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笠置寺 -京都府相楽郡-




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元弘の乱等により、今は光背を残すのみの磨崖仏(約15メートル)


先日、会期ぎりぎりでかけこんで拝見してきました、解脱上人貞慶展(奈良国立博物館)。
自らを律し続け、弟子の接化に尽くし、死してなお深く尊崇の念を集めたその生き様がよくわかる展観でした。

なぜか今年は特に解脱上人を意識したわけでもありませんのに、800年の大遠忌という記念すべき年であるからか、導かれるかのごとく上人ゆかりの寺を巡っています。

というよりも、最初はこちらの笠置寺、お水取りに興味を持ち、実忠和尚が十一面観音悔過の行法を感得した場所、そして磨崖仏を拝みに訪れたわけなのですが、解脱上人が興福寺を後にし、入寺された寺でもあったわけです。

奈良仏教、大仏造営、東大寺お水取り、木津川沿いの十一面観音、若狭との繋がり。白洲正子著『十一面観音巡礼』を読みながらその地へ赴くと、点だったものが繋がりはじめ、だんだんと線になってきています。面白いものです。

昨年4月に土樂窯・福森雅武先生に取材をさせていただいた時に、「いろいろ実際に訪ねて見てごらん、もっと楽しくなるから」と仰っていただき、そのようにしてみよう!と思い、色々とでかけていますが、漸くぼんやりとわかってきた今日この頃です。さらに楽しくなってきています。
自分の足で訪れる……、尊い事なのですね。

ちなみに解脱上人展。お次は関東!!!神奈川県立金沢文庫にて開催。お見逃し無く!

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虚空蔵磨崖仏
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油日岳 油日神社の御神体 -滋賀県甲賀市-




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あたりの風景に大地、そしてお社、全てにおいて最も美しい神社の一つ、油日神社。

以前参拝した折に、こちらは里宮で、その後にそびえる油日岳が御神体。そして頂上に奥宮が祀られていると知り、是非一度登ってみたいと思っていました。

この、油日岳の山頂に、油日大明神が降臨し、その際大光明を発したとの事。
山頂まで694メートルとありましたので、油断していました……。

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最初は山菜などをみつけては楽しみながら意気揚々と歩いていたのですが、途中から、道が無い……のです。登山をするような山ともまた違う為か、整備されておらず、途中沢登りのような事になっていたり、坂を這い登るような形で、引き返した方が良いのだろうか……との一抹の不安を抱きながら、汗だくになり進みました。

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上音羽の磨崖仏 -大阪府茨木市-




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先日より南蛮づいている友人と私は、かのフランシスコ・ザビエル像(教科書に載っている、皆が知っているあれです)が見つかった隠れキリシタンの里(茨木市千提寺地区)を訪ね、キリシタン遺物資料館にお邪魔しました。

そちらの受付にあった、茨木市の史跡などを紹介した地図に見入ってしまいました。

「磨崖仏が近くにある……」。

これは行くしか無い!と訪れた上音羽の磨崖仏。
車を降りて、いまいち道がわからぬままに、尋ねる人も全くいない中を歩いてゆき、ようやく農作業をしている方に遭遇。

「磨崖仏はどこにあるんですか?」。

「あぁそれならうちの前やわ」。

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なんと御宅の真ん前にあったこの磨崖仏。
幅がおおよそ6メートルもあり、約30体の仏さまが彫られており、「甲戌天正二年十一月十五日」(桃山時代)と刻まれているそうです。
このあたりの村人たちが、“現世があまりにも厳しい為、来世に望みを託し、生きている間に自分自身の姿を石に彫り込んだもの”だそうな。
修行僧などが彫った、京都や奈良や滋賀の立派な磨崖仏も良いのですが、こういった庶民の“思い”が刻まれたものも、またしみじみと心を打つものですね。

ちなみに、ここからもっと山深いところに、絶海中津隠棲の地の石碑があるようでした。やはり足を運んで訪れると、色々と豊かに想像できますね。

余談ですが、磨崖仏のありかを教えて下さったおばさま、「抜きたての堀りたてやから、持って帰り!」と、たくさんの玉ねぎとじゃがいもをくださいました。都会育ちには涙するほどに感激の交流です。

