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季刊『禅文化』 禅文化研究所 創立50周年記念特集号

 

140630.jpg季刊『禅文化』233号グラビアより

弊所が年に4回発行しております季刊誌・『禅文化』。ただいま、第233号(7/25発行予定)の制作作業が最終段階に入っております。

今秋開催予定の「禅文化研究所 創立50周年記念式典」に先がけ、233号は丸ごと一冊、創立50周年を記念した特集号とさせていただきました。

制作にあたって、故山田無文老師・故村上慈海師をはじめとする先人の篤志を再確認すると共に、叱咤激励のお言葉も内外よりたくさん賜りました。改めて身の引き締まる想いです。心より感謝申し上げます。

そんな第233号。今回はグラビアページもオールカラー(しかも8ページ増)でお届け致しますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

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季節のめぐみ 蓴菜

自然と共にあるようなくらし・・・。野菜やお米も自分たちで作り、秋にはきのこ、春には山菜を採り、冬には近くの猟師さんが鹿や猪の肉を。
都会育ちの私には全く無かった季節のめぐみをいただく感動を、土楽さんからいつもお裾分けいただいているわけであります。

140627-1.jpgそしてなんと梅雨のこの季節には、土楽さんの池で蓴菜が採れるのだとか。そもそも私はあの蓴菜というものの正体が何なのかを知ったのも、お恥ずかしながら最近です。
スイレン科の水生植物の新芽なわけですね。

140627-2.jpg採りたてをお裾分けいただきました。瓶詰めの物などとは鮮度が違う為、コリコリしていてなんともいえぬ食感です。お酢と醤油で、あとは一味をふりかけるだけ。素材が最高であれば、料亭で出されるものにも引けを取りませんでした。
あまり耳にした事はありませんが、境内に池があるお寺さんでも、蓴菜採りをされるのでしょうか・・・・・・。

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「禅の庭入門講座」サンガセミナー 2014年第1回

 


140626-1.jpg今年度最初のサンガセミナーのご報告です。
町田香先生(京都造形芸術大学非常勤講師)をお招きして、「禅の庭入門講座―室町・鎌倉編」が、6月24日(火)に開催されました。


そもそも、「研究所には庭の本は無いのですか?」というご質問を受ける事も多く、ご関心おありの方が多いのではないかと思った事と、私の親友(町田先生です)が庭を研究していた事から、このような講座を設けさせていただく運びとなりました。
和尚様方よりも、一般参加者の方が多くお集まりかな?と思っていましたが、蓋を開けてみるとご住職の参加が多く、遠くは広島や徳島、静岡などからも、ご関心をお持ちの多くの方にお集まりいただき、有り難い事でした。

140626-3.jpgまず午前中は天龍寺さんの友雲庵をお借りして、座学の時間を持ちました。
飛鳥時代からの庭園の歴史を、様々な資料写真をスクリーンにて拝見しながらのお話は、誠に興味深くわかりやすく、まるで庭園史の分厚い本の飛鳥時代から室町・鎌倉の庭までを90分で読み終えたかのような充実感でした。
いわゆる“枯山水”の庭がどのような変遷を経て作られるようになったのかなど、大きな流れがわかり、庭への理解が深まったように思います。
そして、日本の歴史を通しての庭というものの意味合い、限られた世界の中に内包されるスケールの大きさなどに思いを馳せました。

140626-2.jpg個人的には、教科書では決して習う事のなかった、蘇我馬子の邸宅の庭跡についてが興味深く、飛鳥時代の歴史を学び、遺跡を訪れたくなってきました。今回焦点を当てましたのは、禅の庭の中でも、室町・鎌倉の庭だったわけですが、庭園史の流れを知る事で、逆に違う時代に興味を持つことになるという面白い体験をさせていただきました。
ご参加の皆さまも、それぞれに興味をもたれた部分は違った事でしょう。
和尚様方の中には、ご自坊の庭の改修についてなどを先生にご相談される方もみえました。

140626-4.jpg90分の座学の後は、天龍寺の篩月さんの精進料理をいただき、休憩時間。
この度天龍寺さんにお借りしました建物は、元僧堂でしたので、皆さま昼食後は自由に拝観され、お写真など撮られていました。

140626-5.jpg午後からは、実際に庭を見ながら先生のお話を。
特別に、方丈の中に入らせていただき、先生が「ここからの眺めが一番です」と仰る場所から庭を観させていただきます。

