来春をもって終わりとなるようだ。
「逸翁美術館」は、違う場所に新しい建物にて生まれ変わるらしい。耐震性の問題や、建物の老朽化などが問題となったのだろうか。和洋折衷の重厚感ある旧邸は、美術館というより、本当にお宅にお邪魔しているような感じで、昔から親しんで来た美術館だけに、仕方ない事とはいえ惜しくてならない。 
即庵での呈茶も、毎回楽しみであった(土日は近隣のお茶の先生方が釜を懸けられます)。こちらでの一服を未経験の方、是非一度お運びいただきたい。

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仙厓・センガイ・SENGAI 禅画にあそぶ -出光美術館-

仙厓義梵_禅文化研究所蔵


いつもは訪れた美術館の事をご紹介していますが、今回は訪れたい美術館の情報を・・・。
東京・丸の内の出光美術館にて、10月28日まで、仙厓さんの禅画展が開催されています。
仙厓義梵(1750-1837) 禅師は、九州博多の聖福寺というお寺の123世住職で、古月派を代表する名僧です。

禅画のみの展示というのも珍しく、また、見ていてなんだか楽しくなってくるような仙厓さんの禅画という事で、なかなか見がいがありそうです。その奥に見え隠れしているものは、一体?!
それにしましても、仙厓さんのものばかりがこれほど多く一堂に会するのは、出光美術館だからこそです。是非、おでかけになられてみてはいかがでしょうか。

*研究所の本も紹介させてください*
仙厓和尚逸話選

☆上記の仙厓さんは、研究所所蔵の物です。くわしくはこちらをご覧ください。研究所の所蔵物を順次公開しております。

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観月のとりあわせ -細見美術館 古香庵茶会-

細見美術館_観月のとりあわせ

京都、岡崎にある細見美術館の茶室-古香庵-では、年に何度か茶会が催される。
今回(9/29)は「観月のとりあわせ」茶会にお邪魔した。

会記はつぎのとおり。

床     簾に秋月図   渡辺始興筆
 脇    秋草虫蒔絵小箱
花     季のもの
花入    亀甲文瓶子
香合    金銅透瓜形
風炉先  秋草図      酒井鶯蒲・鈴木鶏邨筆
釜     古芦屋葦達磨
風炉    面取唐銅     香取秀真造
水指    河南
薄器    秋草蒔絵平
茶杓    鵬雲斎大宗匠作  銘 秋の声
茶碗    黒 銘 川辺  二百之内 左入造
 替    紅葉呉器
 替    黒釉平 銘 仲麻呂
 蓋置   古瀬戸一閑人
 建水   砂張
菓子    月波  

美術館に埋もらせておく(という表現はおかしいかもしれないが、、、)だけ、ガラスケースの向こう側を見て楽しむだけではなく、使える物は使って慈しむ、「使ってこそ」の喜び、楽しさを味わえる贅沢な道具の取り合わせ。
いつもこの美術館のこころみに感謝し、美術品に対する美術館の姿勢を伺い知る事の出来る良い機会なのだ。私設の美術館だからこそ、というところもあるだろう。

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足立美術館 -出雲-

足立美術館_正面入り口

出雲へ向かう途中、安来節の郷である、島根県安来市にある足立美術館に立ち寄った。

創設者足立全康が自ら収集したという横山大観の近代日本画が中心の美術館であるが、さらに有名なのはその日本庭園である。アメリカの庭園専門誌"Journal of Japanese Gardening"によって、5年連続で日本一に選ばれている。
したがって、美術館自体も、絵画を鑑賞するのと同様にこの庭園を鑑賞できるような作りになっていて、来館者の多くは庭にカメラを向けているのが、美術館としては違和な感じもする。
庭は後ろ盾にある山を借景として、とても広々とした大きな庭である。
借景になっている山は、戦国時代、この地で毛利と尼子が合戦した際、毛利軍が陣を張ったといわれる勝山という山で難攻不落であったそうだ。

日本庭園

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岡山 林原美術館 -うるしの華-

林原美術館-うるしの華-外観


主に茶道史の研究で知られる、熊倉功夫先生が館長になられたという事で知ったこの美術館
岡山を訪れた際にお邪魔してみた。

美術館の名称からも察する事ができるように、このような私設の美術館が私は好きだ。
創設者の審美眼に耐えうる物のみが集められており、様々な分野の物の逸品を見られる上に、こじんまりした美術館が多く、ちょうどお腹がいっぱいになる展示数で疲れない。

ちなみにこの林原氏というのは岡山の実業家で、刀剣をはじめとする東洋古美術の収集家。岡山だけに、池田家旧蔵のコレクションも多いようである。

今回の展示は、「うるしの華」。>10月14日(日)まで開催中。
館内に入ってまず目を奪われたのは、葵の御紋が入った見事な婚礼調度品の数々。漆塗りのあらゆる技法を施し、おそらく現在の技術ではなかなか難しいのではないかと思える良い仕事の逸品ばかり。
それもそのはず。本多忠刻と千姫(徳川家康の孫・豊臣秀頼に嫁いだが、夏の陣の後救出され、本多家に嫁いだ)の娘である勝姫が、将軍秀忠の養女として、岡山の池田光政に嫁いだ時の品なのである。最近、司馬遼の本を改めていろいろと読んでいるが、歴史を知っているとさらに楽しめるものだ。

その他彫漆、螺鈿、かんざしの名品も数多く展示されていた。
四季折々の日本の風情を写したかんざしの細やかな技法には、目をみはるばかり。

この美術館では、月見や茶会などの催し物もあり、近場であれば通いたい楽しい美術館である。
茶会ではなんと熊倉先生が亭主をされるという。きっと楽しいお話が伺えるのだろう。

実は美術館に入った時に、まさかと思うが熊倉先生のお声が聞こえてきたのだが、お姿は拝見できなかった。
「館長さんだけれど、よく京都でもおみかけするし、まさか今日の今日、ここにいらっしゃるなんて・・・」と思っていたが、案の定、館内を見た後ロビーに出ると、ソファに腰かけてどなたかとお話し中ではないか。
温和な表情と柔らかいお声、わかりやすいお話で、時々講演会に出かけたり、茶道に関する本を拝読させていただいている熊倉先生ファンの私は、お声をかけたい衝動を何とか抑えつつ美術館を後にした。

