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江戸の異国万華鏡 -MIHO MUSEUM-



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布好きにはたまらない展観が、滋賀県は信楽のMIHO MUSEUMにて開催中です。
江戸時代に、オランダの東インド会社によってもたらされたインド更紗の名品の数々。その展示によって、まさに異国万華鏡というに相応しい世界が繰り広げられていました。
茶の湯の世界では、茶碗や茶入などを入れるお仕覆(袋)に、よく更紗が使われています。名器であればそれに相応しい布が使われており、昔の日本人の、異国文化を受け入れ、自国の文化の中に取り込み昇華させてしまう才能には惚れぼれします。
期間中に再度訪れるつもりです。

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季刊『禅文化』232号発刊

 

140428-1.jpg先日から予告ばかりでしたが、季刊『禅文化』232号が発売となりました。
特集は、建仁寺の開山・栄西禅師800年遠諱にちなんで「栄西禅師と建仁寺」。写真は、特集の扉にもなっている建仁寺の三門です。

栄西さんほど、子どもから大人まで広く名前を知られるお坊さまもなかなかいらっしゃらないと思うのです。あとは一休さんでしょうか?でも、実際どういう方だったのかまで詳しくご存じの方となると、知名度に対してそう多くはないのでは。


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じゃあ栄西禅師についていつ知るのか……?決してふざけているわけではなく、心から思います。

今でしょ!(少し古いですが)

もう800年以上も前に生きた方ですが、読み進めていただくうちに“いつか教科書で見たお坊さん”が身近に感じられる号となりました。

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最新の研究に基づいた、さまざまな栄西禅師像に触れていただけます。季刊『禅文化』232号、宜しくお願いいたします。
お求めはこちらから。

【もくじ】
【特集 栄西禅師と建仁寺】

八百年大遠諱に寄せて/小堀泰巌
栄西禅師と密教/末木文美士
鎌倉仏教界における栄西の位置づけ/舘隆志
江戸時代における栄西研究/藤田琢司
絶海中津賛 開山明庵栄西頂相について/田沢裕賀
建築者としての栄西/佐々木日嘉里
栄西禅師とお茶/加藤一寧
栄西禅師略年表/藤田琢司
笶髦€ グラビア 建仁寺の寺宝(解説 田沢裕賀)

ひとくち法話 便利、楽を求めた先には/横田南嶺
君子の交わり ―四君子―/伊藤 紫虹
禅宗語録入門読本21 丹霞 (上)/小川隆
明の成立と禅(中) 要説・中国禅思想史39 /伊吹敦
禅における心身について(五) 佐々木奘堂
善財童子の求道ものがたり(三十一)/小林圓照
三余居窓話(余滴・三)―流れる川―/西村惠信
睡猫庵歌話(五)/大下一真
求道の禅僧のような ―坪野哲久の晩年―
技を訪う―慈照寺の花 (三)献花・体験―川辺紀子
和尚さんの身体講座(四十二)
安楽坐禅法(十二)「3分間坐禅体操その二」/樺島勝徳
寺庭さんのリレー・エッセイ「萩の小さな山寺・雲林寺」/角田覚子
書評『千本組始末記 アナキストやくざ笹井末三郎の映画渡世』/芳澤勝弘
表紙解説/福島恒徳
いっぷく拝見
編集後記《すずろごと》
『禅文化』バックナンバー
禅文化研究所の本

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技を訪う-慈照寺の花(二)湧き水と花畑-

日々の生活で出会った素晴らしい様々な“技”を、季刊『禅文化』にてご紹介しています。 本ブログでもご紹介させていただきます。
その他の記事はこちらから。

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季刊『禅文化』231号より “技を訪う -慈照寺の花(二)湧き水と花畑-”
川辺紀子(禅文化研究所所員)

前号にて、慈照寺の花の大きな特徴でもあり、稽古をする者が花を生けるよりも前に学び、自ら作る大切なものとして、“こみ藁”(藁で作る花留)づくりをお教えいただき、ご紹介した。今回は、花方・珠寳先生の朝の水汲みと花摘みに同行させていただいた。


