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ツリー・オブ・ライフ

現在各地で上映中の「ツリー・オブ・ライフ」という映画を観てきました。
主演はオブライエンを演じるブラッド・ピット。三人息子の父で、力こそがすべてだと、特に長男のジャックに対して厳しく育てようとします。また、神の寵愛に生きようとするジェシカ・チャステインが演じる妻は、子供達を優しく包み込むように育てます。
父に反感をもちつつも成長し、後に実業家として成功したジャック(ショー・ペン)は、人生の岐路に立って子供の頃を回想します。これがこの映画のストーリーとなって展開しているわけです。そこに「神」はおわしたのか……。
監督はテレンス・マリック。1973年に初の監督をして以来、すでに40年近くにもなるが、その間に監督した作品は本作品を含めて5本のみ。そのうち3本が大きな賞を獲得している鬼才の監督です。


テーマとしてはとても地味で、また、冒頭では地球創造の場面も長くあり、いったい何の映画だった?と思うこともあろうかと思います。実際、このシーンあたりで席を立っていく人がいましたから、きっと期待と違ったのでしょう。
全体的にセリフが少なくシーンで心情を想像するといった場面が多いので、なかなか疲れる映画ではありましたが、個人的には、父にとっての息子であった自分と、息子を持った父としての立場の気持ちが相容れ、考えさせるところが多々有りました。
子供の頃にはああやって心の中でだけ反抗していたなぁとか、確かに母はやさしかったなぁとか……。息子は父である私のことをどう思っているんだろうかとか。

もとより、世界は神が創造されたと信じるキリスト教の宗教観のもとで描かれている映画なので、私たち仏教徒には理解しにくい部分もあろうかと思います。
しかし、単に父と息子だけではなく、人間の存在、宇宙へとひろがっていく世界観は、とても独創的で、今まであまり見たことのないファンタジーな映画でした。

日本語のWEBサイトもありますが、アメリカのサイトは、マリック監督の発想をよりよく形にしているように思います。
日本語サイト:ツリー・オブ・ライフ
英語サイト:The TREE of LIFE

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寺院管理ソフト 擔雪IIシリーズのご紹介

全日本仏教会からも推奨を受けている、宗教法人管理システム「擔雪IIシリーズ」は、この9月より「安心サポートサービス(予価:年間 5,250円/税込)」をリリースいたします。

本サービスは、日々更新される擔雪IIの大切なデータを、インターネットを経由して、禅の管理するサーバーPCにバックアップするサービスシステムを中心としています。

この度の東日本大震災被災により、大切な過去帳などのデータが水没により使えなくなったという声もサポート窓口に聞こえてまいりました。

そこで、「擔雪II安心サポートサービス」では、以下のメニューをご提供いたします。
 ◆ オンラインデータバックアップ
 ◆ 再インストール・データ移行サポート
 ◆ パスワード紛失対応
 ◆ 破損・紛失CD-ROM再発行

メニューにあります「オンラインデータバックアップ」をご利用いただければ、急にパソコンが故障しても擔雪IIの大切なデータを失うことはありません。
また、地理的に離れた場所にデータを保管しますので、地震等の災害からも大切なデータをお守りします。

【オンラインデータバックアップの特徴】
★専用アプリケーションをインストールするだけで、日々更新される擔雪IIの大切なデータをインターネットを経由して、禅文化研究所が管理するデータサーバーへバックアップいたします。

・設定により、起動終了時の自動保存(最新10日分)に加え、データ保守の目的で任意保存(5回分)が行なえ、上記最大15個のどのファイルからでも復旧が可能です。

・データは暗号化された上で、SSH通信によって保護された状態で送信されるので安心です。

・お預かりしたデータは、さらに国内2箇所のデータサーバーに二重にバックアップ保存いたします。地震・台風などの自然災害によるリスクを考慮し、各データサーバーは地理的に離れた位置に設置されています。

★データ復旧のためのご利用以外に、メインPCとモバイルノートPC間でのデータ転送にもご利用いただけます。(但し、双方のPCがインターネットに接続できる必要があります。)

