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サンガセミナー大分講座 第1講座

 

IMG_0032s.jpg昨年度よりはじめた「禅文化研究所 サンガセミナー」は、今年は京都での通常開催とは別に出前講座として、その手始めに、弊所佐々木道一理事長の住持する大分市の万寿僧堂にて、去る5月26日~27日に開催いたしました。
小雨の中を到着した万寿寺ですが、境内は雲水さんたちによって綺麗に掃き清められ、緑豊かな境内に入るとすがすがしい気分になります。

方丈内に講座の準備を整えておいていただき、我々は到着するとただちに受付。続々と受講者の方々がお見えになります。

IMG_0041s.jpg講座開始前に、中川事務局長、そして理事長佐々木道一老師の挨拶があり、いよいよ講座開始です。

初日は午後から、妙心寺塔頭慧照院住職であり妙心寺古文化研究所梵唄室長である、吹田良忠師による「法式声明講座」。もちろん受講者は、和尚と万寿 僧堂の雲水といった僧籍のある者ばかり。僧侶の儀式中に行なう身のこなし方や、維那というお経をはじめるときのリーダーの役目の声の出し方や節の付け方と いったことを学ぶ講座です。

IMG_0042s.jpgIMG_0054s.jpg声明についての概論のあと、今度は七条袈裟をつけての動作。いつもしなれていることのはずなのに、知らぬうちに間違った癖がついていることがままあります。本山に伝わっている指南に従って、そういったことを細かくご指導頂きました。

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二日目は、一般も対象にした「論理思考講座」。70名を超える参加者があります。つづく。

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日本の風景

 

140529.jpg新幹線に乗っていますと、このような景色にであいました。

「あぁ、このような風景を小野竹喬は描いたのだな・・・・・・」などと好きな画家の事をぼんやり考えつつ、重なり合う山の端、暮れゆく空の表現しがたい色の世界の美しさを少しの間堪能しました。自然界にあるもの、皆これを写してみたくて、芸術などは生まれるのですね。
昔の人にはあり得なかった事ですが、現代では新幹線に乗る何時間かの間に、様々な風景に出会えますね。

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吉岡幸雄の仕事展 「日本の暦・色かたち」 -日本橋高島屋-

 

140528-1.jpg5月21日(水) ~5月26日(月)まで日本橋高島屋にて開催されていました、「染織家 吉岡幸雄の仕事展-日本の暦・色かたち-」にお邪魔してきました。
今月初めにも、鎌倉の東慶寺さんにて、吉岡家所蔵の更紗展にお邪魔しました。京都に住んでいながらなぜか関東でばかりご縁があります。

140528-2.jpg季節ごとの行事には、その季節に見合った色が使われます。こんなにも豊かな色が日本には溢れている、そしてそれはそのまま、日本が四季のうつろいある自然豊かな土地である事を表しているのだと、感慨もひとしおでした。

140528-3.jpg思えば我々日本人は、さほど意識せずとも、毎月毎月の色というのは、自分達の中でもイメージがきちんとあるものですね。
会場は、天然染料の浄化作用?!からか、浄められているような心地がしました。

また、自然界と切っても切れない“色”の仕事が、寺院の宗教行事とも密接な関わりを持っていた事にも注目。ただただ、染色や布が好きで色々とみてきましたが、平安時代の装束のかさね色目にも前々から興味がありますし、もう少しこの世界についての理解を深めていきたいこの頃です。

140528-4.jpg6月3日 (火)~6月8日 (日)まで、北鎌倉の東慶寺さんにあります東慶寺ギャラリーにて、染司よしおか展が開催されるもよう。是非お運び下さい。
その他の予定はこちらでご確認いただけます。

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福森雅武 土楽窯展 -美山かやぶき美術館-

 

140526-1.jpg弊所の季刊『禅文化』でも、その自然と共にあるくらしや、花の会などの取材でお世話になっております、伊賀の土楽窯・福森雅武氏。
本日より、京都の奥、美山のかやぶき美術館にて展覧会が始まりました。福森先生の作品はもちろんの事、工房のものも並びます。

