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托鉢雲水へのお布施の仕方

 

130531.jpg臨黄ネット 栞いろは歌より

京都に引っ越してきて初めて遭遇した事の一つに、"雲水さんの托鉢"があります。
これは恐らく、京都や鎌倉やその他、修行道場が近くにある地域ならではの光景かと思います。

意外に京都に生まれ育った人でも知らないのが、雲水さんの出す掛け声。実は、「ほーーーーーぅ(法)」と言っています。そして、京都に住まう多くの方が、小さな子が言う事を聞かない時は、「おーのおっちゃん来るよ」と、まるでなまはげのような扱いをしている事もリサーチ済みです。
正直、雲水さん達は若い方が多く、おっちゃんではないと私個人的には思うのですが......。あの低く腹から出す大きな声が、なまはげや、おっちゃんを連想させるのでしょうか。

そんな事はさておき、托鉢をする雲水さんにお布施をさせていただきたいけれど、方法がわからないのでいつも見送ってしまう......という方の為に、お布施の方法をご紹介です。実は私もわからず、研究所の上司に聞いてから実践しましたので、知りたい方はいらっしゃるのではないかと思いました。

1.托鉢の雲水さんの声が聞こえたら、お布施を用意し、合掌しつつ、近寄ってこられるのを待つ。
2.雲水さんが気付いて、自分の前に立たれたら、互いに合掌一礼。
3.雲水さんが首から下げている看板袋の前垂れ(袋の蓋のようになっていて僧堂名が白く書かれている部分)を自分の前に出してくださったら、その上にお布施を置く。
4.雲水さんが前垂れに置かれたお布施を、滑らせるように袋の中にしまえば、また互いに合掌一礼。

無言のうちにこれらの事を終えます。
勘違いしてはならないのが、布施というのは、してあげているのではなく、「させていただいている」「功徳を積ませていただいている」という事。我々(在家の者)が、財施をさせていただいているのです。そしていつか雲水さんは和尚になって法を説かれ、法施となって私たちに戻ってくることでしょう。
六波羅蜜の一つ。私にとって、分かち合う事の尊さを学ばせていただく朝は、なんとも清々しいものなのです。

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天徳院 -金沢市-

 

130530-1.jpg金沢市内にあります曹洞宗の名刹、天徳院を訪れました。
前田家3代利常に嫁いだ珠姫(2代将軍徳川秀忠の娘)の菩提寺です。同じ頃に建てられた、高野山の天徳院も有名ですね(同じく珠姫の菩提寺)。

総門より本堂へは廻廊が続き、曹洞宗によく見られる建築形式でした。

130530-2.jpgなんじゃもんじゃの木(一葉たご)の花がちょうど満開との事(下写真の白い花をつけた木)。立派なお庭も拝見させていただけました。

130530-3.jpgよくよく手入れされた庭、掃き清められた境内に、旅先での清々しい朝を迎えられました。

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日吉大社 -滋賀県大津市坂本-

 

130529-1.jpg滋賀県大津市は坂本。このあたりの空気が大好きです。
遠くから遊びに来た友人にも味わってもらいたく、日吉大社を参拝しました。

130529-2.jpgなんとたまたまですが、この日(5月26日)は、山王礼拝講の日。
比叡山の僧侶達が日吉大社にて執り行なう法要の日であったのです。

日吉大社の起源はおよそ2100年も前に遡り、比叡山の神様をお祀りした事に始まりますが、その後に比叡山にやってきた最澄は、日吉大神に守護を願われたのだとか。
以来、日吉大社と比叡山延暦寺は、切っても切れぬ関係にありましたが、明治の神仏分離により区別される事となり、我々も、「寺は寺、神社は神社」という意識を植え付けられてしまいました。

130529-3.jpgそれでも、この神仏混淆の伝統を守ろうという動きがあったのか、恐らく明治期にはなされなくなったであろう法要が、いつからか復活し、今では毎年行なわれているようです。
神社のご神殿に多くの僧侶の御姿。有難いものを拝見させていただけました。

