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季刊「禅文化」254号発刊のお知らせ

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一見静寂な禅寺。実は、その中ではさまざまな「音」が欠かせないものとなっています。

たとえば修行道場においては、教義の「不立文字」を体現するかのように響く各種「鳴らし物」の音が雲水たちの生活を司りますし、法要においては、各山に連綿と伝わる荘厳な「梵唄」「声明」が唱えられています。細かな点は伝承による違いがあるものの、いずれも禅僧にとっては馴染み深い《叢林の音》であることと存じます。

今季はこれら身近な禅寺の「音」を一冊にまとめました。「禅宗の声明の特徴(他宗派との違い)や伝承」「各種鳴らし物の歴史」など、テーマそれぞれ、造詣の深い先生方に書き下ろしていただいております。

また、近年尾張地方でしか生産されなくなった「木魚」については、その製作工程や現状について詳細な論稿の掲載が叶いました。

身近な存在でありながら“へえ、そうだったのか”という新鮮なお話をたくさんご紹介できたのではないかなと思います。是非お手に取っていただけましたら幸いです。

詳細は下記をご高覧ください。
https://www.zenbunka.or.jp/pub_etc/pub/entry/_254.html

よろしくお願いいたします。

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東海の名刹 奧山方広寺展のお知らせ

 

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お知らせがギリギリになってしまいましたが、来たる2019年11月4日~12月14日まで、花園大学歴史博物館にて、2019秋季企画展「東海の名刹 奧山方広寺」展を、大本山方広寺、花園大学歴史博物館、大蔵会、禅文化研究所の共催で開催いたします。

今回は、後醍醐天皇の皇子であった無文元選禅師(円明大師・聖鑑国師、1323~90)が開山とし、井伊家一族の奥山六郎次郎朝藤によって開創された、静岡県浜松市の臨済宗方広寺派の大本山深奧山方広寺で所蔵される宝物・什物を展観します。

禅文化研究所のデジタルアーカイブズ事業で、花園大学歴史博物館との共同悉皆調査によって得られた成果の発表の機会です。

無文元選禅師の関連資料をはじめとする寺史資料はもとより、黄檗僧との交流を伝える遺墨群や、江戸期から近代における絵画の優品、さらには方広寺の宗風を慕う人々より寄進された書画を通じ、方広寺の歴史を紹介するとともに、同地に華開いた禅文化の魅力に迫ります。

秋の好時節、京都へお越しの際には、是非、この展覧会にお運びいただければ幸いです。

また会期中に下記の通り、方広寺派管長・安永祖堂老師による公開講演会も実施します。それにあわせてご来場もお待ちしております。
■2019年11月23日(土) 13:00~14:30 
   「方広寺と無文元選禅師」安永祖堂老師(大本山方広寺派管長・元花園大学教授)

 

2019秋季企画展「東海の名刹 奧山方広寺」展

公開講演会

 

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瀬戸内国際芸術祭2019 秋季 その1

 

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ho03 そらあみ/五十嵐靖晃

3年に一度開催される、瀬戸内国際芸術祭2019の秋季に行ってきました。

瀬戸内海の島々で開催されている芸術祭。香川県の各港から船に乗ってそれらの島へ渡るのですが、大きく分けて東部と西部に分かれています。東部は高松港から向かうようですが、今回は西部の島のうち、本島、粟島、高見島、そして伊吹島の4島を巡ってきました。

この芸術祭ではオリジナルのスタンプブックが用意されており、それぞれの島の各作品の前に行くと作品番号プレートにスタンプが用意されていて、それをスタンプブックに押していくことができます。そんなわけで4島の全作品のスタンプをゲットして帰ってきたというわけです。以前、京都で行なった京都禅寺巡りスタンプラリーを思い出しました。

まずは、本島。車も10台くらいつめるフェリーで到着日の午後から向かった本島は、港周辺の作品を歩いて廻っていたのですが、夕方までに遠いところまで廻りきれないと思い、3時頃からレンタサイクルも借りて走りました。島には、何ヶ所かの砂浜もあり、それらの自然を活かしての作品もあり、気持ちよく楽しむことができました。

