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事務局だより

 

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まもなく3月。年度末を迎えるこの時期は事業や予算の作成など、次年度に向けての準備作業に追われます。
さて、今年は創立50周年にあたり、研究所所蔵墨蹟展や講演会などの関連事業が4月から始まります。従来の事業でも、一般や寺院向けのセミナーや勉強会の開催などを計画しています。
また、臨黄合議所(事務局は当研究所)が行なう臨済禅師・白隠禅師遠諱事業も、今年より一般に向けての講演会などの記念事業がスタートします。
詳細は本ブログ上でもご案内しますので、禅に関心のある方はどうぞご参加ください。

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擔雪IIシリーズ 最新OSの Windows 8.1 に対応しています

140227.jpgWindows の最新バージョンである Windows 8.1 が2013年10月より販売されています。
Windows 8.1 は Windows 8 のマイナーバージョンアップにあたるので、Windows 7から Windows 8 へのメジャーバージョンアップとは大きく異なるイメージですが、Windows 8 で動いていたソフトが Windows 8.1 へアップデートしたら動かなくなったといった事例もあるようですので注意が必要です。

禅文化研究所より販売しております「宗教法人管理システム 擔雪IIシリーズ」は、最新OSの Windows 8.1 に対応しております。

現在お持ちのセットアップCDのバージョン(CDの表面に赤色の文字で Ver1.** のように記載)が Ver1.40 未満の場合は、擔雪II各部門管理のインストール後に最新バージョンのアップデートファイルを適用してご利用ください。

詳細については、Windows 8 ・ 8.1 対応についてをご覧ください。

また現在、禅文化研究所では、寺院向けソフトウェア「こぼんさん」ユーザーを対象に、擔雪IIシリーズが1割引となる「こぼんさん」乗り換えキャンペーンを実施しております。
期限は2014年3月31日までのご注文となっておりますので、ぜひこの機会に乗り換えをご検討ください。

擔雪IIの情報はこちらからどうぞ

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福森雅武 山の木と花 -冬を生ける-

 

140226.jpg以前ブログでもご紹介しましたが、岐阜県大垣市のお茶屋屋敷跡(慶長九年〈一六〇四〉頃、徳川家康が岐阜城御殿を移築させた将軍専用の休泊所跡)にある矢橋家別邸にて、「福森雅武 山の木と花 冬を生ける」(栄中日文化センター特別講座)が開催されましたので、お手伝いとしてお邪魔させていただきました。

とらわれの無い世界にいる人が生ける自在の花は、私の心まで自由へと解き放ってくれるようでした。
とらわれが無い分、素晴らしい器を見て感じたり(先生は、器がどう生けるかを教えてくれると仰います)、自然の中へ入って花を見て自然と一体になると、“生け方”というのは無限に可能性が広がり、先生の発想はこちらが思い及ばないものばかりで、ハッとさせられ続けました。
いつも真っ白でいらっしゃるからこそ、一期一会の新しい世界を見させてくださいます。

周りには笑いがたえず、先生が一番楽しんでいらっしゃるようなのですが、その楽しさに誰もがまた一緒くたに楽しくなってしまうひとときなのでした。
学び多き一日でした。

この花の会の様子はこちらに詳しいです。是非ご覧になってみてください。

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自坊の花だより

 


20140225-1.jpg今冬は関東にものすごい豪雪をもたらしましたが、自坊のある滋賀県は、かえって毎年より積雪が少ないようです。とくに我々は南雪というのですが、滋賀県北部よりも、南部の方が何度も積雪しました。だから雪質も水分の多いベタベタの雪でしたよ。
とはいえ、もう三月の足音も聞こえてきたこのごろですが、まだ寒い日はこたえますね。

研究所に持ってきた蝋梅や梅の枝はだいぶ前から咲き誇っていますが、自坊の庭ではやっと満開で、とてもいい香りを漂わせています。梅もやっとチラホラと花を咲かせ始めたばかりです。

20140225-2.jpg梅の枝には蓑虫が冷たい北風に吹かれてユラユラと揺れていました。まだぐっすりお休み中のご様子。

20140225-4.jpg蓑虫は雄は成虫の蛾になって飛び回りますが、雌はこのまま蓑の中にとどまっているんだそうですね。夏になると、梅の葉っぱをあっという間に食い荒らすので、ちょっと困りものなんですが。

境内には今、ほとんど花がありません。水仙だってまだほとんど咲いていません。もう少し暖かくなると一斉に咲き始めるんですが。唯一、雪が降ったころにかわいらしい花を咲かせた、スノードロップ。可憐な白い小さな花です。

20140225-3.jpgWikipediaによると、「スノードロップは聖燭節との関係が深く、修道院の庭でよく育てられていた」ということですね。まぁお寺で咲いて心を和ませてくれるのもよしとしましょう。

さて、明日からは豪雪で沢山の被害が出た山梨県へ調査出張に出かけます。きっとまだまだ雪が残っていることでしょうね。

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春の足音

 

