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樂歴代とその周縁 -樂美術館-




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京都市上京区にあります、樂美術館を訪れました。
今回の展観は、-樂歴代とその周辺-。その名の通り、樂家歴代の茶碗、そしてさらに樂家と深い関わりのあった方たちの茶碗も拝見する事ができました。“周辺”を知る事は、樂家や茶の湯の歴史などを知る上でもとても深く大きな意味があります。

光悦が好きだ好きだと言い続けてきた私ですが、今回は光悦のお茶碗よりも、尼焼(夫を亡くした妻が焼いたと伝わる物)にいたく惹かれました。その時々によって、自分が惹かれる、興味を持つものとは本当に違ったり変わってゆくものですね。
7/3(日)まで。

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岸野忠孝水墨画展 -加島美術-




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友人宅にて、およそ10センチ四方ほどの大きさに描かれた、小さいはずなのに大きな富士の絵に衝撃を受けました。「すごい!どなたの絵?」と尋ねたら、岸野忠孝さんとの事。

1938年、山口県生まれ。小林雲道人に師事し、山田無文老師に参禅する事3年。
東京での個展は6月27日から7月3日まで。私も伺いたいくらいだったのですが、都合上叶わず、泣く泣く断念しました。お近くの方は是非ともおでかけになってみて下さい。

“描いた”というよりも、画が“現れた”と言った方がしっくりくるような作品の数々。画からむらむらとたちこめる気が私を虜にしてやみません。

岸野忠孝水墨画展
会期:2011年6月27日~7月3日
会場:加島美術
   〒104-0031
   東京都中央区京橋2-9-9 ASビル1階

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月読神社の石碑




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松尾月読神社の社前で「押見宿祢霊者遺跡」という石碑を見つけた。昭和42年に松室同族会によって建立されたという。
松室氏は本姓壱岐宿祢、月読神社の初代祠官であった押見宿祢の子孫であり、同社の社家である。中世以降数家に分かれて神社に奉仕したが、明治に入り世襲神職の制が廃されると松室氏も神社から離れて四散した。この石碑は押見宿祢霊社の跡に建立されたものという。1500年の長きにわたり神に奉仕し続けた一族の歴史を偲ぶよすがは、現在この石碑の他にはほとんど見当たらない。

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継続は力なり -御所市の農園にて-




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以前ご紹介したことのある農園へ行って来ました。

我が恩師、松田高志先生は、この農園に通う事26年になるそうです。雨の日も、風の日も、夏の猛暑日にも、冬の雪降る日も、片道2時間半の道のりを月に2度、26年間。計算したら、距離的には既に地球を一周以上はまわっているとの事。

いつも私達の目線まで降りてきて話して下さるような、共に歩んで下さっているような先生に、私達は当たり前のごとく素晴らしい教えをいただいていましたが、この日、大和三山を見渡しつつ、どっかりと坐り、「26年間通っていても、飽きるという事がないんです。毎回感動します」と語る恩師を客観的に見て、その、限りなく広く、深く、あたたかな人間性に改めて…というよりも、初めて自分の深いところから、ハッと気がついた気がしました。
天気などに左右されず、26年間休む事無く通い続けている、その“歩み・継続”こそが先生をつくりあげているのだな…と、継続する事の大切さをも学ばせていただきました。

大学を卒業してから10年以上ゼミを続けていただいている事も、当たり前になってはいなかったかな……と。こんなに有り難い事は無いのに…と、改めて先生にはこれからも多くの事を教えていただき、いずれそれを周りに少しずつでも還元できたら良いなと思うのでした。

肝心の農作業はどこへやら、山を散策し、お昼にはできあがっていたカレー(収穫したての野菜入り!)をもくもくといただき、次こそは農作業をせねば、草刈りをせねば…と思う、「いつか農業をやりたい」とは口ばかりの私でした。
もう少しマメに通ってみようと思う今日この頃です。

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松尾月読神社




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松尾大社の南方に鎮座する松尾月読神社。『日本書紀』顕宗三年条によれば、神託によって壱岐島の月神を葛野郡に祀り、壱伎県主の先祖の押見宿祢が祭祀に当たったという。
もとはより桂川に近い地にあったが、河水による侵食を受けたため、斉衡三年(八五六)に松尾の南の山である現在地に遷座された。『延喜式』では名神大社。

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根性




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根性あるなぁ、頑張っているなぁ…と勝手に思いましたが、それは勝手にこちらが思う事で、当の本人はごくごく自然。
とある農園でのひとときです。

