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麟祥院展 展観品返却

 

IMAG3442_1.jpg梅雨の合間の晴天で、富士の頭が雲から突き出ておりました。

昨日、東京麟祥院まで出張して参りました。タイトルの通り、この春に花園大学歴史博物館で展観していた「湯島麟祥院 -春日局と峨山慈棹-展」に借用させていただいていた、ご所蔵品の返却です。

 

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学芸員1名は、返却の日本通運の美術品輸送専用トラックに同乗して前日より東京入り。ほかに博物館館長と禅文化研究所職員である私が当日に出向き、麟祥院様の書院で開封。一点一点、かり出した時と同じ状態であるかをチェックしていきます。

無事にすべて問題の無いことをご住職に報告し、収蔵庫へも運び入れました。

思えば、昨年3月に2回、8月と9月に1回の計4回のべ13日にわたり、悉皆調査をさせていただいた、この湯島麟祥院。
どこの場合でもそうですが、貴重な絵画墨蹟を手に取り、直に向き合っての調査は、本当に有益な体験です。麟祥院様にも、ご許可いただいたことに感謝申し上げる次第です。

IMAG3444_1.jpg禅文化研究所では、こういったデジタルアーカイブズ事業を、今後も続けて参ります。

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サンガセミナー -傾聴講座-

 

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先日はサンガセミナー【香りを知る】講座のご案内をさせていただきました。

本日は同日に開催する【傾聴講座】のご案内です。

僧侶の大きな役割の一つに、“人の話に耳を傾ける”という事があると思います。
悩んでいる人間も、ほんとうのところ、自分がどうしたいのかがわかっていたり、答えが出ていたりするもので、話しているうち、聴いてもらっているうちに解決する事も大いにあり得ます。

心理学者・河合隼雄先生の逸話としてなるほどと思いましたのが、深い悩みを持つ者が、先生と話しつつ一緒に御所(京都御苑)を散歩していただけで悩みが解決していたというもの。

“聴く力”とはいったい何なのでしょう。
聴く人自身の資質や人生経験なども大きく関わるのでしょうが、コツというのもあるのではないでしょうか。
今回は花園大学学長の丹治光浩先生におこしいただき、カウンセリング技法の一つとしての訊く技術、応える技術を通して傾聴の本質と日常生活への応用を学びたいと思います。


もちろん、僧侶のみならず一般の方もご参加くださいませ。
“聴く”といえば、職業関係なく、家族や同僚や恋人、友達との人間関係全てにおいて関わってくる事で、関係の無い人は存在しないくらいです。
御関心ある方は是非。


日時:7月20日(水) 10時~12時
場所:京都円町駅近く 法輪寺(だるま寺)
受講料:4,000円
*お申込みはこちらからお願い致します。


講師:丹治光浩◆(たんじ・みつひろ/花園大学学長)

1956年、兵庫県生まれ。浜松医科大学医学研究科修了後、国立療養所天竜病院、メンタルクリニックダダなどで児童精神科臨床に従事。2000年より花園 大学に奉職。助教授、教授を経て、2015年より現職。臨床心理士・医学博士。主著に『心理療法を終えるとき』(北大路書房)、『失敗から学ぶ心理臨床』 (星和書店)、『中学生・高校生・大学生のための自己理解ワーク』(ナカニシヤ出版)など。


*写真は雨上がりの京都御苑

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長岡禅塾訪問

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そぼふる雨の日の朝、京都府長岡京市にある長岡禅塾を初めて訪ねてまいりました。

長岡天神の森に連なる形で建っている長岡禅塾は、大学生を対象にした禅の寄宿塾で、昭和11年、日商岩井(現・双日)の前身である岩井商店の創業者岩井勝次郎氏によって設立されました。今も、関係企業や団体からの寄付金によって運営されているため、塾生は寮費を払うことがありません。

宗教法人(お寺)ではなく公益財団法人としているため、特定の宗派に属しているわけではありませんが、禅の実践生活をしながら大学に通えるように運営されています。

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初代塾長は、その辛辣さより「剃刀香洲」と呼ばれた梅谷香洲老師、二代目は西田幾多郎博士の高弟であった森本省念老師、三代目現塾長の浅井義宣老師と引き継がれ、現在は、副塾長として塾生ならびに通参の社会人の指導に当たっておられる北野大雲老師がおられます。