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フィラデルフィア美術館展 -京都市美術館-

フィラデルフィア美術館展

9/24(月)まで、フィラデルフィア美術館より、数々の名画が岡崎の京都市美術館に来ている。
西洋絵画には全くと言ってもいいほど無知な私だが、教科書で習った通りの西洋絵画史の変遷を実際に楽しめた。
19世紀の写実主義、ミレーやコロー、クールベなどから、印象派の巨匠モネ、ルノワール、ゴッホ、セザンヌ、またキュビズムの時代20世紀のピカソなどなど、錚々たる絵画のお出ましだ。

私自身の中では、絵の鑑賞とは非常に難しいもので、むろんただ見て色々を感じればいいのかも知れないが、鑑賞方法というものも確立されていて、西洋のしかるべき家などでは、小さい頃から鑑賞法というものを当たり前の教養として勉強していたとかいないとか・・・。

また、西洋絵画を鑑賞する際にどうしても必要となってくるのが聖書の知識。
大学生時代の私は、ただただ美しい西洋絵画を楽しんでいたが、次第に日本美術へと関心が移り、あらゆる物を見てみると、また西洋にも興味を持ち始め、学生時代のような楽しみ方のみでは飽き足らず、目下、少しずつではあるが、絵画を楽しむ為の鑑賞法や聖書を勉強中である。

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世界遺産 ナスカ展 -京都文化博物館-

ナスカ展

遺跡にも興味があり、非常に惹かれるものの、地球の裏側という遠さと、あまりに違う文化を持つ為、まだまだ神秘の世界のような、本当に地球上にこんなとこがあるのかしらんと思うような地。それでもやはり、いつかは訪れてみたい地。
そんなナスカの展示が京都文化博物館にて開催中(9/24月・祝まで)。

儀式に使われたのであろうとされる壺に描かれる絵は、幾何学的で私からすると異様としか言いようが無く、確かに現代にも通ずるデザイン?!かもしれないのだが、理解しようとしてできるような物ではなく、まさにナスカの人々が信仰する「超自然」の世界であった(むろん、おもしろいな、素敵だなと思うものもいくつかはありましたが)。
戦好きだった彼らは、敵の首級(トロフィー)を必ず持ち帰り、盛大な儀式により葬ったという。
単に敵というのではなく、神聖な人間の首に対する畏敬の念からのようだ・・・。
日本の戦国時代には無いような事である。

展示の趣旨と離れるからであろうか、人々の生活そのものが見えてくる展示では無かったのが残念。展示の品にも、一体何に使われたのかわからない物が多数。
あまりにかけはなれた儀式的世界の品々よりも、祖先がもしくは日本人と同じ可能性もあるという、アンデスの麓に生きる彼らの生活を知りたいと思った。

子供のミイラも展示されていた。子供が生け贄に使われたと聞くと、「幼いのにかわいそうに・・・」と思うのが常ではあるが、何かの本か番組で、この生け贄の子達は皆微笑んでいるような穏やかな表情をしている為、現代に生きる我々が思う「かわいそう」という感情とは裏腹に、生け贄にされる際には、安心していけるような工夫がされていたのではないかと言われているそうな。
むろん、ナスカの地上絵についての展示ではおもしろい工夫がされていたので、是非足を運ばれると良いと思う。
日本の皆さんからみて、はてさてこの展示、どう感じるのだろうか興味深い。

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堀 文子展 -京都高島屋-

堀文子展

『画業70年 自然と共に生きて 堀 文子展』 を訪れた。
(8/15~20日まで、京都高島屋グランドホールにて開催。9/12~24まで、難波高島屋でも開催予定)

以前から、婦人雑誌に度々紹介されている事があり、今まで見たことの無いような画風や、その絵の持つ力に惹かれていたので、日本画家でいらっしゃる事も何も知らずにただ訪れてみた。
「○○画」などという枠を超えて、生命の神秘、命ある全てのものに対する尊厳が彼女の絵から溢れている。日本画家として出発した彼女が、どのようにしてこういった絵を描くに至ったのか、その軌跡を辿る事のできる展示となっていた。
歳を重ねるごとに、様々な物を吸収し、深くなってゆく彼女の絵に魅了され続ける何時間かであった。

「死は、外からやってくるものではなく、自分の内にあるもの」
「自然の中に暮らしていると、虫や鳥たちと同じく、自分も自然の一部なのだなと本当にわかるんですよ」

優しく語りかける一言一言に、真理が見えた。
会場で流されるビデオの中で、堀さんがご自宅の庭にて、蜘蛛の巣に霧吹きで水をかけ、巣に水滴がつきキラキラと美しく輝くのを見せて、「ほら!とってもきれいでしょ!!!」と、少女のように瞳を輝かせる姿が印象的であった。

堀さんの絵の展示を拝見させていただき、染色家の志村ふくみさんを思い出した。
素晴らしい方達がおっしゃる事を聞いていると、物事の真理、人として大切な事、人類がこれから歩むべき道を教えていただけるような気がする。
また、生命への尊厳ということから、神谷美恵子さんの著作を改めて読んでみたい気分になった。

チベット(現在はインドにいらっしゃいますが)のダライラマ法王が、その著作の中で「慈悲深い人は皆、チャーミングなのです」とおっしゃっていらしたが、ふとそのことが思い出された。

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-赤膚焼(あかはだやき)- 奈良

赤膚山元窯 古瀬堯三

奈良の中心部から少し車を走らせた所にある赤膚焼の窯元(奈良市と大和郡山市に点在)。
遠州七窯の一つにも数えられている。 
奈良へ観光でやって来ても、ここを訪れるのはお茶かお花をする方だろうか。
焼き物好きが訪れる窯元という感じの場所では無い気もする。
奈良に家元(円照寺門跡)がある山村御流の華展では、よく赤膚焼の花器を目にする。
私がよく訪れるのは上の写真、古瀬堯三氏。日常に使える器から茶道具まで、多くの器達が迎えてくれる。

初めて来た際は、こんな所に立派な登り窯を構える窯元があったのかとびっくりした次第。
赤膚という変わった名称。地名からという説と、鉄分を多く含む陶土を用いる為、素焼きした表面が赤くなるからという説があるらしい。
赤膚焼の特徴といえば、なんともいえないとろりとした(感じの)オフホワイト色の釉薬、そして奈良絵。
この奈良絵は、お釈迦様の生涯を描いた絵過去現在因果経に由来すると聞いたが、奈良らしく、五重の塔や鹿などもお目見えするなんとも愛らしい図柄なのである。

奈良絵_家奈良絵_やっこさん?!