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夏至 ―二十四節季―




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二十四節気の中でも「夏至」を知らない人はないでしょう。国語辞典によると、古くは、「げじ」と濁って読んだようです。美しい花菖蒲の咲く頃です。
太陽が黄道上の90度の点を通過する日をいい、一年の内で一番昼間の長い日ですが、日の出が一番早く、日没が一番遅いというわけではないようです。日の出が一番早いのは夏至より一週間ほど早く、日の入りが一番遅いのは、夏至より一週間ほど遅いとのこと。
これは北半球だけの話で、逆に南半球では一日が一番短い冬至にあたるわけですが、そこは中国に発祥する言葉であるから仕方がないですね。話はずれますが、学生時代にオーストラリアに留学していた友人から、サンタクロースがサーフィンをしている絵のクリスマスカードを貰ったことがあり、ちょっと驚いた記憶があります。当たり前のようなことですが、丸い地球は不思議です。

今年の梅雨入りは早く、もう沖縄は梅雨明けしてしまっているというのに、花菖蒲は今年は少し咲き始めが遅かったようです。滋賀県北部にあるカキツバタの名勝地も今頃やっと開花していることでしょう。
ジメジメした梅雨が早くあけて、カラッと晴れた日が待ち遠しいところです。




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盛者必衰 沙羅の花




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六月に咲く花は白い花が多いと、うちの母がいっていましたが、確かにそんな気がします。

今年も境内の沙羅の花が一斉にぷっくらと蕾を膨らませ、ぼちぼちと咲きはじめました。




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雨に濡れてほんのり頬紅を付けたような花が、とても愛らしいのです。お多福のように見えませんか?

でも、本当にあっけないくらいあっという間に落ちてしまいます。盛者必衰、人の命も宇宙規模で考えると、きっとこんなものなのでしょう。




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前にも書いたとおり、この沙羅は実はナツツバキで、お釈迦様の入滅の際に咲いたとされる沙羅とは異なります。

ほんとのインドの沙羅はこちらで紹介しましたが、3月頃が見頃だとか。花のイメージがだいぶ違いますね。

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最福寺跡




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最福寺は西芳寺(苔寺)のある谷の入口付近にあった寺院。
平安末期に天台宗の延朗によって開かれた大寺であった。
この寺院も他の例に漏れず応仁文明の乱によって衰退、現在はこの延朗堂が残るのみとなった。堂内には鎌倉時代の作という延朗上人の木像を安置する。

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『あしかび全集』和田重正 -職員オススメ本-




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皆さん、おはようございます(御挨拶をしたくなりました)。
いつもご覧いただき、誠に有難うございます。

さて、こちらでも何度かお話させていただいていますが、弊所の季刊『禅文化』にも何度か寄稿いただきました松田高志先生(私の卒業大学のゼミ教授です)には、大学を卒業してからも2ヶ月に1度、大学でゼミを続けていただいています。
さらに、ゼミ生だけではもったいない!と、京都の友人仲間にもその和を広げたいという思いから、先生におこしいただき、京都でもゼミを開催しています。ゼミと言っても、先生のご著書や、先生がコピーしてきてくださるプリントを読んで、皆で意見を出し合いお話をする会です。

そんなゼミで先日、松田先生が人生において大きな影響を受けた和田重正先生の『あしかび全集』第五巻「あとがき」の文章を拝読しました。

 実際、自己中心的な人生観や近視眼的な価値観に立って、幸せを求めて奮励努力し、一生を徒費する人が何と多いことか。人生観の基盤に誤りがあれば、もがけばもがくほど、努力すればするほどその人は不幸に陥って行くことは、われわれが目のあたりに、無数の実例を見ている通りであります。まことに恐ろしいことです。  私の人生観の骨子は、本文中でご覧の通り、「ケチな根性」という見せかけの自分に騙されないで、真心という全宇宙的基盤から催されて来る力に素直に従って生きるのが一番安心で、一番賢く、一番幸せなのだ、ということです。  それから、もう一つ重要なことがあります。すべての“ものごと”を固定させようとしたり、固定したものと看做(みな)したりしないことです。現在の学校教育とそれに支配される家庭での教育はほとんど、子どもの生活と思考を枠にはめ、固定させることを仕事としていますが、それは決して若者を幸せにする道ではないと私は信じています。

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『見知らぬ場所』ジュンパ・ラヒリ -職員オススメ本-




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例え家族であっても、恋人であっても、親友であっても、人の心の内はこんなにもわからない。それぞれが、それぞれの想いを抱えて生きている。

何気ない日常生活の内に、当たり前のごとく潜む人の心の機微を、繊細に文章に現した名著です。時に狂おしく、時に安心しながら読み終えました。

インド人の両親を持ち、ロンドン生まれ、現在はニューヨーク在住の彼女(ジュンパ・ラヒリ)が、自身のアイデンティティーを確かめる為に書かれたかのような数々の短編。オススメします。

