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君看双眼色



160621.jpg君看双眼色(きみみよそうがんのいろ)
不語似無憂(かたらざればうれいなきににたり)    『槐安国語』


上にご紹介しましたのは、白隠禅師の『槐安国語』(『大燈国師語録』に白隠が評唱や下語を付したもの)にある、大燈国師の「千峰雨霽露光冷(せんぽうあめはれて ろこうつめたし)」という句の後につけられた白隠禅師の美しい下語(あぎょ)です。
*弊所発刊の『槐安国語』は現在絶版となっておりますが、今年中には一冊にまとめた廉価版を発刊予定です。



私が尊敬する大親友(在家の女性)は、こう訳していました。

「なんにも言わない君の苦しみをしっています。一人じゃない、いつもそばにいます」。

いつも自分の事よりも他の人の事ばかり考えて、私はもちろんの事、色んな人たちの支えになり続けている彼女の在り方そのものではないか・・・と思い、泣けてくるのです。

そして下記は相田みつをさんの詩です。
これを読む度に、「澄んだ瞳を感じられる自分でありたいな……」と願わせていただけます。
皆さまにもご紹介をと思いました。



『憂い』

むかしの人の詩にありました

君看よ双眼のいろ
語らざれば憂い無きに似たり

憂いがないのではありません
悲しみがないのでもありません
語らないだけなんです

語れないほどふかい憂いだからです
語れないほど重い悲しみだからです

人にいくら説明したって
全くわかってもらえないから
語ることをやめて
じっと こらえているんです

文字にもことばにも
到底 表せない
ふかい 憂いを
おもい かなしみを
こころの底ふかく
ずっしり しずめて

じっと黙っているから
まなこが澄んでくるのです

澄んだ目の底にある
ふかい憂いのわかる人間になろう
重いかなしみの見える眼を持とう

君看よ双眼のいろ
語らざれば憂い無きに似たり
語らざれば憂い
無きに似たり

みつを

by admin  at 09:00  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)