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円福僧堂デジタルアーカイブズ調査

 

blog_2017-06-28-14.26.49.jpgもうすでに何回目になるのかさえもわからなくなりつつありますが、去る水曜日に、八幡市の円福僧堂の宝物調査に出向いてまいリました。

カラ梅雨とはいえ、この日は朝から雨模様。なぜか我々が調査に出るときは雨が多いのです。メンバーの誰かが雨男だという説もありますが。

今回は、円福寺の世代の頂相を中心に軸物の調査をさせていただきましたが、さすがに絵師も有名な人が多く、美しい絵画をたくさん見せていただきました。また慈雲尊者や南天棒老師の書も迫力でした。

 

blog_2017-06-28-14.26.jpgところで、我々の調査チームも弊所と花園大学歴史博物館のスタッフ以外にもお手伝いいただき、さらに国際色豊かにもなってきました。京博に勤務しているアメリカ人女性のR女史。この方は20年くらい前からの知己で、禅文化研究所の宋代禅語録勉強会にも参加されていた方です。日本在住ですが、東洋美術を研究されています。今回、このR女史のご紹介で、京博でボランティアとして協力されているTさんという中国人女性も参加。アメリカのコロンビア大学大学院生で、おまけに研究対象は一山一寧を中心とした絵画と書だそうです。

blog_2017-06-28-14.27.jpgお昼には雲水さんが作って下さった精進料理をいただきます。赤膳にご飯と一汁二菜、僧堂の古漬け付き。今回のご飯は油揚げご飯でした。今夏の典座さんはなかなか料理がお上手で、いつもとても美味しいのです。その時節にあった美味しい食事も、私たちの調査の際の楽しみのひとつでもあります。

頂相や大きな軸物、屏風に扁額、工芸品。まだまだ調査が残っているものがたくさんあります。先は見えているようで、なかなかです。

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沙羅の花を愛でる会(東林院)

 

blog_AC_1910.jpg毎年、サンガセミナーの精進料理教室でお世話になっている、京都・妙心寺の塔頭のひとつ、東林院では現在、「沙羅の花を愛でる会」を開催されています。そそと咲く花と青苔に浮かぶ落花の風情を感じることができる拝観です。

blog_AC_1914.jpg6/15~6/30(金)の午前9:30~午後4:00。会費はお抹茶とお菓子がいただけて1600円。精進料理を頂くこともでき、そちらは5950円です。残すところあと3日。

blog_AC_1926.jpg毎年、6月の後半に行なわれている特別拝観です。和尚さんの法話も聞けますよ。
今年間に合わなさそうな方、来年はいかがでしょうか。

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白隠禅師シンポジウム 名古屋会場 おわりました

 

blog_MG_3286.jpg去る6月22日木曜日、白隠禅師250年遠諱記念の白隠禅師シンポジウム【名古屋会場】が開催されました。

会場は名古屋市熱田区にある熱田文化小劇場。前日は大荒れの天気で、新幹線が止まるなど大混乱でしたが、当日は幸いにして好天に恵まれ、来場者は200人を数えました。

blog_MG_3337.jpg白隠研究第一人者である芳澤勝弘先生による講演「美濃の白隠」と題して講演、そして岐阜県・正眼寺専門道場師家の山川宗玄老師に「毒語心経」の提唱をしていただきました。会場で配られた用紙に、来場者に質問事項を書いてもらい、最後にお二人の質疑応答の時間がありました。

blog_MG_3281.jpg会場ロビーでは、弊所の出展販売もさせていただき、たくさん、お買い求め頂きました。

のこるは来年お正月の九州博多でのシンポジウムだけとなりました。詳細は未定ですが、詳しくはまた、こちらのサイトにてお知らせいたします。

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特別展「悉有仏性」と弓弦羽神社

 

blog_2017-06-18-12.05.32.jpg先般、本ブログでご紹介しました神戸市の香雪美術館での特別展「悉有仏性」に出向いて参りました。
そもそも香雪美術館とは、朝日新聞創設者の村山龍平氏が蒐集した品を収蔵する美術館で、東灘区御影の閑静な住宅街にあり、さらに周りと隔絶する塀に囲まれた、香雪の杜の中に建つ小さな美術館です。

blog_2017-06-18-12.08.jpg門を通ると掃除の整った瀟洒な庭があり、禅寺にお参りしたときのような、外との空気の違いを感じられました。
今回の展示は世界のトップコレクター200人の一人に数えられる佐藤辰美氏の所蔵品から、仏教関係のものばかりを展示されていて、Ⅰ期とⅡ期、そしてそれぞれが前期後期に分けられている中の、Ⅰ期後期の展示でした。
平安や室町時代の仏像や工芸、経典がほとんどなのですが、佐藤氏ご本人も意識を持ってコレクションされた、断簡や断片の展観品に興味を引かれました。

