トップページ » 2009年3月11日

-祖師西来意・そしせいらいい- えしん先生の禅語教室 その3




卓州胡僊 蘆葉の達磨画賛(禅文化研究所蔵)

-卓州胡僊 蘆葉の達磨画賛-

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一般に「祖師」と言うと、禅宗の法灯を伝えた歴代の祖師のことですが、ここではインドから中国へやってきた「菩提達磨」(ぼだいだるま、達摩とも書く)個人を指しています。そう、選挙の時などに担がれるあの朱達磨こそ、六世紀に中国で禅宗を開いた人なのです。

手も脚も衣に包んで、九年のあいだ少林寺の洞窟でじっと坐り続けた達磨さんは、いくら押し倒しても七転八起する「不倒翁」です。なぜなら達磨さんは、外から加えられた力ではなく、自身の肚(はら)のなかから湧き出るセルフパワーを具えているのです。いわゆる自力ですね。また人の心胆を見抜いてしまうようなあの鋭い眼光は、悟りの智慧のはたらきを示したものでしょう。

達磨の図を見ますと、蘆の葉に乗って暗夜に揚子江を渡る「蘆葉(ろよう)の達磨」とか、毒殺されて熊耳山(ゆうじざん)に葬られてから蘇り、沓(くつ)を片方だけ持ってインドに帰って行く「隻履(せきり)の達磨」など、キリスト顔負けの奇跡を見せた人として描かれています。これらはすべてフィクションです。
しかし実際に達磨という人が存在したかどうか、歴史的な証拠は何もありません。ただ敦煌(とんこう)から発見された『洛陽伽藍記』永寧寺の条に、菩提達磨という百五十歳のペルシャ僧が登場してきます。それが禅宗の初祖に祭り上げられたらしいのです。

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by admin  at 07:30  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)