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布志名焼舩木窯 -松江のやきもの-




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松江藩おかかえ、不昧公好みの物を作った窯元といえば、布志名焼の窯元がいくつか挙げられますが、布志名焼は、茶陶として民芸運動には参加しなかった窯元、参加した窯元で特色はわかれています。

参加した代表的な窯元の一つに、宍道湖そばにあります“舩木窯”が挙げられます。
松江にゆくならば、是非とも訪ねたかった窯元です。

こちらは、バーナード・リーチが松江を訪れる際には常宿とし、お庭からいつも宍道湖をスケッチしていたところ。それは素晴らしいロケーションにある窯元です。
現在のご当主の舩木伸児さんに直々に御案内いただき、様々な御縁の繋がりも発覚し、それは楽しいひとときを過ごさせていただきました。

お宅にある世界各国の様々な物のコレクションも興味深く。
物を作る方達は、いつも私に物を見る眼や、そこから何か新しい物を生み出す、創造するという事をえてくださり、日々のくらしもそれは美しく、私もそうありたいもの……と心ときめくのでした。

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松江城 堀川めぐり -島根県松江市-




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いかにも観光客めいた“堀川めぐり”なるものに興味のある人間では無いはずなのですが、松江の美しい城下町を歩いていると、お堀からの目線でこの美しい景色を愛でずにはいられなくなりました。
松江にゆかれたら必ずや体験される事をオススメします。
なんと冬にはおこたつに入りながらめぐるそうですよ!

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BIWAKOびえんなーれ2012 -御伽草子 Fairy Tale-




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今、滋賀県の近江八幡エリアと五個荘エリアの二ケ所で、「BIWAKOびえんなーれ -御伽草子 Fairy Tale-」が開催されています。

近江商人のお屋敷や空き町家など、江戸期の建物を会場として、たくさんの作家が作品展示を行なっています。特に土蔵の真っ暗な空間を利用して展示されているものもあったり、庭や座敷に展示してあるものも多くあります。

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『禅文化』224号 技を訪う -Ajee バングラデシュの手仕事-




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日々の生活で出会った素晴らしい様々な“技”を、季刊『禅文化』にてご紹介しています。
本ブログでもご紹介させていただきます。
その他の記事はこちらから。
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季刊『禅文化』224号より
“技を訪う -Ajee バングラデシュの手仕事-”  川辺紀子(禅文化研究所所員)

 風が秋の気配に変わったので、部屋に敷くラグ(カーペットの一種)を探し始めた。輸入家具を扱う洒落れた店に行けばすぐに気に入る物はみつかるだろうと高をくくっていたが、歩きまわって探したものの、美しさ・値段共に納得できる“良いもの”はみつけられなかった。
 量産された規格品はそれなりに見栄えの良い物でも、どれも同じように目に映り、面白みがない。かといって、キリム(トルコ・イラン・アフガニスタンなどの一部地域で織られる、平織りの敷物)の素敵なものは値段も張り、エスニックな模様は、私の部屋ではやや主張しすぎる嫌いもある。
 色合いが気になる物は、実際に手にとって見ることのできないネットでは買わないことにしていたのだが、ラグにはどんなものがあるのだろうとさまざまな店を検索していて、ふと、素朴で美しい、チベット僧の衣の色をもっと深くしたような色合いのラグが目に留まった。私はすっかり心を奪われてしまった。バングラデシュの村で伝統的な方法により一枚ずつ織られているというラグで、全く同じものは一枚もない。店のホームページを見ると、バングラデシュの手仕事を愛する店主の気持ちが強く伝わってくる。それがフェアトレード(途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することによって、立場の弱い途上国の生産者や労働者が十分に暮らしていける価格や賃金を保障し、生活の改善と自立を促す運動)で販売されていることで、さらに共感が増した。何の迷いもなく注文して到着を心待ちにした。

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田部美術館 -島根県松江市-




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松江に趣くならば是非とも足を運びたかった、田部美術館

奥出雲の山林王、たたら製鉄で栄えた田部家23代当主の長右衛門氏といえば、実業家としてのみならず、政治家、そして近代を代表する数寄者としても必ず名が挙がる方です。

私の場合は、出雲出身の母から、「出雲の人間は長右衛門さん長右衛門さんといって親しみをこめてよんでいる。あそこのお家は代々長右衛門を名乗るのだ」と、同じ話ばかりよく耳にしていた為、それがいつの間にやらしみついて、勝手に親しみを持ち、翁が集めた茶道具を拝見するのを楽しみに足を運んだのでした。