普段は、オーガニック野菜などに多少こだわっている私ですが、このお野菜がどうかなどという事はどうでもよく、愛情たっぷり育てられた野菜は、何ものにも代え難いほどに光り輝いていて、命の有難さを感じ、生きた教えをいただいた感ありでした。

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羽賀寺 -福井県小浜市-




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白洲正子著『十一面観音巡礼』に紹介されており、前々からとても気になっていた羽賀寺にも訪れてきました。
*前回までの小浜市の素晴らしい名刹はこちら(萬徳寺神宮寺明通寺)。

羽賀寺は、真言宗のお寺で、霊亀2年(716年)に、元正天皇の勅願によって行基が創建したとされる古刹です。昔は子院を数多く有していたそうですが、現在は室町中期建立の本堂を残すのみとなっています。

駐車場から歩いて山の中へと入っていき、こんもりとしたお山をバックにひっそりと佇む本堂が現れた時の美しさを、どう表現すれば良いのかわかりません。有難いなぁ……と思うのみ。

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そしてお堂の中へと入らせていただき、十一面観音様と近く対面させていただきます。
十一面観音にも様々な様式のものがありますが、こちらのは正統派美人というのでしょうか、「美しい」のです。
なんと華奢で上品で美しいのか…。と、お顔やすらりと伸びた腕に見入っていましたら、それもそのはず、元正天皇(女帝です)のお姿をうつしたと伝わるそうな。
数々の戦火や天災をどう免れたのか、彩色までも美しく残っているのです。

小浜にはたくさんの名刹が残っています。
お水送り縁の寺、国宝を有する明通寺などの立派なお寺のみならず、このような、時代を経てひそやかに守られて来たお寺にも是非お参りしていただきたいなと思いました。

小浜寺社探訪はこれで終了しますが、また近々小浜には寺社巡りにでかけたいものです。

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温泉と禅僧




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狩野一信画「五百羅漢図 浴室」(増上寺蔵)『日本の美術534』より

ヒット中の映画「テルマエ・ロマエ」をレイトショーで見てきました。
ネタばれはよくありませんので、「面白かった~! オススメです!」とだけ、申しあげたいと思います。

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映画のストーリーとはまったく関係ないのですが、今日は“温泉と禅僧”のかかわりについて。

温泉が病気や怪我に効くというのは、日本人なら誰でも知っていることだと思いますが、実は、それを利用したり、ひろめたりしていたのは禅僧でした。
なかでも有名なのは室町時代の曹洞宗の禅僧の源翁心昭で、いろいろな場所で在地の神様(山神や竜神)に引導(授戒)をおこない、その返礼で、寺を守護してもらったり、泉や温泉を出してもらったりしたと伝えられています。
源翁さんが開いた温泉として有名なのは、熱塩温泉(福島県耶麻郡)です。

禅僧の温泉好きは、重要な文学作品を生み出したことでもまた知られます。
明応9年(1500)5月5日~23日に有馬温泉で湯治していた夢窓派の禅僧の寿春妙永と景徐周麟との間で交わした聯句の集成が「湯山聯句」です。またそれに一韓智■(コウ)が注をつけたのが「湯山聯句抄」という作品(抄物)になります。

室町時代の京都にいた五山僧にとって、もっとも親しみがあった温泉は、有馬温泉だったようです。

「湯山聯句抄」には「垢を洗い、病を治さうとてかと云に、いや、元来法身は清浄なれば、洗ふべきの垢もないぞ。治すべき病もないぞ。さるほどに、今湯に入るは、この無垢を随分至極と思ひ、無病を至極と思ふ、この心を洗ひ去けんとてあるぞ」とあります。

当時の禅僧の一般的な考えかはわかりませんが、「元来、法身は清浄なのだから、洗いおとすべき垢や治すべき病はない。無垢や無病を当たり前だと思う心こそ垢がついて病んでいるのだ」と一韓は述べています。

「無垢や無病を当たり前だと思う心こそ垢がついて病んでいる」とはなかなかおもしろい発想だと思います。現代人のわれわれにも何かしら参考になるかもしれませんね。

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選択した世帯の過去帳を印刷する方法 -擔雪II法務管理-