140626-6.jpgさらに総長さんにもおでましいただき、お話をお聞かせいただきました。その中で、大堰川の水を引いて来て、茶室の露地(庭)に小川のせせらぎを作っているとのお話が出ましたので、これは!!!と思い、急なお願いとなりましたが無理を申しまして、茶室と露地を拝見させていただきました。
ご対応に、頭が上がりません・・・・・・。有り難い事でした。皆さまもとても喜んでくださり、嬉しい事でした。

140626-7.jpg鎌倉時代のお庭の代表として、天龍寺さんのお庭を学ばせていただいた後は、大徳寺へ。
室町時代の代表的庭園として、真珠庵さんを拝観させていただきます。我々だけの貸し切り状態で、ゆっくりと先生のお話を聴き、お庭や金森宗和ゆかりの特徴的な茶室の拝観など、心ゆくまで堪能させていただきました。

140626-8.jpgさらに、来年度に予定している、江戸時代~近代の庭へのアプローチとしまして、芳春院さんも拝観。方丈前の中根金作先生作庭の庭(平成)、さらに呑湖閣へのアプローチとなる西庭、呑湖閣を開帳、書院も開けていただき、その間にあるご住職様が庭師さんと共に作庭されたという
北庭を様々な角度から眺め、こちらでの時間も、充分に庭を満喫できるものとなりました。

140626-9.jpgご参加いただきました皆さま、ご協力いただきました各ご寺院、そして先生に心より感謝致します。来年度は、先ほど申しましたとおり、江戸~近代の庭の講座を開催できたらと思っておりますが、ご好評の庭講座、「浜松の庭」・「鎌倉の庭」など、時代ではなく場所で区切ったりして学ぶのも楽しいかもしれない・・・と、色々と計画したい衝動に駆られております。

なお、是非うちのお寺で庭講座を開催してほしい!というご住職様がおられましたら、共催という形で学ぶ機会を設けられたらと思いますので、お申し出くださいませ。

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小さな藍美術館


140625.jpg京都の奥座敷、美山はかやぶきの里にあります、“ちいさな藍美術館”を訪れました。
藍特有のにおいが立ちこめる染めの工場から、世界の藍の布まで、ちいさくともその内容は濃く深く、まさに藍の色のよう。

藍というと、日本古来よりある染めもの・・・と、なんとなく思っていましたが、その起源はなんと、さかのぼると古代都市テーベの遺蹟より発掘された紀元前2千年頃のミイラが、既に藍で染めた麻布を巻いていたのだとか。
エジプトで栽培されていた藍は、オーストラリアを除く全世界で栽培され、染めの原料として使われていたそうです。

140625-1.jpg世界各地で染められて織られたものや、刺繍をほどこしたもの、土地によって文様も様々。この深いブルーは、世界中の人々を虜にしたのですね。
私の中で最も印象的な藍染めの色といえば、研究所に入って間もない頃におみかけした、長年修行をされてこられた雲水さんのつぎはぎだらけの、色も浅黄色ほどに薄くなった麻衣です。
色も落ち、ぼろぼろになったはずが、着る人の醸し出すものからでしょうか、ぼぉっと光っておられたのを今でも鮮明に覚えています。

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研究所の花


140624-1.jpgそろそろ、花が一週間も持たない季節ですので、たびたび研究所の花も生けかえております。近頃の花のご紹介です。
まずはピッチャーに、山帰来。秋には真っ赤な実となり、リースなどによく使われます。山にでかけた際に採って来ました。

140624-2.jpg蛍袋も、まだ小さな蕾の頃。こちらも山で大量に咲いているものを。青々して清々しいのです。下草には利休草を。

140624-3.jpg無文老師には、野アザミの花を二輪ほど。

140624-4.jpg銀彩ボウル(陶器です)には、山ぼうしを。

140624-5.jpg蛍袋に、下野(しもつけ)です。

140624-6.jpg紫陽花に斑入りの矢筈ススキ。花器はいつからか研究所にあるものです。自分で選んでは買わない類の花器ですが、これがなかなかに生けると意外と楽しいのです。

140624-7.jpg矢筈すすきに、八重のどくだみに、下野です。

140624-8.jpgおまけ。自宅には、7月の祇園祭への期待のおもいをこめて、姫檜扇水仙を。本来は祇園祭のシンボルといえば、もっと立派な檜扇水仙ですが・・・。
お粗末さまでございました。