このような人物がこの土地から出るのには、やはり茶人として独自の美意識を後世に残した、松江城主・松平不昧公を忘れてはならないと思います。連綿と受け継がれて来たその土地の気というものが、後世に立派な人物を排出します。

美術館では、不昧公の軸から書き付け、お好みの窯元の茶碗など、山陰の茶の湯の中心がここである証を大いに感じ、楽しませていただいた。
私にとっては、こじんまりとした私設美術館ではあっても、どんな立派な美術館よりもこの地へ趣けば外せない美術館なのでした。

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神魂神社(かもすじんじゃ) -島根県松江市-




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神魂神社。
現存する最古の大社造りの本殿は、言わずもがな国宝に指定されています。
例外無く、訪れる人の琴線に触れるのではないかと思われます。
京都国立博物館・大出雲展にて拝見した、古代出雲大社復元模型を思い出すような佇まいでした。

......と、私が初めてこちらでご紹介するものとばかり思っていましたが、神社・神道についても右に出る者はいないほどに詳しいF氏が既にご紹介していましたので、詳しくはこちらをご覧になってください。

松江にて、お時間が無い方にも、この神社は是非とも参拝される事をオススメします。

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宍道湖




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夜明けの宍道湖。
ボラやスズキ、キスにハゼなどが釣れる模様。

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夕景。ちょっとこの夕日はなかなかのものですよ。

島根県立美術館より。

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和歌発祥の地 -島根県-




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須我神社

  八雲(やくも)立つ 出雲(いづも)八重垣(やへがき) 妻籠(つまご)みに 八重垣作る その八重垣を


須佐之男命がヤマタノオロチを退治し、妻となった稲田比売命と住まう地を探し、現在の島根県雲南市大東町須賀あたりにやって来た時、「この地に来て気分がすがすがしくなった」と、住まう事を決め、詠んだ歌が上記なのだとか。
須賀という地名はこの、「すがすがしい」からついたそうです。
神話の時代の出来事をとても近くに感じる島根県、松江近辺を尋ねましたので、これから幾度かにわたって紹介させていただきます。

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夫婦岩_八雲山
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今週の花




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玄関

家より、矢筈すすき・ホトトギス・ハナミズキの紅葉した枝を持参しました。




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廊下

サルビア・ガラニチカ。このようなお花も山野草ぽく生ける方が好みです。

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朝鮮王朝の意匠(デザイン)と装身具 -高麗美術館-




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大好きな高麗美術館を尋ねました。
暑さやわらいでくる=様々な美術館で魅力的な催しがひっきりなしの季節。
ということで、夏の終わり頃から、私の休日は美術館巡りだけでも忙しくなります。

韓国の布のものは、ポジャギワークショップにでかけるほどに大好きなのですが、今回の展観では、ソウルの徳成女子大学所蔵の珠玉の所蔵品がお目見え。

婚礼衣装に見られる美しく色鮮やかな布。日本の平安時代のかさねとはまた違った色の重ね方、使い方。
吉祥を願い、嫁ぐ娘の幸せを願い、また、子孫の繁栄を願い作られた意匠の数々。
どこの国でも、“思い”は一緒ですね。こういう視点から見ると、ごく自然にお互いの事を尊重できますね。
どちらも、尊い。

11月11日まで。

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人生ママナラヌコト




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宍道湖から望む夕景

先日、友人宅での松田高志先生によるお勉強会にて、鈴木大拙先生のおことばが登場しました。

「人生 ママナラヌコトニ出遇ハナケレバ 道ニ 契(カナ)フコトハ出来ナイ」

ママナラヌ事の真っ只中にいる時はそんな事を言われても何がなんだかわからないでしょうが、喉もと過ぎて振り返れば、そうなのだなと心底思えます。
ママナラヌ事に遭遇しても、「ありのまま」を受け入れる事で道がパッと開ける。