6月14日(土)には、福森雅武氏の四女で跡継ぎの道歩さんによるお料理の会、15日(日)には雅武氏の花の会が催されます。
お二人が、どのようにご自身の中に自然をとりこんで、自然と共に生きていらっしゃるのか(そんな事意識すらせずとも、そのようにあるお二人なのですが・・・)、日々のくらしには欠かせない料理と、花を生けるという事から、我々が学び、感じ取れるすばらしい機会かと存じます。

自身も自然界の一部であると自覚し、自然と共に生きる事は、禅の世界にそのまま通ずる事だと思い、私も足繁く土楽さんには通い、学ばせていただいています。是非皆さまもこの機会に感じてみてください。
ご予約&詳細はこちらからどうぞ。

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道前慈明老師が語る「和食 底流に禅の教え」 -読売新聞より-

 

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5月20日の読売新聞夕刊の「今を語る-宗教者の視点」に、臨済宗永源寺派管長・道前慈明老師が、禅の僧堂での食というものについて語っておられます。

語っておられる事は我々に食の大切さを改めてみつめさせてくださるのはもちろんの事ですが、語らずとも、そのお顔の表情やお肌のツヤが、老師の日々のくらしを物語っていますね。


写真をクリックしていただきますと大きくなりますので、是非ご高覧くださいませ。

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自然と自身との融合


140522.jpg日々の生活において、一番身近にある“自然と一体になる事”といえば、あまりに当たり前過ぎて意識すらしない事が多いかもしれませんが、「三度の食事」です。
自然界に存在するものを自身にとりこんで、生命活動を維持し、身心の健康を保たせていただいています。

140522-8.jpg「本来の自己をみつめる為」、「自然と繋がる為」と、坐禅やヨガなどをします。もちろんそれらは自身の助けとなりますし、ひいては自然や宇宙と繋がり、本来の自己というものを明らかにする道といえますので、とても大切な事と思い私も取り組んでいます。ですが、その前のもっとも根本的なところといえば、日々の食事、くらしではないでしょうか。
スーパーで当たり前に買い物をしていると、食べ物を“商品”として購入しますので、そのような意識も薄れてしまいがちですが、まさに自然と共にある暮らしをする友人と付き合うようになってからは、秋はきのこを採りに、春は山菜を採りに山へと入り、旬のものを大地からいただく事の尊さ、自身も自然界の一部である事、食とは、自然界と自分とを融合し、つなげる役目があるのだな・・・という事を気付かせてもらっています。

140522-1.jpgたらの芽

今年も4月頃から随分と山菜を楽しませてもらいました。さらに先日は長野へと赴き、標高1650メートルの所にある友人宅にお邪魔し、二度目の桜と山菜を堪能しました。まだまだ芽が出たての、柔らかなたんぽぽの葉やよもぎの葉を摘んでナムルを作り(!)、こごみやわらび、たらの芽など、春のにがみや香りを楽しみました。

140522-3.jpgわらびはあく抜きをしてから酢醤油であえて、一味を少し

何でもお金を出せば手に入るようになっていますが、違う豊かさを日本の自然から教えてもらっています。都会育ちで、山から食べ物を採ってくる事など無縁の世界であった私が、友人のおかげでこのような感動を味わっている事を、何らかの形で多くの方に伝えていきたいなと思います。

出家して僧堂に入るわけでなくとも、在家の人間は在家の人間でこのような体験から、禅宗寺院で何故あれほどまでに典座(台所・炊事を掌る役)に重きが置かれるのかという事に思いを馳せ、学ばせていただいています。

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山茶碗 -多治見市美濃焼ミュージアム-

 