例えば、仏像の指先だけ、光背の一部、火事により焼け焦げた経典の一部。
指や手首の欠損した仏像を観ることは多いですが、逆に欠損した方だけの展示を観る機会は少ないのではないでしょうか。
例えば、その指先だけでは全体像はわかりません。そのかわり想像はたくましくなります。
そういうフェチなのだとご本人はおっしゃっていました。まさしく「悉く仏性を有する」品々でした。
第Ⅱ期は7/15から9/3まで。機会があればまた訪ねてみたいと思います。

 

blog_2017-06-18-12.56.jpg美術館をあとにし、ふと見ると美術館の隣に神社があります。せっかくなのでお詣りしてみました。きれいに掃除された立派な神社です。弓弦羽(ゆづるは)神社とあります。
その神社名になにやら覚えが……。あ、思い出しました。神社名に預かって、フィギュアスケートの羽生弓弦選手の活躍を祈る人たちが後を絶たないと、いつぞやテレビでやっていた、その神社だったのです。
風変わりな楕円形の絵馬には、羽生選手のことを祈ったものがたくさん掛かっていたのでした。

皆さんも是非お運び下さい。

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サンガセミナー2017 第1回の2講座終了

 

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ご案内しておりましたとおり、去る、6月19日(月)に法輪寺(だるま寺)さんにて、本年度のサンガセミナーの第一回目の2講座を開催いたしました。

まず午前中には、「意外と楽しい禅の語録講座」と題しまして、駒澤大学教授の小川隆先生に開講をお願いしました。弊所で発刊している季刊誌『禅文化』での「禅宗語録入門読本」の連載や、『語録のことば』正・続でもなじみの深い先生です。それでも、「語録」ときいて尻込みされてしまい参加者が少ないのではと心配もしていましたが、なんと23名のご参加を得ました。

唐代や宋代の語録研究で成果を出されている小川先生によると、唐代や宋代の語録に出る問答は「口語」(話し言葉)であることを念頭に置いて解釈すれば、難しかった解読もすっと理解することができるようです。

弟子が師匠に質問したことに対して、師匠が答えるわけでなく質問で返す場面、あるいは答えてはいるが、一見トンチンカンに思えるような答えを返す場面が、語録にはよくでてきます。そういった状況を、現代の口語、とくに関西における受け答えを例に出して説明されるなど、時折、笑いが出る楽しい講座でした。
受講後に参加者から、アプローチがとても面白かったという声を聞きました。

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午後からは同じ法輪寺さんの中で会場を本堂に移し、「軸を鍛える一人整体法」と題して、樺島勝徳師による開講をいただきました。樺島先生も季刊誌『禅文化』にずっと連載をいただいていますし、『プチうつ禅セラピー』のご執筆もいただいていますので、ご存知の方も多いでしょう。

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開講の挨拶を始める前から、ゆったりと談話的に受講者とお話しをされていて、ゆるやかな気持ちで受講いただけたようです。私たちスタッフも後ろで一緒になって体験していましたが、身体の軸を鍛えるための体操など、楽そうにみえてかなり効いたものもありました。

自分の身体のゆがみ、ねじれを知ることと、それを知った上で一人で身体を整える方法をご教授いただきました。

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毎日、ちょっとした体操をするだけで、身体の内面から整え、病気もしない身体に育てていく。今まで樺島先生の文章はなんども読んできましたが、その実践を目の当たりにして、なるほどっ!と腑に落ちることがありました。

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京都は猛暑日になっていたようですが、法輪寺さんのご配慮により、たくさんの大型扇風機のおかげで、涼しく体験することができました。ありがとうございました。

さて、次回は「禅の建築講座 -妙心寺の伽藍-」です。まだお申し込み可能です。ご参加をお待ちしております。

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エンペドクレスの「隻履」


禅宗の開祖である達磨大師は敵対者に毒を盛られて死去し、熊耳山に葬られた。三年の後、宋雲という人物が西域へ赴いた際、パミール高原で片方のくつ(隻履/せきり)のみを携えて独り歩む達磨と出会った。「どこに行かれる」と驚き問う宋雲に対して、達磨は「天竺に帰るのだ」と答えたという。宋雲から報告を受けた皇帝は達磨の棺を調べさせた。すると中は空っぽで、片方の鞋のみが残されていたという。