この日は、「ありのまま」・「事実唯真」についてのお話の会でした。

人間はなかなかに、自分の事に関しても、周りで起こっている事に関しても、ありのままにとらえる、ありのままに見るという事ができない、素直になれない、何か勝手に自分自身でヴェールをかぶせてみたり、歪んで見てみたりするようです。

ただただ、"見る"。
このあたりの"ものごとの見方"に関して、禅宗の祖師方や老師からヒントを多々いただいている気がします。

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今年の白花ホトトギス




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先般、6年も前に本ブログで書いた「白花ホトトギス」の記事にコメントをいただきました。
育てていらっしゃった思い出のある白花ホトトギスを、植え替えの際にあやまって枯らせてしまったとのことで、上記のブログをみてコメントをいただき、私が買った店をお知らせしたところ、大変に喜んで頂けたというわけです。詳しくは上記のコメントのやりとりを見ていただければお分かりいただけましょう。
そこでお約束しましたので、今年もたくさんの花をつけた、自坊の小さな庭にある白花ホトトギスを掲載させていただきます。
ただ、今年は猛暑のせいか、葉が焼けてしまって、あまりきれいではありませんが、花は美しく咲かせてくれました。

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『旅をする木』星野道夫 文春文庫




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約2年前、お慕いする素敵なマダムからプレゼントされた、星野道夫著『旅をする木』。

いただいてからすぐにページをめくり出したものの、アラスカのあまりにスケールの大きな自然の描写、そこから星野さんが感じ取られている事が、どうも当時の私では理解の枠を超えたのか、馴染めないまま、読み進められないままに本棚にしまわれていた。

今年の夏、初めて北海道へ行き、私が育った都会や、旅してきた少しばかり田舎めいた所とは全く違う、圧倒的な大自然というものを少しは垣間見られた気がした。
ご近所まで何キロ離れているのだろう……というようなペンションに帰る途中に見たエゾシカ、どこまで行けども続く同じような風景。想像を絶する広々とした大地。その大地と大きな空が持つ力に私は魅せられた。

旅から戻り、家でふと名著を紹介した小冊子をめくればそこに、『旅をする木』が。

「あれ、この本、持っているな。そういえばペンションには星野さんのヒグマの写真が飾ってあった。ああいう所に旅をする人にとっては今もなお、星野道夫といえばある種の感慨無しにはいられないほどの人なんだろうなぁ……」と思いつつ再び手に取ってみた。

そこには、星野さんが自然から学んだ、磨き上げられた宝石のようにキラキラと光る真理がちりばめられていて、ストンと私の心に入って来た。まさに、眼から鱗であった。
悟りの方便とは本当に人それぞれなのだという事を、身をもって教えて下さっていた。

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松花堂庭園 美術館 -京都府八幡市-




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“松花堂の茶の湯-八幡の茶室に学ぶ-”を拝見しに、八幡市にあります松花堂庭園・美術館を久しぶりに尋ねました。

いわずもがな、松花堂昭乗は、近衛信尹・本阿弥光悦と共に寛永の三筆と讃えられた書の名人ですが、書のみならず、画、茶、作庭、その他諸々に通じたこの時代を代表する文人でした。

石清水八幡宮の境内にあった寺(明治維新までは八幡宮の境内に約60を数える坊があったのだとか)にいた社僧(真言密教を極めた阿闍梨でもありました)でしたが、寺を譲った後は、“松花堂”と名付けた庵に住まいしました。
その庵が移築され、今もなお松花堂庭園内にその姿を残していますが、茶道を習い始めた頃の私が初めてこちらを訪れた時には、衝撃を受けたものです。

「茶を点てて、仏にそなへ、人にほどこし、吾も飲む」を具現化、まさに必要の無いものは極限まで削ぎ落としたような草庵。それでいて、侘び過ぎているわけではなく、どこか気品漂い、こじんまりとしつつも荘厳な寺院のごとく厳かな雰囲気あり、なぜか江戸の文化が花開いた当時の事も思わせられ、神仏習合も見て取れるような、形容しがたい佇まいを見せていたのです。松花堂昭乗その人そのものがよくよく現れているなぁ……と思ったものです。
久々に見てもその思いはやはり色あせる事なく、それどころかさらに感動してしまいました。茶を習う者が行き着きたいと願う境地ではないでしょうか。