山水は文化の礎
名水を汲み、同朋衆と共に茶を楽しんだと伝えられる足利義政公。隠居の山荘(のちの慈照寺)を造営するにあたり、〝清らかな水の湧き出る場所〟であることは、必須条件であったに違いない。穢れ多き我を禊ぐのも、うまい茶の一服を点てるのも、草木の生命を養うのも、清らかな水である。京都が千年を超える都として栄え、圧倒的な文化を誇る地として他の追随を許さないのも、山に囲まれた豊富な水源を得て、琵琶湖ほどもある水甕を地下にたたえていることが大きい。


231-1.jpg慈照寺境内にある洗月泉
湧き水が小さな滝を作り出し、このあたりの気は誠に清々しい


日本文化の礎である東山文化も、東山から湧き出る清らかな水の存在と密接にかかわる。
慈照寺では、今なおこの水が寺内全体を潤す。境内の花畑から採った花が、仏さまや義政公へ献じられ、玄関を飾るが、すべてこの水が使われる。職員の喉も潤す。今日では特別と思われるようなことが、日々ごく当たり前に行なわれているのである。道理を思えば、同じ土壌で育った花と湧き出た水なので、きわめて自然なことなのであろう。もちろん、慈照寺の花の稽古にも使われている。義政公の時代より、この水はよどむことなく流れ、慈照寺にかかわる者の心身に深く入り込み、日本の文化を根底で支え続けている。

231-2.jpg管を通し、蛇口をつけ、山からの水をいつでも汲めるよう工夫されている


花を育てる
珠寳先生が「お花を育てさせてください」と願い出て始まった小さな境内の花畑は、十年近くの歳月を経て、今ではモリアオガエルをはじめ、さまざまな生物の住み処にもなり、自然の豊かさを感じられる一画となっている。元は銀沙灘のための砂置き場で、本来砂地であった場所に土を入れ、花を育て始めたが、「一体どこで育てているの」と言われてしまうほどに花が育たなかったという。それでも山野草のプロの「かならず良い畑になるから我慢しなさい」との言葉を信じ、花を甘やかすことなく、そこに上手く根付くのを待った。本来は水はけの良い土地なので、やがて強い花が育つようになった。今では、山内(慈照寺内)に日々生ける花はほぼまかなえるほどになり、研修道場での稽古にも使われている。

 

231-3.jpg地植えをする前に、鉢植えのままで、山野草がお気に入りの場所を探す。元気が無いと思えば向きを変えたり場所を変える。畑が豊かになるための草花との対話の時間


花畑には真夏でも風の通る道があり、朝日が差し込むのが心地良い。五分といられない日もあるそうだが、それでも朝の掃除後には必ず訪れる。行き詰まったときほど、ここへ来て汗を流す。「ほんとうに助けられました。もちろん今も助けられています」と仰る先生の感慨深げな表情を拝見し、お忙しいのにいつも凜とした雰囲気を持ち、生き生きと楽しげに輝いておられる秘密を垣間見た気がした。清らかな水と畑が常に先生のおそばにあったのだ。



花を摘み、花を生ける
玄関に生ける花を摘む。「主になるものが定まれば、自ずと下草が決まります」と先生は言われる。同じ季節、同じ場所で咲いた花は、先生に摘みとられたとき、すでに生け花の形ができあがっているかのように自然だ。先生は無駄に花を摘まれない。
素人ではなかなかそのようにゆかぬかもしれないが、自然にゆだねるのが一番いいのかもしれない。



231-5.jpg先生が摘み、手にした花は、生命を無駄にしない

 

