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フレディ・マーキュリーにみる、人生の終い方

 

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冬至の土曜日から昨夜のクリスマスイブまで、3連休の方が多かったかと思いますが、如何お過ごしでしたか?

自坊は冬至の夜に檀家の総代さんや世話方さんに集まっていただいて、年間会計決算の報告をし、来年の行事予定などを検討したあと、一年を労って忘年会をすることになっています。各地の修行道場でも冬至冬夜となると、老大師も含めて、年に一度、無礼講の大騒ぎをしていると思います。

暖かかった3連休から、急に今朝は冷え込みましたね。霜が降りて寒々しい景色でした。木曜日くらいからは寒波が来て、雪が降るところもありそうです。いよいよですね。

さて、私は今年の法務も終わり、年賀状もできたので暇をもてあましてテレビをみていると、NHKで「人生の終(しま)い方」というドキュメンタリー番組をやっていたので、途中からでしたが観ました。

調べてみると、再放送らしくて最初は2年前に放送していたのですね。その時には知らなかったのですが、ご覧になった方もあるでしょう。

桂歌丸師匠を中心に、死に臨む姿がまとめられています。歌丸師匠は、落語という伝統芸能をこれからも守っていかなければならない。そのためにはこれぞという弟子を育てなければならないという使命にかられ、弱る身体に鞭打って高座に登り続けられました。

妻と二人の小学生の子供を残して余命数ヶ月の30代男性。なんとか子供達に一生懸命に生きるということの自分からのメッセージを伝えたい。辛い身体を押して、結果、亡くなる4日前に家族旅行を果たす姿。

軽度の知的障害の60代の娘を残して「何もしてやれなかった」と逝ってしまう、もと居酒屋おかみの90代女性。しかし死後には、店の常連だった人たちが集まって娘さんを支えていこうとする様子などなど。

そんな様子を観て感動して、一人涙して観ていたのです。自分ももう人生半ばを過ぎました。これからどこを目指して生きていくのか。ぼんやりしていてはいけないと改めて「生死事大、無常迅速」を意識していたのです。

そしてそんな午後には、前から周囲の人が観に行ってとても感動したと言っていた、QUEENの伝記映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観に行くことにしていました。意外に小さなホールに半数くらいの観客が。これでも最近ではあまりないほど多いように思いました。

まだ放映中ですから詳しくは書きませんが、イギリスのロックバンドQUEENと、そのリーダーであるフレディ・マーキュリーの生き様が描かれていました。彼等が活動していた時代はリアルに知っていますが、じつはちょっと路線が異なる音楽が好きだったので、あまり興味を抱いていなかったというのが正直なところです。ゲイでAIDSが発症して若くして亡くなってしまったことは知っていましたが。しかし、この映画を観てから聞く彼らの楽曲が異なって聞こえてきました。彼はこういう人生を送ったからこういう歌詞をつけたのだのだとか、こういうことがしたかったから、あんな奇抜な格好をしていたのだなとか……。まさしく、彼なりの“人生の終い方”を見せつけられたのでした。

映画館で観るべき映画だと思いました。お勧めします。

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映画『ペコロスの母に会いに行く』

今夜はクリスマスイブ。多宗教のわが日本では、家族でケーキを囲んで団らんし、サンタクロースが子供たちにプレゼントを贈るという素敵な夜がやってくることでしょう。
宗教に対しての軽い感覚はともかくとして、こうして過ごす家族の団らんというのは、きっと将来、いつまでも子供たちの心に残っていくんでしょうね。

さて、先般、京都シネマで『ペコロスの母に会いに行く』という邦画を観てきました。
そもそもあまり大きな映画館でやっていなかったし、ロードショーもほぼ終焉で観ることのできる映画館が少ないので、ご紹介しても観ていただけるかどうかわかりませんが、いずれDVDでも出ることでしょうから、是非ご覧頂けたらと思いご紹介いたします。

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赤木春恵演じる認知症の老母と、岩松了が演じる息子ペコロス(ハゲでバツイチ)を中心とした、長崎を舞台にした家族物語です。原作は岡野雄一作の漫画。彼の実生活をもとにした作品で、ベストセラーを続けたのでご存じの方も多いことでしょう。

前半から中盤にかけては、劇場内からも何度も笑い声がこぼれるほどユーモラスなシーンが描かれます。しかし次第にひどくなる認知症の母を葛藤の末にグループホームに預けるペコロス、最近の記憶はどんどん失われていくが古い想い出が蘇り、その狭間を行き来する意識の中に生きる老母に、だんだんと引き込まれていき、終盤にはポロポロと涙しておりました。