さらに詳しくお知りになりたい方は、お気軽にサポート担当までお尋ねください。正式なリリースが始まりましたら、弊所ホームページ等でお知らせいたします。

また、擔雪IIシリーズをご利用でない方は、この機会にまずは体験版からお試しいただいては如何でしょうか。こちらからダウンロードできます。

体験版には試用期間はありませんが、どの管理部門にも、おもに入力件数に制限がかかっています。たとえば、「財務管理」では、サンプルデータが予め入っており、会計期間が4~6月のみになっており、年次繰越はできません。

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魁夷さんと北欧の旅/森と湖の国】・【潮音/海を描く】 -東山魁夷せとうち美術館(香川)-




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度々訪れています大好きな美術館。東山魁夷せとうち美術館を訪れて来ました。

今回は、【魁夷さんと北欧の旅/森と湖の国】・【潮音/海を描く】と題して、北欧4カ国を旅された際に描かれたとても優しく柔らかいタッチの画、日本の海を題材にして描かれた海の風景の数々を楽しみました。

カフェからは穏やかな瀬戸内の海が一望。うだるような暑さだったこの日、しばし暑さを忘れてゆっくりとカフェでお茶をし、海を眺めました。香川にお立ち寄りの際は是非足を運んでいただきたい美術館の紹介でした。

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処暑 ―二十四節気―




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立秋も終わり、今日から二十四節気の14番目、処暑に入りました。
これから暑さがおさまっていき、稲穂が実るころとなります。
このところ、各地では秋雨前線の影響で、雨が降ったりして、少し涼しく鳴ってきましたね。
歴の違いもありますが、早稲などはもうすぐ刈り取りが始まることでしょう。

さて、京都など近畿圏では、今日から3日間は地蔵盆です。以前、このブログでも書きました。
地蔵盆と地獄絵

お地蔵様の縁日は8月24日ですが、昨今は土日にあわせてやるところが多くなって来ています。
自坊の地蔵堂は、今のところ、お地蔵さんの縁日にあわせてやるべきものだからと、未だに日にちを変えないで行なっていますが、役員の方や子供会の役の方にはご迷惑かもしれません。
でも、ただやればいいわけではなく、本来のご縁を忘れないようにしたいと思っているので、平日でも、ご無理をねがっています。
伝統文化をちょっと頑固に続けることも大事だと思いませんか?



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躍る阿呆に見る阿呆 -徳島市・阿波踊り-




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お盆に実家にいない=罪悪感。であった私ですが、今年は墓参りをし、迎え火を焚いてご先祖さまをお迎えした後、親友の住む徳島へと向かいました(ちなみに、この時期の自家用車での徳島入りはお薦めできません!京都から鳴門に入るまで、7時間以上……さらに徳島市内へ2時間でした)。


魂ゆさぶられる祭が大好きな私ですが、徳島市内で行われる阿波踊りの熱気、人々の土地に対する誇りには想像していた以上に感動し、最後には連(れん・踊り手の集団)の後ろに加わって躍ってしまいました。「躍らにゃ損そん♪」は本当だったのです。もう、躍らずにはいられないのです。皆本当に「生きているってスバラシイ!」という笑顔で躍っていました。

さて、その発祥には諸説ある阿波踊りですが、友人の話によると、あの手で先祖の霊を呼び寄せ、迎えているのだとか。浮き世のさまざまの事はしばし忘れ、ひたすら同じ拍子に合わせて同じ踊りを繰り返す。無心になって先祖の霊をお迎えするとは、何と尊い事だろうと、これまた感動する事しきりなのでした。

次回は是非とも、浴衣に網笠を深く被る女踊りのスタイルで連に加わってみたい!と思うものの、幼少(最年少は3歳くらいでした)から踊り込んでいる徳島の方々は、細胞の一つ一つにまで流れるものが違うな……と感じざるを得ないわけです。
先祖伝来の地に住まう事の尊さ、その土地に伝わる文化や歴史の継承について、考えさせられるものがあるのでした。
また是非でかけたいものです。

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ハンブルク浮世絵コレクション展 -承天閣美術館-




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夏期休暇中はご迷惑をおかけいたしました。
本日より順次、ご注文いただきました書籍の発送、ご質問いただいておりました件など
、対応させていただきますので、宜しくお願い致します。

さて、9月11日(日)まで、相国寺内の承天閣美術館にて、-ハンブルク浮世絵コレクション展-が開催中です。浮世絵にはさほど興味の無かった私ですが、さすがのコレクション、精緻なる版画の世界、独特の色、江戸の風俗など、観にゆけばやはり興味深いものなのでした。
また、いつも思うのですが、承天閣美術館の庭にある石が素晴らしいのです。
そういえば見覚えあるなぁ……と思っていたのですが、大徳寺聚光院にあります、千利休さんのお墓の墓石と同じでした(下左写真)。
庭の石、灯篭などもお見逃しなく!