先日、標高1600メートルの長野の友人宅に滞在した折、朝の散歩でなにげなく摘んだ花の色合いの妙に驚かされた。方々から集められた花が並ぶ花屋で、あれこれ考えて花を選ぶのではない〝自然さ〟がそこにはあった。大自然のなかで過ごしたのはたった二日間だったが、先生がなぜ忙しい合間をぬって自身で花畑を作り、大切に育て、自ら花を摘むのか、松が必要なときには険しい山へ入って自ら枝を選ぶのかがわかった気がした。
賢人は皆、自然から学ぶ。私が尊敬する人々は、仕事や専門分野は違っていても間違いなく自然から何らかの形で大きな学びを得ており、さらに自然そのもののようでもある。取材で先生とご一緒し、その後私自身も大自然のなかへ身を置いたとき、そのことがすとんと腹に落ちた。
先生の新たなご著書『造化自然』(淡交社刊)にも、「花をすることは、自然の摂理へと両足をそろえて飛び込むこととこころえるべし」とあるが、真っ先に、誰よりも深く飛び込んでいらっしゃるのは、まぎれもなく先生ご自身なのだ。



231-6.jpg玄関に花を生ける。花は迷いに迷って触り過ぎるのがよくないという


「自然の出生をよく観る」大切さを、珠寳先生はしばしば口にされる。同じ花にも個性があり、よく観てそれらを摘み、生ける(大切に生かし切る)ことで、花の命を昇華させることができる。
私たち自身もまた、そのように花を生けることを通して、自ずと昇華してゆくのではないか。慈照寺の花の稽古は、そのまま仏の道、宇宙の理に適っているように思われるのだ。



231-7.jpg珠寳先生の花 慈照寺玄関にて





銀閣 慈照寺 研修道場
慈照寺が、平成23年(2011)年4月に開場。
足利義政公のもとに発展し、日本文化の礎となった東山文化。以来継承され続けて来た茶・花・香を中心に、伝統文化・芸術を護り、伝え、学ぶ場。その活動は国内に留まらず、永い年月をかけて培われてきた素晴らしい禅文化の底力でもって、ことばのみでは伝わりにくい〝禅〟をも海外に向けて発信・普及するに到っている。

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竹田城 -兵庫県朝来市-

 

140424-1.jpg既に二週間ほど前の話ですが、噂の竹田城を訪れてみました。
この時期には雲海は見られないようですが、石垣のみを山頂に遺したその姿は、なんとも見るものに様々なロマンを抱かせます。 つわものどもが夢の跡、、、に、桜も満開、人も大勢。

私は午前中に訪れましたのでまだ大丈夫でしたが、空前の竹田城ブーム!午後からはものすごい賑わいで、入場制限が出ていました。 早起きは三文の徳!是非とも早起きしておでかけになってみてください。一見の価値ありです!!!

140424-2.jpg竹田城までの道のりは、穏やかな山間部を通るのですが、里山に咲く桜を堪能できました。旅は、以外と目的地よりも、その道中が楽しかったりするものですね。

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第12回 西村惠信所長と行く"禅と文化"の旅

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6月4日(水)に開催する「第12回 西村惠信所長と行く"禅と文化"の旅」のご案内です。
今回は、禅宗を語る上で欠かせない居士達にスポットを当てて学んでみたいと思います。

弊所の所長・西村惠信の師でもある、久松真一先生古田紹欽先生の両記念館を訪ね、さらに古田先生が幼い頃小僧として過ごされた東光寺も参拝します。
所長の講演、「わが師、久松真一・古田紹欽両先生のことども」も東光寺さんの書院をお借りして行なう予定です。
両先生の書籍を読んでいらっしゃる方は多くおられるでしょうが、実際に縁の地へと足を運ぶ事によって、さらにその理解を深めてみませんか?
ご参加、心よりお待ち申し上げております。

詳しくはこちらからどうぞ。
前回までの禅と文化の旅についてはこちらをご覧ください。

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朝の建仁寺にて

 