 

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宗教法人管理システム「擔雪II法務管理」では Ver 1.32 より、一覧で選択した世帯の過去帳を印刷する機能を追加しました。
従来は、過去帳から「★一括設定」で対象となる世帯を選択して印刷という手順が必要でしたので、今回のバージョンアップによって、より簡単に印刷できるようになりました。
それでは、一覧で選択した世帯の過去帳を印刷する手順をご紹介します。

1.法務管理メニューの「名簿・台帳」タブにある「世帯帳」をクリックし、世帯帳一覧を開きます。

 

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226




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226というタイプの真空管。直熱型の三極管で、フィラメントの定格電圧は1.5V。「並四(なみよん)」というタイプのラジオに使われていた。プレートの二重丸模様が特徴的。

以前紹介した旧式の5球のラジオは電池を電源としていたが、その後充電が面倒な電池に代わり、電灯線(コンセント)を電源とするラジオが普及する。多くは真空管を4本使い、「並四」の略称で呼ばれ、戦前から戦後すぐにかけて普及型のラジオの代表だったという。

上の真空管は、並四のなかでも初期のタイプのものに使われていたという。その配線は結構単純で、部品さえ吟味して揃えたら、私のような素人にも修理して何とか鳴らすことが出来た程度のものである(時間はものすごくかかりましたが)。

余談だが、このころのラジオはとても重い。巨大な電源トランスに結合トランスが2つ、電源回路のチョークコイルと、要するに金属の塊が4つも入っている。さらにマグネチックスピーカーには大きなU字型磁石が……。

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南蛮にひかれて




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元々キリスト教関連のことには関心ある親友が、やけに南蛮南蛮と言って南蛮づいているので私も関心をそそられて、大阪は中津にあります、南蛮文化館と、神戸市立博物館における-南蛮美術の光と影-を訪れました。

訪れる数日前に研究所の資料室でふと目に入った、淡交社の『なごみ』(いつもお送りいただき、誠にありがとうございます)。なんと、ここに南蛮特集が掲載されていたのでした!
さっそく読んでみた所、なんとも面白く…。中でも、「南蛮人の証言」と題して、南蛮人達が日本人や日本文化をどのように思っていたのかを紹介するページが。その中の一つに、

「日本の禅僧は、もっとも理知的で、さかんに論争を挑んだ。それを論破することは容易ではなかった」
コスモ・デ・トルレス(司祭)

と、あったわけです。
「ふふーん、そりゃあそうであろ」と鼻高々(注:私は禅僧ではありません。研究所の一職員、一禅ファンです)になったのですが、ちょっと待てよ…。「容易ではなかった」という事は、その後に「それでも、論破したのであった」が続くのだろうか?と、何となく面白くなかったり……。
と、どうでもいい事をごちゃごちゃと考えている、とてもつまらなく、小さな私なのでした。どちらがどちらを論破したとか、上か下かなんて、どうでもいい事ですね。
いかんせん、ここに禅僧が出て来ているのは非常に興味深い事です!

現在では、禅文化研究所の事業として、禅僧とヨーロッパの修道士・修道女との交流(東西霊性交流)が行なわれています。
変わっているかのようで、実は案外、当時と現在のお互いの印象は、根本的には変わっていなかったりして……と思う私です。

さて、神戸市立博物館での大々的な展観(6/3まで)も素晴らしかったのですが、私は中津にある南蛮文化館をいたく気に入ってしまいました。こちらは5月と11月にしか開館していませんので、どうか皆様お急ぎ下さい!!!5月を見逃すと、お次は11月にしか開館しないのですっ!!
茶を嗜む武将か有力商人茶人のキリシタンが作らせたのでしょう。文化館にあったクルス文様の茶碗などが妙に斬新で古さを全く感じさせない事にいたく感動し、私も窯元の友人にお願いしてクルス文様茶碗を作ってもらい、いつか友人達と南蛮茶会など催したいもの……と、妄想はとどまるところを知らないのでした。

それにしましても、『なごみ』には毎月興味深い情報満載です。以前には、全く知らなかった、愛媛の臥龍山荘をこちらの月刊誌にて知り、お邪魔しました。カラーページも多く、解説もわかりやすく親しみやすい月刊誌です。 オススメします。