日吉大社のHPによりますと、山王礼拝講の起源には下記のようなお話があるのだとか。興味深いですね。

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言いつたえによりますと、万寿二年(1025)に神体山の八王子山の木が一斉に枯れ、神職がご真意を尋ねたところ、「修練を怠り武装する僧を見て私は京の北にある巌に隠れたいのだ」とのお告げがあり、それを僧侶の方に伝えたところ、山僧は神慮を恐み法要を修したそうです。
このことが起源となり、今日まで神前で法華八講の法要がこの日に営まれております。

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130529-4.jpgこの日はさらに、金大巌(こがねのおおいわ)にも参拝して参りました。
山の上から見る琵琶湖の美しきこと。良き参拝となりました。

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-花の風姿- 金沢能楽美術館

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恐らく、金沢にゆかれた方はほぼどなたもが立ち寄るであろう、現代美術館としては異例の(と言うとおかしいのでしょうか…)人気を誇る、金沢21世紀美術館
そのお隣に、ひっそりと佇むのが、金沢能楽美術館です。正直、現代アートというものを心底楽しむ事ができない私には、とても落ち着く美術館です。
今回は“藤”の花にちなんだ能装束などが飾られ、それは見事な展観なのでした。

能楽は武家の嗜みであるからして、金沢にて盛んであった事は何の不思議もありません。初代利家は、秀吉の影響もあり金春流を贔屓にしていたそうですが、五代藩主綱紀が、五代将軍綱吉の影響を受け、宝生流の能楽を奨励した事から、加賀宝生として、現在もなおその伝統を守り続けています。
金沢の地では、専業の能役者、それに準ずる家柄のみならず、町人が兼業として能楽をたしなむ町役者の存在があり、手厚く保護されたのだとか。茶の湯に感じた身近さと同じく、能楽に関しても、庶民が鑑賞できるような機会も多々あり、次は能楽鑑賞の為に金沢を訪れたいと思いました。

こういった文化芸能が、ある特定の人のみによって保護されたり楽しまれたりするのではなく、広く一般に染み渡っている事が、加賀の三太郎(鈴木大拙・貞太郎、西田幾多郎、藤岡作太郎)など、日本の文化や思想を後世へと引き継ぐのに重要な役割を果たす人物を生み出す事へと繋がるのであろう……と感慨深く、美術館を後にしました。

*追記
以前お邪魔した時には無かったのですが、今回訪れてみますと、能装束の着装コーナーができていました。舞妓さんの疑似体験には全く興味の無い私も、これには足を止めざるをえず……。なんと面まで自分の好きなものが撰べるのです。般若ですとあまりに似合いすぎる(というか、そのままです)ので、普通に小面をつけさせていただきました。初めての体験でしたが、なんと視界の狭い事。能役者が舞台で舞うことの苦労をほんの少しでも味わう事ができました。オススメです。

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藩老本多蔵品館 -金沢市-

 

130527.jpg安土桃山~江戸時代にかけての歴史に興味があり、茶道をしているのであればなおさら……“五万石の壺”の異名を持つルソン壺、“村雨の壺”を拝見しに、加賀八家(1万石以上の禄高を持つ加賀藩の重臣)筆頭でもある、本多家の蔵品館を訪れました。

加賀本多家の祖である、本多政重(徳川家康の重臣、本多正信の次男)が、主君・前田利長から褒美に下賜されるはずであった五万石を固辞した変わりに拝領したのがこの壺で、このエピソード故に、五万石の壺と呼ばれるようになったそうな。

むむー(これが五万石の壺かぁ……)。フィリピン(ルソン)には行った事がありませんが、以前訪れたミャンマーで、水がめとして村人達が自由に水を飲めるように使われていた壺(甕)や、家の軒先などに置かれていた壺が、まさにこんな感じでした。なんでもなかったであろう壺が、日本の歴史に名を残す武将達の手から手へと渡り、最後には五万石の出世。
壺自身、思いもよらなかったことでしょう。物の“価値”とは面白いものですね。

この本多家の屋敷跡、今は“本多の森”と呼ばれ、下記の施設が点在しています。加賀百万石の地は、前田家のみならず、有力な家老の影響も色濃く現代に残し、住む人、訪れる人々に今なお多大な影響を与えているようです。

 

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鈴木大拙館 -金沢市-

 

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私の中では、兼六園よりも、21世紀美術館よりも、ここ最近では“金沢”といえば、“鈴木大拙館”に訪れるのが一番の楽しみとなりました。

