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ボストン美術館の至宝展(神戸市立博物館)

 

blog_IMG_1199.jpg神戸市立博物館にて「特別展 ボストン美術館の至宝展 東西の名品、珠玉のコレクション」が開催されておりますが、遅ればせながら行ってまいりました。

天候も悪く寒さも手伝い人出は少なくゆったり見ることができました。
ゴッホのルーラン夫妻がメイン展示ですが、「英一蝶の涅槃図」170年振りの里帰り、色彩の豊かさ緻密さそして大きさ圧倒されました。
隣で観ていらしたご年配の方は、虫眼鏡を手にそれはそれは熱心に…。そうか!!虫眼鏡の手があったかと…。
ただ、人が多いと気が引けますし、それに負けない気合いと根性が必要と一人ごちておりました。
曾我蕭白もクスリと笑ってしまうところがあり、行かれた方は、その小さな笑を探してみてくださいませ。
他にも見どころ満載の展示ですが、2月4日で終了しますのでお早めに!!

会期:平成29年(2017)10月28日(土曜日)~平成30年(2018)2月4日(日曜日)
開館時間:9時30分~17時30分(※土曜日は19時まで開館)

詳しくは、神戸市立博物館のホームページでご確認下さい。

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西郷どんの逸話 その1

 

NHK大河ドラマ『西郷どん(SEGODON)』がスタートしました。大河ドラマファンのわたしは、初回から楽しみに見ています。前作の『おんな城主 直虎』は、一回も欠かさずに見ました。
小林薫さんが演じた南渓和尚が素晴らしかったですね。

実は、西郷どんも禅に参じておられました。その禅僧の名前は「無三」。どんな人だったかは余り知られていませんが、こんな逸話が残っています。

無三和尚は、薩摩国久志良村の農家に生まれた人である。21歳の時、大阪の薩摩藩邸吏に抜擢され、大いに藩事に尽くした。ところが、たまたま藩律にふれて罰せられることになった。しかし、役人たちがみなその才幹を惜しんで助けたのである。これを機に無三は出家し、剃髪することとなった。無三、53歳の時であった。諸方遊行ののち予州宝泉寺の洞泉橘仙和尚に参じ、ついにその衣鉢を嗣いだ。
その後、無三は藩の島津公に招請されて鹿児島の福昌寺に住することになった。それをねたみ、苦々しく思っていたのが南林寺の住職である。何とかして無三をはずかしめてやろうと、ひそかにたくらんで、晋山式の前日に藩侯に謁見し、「明日行なわれる福昌寺の晋山式の時、殿もひとつ、無三と問答商量なされてはいかがでござろうか」とすすめた。そして、問答する言葉まで教えたのである。
翌日、無三が上堂すると、さっそく藩侯は法堂の中央にすすみ出て、「いかなるかこれ久志良の土百姓」と大声で問うた。
当時、鹿児島ではとくに武士を尊び、農民をいやしむ気風が強かった。武士の出でなければ出家することも許されなかったのである。そこで、農家の出であった無三は、士家の姓を借りて出家したのだが、南林寺住職はそれを知っていてこの問いを教え、そして無三をはずかしめようとはかったのであった。満座の中でその出身を明らかにされたが、無三は少しも驚かない。泰然自若として、おもむろに、「泥中の蓮華」と、ただ一語大喝した。この答話を聞いて、藩侯は深く感悟し、以後、篤く無三に帰依したという。

農民を大切にした西郷どん。無三和尚の教えを聞いておられたのかも知れません。でも、なにぶん逸話の世界。史実は、あっちに置いておきましょう。逸話は、禅文化研究所刊『禅門逸話集成 下』から転載しました。これから、他にも少しずつ西郷どんの参禅逸話も紹介していきます。

大河ドラマファンのわたしは、誰かが無三和尚を演じてくれないかなと、ひそかに期待しています。NHKスタッフの皆さま、よろしくお願いします。

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浴梅

 

blog_MG_1732.jpg旧暦の偈頌や語録、漢詩ばかりを読んでいる小生は、正月を迎えて、気分は既に春なのですが、現実、新暦で生活している小生のもとには、いっこうに春はやって来ません。それどころか、テレビニュースでは、数年来の寒波襲来と、雪害の模様を流し続けています。