この長岡禅塾に寄宿し、のちに本山管長や僧堂師家になられた方も少なくありません。梶谷宗忍老師(大本山相国寺管長)、糸原圓應老師(平林僧堂師家)、篠原大雄老師(大本山永源寺管長)、道前慈明老師(大本山永源寺管長)などなどです。

現在は塾生が3名しかおらず、さらにそのうち2名は外国人だとかで、非常に運営に苦労をされているようでしたが、それにしてもこの掃除の行き届き具合は驚きでした。また、玄関から取り次いでくれた塾生の立ち居振る舞いは、僧堂の雲水とはちがい、非常にゆったりとした独特のもので、ある意味、感動さえ覚えました。

 

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7月1日からは摂心もあるということで、そういうときには、通参の社会人なども来られるとのこと。それぞれに個室の宿舎があてがわれ、禅堂では坐禅、そして老師に参禅といった僧堂摂心に準じた生活がなされるようです。

禅堂で寝泊まりはしないため、いわゆる単箱や蒲団棚はありませんので一風変わった禅堂ですが、内単と外単があり、たいへん立派なものでした。

1年以上寄宿することを前提に、入塾生を随侍募集されています。また一般の方には、坐禅会や提唱へ参加いただけるようです。詳しくはホームページをご覧下さい。

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さて、このたび、この長岡禅塾副塾長の北野大雲老師の著書を、禅文化研究所から発刊させていただくことになりました。禅門には、豪快、愉快、奇天烈な逸話がたくさん残っています。これらは実はそれぞれの禅者が厳しい修行をし坐り詰めてこそ出てきた話なのですが、老師自ら、そういった話を拾い集め、読み解き、一般の方々に広く知ってもらいたいということで、『禅に親しむ』(予価1300円〈税別〉)と題して9月中旬に発刊予定です。

どうぞお楽しみに。

 

 

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サンガセミナー -香りを知る-


160622.jpg香りと人の関係には長い歴史があり、それぞれの国や文化により様々に育まれてきています。

お釈迦様は質素なお暮らしをなさいましたが、瞑想の時にはおしげもなく香木をくべられ、香りで死者を弔う事をお勧めになり、また実際にお釈迦様涅槃の折には膨大な白檀が使われたといいます。
この事から、香りに着目した講座を設ける事に致しました。

代替医療の一環として人の心身を癒す香り。祈りや清めの場に必ず存在する香り。
“香り”が私達にもたらすものとは一体何であって、何故そのような効果があるのでしょうか。

スパイスや香りの効能を日々のくらしに生かしておられる村田真彌子さんを講師にお迎えし、皆さまと共に学ばせていただく時間にしたいと思っております。

ご参加お待ち申し上げております。

日時:7月20日(水)13時~15時
場所:京都円町駅近く 法輪寺(だるま寺)

お申込みはこちらからどうぞ。



講師:村田真彌子

神奈川県横浜市生まれ、湘南育ち。予防医学、健康長寿の世界的なパイオニアである有川清康医師の随行秘書として、講演・セミナーで全国を巡る。ロンドンで アロマセラピーと出会い、同時に英国式カラーセラピーを学ぶ。東京にて東邦大学名誉教授・鳥居鎮夫氏、他各氏に習業。その後、エネルギー専門の新聞社に勤 務。記者、ライター、大学勤務を経て、現在EVERGREEN/とつきとおか主宰。
植物の恵みを補完的に取り入れられる自然療法に深い関心を寄せ、自らも日々の生活にその智慧を取り入れている。妊産婦ケアまで行えるアロマセラピストとして、産婦人科医と共に地域の補完療法に携わり11年目を迎える。

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君看双眼色



160621.jpg君看双眼色(きみみよそうがんのいろ)
不語似無憂(かたらざればうれいなきににたり)    『槐安国語』


上にご紹介しましたのは、白隠禅師の『槐安国語』(『大燈国師語録』に白隠が評唱や下語を付したもの)にある、大燈国師の「千峰雨霽露光冷(せんぽうあめはれて ろこうつめたし)」という句の後につけられた白隠禅師の美しい下語(あぎょ)です。
*弊所発刊の『槐安国語』は現在絶版となっておりますが、今年中には一冊にまとめた廉価版を発刊予定です。