前回訪れたのは、雪のお正月でしたので、今回の新緑の頃もまた新鮮なこと。時間を気にしない旅であれば、いつまででも思索空間に坐っていたくなるような……。

展示品に、(時にうるさく感じるような)解説が無い事も、お気に入りの理由の一つです。感じる前に、誰かによって書かれた感想や意味を頭に入れてしまえば、そのように見てしまう(あるいは、そのようにしか見えなくなる)わけで……。
解説が無いのを不親切と感じる方がいらっしゃるかもしれませんが、これは本当の意味で、非常に親切な事だと私は思っています。

130524-2.jpg裏庭からのプロムナードをゆけば、松風閣庭園が。そしてお隣の敷地へゆけば、そこは中村記念美術館。こちらにもお邪魔しましたが、立派な茶室があり、翌日の茶会の準備をされていました。

兼六園でも立派な茶室にて釜がかかり、大勢のお茶人さんがお見えでしたが、今回の旅では、お茶(茶道)がとても身近にある印象を受けました。
百万石の城下町であった事、先人達が残したもののみに依存し、甘んずる事なく、今を生きている人々が、伝える努力を怠らない所にこそ、現在の金沢の文化度の高さを保ち続けている由縁があるのだな……と、感じ入りました。

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新緑の兼六園

 

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新緑の金沢を旅してきましたので、少しずつご紹介したいと思っています。
まずはお決まりの兼六園。
どの季節に来ても、加賀百万石の栄華とはまさにこの事か......と思わされるようなスケールの大きさ、隅々までゆき届いた美意識には感嘆してしまいます。

今回、金沢の庭をいくつか尋ねてみて、専門的な知識は無いのですが、改めて、「あぁ、庭が好きだな......」と思うのと同時に、他地域の庭を鑑賞する事によって、より一層京都の庭がわかってくる(と言うとおこがましいのですが)ような気がして、これは新たな発見なのでした。
そのものがわかりたいからと、そのものばかりをみていたところで、わかるというものではないのですね。

この度は、人生で3度目の兼六園でしたが、毎回気になるポイントは違っていて、今回は"海石塔"。
2つの説があるようですが、私個人的には、加藤清正公が朝鮮出兵にて持ち帰った石塔だという説に一票。
......と言いますのも、京都の寺院や庭にて、加藤清正公が持ち帰ったものとされる石塔や石などによく遭遇しますが、それがどれもこれもなかなかに良い形(なり)をしてるからです。
たまたまかもしれませんが、「この石は?」とお尋ねすると、清正公が...というお返事が多かった記憶があります。

今後は庭鑑賞の折にも、"石"に注目していきたい今日この頃です。

弊所でも、禅の庭を前に坐禅、その後に皆で庭や坐禅の感想を分かち合い、最後に専門家からお話を聴くようなお勉強会ができたらな......と考え中です。


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『知日』 発刊

 

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中国に、日本のことを紹介する専門誌があります。その名も『知日』。この度4月に発刊された号は、嬉しい事に、“禅”特集。

130522-2.jpg弊所の『禅文化』215号 技を訪う―仏具木地師 加計穣一』を転載したいとのお話をいただきましたので、掲載していただき、冊子をお送りいただきました。

130522-3.jpgなんとも様々なものを取材し、掲載されています。
栄西さんら祖師方も密教を学んだからでしょうか?!高野山&比叡山にはじまり、禅文化として、茶・花・香はもちろんんこと、永平寺の修行、精進料理、禅の庭、禅的な映画や書物、剣道、金沢の鈴木大拙館や滋賀の佐川美術館(禅的建築ということでしょうか)まで。

なぜかニュースでは、不穏な事ばかりが取り上げられますが、実際にはこのような冊子が創刊され、人気を博しているという事実。何が真実かは、信頼に足ると思える様々な情報ソースを持たない事には、わからないものですね。

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最終ページには、流行語などをお勉強するコーナーまであり、「ワイルドだろお」や、「ウィキる」などの言葉が並び、用例として、「知らない言葉はとりあえずウィキろう」とありました。「おげしい」については、私は聞いたこともありませんがどういう意味なのでしょう。御存知ですか?
逆輸入でお勉強ですね。