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仏教と同性婚

映画「チョコレートドーナツ」を鑑てきました。

140623.jpg同性愛者のカップル(男性)が、薬物中毒の母親からネグレクトされているダウン症の少年の親権を求めて法廷で争うのですが、1970年代の実話(一部)が元になっているそうです。

当時の同性愛者への偏見、子供の福祉についての問題だけでなく、自己受容の手段など、色々考えさせられる映画でした。

カトリックでは教義上、同性愛は認められていませんが、同性愛者の結婚式を執り行なっている臨済宗のお寺があります。

妙心寺山内の春光院では「日本の仏教には同性愛を禁じる教えはない」として、ホテルとの提携による、同性カップルに向けた仏前結婚式のプラン(PDFファイルです)を提供されているそうです。

色々な立場がある問題かとは思いますので、以下あくまで職員個人としての発言として捉えていただければ幸いです。

このように柔軟な対応をされるお寺が、日本の禅宗寺院であったこと。私は素晴らしいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

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「臨済禅師1150年・白隠禅師250年遠諱」記念講演会 最終案内


140620.jpg来たる平成28年に迎える宗祖・臨済義玄禅師1150年、ならびに翌平成29年に迎える日本臨済宗中興の祖・白隠慧鶴禅師250年の両遠諱にむけ、臨黄全宗派をあげて大遠諱事業を立ち上げております。
臨黄合議所メンバーである禅文化研究所も、もちろんこの事業に携わっております。

この大遠諱に先駈けて、6月27日に有楽町よみうりホールにて、「臨済禅師1150年・白隠禅師250年遠諱」記念講演会が開催されます。
まだ先の事と思っていましたが、いよいよ来週金曜日と日が近づいてきました。

横田老師の提唱(ていしょう・禅宗の宗匠が、祖師の語録などから宗要(宗旨)を提起し唱導すること。講座と同義であるが、より専門的な用語)が楽しみなのはもちろんの事、姜尚中氏の講演、そして第二部での老師、姜氏に佐々木閑先生が加わっての鼎談は、どのようなお話が繰り広げられるのか、私も今から期待しています。

禅僧となる雲水を育てていらっしゃる老師と、少なからず禅に関心がおありになる政治学者の姜氏、そして仏教学者、特に律についてがご専門の佐々木先生。皆さん立場は違えど、それぞれ若い人達を育てていらっしゃいます。そのあたりにも注目したいと思っています。
まだチケットをお求めではない方、今からでも間に合います!是非おこしくださいませ。
詳細は下記&こちらをご覧ください。

日時 平成年6月27日(金)18:00~20:30(17:00 開場)
場所 よみうりホール(有楽町)東京都千代田区有楽町1-11-1 読売会館7F
出演 横田南嶺老師(円覚寺派管長)
姜 尚中氏(聖学院大学学長)
佐々木 閑氏(花園大学教授)
平井 正修氏(全生庵住職)
入場料 一般1500円、大学・高校生500円 (全自由席)
申込方法 ローソン/ミニストップ店頭「Loppi」で直接購入(Lコード:33889)
インターネット予約(PCモバイル共通)
電話予約(24時間受付)0570-084-003(Lコード:33889)

 

 

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観音懺法 -相国寺-


140618-1.jpg生きていればどうしても犯してしまう罪を悔い改める為、懺悔の力によって仏の心を取り戻そうとするのが、懺法(せんぽう)という儀式なのだそうです(詳しい説明は相国寺のHPをご覧ください)。
毎年6月の17日に大本山相国寺にて執り行われる観音懺法に、初めてお邪魔して参りました。

相国寺の観音懺法は、鎌倉時代の渡来僧、仁恭石梁(せきりょうにんきょう)と清拙正澄(せいせつしょうちょう)、そして夢窓国師の三大老の協作とされる儀礼ということで、中国宋代の禅の儀礼の様式を色濃く反映しているわけです。お茶をされる方はよくご存知の四頭茶会もしかり、美しく調えられたしつらえや僧侶の所作に、日本文化や日本の様式美が受けた影響は計り知れないものがあるな・・・・・・などと思いつつ、絶え間なく続く相国寺特有の梵唄(ぼんばい・声明のこと)に身心をゆだね、自らを省みる時間をいただく事ができました。

