白隠禅師法語全集 第10冊 仮名葎

KANA
この巻には、白隠禅師の新談義とちりちり草の二書をおさめる。この二書を合冊にした版本もあったようで、あわせて『假名葎』とも呼ばれている。この巻の書名にした所以である。
○假名葎 附けたり新談義
生死輪回を脱するためには、まず隻手無声の音を聞け、と白隠創始の公案に参ずることをすすめるものである。冒頭には「実相真如の日輪は、生死長夜の闇を照らし」という、行基上人が伊勢大神からさずかった神敕が引かれているが、そのことについてはあまり触れられてはいない。後半の『ちりちり草』(一名、仮名葎 附けたり辻談議)ではもっぱら両部神道が説かれるが、その伏線をなすものであろう。
○ちりちり草
もっぱら唯一神道を批判したもの。排仏を説いた者、また唯一神道を始めた者たちの因果応報の例をいくつもあげる。そしてまた、行基上人、法灯国師、東福寺の別峰和尚、さらには伊勢の曹洞宗大空禅師の例話をあげ、神と仏の違いはあっても、ただ水波の違いであり、本来は同じものであると説く。
訳注 芳澤勝弘 四六判 290頁 2000.10.31 発行
ISBN978-4-88182-139-8 C0015
在庫あり
2,530  (税込)
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【もくじ】
かなむぐら つけたり新談議 (意訳)
行基上人へのご神勅/神と仏は水と波、本来同じもの/勇猛に修行すれば、成仏はたった一念/死んでから気づいても遅い/一たび三塗に入りぬれば、再び帰ることぞなき/地獄に堕ちた醍醐帝/地獄では身分の高下はない/地獄に堕ちたお坊様たち/恨めしきは邪教を教えるお坊様/仏法を安売りする僧侶/地獄行きを免れ成仏する方法とは/即座成仏の秘訣/気海丹田に気を集めよ/身心脱落、脱落身心/すべてのものは仏性をそなえている/隻手の声/謡曲『山姥』/ちりちり草(一名、仮名葎 つけたり辻談議) (意訳)/一切衆生をことごとく悟らしめる/まず自身が悟れ/隻手の声を聞き届けよ/隻手の声を聞くための工夫のひとつ/一旦の悟りに安住してはならぬ/悟後の修行/隔生即忘/痴福は三世の冤/仏説によるこの世の始まり/この世の始まる前の世界/唯一神道を行なって祟りを受けた神主たち/甲州一の宮の神主/甲府芝宮の神主遠江/白隠、遠江をさとす/両部神道の由来/大仏建立のときの伊勢大神のご神勅/実相真如の日輪は/  生死常夜の闇を照らす/丹後切戸文殊のいわれ/法灯国師、袈裟を伊勢神宮に奉献す/別峰和尚、大御神より袈裟をたまわる/大御神、別峰和尚に自賛自画像をたまう/御神像の不思議/白隠、松林寺で御神像を拝する/御神像と模写との違い/宝永のころ、表装を修復したときの神異/伊勢の大空禅師の話/大空、浄眼寺を開く/皇大神、大空禅師に参ずる/芝宮の神主遠江への教諭/排仏を説いた儒者の末路/唯一神道を行なった神主の末路/黄檗僧から還俗した儒者、真田俊哉/真田、沼津で排仏を講ずる/浅間大士、真田の排仏をいましめる/人にあやめられた真田の末路/割腹自殺して果てた遠江

假名葎 附たり新談議 (本文・注)
ちりちり草(一名、假名葎 附けたり辻談議)(本文・注)

解説
仮名葎 附たり新談議・解説
ちりちり草(一名、仮名葎 附けたり辻談議)・解説
假名葎 附たり新談議 (原本影印)
ちりちり草 (原本影印)
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