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開館30周年記念名品展 -野村美術館-

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新緑の美しい南禅寺界隈にあります私設美術館。野村美術館を訪れました。
現在、開館30周年記念の名品展が開催中。

何年にも亘り、何度も足を運んでいますと、同じ名品に遭遇する機会が度々得られます。
「前にもう見たし今回はいいか……」というのではなく、前の自分と今の自分は変わっているわけですから、また見方も変わるもので、そんな風に回を重ねて見てゆくと、より一層、色々なものごとに対する理解も深まってゆくような気がしています。

常に自分を写してくれるような名品の数々。今のお前はどうなのかと問われているような気がして……。名品を鑑賞して自己をみつめる休日もまた、良いものです。

新緑の京都の山々は眩いばかり。是非お運びください。6月2日まで。

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ベランダ花便り

出勤前。
五月晴れの空のもと、少しの時間でも花と触れ合う時間を取ると、良い一日のスタートが切れます。
たとえ小さなベランダの一角でも、毎日の植物の変化には一喜一憂。

暖かくなるにつれ毎日ぐんぐんと蔓を伸ばして来たジャスミンが、甘い香りを漂わせて咲いたのを皮切りに、以前旅した小豆島のハーブ園で購入したシナモンゼラニウム(とても良い香なのです)が開花。小さいながらも存在感抜群。なかなかに強烈なピンクです。

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そして、多肉植物ばかりを寄せ植えしたこちらからは、にょきにょきと茎が伸び、黄色い花を咲かせた子をご紹介。鈴なりで、自然の形とはどうしてこうも美しいのかと思わされ、根本に近い花から順に開花してゆく姿を毎日うっとりとしながら眺めています。

130517-2.jpg最後に、あまりに可憐な山紫陽花の鉢植えが最近仲間に加わりましたので、山から少し分けていただいたガマズミと一緒に、少し剪定して古染付の蕎麦猪口に。

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スマホアプリ「ビワイチ」

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禅文化研究所の事業としてリリースしているスマートフォンアプリ「京都禅寺巡り」を製作した、日本システム技術(株)が、先月、「ビワイチ」というAndroid版スマホアプリをリリースされました。またつい先頃、iPhone版もできたようです。どちらも無料で、Android版は、Google Play Storeから、iPhone版はApp Storeから入手できます。
これは滋賀県の観光情報サイトのびわこビジターズビューローとの製作ですが、「京都禅寺巡り」に盛り込まれた機能の一部が利用されています。

メニューから「近江建物探訪」をタップすると、滋賀県全域の地図が確認でき、登録されている有名な社寺の目印が表示されています。そこから、その社寺の詳しい情報を見ることができ、訪ねてみたいと興味がわきます。

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ほかにも、京都禅寺巡りにも搭載されているスタンプラリー機能もついています。名だたる寺社を訪ねた際に、GPS機能によって、スタンプマークを取得することができるわけです。

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イベント情報も不定期に配信されてきます。滋賀県を訪ねるときに、便利な情報ですね。

2013-05-10-08-4.jpg歴史的にも、また自然を愛でるにも楽しむことができる滋賀県を旅するときに使ってみては如何でしょう。
Cafe & Sweets のお店情報も盛り込まれていて、近江の旅に使えそうなツールですよ。

 

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叡山すみれ 命の循環

小さきものにも確実に存在する、命の循環。

130516-1.jpg我が家の小さなベランダでも、精一杯に咲き、可憐な花を楽しませてくれた叡山すみれ。

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花が終わると、ぷっくりと種を抱えるようになります。
いつはじけるかな?!と楽しみに待っていますと、昨日の朝、はじけていました!なんとも豪快なはじけっぷりです!より遠くへと種を飛ばそうとするのですね。
友人たちにも、種をもらってもらいましょう。

130516-3.jpg今日是非ともご紹介させていただきたかったのは、こんな小さな命の輝きを写真に撮り続けて来た、埴沙萠(はに・しゃぼう)さん。
NHKで彼の事が放送され、今大注目ですね。昨日の朝は、沙萠さんきどりで撮影してみました(もちろん、沙萠さんのようにはじける瞬間は撮れませんが……)。
沙萠さんのサイトには、小さな命の輝きがいっぱいに詰まっています。そこから学べる事は大!是非とも探検してみてください。
こちらから