140422-1.jpg建仁寺で行なわれた栄西禅師遠諱記念の坐禅会にお邪魔してきました。

140422-2.jpgまるで冬に戻ったかのような寒い朝でしたが、引き締まった空気の中に響く警策の音は清々しいですね。

140422-3.jpg続いて厳かに栄西禅師の降誕会法要。

140422-4.jpgさらに、駒澤大学・花園大学兼任講師の舘隆志先生による講義を拝聴しました。お話は、栄西禅師の著書『未来記』を軸にしたもの。『未来期』の評価の変遷を見ながら、歴史の中で「日本禅宗の祖」という概念がどう変化していったのか、豊富な史料を用いてわかりやすく教えていただくことができました。

140422-5.jpg会場では、季刊『禅文化』最新号(232号・特集「栄西禅師と建仁寺」)の先行販売もさせていただいたのですが、お陰さまでさっそく多数の方にお求めいただき、本当にありがたいことでした。

140422-6.jpgちなみに、建仁寺のお坊様がたが、通りすがりに「お!」と反応されていたのが表紙。一般にはあまり馴染みがない絵画ですが、いまも建仁寺の大事な法要に現役で用いられている絵を取り上げました。この絵についても、表紙解説で詳しくご紹介しています!舘隆志先生の論文も収録しておりますので、ご興味おありの方は宜しくお願い致します。

お求めはこちらから宜しくお願い致します。

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縁あって和歌山のお寺の津送に

今年の一月に本ブログに別のスタッフが記事にしていますが、和歌山県のとあるお寺の寺史と建物や什物の写真を一冊にまとめた本を委託され、現在制作にあたっています。

そんなおり、このお寺の閑栖和尚様が遷化されました。このお仕事のご縁があって、私どもも津送に拜請をいただきましたので、片隅に参列させていただきました。

遠路のこともあって前日よりお招きいただき、シーズンオフの白浜温泉で一泊。目の前の太平洋は、凪いてなんとも静かでした。

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翌朝、お寺へ移動すると、各地から多くの僧侶、檀信徒、親類縁者がお集まりになっていました。見知ったお顔の方もおられ、旧交を深められているように思いました。これも亡き閑栖さまのご縁だろうと思います。

2014-04-17-09.37.56.jpg津送として、元粛に三仏事が執り行われましたが、秉炬導師は南禅寺派管長の香南軒中村文峰老師がおつとめになられました。もう85歳かと思われますが、香語の最後の一喝は力強い気迫を感じられました。
一旦退堂して、新忌斎という、いわゆる四十九日の法要も営まれ、無事円上。終わって出斎となり、小田長の精進料理をご馳走になりました。

滋賀の自坊のつもりで冬衣にウールの白衣で出頭してしまった私は、式中、汗ばむほど。そういや和歌山は暖かいのでした。

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禅文化研究所 創立50周年記念「不立文字展」記念講演会

 

140418.jpg花園大学歴史博物館におきまして、弊所の創立50周年を記念した特別展(6月7日まで)を開催中です。これに関連した催しとして、さる4月16日(水)、所長・西村惠信による記念講演と展覧会担当者によるギャラリートークが行なわれました。

演題は「禅文化の本質と、観賞の視点について」。禅の文化が持つ特殊な性格や、禅の作品を観賞する際に求められる視点などが約90分に亘って述べられ、続くギャラリートークと共に大盛況でした。

本日は、これから展覧会をご覧いただく皆さまのために、講演のポイントを記させていただきますね。展覧会以外の場所でも、禅の作品に出会うことがあったらぜひ思い出してみてください。


1.禅の修行の目的は“己事究明”。したがって作品も、作者自身の直接表現である(たとえば梅の絵であれば、作者は「梅を描いた自分自身」を描いている)

2.そういう作品を観賞する際は、観賞者も作者と同じ心境であることが必要(つまり、観賞者も自己自身と直接していることが求められる)。

3.そのことによって、観賞者が作者と直接することになる


いかがでしょうか。実はとっても難しいことですけれど(少なくとも私は一生かかっても無理かもしれません……)、心構えだけでも!