よく知られる「隻履達磨」の故事だ。中国に残された履については、達磨が中国にもたらした禅の教えの象徴だと、一応は言えるだろう。立つ鳥跡を濁さずで、足跡を残さないこと(没蹤跡/もっしょうせき)を貴ぶ禅宗であるが、さすがの達磨も東方の人々のために敢えて足跡の一班を置き土産としていった、というところであろうか。

東方の聖者達磨に対して、西方の賢者である古代ギリシアの哲学者エンペドクレスにも、よく知られた「片方の靴」に関する伝説がある。エンペドクレスは四元素説を唱えた人物として著名だが、その死の一説について、ディオゲネス・ラエルティオスの『ギリシア哲学者列伝』には、次のように記されている。

「エンペドクレスは起き上がってから、アイトナ(火山)の方へ向かって旅立って行ったのであり、そして噴火口のところまでたどり着くと、その中へ飛び込んで姿を消したが、それは、神になったという自分についての噂を確実なものにしたいと望んでのことであったという。しかし後になって、事の真実は知られることになった。というのも、彼が履いていた靴の片方が焔で吹き上げられたからであるが、それは彼が青銅製の靴を履くのを習慣にしていたからだというのである」(加来彰俊訳、岩波文庫下巻66頁)

古代ギリシアには、英雄は生きながら天に引き上げられて神になる、という考えがあったらしい。その代表がヘラクレスだが、「神になったと信じられたい」というエンペドクレスの願望は、彼自身の「片方の靴」によって打ち砕かれたというのである。

0619_fujita.jpg達磨やエンペドクレスに限らず、その身を隠して後に靴を残すというモチーフは、神話や伝説の中によく見られる。そういえば、かのシンデレラも、真夜中の鐘に慌ててガラスの靴を落として帰り、その靴がカギとなって王子に見出される。こうした「片方の靴」については、精神分析や神話学の方面からも様々な解釈が出来るだろう。

そもそも履き物とは、左右が揃って始めて用をなすものである。あまたの神話伝説が我々に問いかける「隻履」の用とは、いずこにあるのだろうか。白隠禅師の「隻手」ではないが、そんな「隻履」の意味をあれこれ考えるも面白い。

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賛助会員ご加入のお願い

 

賛助会員ご加入のお願い.jpg平素は禅文化研究所の活動に 深いご理解を賜り 厚く御礼申し上げます
当研究所は昭和39年 当時花園大学長であった山田無文老師の発議と これに賛同を惜しまなかった金閣寺長老村上慈海師ほか京都有縁寺院の浄財により 財団法人禅文化研究所として発足したものであります
いらい半世紀にわたる歳月の中で 内外の学者を結集して禅文化研究の実績を挙げ その余滴をもって禅関係の資料蒐集 書籍・雑誌の刊行 講演会 諸宗教との交流を行ない 禅文化全般にわたる普及活動を展開して参りました
平成24年4月1日より 当研究所は国からの公益認定を受け 公益財団法人禅文化研究所として新たなスタートを切りました これまでの研究活動に加え デジタルアーカイブス事業や教化・運営の実践講座 臨黄寺院のみならず 国内外の仏教研究者 一般在家の方々からの質問・問い合わせ等への回答など 宗門や社会からの求めに応じたさまざまな事業も展開しております
しかしながら 当研究所の財政事情を鑑みると十分な活動を行なうには明らかな資金不足であり 従来通りの自助努力だけでは既に限界にきております
ここにおいて研究所役員会は 深く事態を憂慮し 数年前より「公益財団法人禅文化研究所賛助会員」を組織し 安定した財政基盤の構築に着手することにいたしました 記念すべき臨済禅師・白隠禅師の遠諱も一段落を迎えましたこの機会に 貴寺院 尊候にも是非とも趣旨にご賛同の上 会員の一員となって頂きたく お願いを申し上げる次第であります
年々厳しさを増す社会情勢下ではありますが 何とぞ 現今内外からの注目と期待を集めております当研究所の意義をお認め頂き 公益活動への格別のご支援を賜りたく 伏して懇願申し上げる次第であります

平成29年6月吉日

公益財団法人 禅文化研究所 理事・幹事一同羅拜

 