とてもほのぼのとしたこの映画を観ながら、最近、物忘れが多くなった我が母とこの先を思い、自分が小さい頃の母との思い出も知らぬ間に回想していたのです。

そしてこの映画を撮ったのは森﨑東監督。映画を観た後に知ったのですが、彼自身も認知症になりつつあるという現実の中でこの映画を撮ったそうです。先日、NHKのEテレで、ETV特集「記憶は愛である~森崎東・忘却と闘う映画監督~」という番組をやっており、映画『ペコロスの母に会いに行く』の撮影秘話を知ることもできました。28日(土)に再放送があるようですよ。

このところ、終活という言葉がよく使われ、人々がエンディングノートにも興味を持ち始めています。どうやって自分の人生を終えていくか、ここに注目されているというのは、とてもいいことだと思います。
この世に生まれた限り、誰にも隔てなく約束されているのは、死ぬことだけなのですから。
どうか、いつか自分の人生を満足して終えられますように。

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スタンリーのお弁当箱

 

130926.jpgその国のお国事情はお弁当に詰まっている!と思っている私。
そして、大好きなインドの映画となれば観にゆかずにはいられない!と観てきました、『スタンリーのお弁当箱』
勝手なイメージとは違い、インドの悲しい現実、それでも明るくひたむきに生きるスタンリー、子どもたちの豊かな表情、様々な事を考えさせられる映画なのでした。インドの映画、なかなかに面白いのです。

さて、“お弁当”で思い出すのはもちろん第一に昔母がつくってくれていた彩り豊かなお弁当。
そしてその次には、旅先で出会ったお弁当です。

ミャンマーでは仏教遺跡近くで昼休みにお弁当を食べている子ども達に遭遇。
ちょっとのぞいてみると、3段重ねのアルミかステンレスのお弁当箱に、様々なおかずとごはんが。あまりに羨ましそうにしていたせいか、一緒に食べよう!と言ってもらい、いろんな子のおかずとごはんを頂戴しました。正直、レストランよりもずっと美味しく、ミャンマーの母親達の愛情いっぱいのお弁当に、心底感動したものです。

さらにはブータンで弓の競技大会に出ていたおじさん達が持参していたお弁当。こちらものぞいているとご一緒にということで、有り難くお相伴に預かりました。さらにこちらは大人ということもあり、自家製のアラ(蒸留酒)付き。美味しいお弁当&アラ自慢が始まったのでした。

旅に出たら、“お弁当”チェックもお忘れなく。その国のいろんなものが詰まっています。

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お正月にDVD三昧 「ファミリー・ツリー」「アバウト・シュミット」など




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皆さんは今年のお正月は如何お過ごしだったでしょうか。
私は三ヶ日の自坊の行事があけてから、5日に多賀大社への初詣もすませました。三ヶ日までは混み合うでしょうが、比較的すいていて、ゆるやかにお参りできるのはうれしいことです。それに三ヶ日には雪もだいぶ降っていたでしょうから、人混みの苦手な私にはこれ幸いでした。
他の神社ではあまり見たことがないほど、おみくじがカラフルです。私も一つひかせてもらったら、1番「小吉」でなかなか幸先のいいことです。

考えてみれば、去年はお正月早々にお檀家さんのお葬式が続いたので、とても慌ただしかったのですが、今年のお正月は、なんだかとてもゆっくり過ごすことができました。そんなわけで、レンタルDVDで映画を数本借りてきて、あいた時間には映画三昧となったのです。というわけで、昨日に続き映画の話題で恐縮ですが。
まず、借りてきた映画は、「ファミリー・ツリー」「ヒューゴの不思議な発明」「ミッドナイト・イン・パリ」「マネー・ボール」「ラム・ダイアリー」。どれも秀作でした。
なかでも去年、アカデミー賞脚色賞に輝いた、アレクサンダー・ペイン監督の「ファミリー・ツリー」は、わかりやすくて、とてもいい映画でした。
人生の危機、重大決断を二つ同時に迫られる主役のジョージクルーニーが圧倒的な存在感で演じています。脇役の人たちも適役ぞろいでした。また、ハワイが舞台となっていて、細々としたハワイの特徴が映像に折り混ざっていて、物語の内容とは別に楽しいのです。今まであまり興味のなかったハワイに行ってみたいとさえ思ったほど。

この監督の映画が他にも沢山あることを知ったので、翌日、同じくアレクサンダー・ペイン監督の「アバウト・シュミット」「サイドウェイ」という映画を借りてきて観ました。「サイドウェイ」は、邦画としてもリメイクされていてそちらを以前に観たことがありますが、ワインをテーマにした、おもしろおかしい映画です。
かたや、ジャック・ニコルソン主演「アバウト・シュミット」は、仕事をリタイアしたとたん、妻に先立たれた悲哀あふれる男性の生活を描いたもの。
以前、このブログで書いた「グラン・トリノ」も人生の最終章を描いた印象深い映画でしたが、まったくタイプは違えども、この「アバウト・シュミット」も必見です。
そして、3本ともにアレクサンダー・ペイン監督らしい映画の作り方を、私なりに捉えることができたと思いました。
老後に生きることを考える映画は、まだ見ぬ自分の行く末を追体験させてもらえるようです。