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MIHO MUSEUM -いにしえのほほえみ-

いにしえのほほえみ

大好きなミュージアムの夏季展示が始まったので足を運んだ。

「いにしえのほほえみ -地中海から東アジア・日本まで-」 7/14(土)~8/19(日)

この美術館、季節ごとの素晴らしい展示と共に、信楽の四季の恵みを体感できるのも気に入っている。
都会とは違う美味しい山の空気が味わえるのだ。

今回の展示は、地中海・オリエント・中央アジア・南アジア・東アジア・日本と、地域ごとのいにしえのほほえみ像のお目見え。
こういった像に見られる最も古いほほえみは、2600年ほど前のギリシアのものだとか(いわゆる、アルカイックスマイル)。
ギリシアを旅すると、ゆったりとしたほほえみを湛えた像にたくさん出会うが、それが時間と場所を経て、日本の仏像などのほほえみにまで到達する軌跡を、この展示で辿る事ができた気がする。
古今東西、和顔は絶やしてはならないものなのだ。

*夏休みには子供向けの企画などもある模様。 子供たちが、美しい自然、それに溶け込む建築、そして人間が生み出した各国の文化に触れられる素晴らしい機会だ。

アルカイックスマイル

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東京国立博物館 京都五山展

京都五山展

上野の東京国立博物館にて、-足利義満600年御忌記念「京都五山 禅の文化」展-が開催される。
*07年7月31日(火)~9月9日(日)

京都五山とゆかりの寺院から、中世の禅文化の名品が一堂に集うまたとない機会。
来館の皆様には、栞いろは歌-禅のことをもっと-を配らせていただく事となった(なくなり次第終了)。お近くにお住まいの方、期間中に東京に立ち寄られる方には是非お運びいただきたい。

先の「仏像 一木にこめられた祈り」も大勢の来場者で賑わっていた為、今回も多くの方がご覧になられる事を期待している。
また、会期中には、講演会のみならず、茶会や坐禅会(申込先着順/HPに詳細あり)も開催されるようで、ただ鑑賞するだけでなく、実体験も出来る企画となっているため、お茶人さんが集う月釜(茶会)や寺での坐禅にはなかなか出かけにくかった方も、気軽に参加できるのではないだろうか。

この展示、地元京都では開催されない為、非常に残念。
京都に五山があっても、その名品を一度に見る機会は無い。
東京国立博物館での展示後は、九州国立博物館を巡回(08年1月1日~2月24日予定)する。

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21世紀に生きる君たちへ 司馬遼太郎記念館

引き続き、司馬遼太郎記念館。

さて、企画展である「21世紀に生きる君たちへ」。
展示用ディスプレイとして、「21世紀に生きる君たちへ」の全文、そして、司馬が好んで使っていたという色鉛筆で校正されたゲラ原稿などが展示されていた。
何度も読んだことのある「21世紀に生きる君たちへ」ではあるが、こうして目にすると、また新たなる感動が生まれてくる。

そもそもこの文章は、小学生の教科書のために書いたものであるが、子供たちは、この文章をしっかりと心に受け止めてくれたのだろうか。
また、彼らを教育する先生方は、司馬の思いをきちんと子供たちに伝えてくださっているだろうか。

21世紀に生きる君たちへ

「21世紀に生きる君たちへ」の全文を読んでもらいたいのはもちろんだが、その中で司馬は、自分の知ることのできない未来である21世紀に生きる子供たちに、ただして欲しい希望を連ねている。

まず一つは大いなる存在に生かされていることを知り、昔のように自然・人間を尊敬して欲しいこと。そして、「自分には厳しく、相手にはやさしく」という自己を確立し、社会において互いに助け合って生きていくべきこと。そうすることによって、21世紀は人類が仲よしで暮らせる時代になるに違いないと。

実はこの想いは、数々の著作の根幹にある司馬自身の想いそのものなのであることを知った。記念館内部にある講演会場にもなるシアターの映像で、司馬は映像の中でこのようなことを語っていた。

自分が著作を始めるにいたった根源は、敗戦から復員してきた22歳の時の自分にある。なぜ日本がこのような国に成り下がってしまったのか。国を治める人たちがどうしてこんなにふがいないのか。大正以前の日本はこうではなかったはずだ。戦国時代や江戸時代の日本人はちがったはずだ。
しかしその時私はなにも知らなかった。歴史のことがわからなかった。だから自分で調べ、22歳の時の自分にあてた手紙のように著作を始めたのだ……と。

さて、司馬は、昨今の悲惨な事件の数々を知ったならば、いったいどう思うことだろう。

記念館を訪れた記念に何冊かの本を買ったが、そのうちの二冊が上のもの。片方は英語が対訳されていて、世界の子供たちにも読んでほしいものだ。

記念館を後にするとき、もう一度、司馬の書斎を見てみた。
まるでそこに居るがごとし。机を離れて食事にでもいっておられるような状態である。


司馬の書斎

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司馬遼太郎記念館

司馬遼太郎記念館

東大阪市にある司馬遼太郎記念館にいってきた。 いつの頃からか歴史小説が面白くなり、著作のすべてを読んでみたいとさえ思っているくらいで、かねてから一度訪れなくてはと思っていた。 ちょうど、「21世紀に生きる君たちへ」の企画展を10月28日まで開催中である(これについては明日の記事にて…)。

企画展 「21世紀に生きる君たちへ」

ここは司馬の自宅に、後に建てられた安藤忠雄氏設計のミュージアムがある。
安藤氏といえば、コンクリートの打ちっぱなしの建築物で有名。例えば、以前に本ブログでもとりあげた、大山崎山荘美術館にも安藤氏の設計による新館がある。

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第3回 西村惠信所長と行く、“禅と文化”の旅

承天閣美術館

平成19年5月30日(水)、たくさんの方にご応募いただいた“禅と文化”の旅、第3回目を終えました。
くわしい行程はこちら

【承天閣美術館 若冲展-釈迦三尊像と動植綵絵-】

この日はあいにくの雨(実は禅と文化の旅、雨の日が多いのです。雨男・雨女はいずこ・・・)。
京都駅を出発し、連日多くの人で賑わっているという、相国寺承天閣美術館にて開催中の「足利義満600年忌記念 『若冲展』-釈迦三尊像と動植綵絵-」をまず拝観致しました。
釈迦三尊像と動植綵絵が120年ぶりの再会といわれていますが、なぜなのでしょうか。この展示のいきさつについては、承天閣美術館HPに詳しく書かれていますので、是非ご覧下さい。
青物問屋の息子であった若冲だからこそふんだんに用いる事のできた、当時高価であった「白」。
また、他の様々な色を使って精緻に描かれた数多くの動植物、そして正面に釈迦三尊像。筆舌につくしがたいものでした。
江戸時代を生きた若冲が、いのちとは何か、信仰とは何か、今の時代の我々にその尊さを問いかけていました。
短い会期の間に、日本全国からひと目これを観たいと集まる人々。みなさん、このような大作を相国寺に寄贈した若冲の心、思いを感じた事でしょう。