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小満 ―二十四節気―




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本日は、二十四節気の第8番目、小満。
国語辞典によると、「草木が茂って天地に満ち始める」という意。
そのとおり、山々は若葉の新緑で青々としてきており、秋に蒔かれた麦は穂をつけはじめてきています。
梅には青梅が鈴なりになり、収穫の時を迎えようとしているようです。
花が遅いと実がよくなると言われますが、今年は梅の開花がだいぶ遅かったこともあり、確かに梅の実は豊作ではないかと思われます。

『諸橋大漢和辞典』によると、「小満動三車」(小満、三車を動かす)という言葉があり、中国は蘇州地方の諺のようです。小満の日に三車(糸車・油車・田車)を動かせば、その年は良いということのようです。
わかりにくいですが、糸車とは糸つむぎをするもの。油車というのはよくわかりませんが、中国の俗語によると、食物油を搾るための道具で油を搾るもののようです。田車というのは水田で使って田植えしてすぐのころに、根の浅い雑草だけを取ることのできる道具です。これらの道具を、小満に使うと、よい一年が迎えられるということでしょうか。

青々とした自然の中で、生活の源となるものを作り始める頃、とても気持ちのいい季節ですね。


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明通寺 -福井県小浜市-




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国宝の本堂

このところ度々お伝えしております小浜日記です。今回は、本堂・三重塔共に鎌倉時代中期の創建で、いずれも国宝として名高い明通寺。
真言宗御室派の寺院で、806年、征夷大将軍坂上田村麻呂が蝦夷征伐に際して創建したと伝えられているそうです。

何の因果か、台風なみの嵐の中の拝観となりました。お堂の中にいましても、外の風雨の激しさがわかります。「長い間、どのような厳しい天候にも耐えて来てくれたのだな~……」と。
このような日に拝観するのも、いつもとは違う想像ができて良いものですね。古より人々の信仰を集めた有難い寺院が、今なおこのように拝観できる事がひときわ心に染み入り、感謝の念も増すというもの。



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国宝 三重塔

こちらの本堂と三重塔の美しさは格別。長い階段を上がってその先に本堂と塔が見えると、もう言葉になりません。

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白隠さん「布袋図」せんべい




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6月24日(日)まで名古屋の愛知県立美術館で行われている「魔術/美術 幻視の技術と内なる異界」展にいってきました。
美術館のHPやチラシなどにはあまり触れられていませんが白隠禅師の絵も以下の4点が展示されています。「吉田猿猴図」「寿老人図」「五位鷺図団扇」「布袋図」。

展覧会にお越しの方は、ぜひ美術館のミュージアムショップにもお立ち寄りくださいませ。白隠さんの「布袋図」をモチーフにした「愛知県美術館オリジナルせんべい」が売られています。

禅の布教のためにご尽力された白隠さんですからせんべいにされてお怒りになるとも思われませんが
いただくときに一瞬躊躇してしまうような気もしますね(笑)。
名古屋栄にある美術館です。お近くの方はぜひお立ち寄りくださいませ。

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せんべいの焼き印


開館20周年記念 愛知・岐阜・三重 三県立美術館協同企画No. 6
「魔術/美術 幻視の技術と内なる異界」展
会期:2012年4月13日(金)~6月24日(日)
会場:愛知県美術館 (愛知芸術文化センター10階)
開館時:10:00-18:00(金曜日は20時まで、入館は閉館30分前まで)
休館日:毎週月曜日
観覧料:一般・当日900円(前売・団体700円)
    高校・大学生当日600円(前売・団体400円)
    中学生以下無料

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仁徳天皇陵と堺市博物館 -大阪府堺市-

小学校の時に社会見学などで訪れた場所。当時はさほど興味なく、無理矢理な感が否めなかった場所なども、大人になってから再度とてつもなく興味を抱いたりする事がありませんか?