※次回記念講演とギャラリートークは5月14日(水)を予定しています。
■2014年5月14日(水)13:00~14:30 花園大学講堂にて
「墨蹟への憧れ~書作家の立場からの私的鑑賞~」
尾西正成氏(京都橘大学助教・日展会友)

 

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大馬神社 -三重県熊野市-

 

140417-1.jpg熊野三社詣での帰り、三重県熊野市にあります大馬神社を訪れました。
知る人ぞ知る・・・と言ったお社でしょうか。聖地というにふさわしく、歩いていると、そこここに木霊の存在を感じるような、清らかといえば清らかですが、それだけではなく、ある種の恐ろしさも感じ、自然への畏敬の念がおのずとわいて出てくるような場所なのでした。六根清浄するにふさわしい地です。

140417-2.jpg平成23年9月の台風12号による被害の爪痕がまだまだ痛々しく残ります。

140417-3.jpg気が澄んでいるのです。坂上田村麻呂が討ち取った賊の首が埋められているそうなのですが・・・。二度とそういったものが出てこないように、このような清らかな場所に封じ込めたのでしょうか。

140417-4.jpg那智大滝ももちろん素晴らしいのですが、こちらの滝も規模関係なく、素晴らしいパワーを秘めていました。

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今週の花

 

140415-1.jpg愛らしい春の花が次々と開花する頃ですね。
今週は、我が家のベランダよりおでましの花々です。籠はリトアニアの手しごと。

140415-2.jpg玄関にはクリスマスローズを。ロンボク島(インドネシア)で求めた小壺に。この小壺、どんな花も受け容れて、花がよく映えますので重宝しています。下に敷いた布は、秦泉寺由子先生の竹染めです。

140415.jpg書架の空いたスペースには春の花色々を。難しい本ばかり、少し薄暗い研究所を明るくしてくれています。

140415-3b.jpg無文老師には椿を一輪。
研究所花だよりでした。


★おまけ
上司が自坊より持ってきてくれました椿。お釈迦様の誕生日にこのように咲いてくれました。

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『祈りの延命十句観音経』横田南嶺老師

 

140416.jpg東日本大震災より三年目を迎えた節目の日、2014年3月11日に、円覚寺派管長・横田南嶺老師が『祈りの延命十句観音経』(春秋社)を上梓なさいました。

「菩薩行とは、その人のところまで自らが降りていって、クレーンで高い所へひょいっとひっぱりあげるように連れてくる事です」。と、いつでしたか、堀内宗心宗匠が仰ったおことばを、この本を読んでいて思い出しました。

東日本大震災に続き、ご自身の故郷の紀伊半島を襲った大水害を機に、「延命十句観音経」を少しでも多くの方に広めたいという老師の願いと、いのりの持つ力というものを、多くの方にわかるように、易しい言葉で、慈悲深く説く行為とは、まさに菩薩行なのでした。

これは何も、震災の被災地の方々に向けてのみ語られたものではありません。生きていれば、皆それぞれに悩み苦しみは尽きないもので、私自身まさに、苦しみの海から、ひょいっと救い上げていただいたような心地がしたのでした。

宗教関連本というのはそれこそ数多く出版されていますが、宗教宗派は関係なく私が良いなと思う本というのは、著者の厳しい修行により得たお悟りや清々しい心境、今(瞬間)を生きる姿がそのままこちらの身心奥深くへと、瑞々しく流れてくるような感覚を覚える本です。

まさにそのような一冊。宗教というものの、本来のまっとうな御教えをいただき、感謝です。人間は忘れるのがあまりに得意ですから、何度も読み返して、自身にすりこませてゆきたいものだと思いました。


*本日の20時~約1時間、BS日テレ「わが心の聖地」に、横田南嶺老師がご出演なさいます。姜尚中さんが心の聖地、円覚寺を訪れ、管長猊下とお話なさるようです。是非ご覧ください。