140618-2.jpg観音様に罪穢れを発露悔過するという儀式では、やはり東大寺のお水取り(十一面悔過)が全国的に有名ですが、禅宗にもあるわけであります!妙心寺さんや円覚寺さんでは、山門懺法といって、山門の上で執り行われるのだそうです。
今月末神社で行なわれる夏越の大祓では茅の輪をくぐり、半年の罪穢れを落とさせていただき、また来たる半年の無病息災を願うわけで、神仏両方にせっせとお参りする自身に、日本の信仰の面白さを見ています。

*写真撮影は許可をいただいております。

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新刊のご案内 『坐る-白隠禅師坐禅和讃を読む』

 

140918.jpg先日発刊致しました、弊所所長による『坐る-白隠禅師坐禅和讃を読む』。

白隠禅師の大慈悲といえば、私は達磨・臨済・雲門の三幅対を展覧会で拝見し、ぶわっと迫ってくるものがありましたが、この度、坐禅和讃に秘められた禅師の大慈悲についてを、我らが所長が懇切丁寧に読み解いてくれました。

禅の事に関しては門外漢だと仰る方から、既に居士大師として参禅などなさっている方まで、多くの方に読んでいただける一冊になりました。どうぞよろしくお願い致します。

詳しくはこちらからどうぞ。

 

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第12回 禅と文化の旅 ご報告 その2

 

140617-0.jpgその1でもお伝えしましたとおり、久松真一記念館、そして昼食に萬松館を訪れました後は、伊自良(岐阜県山県市)の名刹、東光寺さんへ。

140617-1.jpg臨済宗妙心寺派のこちらの寺院は、1501年華翁頼舜の支援を受けて、希雲和尚が東陽英朝を勧請開山として創建。約3000坪の境内に諸堂や庭があります。まずはご本尊を拝み、ご住職のお話を拝聴しました後、庭や境内を散策させていただきました。

140617-2.jpg私も色々なお寺を巡っていますが、初めて経堂の内部を拝見させていただき、なるほどこのようになっていたのかと感無量。初めてご覧になる方が多く、皆で回してみました。日本の場合お堂の内部にあり、拝見する事はおろか、自ら回す機会は少ない事でしょう。私にとってはチベット仏教徒の皆さんがいらっしゃる各国にて、見たり回したりしてきたマニ車の方が身近なのでした。

140617-3.jpg拝観後は、所長・西村惠信による講演。今回は禅の居士にスポットを当ててみましたので、所長も若き頃にお世話になった久松真一先生と、古田紹欽先生についての事をお話させていただきました。

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最初所長にこの講演をお願いしました時に、「あのお2人の先生の事を、たかが1時間で話せるか!」とお叱りをいただき、ごもっともな事と思いましたが、都合上いたしかたなくそのようにさせていただきました。
短い時間ではありましたが、お二人の来し方について、先生が感じ取ってこられた事についてなど、皆さま興味深く聞き入っておられました。

140617-5.jpg東光寺さんを後にして、最終目的地は、同じく山県市にあります、古田紹欽記念館。古田先生生誕の地に作られた立派な記念館です。
こちらには貸茶室などもありますので、広間にてお抹茶とお菓子もいただき、先生の紹介ビデオや書画を堪能。蔵書を熱心にご覧になられる方もあり、思い思いに過ごさせていただきました。

全ての行程が終了し、岐阜羽島駅にて解散。
ご参加いただきました皆さま、誠にありがとうございました。

とても喜んでいただけたようで、所長にお手紙を下さった方も。有り難いことです。
今年はもう一度開催できればと考えております。またどうぞよろしくお願い申し上げます。

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今週の花


140616-1.jpg上司の自坊よりやってきました柏葉紫陽花。
立派な枝でしたので、信楽の耳付きの大きな花入れに、矢筈ススキと一緒にがさっと生けていました。が、日が経つと白い花に茶色い痛みが混じり始めましたので、短かく切ってこぼれんばかりに銀彩ボウルへ生けてみました。葉っぱも枯れてしまいましたので普通の紫陽花の葉っぱをそえて。

140616-2.jpg研究所横に植えている朝顔が咲きました。初咲きです。「どうだ、見てくれ!」なんぞこの花はこれっぽっちも思わないのでしょうが、人間の勝手で、「誰も見てはくれないような場所だとかわいそうだ」と、玄関に生けました。が、その命短かし・・・・・・昼にはしぼんでしまいました。
朝顔といえば、利休さんが太閤さんを茶室に迎えるにあたって、庭の全ての朝顔の花を落とし、茶席に一輪のみ生けた事を思い出します。茶室に入った時の太閤さんの感慨や如何に・・・。