私の場合、小学生なりに埴輪や銅鐸に興味は持っていたのですが、その思いも薄れ、すっかり忘れていた今頃になって、古墳巡りをしたい思いに駆られています。

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そんな折、堺に訪れる機会がありましたので、まずは…と、仁徳天皇陵を拝みに。
堺市役所の21階展望ロビーからの眺め。
憧れはもっと上からあの“形”を拝む事ですが、それでもこんもりと茂った木々に覆われた、古代のやんごとなき人のお墓には、ロマンがありますね。
その昔、堺の港へと辿り着いた外国人がまず目にするのがこの仁徳天皇陵を中心とする古墳群で、横からみたそれはまるで要塞のごとく、日本の威勢をしらしめる事になったのでしょう。
本当に、想像をかき立てられますね。

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そしてもう一つ魅惑的な展観が。布好き、特に更紗好きにはたまらない珍しい展観です。堺市博物館の企画展、「和更紗-堺・京・長崎-」。
外から入ってきたものを、何でも日本風にして取り込んでしまう日本人のおおらかさ、豊かさに感心する事しきりなのでした。インドやインドネシアとはまた違う方法で染められた日本風の更紗。色も図柄もとても魅惑的でした。
展示数は少ないのですが、布好きな方には特にオススメします。
また、堺市博物館では、古墳時代からの堺の歴史などを時代ごとに垣間見られるような常設展示があり、少し足を延ばして訪れたこの町で、随分と楽しくお勉強させていただいた次第です。
皆様も是非!

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萬徳寺 -福井県小浜市-




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書院前から望む庭園


4月終わりに訪れました小浜市。
先日ご紹介しました神宮寺の次は、国指定の名勝庭園があります、萬徳寺です。
元は天台宗であったのが、室町時代に真言宗に改宗されたそうで、その後は小浜藩主の休憩所の役割も担った為、書院もどこか瀟洒な雰囲気、また、そちらから眺めるお庭の美しさは格別です。

金剛界曼荼羅を現すこの庭園、中央には真言密教の本尊、大日如来がおはし、そこを中心として広がるお庭の様子はまさに宇宙の真理を現すかのごとくなのでした。地形もうまく利用されていて、風景に溶け込んでいるかのようなお庭なのです。

おそらく現在は、若葉も青々とそれは眩いばかりで、つつじの花も美しく咲いている事でしょう。
季節ごとに愛でたくなるようなお庭で、個人的にいたく気に入りました。
小浜には、魅惑的な寺社ばかりです。次回につづきます。

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書院
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花見




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久松真一先生

久しぶりに親友たちを誘って御所の花見をした。桜の時期はとっくに終わっていたけれど、それでも花はあちこち咲いていて、おまけに雨が降っていたので、静かでほんとうにすばらしい午後だった。親友の一人は以前にも紹介した坐禅三昧の人だ。もう一人は深い学識を備えた宗教学者だ。私たちはただひたすら御所を歩いた。ものすごい緑だった。三昧氏は、景色をめでるというより、景色のなかに溶けてしまいそうだった。

歩きながら、ふと、以前に柳田静江先生から聞いた話を思い出した。妙心寺山内の春光院の離れに宗教学者の久松真一先生が住んでおられたころのことだ。久松先生は京大の教え子たちにも必ずお茶を点てて、もてなされたという。あるとき、茶室で何人かの生徒たちにお茶を点てられた。当時その一人で、とりわけ禅の修行に純一だった北原隆太郎先生が、お茶を取り込んで、まさに頂かれようとした時、久松先生が、「そのお茶を飲めますか」と言われたのだそうだ。咄嗟に窮した北原先生は、お茶を頭からかぶってしまった。久松先生は驚いたふうもなく、次客の学生にお茶を点てられたという。

真に窮する人は静かだ。三昧氏の傍らを歩きながら、当時の北原先生が一緒におられるような気がした。三昧氏は、別れるときに「以前と同じ、真っ暗です」と笑って、帰っていった。

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立夏 ―二十四節気―

まずはお詫び。今年の立夏は5月5日子供の日で既に過ぎ去っておりまして、5日もたってから、立夏のことを書くのも憚られますが、先日書いたように連休中には授戒会に行っておりましたため、うっかり失念しておりました。まぁ、次の小満がくるまでは立夏の最中だということで、お見逃し頂ければ幸いです。

