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逸翁美術館 -細川護熙・加藤静允 数寄に生きる-

数寄に生きる

大好きな両氏の展示会とあって、楽しみに出かけた。
細川さんは還暦に政界を去り、晴耕雨読の日々を送られている。
私が初めて個展を拝見したのはもう何年も前の事。京都の骨董屋にて、初めての個展をされた時の事であったかと思う。
そこは白洲正子さんゆかりの骨董屋で、そのしつらえ、置いてある物全てが私にとっては勉強になったような場所だ。
敷居の高い骨董屋に、細川家当主でもあり、元首相の作品を見に行くとあって、まだ小娘だった私はやや緊張していた。

とは言いながら、ずっと政治の道にいた方が、いったいどんな焼き物を生み出すのかと、ある意味ミーハーな気分ででかけたものだ。
作品をみて、あまりにどれも素晴らしく、びっくりした。
代々良い物を収集し、目が肥えている細川家の当主だからか?血統か?
と少々いやらしい言い方かもしれないが、そう言いたくなるような作品だった。
その後、何度かその骨董屋での展示会を訪れたが、今回久しぶりに作品を拝見した。

さらにいろいろな物に挑戦されているようで、きっぱりと政界を去られてからは晴耕雨読、土をこね、書をたしなむ日々を悠々と続けられている様を見た。
一番印象に残ったのは、伊賀焼の五輪の塔。てっぺんあたりにのみ、伊賀独特の釉薬がかけられ、下部には土肌がそのままで、小さいものだが、何百年も雨風にさらされてきたかのような重厚さを感じた。

さてもうお一人、加藤清允先生。
京都にお住まいの小児科医で、磁器を数多く作られている。
白洲正子さんにも自分の作ったものをプレゼントされたりしていて、私は白洲さんの本でこの方を知った。
磁器はどうも冷たい感じがするので好きになれないと思っていた私に、そんなことはないのだと、加藤先生の作品が教えてくれた。
どれも暖かく、見ていると優しい気持ちになれるような器たちだ。
小児科医をされる先生のお心そのものだろうか。

この美術館を訪れると、必ず土日には釜が懸けられているので、いつもながら一服いただく事にした。
いつもは美術館所蔵の、逸翁収集品でお茶がいただけるのだが、今回は、お二人の作品でお茶がいただけるとのこと。
贅沢な時間を過ごせた。

雨に緑が美しい雅俗山荘

by admin  at 07:30
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