私が尊敬する大親友(在家の女性)は、こう訳していました。

「なんにも言わない君の苦しみをしっています。一人じゃない、いつもそばにいます」。

いつも自分の事よりも他の人の事ばかり考えて、私はもちろんの事、色んな人たちの支えになり続けている彼女の在り方そのものではないか・・・と思い、泣けてくるのです。

そして下記は相田みつをさんの詩です。
これを読む度に、「澄んだ瞳を感じられる自分でありたいな……」と願わせていただけます。
皆さまにもご紹介をと思いました。



『憂い』

むかしの人の詩にありました

君看よ双眼のいろ
語らざれば憂い無きに似たり

憂いがないのではありません
悲しみがないのでもありません
語らないだけなんです

語れないほどふかい憂いだからです
語れないほど重い悲しみだからです

人にいくら説明したって
全くわかってもらえないから
語ることをやめて
じっと こらえているんです

文字にもことばにも
到底 表せない
ふかい 憂いを
おもい かなしみを
こころの底ふかく
ずっしり しずめて

じっと黙っているから
まなこが澄んでくるのです

澄んだ目の底にある
ふかい憂いのわかる人間になろう
重いかなしみの見える眼を持とう

君看よ双眼のいろ
語らざれば憂い無きに似たり
語らざれば憂い
無きに似たり

みつを

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梅雨に映える

今年の梅雨は雨がよく降りますね。でも関東ではダム湖に水がなくなってきて取水制限をしているところがあるとか。
関西ではそんな感じは受けないのですが。

さて、そんな梅雨のジメジメした季節ですが、雨の中でもひときわ映えるのが紫陽花。
京都の宇治市にある三室戸寺は、紫陽花で有名で、今ごろはとくに多くの参詣者があるようです。以前にこのブログでも採り上げたことがあります。JRの駅のポスターでも見かけます。

しかし、平日にはもちろんのこと、土日も自坊での法務があって、なかなか紫陽花を愛でに行けないのですが、自坊でも楽しめるようにと、ちょっとずつ紫陽花の種類を増やしております。
観光寺院にする気持ちはないですが、近所の方々にでも楽しんでもらえたらと思ってのこと。ほんの一部をご紹介。

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如何でしたでしょうか。雨でジメジメしてはいますが、傘をさして庭に出ると、元気な紫陽花と、一所懸命に巣を張っている蜘蛛たちに出会うこともできますね。

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サンガセミナー お墓の法律講座 ご報告


160617.jpg先日のヨガ講座につづき、6月14日(火)に京都は円町の法輪寺(通称だるま寺)さんで開催させていただきました、「サンガセミナー お墓の法律-墓と葬送のゆくえを考え、寺院の役割を考える」講座につきましてご報告です。

今回は、墓や葬送のあり方が多種多様に変化してゆく昨今、正しい役割を果たせる寺院である為には、どのような事を知り、考え、対応してゆくべきかを、先生からのお話を聴き、参加者の皆さんに考えていただくような講座となりました。

どのような講座をお願いしましても、様々な事例や資料を念入りに頭に入れられご準備される田口誠道師(禅僧/行政書士)ならではの講座でした。
*これまでに、エンディングノート講座寺院の活動と寺院規則と法律講座などをご担当いただいております。

160617-1.jpgそもそも、埋葬というのが始まったのはいつ頃からか……というお墓の歴史にはじまり、最近の埋葬にはどのような物があり(散骨・樹木葬・ゆうパック送骨など)、その中から裁判沙汰になったものにはどのような例があるのか、そしてその判決など、事細かに色々教えていただきました。
参加者の中には、今現在ご自身の周りで起きている問題などをご相談なさる方も数名見受けられました。


人々の悩み苦しみは、お釈迦様の時代から変わらぬと申しますならば、僧侶の役割も根底では変わらぬのだろう…とは思うのですが、とかく現代社会は何かにつけて複雑なようです。

*僧侶の研究会や研修会などで田口誠道師を講師にお招きしたいというご依頼ございましたら、研究所までお問い合わせください。
 
平成28年度サンガセミナー 今後のセミナーはこちらからご確認ください。

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サンガセミナー 僧侶限定ヨガ講座 ご報告



160616-1.jpg6月14日(火)午前、今年度初となりますサンガセミナー、僧侶限定ヨガ講座を円町の法輪寺さん(達磨寺)をお借りして開催しました。

前日は大雨、当日は明け方に苔を湿らす程度の雨が降り、お庭の緑も潤い深く、またとない環境での時間となりました。

160616-2.jpg最初に、今回講師をお願いしました伊藤加奈子先生からお話がありました。

そもそも、ヨガのアーサナ全てが、最終的には“坐る”為にあり、また、アーサナとは、ヨガの聖典とされる、パタンジャリのヨガ・スートラによれば、「ゆったり、安定した姿勢」と定義されています。

