トップページ » 2017年12月

年末年始の休業について

 

blog_MG_0710.jpg今日はクリスマス。仏教徒には関係ないとはいいながら、お寺でも子供達がいると避けては通れない、国民的行事の日になってしまっています。
私も子供の頃に、とても楽しみに靴下を枕元において寝ていましたが、夢が叶ったのは一度だけ。
それも靴下にお菓子のビスコの小箱が入っただけでした。今時のサンタさんはとても高額なプレゼントをくれるようですが。でもそれはそれで私はとても嬉しくて、サンタさんはどこから来たのだろう、うちのおくどさん(竈)の煙突は、あんなに細くて煤だらけなのにと不思議に思いながら、はしゃいでいたのでした。

さて、今年も押し詰まってきました。自坊の檀家さんへのお参りも、昨夜でとりあえず終わりました。
禅文化研究所は12月27日(水)を仕事納めとさせていただき、翌28日から1月8日まで、年末年始の休業とさせていただきます。
年始がえらく遅いじゃないかとお叱りをうけそうですが、通常は6日から仕事始めなところを、ちょうど3連休初日となってしまいますので、1月9日よりの始業となります。ながらくご迷惑をおかけしますが、ご了承の程、よろしくお願い申し上げます。
なお、12月27日午前10時までに頂戴しました書籍等のご注文は、当日中に発送し、それ以降のご注文につきましては、1月9日より、順次発送させていただきます。

今年も色々なことがありましたね。皆さんにとってはどんな年だったでしょうか。
ブログ禅は、今年はこれで書き止めとします。
皆さん、どうぞよいお年をお迎え下さい。来年も、禅文化研究所の活動にご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。

blog_MG_0730.jpg

by admin  at 09:40  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)

大切にしたいこと

 

blog_MG_7321.jpg一昨日のブログに円福寺調査のことを別のスタッフが書いていましたが、宝物調査に円福寺へ行って参りました。のべ11日にわたった調査もこれで終了です。
円福寺の見事な大根ツリーは今年もありましたが、確かに今年は、天候の影響を受けて大根が不足義味とかで例年より少ないそうです。それでも、檀家さんや信者さんが手塩に掛けて作られた貴重な大根。今年も丁寧に乾してありました。

さて、私事ですが寂しい話を少し……。

来年早々に高校時代の学年同窓会を開催し、私も幹事の一人で、出欠の総まとめをさせてもらっています。
同じクラスでずっと交流のあった友達のS、彼は近年患っていて参加できないと返信が来ていました。自宅で闘病生活しておりましたが、そんな中、11月初旬に彼のLINEで奥さんからメッセージが入り、亡くなった事を知りました。今度倒れたら死ぬかもとは言っていましたが、まさか本当に逝ってしまうとは思ってもみませんでしたので、最近、出会いに行くことを後回しにしていた自分がとても悔やまれました。
すでに家族葬で送られたとのことでしたので、親しかった友達を募り、近く四十九日を迎えるつい先日の日曜に、友人9人でSの霊前にお参りにいきました。僧侶である私が読経し、8人の友人は私の後ろでお参りしてくれました。まさかSの霊前でお経をあげるなんて思いもしなかったと考えながら……。

集まった9人は、よく会うものもいれば、数年ぶりに出会ったものもいましたが、「こんなことで再会するとはなぁ」と語り合いながら、それでもニコニコとお互いの近況を少し語らい、「またお正月の同窓会ですぐ会えるな!」と、散会しました。

その翌早朝のことです。Sのお参りには都合が付かずに来られなかった別の友人からのLINEが来ました。昨日、一緒にお参りしてたMが昨夜突然倒れて緊急搬送されたが亡くなったと!!

私は目を疑い、スマホを見つめる目を離せなくなってしまいました。信じられませんでした。仕事も手に着かなくなりました。昨日、ニコニコ笑いながら高校時代の時のエピソードを話していたあのMが亡くなったなんて。あとで知ったのですが心筋梗塞だったそうです。もちろん一緒に来ていた友人をはじめ親しい仲間に連絡をまわすと、一様に悲嘆にくれました。