140616-3.jpg柏葉紫陽花はこんな風にも使えます。なんとも、よくもこんなにうまく咲くものだ・・・と完璧な花のシルエットに改めて驚きます。
研究所の花だよりでした。

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第12回 禅と文化の旅 ご報告 その1

6月4日(水)に開催させていただきました、第12回禅と文化の旅

28名の参加者の皆さまに、所長・西村惠信。そして付き添いに所員の西村と川辺がご一緒させていただきました。
今回は初の試みとしまして、新幹線岐阜羽島駅での集合。遠くは四国、そして東から西から集まる皆さまがたの集合がどうなる事か?!と思いましたが、予定時刻前に全員集合!出発する事ができ、皆さまのご協力に心より感謝致しました。

まず向かいましたのは、久松真一記念館
水の打たれた露地、そして玄関のたたずまい。先頭を歩いて皆さまをお連れさせていただいておりましたので、私が一番にこの雰囲気を感じさせていただく事となり、有り難いやら申し訳無いやら・・・。
この玄関のみでも、ハッとさせられました。まさに久松先生の息吹が感じられるようで、心地良い緊張感を覚えました。

140613-1.jpgそして、私達を迎えて下さった部屋の床には、なんと白隠の隻手の軸が。そのお軸が目に飛び込んできた途端に、以前職員がこちらのブログで書かせていただいておりますが、久松先生の「君の手を使わずに私の手を叩いてみよ!」とのお言葉が頭の中にこだまし、衝撃を受けました。
さらに茶室にはかの有名な無字の軸まで・・・。感無量。
どくだみの季節だからと(お庭にたくさん咲いていました)、久松先生から禅を学んだとされる須田剋太画伯によるどくだみの貼り絵まで飾っていてくださり、館長・久松定昭氏のもてなしと、そのお心に、一同感激致しました。
久松先生も、どくだみを書斎などに一輪生けたりなさっていたのだとか。そのお姿が目に浮かぶようでした。
若かりし頃、西村所長もこちらに久松先生を訪ねられたのだとか。その当時の話も興味深く、皆さん聞き入っておられていました。

何時間でも味わっていたいような空間でしたが、次の行程がありますので、後ろ髪ひかれつつ記念館を後に・・・。私はもう一度味わうべく、近々またお邪魔させていただく事に。皆さまも是非こちらをご参考に、一度訪れてみて下さい。

140613-2.jpg久松記念館を後にした頃には既にお昼どき。信長公館跡と伝わる料亭、萬松亭にて、見た目にも美しく、上品で美味しいお料理を堪能しました。

その2につづく

*これまでの禅と文化の旅のご報告はこちら

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『燃えよ剣』 司馬遼太郎

 

140612-1.jpg新選組の副長・土方歳三の生涯を描いたこの小説、もう何回読み返したかわからないくらい大好きです。

あまりに詳細な描写に史実と創作を混同してしまうファンが続出し、懸念される歴史学者も多いと聞きますがそれはさておき。

「勝てば官軍」。

歴史は勝者が作るものとはいえ、この幕末に限らず、流れに飲まれ、一夜明ければ「賊」となってしまった人々の思いやいかばかりか。

ですが、これはあくまで一方からの視点ですね。新政府の目線で見れば旧幕府軍はやはり許されざる造反者です。

世の中は諸行無常の繰り返し。善悪も、物事の価値も、見る角度や時代によって割と簡単に変わってしまう。

初読時はただワクワク夢中になりましたが、今は、物事を俯瞰で見られる人間になりたいなと再読の度に思います。

140612-2.jpgちなみに、新選組の前身「壬生浪士組」の本陣が置かれた新徳禅寺は、臨済宗永源寺派のお寺(京都市中京区壬生)です。

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『正しいことば 八正道シリーズ 正語』西村惠信


140611.jpg「事業の繁栄は天・地・人により、また人間の完成は智慧と慈悲と勇気の三つが整ってのみできるものである」として創業された株式会社ミツトヨ。
その創業者、沼田惠範師の「世界の平和は人間の完成によってのみ得られる。人間の完成を目指す宗教に仏教がある」との理念により、私財を投じて設立された【仏教伝道協会】

あまり聞き慣れない協会かもしれませんが、日本のホテルではもちろんの事、他の仏教国に訪れますと、英語版や現地の言葉で書かれた、『仏教聖典』を幾度もみかけた記憶があります。皆さんもそんなご経験がおありではないですか?