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天竺へ~三蔵法師3万キロの旅 -奈良国立博物館-




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この御方がいらっしゃらなければ、東アジアの仏教史はまた違ったものになっていたのでしょう。玄奘三蔵の天竺への旅に思いを馳せる、絶好の機会。
奈良国立博物館にて開催中の特別展、「天竺へ~三蔵法師3万キロの旅」にお邪魔してきました。

3万キロに及ぶ求法の旅が描かれた、全12巻・全長総計190メートルを超える絵巻物、国宝「玄奘三蔵絵」(藤田美術館蔵)。その精緻なること、美しきこと、写真やHPの画面で見て満足していてはいけません!実物を見てこそです。

幾多の困難を経て経典をもたらした玄奘三蔵に自然とありがたいという思いが湧き起こるのと同時に、多くの無名の侍者達にも頭下がる思いを抱きました。
会場入口すぐに、玄奘三蔵坐像がおはします。そのお姿拝見するだけでも感きわまる思い。お時間ある方、お近くの方は是非足を運んでみてください。

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弊所は、8月10日~17日の間、夏季休業とさせていただきます。
この間にご注文いただきました本の発送は18日以降となります。
メールやお電話などでのお問い合わせ等も、18日以降のご返答となります。
ご迷惑をおかけ致しますが、ご了承くださいませ。

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立秋 ―二十四節季―




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今日から立秋になりました。
夏が終わり、秋の気配がしだす頃をいう二十四節気の一つではありますが、実際の今は、秋という字が適わない夏真っ盛りで、これから関西ではお盆だというのに、秋などまだ実感できません。
ですが、あっと言う間に「カナカナカナ……」と哀愁を誘うヒグラシも鳴き、朝夕がぐっと涼しくなる日もそう遠くはありません。長かった日照時間もどんどんと短くなっていくことでしょう。

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金剛家 能面・能装束展観




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毎年楽しみにしている金剛能楽堂での虫干。
職人の技がちりばめられた溜め息をつくような美しい装束に加えて、おそらくこれほど一度に面を拝見できる事は無いだろう……というほどにたくさんの面がずらりと並びます。
そして、11時と15時に宗家御自ら解説してくださるのです。
宗家御自身も楽しそうにお話下さるので、こちらまでとても楽しくお勉強させていただけました。

それにしましても、夜叉作の般若の面は念がこもっているようで、まさに生きているかのごとくでゾクっとしました。
“般若の面”というと、いわゆる般若坊作であることから般若と言われるようになったという説をよく聞きますが、どうやら違うとのお話。仏教でいうところの“般若”ではないかという事でした。般若とはさとりの智慧。
怒り、苦しみ、悲しみ、嫉妬の表情を浮かべた般若の面も最期には悟りに達する故ではないかとお家元が仰っていました。感慨深いものです。

男性の皆さんはどうかわかりませんが、女性として私は般若の面がものすごくわかる気がするのです。その先に“般若”、つまりはさとりの智慧があるというのは、救いです。

年に一度の虫干。来年もまたこちらにてお知らせできればと思います。

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京都御苑の空




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京都御苑から眺める空。とても広くて気に入っています。
刻々と変わる空の色を眺めていると、宇宙について、地球について、自然について、そして自分の人生について、、色々な事を考えます。
私にとって、休日の貴重な時間です。

