トップページ » 2012年10月26日

『禅文化』224号 技を訪う -Ajee バングラデシュの手仕事-




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日々の生活で出会った素晴らしい様々な“技”を、季刊『禅文化』にてご紹介しています。
本ブログでもご紹介させていただきます。
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季刊『禅文化』224号より
“技を訪う -Ajee バングラデシュの手仕事-”  川辺紀子(禅文化研究所所員)

 風が秋の気配に変わったので、部屋に敷くラグ(カーペットの一種)を探し始めた。輸入家具を扱う洒落れた店に行けばすぐに気に入る物はみつかるだろうと高をくくっていたが、歩きまわって探したものの、美しさ・値段共に納得できる“良いもの”はみつけられなかった。
 量産された規格品はそれなりに見栄えの良い物でも、どれも同じように目に映り、面白みがない。かといって、キリム(トルコ・イラン・アフガニスタンなどの一部地域で織られる、平織りの敷物)の素敵なものは値段も張り、エスニックな模様は、私の部屋ではやや主張しすぎる嫌いもある。
 色合いが気になる物は、実際に手にとって見ることのできないネットでは買わないことにしていたのだが、ラグにはどんなものがあるのだろうとさまざまな店を検索していて、ふと、素朴で美しい、チベット僧の衣の色をもっと深くしたような色合いのラグが目に留まった。私はすっかり心を奪われてしまった。バングラデシュの村で伝統的な方法により一枚ずつ織られているというラグで、全く同じものは一枚もない。店のホームページを見ると、バングラデシュの手仕事を愛する店主の気持ちが強く伝わってくる。それがフェアトレード(途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することによって、立場の弱い途上国の生産者や労働者が十分に暮らしていける価格や賃金を保障し、生活の改善と自立を促す運動)で販売されていることで、さらに共感が増した。何の迷いもなく注文して到着を心待ちにした。

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by admin  at 07:30  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)