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岩木山神社 -青森県弘前市-

 

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憧れの岩木山神社参拝。
あいにくの天気で、鳥居の向こうに拝めるはずの御神体・岩木山がお隠れになったまま……。

弘前城の桜を見た前日には、雪を抱いた頂上が町からも拝見でき、その神々しさに溜め息が。はるか古より、この地に住まう者たちが代々崇めたのもさもありなん。お天気の回復を願いましたが適わず、これは「また来なさい」と言われている事と受け取り、是非とも再度参拝したいと考えています。

 

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この岩木山神社。今までに感じた事の無いような雰囲気で、単に清々しい雰囲気のみならず、なんとなく恐れ多いような。青森にはかの有名な恐山などもあり、その地域では、「人は死ねば(魂は)お山(恐山)さ行ぐ」と言われるそうですが、こちらも、どこか違う世界へと通じているようでした。

そう感じるのも、元は、真言宗の寺院であった事も関係しているかもしれません。明治の廃仏毀釈までは、お寺と神社が合体したような形であった為、ベンガラ塗の唐様の楼門があったり、今は拝殿となっている建物が昔の本堂であったりと、我々が普段お参りする神社とは建物も違っているのです。楼門の二階には、一体何が祀られているのでしょう。御存知の方、いらっしゃいましたら是非とも教えて下さい。

130515-4.jpg岩木山山頂には奥宮や、東北平定を為し得た坂上田村麻呂が再建した社殿もあるのだとか。是非ともそこまでお参りしたいものです。坂上田村麻呂といえば、平安時代に活躍した武官で、清水寺の建立においても知られる人物ですが、今回、車で青森まで趣きましたが、まぁ昔の人はこの道程を馬や徒歩で……と思うと、閉口してしまいました。
関西の者からすると、東北はとても遠いイメージがありますが、そんなイメージは拂拭し、また是非ともお参りの旅に出かけたいものです。

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青森・弘前城 お堀の桜

 

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新緑の眩さに桜の記憶も薄れる頃、東北へ旅する機会を得ました。

どうかな?!と期待に胸を膨らませ訪れた青森。弘前城の桜は今が盛り。
土曜日(5月11日)の雨でだいぶ散りましたが、上写真のような光景を拝む事ができました。

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土曜日にはこんな様子でしたが、日曜日には、水面がピンクの絨毯になっていました。

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自然界の色とは、時に摩訶不思議ですね!でもこれも自然なのでしょうが……。おしどりの夫婦です。シャッターチャンスとばかり人だかりができていても、平然とお散歩中。

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回転焼・今川焼、地方によって様々な呼び名がありますが、弘前では、黄金焼と書いて、“こがね焼”。
明治創業のこちらの店が人気なようでした。一つ50円で、餡は白餡のみ。美味でした。

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室町の花 観世宗家展 -承天閣美術館-

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相国寺(ただいま春の特別拝観中)内にあります承天閣美術館にて、-室町の花 観世宗家天-が開催中です。
私自身、お能には若い頃より惹かれてやまない為、楽しみにしていた展観でした。

第一展示室から、数々の名工の技をこらした能装束。どのような番組の時に着用する衣装であるかなど、解説を読みながら、その意匠に見入ります。

第二展示室への長い通路へと歩みを進めると、あのなんともいえない笛と鼓の音が聞こえてきます。DVD視聴コーナーが設けられおり、御存知“道成寺”(安珍と清姫の道成寺縁起を題材とした番組)が流ていました。ちょうどクライマックスの鐘の場面。あぁ……人間の悲しき性、女の怨念、鎮まる魂。観に行きたくなりますね。

第二展示室では、お待ちかね、能面です。まだまだわかりかねる難しいものでもありますが、数々の番組をみてゆけば、この能面は、あの能面は……と、能面のことも少しはわかってくるのでしょうか。
白洲正子さんのように、能が洗練される前の猿楽や伎楽の面など、大陸からの影響を色濃く残した古い面も拝見してゆきたいと常々思っています。