この度、そんな仏教伝道協会から発刊されております、仏教を学ぶための本(普及版)の八正道シリーズの中の、“正語”を、弊所所長・西村惠信が執筆させていただきましたのでご紹介させていただきます。

普及版というだけあって、ほんとうに求めやすいお値段で、さらに仏教の歴史や教えが詳しくもどなたでも読み易い文章によって紹介されていますので、私も何冊も持っています。
仏教ってなに?お釈迦様はどんな事を仰っていたの?このお経はどんな事が書いてあるの?この仏様にはどんなお力があるのだろう?
そんな、当たり前に抱けど、なかなかどのような本を読めば良いのかがわかりにくい疑問にも、答えてくれるシリーズがたくさん揃っています。
出版されている本をずーっと見ていきますと、あなたの今の心に合った「あ、これが読みたいかも・・・」という本がみつかるような気がします。

お求めはこちらからどうぞ。


【もくじ】
握りしめず 取らず とどまらない
言うは易く 行なうは難し
縁によって生じ 縁によって滅びる
得難くして移り易きはそれ人身なり
恩を知るは是れ大悲の本
物も言いようで角が立つ
中道に立つ
信仰が人間の最上の富である
衆生の迷 根本は我見なり
自己に向かって見究めよ
法を灯火とし よりどころとせよ
心ここに在らざれば 視れども見えず
仏法と申すは道理なり
慈悲に生きる
一つとして わがものというものはない
仏法をあるじとし世間を客人とせよ
握れば拳 開けば掌
求めるところは少なくあれ
心はたくみなる画師のごとし
愚かにして愚かさを知る
師に二種有り 一には法 二には人
恥を知るは勇に近し
生ぜしもひとりなり 死するも独りなり
煩悩の火はおのれを焼く
涅槃の城には信をもって能入となす
人のなげきを我が嘆きとす
過ぎ去った日のことは悔いず
怒った人びとに対して怒らない
この生死はすなわち仏の御いのちなり
忍の一事は衆妙の門
和願愛語

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南山城の古寺巡礼 -京都国立博物館-

140610-2.jpg京都国立博物館で15日(日)まで開催の、南山城の古寺巡礼。

南山城の古寺といえば、十一面観世音菩薩をお祀りされているお寺さんが多く、白洲正子さんの『十一面観音巡礼』に憧れ、何度も足を運んだ地です。この地にスポットが当たるとは!!と、嬉々としてでかけました。

東大寺造営に必要な材木が、伊賀や滋賀の地から木津川を使って運ばれた事、その木津川沿いに寺院が多く、十一面観音も多くお祀りされている事、終着地、東大寺の二月堂で行なわれるお水取り(十一面観音悔過)、お水取りに関心を持つと、そこから若狭のお水送りの舞台・神宮寺へも。
何もわからぬまま足を運ぶうちに、だんだんと点が線となり、信仰の道というのが繋がり、見えてきたものです。もちろんまだまだこれから色々と足を運ぶつもりです。
自ら足を運ぶのは尊い事。そのような事を教えられた原点の地、南山城。

140610-1.jpgもちろん、我らが臨済宗・一休寺(酬恩庵)さんの宝物も数多く展示され、それは興味深く楽しい展覧会でした。

この初夏は、大阪市立美術館での熊野の神仏も素晴らしかったのですがが、この展覧会も筆舌に尽くし難い内容。ゆっくり堪能し、美術館を出ると、とっぷりと日が暮れていました。

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サンガセミナー大分講座 第2講座

もうこのブログの記事も1900を超えたようです。もう何年になりますかね。
さて、第1講座とのご報告に間があいてしまいました。
大分でのセミナー二日目は、昨年度の京都でのセミナーでもお世話になった岡野勝志先生による、「論理思考講座……“こころの時代”に逃げてはいけない」です。

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京都では3時間ほどの講義のみの講座でしたが、今回はミニディベート大会も含め、9:00からお昼を挟んで夕方16:15までの大講座。参加者はなんと75名にもおよびました。

当初、先生や当方が想定していたのは若手の住職が大半だろうということでしたが、万寿寺の婦人部の方々も多数ご参加になることで、平均年齢がぐっとアップ。
正直申し上げて、難しすぎるのではないかとか、ディベート大会なんてできるのだろうかという懸念をしていましたが、岡野先生の誠に見事な組み立てによる午前中の講座を聞いて、頷き続けるご婦人多数。皆さん頭をフル回転して、熱心に聞き入っておられました。