さてそこで、春を先取りしましょう。

「浴梅」という言葉を御存知でしょうか。これは、詩題の一つです。初めてこの言葉を見た時、小生は、梅の花びらを風呂に浮かべて、優雅に入浴するものだと思ってしまいました。ところが違うのです。

春の梅花を待ちきれないばかりに、まだ咲いていない梅の枝を折って来て、熱湯を入れた花瓶に挿し、無理矢理にも花を咲かせようとする、一種の風流なのです。

「出(い)でて寒梅を折り、帰って之れを浴す。暗香未だ度(わた)らず、春の遅きを覚ゆ」。

これは、五山文芸の大家、横川景三の「浴梅」詩です。

「寒梅を折って持ち帰り、湯の中に入れてみたが、花は咲かずに香りもしない、春の訪れは何と遅いものか」という意味ですが、熱湯に入れられる梅の枝も、可愛そうと言えば可愛そうです。

みなさんもやってみますか。小生の寺の境内は、寺観改革ということで、一本だけ植わっていた老梅が伐られてしまい、挑戦できません。浴梅開花に成功した人は、ぜひお知らせ下さい。
「浴梅」の真意からは離れますが、花屋さんから梅花を買って来て、浴槽に浮かべてみるのも、春の先取りかも知れません。

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季刊「禅文化」247号発刊のお知らせ

 

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マインドフルネス。どこかで耳にされたことがある言葉ではないでしょうか。

マインドフルネスとはストレスを低減する技法として、医療現場では治療にも導入されているいわば心のエクササイズ。「今ここでの自分の体験に注意を向けてあるがままに受け止める」ことを繰り返します。

この手法、どこか坐禅に似ていませんか?

「いや、坐禅はそんなもんじゃない!」と思われている方ももちろんいらっしゃることでしょう。でも、どこが違うのか。それこそが今季の特集制作の出発点でした。

「坐禅」と「マインドフルネス」はどこが同じで何が違うのでしょう。マインドフルネスという言葉を知る人は増えても、ここを明確に答えられる方は、実はまだまだ少ないような気がするのです(編集担当もそうでした)。

そこで、今季の「禅文化」の巻頭特集では両者の成り立ちや相違点を再確認。マインドフルネスと坐禅の違いはもちろん、「文献から見る坐禅の変遷」など、坐禅についても掘り下げています。
初めて本誌にご寄稿をお願いした、圓福僧堂の政道徳門老師による「坐禅儀」誌上提唱は、坐る坐らないにかかわらず、読後は自分自身を調えたくなるはず。
マインドフルネスについては、禅にも通じた専門家にご執筆いただきました。

たいへんわかりやすい一冊になっているのではと思います。ぜひご覧下さいませ。詳細、お申し込みはこちらから。

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大寒の朝

 

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去る20日土曜日は二十四節気の大寒でした。これから立春まで、文字通り一年中で一番寒いとされる時期ですね。
今週の中頃には、また強烈な寒波が日本列島に押し寄せるとのことで、各地では注意が必要です。

自坊の回りは田園地帯で、土曜日の朝に外へ出てみると、あたりには霜が降りていて、大寒らしい写真が撮れたのでご覧頂きましょう。

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水煙がたっていかにも冷たそうな水の流れでしょう?

またあたりの草も冬枯れで白くなっています。

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近所の農家の方が田んぼを起こしています。これは寒堀りといって、寒い時期に田んぼを掘り起こして畝をたて、今年の稲作が豊作になるようにするようです。また、掘り起こすことによって土の中の害虫も少なくなるとか。トラクターで掘り起こされた土の上には、どこから見ていたのか目ざとく鳥たちがよってきて、掘り起こされた虫を啄んでいました。

blog_MG_7659.jpg前日に掘り起こした後には氷が張っていて、ここにも大寒を感じさせます。

blog_MG_7594.jpgインフルエンザや風邪が流行っているようです。自坊の檀家新年総会がありましたが、風邪でお休みの方も何人かおられたようで、毎年より出席者が少し少なかったようです。
皆さんも、体調に気をつけて寒い冬を乗り切りましょう。

