1  |  2  |  3  |  4  |  5  |  6  |  7  |  8  |  9  |  10  | All pages

逸話(9)白隠門下 その4-遂翁元盧(2)

前回に続いて、遂翁元盧禅師の逸話をもう一つ。

 


白隠禅師が八十歳の年、門下の高弟たちが協議し、『大応録』を提唱する法会(ほうえ)を開いてもらうことになった。遂翁は、住持を補佐する副司(ふうす)という役職を勤めた。その時、白隠禅師は軽い病にかかっておられたが、無理して講座に登り、七百人の大衆が集まった。その法会も無事円成し、解散が近づいたころ、東嶺和尚が、
「慧牧を松蔭寺の後継ぎにさせてはいかがですか」
と、白隠禅師に進言した。禅師も承諾し、東嶺が遂翁に告げると、遂翁も了承した。
東嶺の祝賀の偈に曰く、

南嶽三生蔵の老僧
黄梅七百衆の盧能
伝衣(でんえ)の事畢(おわ)って芳燭を続(つ)ぐ
且喜(しゃき)すらくは松蔭に慧灯を留むることを

かくして遂翁は京都花園の大本山妙心寺に上り、その法階を妙心寺第一座に進め、自ら酔翁と号した。宿坊養源院の院主がそのわけを問うと、遂翁は、
「わしは酒が好きだ。よって酔翁と号す」
と答えた。その答えを聞いた院主が、
「それはまた無茶な。酔を遂とすればどうだ」
と勧めると、遂翁も、
「遂にするのもよかろう」
と承知し、遂翁と号するようになった。
妙心寺での転版の儀式の後、大阪に遊んだ遂翁は、十二月になってようやく松蔭寺に帰った。その時の偈に云く、

明和元年六月旦
微笑塔前、旧規を攀(よ)づ
臘月帰り来たって破院に住す
業風(ごっぷう)を空却して吹くに一任す

松蔭寺に帰った遂翁は、白隠禅師と同居することを望まず、庵原(いはら)に一人住まいをした。
三年後、白隠禅師の病が重くなると、松蔭寺に帰って看病をした。そして禅師が遷化(せんげ)されると、遂翁はその法席を嗣(つ)いで松蔭寺の住持となった。
しかし、事を事ともせず、勝手きまま。参禅に来る者があると、
「わしは、何も知らぬ。龍沢寺に行って東嶺和尚に参禅せよ」
と言うだけで、一言の指導もなく、口を閉ざすこと七年であった。しかし、遂翁に随う雲水は常に七、八十人もいた。ところが、雲水が教示を求めれば、
「東嶺和尚のところへ行け」
と、相変わらずの一言であった。
遂翁がこんなふうだから、大休和尚や霊源和尚などは、しばしば手紙を送って遂翁に開法させようとした。しかし、遂翁は我れ関せずであった。

 

by admin  at 09:00  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)

逸話(8)白隠門下 その3-遂翁元盧(1)

さて、今回は同じく白隠門下の高足、遂翁元盧禅師の逸話です。遂翁さんといえば、墨画が際立ってうまく、デジタルアーカイブスの調査などでも、いつも目を見張るほどの作品を残しておられます。でも、そうとう風変わりな禅僧だったようですね。あまりお友達にはなれそうにないイメージです。

 


 

 