万寿寺僧堂様から展待いただいたうどんを頂いたあと、岡野先生からディベート大会についての説明がありました。事前に参加者をAチームからOチームまで5人ずつに分けさせて頂いており、その中のA~Dの4チームが実際にディベートを行ないます。

ディベートというのは、1つのテーマについて、肯定と否定にわかれ、その理由述べる論理説明のゲームです。今回のテーマは「葬儀は盛大にすべきである」でした。

心情的に「盛大にすべきである」と思っていても、その否定側にたって、「盛大にすべきでない」という論理展開をしていくのが、このゲーム。それが本当に正しいのか正しくないのかをつきつめるのではないのです。

各チームは別室に別れて作戦タイム。A~Dのチームはそれぞれ2試合ずつ行ないますので、肯定側の論理も否定側の論理も両方を検討しておかなければ成りません。もちろん、みなさん初心者ですので、難しそうでしたが、かなりうまく検討できているチームもありました。

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A~D以外のチームもそれぞれで集まって、自分たちならどう説くかを考えてもらいました。

 

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ディベート大会の様子です。各チームから2分間で主張をし、それについての質問、そして反駁をします。短い時間をどう有意義に展開するかが鍵になりますが、しどろもどろになったり、スカッと反駁したりと、見ている方は楽しい時間です。

ただ見ているだけではありません。どちらの方が論理がすぐれていたかなど、全員がチェックシートに点数付けをして、最後に集計。どちらのチームが優位であったかを発表してもらい、岡野先生から講評もつきます。

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意外だったのは、参加者による判定で負けた方に岡野先生は優位を付けていたことが多かった点です。一般的な見方と、ディベート大会で数多く評価を下してこられた先生の見方が違うことが、講評にてよくわかりました。

終了後、お見送りしている私どもに、今回のセミナーはとてもよかった、また聞きたいというようなお声を沢山いただき、またアンケートにも同様の意見が多かったことが幸いです。来年は北九州で行なおうと考えております。ご興味のある方、どうぞご参加下さい。

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和紙切り絵・田中道男「おおきに 独・ケルン!」展

 

140606-1.jpg本日は、個展のお知らせです。

季刊『禅文化』扉の切り絵をご担当いただいている作家・田中道男さんの個展が開催中。お仕事で赴かれたドイツ・ケルンの風景を、素敵な切り絵にして展観されています。

140606-2.jpg田中さんの切り絵は、幾重にも重ねた和紙で織りなす微妙な色と、素材の繊細さを生かして作られる陰影がとても印象的なのです。平面なのに立体的、絵なのに動きがあって、いつも自分が絵の世界に入り込んだような錯覚に陥ります。

『禅文化』にはモノクロで作品を掲載しているのですが、「本当はこの美しい色の世界に浸っていただきないな~」「現物を見て素材感を味わっていただきたいな~」と思っていました。

開期が短いのですが、お近くの方は是非お運びください!

【おおきに 独・ケルン】展
開期◆開催中~6月8日(日)
時間◆11:00~17:00
会場◆ギャラリー アートメモリー


※作品画像は、ご本人の許可を得て掲載させていただきました

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浅草寺

 

140605-1.jpg久しぶりの浅草寺参拝。
若い頃訪れた時には、何宗か・・・という事すら意識無く訪れたものですが、調べてみますと“聖観音宗”なのだそうな。第二次世界大戦後に天台宗から独立したようですね。
もう、そんな、何宗か・・・なんて事は関係無いほどに、“浅草の観音様”といえば、それを思い、あの大勢の参拝者の中、一人静かに「南無観世音菩薩」を唱えるだけで何かありがたいような救われるような・・・。

140605-2.jpg朝お参りしますと、火消し道中というのでしょうか、何かの催しでしょうか、粋の良い江戸っ子の姿、江戸の下町の風情というものを味わえました。

 

140605-3.jpg本堂天井画_堂本印象

振り向けば天まで届くスカイツリー、少し歩けばフランスの著名なデザイナー、フィリップ・スタルク氏によるアサヒビールのビル屋上の「炎のオブジェ」。
ノスタルジックなビルでは、素敵なお着物の展示会。
様々なものを分け隔て無く存在させ、どうしてかそれでもきちんとまとまっているような、落ち着けるような浅草の町に魅せられた滞在でした。