140522-tajimi.jpg“山茶碗”が展覧会の名称に挙がる事があるでしょうか。なかなかに無い事です。これは是非にと多治見まで足を運んでみました。

そもそも山茶碗とはいったいなんでしょう。美濃焼ミュージアムのHPでの解説には、「平安末期から鎌倉、室町時代を通じて東海地方のほとんどの窯業地で生産された無釉の碗で、地域によって土や形に差があります」との事。庶民の普段使いの器であったようです。

時代を経て味わいを増し、無心で作られたこの雑器を、茶人や骨董好きが放っておくわけもありません。確かに、無釉である事がより一層侘びた感じを抱かせ、時に灰などが熱により自然釉となってとろりと垂れている姿など、何かに見立てず見過ごす事があろうはずもなく。そんな趣きを見て、歌でも一句読めそうな人々こそ、日本人なのでありましょう。
抹茶茶碗としてはもちろんのこと、懐石の向付、はたまた日々の器としてお漬け物入れにしてもよさげな、様々な窯元から発掘された山茶碗が所狭しと並んでいました。

また、こちらのミュージアムでいつも楽しみにしているのは、「実際に触れてみよう!」のコーナー。今回も窯跡から発見された山茶碗が置いてあり、実際に触れて感じる事ができました(前回訪れた時には、発掘された織部や志野の陶片を触る事ができましたよ!)。

 

 

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利休・剣仲・織部の時代 -野村美術館-

140521.jpg緑美しい南禅寺参拝とあわせてお邪魔したいのは、野村美術館です。
現在、ホープ揃いとでも言いたくなるほどの名品がずらりと展示されています。それもそのはず、展観名を拝見すればわかる事なのですが・・・。

「利休・剣仲・織部の時代 ―天正から慶長の書と茶陶―」

当時の最先端、今まであったものにとらわれる事なく自分を生きた茶人にまつわる茶道具たち。面白くないわけもありません。

先人が新たに生み出し、長い年月伝わってきた茶道具というものを、我々現代の茶の湯をする者は拝見しているわけですが、現代においても常識を覆すような茶道具が出てきた時に、「今までに無いもの」に、単に拒否反応を持つのではなく、その物の真意を問える自分でありたいと願います。
ただ、単に奇をてらったものや、型を習得する前に型破りをしているような物(人)には、用心したいものです。

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今週の花

 

140520-1.JPG研究所の花のご紹介です。大好きな鉄線の季節です。今回はベル鉄線を生けてみました。

150520-2.JPG上司のご自坊より、花菖蒲が届きました。スッとした立ち姿、美しいですね。


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枝は、花蘇芳です。紫の花が終わり、芽をだした若葉がかわいらしいので、生け続けています。

150520-4.jpg姫りょうぶの良い枝ぶりを利用して。姫りょうぶは、どんな花にでも添える事ができ、他の花を引き立たせます。主張しないのに無くてはならない存在。人間もそうありたいところ・・・・・・。

150520-5.jpg無文老師には、カタバミとヒメジョオンを。
そろそろ、お花のもちが悪くなる頃ですが、その場の気が良くなりますし、なごみますので、毎日飾りたいものです。

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寺庭さんのリレーエッセイ

季刊『禅文化』に好評連載中の「寺庭さんのリレーエッセイ」。全国のお寺の奥様が、リレー方式でお寺での日常を綴ってくださっています。

私は編集担当者としてやりとりをさせていただくのですが、毎号の出会いが楽しみなことは勿論、人生の先輩から様々なお話を伺えるこの連載は、同じ女性としても大変勉強になっているのです。

とにかくお人柄が素晴らしい方ばかり。やはり、お寺を支える日々は並大抵ではないのだなと毎号思います。

ブログをご覧いただいている女性の皆さまにも、是非お読みいただきたい連載です。

寺庭のおひとりが、校正紙に同封してくださったお守り。
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ねこ鈴の裏側はこんな笑い顔。
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禅文化研究所 創立50周年記念「不立文字展」記念講演会(その2)

花園大学歴史博物館にて開催中の特別展「不立文字」(6月7日まで)。後期の展観に合わせて、4月の記念講演会に続き、第2回目の記念講演とギャラリートークが実施されました。

