トップページ » 2009年8月27日

私の鍼灸師さん




マイナスイオン放出の清らかな滝

5年くらい前になるだろうか、片方の耳が少し聴こえにくくなって耳鼻科に通ったりしたが、パッとしない。鍼灸師の友人が、耳のコリからくるものかもしれないから、鍼をしてみたら、と助言してくれた。そして「鍼灸の施療ほど、実力の違いが如実に顕われるものはないから、鍼灸師を選ぶときにはよほど慎重に。私がとても尊敬している鍼灸師さんがいるので紹介してあげよう」と言ってくれた。

四条河原町から阪急電車に乗って、紹介された鍼灸師さんを訪ねた。「耳がちょっと聴こえにくいので」とだけ、予約のときにお伝えしておいた。
私が診察室に入るなり、先生は「左耳ですね」と言われた。ちょっとビックリした。左耳を中心に鍼をしてもらっておいとました。すごくビックリしたのは四条河原町に帰り着いたときだった。ここはこんなに騒がしい場所だったのかとあらためて思ったのだった。耳はとてもよく聴こえるようになっていた。

すっかり先生のファンになってしまった私は、それから毎週予約を入れた。先生はいわゆる「ツボ」には鍼を打たない。その折、その折の患者のコリを目で追って、ピタリとそこに鍼を打つのだ。まるで神業なので、聞いてみた。「どうしてコリが見えるのですか?」。「最初からこんなふうにわかったわけではないですよ。患者さんに鍼を打っているうちに、コリの箇所に私の肘の内側がビンビンと感じ始めたのです。コリが私を呼ぶんですねえ。アハハ」と。それから、だんだん見ただけで人のコリがわかるようになったのだという。

「先生は天才ですね」と感嘆する私に、先生は「いや、最初は本当に何もわかりませんでしたが、ただカムシャラに自分や患者さんに鍼を打ち続けた結果です。だから誰でもわかるようになります、やっていたら」。私の左耳のこりの発見も、先生にとってはごく「普通のこと」だったのだ。
それで、友人の鍼灸師に「コリって見てわかるようになるものなの」と聞いてみたら、「いやそんなことがわかるのはあの先生くらいのものだ」という答えが返ってきた。

私の鍼灸師さんの続きを読む

by admin  at 07:30  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)