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ワット・シェントーン(Wat Xieng Thong) -ラオス-

おはようございます。
本日はラオスのお写真でお楽しみいただこうかと・・・・・・。

151105-1.jpg昨年訪れましたラオスの古都、ルアンパバーンにあります「このお寺のためにルアンパバーンを訪れた」と言っても過言ではない寺院、ワット・シェントーンです。

151105-2.jpg生命の樹のモチーフは、さまざまな宗教、国において見られますが、私は特にインドの古い更紗やカラムカリといって、天然染料で精緻な画を手描きによって画く布に表現されているものに惹かれます。
このキラキラな生命の樹もまたお気に入りとなりました。

151105-3.jpg現地の人によると、由緒寺院のお坊さんはお金持ちです・・・と言っていた覚えが・・・。
先日、大谷大学で佐々木閑先生のご講演を拝聴し、南方仏教の出家者の生活についていろいろとお教えいただきましたが、鉢ひとつに衣3枚しか所持してはいけなかったような・・・。真相や如何に。
お坊さんといえどもいろいろなのでしょう。

151105-4.jpg詳細と歴史については、「ラオス情報文化省観光部」の説明を・・・・・・。


この寺院は、1560年にセティラート王によって王家の菩提寺として建立された。 屋根が軒に向かって低く流れるように作られている、典型的なルアンパバーン様式 の建物で、ルアンパバーンで一番荘厳な寺院である。本堂裏側のタイルによって描 かれた「生命の樹」のレリーフは素晴らしく、一見の価値がある。かつては、王族の神聖な儀式に使用され、シーサワンウォン王の誕生した場所でもあり、また 逝去時にしようされた霊柩車が境内に納められている。

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ラオス逍遙 後編

「ラオス逍遙 後編」 川辺紀子(禅文化研究所所員)


「ラオス逍遙 前編」はこちら
-季刊『禅文化』235号より-


前号ではあくまでも旅行者の一視点から見たラオスのお国事情、ルアンパバーン滞在についてを簡単に触れた。今回は旅の最大の目的ともいえる「僧侶の托鉢」についてである。

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この国を訪れようと思った瞬間から、どこを調べてもマリーゴールド色の鮮やかな袈裟を纏った僧侶がずらりと並んで歩き、早朝に托鉢される様子の美しい写真を目にするようになる。

ラオスの仏教は、スリランカから伝わった南方仏教、いわゆる「上座部仏教」で、男性は誰でも一生に一度出家する。その期間は数週間の者もいれば、一生続く者もいる。お寺にいる間は衣食住全てがまかなわれ、就学期間の子どもであれば衣のまま登校し、教育費も寺院が負う。
女性は出家しない分(「現世が嫌になって出家する人もいる」と現地人が言っていたが……)、功徳を積むために熱心に喜捨する。そのせいか、早朝の托鉢で静かに並んで待つのは圧倒的に女性で、その表情には心打たれる真実味がある。

150723-2.jpgワットビスン 西瓜を割ったような形から、別名すいか寺とも

ガイドブックやネットで調べた情報では必ずといって良いほど、町のメインストリートでの托鉢拝観を勧めている。
その辺りのホテルなどは、目の前で繰り広げられる托鉢の様子がうたい文句だ。まるで、そこでしか托鉢が行なわれていないのか? と思ってしまうほどである。

150723-3.jpgホテルからの眺望

私は町中の喧噪が苦手で中心部からは少し離れたホテルに滞在した為、フロントで尋ねてみた。「他にも早朝に托鉢を拝観に行く客がいるからホテルの車を出す」というので、それに便乗することにし、翌朝五時起きでホテルを出発。

ホテルの車が停まった地域は、あろうことか托鉢を待つそのほとんどが観光客で、地元の人よりも多い。喜捨のための食べ物を売る商売人がうろうろしており、静かに托鉢を拝見させていただくどころか、彼らにつきまとわれてしまう。もちろん、異国の地で僧侶に喜捨してみたいというのもわかるし、良い経験になるだろう。だが、僧侶の列がやってくると、喜捨する同行者の写真を撮るため、僧侶の近くに何のためらいもなく近づき、行く手を阻む勢いで写真を撮り続ける人々は、どう見ても「托鉢に参加する自分を写真に撮ってもらい記念にする」という一種のアトラクションを楽しんでいるようにしか見えない。
観光客により町が支えられている面が大いにあり、その是非を問うのは難しいが、なんとなく釈然としない思いでその場を後にした。

150723-4.jpgフランス統治時代の名残 コロニアル建築が随所に見られる美しい町並み

が、ふと思い出した。「朝、メインストリートに向かう途中、ホテルのすぐ近くの道路に地元の人々がいた。
正装(伝統的な裂地の巻きスカートに、肩からショールをかける)して静かに待つその姿の美しさに心躍らせたではないか。もちろん観光客がいるような所ではない。明日はホテルの自転車を借りて、近場を巡ってみよう」。

150723-5.jpgまだ薄暗い中ホテルを後にし、昨日の目撃場所へと急ぐ。すると、ちょうど托鉢を待つ女性たちのところへ僧侶の一行がやってくるところであった。

150723-7.jpg少し離れた場所から拝見していると、一人一人の女性は、喜捨を終えると生飯(持参した餅米と水)を大地(万霊)に施し、それぞれが僧侶たちが進む方向へと身体の向きを変え、合掌している。