最後に、延命十句観音経と、横田南嶺老師による和讃をご紹介させていただきます。

〇延命十句観音経
観世音 南無仏(かんぜおん なむぶつ)
与仏有因 与仏有縁(よぶつういん よぶつうえん)
仏法僧縁 常楽我浄(ぶっぽうそうえん じょうらくがじょう)
朝念観世音 暮念観世音(ちょうねんかんぜおん ぼねんかんぜおん)
念念従心起 念念不離心 (ねんねんじゅうしんき ねんねんふりしん) 

〇延命十句観音経 意訳(和讃)
観音さま
どうか人の世の苦しみをお救い下さい
人の苦しみをすくおうとなさる
そのこころこそ仏さまのみこころであり
私たちのよりどころです
この仏さまのこころが
私たちの持って生まれた本心であり
さまざまなご縁にめぐまれて
このこころに気がつくことができます
仏さまと 仏さまの教えと
教えを共に学ぶ仲間とによって
わたしたちはいつの世にあっても
変わることのない思いやりのこころを知り
苦しみ多い中にあって 人の為に尽くす楽しみを知り
この慈悲のこころを持って生きることが本当の自分であり
汚れ多き世の中で 清らかな道であると知りました
朝に観音さまを念じ 夕べに観音さまを念じ
一念一念 何をするにつけても
この思いやりのこころから行い
一念一念 何をするにつけても
観音さまのこころから離れません

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栄西禅師八百年大遠諱記念行事 -建仁寺-

 

140414.png今年は、建仁寺の開山・栄西禅師の八百年大遠諱。まもなく発行の『禅文化』232号(4月号)でも巻頭で特集させていただいております。

関連の催事も始まっていますね。
東京国立博物館で開催中の「栄西と建仁寺」展も好評を博しているそうですが、来たる4月19、20日には、建仁寺にて記念行事「大衆報恩坐禅会」が行なわれますよ。
両日とも朝8:00からの坐禅に続いて栄西禅師降誕会のお勤めがあり、最後は記念講演という充実した内容です。

【講演】
4月19日:「護国の禅」/玄侑宗久師(臨済宗妙心寺派福聚寺住職・作家)
4月20日:「栄西禅師の未来記と蘭渓道隆」/舘隆志師(駒澤大学・花園大学兼任講師)

なお20日は、季刊『禅文化』最新号を発売に先がけて会場で販売させていただきます。
当日講演される舘隆志先生の論文や、「栄西と建仁寺」展を担当された田沢裕賀先生(東京国立博物館 絵画・彫刻室長)による建仁寺寺宝の解説も収録しています。
さまざまな角度から「栄西禅師と建仁寺」をご紹介する一冊となりましたので、記念の年にお手に取っていただければ幸いです。

宜しくお願いいたします。

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WaSa-B 寺院コンサートVol.1 (於・妙心寺大雄院)

 

140411.jpg来たる2014年4月26日(土)、妙心寺塔頭の大雄院にて、WaSa-Bという音楽ユニットのコンサートが開かれます。
このユニットは斎藤孝太郎(チェロ)と和田健一郎(ギター)のお二人で、斎藤さんは、映画「おくりびと」で本木雅弘にチェロの演技指導を行なった人です。
WaSa-Bのプロフィールによると、「和のテイストを大切にし、多彩な色彩や奥行き、スピードなどをチェロとギターによる音楽で表現するアコースティックユニット。"犬猫殺処分ゼロをめざしたチャリティー」なども積極的に参加。」とあります。
苔むした緑豊かな大雄院の庭の前で、音色と歌声を楽しめたらいいですね。
上の画像をクリックして拡大してみていただければ、問い合わせ先などが記されています。


*おしらせ
本年最初の“禅と文化の旅”は、6月4日(水)開催が決定致しました。詳細につきましてはまた後日おしらせさせていただきます。

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THE ZEN KAI (於・清水寺圓通殿)

 