20191020-_MG_0872.jpgho10 "Moony Tunes"/ツェ・スーメイ

またこういった古い民家を利用して、真っ暗な空間に展示される作品もあります。島の中はけっこう坂もあるので、自転車もなかなか大変ですが、運行時間の決まっているシャトルバスを頼りにしていると、廻りきれないので仕方がないのです。一日かけていれば、大丈夫だったのでしょうが。全13ヶ所をかけめぐりました。

そして最後になんとか間に合ったというか、屋外だったので関係なくみられたのが、下の作品。

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ho13 "水の下の空"/アレクサンドル・ポノマリョフ

網でできた船のイメージですが、船の下には大理石のような反射する石も敷かれていて、空と海とが一体化したような印象を受けました。

小さな島ですが、東側と西側では集落の印象がだいぶ違うように感じました。戦国時代には塩飽水軍(しわくすいぐん)のいたという伝統のある島。塩飽大工と呼ばれる腕のいい船大工さんも多かったようです。
それから小さな島なのにお寺が多いことにも意外でした。すぐ近くを瀬戸大橋が通っていて、昔とはずいぶん景色がかわっただろうなぁと、昔の景色を想像しておきました。

一回で書いてしまおうかと思いましたが、分けて書きます。

つづく

 

 

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琵琶湖畔のとある漁村の花火大会

 

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まず、このたびの台風19号で命を落とされた方のご冥福を、そしてその悲しみにおられるご家族、被災されて家屋などに被害を受けられた多くの方々に手を合わせ、お悔やみとお見舞いを申し上げます。被災地が一刻も早く復旧し、少しでももとの生活が取り戻せますように祈念しています。

こんな時に呑気そうに、なんの写真だと思われた方もおられるかもしれません。お気持ちを害されたらご容赦ください。

実は毎年8/14に開催されて今年で10周年を迎えるという、とある琵琶湖畔の漁村主催の小さな小さな花火大会があります。今年は、8/14が台風直後の強風だったために、さる10/13まで延期されていたのでした。
ホントに小さな花火大会。多くの方が来られても対応できないからと、基本的には宣伝されていませんので、どこの花火だとここで書くことも控えますが、知る人ぞ知るで、ほんの少し他府県の方もこられているようでした。
私も知らなかったのですが、それにもちろん、元々の予定日である8/14ならお盆で、自坊は施餓鬼のあった夜で棚経もあります。絶対に行けないタイミングなのですが、延期しての一昨日での開催を友人に教えてもらい、数人で一緒に向かいました。

開催直前にスピーカーから聞こえてきた自治会代表と思われる老人のご挨拶は、決して流暢ではありませんでしたが、素朴でとても暖かくて微笑ましい声と内容でした。
いかにこの花火大会が住人の方に大切にされているかが伝わってきました。

そして最初に一発だけの花火。誰のためにとは仰いませんでしたが、追悼の花火だそうです。今回の犠牲者の方だけではなく、自分たちの大切な人をそれぞれに思ったことでしょう。

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そして開幕。湖面2箇所から打ち上げられる花火は、澄んだ湖面に綺麗に映りました。最初は低い位置で花咲くように打ち上げられていた花火ですが、途中では湖面すれすれで大きな花火が。思わず声を上げてしまうほど大迫力でした。

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息をつくまもなく、だんだんと盛り上がっていき、エンディングも大感動!あっという間の20分。至福の時でした。

終了時には満場の拍手。おそらく数百人しかいない湖岸の入江に拍手が響きわたりました。

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そして閉会が告げられると、さっと人がいなくなる。何とも清々しい記憶に残る花火大会でした。

今回の台風の被災地で、たくさんの川が決壊氾濫しました。でも、それらの土地では、きっと、水面に映る花火大会があって、皆さんの目を楽しませていたことでしょう。
大水に人や家や土地や車などを奪われ、涙で曇る皆さんの目に、一日も早く水面の花火が映る日が来ますことを祈ってやみません。そんな気持ちをこめて……。

禅では、すべてを捨て切れ、財産や名誉など生まれたあとからついてきたものなどは自分自身ではない、と教えます。どうか、まずはいのちを大切に。そして、自分自身を見失われないように。

 

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臨黄合議所移動理事会 於・大本山佛通寺

 