美術館では、親類でもあった小堀遠州との交流がみてとれるような茶道具が出展され、松花堂の周りの数々の文化人についても学ぶ事ができ、非常に充実した内容となっていました。

この展観は14日(日)までですので、是非ともご予定無い方はおでかけ下さい。

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魂の行き来する道筋




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一絲文守 倶胝図_禅文化研究所蔵

9月28日の朝日新聞の朝刊を手にして、心躍った。村上春樹氏の東アジアの領土をめぐる問題についての投稿が、一面トップに据えられていた。「魂の行き来する道筋を塞いではならない」。

中国は「尖閣諸島」で、韓国は「竹島」で、大騒ぎになっている。それを受けて、日本側も「中国はなんちゅう国や」「韓国ってどうなってんの」と憤慨している。

村上春樹氏の言に耳を澄ませてみよう:
 「領土問題が実務課題であることを超えて、”国民感情”の領域に踏み込んでくると、それは往々にして出口のない、危険な状態を出現させることになる。それは安酒の酔いに似ている。安酒はほんの数杯で人を酔っ払わせ、頭に血を上らせる。人々の声は大きくなり、その行動は粗暴になる。論理は単純化され、自己反復的になる。しかし賑やかに騒いだあと、夜が明けてみれば、あとに残るのはいやな頭痛だけだ」

村上春樹氏の著書の印税収入は、国内より外国が上回るという。世界でこれだけ翻訳され、読まれている日本作家は彼をおいてほかにはいないだろう。韓国でも中国でも氏の作品はほぼ翻訳されていて、多くの読者をもつ。優れた日本の製品を愛用する人はいまだ世界に少なからずいるだろうし、その技術に関わる人たちに対する敬意はいささかも揺るがないが、頭に血が上った人たちが、日本製品を踏みつけたとしても、村上氏の翻訳された著作を投げ捨てるだろうかとふと思う。氏の作品に心通わせ得た人なら、「領土問題」ごときにそう簡単に振り回されたりはしないのではないか。「魂の行き来する道筋」が打ち立てられるとはまさにそういうことだろう。

氏の投稿を、一面に取り上げた「朝日新聞」の鮮やかな決断にも目の覚めるような気がした。「もう新聞の使命は終わったな、ぼつぼつ購読をやめようか、情報はネットで事足りる」と感じ始めていた時だったからである。伝統を背負う紙媒体のもつ力と見識に圧倒された。

私は村上作品が好きで、『風の歌を聴け』からずっと読み続けてきた。「彼の書くものは退屈しない」というのが最初からの一貫した感想だ。漱石を読むのと同じくらい楽しい。彼の作品は、これからも何度も読み返すだろうと思っているが、彼の「コミットメント」の姿勢にも強く心打たれる。

「(中略)そのような中国側の行動に対して、どうか報復的行動をとらないでいただきたいということだけだ」。「”我々は他国の文化に対し、たとえどのような事情があろうとしかるべき敬意を失うことはない”という静かな姿勢を示すことができれば、それは我々にとって大事な達成となるはずだ。それはまさに安酒の酔いの対極に位置するものとなるだろう」

一読したとき、本当にハッとした。私もうっかりと、安酒の酔いに足を取られるところだったような気がする。
もちろん、「領土問題は避けて通れないイシュー」だが、「国民感情の領域」に踏み込むことなく、「実務的に解決可能な案件でなくてはならない」としてペンを執った村上春樹氏に、心から喝采を送りたいと思った。

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第10回 禅と文化の旅 ごあんない




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修復中の観音堂

「次の禅と文化の旅はいつですか?」と何人かの方からかお尋ねがありましたものの、滞っておりまして大変失礼を致しました。漸く決定いたしました。

【第10回 禅と文化の旅】(11月30日・金)は、少し遠出して、岐阜県多治見市の永保寺さんを訪ねます。


私自身、6月にお邪魔してみて素晴らしいお寺でしたので、是非皆様とご一緒できたら…と思った次第です。
また、その時はまだ国宝観音堂が修復中であった為、残念ながらシートに覆われており、個人的にも(すみません)もう一度見てみたい思いにかられていたのです。
私の上司を通じて永保寺さんにお願いしました所、この観音堂にも入らせていただける事になりました!