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北村美術館 -山笑ふ-

北村美術館 山笑ふ

こじんまりとしたこの美術館。
展示数も数えるほどだが、逸品ばかりが展示される為、大いに満足できる美術館として毎回の展示を楽しみにしている。
いつも展示品についての主題が楽しみなこの美術館。今回は-山笑ふ-(季語)。
桜に続き、青々とした若葉芽吹く山、まるで山が笑っているかのような・・・。この主題を聞いただけで、どんな展示か心が弾む。

いつもその季節の茶会・茶事を想定した展示で、会の流れのままにお道具を拝見し、一席楽しんだ後のように心満たされるのだ。
今回は、案内によると、「山ふところの別荘で、庭や借景の山々に咲ききそう花を愛でながら、大寄せの茶会を催すことを想定しての陳列です。 まず玄関から待合へ。 それから順次庭へおり、東家を中心に、酒肴をまじえつつ、春の風趣を堪能し、そうしてふたたび座敷へ。 戸外の桜を心に描きつつ、広間での薄茶を楽しんでいただく観桜茶会。 ただ、たとえ展示であっても、桜のように季節感を強烈に印象づけるものは、時候をすぎてしまいますと鑑賞に耐えられなくなってしまいます。 それはまた、あくまで茶道具であって鑑賞美術品ではないゆえんでもあります。 そのため、今回は「山笑ふ」と題し、4月後半には一部展示替えもすることになっています。」とのこと。

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MIHO MUSEUM -中国・山東省の仏像・小さきものみな美し-

MIHO MUSEUM

毎回楽しみにしているMIHO MUSEUMの、今回は春の展観に訪れてみた。
しだれ桜の時期を狙っていたのだが、あいにく予定が取れず、この時期になったが、それはそれで山々の新緑の美しさが目に鮮やか。

今回の企画展は、「小さきものみな美し」と題して、創立者小山美季子氏が慈しんだ品々から、小さく愛らしい物を選んでの展示。
展示品を見るまでははしゃいでいた子供達も、小さくかわいらしいながらも、真に美しいものを目にするからか、ヒソヒソ声でおかあさんに「かわいいね、きれいだね」と目を輝かす。
無論大人たちも、ガラスにおでこをひっつけんばかりに近づいて、その「小さきもの」にしばし心を奪われていた。
また、山東省の仏像の展示では、おおらかなお顔の仏像に、ギリシアで見た像のアルカイックスマイルや、そのゆったりと羽織ったように着られた衣を思い出す。日本までは、このような形は伝わらなかったのか・・・。

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アール・デコ・ジュエリーの世界-京都国立近代美術館-

アール・デコ・ジュエリーの世界


去る4月15日まで、岡崎の京都国立近代美術館にて、「アール・デコ・ジュエリーの世界」と題して、カルティエのデザイナーとして活躍した、シャルル・ジャコーによるデザイン画や、それをもとに制作された宝飾品、同じ時代のラリック、また、現在でも宝石商として名をはせているブシュロンなどのものも来ていた。
アール・デコといえば、だいたい1920年代に、新時代のデザインとして世界的に流行した様式ではあるが、この時代の誰かを挙げるなら、アール・ヌーヴォー、アール・デコの両時代を通して活躍した、ルネ・ラリックが常に私の頭の中にはあった。
同時代にカルティエ一族を支えたデザイナーがいた事は、恥ずかしながらこの展示を拝観するまで知らなかった。
この時代の、一種独特の美的価値観にはいつも驚かされる。約80年も前のデザイン画や宝飾品ではあるが、なお新鮮なのだ。
桁外れのゴージャスさに目を奪われたのは、インドのマハラジャの宝冠(カルティエによるデザイン)であった。残念ながら(当然かもしれないが)デザイン画のみの展示であったが、異様なまでの存在感と、西洋とはまた違ったデザインの魅力に、夏にインドを訪れる予定にしている私には想像をかき立てられるものがあった。

展示について贅沢を言えば、一般市民の声としては、デザイン画よりも宝飾品そのものをもっとたくさん拝見したかった。老若女、皆同じように瞳を輝かせてガラスケースを食い入るようにみつめる姿(私も同じであるが)は、なかなかどうして、やはり女性は光りもんが好きなのだなぁ・・・と妙に納得してしまうのであった。。。

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大和文華館-茶の湯と美術 茶人の美意識-

大和文華館


2月12日まで大和文華館にて開催されていた、「茶の湯と美術 茶人の美意識」を観に、最終日に漸く奈良へと足を延ばした。

国宝「雪中帰牧図」(李迪筆 南宋時代)や、室町時代の根来、仁清の「色絵おしどり香合」など、そうはお目にかかれない物がさほど広くはない館内を埋め尽くし、敷地面積が広く、出展数が多い国公立の博物館・美術館を訪れるのと同じくらいに疲れた。
疲れた・・・というのは、パワーのある物ばかりでこちらの気力も必要だからだ。
やはり、研究所の職員としては、禅宗の高僧による墨蹟なども気になるところではあるのだが、室町時代の根来の、しっとりした漆の輝きに目を奪われた。

ここ大和文華館を訪れる時は、四季の花々も非常に楽しみだ。
今回も美しい花、春の訪れを待つ蕾にこちらの心も、花同様、春を待ちわびる気持ちになった。

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志村ふくみの紬織りを楽しむ-滋賀県立近代美術館-

志村ふくみの紬織りを楽しむ

志村ふくみさんの紬の世界を見に、お隣の滋賀へ。>4/8(日)まで
志村さんについては、白洲正子さんの著書の中で知り得てからというもの、「紬」の今までの概念だけに捕らわれないその作風と、染色の「色」の美しさに、頭の片隅に鮮明に記憶されていたのだ。
染め物の色というのはとても繊細で、カラー写真ではなかなかその本当の色を伝える事は難しい。
写真でしか見たことのないその色を、実際に目に出来る機会という事で、楽しみに出かけた。

「何色」というような概念では表現できない、自然から生み出された色に、ため息が出るばかりであった。志村さん曰く「自然から色をいただく」と・・・。
自然からいただいた色をもって、自然の風景などを模した作品には、志村さんの世界観が見えた。