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巨蟒橋(きょもうきょう)を渉る各本山の御重役

昨日、10月10日に、臨済宗黄檗宗連合各派合議所の移動理事会が、広島県三原市にある大本山佛通寺にて開催され、事務局として参加してきました。
移動理事会は二年に一度、京都府以外の臨黄の本山が順番に受けて下さるもので、前回は富山の大本山国泰寺でした。各派総長様はじめ、各部長が集まり、それぞれの部会にて検討事項を会議します。

さて、佛通寺は深山幽谷といってもいい三原市の奥地にあり、各本山の御重役に福山駅に集合していただいて、バス2台で佛通寺に向かいました。佛通寺には初めて来たという方も多いようで、新鮮な空気を味わいながら境内に入りました。

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本堂から望むと、谷向かいには、朱色の多宝塔が見え、その奥には勧請開山大通禅師(愚中周及禅師)と開山佛通禅師(即休契了禅師)の木像が祀られる開山堂などがあります。

b_MG_0644.jpg到着してすぐに方丈にて、各本山の開山様に対して読経し回向をしました。その後、各部会に分かれて会議をいたしました。お互いに情報交換し、各本山はもとより宗門全体の運営について毎回学ぶことが多いように思われます。

20191010_153853.jpg分科会の後、また一同に会してそれぞれの分科会の報告がなされ、会議は終了。その後、福山市のホテルに移動して和やかに懇親会を終え、宿泊となった次第です。

二年後の移動理事会は滋賀県の大本山永源寺で行なわれることになります。

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高知 吸江寺展(高知歴史民俗資料館)

 

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去る10月6日土曜日に、土佐を訪ねてきました。というのも、高知県立歴史民俗資料館で行なわれている特別展「吸江寺(ぎゅうこうじ)」の展観を観るため、そしてこの日の午後に行なわれる、吸江寺(兼務)住職・小林玄徹師の「吸江寺について」という講演を拝聴するためです。小林玄徹師は私と同じ道場で修行した同輩です。

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吸江寺は高知市にある夢窓国師が開山の名刹で、県立の博物館(資料館)が一つのお寺の特別展を開催することは、珍しいとはいいませんが、実際にはあまり行なわれていないことでもあります。そしてこうやって、展観品の写真撮影がOK(一部不可)ということも珍しいですね。

 

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小さな展示室ではありますが、吸江寺の宝物の数々、そして関係する逸品が展観されていました。吸江寺は、夢窓疎石の建立によるものですが、その後、五山文学の双璧として有名な義堂周信や絶海中津も住職をつとめ、当時の土佐の守護代であった長宗我部氏に護られてきました。また山内一豊の子(拾・ひろい)が湘南と名を変えて住職となったりして、土佐と大変深い関係がありました。明治時代に廃仏毀釈で一旦廃寺となったのですが、妙心寺から特命を受けた少林踏雲によって再興され、今日に到っています。

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展示室内は多くの人がおいでになっていて、高知の人たちにとってなじみの深い吸江寺の歴史を知ることができ、展観に興味を向けられていました。また同じく講演会を聴きにこられた、愛媛の大乗僧堂の河野徹山老師ともお出逢いしました。
右端の小さな木造は、夢窓国師自らが水鏡に写して彫刻されたという夢窓国師木像です。

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午後2時より2時間にわたる小林住職の講演を拝聴しました。プロジェクターで画像を出しながらのお話で、夢窓国師の足跡や知らなかった吸江寺の歴史を詳しく紐解いていただきました。130名の定員で満席。直前のお申し込みには、残念ながらお断りされていたほどの盛況です。

吸江寺はその上に竹林寺という文殊菩薩を護るお寺がある五台山という山の中腹にあります。まさしく中国の五台山を模したものかと思われますが、その地名がいつ名付けられたかは不明としながら、おそらく夢窓国師ではないかと想像します。

吸江寺の目の前には湾がありますが、こちらも今は干拓されたりして少々狭くなってはいますが、それ以前の古地図を見せて貰えたり、またそこに書かれている吸江寺の建物なども知ることができました。

この展覧会についてお知らせしておきます。

企画展「開創700年記念 吸江寺」
会期:2019/10/4(金)~12/1(日) 9~17時 会期中無休
観覧料:大人(18歳以上)700円
主催:高知県立歴史民俗資料館(公益財団法人 高知県文化財団)

なお、11月3日(日)14~16時に「吸江寺と禅僧の文芸」と題して、中村健史氏(神戸学院大学准教授)の講演があります。こちらも先着130名で要予約となっています。あわせてお出でになっては如何でしょうか。