彼は名古屋の東証1部上場企業に勤め、名古屋に住んでいたのですが、実家のある滋賀で通夜葬儀を行なうとのこと。翌日のお通夜にお参りしました。
驚きました。彼はその会社の常務取締役にまで上り詰めていたのです。彼は一切、偉ぶったりそういう雰囲気を出していませんでした。高校時代から全く変わらない気さくな男だったのです。彼の優しさ、懐の広さに感動さえ覚えました。
通夜には200人はくだらないであろう人たちが大勢お参りに来られていました。
Sのお参りにきたときにはデニムにジャンパー姿のMでしたが、棺の中では、今にもにっこり笑い出しそうな顔で、なんとスーツを着させてもらい静かに横たわっていました。
僧侶であると、亡き人を送る機会によく遭遇します。その時々に色々な思いも生じます。ただ、こんな短期間に親しい友人を二人亡くすことになると、僧侶でありながら気持ちは揺れ動きました。

こうして早逝した友達を涙して送り生きていくのと、涙を流した友達に惜しまれて送られるのと、どちらがいいだろうか。焼香しながらそんな想いが頭の中をよぎりました。Mの運命が尽きる前に、親友だったSがみんなを呼び寄せて会わせてくれたのかも知れません。

Mから届いていた同窓会への返信のコメントには「相変わらずです」と記されていました。確かに相変わらずの様子でした。でもその夜、「相変わらず」ではなくなりました。まさに「諸行無常」です。

いつ逝くかも知れない、そんな危うい人生だからこそ、一瞬一瞬を大事に生きなければ。
SNSがあっていつでも近くにいるように勘違いしていますが、じつは顔を合わせていないことも多い親しき人と、できるだけ会っておくことを大切にしなければ。

改めて色々なことを考えさせられ、気付かされたこの数日。お通夜の夜も、お葬式の夜も、夜空には満天の星でした。二人の冥福を祈っています。

blog_MG_7324.jpg

by admin  at 09:00  | Permalink  | Comments (2)  | Trackbacks (0)

冬の保存食

おはようございます。本日、弊所の調査チームは再び円福寺様の寺宝調査に出かけております。

1219_001.jpg冬の円福寺といえば、この光景が有名ですね。昨日も「明日はもう木に掛かっているかなあ」などと、話題に上っていました。



1219_002.jpg今年は台風の影響で、野菜の成長がずいぶん遅れました。冬の保存食にも影響が出ているようで、京都では冬の味覚・千枚漬が供給不足。上賀茂名産のすぐき漬も、漬け上がりが例年より遅くなったのだと農家の方が話されていました(写真はその際撮影した上賀茂神社の生き神馬・「神山号」です)。

どうしても自然には逆らえないものですが、日々修行に励まれる雲水さん方のお腹を満たす大切なお大根。大きなものがぶら下がっていることを、お祈りしています!

by admin  at 09:00  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)

講演会「禅僧になったアメリカ人」終了

 

本ブログでお知らせしましたとおり、去る、2017年12月16日(土)に金沢歌劇座にて、トーマス・カーシュナー師による講演会「禅僧になったアメリカ人」(主催・鈴木大拙館)がありました。

同名の書籍を刊行している関係で、著者サイン本の販売に金沢まで出向いてきました。

blog_MG_7311.jpg当日は冷たい雨の降る金沢でしたが、足元の悪い中を会場の定員にほぼ満席という状態でした。

大拙館主任研究員の岩本さん(花園大学の卒業生)が司会をされ、続いて、大拙館館長・木村宣彰先生(大谷大学前学長)によるご挨拶と、トーマス師の紹介がありました。

著書『禅僧になったアメリカ人』にある、彼の母親が言った「理想の家族は、息子か三人いれば、ひとりは医者、ひとりは神父、ひとりは芸術家……」。神父ではなかったが宗教者である禅僧となったトーマスさんの話からどんな話が聞けるでしょうかと。

blog_MG_7313.jpgその後、トーマス・カーシュナー師による講演となり、彼がどういう経緯で日本に来て禅僧となり、今日に至ったか。自伝を中心とした話を約1時間半講演され、聴衆は熱心に聴き入っておられました。最後にはいくつも質問が出ていたようです。

blog2017-12-16-14.26.jpg

廊下では書籍とカレンダー「禅語こよみ」を販売させていただきました。おかげさまで師の著書もたくさん売れたのでした。

 

by admin  at 09:42  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)

2017冬企画展「蘇山玄喬 ―禅画と墨蹟」展

 