 

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浜松 方広寺さんへ

 

140604-1.jpg様々なお仕事で趣く禅宗の寺院。
私にとってこれは学びでもあり、趣味でもあり、もちろん一番の目的はお仕事をする為ではあるのですが、毎度楽しみにお邪魔させていただいています。
先日は静岡県は浜松にあります臨済宗の大本山・方広寺さんへ。

140604-2.jpgちょうどご本尊が修復を終え、東京国立博物館でのお披露目も終わりご帰還、ご開帳との由。お仕事後に拝ませていただき、さらに山内を拝観させていただきました。

140604-4.jpg山の斜面を利用して建てられている為、諸堂のおもむきはまた他の本山とは違っています。山を登って眺める屋根の峰には圧巻!そして本堂はご覧のとおり、石垣を築き上げた上にお堂が。

140604-5.jpg元々はこのあたりの土地の神様でもあった半僧坊大権現もお祀りされています。面白いいわれがありますので、是非この頁をご覧ください。開山様との面白いエピソードが掲載されています。
浜松には他にも小堀遠州作庭の庭で有名な龍潭寺、他宗にもお庭で有名な寺などがあります。浜名湖花博とあわせて是非お参りください。

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先々週と先週の花


140603-1.jpg花のおかげで、季節のうつろいをごく身近に楽しめています。
まずは、先々週ですが、菖蒲に郷麻(ごうそ)にい草を生けました。水辺の草花が大活躍する季節ですね。いぐさは、ぼんぼりのようなものがついていてそれはかわいらしいのです。上司の自坊近くではそこら中に生えていて珍しくも無いようですが、都会では逆に手に入れたくても手に入らないような花材です。写真ではわかりにくいのですが、菖蒲よりもスーッと上に伸びている細い細い草です。これが畳になるのですねぇ・・・。勉強になります。

140603-2.jpgこちらは、い草(一番背が高い草)、郷麻、そして剣山を隠す為に、研究所の横に咲いていたユキノシタを生けました。銀彩ボウルに、涼しげです。

140603-3.jpg同じ花材を、研究所にありました平茶碗に生けてみました。黒いのは蟹の置き物です。水辺にちょろちょろと顏を出す沢ガニをイメージして添えました。

140603-4.jpg無文老師には、い草とユキノシタをお供え。

140603-5.jpg紫陽花も色づき始めました。これから約一ヶ月間だほど、生けるのが楽しみです。暑くなってゆくこの時期でも長持ちしてくれて、有り難い花です。

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山の神仏-吉野・熊野・高野 -大阪市立美術館-

 

140602.jpg

終わってしまった展覧会で申し訳ないのですが・・・また奈良や和歌山を訪れる方のご参考までに、大阪市立美術館にて開催されていました、「山の神仏-吉野・熊野・高野」を訪れましたのでご報告です。
大自然そのものが神であり仏である事を教えてくれるような地、吉野・熊野・高野におはします神仏が、美術館に集合!
近頃ことに関心を寄せ、参拝したりこれから参拝してみたいと思っている寺社の神様仏様に拝する事が叶いました。

先日参拝して参りました熊野速玉大社の熊野速玉大神坐像など、もう言葉になりません。普段は秘められた神様が、我々の前におでましいただく事すら恐れ多く、もったいなく思えるのでした。自身が拝観に足を運びながらおかしな事を言いますが、多くの人の前にさらけ出されるべきものではないのだな・・・という事を学ばせていただきました。まぁそんなことくらいで穢れる事もないほどに大きなお力をお持ちの坐像でしたが・・・。

土着の信仰や日本古来の神々、元はインド、そして朝鮮や中国から渡ってきた仏教の考えや仏様など、さまざまなものが混淆した信仰に、改めて日本人のおおらかさを感じました。
明治以降、様々な事柄を分離し、はっきりと区別をつける傾向にありますが、境界を設けない、曖昧さもよしとする日本古来の考え方、物事のとらえ方は、今こそ新たに注目されるべき点であるな・・・とことさらに感じた展観なのでした。
今なお神仏混淆の時代を色濃く残す地、吉野・熊野・高野へは、死ぬまでに何度でも足を運び、日本人である自分というものを考えてゆきたいと思います。

*個人的には、関心を持っている様々な役行者像、狩場明神の画が拝見できた事が嬉しかったです。

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