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さて、はや立夏です。夏を感じる季節になりました。水田に水が張られると、今までひっそりしていた田んぼでは蛙の大合唱が始まります。水田の上を滑空するツバメの親たちは、せっせと虫を捕まえてきては、雛に与えています。また筍のおいしい季節でもありますね。

この水田の上を風がわたって、涼風がやってきます。毎朝通勤で走る水田の中の畔道を自転車で駆け抜けると、まるで湖面を滑るように走っているような気分にさえなり、心も清々しく感じます。
カラリと晴れた青空、そこに吹く一陣の風。風に吹かれながらも、その風といっしょになって、何かを考えることさえも忘れ、とらわれることもない。つねづね、そんなふうに、心を自由にして生きていけたらと思います。

禅語にも「薫風自南来」という言葉が禅語があります。こちらも読んで頂ければと思います。

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鎌倉国宝館「鎌倉の至宝 -国宝・重要文化財-」展




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ご存じの方も多いと思いますが、神奈川県鎌倉市では「武家の古都・鎌倉」としての世界遺産登録をめざして、活発な運動が現在行われています。
「鎌倉幕府を樹立した武家は、政治機構の整備、権力強化の過程において、禅宗を中核とする中国文化を積極的に取り入れ、“武家文化”を生みだした」として、大本山建長寺・大本山円覚寺・寿福寺・瑞泉寺が世界遺産の構成資産に選ばれています。

鎌倉国宝館・神奈川県立歴史博物館・神奈川県立金沢文庫でも、それを推進する展覧会が今年度はいろいろと予定されています。
GWに、建長寺・円覚寺・寿福寺・瑞泉寺の寺宝が多く寄託されている鎌倉国宝館の「鎌倉の至宝 -国宝・重要文化財-」展を見学してきました。
国宝「蘭渓道隆墨跡 法語規則」(建長寺蔵)をはじめ、建長寺・円覚寺・寿福寺・明月院・帰源院・浄智寺・鎌倉国宝館がご所蔵の重文の仏像・肖像彫刻・絵画・工芸品・墨跡が所狭しと並び、圧倒されつつ、会場を何周もしてしまいました。

同時開催の平常展示「鎌倉の仏像」展もガラスケース越しではなく、直接間近で拝見できるのがありがたく、なかでも以前から一度じっくり、と思っていた、
建長寺蔵「千手観音坐像」を念願かなってすぐ近くから拝見することができました。

鎌倉国宝館「鎌倉の至宝 ―国宝・重要文化財―」展 5月27日(日)まで
〒248-0005 神奈川県鎌倉市雪ノ下2-1-1[鶴岡八幡宮境内]
Tel:0467-22-0753 Fax:0467-23-5953
開館時間:午前9時~午後4時半(入館は午後4時まで)
休館日:毎週月曜日
主催:鎌倉国宝館(鎌倉市教育委員会)
観覧料:一般500円(350円)、小中学生200円(140円)



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授戒会 「慚愧懴悔六根罪障」






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ゴールデンウイークは如何過ごされたでしょうか。
私は縁あって、永源寺派のお寺の三日間にわたる授戒会で司会を仰せつかり、GW後半は82名の戒徒の皆さんと一緒に懴悔の毎日を過ごしておりました。

実は一年半前にブログ禅でも書きましたが、別のお寺での授戒会で司会をしたために、それを買われて(?)か、またせよとのこと。今回のお寺は私の大学時代の同級生が住職をしていることでもあり、閑栖同士も同級生とのことで、謹んで承ることにしたのです。
一年半前にやったこととはいえ、忘れていることも多く、他の役職の和尚さんたちと入念な打ち合わせをしつつ厳修しました。
永源寺派の寺院ですので、当初、戒師に仙巌室篠原大雄老師に御来駕いただくことになっていたのですが、昨年秋に遷化されてしまいましたので、その法兄にあたる建長寺派管長・柏樹庵吉田正道老師に遠路をお越しいただき、五戒を授けていただきました。