 

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蘇山展 公開講演会

 

blog_BKL3472.jpg昨日(2018.1.18)、花園大学歴史博物館で開催しております「蘇山玄喬展」の公開講演会として、花園大学国際禅学研究所研究員の瀧瀬尚純氏による「蘇山玄喬禅師-その人と行履-」と題したご講演をいただきました。師は日本近世臨済宗についての研究をされています。季刊『禅文化』245号には、「白隠慧鶴と愚堂東寔」と題した一文を寄稿頂いております。

聴衆は約30名でしたが、プロジェクターと詳細なレジュメを用いた講演に聴き入っておられました。

さて、白隠禅師と比べると遥かに知られていない禅僧ではありますが、九州で生まれ、熊本の見性寺住職を務めた後、京都府八幡市の円福僧堂で雲衲を接化し、名古屋市の徳源僧堂の禅堂開単もされた方で、後の臨済宗門に大きな影響を与えました。

実は50年前の季刊『禅文化』46号(昭和42年9月) にて、禅師の100年遠諱を記念して蘇山禅師の特集が組まれています。その時の特集記事は、

蘇山和尚を憶う/松山萬密(当時:徳源僧堂師家)
蘇山和尚と見性寺/西片義保(当時:見性寺住職)
蘇山玄喬の生涯/加藤正俊(当時:禅文化研究所資料室主任)

といったもので、執筆者の方々はもう皆さん鬼籍に入られていますが、今、読み返しても充分な内容です。

このたびの遠諱に合わせて、徳源寺から発刊されました『妙用禅師遺徳集』を、禅文化研究所はデジタルアーカイブス事業を通じて制作させて頂きました。見性寺、多福寺、円福寺、徳源寺に所蔵される書画をすべて掲載しております。
博物館の展覧会も2月3日まで開催しております。是非ご来場をお待ちしています。

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臘梅の季節

 

blog_MG_7533.jpg先週末には記録的な寒波がきて、北陸地方は大変な大雪に見舞われたようです。自坊は滋賀県ですが、時折、北陸地方に連鎖して大雪が降るのですが、今回の寒波では寒いだけで、ほとんど積雪がありませんでした。

毎年、全国センター試験はこの大雪の季節に行なわれ、例年、雪のために間に合わなかったとか、時間を繰り下げたとか、後日のニュースで聞きますが、こんなことなら、秋の11月頃にでも実施したらいいのにと思うのは私だけでしょうか。入試が2ヶ月早くなるので、受験生にはちょっと気の毒ですが、毎年この時期になると、緊張しなければならない雪国の人たちのことを思うと、それもアリなのではないかと思います。そう思ってググってみたら、同意見の方もおられるようでした。

センター試験を秋に実施

blog_MG_7568.jpgそれはさておき、自坊の境内の臘梅が咲き始めました。枝を切ってきて、台所に生けておくと、ふんわりといい匂いがします。エアコンのおかげで境内の花よりも先に咲いて愉しんでおります。

臘梅の隣には白木蓮の木があるのですが、こちらもまだ固いですが蕾ができています。椿も咲き始めています。こうして花が咲くのを見ると、まだ冬の真っ最中なのに、春の訪れを観るようで楽しいですね。

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蘇山展 基調講演会のお知らせ

 

絵009_AC_9993.jpg見性寺山作務図
蘇山玄喬自画賛(京都円福寺蔵・後期展)

ただいま、花園大学歴史博物館では、「2017冬企画展「蘇山玄喬 ―禅画と墨蹟」展」(主催・禅文化研究所・花園大学歴史博物館)を開催しています。ちょうど、本日より、後期展示となりましたので、前期展とは展示替えも多いため、前期展にお越しいただいた方も、どうぞ後期展へもご来場下さい。

また、来たる、2018年1月18日(木)13:00~14:30には、花園大学教堂にて、本展覧会の基調講演会として、「蘇山玄喬禅師-その人と行履-」と題して瀧瀬尚純氏(花園大学国際禅学研究所研究員)にご講演をお願いしております。