蘇山展ポスター.jpgすでにお知らせしたとおり、平成29年12月11日より、花園大学歴史博物館にて企画展「蘇山玄喬 ―禅画と墨蹟」展が始まっています。

初日、一番にご来場頂いたのは、大乗僧堂の老師と隠侍さんだったようです。興味深くご覧頂けたようで幸いでした。ちょうど妙心寺の開山無相大師毎歳忌があるので、都合がよかったようです。

blog_2017-12-11-11.31.30.jpg

書画だけでなく、蘇山禅師の愛用された数珠や印なども出陳されています。

blog2017-12-11-11.46.jpg下記に弊所所長からの展覧会開催についてのご挨拶を転載いたします。


ごあいさつ

今回蘇山玄喬禅師百五十年遠諱を記念して、禅文化研究所が花園大学歴史博物館と共同で禅師遺墨の企画展を開催することになりました。ご縁の深い徳源寺、円福寺、見性寺に所蔵されている禅師の遺墨を集めて、平成29年12月11日より30年2月3日の期間、開催いたします。
江戸後期の禅僧、蘇山玄喬禅師は熊本にお生まれになり、尾張総見寺に居られた卓洲胡僊の所で十八年修行され、嗣法されました。永源寺派は同じ卓洲派でも蘇山禅師の兄弟子に当る春応禅悦禅師の系統ですが、蘇山禅師が卓洲派の偉大なる祖師で有ることには変りません。蘇山禅師の字は癖字の強い禅僧の間に在って、力強い正統派の書体であって、書道のあまり得意でない小衲には嬉しい限りです。また蘇山禅師は多くの禅画を描いています。布袋の画を沢山画いていますが、就中「指月布袋」には面白い物が多い樣に思えます。祖師方の画も多く、特に「慈明引錘図」は優れたものです。これを好い機会に存分に味わって頂けたら禅文化の本望であります。

永源寺派管長・禅文化研究所所長  道前慈明


入館料無料です。みなさまのご来場をお待ちしております。

 

by admin  at 09:00  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)

成道会

 

blog_MG_7278.jpg12月8日が成道会ではありますが、自坊では8日に近い日曜日にお勤めすることにしています。というわけで、今年2017年は12月10日正午から行ないました。

本堂の正面には、出山釈迦像の軸を下げます。自坊の出山釈迦像は「雪舟筆」という署名がありますが、おそらくホンモノではありませんが、江戸時代から寺宝として大切にしております。

寒いし雨になるという事前の天気予報でしたが、ちょっとずつズレたようで、前日の土曜日も当日日曜日も、寺の中にいるより外にいる方がぽかぽかと暖かいほどの好天でした。おかげで前日に外掃除も終えることができました。毎年、成道会には妙心寺派高等布教師の方を特請して、御法話をいただくことにもなっています。

blog_MG_7276.jpgblog_MG_7280.jpg檀家の世話方さんたちは10時頃から三々五々に集まられ、男性方はテーブルを出したり、本堂に椅子を並べたりしていただきます。

blog_MG_7287.jpg

ご婦人方はご自宅から下の写真のような精進の手料理を持ち寄ってこられ、典座では、皆さんが協力して馴れないけんちん汁を作られ、成道会法要のあと、お参りの皆さんのためのお斎の準備をされるというのが恒例となっています。毎年作る方が変わるので、お味も違い、今年はどんなけんちん汁かなと楽しみなのです。

blog_MG_7292.jpg

blog_MG_7294.jpg今年のけんちん汁、とても美味しくいただきました。

by admin  at 08:59  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)

蘇山玄喬禅師の禅画墨蹟 その2

本日、平成29年12月11日から花園大学歴史博物館で開催しています「蘇山玄喬 -禅画と墨蹟」展にあわせて、本展に出陳していない禅文化研究所所蔵の蘇山禅師の禅画を紹介します。

先般ご紹介したのは「文殊菩薩像」でしたが、今回ご紹介するのは、

蘇山玄喬自画賛「蛤蜊観音図」(紙本墨画/129.4cm×41.9cm)

です。まずは図版をみていただきましょう。

聴松堂_082b_8A4A5242.jpg白隠禅師の禅画によく観る蛤観音図ですが、今回の展覧会には水月観音図はありますが、蛤観音図はありません。賛文は下記の通りです。

(「擔水売河頭」白文長方印)
應以蛤身可得度者、即現
蛤身而爲説法。
前華園蘇山書(「玄喬沙門」白文方印)(「蘇山」朱文方印)