この展観は5月26日まで。その後には、流派が違いますが、私が毎年楽しみにしています、金剛家の夏の虫干があります。今年は7月20日・21日に開催されるもよう。
日に何回か、お家元御自らによる、とてもわかりやすい解説がなされ、ガラスケースなど無く、間近に能面や装束を拝見する事ができます。一見の価値大いにありです。

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お田植祭

 

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比叡山麓某所。
有り難い事に、お田植祭(田植えの際に、稲作の成功を祈る神事)に参加させていただきました。

稲が順調に育ち、実りをもたらしてくれるまでには、様々な厳しい自然条件を乗り越えなくてはなりません。我々にはどうしようもない領域の事です。


なにごとの おはしますかはしらねども  かたじけなさに 涙こぼるる    西行法師

 

田植え前の神事にて、近江神宮の神主さんがひたすらに頭を垂れる御姿を拝見するにつけ、恐れ多くも、西行さんが感じたのはこのような事ではないかという気持ちが自然と湧き起こりました。
良く手入れされ、無農薬で野菜や米を作っているその田畑の美しき事、日々の暮らしの確かさ、山の新緑の輝き、藤の花の香り、鶏の声。
全てが輝き、あまりに美しく、涙が流れて仕方がないのでした。

シンプルすぎるが故に、当たり前すぎるが故に、忘れがちな、一番大切な事。
本来農耕民族でありながら、日本人が経済成長とひきかえに置き去りにしてしまったもの。

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神事に引き続き、裸足になり、まだ小さな苗を自らの手で植えさせていただきました。田んぼに植わっている苗は見たことがあるはずなのに、自身で手に取ってみると、なんと小さくか弱い事か……。
これが秋には立派に実るのかと思うと、それはもう天(神、仏と言っても良いのでしょう)の働きとしか思えないのでした。

当たり前に、幼い頃から田植えというものが身近にあれば気づかなかったかもしれない事を、初めての体験がこの年齢(35歳)で、しかも祈りの後であった事は、強烈な自覚を促す実体験となりました。そういった意味では、今年の春が、私にとっては好機だったのかもしれません。

自分の中に深く刻まれた先祖の記憶が蘇ったような気がして、「あぁ、私はまさしく日本人なのだ」と、何度も何度もその思いを噛みしめました。

こちらのご当主が仰った、「田植えをしてこそ日本人。植えたならば、刈り取りもしなくては」との御言葉通り、半人前な日本人の私は、秋の抜穂祭をまた楽しみにしています。

……そんな時にだけのこのこと出かけて行って、まぁまるで、美味しいとこ取りのような私ですが、色々な事が分断された都会で育った私が、少しずつ、少しずつ、自然と繋がり、本来の人の在りようを取り戻してゆく過程として、お許しいただきたいと思います。

本当の意味で、地に足ついた生活を送られているこちらのご当主。本当に素敵な方で、私は魅了されています。
でかける度に大きな収穫があるようなこの場所と共に、『禅文化』でご紹介させていただきたいと思っています。
お楽しみに!

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恩師の言葉

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先日、恩師の退任パーティに出席しました。
変わらぬ笑顔の恩師を囲むと、
古希を控えた先輩方から今春卒業したばかりの後輩まで
一様に学生の顔に戻ってしまうのは何とも不思議です。

さて。
そんな風に素直な学生の気持ちで拝聴したせいか、
壇上での恩師の挨拶は大変印象に残りました。
以下、要約させて頂きますと......。


世の中には流れというものがあって、
人間はいくら力を蓄えようが
これに乗れない場合はどうしようもない。
しかも、その流れは何時くるかわからないし、
もしかしたら一生こないのかもしれない。

くるかこないかすらわからないけれども、
わからないからといって何の準備もしない人は
いざ好機が巡ってきた時にも対応できない。
だから人生は、どんな時期であっても
「今の立場でできること」にコツコツ取り組み続けていく
しかないのです。

 