入場は無料で、先着150名様となっております。

また講演会後に展覧会場にお越し頂くと、学芸員によるギャラリートークを行ないます。江戸時代後期の禅僧、蘇山玄喬禅師の禅画、墨蹟をどうぞお楽しみ下さい。

寒い中ではございますが、どうぞご来場をお待ちしております。

 

 

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伊勢神宮

 

いつかは行ってみたいと思っていた伊勢神宮へ、4日にお参りすることができました。
木々に囲まれ砂利を敷き詰めた長い参道を歩いていくだけでも、清々しい気持ちでいっぱいになります。
別の職員が数年前にブログ禅にて「神宮は敷地全てが聖域」と書いていましたが、本当にその通りだと実感しました。

御正宮を前にして一段と気は引き締まり、感謝の言葉を伝えるのに少し緊張してしまいました。

 

IMG_1597_0112.jpg次に、お願いごとが許される荒祭宮へ。3日後に入籍を控えていたこともあり、夫婦円満をお願いしました。参拝だけで安心せず感謝の気持ちと、、 …あとは追々考えていくとしましょう。

 

 

IMG_1600_0112.jpg帰りには、安倍晋三首相が参拝されるとのことで大勢の人だかりができていましたが、甘党の私はそれをすり抜け、来年もまたお参りできるようにと祈りつつ、おかげ横町の赤福ぜんざいへと急いだのでした。

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白隠像遷座法要

2018_0109_IMG_0078.jpg1月1日(月)より2月12日(月・祝)まで九州国立博物館で特別展示「白隠さんと仙厓さん」が開催中です。臨黄合議所が主催する臨済禅師・白隠禅師遠諱事業の最終となるものです。

公開に先立ち12月27日に行なわれた、白隠禅師像の遷座法要に行ってきました。この白隠像は沼津市原の松蔭寺から特別出品されたもので、九州では初公開となります。

 

2018_0109_IMG_0080.jpg法要は聖福寺の細川白峰老師の導師で営まれ、崇福寺、承天寺、松蔭寺の各老師方や関係寺院の方々が随喜されました。
白隠像を目の当たりにし、一連の行事もこれで最後かと思うと、準備期間を含め7年間遠諱事業に携わった一員として感慨深いものがありました。

特別展示の会場は博物館4階の文化交流展示室となります。お近くにお越しの際には、ぜひお立ち寄りください。

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謹賀新年

 

blog_2018-01-01-09.08.31.jpg皆様、新年あけましておめでとうございます。

旧年中は、禅文化研究所の事業活動にご理解ご協力をいただき、またブログ禅もご愛読頂きまして、ありがとうございました。

禅文化研究所は本日より新年の業務を開始致します。この年末年始は少し長めの休業となり、ご迷惑をおかけしたかも知れません。ご了承の程お願いし申し上げます。

さて今年は戌年。禅門には初心者に与えられる「狗子無仏性」の公案があり、ご存知の方も多いことでしょう。趙州和尚に修行僧が問うた「犬に仏心は有るのですか無いのですか」という問いに、趙州和尚は「無」と答えられた。さて、お前はどう答えると問われます。「有ります」と言ってみたり「無いです」と言ってみたり、老師の前で四苦八苦したことを思い出します。

筆者は自坊の掲示板に今年冒頭の言葉として「インスタ映えする素顔でいよう」と記して掲げました。昨年の流行語大賞となった「インスタ映え」。ご高齢の方には何のことかと思われるでしょうが、簡単にいいますと、スマートフォンで撮った写真をインスタグラムというカメラアプリ(機能)を使って、インターネット上に載せて人に見て貰うことを愉しむことがはやっていて、どうやったらみんなにウケるかをいつも気にしているわけです。
人にどうウケる写真を撮るかも結構ですが、誰が撮っても映えるはずの素顔、それこそが仏心で、誰もがもっているはず。そのことを忘れないで今年を生きてまいりましょう。

では、本年も相変わりませず、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします。

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