トップページ » 2016年4月28日

撃竹聲(げきちくせい)

自坊の西門(集落に通じる門)は約15年ほど前に、古い門を取り壊して再建しました。ちょうど私が師匠と住職を交代したときのことです。
(株)タイナカに葺いてもらった茅葺き屋根も15年も経つと、とくに陽の当たらない方は苔むして、落ち着いた面持ちになってきたのですが、このたび扁額を飾ることになりました。

これは、妙心僧堂師家の岫雲軒・雪丸令敏(ゆきまるれいびん)老師にお願いし揮毫して頂いた「撃竹聲(げきちくせい)」の書を、去年の秋まで自坊の本堂濡れ縁だった古材のケヤキを使い、京都在住の彫刻家・岸野承氏に依頼して扁額に仕上げていただいたものです。
雪丸老師は妙心僧堂に入られる前は安土・摠見寺ご住職であり、当山へも親しくおいで頂いていたご縁があり、この度も、揮毫をお願いしたところ、快く引き受けて下さいました。
5月には先々住の五十回忌法要を営むのですが、それまでに間に合って幸いでした。

金具.jpg

取り付けには、専用の受け金具が必要で、京都の金物会社に依頼をして特注してもらいました。しかし、こんな金具を付けるのは素人には難しく……。そこでこの門を建てて下さった大工さんにお願いしたところ、これまた気持ちよくお出向き頂き、3時間ほど掛けて取り付けて頂いた次第。
受け具を打ち付ける音を聞きつけた、近所の元総代さんも出てこられて、賑やかでした。

IMG_2446.JPG

「撃竹聲」の因縁は、中国の禅僧、香厳智閑禅師(?~898)が貎剋R霊祐の元で修行していたとき「父母未生以前の面目」を問われて、答えに窮した香厳は貎剋Rの元を去り、慧忠国師の遺跡で庵居していたのですが、ある日、庭掃除をしていたときに、箒で掃いた瓦礫が竹にぶつかる音を聞いて開悟し、結果的に貎剋Rの法を嗣ぐことになったという逸話によるものです。
自坊の西門をくぐるとすぐ右側に竹藪があります。「撃竹聲」のような機縁が自らはもとより、参詣される皆さんにもありますようにという願いをこめた扁額なのです。

西門扁額.jpg

 

by admin  at 09:00  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)