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京都国立博物館-京都御所障壁画-

京都御所障壁画_美しい群青色


2月18日まで開催中という事で、慌てて向かった国立博物館。
毎回思う事だが、こういった国公立の博物館・美術館は、誰もが知る大きな寺の宝物展や、海外の有名な美術館からの所蔵品が公開になる時は、恐ろしいほどの人でにぎわうのだ。
今回も、「京都御所」というのは、多くの人々の心をくすぐるのか、黒だかりの人人人である。
前回レポートした、「京焼-みやこの意匠と技-」の際には、さほど賑わう事も無く、スムーズに自分のペースで歩く事が出来たのだが・・・。

御所の壁画では、宮廷のしきたりについてや、雅びな世界、また、京都画壇の歴史を知る事が出来た。
それにしても、これだけの彩色豊かな画を保存していくには、並ならぬ不断の努力があった事であろうと感心した。

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樂美術館-ゆく年くる年・光悦の足跡-

樂美術館

前回の展覧、「光悦と樂導入 二つの樂茶碗 二人の交友」に引き続き、今回は、樂家に大きな影響を与えた光悦の足跡についてをたどるような内容となっている(2月25日まで)。
また、季節に合わせて、新春の慶びを味わえるような作品の数々も展示中だ。
三千家(表・裏・武者小路)のお家元による書き付け(干支など、お正月に因んだもの)がほどこされた茶碗も並ぶ。

当代は、代々続く京都の旧家に生まれ、彫刻の勉強でイタリアに留学されていた事もある。
お話を伺っていると、その視野の広さと、時折見せる子供のようにキラキラした瞳、研究熱心で、まっすぐなお人柄に、好感を抱かぬ人はいないだろうと思う。「人」として非常に魅力的な方なのだ。
また、若い頃から光悦茶碗には強い共感を抱いたと言われており、その作陶には、自由でおおらかな精神が見て取れると共に、作品によっては、伝統的な樂茶碗というものを研究し、愛する気持ちも感じられる。
まさに温故知新。現代に生きる我々がお手本にすべきだ。
世間では、京都で十何代も続く家・・・と聞くと、イメージだけが先行して、なんだか後ずさりしてしまいたいような、きっと、古いしきたりにばかりうるさい、意地悪な、何かを内に秘め隠しているかのような印象を受けるのかもしれないが、「本物」というのは、そういうものではない。と私は思う。

美術館では、実際に手にふれて樂茶碗を味わう鑑賞会が開かれている。
興味のある方は、是非一度参加されてみると良い。
特別鑑賞茶会では、当代が亭主をされる。楽しいお話を拝聴できる貴重な機会だ。
詳しくは樂美術館まで・・・。

樂美術館

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逸翁美術館-千家のお茶と職家のお道具-

千家のお茶と職家のお道具


この逸翁美術館では、阪急グループの創始者である、小林一三翁の所蔵品を公開している。
いつもは、逸翁(小林一三の雅号)が日本のみならず、世界各国でみつけて来た-見立て-の道具(元々は茶道具ではないものを、茶道具とみたてて使う)が数多く展示され、「こんな物を蓋置きに!こんなものを建水に?!」と驚かされるのだが、今回は全てお家元に関係するお道具や書、千家十職による道具の展示だ。
改めて、連綿と受け継がれて来た職家の技の素晴らしさやその心、家で代々物づくりを受け継いでいく事の大変さ、家元との代々に亘る交流などを垣間見て、使う者は心して使わなくてはならないと身が引き締まる思いであった。

【千家十職】
千家の好み道具を制作する職家十家をいう。大正4年(1915)、松阪屋百貨店で職家の制作になる好み道具の展観がおこなわれたとき、はじめて「千家十職」の呼称が用いられ、以来、職家の通称として通じている。
表千家不審菴公式HP 茶の湯 こころと美 より

千家十職は、下記の家々をいう。当代はほぼ、下記の名前を代々継ぐ事となっている。

○樂吉左衛門(陶工/茶碗など)
○黒田正玄(柄杓師/柄杓・竹花入・蓋置など)
○駒沢利斎(指物師/棚物・曲物・炉縁など)
○永楽善五郎(土風炉師/茶碗・水指など)
○大西清右衛門(釜師/風炉釜など)
○土田友湖(袋師/袱紗・仕覆など)
○中川浄益(金物師/皆具・火箸・鉄瓶など)
○飛来一閑(一閑張細工師/薄茶器・菓子器・盆など)
○中村宗哲(塗師/薄茶器・盆・香合など)
○奥村吉兵衛(表具師/軸装・風炉先・襖など)

茶室 費隠

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雪月花と地球温暖化

細見美術館_雪月花

3/11(日)まで、岡崎の細見美術館にて、「雪・月・花 展」-雛かざりとともに- が開催中なので、先日訪れてみた。
日本における、冬の雪・秋の月・春の花。 日本人が古来より愛してやまないものたち。 
日本人は、季節をいくつにも分けて、その季節ごとに様々な喜びをみつけられる繊細さを持っている。この展示を見に行くと、四季ある日本だからこそ育まれた世界観に出会える。

この四季ある美しい国(首相のことばを借りたわけではありませんが・・・)の事を考え、この国に生まれて良かったと感謝すると同時に、地球温暖化の事が気にかかって仕方がない。
この国の美しさを守りたいと心から思っている(もちろん地球全体も)。
雪月花と地球温暖化は直接結び付く問題なのだ。温暖化が進み、亜熱帯地域のような気候になり、日本の四季が狂えば、雪月花もなくなってしまう・・・。
一人で心配して心を痛めているより、自分で気をつけられる事は気をつけていこうと思う次第。
そして少しずつ周りの人にこの事を話していこうと思う。
温暖化の影響で絶滅寸前の動物が確実に増えている。
アフリカでは干ばつの為、何千年も前から守ってきた生活を続けられなくなっている部族の人達がいる。彼らは、自分たちが悪いから神が怒っているのだと考えているらしい。
これを聞いて、私達日本人を含め、先進国の人々は心が痛まないだろうか?
もう、責任ある国が目をふさいでいる時ではなくなってきている。

例えば、日々の生活で少しだけ意識して下記を気をつけただけでも、CO2の排出量は違って来る。是非考えて欲しい。地球に優しい生活は、結局のところ、自分たちにも優しい生活になるのだ。

*冷房・暖房温度の設定に気をつける(夏は18度、冬は20度まで!)。
*コンビニやスーパーのレジで袋をなるべくもらわない。百貨店での不必要な包装は断る。
*シャワーや温水をなるべく出しっぱなしにしない。
*お風呂の残り湯で洗濯をする。

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野村美術館 -茶・花・香-

美術館横の散歩道

雨の降る休日、野村美術館を訪れた。
ここにはいつも、名品中の名品が揃っている。
今回、私の心に深く残ったのは、千利休筆「妙」の字。
どういう思いで利休さんはこの一字をしたためたのか・・・。

その他、禅僧の古墨跡なども展観されており、一代で、野村證券など金融財閥を築きあげた野村徳七翁の茶の湯への造詣の深さを改めて知り得た。
茶の湯は、貴賤を問わず、人の心の支え・なぐさみになるものなのだ。

野村美術館の辺りは、南禅寺や疎水、山県有朋の別荘無隣庵、また、閑静な住宅街が続く散歩に最高のコースです。歩きでの散策をオススメします!