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妙心寺の花園禅塾という、主にお寺の徒弟のための、お寺の生活を規範にした下宿施設があります。ここの塾長である羽賀浩規師が、普段からSOLというお店で、人を集めてイス坐禅を提唱しておられます。また花園禅塾の学生たちを引き連れて、東日本大震災の被災地へボランティア活動にもいそしまれていて、いつも頭が下がる思いです。

その流れで、今回、東日本大震災被災者支援のためのチャリティイベントとして、THE ZEN KAIが開かれるようですのでご紹介します。

日時は、2014/6/14(土)
会場 清水寺 圓通殿
開場 13:00 / 開演 14:00
内容 花園禅塾(読経)・羽賀浩規(説法)・大石将紀(Sax Live)・矢野沙織JAM(Jazz Live)・虹乃美稀子(ちいさな旅Japan代表)・EGO-WRAPPIN'(Acoustic Live)・佐治晴夫(講演)・桂しん吉(落語)です。
エントランスフィー ¥3,500(中高生¥2,000)

詳しくは、http://thezenkai.com/をご覧下さい。

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神倉神社 -新宮市-


140410-1.jpg神倉山。日本書紀に“天ノ磐盾”として登場。また、町中から見上げても目を引く巨大なゴトビキ岩(ゴトビキとは琴引とも書かれ、方言でヒキガエルを表すそうな)は、熊野権現が最初に降臨された場所と伝わります。
山全体が聖域、修験の地でもあった神倉山の頂上にあります神倉神社を参拝しました。

高所恐怖症には無理なのでは・・・というような急勾配の石段。なんと源頼朝が寄進したのだとか。後ろを振り返らずに進み、向かった先には。

140410-2.jpg140410-3.jpg新宮といえば、円覚寺派管長・横田南嶺老師の故郷でもあります。太陽が近く、空や海はどこまでも濃く青く、山々の緑深いこのような土地で過ごされたのか・・・・・・と、感慨深いものがありました。

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ポジャギとチュモニ展 -高麗美術館-

 

140409.jpg3月末で終了しましたが、大好きな美術館の展観です。

-「ポジャギとチュモニ展」-
韓国刺繍博物館より、選りすぐりの逸品が京都にお目見えという事で、布好きにはたまらない展観なのでした。

母から娘へと受け継がれたり、また、嫁入りの為に自らが作るこういった布や、織物などが世界各地に存在し伝わっていますが、どれを見てもその“おもい”が伝わってきて、共通した精神を感じます。そんな時、国境はあって無いようなもの。世界は一つ、人間は皆同じ・・・・・・という思いに至ります。柳宗悦のことばが浮かびます。

こちらの美術館、今開催されている展観も楽しみ。近々訪れます。

 

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春はあけぼの -早朝の天龍寺参拝-


140408-1.jpg朝の早い時間に、天龍寺さんにお邪魔してきました。
この時期の百花苑の桜を初めとする様々な花々は、まさに百花というにふさわしい華やかさです。

140408-2.jpgおよそ樹齢70年から80年くらいのしだれ桜がそれは見事。

140408-3.jpg柔らかな桜色が、青空に映えます。

140408-4.jpg百花春至為誰開。

140408-5.jpg百花苑の山を登ってゆくと、遠くに比叡山まで望むことができます。まさに絶景。

140408-6.jpg桜とお寺の屋根を上から眺むるという不思議。

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何度来ても感嘆のため息がもれます。開山夢窓国師作庭・曹源池庭園。雲水の修行の為にある庭。今も夜にはこの庭の前で雲水が夜坐をします。まさに、生きている庭です。夜に坐り、時間がたってくると、ぼぉっと浮き上がって見えてくるそうな。これは修行を経験した方にしかわからない特権ですね。

天龍寺さんは朝8時半から参拝できます。早起きは三文以上の徳。是非とも朝一番にご参拝なさってみてください。


追伸
本日はとてもおめでたい日ですので、花でブログを飾ってみました。

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実践講座「サンガセミナー大分講座」

昨年より開催させていただくようになりました、サンガセミナー。
今年度はまず、大分の萬壽寺さんにて開催させていただきます。

○法式声明講座 -基本発声法とその応用-
○論理思考と議論の方法……“こころの時代”に逃げてはいけない

詳しくはこちらからご確認ください。

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「不立文字 -禅の書画と典籍・六〇〇年-」展開催

 