遂翁元盧筆/月船禅慧賛「出山釋迦像」(禅文化研究所蔵)遂翁元盧和尚は(栃木県)の生まれである。最初の名は慧牧といったが、後に元盧と改めた。性来、酒を好み、才気は人にすぐれ、誰の束縛も受けなかった。
三十歳の時、白隠禅師に相見した。遂翁の非凡なる気質を見ぬいた禅師は、厳しく鉗鎚を下した。遂翁の参禅は、必ず深夜に行なわれたため、誰もその姿を見ることはなかった。白隠禅師のもとに二十年いた遂翁は、高い境界を持っていたが、その才を隠し、大衆の中にまぎれていた。
松蔭寺から三十里ばかり離れた葦原の西青島という所に庵を結び、松蔭寺で講座がないかぎり出ていくことはなかった。そして講座が終わると、またすぐに帰って行った。
ある日、講座が終わってから、白隠禅師が侍者に命じて、遂翁を呼んだことがあった。侍者が捜しに行くと、遂翁の姿はなく、ある人が、
「慧牧さんなら、とうに帰って行ったぞ」
と教えてくれた。侍者はすぐに遂翁の後を追い、
「白隠和尚がお召しです。早く来て下さい」
と告げた。しかし、遂翁は、
「和尚が呼んでも、わしは呼ばぬ」
と、さっさと立ち去って行った。遂翁の人にへりくだらない態度は、おおむねこのようであった。
細かなことには気をとめず、坐禅もしなければ、お経も読まない。定まった住まいもなく、その場その場で脚を伸ばして眠った。酒を飲んで少しいい気分になると、碁を打ったり、絵を描いたり、悠々自適な毎日を送っていた。そのために、遂翁がぼんくらなのか偉いのか、誰にも推し量ることができなかったのである。

 

※写真は遂翁元盧筆/月船禅慧賛「出山釋迦像」(禅文化研究所蔵)。

by admin  at 09:00  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)

サンガセミナー「日々の花」講座 作品展その3

1月12日のサンガセミナー、雨宮ゆか先生の「日々の花」講座での、受講者の皆さんの作品展その3です。
どうぞお楽しみ下さい。

_AC_0234.jpg_AC_0235.jpg_AC_0236.jpg_AC_0237.jpg_AC_0238.jpg_AC_0239.jpg_AC_0240.jpg_AC_0241.jpg如何でしたでしょうか。

玄関先やリビングなどに、庭の草木を探してきて投げ入れる、手軽な日々の花。花器選びもコツの一つですが、ちょっとした時間だけで、手軽に花をきれいに生けることができる、この雨宮先生の方法は、知っておくと便利ですよ。

来年度も開催できるように計画しております。機会がありましたら是非。

作品展その1はこちら。その2はこちら

by admin  at 09:00  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)

サンガセミナー「日々の花」講座 作品展その2

1月12日のサンガセミナー、雨宮ゆか先生の「日々の花」講座での、受講者の皆さんの作品展その2です。冬の花材を使った日々の花。どうぞお楽しみ下さい。

_AC_0223.jpg

_AC_0224.jpg_AC_0225.jpg_AC_0226.jpg_AC_0229.jpg

_AC_0233.jpg

_AC_0230.jpg最後の梅は、雲龍梅という種類の梅だそうです。雲龍図のような枝振り、見事ですね。

次回に続く。

作品展その1はこちら

by admin  at 09:00  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)

季刊『禅文化』243号発刊のお知らせ

 

kikan_001.jpg今年はじめての季刊『禅文化』を発刊いたしました。今季は、昨年実施された臨済禅師・白隠禅師の遠諱報恩摂心を中心に振り返ります。平成28年3月、両禅師の遠諱合斎法要に先だって東福寺で実施された大摂心には、全国の道場から約230名もの雲水が集結し研鑽に励まれました。


kikan_002.jpg濃密な5日間を臨場感をもってお伝えしたく、16ページにわたるカラーグラビアで活き活きとした雲水さん達の姿をご紹介しています。


kikan_003.jpg摂心にて喚鐘を出された老師のうちお二人からは、現在の禅門が抱えつつある課題、またそれについての前向きかつ具体的提案もご執筆いただきました。心強さを感じるとともに、宗門の未来を担う雲水への温かい思いが心に沁み込む二稿は、ぜひ皆さまにお読みいただきたい内容です。

また、最新の研究からも禅宗のいまを知っていただければと、昨春開催された「臨濟錄國際學會」での発表から、末木文美士先生(国際日本文化研究センター名誉教授)の「日本における臨済宗の形成――新資料から見た禅宗と達磨宗」を掲載しております。

詳細は、もくじページをご覧ください。それでは、今季もどうぞよろしくお願いいたします。

by admin  at 09:00  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)
 1  |  2  |  3  |  4  |  5  |  6  |  7  |  8  |  9  |  10  | All pages
2017年5月
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31