様々なアーサナがありますが、この定義から、どのように取り組めば良いのかがわかります。
そして、アーサナ一つ一つに真摯に取り組んでゆくと、長時間同じ姿勢で安定して“坐る”ことができるようになるというわけです。

160616-3.jpg今回は、修行経験のある僧侶の方ばかりということで、既に坐る事には一般の人よりも理解と経験があるわけで、さらにそれを深める、あるいは、お寺での坐禅会の前にヨガを取り入れるきっかけとして、一度体験していただく為に、この講座を設けてみました。

160616-4.jpgチャイルドポーズ。休憩のポーズですが、なんでしょうか、僧侶のみなさんがこれをすると、三拝のようで……(すみません)。

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約2時間。たっぷりと身体を動かし、緊張と弛緩を繰り返し、酸素と血液が体中を巡る感覚を得て、最後にはシャバアーサナ(死体のポーズ)を。
やはり、身体と呼吸に意識を向けた後は、お庭の緑もさらに輝いて見えるのでした。
アンケートからも、皆さま充実した時間となられたようです。
ご参加いただき、誠にありがとうございました。

明日は午後からのお墓の法律講座について、ご報告致します。

その他の講座、受付け中です。
7月には傾聴講座と、仏教とも関わりの深い香りについてを学ぶ講座を予定しております。
詳しくはこちらからどうぞ。

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正眼夏期講座


160615.jpgおはようございます。
先週は建仁寺の緑陰講座をご紹介させていただきました。
本日は、岐阜にあります臨済宗系の短期大学・正眼短期大学の夏期講座のごあんないです。

毎年テーマを設けられているようで、今年は「翔 天無私」(しょう・てんにわたくしなし)です。

山川宗玄学長(正眼僧堂師家)の法話、提唱をはじめ、講師に岐阜大学大学院の手塚建一先生、政治学者の姜尚中先生をお招きしての講演、川鰭祐子さんのヴォーカルでジャズコンサートを予定とのこと。

詳細、お申込みなどはこちらをご覧ください。
 



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能楽文化を育てる

 

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去る6月11日土曜日、滋賀県東近江市にある能登川コミュニティセンターにて、「能装束着付実演と能『竹生島』」というイベントが開催され、私も観て参りました。

このイベントは、「滋賀能楽文化を育てる会」が主催で、古く猿楽能と縁の深い滋賀県において、能楽文化を再び活性化していこうとされているもので、600席は満席となっていました。またその中には、地元の中学生200名も招待されおり、ほとんどの生徒が初めて観る能であったと思います。

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内容は以下のような3部構成でした。

第1部 
「謡、仕舞披露」
「文学解説『竹生島』」
「能面解説」

 第2部
「能装束着付実演」
「能舞台、お囃子等の解説」
「仕舞」

 第3部
「能『竹生島』」

特に第2部では、私も何度か能舞台の能を観たことはありますが、能装束を着けられる様子を観たのは初めてでしたし、囃子のそれぞれの楽器の特徴の解説も大変興味深かったところです。

第3部では、滋賀県在住の観世流能楽師で無形文化財でもある浦部幸裕氏をはじめとして京都観世会館の能楽師や地謡の方々による、琵琶湖に浮かぶ竹生島を題材にした能が演じられました。

 

会場は本来の能楽堂ではないため、能楽堂の柱に見立てた4本の短い柱がステージ上に立てられ、背景には松の絵ではなく、近江上布を使って琵琶湖と竹生島に見立ててありました。シテの能面の中からは、四方の柱は見えていないだろうと思うと、少しヒヤヒヤしながら観ておりましたが、さすがにそういった危うさは感じる隙も無い、素晴らしい舞台でした。

さて、弊所の季刊誌『禅文化』では、次号241号(2016/7/25発売)にて「禅と能」という特集を組ませていただきます。その一つの記事に「能面師から見た禅と能」と題して、能面作家の伊庭貞一氏にご寄稿いただいていますが、氏は今回の主催をされた「滋賀能楽文化を育てる会」の主要メンバーの一人でもあります。