ご登壇いただいたのは、尾西正成先生(京都橘女子大学助教・日展会友)。演題は「墨蹟への憧れ~書作家の立場からの私的鑑賞~」です。研鑽を積まれた尾西先生ですが、今回は誰もが楽しめるよう、ユーモアを交えて書の私的な鑑賞法をご紹介くださいました。

たとえば、名僧らの墨蹟に混じってスクリーンに映し出された先生のお弟子さんの書。

20140516-1.jpgこの小学生は、自筆の書にたいそうご満悦で、「先生どう?これ、いいやろ!!」と作品を見せに来たのだとか。「どう?」と評価を乞われたのですから、未熟な部分を添削することはできます。でも、先生はそれをされなかったそうです。

なぜなら、墨蹟を鑑賞する際、知識が作品の理解・評価につながるのはもちろんですが、この小学生のように、直感的に「いいなあ!」と思うのも、また自由なのですね。

私自身、“自由な感想を持つ”ということに実はずっと戸惑いがあったのですが、気持ちが軽くなりました!

愚堂東寔筆 墨蹟「鉄心肝」/禅文化研究所蔵愚堂東寔筆 墨蹟「鉄心肝」/禅文化研究所蔵

そんなわけで「不立文字」展。担当者による作品解説を手引きに、または自由な感覚で。思い思いにお楽しみいただければと思います。

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南禅院

 

140515-1.jpg亀山法皇廟

お天気も良く、新緑がまばゆいばかりの休日。南禅寺三門を参拝した後は、南禅寺発祥の地・南禅院へ。

こちらは、亀山天皇が出家され法皇となられた際に、離宮を寄進し、大明国師(無関普門禅師をお迎えになられて禅寺を作られた、まさに現在の南禅寺発祥の地であります。

140515-2.jpgそんな亀山天皇が、大明国師に帰依するきっかけとなったエピソードが紹介されていました。天皇が離宮にお暮らしになられていた折、夜な夜な現れる妖怪?!に悩まされるようになり、なんとか解決をと大明国師に白羽の矢が立ちます。
国師が雲水を連れてやってきて、粥を食し、坐禅をしただけで妖怪は出なくなったとの事。ただただ、僧堂での生活を離宮内でやってのけたら妖怪は消え失せた?!さて、どういう事でしょう?!

140515.jpg一山国師塔

それはお考えいただくとして、南禅院には、鎌倉時代末の代表的池泉回遊式庭園が現存しています。周りの山と一体になって我々を包み込むかのような庭で一服。亀山上皇が作庭をされ、夢窓国師が石を配したと伝わり、西芳寺や天龍寺の庭園の原点ともなった庭だとの事。

140515-3.jpg南禅院までの参拝路もまた興味深く。水路閣を上から見る事ができます。当たり前ですが、本当に水が流れているのを見ると、いつも「おぉっ・・・」と驚いてしまいますね。

140515-4.jpg本山を訪れますと、本山そのものの参拝から、各塔頭、三門や美術館のあるところは美術館も。参拝してそれらを見て感じるのも一興ですが、歴史や詳しい事をお知りになりたい場合は、弊所刊行の『禅の寺-臨済宗・黄檗宗15本山と開山禅師-をオススメします!

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「不立文字 -禅の書画と典籍・六〇〇年-」 記念講演会【本日開催】

 

140514.jpg弊所創立50周年を記念しまして、現在、花園大学歴史博物館にて、「不立文字 -禅の書画と典籍・六〇〇年-」を開催中、後期の展示が始まっております。

本日は、この展覧会に関連して、下記のとおり講演会を開催致します。

入場は無料、事前申し込みも不要です(但し先着150名)。駐車場はありませんので公共交通機関をご利用ください。
皆さまのご来場をお待ち申し上げております。

■2014年5月14日(水)13:00~14:30
■場所:花園大学教堂
「墨蹟への憧れ~書作家の立場からの私的鑑賞~」
尾西正成氏(京都橘大学助教・日展会友)