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藤田美術館




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大阪市都島区にあります藤田美術館。今まで機会が無く、私の大好きな岸野承さんの彫刻展もあるという事で、初めて訪れてみました。
藤田美術館では、国宝9点、重要文化財51点を含む約5000点を収蔵しており、このコレクションは、明治の実業家、藤田傳三郎とその長男平太郎、次男徳次郎の父子2代によって蒐集されたものだそうです。
個人のコレクションの中から、9点もの国宝認定の美術品が出るという事に、如何に物を見抜く力があったかが伺えます。

茶の湯を学ぶ者にとってはたまらないような収蔵品に、溜め息ばかりついていましたが、私が一番気に入ったのは、何の指定も受けていない、高野山から移築されてきたという、お庭にある多宝塔でした。なぜか妙に惹かれています。
次回この多宝塔に会えるのは秋の展観。必ずやでかける事にしようと思っています。

追伸:久々に大坂城を見て、その土木工事のすごさに圧倒されました。薪能を観にでかけた帰りに、道に迷って大坂城内から出られなくなった事を思い出し、攻め落とすのも一筋縄ではゆかないわけだ…と思った事を思い出します。 歴史で秀吉さんのことを習っているお子さんをお持ちの親御さんは、是非おでかけになって、お子さんに実物を体感する機会を与えてあげてみてください!

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浅川伯教・巧兄弟の心と眼 -東洋陶磁美術館-




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大学を卒業して間もない頃、何もわからぬままに(今もわかりませんが)骨董街をウロウロとしていた私は、とある店の前で白く静かに輝く白磁の壺(李朝の壺)に惹かれて立ち止まりました。そして、若さゆえか何の躊躇も無く、一見さんお断りのようなお店の中へと入りました。
「若いのに李朝に関心があるとは嬉しい」と、様々な事を教えてくれた店の店主と、民芸運動の柳宗悦氏の話などになった時、当時の私は李朝の雑器などの美しさを再認識し、世にしらしめたのは彼だと思い込んでいたのですが、一冊の本を渡されました。『白磁の人』江宮隆之著。

まさに、今回の展観の主役。浅川兄弟についての本なのでした。
韓国を愛し、韓国の人々に愛され、その土となった人。
日本人とは、日本人の感覚とは、、という所をしりたい方には是非読んでいただきたい一冊です。そして、東洋陶磁美術館、何度も訪れていますが、今回の展観が一番素晴らしいと思っている私です。
7月24日(日)まで。是非お運び下さい。

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『禅文化』220号 技を訪う -ヨガ-

日々の生活で出会った素晴らしい様々な“技”を、季刊『禅文化』にてご紹介しています。
本ブログでもご紹介させていただきます。
その他の記事はこちらから。
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季刊『禅文化』220号より
“技を訪う―ヨガ”  川辺紀子(禅文化研究所所員)

 三年ほど前だったか、運動不足の解消とダイエットの目的で、ブームになっているヨガの教室になんとなく行ってみた。女性受けを狙ったきれいな施設だったが、取り立てて惹かれるものもなく、一度の体験レッスンを受けたきりで、その後、ヨガのことはすっかり忘れていた。

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先生の笑顔。レッスン前には時節に合ったお話から、ヨガの哲学を学ぶ

 昨年は、さまざまなことが重なって身にふりかかり、夏の終わりには心と身体のバランスが取れずにバラバラになりそうな感覚を味わった。「ヨガに行ってみようか」。そんな思いがふと心を過った。自転車で通りがけに目にしていたヨガ教室が即座に脳裡に浮かんだので、さっそく体験レッスンを申し込んでみた。迎えた初日、おそるおそる教室の扉を開けると、先生の笑顔が目に飛び込んできて、安堵を覚えた。先生の明るい健やかな雰囲気が部屋にあふれていた。レッスンを受ける前に、「あァ、この先生でよかった。絶対にこの人を好きになる」と確信した。

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頭立ちのポーズ

 伊藤加奈子先生。学生時代の十年間は体操競技の選手だった。その後はダンサーとして舞台芸術に携わり、その道で生きてゆこうとしていた中で、レッスンの一環としてヨガに出逢った。得点を競ったり魅せることに重きを置く世界にいた間には感じたことのない動の中の静寂に心打たれた。ヨガの叡智を学ぶにつれ、自身が体操選手だった頃にメンタル面が弱かったことを振り返り、スポーツ選手がヨガをすれば普段の力をそのまま本番で発揮できる助けになると確信した。スポーツ選手専門のヨガインストラクターを目指すきっかけだった。しかし、ヨガの効果は思いがけずも、自分の身体にあらわれた。ヨガを始めてから、長年苦しんだアトピー性皮膚炎がいつの間にか治っていたのだ。普段の生活も脅かされるほどの痒さだったという。先生の輝くような肌を羨ましく思っていた私は驚嘆した。