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ツリー・オブ・ライフ

現在各地で上映中の「ツリー・オブ・ライフ」という映画を観てきました。
主演はオブライエンを演じるブラッド・ピット。三人息子の父で、力こそがすべてだと、特に長男のジャックに対して厳しく育てようとします。また、神の寵愛に生きようとするジェシカ・チャステインが演じる妻は、子供達を優しく包み込むように育てます。
父に反感をもちつつも成長し、後に実業家として成功したジャック(ショー・ペン)は、人生の岐路に立って子供の頃を回想します。これがこの映画のストーリーとなって展開しているわけです。そこに「神」はおわしたのか……。
監督はテレンス・マリック。1973年に初の監督をして以来、すでに40年近くにもなるが、その間に監督した作品は本作品を含めて5本のみ。そのうち3本が大きな賞を獲得している鬼才の監督です。


テーマとしてはとても地味で、また、冒頭では地球創造の場面も長くあり、いったい何の映画だった?と思うこともあろうかと思います。実際、このシーンあたりで席を立っていく人がいましたから、きっと期待と違ったのでしょう。
全体的にセリフが少なくシーンで心情を想像するといった場面が多いので、なかなか疲れる映画ではありましたが、個人的には、父にとっての息子であった自分と、息子を持った父としての立場の気持ちが相容れ、考えさせるところが多々有りました。
子供の頃にはああやって心の中でだけ反抗していたなぁとか、確かに母はやさしかったなぁとか……。息子は父である私のことをどう思っているんだろうかとか。

もとより、世界は神が創造されたと信じるキリスト教の宗教観のもとで描かれている映画なので、私たち仏教徒には理解しにくい部分もあろうかと思います。
しかし、単に父と息子だけではなく、人間の存在、宇宙へとひろがっていく世界観は、とても独創的で、今まであまり見たことのないファンタジーな映画でした。

日本語のWEBサイトもありますが、アメリカのサイトは、マリック監督の発想をよりよく形にしているように思います。
日本語サイト:ツリー・オブ・ライフ
英語サイト:The TREE of LIFE

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映画 ブッダ(原作・手塚治虫)のご紹介




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没後20年になる、あの手塚治虫が描いたコミック「ブッダ」。私も子供の頃、父から与えられたコミックスで読んだ記憶があります。
多くの方が目にされたのではないかと思います。
10年をもかけて連載されたこの大作が映画化されてて、来たる5月28日より全国でロードショーされます。

残されているブッダの説話そのものではありませんが、手塚氏の独自の観点から作られたドラマとして、見応えのある作品になっているようです。
あらすじや、詳しい情報に関しては、映画「手塚治虫のブッダ-赤い砂漠よ!美しく-」のオフィシャルサイトで御覧ください。本編は、出家前までの少年期を中心に描かれた部分の映画化のようです。

なお、(財)全日本仏教会はこの映画の推薦となっていますので、お近くのお寺でもこの映画のポスターが掲示されているかもしれません。私の自坊にも届きましたので、さっそく掲示しておきました。

お得な前売券も発売されるようです。どうかお見逃しなく。

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映画 ヒア アフター




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つい先日より日本でも公開された映画「ヒア アフター」を観た。この映画の監督は、あのクリント・イーストウッドである。
以前、このブログでも彼が監督をした「グラン・トリノ」を紹介したことがあるし、「硫黄島からの手紙」という映画も評価を得て、監督業に邁進している彼である。既に80歳を超えているらしいが、かなり精力的に映画を撮り続けているようだ。

主演はいわゆる霊能者ジョージに扮するマット・デイモンである。
といっても、これはオカルト映画ではない。
別の場所で生きている三人が、それぞれに「死」と直面する。
死者との対話に疲れ霊能者を廃業し工場労働者となって働くジョージ。
パリで活躍するジャーナリストのマリーは休暇中の東南アジアで大津波に巻き込まれ、臨死体験を味わう。
ロンドンではドラッグ中毒の母の元で助け合って暮らしてきた双子の弟マーカスは、兄を突然交通事故で亡くし、悲嘆に暮れる。
そんな三人の人生がロンドンで交錯する。

グラン・トリノの時にも感じたが、クリント・イーストウッド監督の映画には、何か不思議な空気を感じる。
最近みた映画の中ではイチオシの映画だ。
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