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細見美術館 -江戸琳派展-

細見美術館


12月10日まで、細見美術館において、-江戸琳派 抱一・其一の粋-と題して、恒例の琳派展が開催されていた。
今回は、江戸時代の琳派のものばかりが展示されており、酒井抱一・鈴木其一など有名どころから、その弟子達など、江戸の琳派を充分に楽しめる内容であった。
わかりやすく日本の美を海外などに伝えるのに良いのでは・・・などと思いながら見入っていた。
いや、海外のみならず、最近の若者や、日本文化にたいして興味を抱いていない人などでも、すっと入って行ける日本の美だと思う。

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造形芸大学生主催-蓬莱図-

感謝の気持ちを綴る人々


都路華香展を観に京都国立近代美術館に訪れると、何やら入り口の所で声をかけられた。
聞くと、京都造形芸術大学の学生によるプロジェクトで、「手形で巨大蓬莱仙境図を作ろう!」とのこと。

手の形を取って、それに感謝の言葉を書いて欲しいとの事。
この、感謝の心の詰まった手がたくさん集まって、蓬莱図になるらしい。

手の型を取るなんて、子どもの時以来。はさみでその型を切るのも・・・。
なんだか楽しくなってしまった。
照れくさいと思いながらも、普段感謝している皆皆さんへのことばを綴った。

ブータンでは、ダルシンと呼ばれる旗や、マニ車などにはすべて真言(お経)が書かれていて、ダルシンが風になびけば、お経を詠んだ事となり、また、マニ車をまわせば、お経を詠んだ事になる。
国中、人々の信仰心、つまりは心で満ち溢れた国であるように思えた。
そういった、人々の気持ち、心というのは、真のパワーを持っている。

今回、皆が感謝の気持ちを込めて書いた手の型が、一つに合わされ、一つの画になる。
そのパワーたるや、如何に・・・。
12月19日(火)より24日(日)まで、京都国立近代美術館のエントランス奥に、掲げられるらしい。
これを観るだけなら無料とのこと。
是非パワーをもらいに皆さんも行かれてみては?

手形

京都国立近代美術館

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京都国立近代美術館-都路華香展-

都路華香展_ポスター


先に述べておくと、私は日本画に詳しくもなければ、知識もなく、チケットをいただので是非行ってみようと思っただけで、この-都路華香(つじかこう・明治3年~昭和6年)-なる画家も知らなかった。

-日本画-とだけ聞くと、何となく重々しい画を想像してしまうが、彼の画は何となく軽やかで、でも水彩画のような軽やかさとも違う、一種独特のものに感じた。
それもそのはず、彼の生まれた年代にあるようだ。
時代の移り変わりの中で、新しい時代に即した画の創造を求めて、作品を送り出し続けたらしい。

と・・・十牛図を見て、研究所から十牛図の本を新たに出すなら、この画がいい!
と、一人想像にふけりながら、館内を何度も往復した。
達磨図など、仏教に関する画材が多く、信仰深い人であったのだろう。
なぁんとなく、穏やかな気持ちになれる画であった。

【都路華香展:12/24まで】
京都国立近代美術館

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京都文化博物館-始皇帝と彩色兵馬俑展-

去る休日に、観光客で賑わう三条通にある、京都文化博物館を訪れた。
元々この建物は、明治39年に竣工した、日本銀行京都支店のもので、昭和44年には重要文化財に指定されている。
三条界隈には、このような明治時代の洋館や古い町家などが今もなお残っており、「界隈景観整備地区」となっている。

今回、近年発掘された彩色が残る兵馬俑が世界初公開された。
世界初公開、日本初公開・・・というような文言に日本人は弱いのだろうか。
だいたいこういった文句で大々的に広告されている展示会には、普段は美術館や博物館に見向きもしない人も訪れ、ものすごい賑わいだ。

確かに、紀元前に作られたものが、土の中に埋まっており、彩色が施されたままの状態でみつかるという事は、私達の想像力をかき立て、遙か昔の中国の時代にタイムスリップさせてくれる。
一体一体の大きさ、迫力に圧倒された。大陸のおおらかさか、日本人が作れば、こういったものにはならないだろう・・・などと思いつつ拝見した。

最後に・・・
こういった大々的な展示会には、先程このブログで書いたエジプト展でもそうであったが、子どもが比較的多く訪れている。
他国の歴史や文化に触れるという事は、その子の将来にも大きな希望や夢をもたらし、素晴らしい事だと思うので大歓迎だが、そのマナーの悪さにいつも驚かされる。
自分が見たいものは、人を押しのけてでも見る。つまらなければ走り回り鬼ごっこをし、叫ぶ。
一体親御さんはいずこ・・・。と見てみると、我が子の事はまるで他人事。熱心なのは良いのだが、子どもはほったらかしで展示物に見入っていて、呆れ返る。
公共の場でのマナーというものを、親が躾できないのであれば、そこに訪れている大人たちが皆で教えていくべきではないかと思う昨今である。

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表千家北山会館-九州古陶磁名品展・田中丸コレクション-

一番好きな色


街路樹のイチョウが黄金に輝く北山通り。
その通りに面して、ここ、表千家北山会館がある。

現在、特別展「九州古陶磁名品展-田中丸コレクション-」が開催中だ。>12/17(日)まで・無休

九州の実業家であり、表千家先代の即中斎宗匠とも親交厚かった、田中丸善八翁が収集した九州の古陶磁コレクションを紹介している。

秀吉の時代、朝鮮征伐の折に戦地に赴いた武将が、朝鮮から陶工を連れ帰った。
そんな陶工たちに窯を築かせ、茶の湯に使う陶器等を焼かせた地が、九州である。
現在も存続している窯元の名品。また、今となっては廃窯となってしまった窯元の名品なども揃っており、これほど多く九州の焼き物に触れる機会はそうはないだろう。

九州の実業家が、郷土を愛し数々の地元の窯の名品を集め、それを茶事に用いていた。
直接人柄に触れることが出来なくとも、その人が集めて慈しんだ所蔵品を拝見するだけで、善八翁が、茶人として、人としてもさぞかし魅力ある人物であったろうと想像できるのだ。