相国寺派管長・有馬賴底猊下と観世流宗家の観世清和氏とのビッグ対談ほか、禅と能に関する書き下ろし記事も掲載します。

どうぞお楽しみに。

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臨黄ネット 雲衲報恩接心報告(4)


160613.jpgゆっくりの更新で恐れ入りますが、去る3月の臨済禅師1150年・白隠禅師250年遠諱を記念した報恩接心の様子を、臨黄ネットにてご報告させていただいております。

第4日目の報告を先週金曜日にアップしましたので、ご高覧ください。
こちらからどうぞ。

 

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建仁寺緑陰講座


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各派本山の夏期講座の開催情報が研究所に届く季節となりました。

京都は建仁寺さんでの暁天坐禅会-緑陰講座-のおしらせです。
申込み不要。参加の意思のある方はどなたでもご来山くださいとの由。

坐禅開始は6:30~、緑陰講座は7:10~(終了 8:00前後)。
※最終日7月10日の講座後には粥座(しゅくざ)[朝食]の接待があるそうです。

内容詳細は下記のとおり。

 

7月8日(金)

講師  佐々木 閑先生(花園大学仏教学科教授)
演題 「現代人のためのブッダの言葉」 

 

7月9日(土)

講師 坂東 眞理子 先生(学校法人昭和女子大学 理事長)
演題 「人生後半期の生き方―プラチナエイジをめざして―」

 
7月10日(日)

建仁寺派管長  小堀泰巖老大師 
提唱 碧巌録第六十九則 『南泉画一円相』




なお、私ども研究所で開催するサンガセミナー
来週の14日、火曜日に第一回目を開催させていただきます。
午前がヨガ、午後が墓の法律講座。特に人数制限のある講座ではありませんので、前日まで申込み可能です(当日受付にてお支払い可)。
7月の、「香りを知る」・「傾聴講座」も募集中! ご参加お待ち申し上げております。
*お問い合わせ 075-811-5189 担当川辺まで

建仁寺緑陰講座の続きを読む

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美しいものにしか......


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富士は私の母なる山であり、富士山によって育てられたと言っても過言ではないと思う。
そのために、美しいものにしか惹かれないという欠点を持っているが、「物の形」と言うものを、はじめて体験させてくれたのも富士山なのだから、今さらそんな贅沢をいってみてもはじまるまい。
「母なる富士」白洲正子

 

幼少時代、樺山家(白洲さんの旧姓です)の御殿場の別荘から、毎日富士山を観て過ごした白洲正子さんの言。
少なからず日本人の美意識は、この類い希なる姿形の美しさを持つ御山によるところが大きいように思えます。

東に赴く新幹線に乗る楽しみといえば、富士山を拝める事と、日本の山々の稜線の美しさを堪能できるところです。


*禅文化研究所・サンガセミナー ご参加お待ち申し上げております。

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麗しの国

 

160608.jpg伊吹山と、田植えの終わりました田んぼです。
水が入ることによって、より一層麗しく美しい日本の風景。


とある夏、カラッカラに乾燥したスペインとモロッコへ旅をしました。帰国時、飛行機から眺めた緑溢れるのこの国に感動し、「日本の美は、潤いと密接なのだなぁ…私達日本人の精神性も同じく…」と思ったのでした(ちなみに、帰国したらすぐに澄んだ出汁を飲みたいと思いました)。
禅の教えが長らく途絶える事無く受け継がれている事も、この風土と密接した関連性があるのだと思います。

サンガセミナー 受講者募集中

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今週の花

1606070-1.jpg八重のどくだみを無文老師に御供えしました。

この花を見る度に思い出すのは、今は亡きとある骨董屋のご亭主です。

李朝に惹かれて美術館巡りなどをしていた若かりし頃、その日は骨董街をうろうろしていると、店先のウィンドウに素晴らしい李朝の大壺をみつけました。
今思えば一見さんお断りのようなお店だったろうと思うのですが、若いが故(23歳の頃)に何も恐れる事無く入ってゆき、大壺についてお話したところ、「若い人が李朝に関心がある事が嬉しい」と、色々お教えくださり、出羽桜美術館の李朝コレクションの図録と、日本人で一番最初に李朝の美を見出した浅川巧さんの生涯をえがいた『白磁の人』の単行本を下さったのでした。