 「ヨガが、自分自身を偏らないところに戻してくれるんですね。中庸や中道を教えてくれます」と話される先生を見ていて、初めての時に感じた圧倒的な“健やかさ”は、見た目の健康的な美しさだけではなくて、その内面からきていたのだと繋がった。
 現在はいくつかの場所でヨガの指導を行なっているが、特にスポーツ選手の指導を専門にというこだわりはなくなったという。ヨガを通してさまざまな職業や、いろいろな立場の人々に出会うが、どこに住んで何をしていようと、皆それぞれに現実社会を生きて何がしかの重荷を背負っている。「みんな同じだな」というのがヨガを教えることを通して得た実感だが、少しでも元気になってもらったり、気持ちが良いとレッスンに通ってくれる人がいるのが無性に嬉しい。

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藤田美術館 -岸野承 彫刻展-




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次号の季刊『禅文化』取材の為に訪れた、伊賀の土樂窯。床に飾られていた彫像に心奪われました(次号に写真掲載予定です)。
伺えば、岸野承さん作の“雲水”とのことでした。
彼の個展があるならば是非教えて欲しいと言っていた所、大阪の藤田美術館にて、今月12日まで彫刻展が開催されているとの由。行かないわけにはゆきません。

彼が作るものの形の優しさ、そのものの生命が持つ美しさを表現した姿は、木像でもブロンズ像でも、私の心を捉えて離しません!なんであんなに優しい目線で対象物を捉えて、表現する事ができるのだろう……といつも感動し、拝見していると心穏やかになれる気がするのです。

今回写真をお見せできないのが残念なのですが、グーグルやヤフーで彼の名を検索して、ご覧になってみて下さい。そしてお時間ある方は是非12日までに藤田美術館へ!
私もお邪魔するのを楽しみにしています。

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重春 -北村美術館-




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6月12日(日)まで開催中の北村美術館(京都市上京区)の展観、“重春”。
昨年旅立たれた表千家の重鎮・久田宗也宗匠の御著書『重春 四季の茶心』から“重春”という名を拝借し、そのテーマにちなんだ茶道具の展示となっています。

いつも思うのですが、こちらの美術館では、茶事において必要な道具が茶事の流れのとおりに展示されており、茶事全体を通しての道具の組み合わせ方、季節感の出し方など、“流れ”を感じられるのが特徴で、勉強になります。
久田宗匠のご著書から拝借されたという“重春”の名に、日本の季のうつろいのなんとも美しい事を改めて感謝し、久田宗匠が後見をつとめられる茶席の、お人柄がそのままに滲み出たような、やわらかい温かさまでをも思い出すのでした。

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白豪寺 -奈良・高畑-




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秋にも訪れた白豪寺。有名なかの五色椿には遅かったか…と思いながらもGWに訪れてみました。ちょうど散椿の美しい時で、咲いても散っても美しい椿の花に眼福の一時。

前回訪れた時は、宝物館の閻魔像にいたく惹かれましたが、今回は地蔵菩薩のあまりの美しさ、もう生々しく生きていらっしゃるような、何かこちらに仰るのではなかろうか…というほどのお姿に目が離せなくなりました。

人って面白いな…と思います。その時の自分の精神状態、学んで成長した部分などなどによって、心にひびくものが違っていきますよね。そういったものを発見するためにも、同じお寺に季節ごとにお参りしてみるのも良いものだな……と思うのです。

仏さんを拝んだり、季節の花を愛でたり、伽藍を眺めて一息ついたり、参拝するには色々な目的があるとは思いますが、結局のところは、“自分を観にいく”事なのだな、と思った5月の白豪寺参拝でした。

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長沢芦雪 奇は新なり -MIHO MUSEUM-




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6月5日で終了しましたが、ミホミュージアムで開催されていた長沢芦雪展へと足を運びました。
御存知、円山応挙のお弟子さんなわけですが、応挙とは違って、-奇は新なり-との副題がある通り、我々(当時の江戸の人々)をあっと思わせるような息のむ作品が並びます。
ですが、何も彼は奇をてらって作品を描いたのではなく、彼の心の中には、楽しいことが溢れており、それを表現したり、仏教を題材にしたものも多い事から、彼と寺との関わりや信仰心から表現されていたり、とても自然なものと感じ、とても好ましく拝見しました。