自ら実践してこられたM教授に改めて敬意を表すとともに、
見えない先のことが少し不安になった時に
ぜひ思い出していただきたい言葉として
ご紹介させて頂きました。

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狩野山楽・山雪 -京都国立博物館-

130508.jpg京都国立博物館・狩野山楽・山雪の展観にお邪魔してきました。

紆余曲折ありながらも、常に強力な外護者を得て、当時高価な顔料もふんだんに用いた、色鮮やかで力強い描写に圧倒される人が多い事かと思います。

が、やはり、「あぁ、良いものだなぁ……」と心から思うのは、墨一色で描かれた禅画。“雲門体露金風図”や、“達磨梁武帝会見図”には殊の外惹かれたのでした。もう少し、一般の方にわかりやすいこの画の解説があれば、より一層面白く拝見できるのにな…と老婆心ながら思いました。
?と思い、帰ってから御自身で調べる方はどれくらいいらっしゃるでしょう。

妙心寺さん関連のものがとても多かったですね。これだけ一度に拝見できる機会はそうは無いと思いますし、普段公開されない塔頭の所蔵品も多く出展されています。眼福の極み。
5月12日(日)まで。

臨黄ネット“禅語”より 体露金風
ブログ禅 えしん先生の禅語教室より 不識

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山菜狩り

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山菜採りの名人に付き従い、わらび狩りに。
都会で生まれ育った私には、足元に生えていても見えていない事が多く、しかられながらも、随分と慣れてきたように思います。

人に出会う事も無いような山中で、茶花図鑑でしか見たことの無いような茶花に出くわし、嬉々としながらも、無我夢中で蕨を摘みます。
この集中は、掃除をしている時と同じような感覚。身心を癒しますね。

人間も、やはり自然の一部なのだなぁ……と思わされるのが、春の苦味ある山菜や旬の野菜が、冬のうちに体に貯めこんだ毒の排出に一役買ってくれる事。
なんともうまくできているものですね。自然に沿い、生きていたならば、悪い事にはならなさそうです。
新鮮な美味しいものをいただいてデトックスできるのであれば、それにこした事はありませんね。

山菜名人によるてんぷら。
こごみ、こしあぶら、たらの芽、花筏(茶花としてよく使われますが、食べられるのです!)、そして大きなおまけですが、海老に走りの鱧。
自然からの恵みに感謝です。

*流れに逆らわない。本来全ての人に備わる自然治癒力を信じて。 『禅と東洋医学』

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光明院 -東福寺塔頭-

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久々に、波心庭(重森三玲作)を観にお邪魔してみました。

本山の方は多くの人が訪れていても、こちらは静か。いいですね。

どちらを見ても歩いても、塵一つ無く掃き清められた境内。掃除がゆき届いていると、空気も整い、なんとも気持ち良いものですね。こちらの心まで整えてくれるよう。ほんとうに、いろんなものが、整うのですね。
こちらのご住職の心を拝ませていただいているようで、有り難いものでした。

とある老師が仰った、「禅宗坊主は掃除をしていればいい、偉そうな事は何一つ言うな」という御言葉を思い出しました。掃除一つで衆生を接化できるのですね。

私も家に帰りましてから、普段以上に徹底的にお掃除に励みました。励まずにはいられなくなったのでした。

三門近くの六波羅門を出てすぐ。光明院さんのご紹介でした。

*本山拝観前には、『禅の寺』がおすすめです。

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新緑遊行と特別名宝展 -東福寺-

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臨済宗大本山東福寺(京都市東山区)において、新緑遊行と特別名宝展が開催中ですのでお邪魔して参りました。

方丈庭園や通天橋は通常公開されていますが、国宝の三門は年に数えるほど。
禅宗寺院最大の国宝三門より、目と同じ高さの位置に大木の新緑を楽しめます。それはそれは見事な景色で、急な階段を登ると目に飛び込んで来る緑に、どなたも感嘆の声をあげておられました。

三門といえば、宝冠釈迦如来坐像に十六羅漢がお決まり。そしてなんと東福寺の三門内部の絵は、かの画僧・明兆が描いたものなのだとか。未だ彩色が豊かに残り、天を舞う迦陵頻伽(がりょうびんが)に、極楽浄土を夢見てしばしぼぉ~っと。

名宝展では、初公開の寺宝も。そして通天橋の緑も今が最高に美しく。
“風がごちそう”の季節。是非ともGW中におでかけください(5/6まで 詳しくはこちら)。


 

 

130501-2.jpg追記
本山へのお参り前には、是非ともこちらでお勉強なさってみてくださいね!


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