2019-10-05-18.06.jpg高知駅前には高知出身の英雄、武市半平太、坂本龍馬、中岡慎太郎の三方の銅像が立っています。秋の夕暮れにライトアップされ、勇ましいことでした。


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サンガセミナー 2019 「禅の建築」講座

 

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鳴り物入りで消費税が10%に増税された10月1日、サンガセミナー2019の第三回目となる「禅の建築講座 -八坂の塔と建仁寺-」を開催しました。17名の受講者の皆さんは、例によって遠方からの方も多くおいででした。

まずは午前中、建仁寺の富春閣の一室をお借りして、座学を1時間半。今回は和様と禅宗様という二つの建築様式の特徴を、講師の佐々木日嘉里先生より丁寧にご教示いただきました。

和様の特徴は、立柱を長押でつないでいるが、鎌倉時代初期にできた大仏様やその後の禅宗様という建築様式では、立柱の中を通す貫(ぬき)が使われるようになったようです。

ほかにも今回見学する建仁寺の建物は禅宗様ですが、その後に見学する法観寺五重塔(八坂の塔)は和様建築で、なおかつ「塔」という特殊な建築の特徴が多く見られるということで、とても楽しみになってきます。

 

座学のあとには上幸さんより精進料理の松花堂を仕出していただいて、富春閣で受講者に召し上がっていただいたあと、建仁寺の見学です。教学部長の坂井田さんにご案内をいただき、方丈や法堂の襖絵画などもご説明いただき、その後、栄西禪師の祀られている開山堂、浴室も見学させていただきました。その間、建築上の重要な部分については佐々木先生からご説明も受けました。

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下は法堂の組物(斗栱:ときょう)には禅宗様の特徴が見えます。

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建仁寺の見学の後に、ゆっくりと歩いて法観寺五重塔へ。平日は拝観をされていないところを、無理を言って見学させていただきました。

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受講者は佐々木先生が自らお持ちいただいたヘッドライトを頭に付けて、このあと内部三層まで急な階段をあがって内部構造の説明を受けながら見学しました。

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下記の写真は、外に見えている部分です。内部がどうなっているかは……。ここでは載せないでおきましょう。ともかく立派な心柱(しんちゅう)が印象的でした。

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五重塔の内部、明かり取りの窓からのぞくと、こんな景色が見えました。なかなか見られない光景です。

10月とは思えない暑い日でしたが、皆さん、とても学ぶことが多かったと好評をいただきました。

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さて、次回のサンガセミナーは、10月24日(木)です。午前中は「精進料理講座」、午後は「日々の花講座 -晩秋の花を生ける-」です。あいにく精進料理講座は定員に達しておりますが、日々の花講座はあと数名ならお申し込み可能ですので、お早めにどうぞ。

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秋の特別展

この秋に開催される禅に関する展覧会をご紹介します。
この機会に足を運ばれてはいかがでしょうか。

一つは佐川美術館(滋賀県守山市)で開催の「ZENGA 白隠と仙厓展」です。江戸時代に活躍し、衆生済度の精神で禅の普及に努めた白隠と仙厓。彼らの描く自由で豪放な書画は、一見するとユーモア溢れる筆致で描かれていますが、そこには痛烈な社会諷刺や謎掛けといった様々な仕掛けが散りばめられています。
個性の違う二人の書画から、本来伝えるべきそのメッセージを読み解くことで、禅画の魅力を紹介します。

会期は10月1日から12月1日まで。

http://www.sagawa-artmuseum.or.jp/plan/2019/03/zenga.html

①白隠慧鶴《蓮池観音》_江戸時代(18世紀)_個人蔵.jpg


もう一つは鳥取県立博物館で開催される「殿様の愛した禅 黄檗文化とその名宝」です。江戸時代の鳥取藩の歴代藩主は、中国僧隠元禅師が伝えた黄檗宗を信仰し、その菩提寺である興禅寺は「黄檗三叢林」とされ高い寺格を誇りました。この展覧会では、江戸時代鳥取における黄檗宗に光を当てる初めての試みで、鳥取の文化に大きな影響を与えた黄檗の歴史を紹介します。

会期は10月5日から11月4日まで。

https://www.pref.tottori.lg.jp/obaku/

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