トップページ » 2009年2月 4日

映画 "禅 ZEN"を見て その2

映画「禅 zen」

1月20日のブログ記事では、映画 "禅 ZEN"を見たというご報告だけをさせていただいた。
今回は、私なりの正直な感想を書きたいと思う。

結論からいうと酷評である。残念ながら全く以て駄作だと思うからだ。御覧になった皆さんはどうであったであろう。WEBで探すと、賛否両論あるようではあるが…。

道元禅師を讃えられている原作なので、もちろん道元禅師の素晴らしい生きざまを描こうとされたのであろう。だがしかし……。

道元禅師は入宋され行脚されるうち、当時の主流であった大慧派の禅を否定し、天堂山如浄に嗣法して帰国し、日本にその禅風を流布したのである。その禅風とは「只管打坐」、ただひたすらに坐る。そして、あるがままを受け入れるということであった。喜びも苦しみも涙も…あるがままに。

そのあるがままを表現するに、我々は誰の中にも仏があるとし、その仏を空に浮かぶ月に擬して説かれているようで、何度も「月」が登場する。
しかし、その月をあまりにも誇大化して映像にしているので、却って気になるのである。
道元が断崖絶壁にたたずむ時に、その向こうにある月はあまりにも大きすぎ、またおりんが俊了を連れてみる「田ごとの月」は、現実にありえない映像である。
あるがままであれば、どうしてもっと自然な美しい月を映像化できないのか。
また、坐禅中に道元が悟っていくイメージを、蓮の花にのってすーっと浮かんでいくように表現しているが、これは絶対やってはいけない演出である。
映画のあちこちで、こういうイメージがCGによって表現され、この映画の品を落しているのである。

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by admin  at 07:30  | Permalink  | Comments (8)  | Trackbacks (0)