不立文字展

禅文化研究所創立50周年記念所蔵作品展として、4/2より花園大学歴史博物館にて「不立文字 -禅の書画と典籍・六〇〇年-」展が展観開始されました。
本展覧会では、当研究所における禅宗関係資料の収集・保存活動によって、今日までに蓄積された28,000点を超える作品・資料のうち、室町時代から現代に至る墨蹟をはじめ、書画および典籍の優品約100点をご紹介します。
当研究所所蔵優品資料が一挙に公開されるのは本展が初の試みです。時代が異なれば、種類や画題も様々です。またとない機会に、研究者のみならず広く皆さまに鑑賞いただき、禅の文化と美術に親しんでいただけましたら幸いに存じます。

展示品一覧

会期は平成26年4月2日(水)~6月7日(土)、開館時間は10:00~16:00(土曜日は14:00まで)、日曜と5月5日(月・祝)は休館です(但し、大学行事により臨時休館する場合があります)。入場は無料です。是非お立ち寄り下さい。
また、会期中に記念講演会を二回開催いたします。詳しくはこちらをご覧下さい。

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相国寺 春の特別拝観

 

140403.jpg相国寺さんでは、6月4日まで特別拝観をされています。
法堂(重文)・方丈・浴室(宣明)の3カ所が公開中とのこと。相国寺さんの法堂の龍図は、鳴き龍で有名ですね。皆さまも龍の声、お聞きになってみてください。

また、方丈は屋根瓦葺替など3年間の修復を経ての初公開。日本の職人の仕事が受け継がれるのは、こういった寺院の修復があってこそといえます。真新しく清々しい姿に感動します。

裏方丈庭園の九重桜もそろそろでしょうか。是非御参拝なさってみてください。
詳しい参拝情報はこちらからどうぞ。

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お家元の畳

 

140402.jpg不審花開今日春

表千家不審庵のホームページに、数寄屋畳師の高室節生氏の、 「畳とお茶の文化」が掲載されています。
この畳こそ、私に「このような畳を作る職人さんがいる京都というところは、とんでもない所だな、、、通うのみではわからない、住まなくては・・・」と思わせてくれた畳なのです。

表千家のお茶を稽古する者には、25歳までという若く柔軟なうちに家元のほんものの空気を味わうべく、家元近くのお寺に泊まり込み、一週間家元に通う機会が与えられます。そのときの驚きや感動は今も脳裏に鮮明に焼きついていますが、私が一番心打たれたのは、“お家元の畳”なのでした。

一枚の板を敷いたかのように引き締まった畳は、ほぼ一日中正座する身にはこたえるものの、明らかに自身が知っていた畳とは違い、「畳によってこれほどまでに空間は変わるものか・・・」と思ったものです。
われわれを非日常へといざなうにふさわしく、茶室の空気までをもさらに凛としたものに変えてしまいます。こちらの気持ちまで引き締めてくれた事を、懐かしく思い出します。

 

そして、京都のほんものの職人の仕事というものに打ちのめされた私は、憧れの京都住まいを実現するべく動き出したのです。ひいては禅文化研究所で働くに至ったのも、この畳のおかげといえましょう。
人一人の人生をも変えるほどの仕事に、尊敬の念を抱いてやみません。
是非ご一読を!

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京都の今

 

140401-1.jpg都の春。京都御苑にて。早咲きのしだれなどはもう満開です!
花を求めて集う人々を遠くから眺めるのを、今年は楽しんでいます。

140401-2.jpgと言いつつ、やはり近づいて写真も撮ってみたり・・・・・・。

140401-3.jpg本日より新年度。
どうぞ引き続き、禅文化研究所を宜しくお願い申し上げます。

 

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