白隠禅師法語全集 第4冊 夜船閑話

YASEN
白隠禅師が、現代の薬づけの私達を見たら、どう言われるでしょう。彼は、瀕死の病をも伝授された瞑想法で克服されました。強靭な精神力をもっての事でしょうから、私達が誰でも真似をしてできるかと言われれば難しい事かもしれませんが、呼吸を整えたり、自分の身体なのですから、自らが身体に語りかけ、調子の悪い所は無いか気を使いつつ日々を暮らす事はできるのではないでしょうか。
この白隠禅師の夜船閑話では、専門的に内観の法や軟酥の法を学んでみたい人から、興味があるという程度の人まで、何らか、自分のこの身体で自分が今を生きるための方法を得る事のできる本だと思われます。

○夜船閑話
禅師の仮名法語の代表作である。若き時に禅病におかされた白隠禅師が、京都北白川の山中に隠遁する白幽仙人の存在を人から教えられ、仙人を訪ね、その病を克服する法を授かる。禅師のかかった禅病は、肺病でもあり、一種のノイローゼのようなものでもあったようだが、仙人はこれを癒すために「内観の法」と「軟酥の法」というふたつの瞑想法を授ける。
 白隠禅師はこの法の実践によって、必死の病をのりこえることができた。そして、みずからの体験を「ものがたり」にして、同病の者に示したのである。江戸期からもっともよく読まれて来た法語であるが、近代になっても、この内観の法によって健康を回復した例がいくつも報告されている。

○夜船閑話 巻の下
白隠仮名法語の中でもっとも知られている、内観法を説いた『夜船閑話』と同じタイトルであるが、内容はこれとは何らの連絡もない、まったく別のものである。
 駿河小島藩主、松平昌信(一七二八~七一)に与えられた法語である。小島藩は石高一万石、最低限の大名で、城郭ももたない小さな藩であった。そのため、参勤交代や諸役の負担は大きく、藩政はつねに逼迫していた。この小藩の藩主に対する仁政指南の書であるが、白隠の語りは、君主を補佐する者に向けられているようで、まつりごとの根本精神を説いたものである。
訳注 芳澤勝弘 四六判 350頁 2000.7.31 発行
ISBN978-4-88182-138-1 C0015
在庫あり
2,750  (税込)
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