それ以来、度々訪れては自慢のコレクションからお好きな食べ物の話に至るまで、様々のことをお教えいただき、何とも京都の骨董屋さんの日々の暮らしの奥深さや美意識とは、京都のそれそのものなのだなぁ…などと思ったものです。

160607-2.jpgある日遊びにゆくと自慢げに、「どくだみ言うても、普通のんと違って、八重のどくだみがあるのを知ってるか?」と、李朝の徳利に一輪生けられたこのどくだみを見て、なんとも可憐なその姿に見入ったのを思い出すのです。自宅のお庭に咲くと、店に持ってきて生けられているようでした。

花一輪が、そのまま亡き人の様々な懐かしい記憶へと繋がります。


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仏通寺派前管長 一箪室鈴木法音老師の津送

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佛通寺派前管長の鈴木法音老師が、今年2月17日に、療養先の岐阜県羽島にて世壽73にて遷化されました。
老師は佛通寺管長に上がられるまえ、滋賀県の安土城址にある摠見寺の住職をされておられましたので、摠見寺の第16世でもあるため、去る6月2日に摠見寺にて津送と新忌斎が執り行われました。

摠見寺の開基である織田信長公の命日として行なわれている信長忌が毎年6月2日に勤められていて、今年はそこにあわせて法音老師の津送も勤修されたというわけです。

まず開山・圓鑑禅師と開基・大相国一品泰巌大居士(信長公)の毎歳忌が執り行われ、現住職が導師として大悲呪一巻をお唱えしました。

つづいて速やかに津送。
導師は、法音老師の前にこの摠見寺の住職であった、妙心僧堂師家・岫雲軒雪丸令敏老師です。法音老師は妙心僧堂で長らく修行をされていたこともあり、この摠見寺も非常に妙心僧堂と縁の深い寺ですので、妙心僧堂林下の尊宿方も多く参列され、また、大本山佛通寺総長を始め、佛通寺関係の諸大徳、滋賀北陸教区第二部の部内寺院、晩年に療養のために住まわれていた岐阜の如意寺の関係寺院をはじめ、老師の妹さま、摠見寺有縁の方々も多く参列されました。

鼓鉢三通が打ち鳴らされ、山頭念誦、そして岫雲軒老師による引導法語が唱えられました。

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岫雲軒老師の引導法語は以下の通りでした。

 


  博識多才道眼明
  高談雄辯愛論争
  半生闘病身魂盡
  七十余年擲世情
    夫惟
歴住佛通空外音禪師大和尚
  色身病弱 法身俊英
神宮寺裡 師事勇音學儀式
金毛窟中 参禪臥雲入法城
    什麼時
  一擧一動空外出
  一言一句法音轟
源流入深處 世俗離利名
摠見住持 日夜勵度生
佛通薫陶 終始盡法戦
    末後
看護如意 如意自在貫至誠
    雖然與麼
山僧更有送行一句
  坐斷十方無向背
  出離三界路縱横

定中昭鑑


代表焼香として、ここ安土山と摠見寺の維持運営に関わる安土山保勝会の名誉会長であり、元大蔵大臣の武村正義氏、そして数少ない遺族の妹さんお二人が焼香をされると、楞厳咒が唱えられ、尊宿ならびに一般の焼香が行なわれました。

 

引き続き新忌斎(在家一般で言う四十九日法要ですが、禅門では津送の後につづいて行なわれる習わしです)が勤められました。

毎歳忌から津送・新忌斎、そして奉行の挨拶まで、約1時間。とても簡素で略式ではありましたが、いかにも禅門らしい、すっきりとしたいい法要でした。

法音老師には、以前、季刊誌『禅文化』にご寄稿頂いていたことがあり、180~184号に連載いただいた玉稿をまとめた遺稿集『茫羊漫録』が記念品として渡され、弊所はその制作をさせていただきました。

2016-06-03-09.04.jpg安土山を取り囲む田園から、涼しい風がふいてきて、いかにも初夏の一日。こうして法音老師は鬼籍に入られるのをお見送りしました。
私は個人的にもかわいがって頂き、色々とご指導もいただき、まことにありがとうございました。どうぞまた生まれ変わって、仏法の挙揚にご尽力いただきたいと思います。