※賛助会員について詳しくはこちらのリーフレット(PDF)をご覧下さい。
また、賛助会員ならびに寄付金募集につきましては、こちらのホームページでも記しております。

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麦秋と研究所の花 2017/6

 

blog_MG_3072.jpg6月も半ば。自坊のまわりは水田ですが、今頃の時期は、転作の麦畑と、稲作の水田とが入り交じっています。

そろそろ麦秋のおわり。近所のおじさんによると、まもなく麦の刈り取りだそうです。風に揺られて麦の穂がゆらゆらと。そして、その中をヒバリがピーチクパーチクと鳴いておりました。

ちなみにこの写真はNDフィルタを使って撮ったものです。NDフィルタというのは、カメラレンズに付けるサングラスのようなもので、明るいところでも暗く見えるわけで、そのためにシャッタースピードを遅くして撮影することができるので、麦の揺れる様子が写し撮れるのです。

さて、能書きはさておき。

今の時期、あたりには色々な紫陽花が咲いていますね。今週の花は紫陽花を中心に研究所に持ってきました。

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そして研究所で生けておりましたところ、なんと、小さな生きものが……。そうです、かたつむりがついてきてしまっていました。

blog_AC_1908.jpgおそらく紫陽花の葉っぱの裏にでも隠れていたんでしょうね。しばらく紫陽花の葉っぱで遊んで貰ってから、研究所の裏にある紫陽花の葉っぱに移してあげることにいたしましょう。

 

 

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白隠禅師シンポジウム 名古屋会場のお知らせ

 

0322_白隠パンフ_最終-1.jpg臨済禅師1150年・白隠禅師250年遠諱の特別事業も残り少なくなってきました。全国4ヶ所で行なう白隠禅師シンポジウムも、東京と京都が終了し、のこすは名古屋と九州です。

来たる6月22日に、名古屋市熱田区の熱田文化小劇場にて、「白隠禅師シンポジウム 名古屋会場」が開催されます。

白隠研究第一人者である芳澤勝弘先生による「美濃の白隠」と題した講演、また「天下の鬼叢林」として知られる岐阜県・正眼寺専門道場師家の山川宗玄老師に「毒語心経」の提唱があり、お二人への質疑応答の時間も設けます。
こちらは入場料が1000円(税込)で、定員:300名となっており、事前のお申し込みも必要です(会費は当日、受付にて徴収いたします)。

詳細はこちらのパンフレット(PDF)をご覧下さい。

まだ残席はあるようですので、お申し込みはお早めに。お申し込みはこちらから。

 

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改修工事と名庭

 

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足利尊氏公が、夢窓疎石を開山として創建された天龍寺派のお寺・等持院(京都市北区等持院北町63)。弊所からもほど近い立地です。そうなると私の悪いクセで「いつでも行ける」と安心してしまうのですが、これから約3年間、およそ40年ぶりの改修工事に入られると伺い2年ぶりにお参りしてきました。

ほぼ建物全体に及ぶ思い切った工事に踏み切られた理由は、耐震対策だそうです。観光都市の寺院として、「参拝者の安全を一番に」とご決断されたのだとか。古いものをただ遺すだけでなく、安全にも細やかな意識が必要な時代になってきているのですね。

さて、工事が始まると「本堂」、歴代足利将軍の木像を祀る「霊光殿」、足利義政公好みの茶室「清漣亭」の3棟がシートで覆われ見えなくなりますが、美しい庭園は引き続き拝観できます。

「芙蓉池」「心字池」のふたつの池で東西に分かれる回遊式庭園は、夢窓疎石作と伝わる名庭。現在は瑞々しい新緑のもと、サツキが満開で、眺めているだけで呼吸が深くなりました。花のリレーはこれから「半夏生」「紫陽花」へと続きます。庭園内にある尊氏公のお墓も従来通りお参りできるようにしたいとのお話ですので、是非おでかけくださいませ。

※工事の状況によっては変更となる可能性もありますが、安全第一ですのでご了承ください。

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香雪美術館 「悉有仏性」展

 

blog-170605.jpg時々、本ブログで書かせていただいている弊所のデジタルアーカイブズ事業での調査。この調査に、時折お手伝いいただいている外部の美術館の学芸員の方が数名おられるのですが、その中のお一人が担当されている展覧会をご紹介します。

神戸市灘区御影にある香雪美術館では、現在、日本を代表するコレクター・佐藤辰美氏の所蔵品の中から選りすぐりの仏教美術品を二期に分けた特別展「悉有仏性(しつうぶっしょう)」展を現在展覧中です。会期は2017年5月20日(土)~7月2日(日)。

佐藤辰美氏は、現代美術収集家として知られているそうですが、実は私はまったく存じませんでした。しかし、2万点を超える所蔵品の中からの展覧会。お釈迦様の説かれた「悉有仏性」、つまり、「一切衆生、生きとし生けるものすべてに仏性(仏の心)がある」という言葉になぞらえた展覧会。是非お運び下さい。

