トップページ » 2010年7月 2日

『禅文化』213号 技を訪う-葛籠-

日々の生活で出会った素晴らしい職人さんを、季刊『禅文化』にてご紹介しています。本ブログでもご紹介させていただきます。
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季刊『禅文化』213号より
“技を訪う―葛籠(つづら)”  川辺紀子(禅文化研究所所員)

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マンションに葛籠

 梅雨のある日、クローゼット奥にカビを見つけた。冬には、水が滴り落ちるほどの結露に恐れおののいた初めてのマンション暮らしだったが、「このままでは着物が危ない」と、着物の収納について真剣に考え始めた。そこでまず思いついたのが桐箪笥だった。箪笥屋のショールームに赴き、美しく象牙色に光るその姿にうっとりしたが、一人暮らしの狭いマンションのフローリングにも真っ白な壁にも似合わない。いやその前に誰がこの大金を出すのだ!と、その選択肢はすぐに消え去った。

 そんなころ、雑誌で“京葛籠”を知った。塗りの上品な光り具合、家紋が入ると引き締まる全体の印象。たちまち心を奪われた。加えて、柿渋や自然素材を使うので、虫や湿気から着物を守り、機能性が抜群らしい。すぐに購入したいと思ったが、やはり写真で確認するだけではなく、実際にこの目で確かめなくてはと、直接訪ねてみた。それが、葛籠作りの全工程を手がける“渡辺商店”だった。

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by admin  at 07:30  | Permalink  | Comments (2)  | Trackbacks (0)