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南禅寺三門

 

140513-1.jpg「絶景かな、絶景かな、、、」。五右衛門が眺め、感嘆の声をあげた春の桜は散れども、青もみじの緑もまた格別な、南禅寺三門を参拝してみました。

140513-2.jpgこちらの三門、おそらくは京都市内でも唯一、通年公開されている三門ではないでしょうか。
四方ぐるりと見渡しましても、どこも美しい新緑でいっぱい、三門の上で思い切り深呼吸させていただきました。


140513-3.jpgさて、南禅寺さんでは、南禅会館が装いも新たに、この緑豊かな静かな界隈で京都滞在をなさりたい方をお迎えなさっています。おそらくは、あまり知られていない?!ようですので、ホテルが混み合う季節なども穴場なのでは?!と思います。
宿坊についての感想を書いているHPなどを拝見しますと、なかなかに居心地も良く、快適なようです。
回し者というわけではありませんが、個人的にも良いなと思いました。
是非御見知りおきを。

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チベットの仏教世界 -龍谷大学ミュージアム-

 

140512-1.jpg学生時代に旅行したネパール。訪れたチベット寺院で見た僧侶達の衣の色や、亡命してきたチベット人の営む商店の記憶は、今も鮮やかに脳裏に焼きついています。
店番をする女の子とは、同じ仏教徒という事や、私自身ダライラマ法王を尊敬しているという話から仲良くなり、チベットやチベット人は、いつからか心揺さぶられる存在となっていました。
この展観も見逃せるはずもなく、嬉々としてでかけてみました。

140512-2.jpg他宗派の事となるとお恥ずかしながら無知なもので、大谷探検隊の存在は知っていましたが、その中に、明治の初期という時代に、チベットにて学んだ2人の若き学僧がいらした事は知りませんでした。
ダライ・ラマ13世の治世下、その許可を得て、主に市井に暮らし、チベットの風俗や文化、原語などを習得する事に努めた青木文教師、チベットの寺院にて、10年もの長きに亘りチベット仏教の修行を積んだ、多田等観師です。

彼らの足跡、成果などをふまえながら、仏像やタンカなど、チベット仏教縁の品々が並ぶ展覧会。それはすばらしいものでした。
特に、多田師がダライラマ13世より贈られた「釈尊絵伝」には、日本では重要とされていない為か釈尊の伝記を読んでも書かれていない場面などが描かれており、とても興味深く、間近に美しい細密画を堪能させていただきました。

また、同じ会場にて、ベゼクリク石窟の大回廊復元展示もされており、トルファンが栄え、仏教美術の華開いた当時さながらの回廊を歩き、この素晴らしい事業に感銘を受けました。
シアターでは、この復元事業についてのVTRも拝見し、じっくり3時間ほどこのミュージアムを堪能しました。オススメの展覧会です。

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武家のみやこ 鎌倉の仏像 -迫真とエキゾチシズム- -奈良国立博物館-

 

140509-1.jpg武家のみやこ 鎌倉の仏像-迫真とエキゾチシズム-と題しまして、鎌倉の仏様が奈良国立博物館に集まっていらっしゃいます。

質実剛健、鎌倉のもののふの気配、そういったものを仏像の特徴からもまた感じ取る事ができます。

140509-2.jpg平家の軍勢により焼き討ちにあった東大寺を復興する為大勧進を行なった重源に、並ならぬ力添えをしたのが、時の将軍源頼朝でした。そのような縁もあって、重源が重用した康慶・運慶・快慶ら慶派の仏師らは鎌倉でも活躍するようになったとの事。

この展覧会、仏像はいうまでもなくそれはそれは数々の美形の仏様がお集まりですが、私の興味をひきましたのは、頼朝への感謝の証でしょうか、大仏殿供養に参列した折に手向山八幡宮から頼朝に送られたという舞楽面なのでした。猿楽発祥の地、能の原型ともいえるようないくつかの面は、シルクロードを経てやってきた大陸の文化までをもこちらに思い起こさせ、しばし時空を旅するごとき心地でした。