北山会館2階では、お抹茶とお菓子がいただける。
静かに座っていると、ガラス窓の向こうに、ちょっとした庭が作ってあり、北山通りの向こうは植物園。
ちょうどイチョウの鮮やかな黄金色と、植物園の木々が見える。
2階にいる為、道路などは見えず、植物園の木々を借景する形に・・・。
さすがこんな所にも心づくしが・・・と思いつつ、移りゆく季節を感じながら、美味しいお抹茶をいただいた。

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仏像展 -東京国立博物館-

仏像展ポスター

東京方面への出張中、時間に恵まれたので、東京国立博物館で開かれている特別展 「仏像 一木にこめられた祈り」を鑑賞してきた。

この仏像展の情報は、関西でもポスターやテレビでの情報を見かけたこともあるからだが、実は、数多い観音様の仏像の中で私が一番美しいと思っている、滋賀県の高月町にある渡岸寺観音堂(向源寺) の十一面観音様が、この仏像展に出展されているからなのである。因みに、渡岸寺は、「どうがんじ」と読む。
本当は私だけではなく、国宝に指定されている十一面観音の中でも、もっとも美しいとされているのであって、かの井上靖さんもその著書『星と祭』でこの観音様のことを書かれているらしい。さっそく読んでみなくては……。


東京国立博物館

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京都国立博物館 京焼-みやこの意匠と技-

仁清_雉の香炉も金沢より里帰りしています

各地の美術館から、京焼の名品が里帰りしている。(11/26まで)

京焼というと、仁清・乾山などの鮮やかな雅びなものをすぐに思い起こすが、
京都御苑の、公家町跡から発掘された生活用の陶器を見たり、さすがは京博での展示ともなれば、仁清などでも、その作風の幅広さを伺える膨大な数の展示品があり、京焼と言えばこうだという固定観念を覆され、非常に良い機会を与えられた。

また、各地に招聘され出向いた京都の陶工の歴史を見ると、京都が如何に文化の発信地として重要な役割を担ってきたのか再認識でき、京都にいながらにして、京都の焼き物よりも地方の焼き物に惹かれていた私であるが、もう一度京都の焼き物をきちんと見て、窯元も散策してみようと思った次第。

広すぎる美術館は、お腹がいっぱいになりすぎるので敬遠しがちな私だが、やはり、これだけの規模の美術館・博物館だからこそできる展示もあるわけで、これからは敬遠せず通おうと思えた。

京都国立博物館

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第2回 西村惠信所長と行く“禅と文化”の旅

去る11月11日(土)、恒例のバスツアーを催行致しました。
この秋は、混雑する京都を避け、滋賀への旅を企画。
禅や美術に触れる旅となりました。
当日の天気予報は雨・・・でしたが、さほど降られる事もなく、無事全行程を終えさせていただきました。

くわしい行程はこちら
前回の旅行はこちら

大池寺_蓬莱庭園

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まぼろし?の正倉院展と興福寺国宝

奈良国立博物館で、第58回正倉院展が開かれている(平成18年10月24日~11月12日)ので、文化の日につられて、その翌日、三連休の中日に奈良を訪ねた。
多少の混雑は想像していたのだが、甘かった。奈良国立博物館のある奈良公園ちかくの道路は大渋滞。その混雑を見越してか、空には飛行船が浮かんでいた。


空には飛行船


駐車場は満車ばかりで、まずは車を停めるだけで右往左往。
なんとか少し離れた個人経営の駐車場に停めて、歩くこと10分。
奈良国立博物館につくと、そこには、「只今の待ち時間150分」と。唖然
既に昼が近くなっていたので、このまま2時間半も並んで待たされるのはかなわない。
というわけで、遠方よりはるばる泊まりがけで来られているであろう方々に譲り、残念には思いつつ旧館の平常展だけをみることにした。
それでも、さすがに古都奈良。国宝や重文の美しい仏様が林立である。ただ、惜しいかな、いつも思うが、博物館では手を合わすということにならないのである。仏様もさぞ寂しかろう。

潔く奈良博を後にして、今度は国宝を特別公開している、となりの興福寺に参詣することにした。
今、興福寺は創建1300年を間近にして、境内の整備事業をされていて、工事中が目立つ。


工事中がめだつ興福寺境内

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吉村作治の早大エジプト発掘40年展

吉村作治の早大エジプト発掘40年展


京都伊勢丹の7階にある、美術館「えき」にて、吉村作治先生の40年の軌跡をたどる展示を観に出かけた。>11/26まで開催中。
そういえば、小学生の頃から、「エジプトに行ってみたい!」と憧れを抱くようになったのも、吉村先生の影響だった。エジプトを熱く語る先生の姿は、当時小学生だった私にもとても印象的なものだったのだ。

実際、7年前にエジプトを訪れたが、ピラミッドを目の前に観た時には、ことばは一言も出ず、ただただ、涙するばかりだった。
王家の谷の灼熱地獄にはまいったが、他の国では味わう事のないような太陽の力に圧倒され、この国の人々が太陽神と崇めたのが、わかるような気がしたものだ。

会場に入ると、まずは吉村先生のことばが・・・

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金沢 -21世紀美術館-

21世紀美術館_ガラス張りの美しい建物

21世紀美術館。
この手の美術館を敬遠しがちな私であるが、美術の仕事に携わる人から行くべきだと言われ訪れてみた。
楽しい!!! 
建物も展示内容も近代的。 なのに古都金沢にマッチしている。
浮いた存在にならず、この古都に上手に溶け込んでいて、それにも驚かされる。

プールの中にて

プールの中で写真を撮ってみました。
これ、どうなってるかわかりますか?
是非行ってみて下さい。 他にもいろいろな不思議と楽しさを体験できます。

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逸翁美術館 -細川護熙・加藤静允 数寄に生きる-

数寄に生きる

大好きな両氏の展示会とあって、楽しみに出かけた。
細川さんは還暦に政界を去り、晴耕雨読の日々を送られている。
私が初めて個展を拝見したのはもう何年も前の事。京都の骨董屋にて、初めての個展をされた時の事であったかと思う。
そこは白洲正子さんゆかりの骨董屋で、そのしつらえ、置いてある物全てが私にとっては勉強になったような場所だ。
敷居の高い骨董屋に、細川家当主でもあり、元首相の作品を見に行くとあって、まだ小娘だった私はやや緊張していた。