と、このように書いていると、「あなたがたは旅行業者か。普段入れない所を売りに高い金額で参加者を集うとは何事か。恥を知れ」とのお叱りを以前いただいたのですが、私はこちらで働かせていただいていますが、在家の禅ファンのようなもの。私の行きたい所は皆様も関心がおありだろうと思っています。

正直我々は旅行業者ではないので、値段も普通のバスツアーのような金額で御案内する事が不可能です(それでも赤字になるかならないギリギリの設定です)。それでもご理解の元、時間とお金を使い、禅の至宝に触れたいという思いで来てくださる皆様と感動と学びを分かち合いたいと思っています。

これまでにご参加いただいている方々には久しぶりにお会いできます事を心待ちにしております。
また、初めてご参加いただきます皆様との御縁も楽しみにしています。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。

*詳細はこちら
*お申し込みはこちらからどうぞ。

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住友コレクションの茶道具 -泉屋博古館-




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野村美術館を訪れた日、近くの泉屋博古館も訪れてみました。
こちらは御存知、住友家十五代、吉左衞門友純(号・春翠)が蒐集した美術品等を展示している美術館です。
青銅器のコレクションがとても有名ですが、今回は彼の蒐集した茶道具の逸品がお目見え。
青銅器に惹かれる春翠らしく、中国美術の造詣が深く、唐物の名品が多いのが特徴です。

関西には他に、阪急の小林一三の蒐集品を展示している逸翁美術館、野村得庵の野村美術館、山林王として名高い北村謹次郎翁の北村美術館、朝日新聞社の創業者・村山龍平翁の香雪美術館などなど、多くの実業家のコレクションを拝見できる美術館があります。

長い所で、既に10年以上は通い続けてコレクションを見てきていますが、本当にそれぞれに個性があり、面白いものです。
その人に実際に会った事はなくとも、蒐集された物から、人となりを勝手に想像して楽しんでいます。
あつめた物、あつまった物とは、その人自身、その人をうつす鏡のようなものだと思います。財力のあるなしは関係ありません。

財界人の茶道具や美術品のみならず、私達が普段使う器一つ、何を選ぶかにしても、その人を写しているのだと思います。
我が研究所の西村惠信所長が、「禅はどこにでも転がっている。茶の間にでもだ」とよく仰いますが、まさにそうで、日々の暮らしを省みる事は、まさに自身を省みる事なのでしょう。

*おしらせ
野村美術館と泉屋博物館、どちらも訪れると割引があります。場所も近いですし、是非に!

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元同僚のSさん逝く




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Sさんの記した紙焼きサイズ指定


私が研究所に勤務し始めた頃、季刊『禅文化』の編集をされていたのが、S女史だった。
私は事務職のあと、編集室に配属されたが、編集校正の基本的なことはSさんから教わった。
当時はワープロ専用機初期のころで、まだDTPではなく、レイアウト用紙に文字数や写真サイズを計算して割り付けていく方法で、写真も紙焼きにハトロン紙を合わせて拡大縮小の指示を鉛筆で書いたりしており、こういったことは、教わったというより、Sさんの受け持ったレイアウト用紙や校正紙を見て学んでいったように思う。

数年後、ご縁があってSさんは結婚退職され、天龍寺近くの造園業を営む男性の妻となられたが、編集スキルがあるため、天龍寺の刊行物の編集などを請けておられ、その仕事を禅文化研究所にいる私と協力して印刷会社に渡して発行するというようなワークフローができていた。
したがって、研究所を退職されたあとも、たびたび一つの仕事をする機会があったのだ。

Sさんが末期ガンで余命幾ばくも無いと、先月末(2010/9/25)、季刊『禅文化』のSさんのあとの編集担当である同僚Mさんから、突然聞かされた。驚いた。
Sさんは相変わらず天龍寺の刊行物の編集をし、近年は等持院の受付の仕事まで始めて、元気にされていると思っていたので、信じられなかったのだ。しかし既に見舞いにいったというMさんがいうには、もう見る影も無いほど弱られていると……。ただ、会いに行ったらとても喜んでくれた。多くの人には自分の病気と入院を告げていないようだが、あなたもお見舞いにいって上げて欲しいと言われた。

