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茅葺き屋根の修復

一昨日に引き続き、自坊つれづれ。

blog2017-10-23-07.04.jpg自坊には、ちょうど私が住職交代したときに落慶した、築20年ほどになる茅葺きの門があります。琵琶湖特産の葦を使った屋根ですが、20年が経過すると、ご覧のように苔むして、いい感じになっているのではありますが、上部は昨年の台風で少し痛んでしまい、このたび、修復して貰うことになりました。

修復も、建築時に携わって頂いた(株)タイナカにお願いしました。臨黄ネットにも賛助会員としてオンラインショップを開いて頂いています。有名なところでは、京都の法然院の門だとか、最近知れわたってきました広島県福山市の神勝寺に鎌倉建長寺から移築された、坐禅堂の屋根もここのお仕事です。

さて、足場を組んで工事が始まりました。
まずは、せっかくの風情がなくなりそうで少し惜しいですが、この苔を掻きむしって取ってしまいました。

blog_2018-05-31-08.57.jpgすっきりした感じもします。すでに右端には、修復がはじまっています。50cmほどの新しい葦を射し込んで行かれるのです。

blog_MG_9289.jpg雨が降ったら仕事はできませんが、晴れたら晴れたで暑いし、風が吹くと細かい埃が舞うので、とても大変な作業です。

職人さんも減る一方だとかで、けっこうなご年配の方が熟練の手先で仕事を進めて行かれます。一人、若手の職人さんがおられますが、本当に貴重な存在です。

blog_MG_9282.jpgこうして射し込んだものを、特殊な工具で形を整えていかれるのでした。

blog_MG_9291.jpg工期は10日間ほどかと思います。さて、どんな風に仕上がるでしょうか。
改めてまたご報告したいと思います。

blog_MG_9294.jpg

 

by admin  at 09:00
コメント
  1. 葦ですか?30年ほど前に近江で大掛かりな葦ぶき屋根の工事があったと聞いたことがありましたが実物を見た事は無いんです。我が家は近年まで茅葺でしたが茅葺職人である親父が自分の体力を悟ったのでしょうか、亡くなる数年前に屋根ごと板金に乗せ替えました。
    昔でも純粋な茅葺は少し高級であり貧乏な我家は藁葺や笹葺を併用していましたね。茅に比べ屋根の寿命は極端に短いですが”田畑以外にススキを育てる土地”は無く、麦藁をベースに南面を茅で上葺しクマザサを北面に使っていたのですが それでも一回で屋根の全補修分の材料は賄えず、一年おきに屋根を少分割しながら時計回りで修復していたようです。
    夏になると苔の生えた屋根に草が茂り 屋根に上がって草刈り機を振り回したことも思い出になってしまいました。

    by 森野啄木  2018年6月 8日 13:39
  2. 森野啄木さま、コメントをありがとうございます。貴殿のお父上も茅葺き職人だったのですね。
    私が幼い頃には、自坊の近所でも茅葺きや藁葺き屋根の民家がありましたが、建て替えられて瓦屋根となり、もう見ることもなくなりました。
    20年前の工事は、葦がすべてつぶした状態で葺かれていて、とても丁寧に作られていると職人さんがいっていました。今はもう手間もかかり材料も大量に必要になるので、つぶさないで葺いているとのことです。
    さて、また20年後に私はその様子を見ることができるでしょうか。

    by 禅文化研究所  2018年6月11日 10:28
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