「観音経普門品」の一節を「蛤に変えて」もじったものです。款記が「前華園蘇山書」とあることから、おそらく見性寺住持の最後の頃から円福寺に住山したころではないかと思われます。

関防印の「擔水売河頭」という白文長方印は、円福寺の調査でも何度も目にしました。

IMG_9054.jpg今回の出展作品の中にもこの関防印が押されている作品もあります。
では、どうぞ花園大学歴史博物館までお運び下さい。

 

by admin  at 09:00  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)

サンガセミナー2017第5回終了 その2

 

blog_BKL2860.jpg今年度最後のサンガセミナーは法輪寺(だるま寺)さんにて。いつもこういった立て看板まで作って頂き、ありがたいことです。色づいたモミジもまだ愉しむことができ、参加者の方々も時間前に写真撮影されておりました。

午後からの講座は、信州の長谷寺(真言宗智山派)のご寺庭である岡澤恭子さんによる「涅槃図お絵解き講座」、2年ほど間をおいての講座となりますが、参加者はなんと35名にものぼりました。

blog_BKL2884.jpg

まず最初に「お絵解き」とは何か。お絵解きの歴史などについてお話をいただきました。そして、流れるように「お絵解き」へ。その雄弁たること、それまで歴史などの話をされていたのとはまったく違う声のトーン。毎度のことですが、皆さん、圧倒されたように聞き入ります。

blog_BKL2894.jpg

そして、聞いている自分がお釈迦様の涅槃の場所にいるような気持ちになってくるのでした。

考えてみれば、セミナー開催日は臘八大摂心の中日。お釈迦様が苦行の末にスジャータから振舞われた乳粥をいただかれ、菩提樹の下で1週間の坐禅をされ、今日12月8日の早朝、明けの明星を観てお悟りになった、その追体験をすべく、全国の僧堂では雲水達が不眠不休の坐禅修行をしている真っ最中。

そのことを思うと、2500年もの昔にお釈迦様がおられたことを思い、今もその仏法が続いていることに感謝するのでした。

blog_BKL2891.jpg最後に岡澤さんはおっしゃいました。

私たちはみんな死にます。死ぬと閻魔大王さまの前に行くといわれます。閻魔さまは我々死者に問われます。「生前に悪いことをしなかったか」。そこで私たちは地獄に落とされるのが恐ろしく「なにもしておりません」と答えますが、閻魔さまの横には大きな鏡があり、私たちが犯した罪が映し出されます。このままでは地獄行きです。その時、閻魔さまがまた問われます。「生前に涅槃図の絵解きを観たことがあるか」と。観たことがあるものは地獄行きを救われるのだそうです。

今日はまた35人の人が岡澤さんに救われたわけですね。

ところで、そんな地獄の様子を描いた「地獄図絵」の絵解きをしていただく先生を見つけましたので、来年度のサンガセミナーでは「地獄図絵解き講座」を開設しようと考えております。

どうぞ来年度サンガセミナーにも皆さんのご参加をお待ちしております。

 

by admin  at 09:00  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)

サンガセミナー2017第5回終了 その1

 

blog_BKL2868.jpg

去る、平成29年12月4日、本年度のサンガセミナーの最後となる第5回を開催しました。場所は日本少林寺拳法の聖地でもある、京都・円町の法輪寺(通称・だるま寺)。達磨堂にはご覧の通り、数多くのダルマさんが祀られています。

 

blog_BKL2857.jpg

午前中は、水墨画家の平川功先生による「水墨画講座 来年の干支を描く」です。16人定員のところ、法務のために当日キャンセルがあったものの15名の受講者でした。

昨年度は「秋を描く」と題して、秋の実りを水墨画で描いて頂きましたが、今年は、年賀状シーズンに合わせて、来年の干支「戌」を描く講座となりました。
今回、先生は描き方の手ほどきを映像ビデオにしてお持ち下さり、スクリーンに投影しながらの説明があり、非常にわかりやすかったようです。
3パターンの見本を用意されています。ワンコはどうやら柴犬とのこと。

blog_BKL2872.jpgもちろん、先生は立ち回って受講者の手ほどきも。

どうでしょうか。可愛いワンコが描けているでしょうか。

blog_BKL2880.jpg今回の講座もホントに不思議に思うのですが、京都の方の参加は16名中2名だけというわけで、北は福島、南は四国や九州からの参加者も。ありがたいことでございます。