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毎日、提唱や法話を聞き、三千仏の名号を唱えて礼拜し、お昼は一堂に精進料理のお弁当を食べ、正座ばかりで足が痛い三日間を過ごした戒徒さんたちは、最終日、登壇の儀式により戒脈をいただくと、感激のあまり涙を流している方も少なくありませんでした。
説経師様によると、古来より、授戒会の最後に戒徒さんが感激の涙を流されたら、その授戒会は成功。またそうならなければ失敗と言われているとのこと。また管長猊下には、今まで数回の授戒会に出たが、今回の授戒会が一番よかったとお褒めもいただきました。




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死んでから戒名をもらうことを当たり前のように考えている方にはわからないでしょうが、こうして授戒会に参加し、自らの行ないを慚じて懴悔し、三千仏に帰依していただいた戒名はその重みが違います。
戒名料がもったいないから戒名なんていらないとか、「雲黒斎家元勝手居士」などとふざけた名前を自分で付けておいて戒名などと言っている方もいますが、こうして授戒会で戒師様から戒を受けていただくのが本来の戒名なので、間違えなく。
ちなみに臨済宗では、戒名をお持ちでない方のお葬式(あるいはお通夜)で、最初に授戒会に準じたことをして、戒名を授けています。

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お水送りの寺・神宮寺 -小浜市-




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本当は人生初の東大寺・お水取り拝観の前に、お水送りの行事に参加してみたかったのですが叶わなかった為、今後参加する時の参考に、若狭小浜の神宮寺さんにお参りしてきました。

本堂には本尊の薬師如来、脇侍仏、そして十一面千手観音がおはします。向かって右側には、神号の軸もあり、やはり今もなお、神仏混交のなごりを色濃く伝えるお寺なのでした。

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お水送りでは、この、神宮寺境内にあります閼伽井戸(あかいど)で汲まれた御香水が、



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神宮寺から1キロほど歩いた遠敷川の鵜の瀬にて流されます。

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僧侶のためのリーガルマインド

多様化し混迷化する現代社会が抱える諸問題は、宗教と無関係ではなく、僧侶自身が広い視野に立って物事を判断する能力が求められている。
臨済宗相国寺派の教化活動委員会では、これまで様々な講師を招き、宗教の立場からあらゆる社会問題を考える研修会を開催してきた。

この4月から始まった研修会は、東京基督教大学特任教授の櫻井圀郎氏を講師に迎えての「僧侶に必要なリーガルマインド、僧侶のための法律知識」で、宗教者に必要な法律知識を学ぶ全16回の講座である。
第1回は総論ということで、東西の法意識の違いや、宗教と法律の関係などについて、かなり駆け足の講義ではあったが、ポイントは押さえられた興味深い内容であった。2回目以降は各論に入って、より身近な問題がテーマになってくる。
日本人の法律嫌いは世界的に有名だそうだが、法人である寺院を管理・運営する僧侶にとって今後、法律知識は必須になってくるだろう。

今回の研修は広く他宗派、他宗教、そして一般の方々も参加でき、テーマごとの受講も可能である(受講料無料)。


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季節の大地の恵み




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春、芽生えの季節。
山からの恵み、タラの芽やこしあぶらを天ぷらにしていただきました。
新鮮な香りとその味に、春のエネルギーがぎゅっと詰まっています。

そして、大量の山椒の葉を、土鍋で佃煮に。台所中がなんとも言えない良い香りに包まれました。
美味しさはもちろんの事、作っている時から幸せ。

山椒の花は、御存知、土樂窯・福森雅武先生の『土樂食樂』より、かしわと花山椒(葉も入れてますが…土樂さんでは本当に花だけでなさるようです)の鍋でいただきます。

皆さんも是非とも、季節と共にある食卓を!
有難い春の恵みに感謝するひとときでした。

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光明寺 二王門 -京都府綾部市-




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4月22日、まだ雪が残っていました。

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599年、聖徳太子による開創と伝えられる光明寺です。本堂と二王門は少し離れた場所にありますが、せっかくの綾部行きでしたので、暴風雨で折れた枝木の舞う中訪れてみました。
人里離れた山中にあるこの寺院。昔は大寺院だった事が偲ばれます。役行者さんが修行したとも伝えられているそうな。
ですが、明智光秀の丹波攻めで焼き討ちにも合い、衰退したようです。

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