かくいう私もまだ観に行けていないのですが、かならず会期中に足を運ぶつもりです。展観を観てからとも思ったのですが、ご紹介が遅くなると意味が無いので、まずはご案内まで。

 

香雪美術館 「悉有仏性」展の続きを読む

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安土城摠見寺 信長公毎歳忌

 

blog2017-06-02-11.06.jpg去る6月2日は、かの織田信長公の忌日。今年も、安土城址にある信長公の菩提寺・摠見寺にて毎歳忌が営まれました。

私は近隣寺院でもあり、普段から摠見寺の和尚さんには、自坊の法務に御加担いただいていることもあり、毎年、何らかの役配に割り当てられているのですが、今年は副司寮(ふうすりょう)。ごく簡単に言うと、ご参集いただいた和尚さん達がお持ちになる香資(お香料)を受付でお預かりして、後に御礼や領収書をお渡しする係です。

そんなわけで、法要には参列しないので、こんな法要中の写真が撮れるわけなのですが……。

さて、下の写真、これは何でしょう。摠見寺の玄関口にあるものなのですが。

blog_2017-06-02-11.12.jpgそうです、火鉢です。ある友人はこの写真を見たとき、法要で使う香炉か?と言いましたが、さもありなん。安土城の金瓦がその雰囲気を醸し出しているからかもしれません。が、火鉢であることにかわりはありません。

私は見つけたことはありませんが、私たちの親の年頃の人たちに言わせると、子供の頃、安土山を散策していると、こういう金瓦が落ちていたそうです。400年前に焼け落ちた安土城の瓦。なんとも感慨深い物がありませんか?

最後にお知らせです。

blog_2017-06-02-11.10.18.jpgここ、安土城址では、摠見寺の安土山保勝会主催で、数年前から秋に「薪能と筑前琵琶の調べ」を開催されています。今年も10月1日の夜に開催されます。予約が必要です。詳しくは2017-薪能.pdfをご覧下さい。

 

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逸話(13)白隠門下 その8-霊源慧桃

今回は白隠門下で、のちに天龍寺へも出世した霊源慧桃禅師(1721~1785)の逸話をご紹介します。


blog_聴松堂_163b_8A4A5505.jpg「病苦の中で大悟」

霊源慧桃和尚は、松蔭寺の白隠禅師のもとで長く修行し、日夜、おこたらずに参究した。松蔭寺から二十里ばかり離れたところに庵居し、松蔭寺への往来は、黙々と叉手当胸し、よそ見などはせず、同参の者に逢っても、ただ低頭するのみで、一言の言葉も交わさなかった。
ある時、同参の者が集まって、
「桃兄には、何か悟ったようなところも見受けられるが、どうもその程度がわからぬ」
と、霊源のことを話し合った。そこで、一人の僧が、
「まあ待て、わしが慧桃の力量を調べてやろう」
と言い出した。
翌日、道で霊源に逢ったその僧は、
「桃兄、〈疎山寿塔〉の公案、作麼生」
と問うた。しかし、霊源は、いつもと同じように、ただ低頭して去って行くばかりであった。そのため、誰も霊源のギリギリのところを知ることはできなかった。
その後、霊源は臍に腫れ物を患い、百余日の間、苦しみもだえた。そして、その苦しみの中で、〈疎山寿塔〉の公案を悟ったという。
霊源和尚は朴実な性格で、文字や言葉に頼らず、ひたすら艱辛刻苦、修行をした。それゆえ、和尚が身につけた道力は、大いに他の者をしのいでいたという。
その後、丹後の全性寺に住し、さらに天龍寺僧堂に出世し、多くの修行者を集め、その地方の大宗匠となった。
のちに妙心寺の住持となった海門禅恪和尚が、霊源和尚に相見したことがある。
霊源が京都に赴く途中、海門は、その前に進み出て、
「小生は、提洲禅恕和尚が法嗣、海門なり」
と、問答をしかけた。すると霊源は、にわかに手を伸ばして海門に突きつけ、
「わしの手は、仏の手にくらべてどうだ」
と迫った。海門は、言葉に詰まった。そこで霊源は、すぐに海門を踏み倒したという。

 

『白隠門下逸話選』(能仁晃道編著)より

※写真は「蘆葉隻履図」(霊源慧桃書/禅文化研究所蔵) 禅文化研究所デジタルアーカイブズ「禅の至宝」より

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