二日後の夕刻、仕事帰りに京都第2日赤病院の病室を訪ねた。部屋は真っ暗だったので、そっと呼びかけてみると小さな声で返事があった。明るいとつらいらしく、ドアに近いところの薄明かりをつけて面会した。私の知るSさんとは思えないほど痩せておられた。ちょうど訪ねたとき、吐き気がするらしく辛そうだったが、吐き終わると楽になるのよと、私の来訪を手を握って喜んでくださった。

明るさになれてよく見ると薄化粧もしていて、話しかけることにはニコニコと応じ、時々様子を見に来る看護師さんには、いちいち感謝の声をかけておられたのが印象的だ。
うがいをしたいから、病床から身体を起こしたいので手伝ってと言われ、支えたその背中、足の細いこと。もともと太ってはおられなかったが、中肉中背のしっかりした体つきだっただけに、言葉を失った。

私の近況のことも語り、Sさんの息子さんのことなどもお聞きし、小一時間を一緒に過ごした。時折、冗談を言うと、元気なときと寸分変わらぬ力強い明るい声で、彼女の好きな冗談を言い返された。
「疲れるだろうしそろそろ帰るね」というと、また手を出して握手を求められ、「また来るから元気出してね」というと、顔をくちゃくちゃにして笑われた。
また翌週にでもお見舞いにこよう思って病院をあとにした。


一昨日午後2時、Sさんは帰らぬ人となられた。享年65。こんなに早いとは思わなかった。入院して半月である。
生涯頑張って仕事をされ、やっともらい始めたという年金で、定年退職されたご主人とこれからの人生を楽しんで欲しかった。それなのに、まるで病気になった自分を羞じるかのように、ほとんどの人に告げずにそっと逝ってしまわれた。だがしかし、ご自身は、ずっと禅と関わってこられた方らしく、毅然として逝かれたに違いないと思う。
いま思い返すと、病室を出るときに私に向けられた笑顔には、自分の残り短いであろういのちについての覚悟と、私との別れの気持ちも表われていたようだ。

愛別離苦の四苦からの脱却は仏教の基本だが、Sさんと握りあった手の感覚がしばらく抜けないだろう。心よりご冥福をお祈りする。

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Sさんと一緒にした最後の仕事
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平成24年 大徳寺曝凉展




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年に一度の大徳寺爆凉展、10月14日(日)開催です(雨天中止)。

場所:大徳寺本坊
時間:午前9時~午後3時半まで。
料金:お一人1,300円。

ガラスケースごしではなく、間近に祖師方の息吹に触れる事のできる機会。
是非、迫られてみてください。

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茶の湯名碗展 -野村美術館-




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名碗と世に名高い茶碗が数々並ぶのを拝見しに、南禅寺近くの野村美術館へ。

茶を点てる器とはふしぎなもので、抹茶碗でなくとも、「あ、これで茶が点てたいな…」と思うものもあれば(昔の茶人が朝鮮の雑器を茶に用いたのがよくわかりますね)、抹茶碗として売られていても、「何故これに茶が点てられよう……」と思うものもあるわけで、では自分はどういった感覚でその判断を下すのだろう?!と思う今日この頃です。
そこには単なる好き嫌い、好みだけでは決してない、普遍的なものがあるのかなと思います。

たまに、若い作家さんが“抹茶碗”と題して作品を展示しておられて、目に入った瞬間に私のどこかが疑問を抱くと、意地悪な事に「お茶のお稽古はどちらで?」などと尋ねてみます。
本当にイヤラシイのですが、自分の疑問を明らかにしたいのです。すると、たいがい習っていなかったりするものです。
茶を点てず喫せずして、どうして茶碗が作れよう……と私などは立腹寸前までゆくのですが、では、茶をしていないと茶碗が作れないか…というと、そうとも言えない事もあり。
そして、私が勝手に思うところの「茶を点てるに値する器」というものが、はたして正しいのか正しく無いのかも、誰が判断できようというものです。

世の中には、抹茶碗と題されて茶碗でないものあり、先生と呼ばれながら先生でない人あり、衣をまとえどお坊さんでない人あり、様々なまやかしがあるもので、もうこれは自分の目を、心を鍛錬して見る目を養うしか無いのだなぁ…。そしてかくいう私も、着物を来て茶人面をしておきながら、茶の無い人間にならぬようにせねばならないな…と自身を律する気持ちになるのでした。

