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花園大学歴史博物館開館20周年記念 「両足院―いま開かれる秘蔵資料―」展 記念講演会

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花園大学歴史博物館で開催中の特別展「両足院―いま開かれる秘蔵資料―」記念講演会を実施いたしました(於妙心寺花園会館教化ホール)。

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講師の片山真理子先生(花園大学歴史博物館研究員・ 東京藝術大学美術学部付属古美術研究施設非常勤講師)は、高麗美術館(京都市北区)で学芸員として15年間勤務された経験もお持ちの、朝鮮美術の専門家であられます。今回の講演会は間際に決まったもので、会場も花園大学より徒歩7分ほどの花園会館での開催でしたが、関心を持つ方々に足を運んでいただき、用意した席は埋まりました。

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演題は「両足院の文物と対馬以酊庵輪番がもたらしたもの」。近年実施の両足院(建仁寺塔頭)の所蔵品の調査・整理をもとにお話いただき、そのなかでも朝鮮から伝来した文物の存在というものは、朝鮮修文職として対馬以酊庵に赴任したことと大きな関わりがあるもので、もちろん朝鮮通信使の来日との関わりは当然あると思われますが、また別の流れではないか、とのことでした。

江戸時代、対朝鮮外交においては対馬藩が徳川幕府より専任され、一手に取りまとめてきました。しかし、国書改竄の事実が明るみとなった柳川一件の後には、京都五山の碩学僧が約2年ごとに派遣されることになり、その後230年にわたって「以酊庵輪番制」として機能しました。両足院からも輪番した碩学僧が4名、中には2度、3度つとめた住持を輩出しており、京都に帰って来る際には、当地で得た土産を持ち帰ったということで、片山先生からは、両足院と以酊庵の歴史や現在展観中の朝鮮美術について、わかりやすく教えていただきました。

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今回、花園大学歴史博物館で公開されているのは、蔵の修復工事にともなう寺宝の一時保管中に行われた、整理をともなう調査研究の成果です。未公開の優品のほか、光の当たりにくい作例にも目を向けた貴重な機会となっています。「書画ばかりでなく、蔵には貴重な古文書も存在しており、保護の意味で両者をともに博物館で預かることとなり、ともに調査する機会を得られた収穫は大きい」と片山先生。絵画と文献の一致についても例を挙げてご紹介くださいましたので、講演会にお越しいただけなかった皆さまも、ぜひレジュメをご覧ください。

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展覧会は、前期は今月25日(土)まで。後期は2022年1月7日(金)からで、作品の展示替えは大幅に行われます。どうぞお楽しみください。なお、1月21日には、同院の典籍調査に深く関わってこられた赤尾栄慶先生(京都国立博物館名誉館員)の講演会も実施されます。詳しくはこちら。皆さまのご参加お待ち申し上げます。

by admin  at 09:00
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