最後に先生の見本を一点。一番筆数が少ない見本ですが、かわいさが伝わってきますね。

blog_BKL2876.jpgさて参加者の皆さん、年賀状にチャレンジできますでしょうか。いいのが描けたら研究所にも年賀状を送って下さいね。

 

by admin  at 09:00  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)

蘇山玄喬禅師の禅画墨蹟

先般お知らせしたとおり、平成29年12月11日より、花園大学歴史博物館にて、企画展「蘇山玄喬-禅画と墨蹟」展を開催します。この展覧会では、名古屋・徳源寺、京都府八幡市円福寺、熊本市・見性寺という蘇山玄喬禅師が住した3寺院の所蔵品を一挙に公開するという展覧会です。

したがって、本展には出品されませんが、禅文化研究所でも3点、蘇山禅師の禅画を所蔵していますので、今回はその中の

蘇山玄喬自画賛「文殊菩薩図」(紙本墨画/94.9cm×29.6cm)

を紹介させて頂きます。

禅文化_014b_8A4A5701_L.jpg画像をクリックすると大きな画像が表示されますが、内容は下記の通りです。

(「不識」白文長方印)
常持常誦者
阿羅波者那
蘇山拜書(「蘇山」朱文円印)(「雲祥山主」白文方印)

ちなみに、仏菩薩図としては、今回の展覧会には「出山釈迦図」「水月観音図」「地蔵菩薩図」が出陳されますが、「文殊菩薩図」はありません。

落款に「雲祥山主」の印が使われていますので、まだ円福寺に入る前、見性寺の住職をされていたころに描かれたものということになります。また、円福寺住持を経て、徳源寺を開創された以後は款記も「特賜神機妙用禅師書」などと書かれているものが多いので、「蘇山拝書」とだけされる款記は若い頃のものに多く、この文殊菩薩図はまだ禅師が40~50歳代に書かれたのだということがわかります。

賛は「常に持し常に誦すは阿羅波者那」と読みます。文殊菩薩の常に持ち誦まれている経巻のことをあらわしています。「阿羅波者那」は通常「阿羅波遮那」と書かれますが、『般若経』に説かれる悉曇の四十二の文字の初めの五文字ですから『般若経』そのものを言っているのでしょう。文殊菩薩は釈迦に代わって般若の「空」を説かれる菩薩なのです。

by admin  at 09:00  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)

遠諱事業の締めくくり

 

2017-12-01-06.57.jpg今日は12月1日。今年の師走がやってまいりました。一年、あっという間ですね。

そして来年早々、平成30年(2018)年1月1日~2月12日、九州国立博物館において、
文化交流展特別展示「白隠さんと仙厓さん」(観覧料 大人430円/大学生130円)
が開催されます。白隠慧鶴禅師(1685-1768)と仙厓義梵禅師(1750-1837)は、いずれも江戸時代に数多くの禅画や墨蹟を残された禅僧で、またタッチは違うもののどちらの禅画も洒脱でユーモラスでもあり、またそれらは民衆の教化に大いに意味があったものです。

白隠さんと仙厓さん.jpgまた、期間中、2つの講演会が開催されます。いずれも受講は応募申し込み制(〆切り日あり)です。

1) 平成30年1月14日(日) 14:00~15:30
「白隠と仙厓に見る大和の禅」 玄侑宗久師(芥川賞作家・花園大学客員教授・妙心寺派福聚寺住職)

2) 平成30年1月28日(日) 14:00~15:30
「白隠と仙厓」 芳澤勝弘氏(花園大学国際禅学研究所顧問)

詳しくはこちらのパンフレットをご覧下さい。

これをもって、昨年(2016)3月に遠諱法要を終えた、臨済禅師1150年・白隠禅師250年の遠諱大法会事業も、いよいよ締めくくりを迎えることになります。

禅文化研究所は臨黄合議所の事務局でもありますので、思えばたくさんの遠諱事業をしてきました。

各地の本山や僧堂を使っての報恩坐禅会、出版事業、各地での講演会やシンポジウム、京都国立博物館と東京国立博物館での特別展「禅」展、一般向けに行なった鎌倉での大摂心、大本山東福寺での遠諱大法要と雲衲摂心、中国への顕彰旅行などなどです。事業についてはこちらに一括して掲載してあります。

遠諱の余韻にひたりながら、皆さん、どうぞ九州は大宰府まで。

 

by admin  at 09:00  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)