140509-3.jpgまた、浄光明寺の観音菩薩坐像などは、もしも「絶対的な美」というものがあるのだとしたら、まさにこのお像なのではないかしらんと思えるほどに、ぐるりと一周してどこを拝見してもあまりに美しいもので、ともすれば心惹かれすぎてあやうくなりそうな心地がしたくらいです。首のかたぶき加減まで、完璧な角度ではないかと思えてしまうのでした。

140509-4.jpgこの日は時間が無かったのですが、せっかくの奈良ですから、大好きな大木と、野生の藤、神の使いに会ってから、帰路を急ぎました。

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2014年度 サンガセミナー開催のおしらせ

 

140508.jpg曹源池庭園 天龍寺

昨年にひきつづき、今年度もサンガセミナー、7講座を開講致します。

まずは第一弾、6月24日(火)“禅の庭入門講座(室町・鎌倉編)”です。

京都造形芸術大学講師・町田香先生をお迎えして、日本庭園の流れのなかで、禅の庭がどのように発生してきたのか、禅の庭が時代毎にどのように展開してきたのか等、まずは午前中に座学にて、庭の歴史、その特徴などを学びます。
お昼は精進料理をいただき、午後からは実際に庭を訪ね、学んだ事を基に庭を観てみましょう。何も知らずに観る庭ももちろん良いものですが、知る事によってまた違った味わい、楽しみが芽生える事と存じます。

第一回目は、室町・鎌倉時代のお庭についてを学びます(第二回目の来年度は、江戸、近代の庭を予定しています)。
金額は昼食、移動費用込みで9000円。スケジュールは下記。ご参加お待ち申し上げております。
お申込はこちらからどうぞ。


*天龍寺拝観受付に、9時45分に集合。
10:00~11:30 座学で講義
11:40~12:40 天龍寺直営精進料理店「篩月」にて昼食(料金は参加費に含みます)
12:45~13:30 天龍寺 曹源池庭園&百花苑参拝
→大徳寺へ移動(タクシーを利用・料金を含みます)
14:15~15:00 真珠庵参拝
15:10~15:40 芳春院参拝

 

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東慶寺 「吉岡コレクション 更紗展」

 

140507-1.jpg弊所の書籍を置いて下さっている書店様への営業の為、東京・神奈川へ行って参りました。書店を廻っていると、土地柄や、今どのような本が主流になっているのかなど、様々な気づきがあります。

140507-2.jpgさて、せっかく東へと赴くのであれば・・・と、是非とも拝見しておきたかった、鎌倉は東慶寺さんにて開催中の「吉岡コレクション 更紗展」にお邪魔して参りました。

140507-3.jpg東慶寺では花も楽しみの一つ。シャガの群生は光を浴びて」妖精のよう。

更紗の色の深さは、インドやインドネシア等の歴史、文化の深みそのもの。文様もそれぞれに面白く印象的で、日本人に古来より愛され、時を経てお寺の静かな宝蔵で今私が拝見できる不思議を思いました。世界各国に様々な織や染色が残りますが、更紗ほどひきつけられるものはありません。

140507-4.jpg十二単が群生していました

この日は境内にあるお茶室で茶会も開かれており、宝蔵隣にあるショップにもセンスの良い素敵な便箋や小物が揃っていました。うちの書籍も置いていただいていますよ!!!