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『大鹿村騒動記』




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秀逸の映画だ。こんな作品に出会うと、日本映画の底力が感じられて、なんとなく誇らしく嬉しい。主演の原田芳雄と大楠道代の名を見て、鈴木清順のツィゴイネルワイゼンをボォーッと思い出した。二人のほか、岸部一徳、松たか子、佐藤浩市、瑛太、三國連太郎、石橋蓮司、冨浦智嗣、小林武彦、小倉一郎等が名を連ねている。よくぞ集めたと、見る前から感心してしまっていたが、見たらもっと感心した。

演技力と華の具わった役者のおかげもあって、どのシーンもこの上ないものに仕上がっている。笑いも見事だ。妻の出奔、痴呆症、性同一性障害・・・各々が背負った日常はずっしりと重いのに、陳腐な"常識"や、ステレオタイプの悪意がすっかり抜け落ちていて、なんとも温かい可笑しさが物語を大らかに牽引して、大鹿村歌舞伎という「大事」が粛々と行なわれる。

日本で一番美しい村、大鹿村の人たちが、ほとんど総出で歌舞伎の場面をもりたてているのも、スクリーン越しにしっかり伝わってくる。

たった一つ、まことに残念なのは、この映画の企画立案者だった主演の原田芳雄さんが7月中旬に亡くなったことだ。常軌を軽々と逸することのできた、稀有な俳優さんの一人だった。

心よりご冥福をお祈りいたします。

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8月




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8月といえば研究所でまず思い浮かぶのが“お盆”です。
職員の半数を占めるお坊さん方が大忙しです。

弊所では、8月は変則的な勤務体勢となっております。故に、ブログの更新も平日毎日ではなく、おやすみさせていただく事もございますが、ご了承くださいませ。

なお、8月10日~17日は一斉休暇をいただいておりまして、この期間にご注文いただきました書籍は、18日より順次発送させていただきます。ご迷惑をおかけ致しますが、何卒おゆるし下さいませ。

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バイロイト音楽祭

7月26日、ワーグナーの作品を演目とするバイロイト音楽祭で(ワーグナーの生前に建てられたバイロイト祝祭劇場で、毎年7月から8月にかけて行なわれている)、イスラエル室内管弦楽団が、「ジークフリート牧歌」を演奏したというニュースを見てびっくりした。

もちろんドイツでイスラエルのオーケストラがワーグナーを演奏するのは初めてのことである。"ワーグナー"は第二次世界大戦の戦前・戦中にナチのプロパガンダとして使われたのだし、ワーグナー自身も反ユダヤ主義者として名を馳せており、家族もナチと親密な間柄だったからだ(ワーグナーの死後、祝祭劇場は息子のジークフリート(1930年死去)を経て、ジークフリート夫人の手に渡ったが、彼女はヒトラーと個人的にも親しく、祝祭劇場はナチス政権の国家的庇護を受けた)。

1948年の建国以来、イスラエルでは、ワーグナーの音楽は非公式に禁止されており、イスラエル人にとってワーグナーの作品は依然としてタブーである。ラジオで放送されることはないし、ましてコンサートの演目に上がることはまったくない。ワーグナーに触れることは国内で今なお激しい論争の種となるのである。バイロイトに於ける今回の演奏によって、イスラエル管弦楽団への補助金が打ちきられないよう、文化相の口添えがあったとも聞く。
欧米でもワーグナーの芸術性はともかく、ワーグナーという人物を賞賛することには、ある種のためらいがある。

そんななかで、楽団を指揮したロベルト・パテルノストロ(彼の母親は、ホロコーストの生存者である)は、「私は音楽をやっているのであり、政治をやっているのでない」と語っている。また、「私はホロコーストの生存者にこの上ない尊敬の念を抱いている。しかしながら、芸術的自由と言っていいような何かがあるのも確かだ」とも。そして演奏は絶賛を博した。

私は文頭で、演奏のニュースを見てびっくりしたと書いた。もちろん、イスラエルの楽団がワーグナーを演奏したことにびっくりしたのだが、同時にヨーロッパのメディアがこのことを大きなニュースとして取り上げたことに感嘆したのだ。

フランス・ルモンド紙電子版は、このニュースの最後に、「ジークフリート牧歌」をアップし、おまけとして、「ぼくはワーグナーをそんなに聞けないんだよ。ポーランドを侵略したくなる」という、ウディ・アレンの映画(Manhattan Murder Mystery)の名場面を紹介している。

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