トップページ » 2013年4月17日

友人の黄檗宗寺院、本堂再建のお話

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私の高校時代からの親友に黄檗宗僧侶がいます。
近江八幡市にある岩倉山という小高い山の中腹にあるお寺で、若い頃、3日とおかず夜な夜な遊びに通っていました。麓からのわびた石段を登っていくと、途中で左に折れる角に灯籠がありましたがもちろん灯っているわけでもなく、街灯もない真っ暗の参道で、少々薄気味悪い気持ちで登り降りしていたものでした。
近年、先住職であった父を亡くされ、住職となった彼は車で登れる参道を設備したのでぐっと便利になり、また景色がいいものの使いにくかった庫裡を改築してきました。
檀家さんからの寄附もありましょうがその数15軒、彼の高校教師としての収入をかなり投じての改築だったろうと推測されます。
また、古びた本堂もあり、かなり傷んでいたような記憶がありますが、私は入ったことはなかったように思います。このたびその本堂が再建されたのです。
3年ほど前から、本堂を建て直すことにしたと聞いていて、大変なことをやる気になったなぁと思ったものです。

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木材はこの山から切り出されたもので、内部は黄檗宗らしく甎(しきがわら)の本堂です。檀家さんでもある年配の大工さんが、ほとんどの仕事を一人でコツコツと仕上げていかれた様子。もちろん檀家さんたちも財政面はもちろんのこと、実労働としても協力されたように聞きます。おかげで、一般的な経費よりはるかに安く建てられたとのこと。

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岩倉山というだけあって、昔はよく石の切り出しが行なわれていたらしく、ここで切り出した石で石塔を作り、かの有名な日野の石塔寺に運んでいったとか。山中には沢山の地蔵さんが点在していたとのことで、それをこの工事に合わせて一ヶ所に集めてきて供養することにしたそうです。落慶法要が近いというので、些少ながら御祝を持って参じたところ、できれば早く退職してしまって、せっかく立派になったこのお寺に参詣客を増やすように努め、普茶料理を作ってお出しするとかしてみたいという、これまた驚きのこれからの人生の意志表明も聞きました。

住職であるこの友人は坊主臭さがない男で、友情に免じてもらって失礼ながらいうと、本堂を建て直すなどという大事業をやる気概があるなんて思ってもみなかったのですが、改めてその宗盟心にあっぱれと驚くばかりです。

昨今、寺院の世襲制を批難されるむきもありますが、肉山寺院とはちがい、田舎のこういう小規模寺院では、世襲した住職自らが副業をもって収入を得、その身銭を切って護持運営、復興していくしかないという実情があることも知って頂ければと思います。

by admin  at 07:30  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)