140507-5.jpg大好きな花が!白雪芥子です

お寺が文化を守り、さらにそれだけではなく縁の下の力持ちとなって文化の発展に貢献する姿がこちらにはあり、素晴らしい例を目の当たりにしました。やはり、ほんものを見て、感じての感動なかりせば、到底守ってはゆけぬものと思いました。

140507-6.jpg珍しい翁草も咲いていました


東慶寺の寺庭・井上米輝子さんの生けられる花や、四季折々のしつらえ、お料理の大ファンです。出版なさった本のページをめくりながら、いつもうっとり、お手本にさせていただいたりしています。近くでしたら、足繁く通いたいお寺なのでした。
お近くの方は是非ともご参拝なさってみてください。


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葬儀の意義を考えるディスカッション

4月中旬のことでしたが、「仏教国際交流会サンギーティの会」としての件のディスカッションに、会を主宰する加藤悦子女史から参加を呼びかけられまして、臨済宗の僧侶として参加してきました。
「家族葬」「直葬」「ゼロ葬」と、簡略化の一途をたどる葬儀法要について、僧侶、葬儀社スタッフ、一般の三者計10名が集い意見を述べ合ったのです。

201404sangithi.jpgまず、葬祭業に従事される方から現在の葬儀事情の実体をお話しいただきました。関西の方なので、東京の事情とは異なるように思われましたが、「家族葬」「直葬」「ゼロ葬」などというやり方は、なにも経費節減だという意識や、信仰心がないというためだけではなく、もっと複雑な色々な事情がある場合が多い(高齢であるため知友が少ないことや、喪主となる人が故人の遠縁でしかない場合など)というご意見でした。

マスコミでよく葬儀離れが取りざたされるのは、やはり東京の話が多く、地方ではそれほど強烈な変化はないようですので、少し安心はしました。

僧侶として私の他には、真言宗のお二方、そしてモンゴル僧(現在、佛教大学に留学中)がおられ、そのうち真言宗僧侶のお一人は神道のことにもお詳しく、日本のお盆の精霊迎えというのは、もともと神道の氏神の考え方から来ているのではないかと思うというお話は、なるほどと興味深く聞きました。
六道輪廻するのが仏教の教えですが、日本の場合、ご先祖がお盆に戻ってきたり、またあの世に戻っていかれるという考えがあるのは、他の国にはないことですからね。

私自身の意見としては、「葬儀は文化である」ということで、いま葬儀が葬儀社主導のもとに変遷しているのは、ある意味仕方がないと思うということでした。つまり葬儀を行なうことは信仰ではなく文化活動に近いと思うのです。したがって簡単な葬儀でいいと考える方は、そもそも信仰というものが稀薄なわけで、かたや、世間の風潮とは関係なく丁寧なお葬式をしたいと考えるのは、信仰であろうと思うのです。

しかし世間の風潮がこのように変化してしまっているのは、僧侶の責任も多々あると思います。お通夜の席でもなんの法話もしない、法要の内容も説明しない、戒名の意味も話さないでは、葬儀にお坊さんなんかなくてもいいという気にもなるかと思います。檀信徒に信仰心をもっていただけるような活動をするのが、我々僧侶の仕事なのですから。

改めて、この葬儀の場こそ、檀信徒に法話をするいい機会であると心得、その場を活かしていかなければと再考させていただきました。

モンゴルの葬儀の様子なども聞かせていただき、あっという間の短い時間でしたが、いい勉強をさせていただきました。

サンギーティの会は、今後もこういった仏教の国際交流会を行なって行かれるようです。ご興味のある方は是非どうぞ。

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今週の花

 

140501-1.jpg今週の研究所の花。
山で採ってきた虫狩りに、友人宅の庭でみつけた貝母(バイモ)。
この季節、山に入れば、この虫狩りに三つ葉ツツジが満開です。

 

140501-2.jpg無文老師にはスノードロップを一輪お供えしました。

140501-3.jpg玄関には、上司の自坊より斑入りのなるこ百合が。可憐ですね。

140501-4.jpgおまけ。同じく山に入った折に採取した三つ葉あけびの花は自宅に飾っています。この枝振りを見て、あまりにかわいい花を眺めていると、自然の花とはそのままで完璧な美しさだな・・・・・・と思わされます。ちなみにこの花、天ぷらにしても美味しいのだと友人が言っていました。
研究所の花だよりでした。

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