富士山に郡鶴の図なども、彼にはあの風景がみえていたのだろうと思うのです。
唐子や犬がころころと丸くて、もう誰がみえても微笑ましくなるような柔らかさ、温かさ、可愛らしさを感じるように描かれていますが、それも彼にはそう見えていたのだろうな……と思うのです。それをただ、表現しただけ。
凡人には“奇”に見えたりするわけですが、なんとなくこの奇という文字に違和感を抱いた私でした。我々凡人が見えないものが、彼には見えていた気がします。素晴らしい!の一言につきる展観でした。
芦雪の作品を一挙にこれほどたくさん楽しめる展観、素晴らしい美術館が比較的住まいから近い所にある事を改めて嬉しく思う休日でした。
関西にご旅行に来られる方には、少々山の中で時間はかかりますが、是非とも立ち寄っていただきたいと思う美術館です。

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芒種 -二十四節季-




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今日は二十四節季の9番目「芒種」。新暦で6月6日頃。旧暦で考えると1ヶ月ほど早い時期のことになり、実際の日本の今の時期とはちょっと違うことになりますが、二十四節季は中国ではじまり日本にも長い間に染み込んできた文化ですから、今後もそのままの日付で見て紹介していくことにいたしますね。

芒種の芒(のぎ)というのはススキにあてた漢字ですが、ススキや稲や麦のように穂先が尖ったイネ科の植物のことで、これらの種を蒔くころを芒種というのです。

『唐詩選 三體詩 総合索引』(禅文化研究所刊。絶版品切れになっています)の索引で「芒種」を検索してみますと、こんな三体詩にこんな漢詩が見つかりました。

竇常という人が作った「北固晩眺(北固の晩眺)」という詩です。
  水国芒種後、梅天風雨涼。
  露蠶開晩簇、江燕語危檣。
  山址北來固、潮頭西去長。
  年年此登眺、人事幾銷亡。

冒頭、「水国、芒種の後、梅天、風雨涼し」とあります。「水辺の国は芒種を過ぎたというのに、梅実る時節は雨風も涼しい」いう意味のようです。琵琶湖のある滋賀県に住まう私としては、なんとなく想像できる情況ですが、如何でしょう。

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奈良少年刑務所




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奈良の旅が続きます。
宿の方に、「少年刑務所もご覧になってきたら」と言われ、何も知らなかったので少しびっくりしましたが、詳細を聞いているうちに思い出しました。

お坊さん(臨済宗)だったうちの祖父が保護司をしていた関係で、奈良の少年刑務所を視察に行った時の白黒写真が実家にあった事を……。
ここを視察に来たのだな…と感慨深く。

般若寺近くにあり、ジャズピアニストの山下洋輔氏の祖父で、山下啓次郎氏の設計により明治41年に建てられたロマネスク調様式の、奈良を代表する西洋建築です。
庭の植木も美しく剪定され、まだ若い人達が更生をはかる施設として、これほどに良い事は無いねと友人と語り合ったのでした。

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般若寺 -奈良市-




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奈良豆比古神社からすぐ近く、前々から気になっていた般若寺を訪れてみました。

飛鳥時代(629)に創建されたこの寺の魅力(私が思う)は何と言っても楼門(国宝・鎌倉時代)と、元は聖武天皇の創建と伝わる十三重石宝塔(重文)でしょうか。
天平時代には、平城京の鬼門を守る寺として栄えたそうな。

現在は、花の寺、特にコスモスが有名だそうで、既に早咲きのコスモスがわずかながら咲いていましたし、芍薬や山吹がそれは美しく満開の季を迎えていました。
数多く残る宝物にも眼福。奈良らしいおおらかな雰囲気が好ましいお寺でした。

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奈良豆比古神社




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奈良市内、奈良坂にあります奈良豆比古神社(ならづひこじんじゃ)。宿泊したホテルの方にお聞きして行ってみました。地元の方の情報はさすが!です。

創建は771年。光仁天皇の父施基(志貴)親王などを祭る社との事。
ことに私が興奮しましたのは、“翁”の舞の発祥の地であり、現在も10月8日の夜に舞が奉納されるとの事。平成12年には国の重要無形民族文化財に指定されたとの事です。
さっそくカレンダーを見ましたら、なんと今年は土曜日です。既に観に行く事を予定しています。
能楽堂での舞鑑賞も楽しみの1つではあるのですが、こういった、土地の人々で大切に守り伝えられて来た行事、かがり火を焚き、神社の境内で奉納される舞にこそ、日本人の魂をゆさぶる感動があると思うのです。

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