公益財団法人 禅文化研究所

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枯木再び花を生ず
細川景一(花園大学前学長・禅文化研究所元理事長)
46判上製/336頁
定価:2,200円(税込)
ISBN978-4-88182-156-5 C0015
発行日:2000/11/24
◆「まえがき」より
古来より、禅は只管打坐、実参実修、語らんと欲すれど言説到らず、記さんと欲すれど文彩及ばずといわれてきました。しかし、門外にたたずむ者にとって、聞 くことも識ることもなければ、坐禅の機会を持つことも、修養工夫を行ずることもありません。禅の大道に門なしとはいえ、関心と志のある人々には親切な手助 けを、ない人々にも導きの灯をかかげることこそ、真の菩提心というべきです。少しでも言外の趣の一端に触れていただくために、日頃、よく見たり、聞いたり する禅語を中心に、自分なりに解説をしました。読む人が少しでも禅のこころを知り、生き方の参考にしていただけたら望外の喜びです。

まえがき
第一章 春

百華春至って誰が為にか開く/花は無心にして蝶を招き、蝶は無心にして花を尋ぬ/国破れて山河在り、城春にして草木深し/庭樹は知らず人去り尽くすを、春来還た発く旧時の花/枯木再び花を生ず/花薬欄/大唐に鼓を打てば新羅に舞う/説似一物即不中/賓主歴然/不識/道い得るも三十棒、道い得ざるも三十棒/一期一会/一翳眼に在れば空華乱墜す/無一物中無尽蔵、花有り、月有り、楼台有り/男児志を立てて郷関を出づ、学若し成る無くんば復た還らず/年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず/花は愛惜に従って落ち、草は棄嫌を逐うて生ず/一池の荷葉衣するに尽くる無し、数樹の松花食するに余り有り/笠は重し呉山の雪、鞋は香し楚地の花/坐久成労/暮春には春服既に成り、冠者五六人童子六七人、沂に浴し舞雩に風じ詠じて帰らん/行いては到る水の窮まる処、坐しては看る雲の起こる時/青原白家の酒三盞、喫し了わって猶お道う未だ唇を沾さずと/徐に行いて踏断す流水の声、縦に観て写し出す飛禽の跡/和光同塵/人間万事塞翁が馬、推枕軒中雨を聴いて眠る/梅花五福を開く/花を看るに須らく看花の眼を具すべし/東風吹き散ず梅梢の雪、一夜挽回す天下の春/兀然として無事に坐すれば、春来たりて草自ずから生ず


第二章 夏
一滴、乾坤を潤す/寒時は闍黎を寒殺し、熱時は闍黎を熱殺す/清流間断無く、碧樹曾て凋まず/黄沙百戦金甲を穿つ、楼蘭を破らずんば終に還らじ/田厙奴/詩三百、一言以て之れを蔽えば、曰く、思い邪無し/洞中の山色四時好し、雲外の渓声一様に寒じ/凛凛たる孤風自ら誇らず、寰海に端居して龍蛇を定む/無功徳/珊瑚枕上両行の涙、半は是れ君を思い半は君を恨む/老倒疎慵無事の日、安眠高臥青山に対す/上善は水の若し/天何をか言わん哉、四時行なわれ、百物生ず/木鶏子夜に鳴く/庭前の柏樹子/風に非ず、幡に非ず、仁者が心動す/其の知に及ぶ可きも、其の愚に及ぶ可からず/眼横鼻直/明頭来や明頭打、暗頭来や暗頭打/老来仏法都て忘却す、独り閑庭に立ちて落梅を数う/扶けては断橋の水を過ぎ、伴っては無月の村に帰る/一行三昧/大道長安に透る/笑って答えず、心自ずから閒なり/栴檀林に雑樹無し、鬱密森沈として獅子のみ住す/破襴衫裏に清風を包む/忘筌/惺惺著/風性は常住にして処として周からざる無し


第三章 秋

幾時か熱と苦しみて西風を念う、九月西風落葉を驚かす/深林人知らず、明月来たって相照らす/樹は密にして猿声響き、波は澄みて雁影深し/不落因果 不昧因果/話り尽くす山雲海月の情/体露金風/昨夜一声の雁、清風万里の秋/楓葉は霜を経て紅なり/渓深うして杓柄長し/珊瑚枝枝月を撐著す/雲無心にして以て岫を出で、鳥飛ぶに倦んで還るを知る/破草鞋/只だ此の山中に在らん、雲深くして処を知らず/山家の富貴銀千樹、漁夫の風流玉一簑/白狼河の北音書断え、丹鳳城の南秋夜長し/一片の月海に生じ、幾家の人楼に上る/海月澄んで影無く、遊魚独り自ら迷う/没底の籃児に白月を盛り、無心の椀子に清風を貯う/松風を吸尽して、意、塵ならず/月は青天に在って水は瓶に在り/碧落を衝開す松千尺、紅塵を截断す水一渓/空手にして鋤頭を把り、歩行して水牛に騎る、人橋上従り過ぐれば、橋は流れて水は流れず/竹筧二三升の野水、松窓七五片の閑雲/霜天月落ち夜将に半ばならんとす、誰と共にか澄潭影を照らして寒じき/人間の是と非とを截断して、白雲深き処柴扉を掩う/水声松韻一渓深し、月色波光全体妙なり/松老い雲閒かにして、曠然として自適す/不萌枝上に花開き、無影樹頭に鳳舞う/大用現前、軌則を存せず/水底に石牛吼ゆ/天に在りては願わくば比翼の鳥と作り、地に在りては願わくば連理の枝と為らん

第四章 冬

山中暦日無し、寒尽くるも年を知らず/独り来たり独り去りて、一も随う者無し/万象之中独露身/一口に吸尽す西江の水/十たび朱門に謁して九たび開かず、満身の風雪又た帰り来たる/門より入る者は是れ家珍にあらず/白拈賊/五帝三皇是れ何物ぞ/去る者は日を以て疎く、来たる者は日を以て親し/吹毛用い了って急に須らく磨すべし/生涯身を立つるに懶く、騰々として天真に任す、嚢中三升の米、炉辺一束の薪/閣中の帝子今何くにか在る、檻外の長江空しく自ずから流る/剣は不平の為に宝匣を離れ、薬は救病に因って金瓶を出づ/耕夫の牛を駆り、飢人の食を奪う/劫火洞然として大千倶に壊す/老婆心/乾屎橛/到り得 帰り来たって別事無し、廬山は烟雨 浙江は潮/非心非仏/寒雲幽石を抱き、霜月清池を照らす/雪を擔うて古井を填む/飢え来たれば飯を喫し、寒到れば衣を添う/耳聞は似かず心聞の好きに/生死事大、光陰惜しむ可し、無常迅速、時人を待たず/名利共に休す/諸行は無常なり、是れ生滅の法なり、生滅滅し已りて、寂滅を楽と為す/父を殺し母を殺し仏を殺し祖を殺す/寒流石上一株の松/寒毛卓竪/謂う勿かれ、今日学ばずとも来日有りと、謂う勿かれ、今年学ばずとも来年有りと

あとがき

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