150723-6.jpg女性たち全員の喜捨が終わると、僧侶一行と女性たちが向き合い、読経が始まる。女性たちは静かに頭を垂れる。僧侶が去って行くと、皆な何事もなかったかのように方々へと帰路につくのだ。

150723-8.jpgなんとシンプルで美しい一連のお互いの所作であろう。施される者も施す者も後に何も引きずってはいない。おそらくはこれこそ昔からの托鉢のスタイルであろう光景に遭遇でき、有り難いものを拝見させていただけたと感謝。意気揚々と町のマーケットへと繰り出す道すがら、そこここで同じような光景が繰り広げられているのを目にした。何もメインストリートへゆくことなどこれっぽっちもなかったのだ。

150723-9.jpg本誌を読んでいただいている方々には本来の托鉢の姿をこそ拝観していただきたく、老婆心ながら私の経験を書かせていただいた。ルアンパバーンへゆけば、是非とも早起きをしてレンタサイクルを借り、一心にペダルを漕いで、静謐な空気漂う托鉢の光景を目指していただきたいと願う。

150723-10.jpg150723-11.jpgラオスの手仕事を拝見したいと様々なショップや工房も巡ったが、あの祈りの場において身に付けられていた織物や、お供えを置いたり入れたりされていた籠細工など、工芸品が日々の暮らしに当たり前のように溶け込んでいる姿をも拝見でき、感慨もひとしお。

どの国においても、祈りの場や日々の暮らしの場で当たり前のように使われてきたものにこそ、力強い美しさが宿ることを改めて教えられた。

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ラオス逍遙 前編

「ラオス逍遙 前編」 川辺紀子(禅文化研究所所員)

季刊『禅文化』234号より-


141211-1.jpgメコン川が流れるルアンパバーンの町並み。プーシーの丘からの眺望

偉大なるメコン川流域に鎮座する東南アジアの仏教遺跡群。その参拝も、残すはラオスのみとなっていた。
この夏いよいよハノイ(ベトナム)経由の格安航空券を手に入れ、「訪れた誰もが心穏やかになる」とかねてから耳にしていた憧れの地、町全体が世界遺産として登録されているラオスはルアンパバーンを訪ねた。

141211-2.jpg少し郊外へゆくと段々畑が。緑一色の世界

少しハノイに滞在したこともあってか、なおのことその喧噪とは打って変わって、降り立った古都ののんびりした空気は、ハノイで起きた大小のトラブルで固くなっていた心をたちまち解きほぐしてくれた。

空の上から見てもほとんどが緑に覆われたこの国(国土の約70%が高原や山岳地帯)は、町中でも家々の庭にはフルーツが実り、香草が生え、鶏が闊歩する(鶏のみならず、犬や猫も家畜なのだとか……)。
農業を生業としていない者でも随分と食料自給率が高いように思え、町から少し離れるとのどかな段々畑が広がる。
たかだか6日間滞在するだけのお気楽な旅人の視点、さらに高度経済成長を経て何かしら虚しさの残る日本人にとっては、一種とても豊かであるようにさえ感じてしまう。

141211-3.jpg市場には新鮮な野菜や果物が所狭しと並ぶ

実際には、周りを他国に取り囲まれ海を使っての交易が不可能なことや、山が多く耕作地が少ないこと、山岳民族の伝統的な焼き畑農業は、深刻な森林破壊を生むと批判を浴び継続が難しくなっていること、観光資源に乏しく(大都会や美しいビーチも無ければ、アンコールワットやボロブドゥールのようなインパクトある遺跡も無い)、インフラの不整備や貧困問題など、諸問題を抱え発展を妨げられているようである(地下資源については、最近注目されてきているようだ)。
しかしながら、こういった事情により、よほど興味のある者以外この国を訪れようとは思わぬわけで、〝ゆったりさ〟という一番といっても過言では無い魅力が支えられているのだから、皮肉なことではある。

141211-4.jpg山岳民族の村を訪ねる途中。どこまでも続く山並み

私の旅の目的といえば、少数民族(公的には四十九の民族がいるといわれている)の手仕事に出逢うこと、山岳民族の村を訪ねること、そして特に、寺院の参拝、托鉢風景を拝観することである。
が、どうであろう、昼日中の暑い寺院には意外なほど参拝者が少なく、どこへ赴いてもほぼ貸し切り。山岳民族の村へのトレッキングも、旅行者とは全くすれ違うことが無かった。

141211-5.jpgモン族の家

おそらくはホテルに多く滞在している欧米人などは、昼には郊外にある美しい滝での水浴びや象乗り(かくいう私も。象が滝まで入っていってくれるのでなかなかに面白いものなのです……)、メコン川クルーズ、日本人の苦手な、「ホテルのプールサイドで日がな一日ゆっくり過ごす」ことを楽しみ、夜はモン族のナイトマーケットを見物、お酒を飲んだりして楽しんでいるように見受けられた(根っからの日本人観光客である私は、結局全てを経験。ゆっくりはしないが、プールにだって暑さしのぎに毎日入る。とかく忙しいが、ラオスマジックか、いつもの旅よりはゆったりしていた)。
次回235号では、ルアンパバーン観光のハイライト、旅の目的ともいえる、早朝の托鉢風景についてお伝えしたい。

141211-6.jpg雨季のため、豊富な水をたたえたクァンシーの滝。遊泳可能な場所もある

141211-8.jpgモン族のマーケット

141211-7.jpg象に乗って水の中に入ってゆけるセー滝。遊泳も可能

 

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