何の話でしょう。お茶碗ですね。
今期やはり素晴らしかったのは、青井戸でした。でもこれも、自分が変わればまた好みが変わり、その時の自分によって惹かれるものは変わるのものですね。
後期も楽しみにでかけたいと思います。

【前期】9月8日(土)~10月21日(日) 
【後期】10月23日(火)~12月9日(日)
※ 前期・後期で全面的な陳列替あり。

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“適当に添イ立ツ”




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皆さんこんにちは。

もうこのブログで何度もお話させていただいておりますが、先日はまた、母校にて恩師・松田高志先生を囲んでのお勉強会でした。

この日は、神戸女学院が初めての方もいらっしゃいましたので、ヴォーリズ建築の粋を皆で堪能し感動した後、先生のご著書、『いのちのシャワー』より、-自然の恵み-という文章を読み、先生にお話いただき、集った皆で感想を話し合い、そこから何かそれぞれが持ち帰りました。

先生は、奈良の御所市で畑をなさっていますが、エンドウをご覧になると、いつもある時期になるとにょきにょきと大いに伸び、たくさんの房を付ける為、「育つ」という言葉を思い浮かべられるのだそうです。

「育つ」の語源説は色々ありますが、先生のお気に入りは、小さな苗や苗木が、添木につかまり、支えられながら生長することから来ている、「添イ立ツ」という説。
なぜなら、これが実際的に「育つ」という事の本質と思え、さらに、親子に例えると、子どもはどういう力を持ち、親はどういう助けをすべきかがよく現されているからなのだとか。

エンドウは、茎が柔らかく、必ずや添え木が必要だそうですが、少し触れると折れてしまう。それでも、適当な添木さえあれば、にょきにょきと大いに伸び、収穫しきれぬほどの実りをもたらすわけです。

この、“適当”っというのが、ほんとうに難しいですね。
親子関係のみならず、師弟関係にも、友達づきあいにも言える事ではないでしょうか。

つまるところは、自分が何かの添え木になる場合は、相手をよくみつめ、それ以上に自身をみつめるしか無いというところかな……。己事究明。やはり禅だ!
最終的に全てそこに行き着いてしまう私なのでした。

それにしましても、あの美しい御所の地で、大和三山を眺めつつ畑仕事をする先生。
思い浮かべるだけでなんとも温かい気持ちになります。
そして、エンドウの育つ様を見て、先生は様々な大切な事、芯、真理というものを自然から学んでおられるのだな、やはり、全ての答えは自然にあるのかもしれないな……と思った休日の一日でした。

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東嶺圓慈 禅画と墨蹟




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禅文化研究所は、花園大学歴史博物館と共催で、10月1日~12月15日まで、2012年秋企画展「東嶺圓慈 禅画と墨蹟」ならびに、禅文化研究所曝涼展「江戸前期の三大禅匠」を同時開催します。

本展では、東嶺ゆかりの寺院に蔵されている遺墨を2期にわけてご紹介します。
第1期では東嶺の創建道場である静岡県三島市の龍澤寺専門道場の所蔵作品を、第2期には東嶺禅師示寂の地、齢仙寺をはじめとする故郷近江の寺院につたわる遺墨を展観します。
また、禅文化研究所曝涼展では、雲居希膺・愚堂東寔・大愚宗築という江戸前期三大禅匠の墨蹟、ならびにその三禅僧と関係の深い禅僧の墨蹟もあわせて展観します。

詳しくは、こちらのページを御覧ください。

また会期中に記念講演会も開催します。講演内容は、以下のとおりです。

■2012年10月5日(金)13:30~14:30
「東嶺禅師『宗門無盡燈論』に学ぶ」 横田 南嶺 老大師(臨済宗円覚寺派管長)
■2012年12月6日(木)13:30~14:30
「東嶺圓慈墨蹟に流れるもの」 丸山 猶計 氏(九州国立博物館主任研究員)

申込不要、入場料無料、ただし先着150名となりますので、ご注意ください。

第1期第2期とも、是非、花園大学まで万障お繰り合わせの上、足をお運びください。

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