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西村惠信所長といく -禅と文化の旅-

吾唯知足

恒例の、【禅文化研究所 日帰りバスツアー】のお知らせです。

紅葉で混み合う京都を避け、今回は滋賀(甲賀・信楽)を訪れます。
京都と同じく歴史深い近江の里で、美しい自然と美術に触れ、禅の寺にて
西村惠信先生のお話を拝聴し、共に学びましょう。
詳細は下記のとおり。

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北村美術館 -漸寒(ややさむ)-

ひっそり佇む北村美術館

-漸寒-
秋の半ばから末にかけての寒さを、次第に、とか徐々に、という意味の「漸(やや)」を使って「漸寒(ややさむ)」といいます。秋の季語でもあります。
禅宗の書物にも、10月頃の事をいうのに、-漸寒-という言葉が使われている事があります。
そんな素敵な言葉を題した展観が、北村美術館で開催中です。

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茶会 於:樂美術館

樂美術館

定期的に樂美術館にて催される茶会に訪れた。
当代が後見をつとめられ、いろいろとお話を聴かせていただけて、楽しく勉強できる茶会だ。
お軸は、表千家中興の祖である如心斎(七代)によるもの。
「茶の湯とは・・・」。この本歌はおそらく、一休禅師の歌かと思う。

  心とは如何なるもの言うやらん
          墨繪にかきし松風の音(一休禅師)

これを、茶の湯とは・・・としていたわけだ。

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岡山 倉敷 美観地区・民芸館・大原美術館

倉敷 美観地区

倉敷の美観地区は、平日ということもあって観光客が少なかった。 まずは倉敷民芸館を尋ねた。 ここを訪れるのは初めてだが、かなり見応えのある所蔵品の数々だった。日本だけでなく世界中の民芸品が集められている。現在は籠をテーマにした展示をされていた。 建物も江戸時代からのものらしく、中庭も印象深い。

倉敷民芸館 中庭

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逸翁美術館 -青蒼の美-

逸翁美術館

実業家、小林一三翁の所蔵品を展示する美術館、逸翁美術館を訪れた。
去る8月13日まで開催されていた、『青蒼の美 -染付のうつわ-』の展示だ。
暑い夏に、中国・オランダ・日本その他の染付の様々な器を眼にするのは、それだけで暑さも少しやわらぐような感覚を覚えた。
毎回訪れて思うのは、逸翁の-とらわれずにお茶を楽しむ心-だ。
ここに来れば、茶道具として作られた千家十職やその他日本の職人によるものはもちろんの事、さらに茶道具に使えそうな世界の雑器に出会える。
旅をすれば、茶道具として使えそうな物を持ち帰ったという逸翁。
私に、「見立て」の楽しみを教えてくれたのは、逸翁だと思う。

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樂美術館

樂美術館

言わずと知れた、千家十職の職家、樂家の美術館。
と言っても、茶道をしない者には縁遠い美術館かもしれない。
なにせ樂焼ばかりが展示されている美術館であるから・・・。
だが、茶を学ぶ者のみならず、誰が来てもいろいろな趣向で我々を楽しませ、学ばせてくれる美術館だ。

現在は夏休みという事もあって、『シリーズ 樂ってなんだろう 親子で見る展覧会 樂焼の七不思議』と題して、展示がなされている。
樂茶碗一つずつに、子供たちでもわかるように説明がされ、しかし、子供対象であるからといって、ごまかさない、丁寧なわかりやすい解説をし、大人でも楽しく勉強できる。
今回の展示でも説明があったのだが、樂家の代々は、3代前の当主が見つけ出し、それをねかしておいた土を使う。つまり、当代が探し求めた土は、当代が使うのではなく、3代後もしくは4代後の当主が使うのだ。今も当代は土を探し求めていらっしゃるという。
また、樂家では、一子相伝でありながら、一切子供にその技法を教えない。むろん、釉薬の調合についてもしかり。

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京都国立近代美術館 生誕120年 富本憲吉展

代表的な作品_羊歯模様の壷

何年か前に実家にあった図録を見て、その模様の精緻というだけではない、暖かさと美しさに見入った事があった。
その後何度か人間国宝展やその他で本物を目にする機会を得て、奈良の「富本憲吉記念館には是非行かなくては」とずっと思っていた。

そんな折、京都国立近代美術館で8月1日から-生誕120年 富本憲吉展-があると知り、さっそく足を運んだ。

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MIHO MUSEUM -和ガラスの心-

夏期特別展_和ガラスの心

信楽にある桃源郷、MIHO MUSEUM(ミホ ミュージアム)を訪れた。
2000年に開催された「白洲正子の世界」で初めてここを訪れてから、幾度も足を運んでいる美術館だ。 信楽の山の中の、はっきり言ってかなり不便な場所にある。しかしその空間の開放感と、企画展のおもしろさ、四季折々の風景に会いに行こうと思うと、少々時間がかかっても行く価値は大いにある。

今回は夏らしく、大山崎山荘美術館に引き続きガラス展だ。
ガラスと言っても、古代オリエントや中国、日本の古墳などから出土した物から、薩摩切子、昭和初期の薬や化粧品のガラス瓶などまで、幅広くガラスの世界を楽しめた。訪れる人の年齢によっては、みかん水やニッキ水のガラス瓶などは子供時代を彷彿させる物であろう。

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相国寺 承天閣美術館

美術館へ

 

烏丸今出川近くにある相国寺の山内に、承天閣(じょうてんかく)美術館がある。相国寺ゆかりの宝物などが展示されている美術館だ。
相国寺の隣には同志社大学もあり、なかなかにぎにぎしい界隈であるが、山内に入ると非常に静かで、町の喧騒はどこへやら。
そんな山内の一番奥まった所にこの美術館はある。相国寺といえば、金閣寺や銀閣寺を末寺として持つ事もあり、その所蔵物には目を見張るものが溢れていた。

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大山崎山荘美術館

大山崎山荘美術館_本館

大好きなの美術館の1つ、-大山崎山荘美術館-を久々に訪れた。
私が好きになる美術館、大切な人を連れていきたくなる美術館の条件として、「元々は実業家や芸術家の邸宅であった」という事が挙げられる。
建築や庭から、住んでいた人の息づかいを感じる事が出来、さらに展示品を楽しめるからだ。
美しい物を一度にたくさん見すぎると、疲れるので良くないが、これでもかというほどの量でなく、ちょうどお腹が一杯になるくらいの展示数で、ゆっくりと楽しめる。

今回は、舩木倭帆(ふなきしずほ)氏のガラスの展示。
私の好きな布志名焼の窯元に生まれた人で、そんな人がガラスの作品を作っているという事で楽しみにしていた。

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