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禅の語録 全20巻・22冊 -筑摩書房-


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筑摩書房さんにより、禅の語録の復刊が完結致しました。
下記にご紹介ならびに、弊所でもオンラインショップにてお取り扱いさせていただいておりますので、ごあんないです。

禅文化研究所オンラインショップ



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【復刊完結について 筑摩書房より】
「禅の語録」は1969年、第1巻『達摩の語録』を第一回配本として、1981年までに十七巻を刊行しました。

代表的な禅の古典を網羅、中国禅宗史の流れに沿い系統的に配列した本シリーズは、禅籍の解読を一気に学問的水準に引き上げた画期的なものとして、江湖の高評を得ました。

本文(漢文)は抜粋ではなく全文を収録。当時望みうる第一級の執筆者により、厳密な校訂、唐宋代の口語史研究にもとづく精確で平明な訳読、歴史学・文献学・中国語学の成果をふまえた懇切な注釈と解説がほどこされ、さらに各巻末に索引を付して禅籍味読に万全を期しています。

しかしながら本シリーズは、三巻を欠いたまま長らく入手困難となっておりました。

このたび、2016年の臨済禅師1150年大遠諱にあたり、臨済宗黄檗宗連合各派合議所の推薦、禅文化研究所の協力のもと、未完であった第5巻、第12巻を補い、小川隆・駒澤大学教授による書き下ろし第20巻を加えた新編成で、復刊・完結する運びとなりました。

求道の導きとして禅籍をひもとく人びと、研究のために禅録を参照する人びと、一般的な解説書を超えて禅の古典そのものに触れたいと願う人びとに、最良の参考書として、ご支持いただけるものと確信しております。

「禅の語録」が永くご愛読いただけることを願ってやみません。

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どくだみ



16602.jpgそこかしこで、どくだみが満開です。
冬にはどこへやらすっかり姿を消してしまいますのに、この季節には力強く咲き誇っています。

生けやすく楚々として大好きですが、なかなかニオイには慣れません。
ですが、いつもとある和尚様のところでいただく、爽やかな手作りどくだみ茶を思い出しますと、また印象も変わるものです。
ベトナムでは、そのままサラダに、また生春巻きに巻いたりしてよく食べられますが、「日本の野生のものと違って、香りも弱いのかもしれない」と思い食べてみましたら、やはり何とも……。

どくだみ一つで色々な思い出が蘇ります。

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相国寺 観音懺法



160601.jpg生きていればどうしても犯してしまう罪を悔い改める為、懺悔の力によって仏の心を取り戻そうとするのが、懺法(せんぽう)という儀式です(詳しい説明は相国寺のHPをご覧ください)。

この観音懺法が執り行なわれる日には、方丈に伊藤若冲の文殊・普賢菩薩と、複製された動植綵絵30幅が掛けられます(上写真は何年か前にお邪魔し、許可いただいて撮影したものです)。
特別に公開されますのでごあんないを。


公開日:6月7日(火)~14日(火)
*平日は10時~14時。土日は10時~4時までです。
お一人1000円。



相国寺の観音懺法は、鎌倉時代の渡来僧、仁恭石梁(せきりょうにんきょう)と清拙正澄(せいせつしょうちょう)、そして夢窓国師の三大老の協作とされる儀礼ということで、中国宋代の禅の儀礼の様式を色濃く反映しているわけです。
四頭茶会もしかり、美しく調えられたしつらえや僧侶の所作に、日本文化や日本の様式美が受けた影響は計り知れないものがあるのではないでしょうか。

160601-2.jpg観音様に罪穢れを発露悔過するという儀式では、やはり東大寺のお水取り(十一面観音悔過)が全国的に有名ですが、禅宗にもあるわけなのですね。

妙心寺さんや円覚寺さんでは、山門懺法といって、山門の上で執り行われるのだそうです。

ちょうど今月末神社で行なわれる夏越の大祓では茅の輪をくぐり、半年の罪穢れを落とさせていただき、水無月(宮中行事にまつわる菓子)をいただいて、来たる半年の無病息災を願うわけであります。

神仏どちらにも何の違和感もなくお参りする自分を顧みて、それも日本人の良いところだ……などと思う、6月です。


*臨川寺にて相国寺さんの観音懺法についてお尋ねがありましたが、その時はお答えできませんでした。後日ブログにてご紹介しますとお伝えしましたが、覧いただいておりますでしょうか???
是非ご参拝くださいませ。

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