トップページ » 2006年7月14日

祇園祭 -白楽天山-

白楽天山

京都では現在、祇園祭の一連の行事が続いています。
間もなくクライマックスの山鉾巡行が行なわれますが、様々な趣向を凝らした山や鉾の中には、中国の故事をテーマにしたものも多くあります。 中でも白楽天山は、唐の政治家で詩人の白楽天が、道林禅師を訪れたという禅の故事の一場面を表わしています。 白楽天が禅師を訪ねたところ、いつものように松の木の上で坐禅中。白楽天は思わず「危ない」と声をあげますが、逆に禅師から「危ないのはむしろ貴公のほうだ」と諭されます。白楽天は改めて仏法の大意を尋ねます。 禅師の答えは「諸悪莫作 衆善奉行」。悪いことをするな、善いことをせよというもの。
「そんなことは三歳の子供でも言いますよ」と言う白楽天に、禅師は「三歳の子供でも言うことであるが、八十歳の老人でも実行しがたいことである」。

織田信長が上杉謙信に贈った『洛中洛外図屏風』にも、それらしいものが描かれています。白楽天山の存在は、『景徳伝灯録』や『五灯会元』に見えるこの禅の故事が、室町時代の京の町衆にとっても、以外と身近なものだったということを示しているのでしょう。
(T.F wrote)

by admin  at 16:38  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)