140224.jpgちょうど一ヶ月前に上司が自坊より持ってきてくれました山茱萸。
その時には赤い実を楽しんで生けていました。

人間はここのところの寒波に「寒い寒い」と身を縮こめていますが、そんな中でもかすかに聞こえてくる春の足音を彼らは聞き逃しません。
少しずつ少しずつ黄色い顔をのぞかせ、花を咲かせてくれています。

我々人間も自然界の一部。感じる心を失わないようにいたいものです。

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炭点前

140221-1.jpg茶の湯の稽古にて、炭点前をさせていただき、師匠のお許しを得て写真撮影。
美しく炭を配置するのはもちろんのことですが、炭がきちんといこって、釜の湯を沸かす事ができなければ本末転倒です。
どちらもできて、“ご名炭(ごめいたん)”というわけです。

色々な形の炭がありますが、どの順番でいこってゆくのかまで考えられています(点前が終わった後の写真は下)。色が違う灰は、濡れ灰といって、湿った灰を最後に撒く事によって対流を起こさせ、炭に火がつきやすくしてくれるわけです。非常に合理的化学的であります(堀内宗完宗匠の『茶の湯の科学入門』に詳しいです)。もちろん、その景色をも楽しみます。

先人が考えてくれた点前には、どれだけ長くお稽古を続けていても感心する事しきりです。
茶の湯に限らず、型というものを習得しないうちに、自分本位な試みをしてみるというのは、良い面もあるのでしょうが、私は危険だなと思っています。

万人に惜しまれて旅だった歌舞伎役者、中村勘三郎さんが好んだ、「型を会得した人間がそれを破ることを『型破り』というのであって、型のない人間がそれをやろうとするのは、ただの『かたなし』です」のことばをいつも思い出します。
今はひたすら師匠のことばを聴き、型の習得に励んでいます。その中でも、得がたい気づきを十二分に得られる、それが道のお稽古です。

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◆弊所刊行の茶の湯関連本
『歩々清風-科学する茶禅の人-』
堀内宗心
『茶の湯のこころ』 古田紹欽
『茶の湯とはなにか』 古田紹欽

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宗教者マラソン

遅ればせながらご報告です。
先日京都にて開催されました宗教者マラソン
臨済宗からは、円覚寺派管長の横田南嶺老師が出場され、約10キロを走り抜かれました。
そのご様子が、円覚寺さんの居士林だよりに掲載されております。是非ともご覧ください。

さらにこのマラソンが開催されました16日(日)朝八時半からのNHKラジオ第二放送にて、同じく横田老師が、「初心を忘れず」という題にて、ご自身の人生経験から“初心”についてをお話くださっていました。
過去を生きた祖師方や名僧の書籍、録画された映像、声を今もありがたく拝読、拝聴できるわけではありますが、今を生きていらっしゃる老師の生のお声を拝聴する事は、より深く我々凡夫のこころに響くもので、私も自分のこころが真っ新に、初心に返るような心持ちになり、力がみなぎるような感覚を覚えました。

再放送は
2月23日(日)午後6:30~7:00
です。是非お聴きください!

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『坐禅和讃』をよむ


140219-1.jpg新緑の頃に刊行予定の、弊所所長・西村惠信による『坐禅和讃』の本を、鋭意制作中です。
“坐禅和讃”といえば、坐禅会などに参加されている方には親しみ深いのではないでしょうか。

江戸時代中期、臨済宗中興の祖である白隠禅師(1685~1768)が、一般民衆にひろく坐禅をすすめるべく作られた、日本語のお経のようなものです。
坐禅をする前に、般若心経などとともによく唱えられます。

坐禅というものがどれだけ素晴らしいものであるか、どれだけ生きる上での助けになるものか、この短い和讃の中に、白隠禅師の慈悲心がまるのまま込められ、またその慈悲心が、我々に惜しみなく降り注がれています。
私もなんとなく意味をわかっているつもりではいましたが、所長の慈悲心により懇切丁寧に解説がなされ、仕事とはいえ、このような素晴らしい本を読ませていただける有難みをひしひしと噛みしめています。

所長も、この本の中では、白隠さんの慈悲心について何度も何度も述べられていますが、私も東京での白隠展にて、白隠さんの多くの素晴らしい書画をみてまわり、最後に達磨・臨済・雲門の三幅対を前にし、祖師方と白隠さんの大大大慈悲に触れ、ぶわっとせまってくるものがあり、泣きそうになった事を懐かしく思い出しました。
どうしたって伝わってしまう白隠さんの気迫、慈悲心。そのようなものを感じていただける一冊になる事間違い無しです。
是非刊行の折には、お手にとっていただきたい一冊です。
お楽しみに!

*平成29年、白隠禅師250年遠諱事業の詳細はこちら、白隠禅師関連書籍はこちらをご覧ください。

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銀世界


140218.jpg銀世界、、、と美しい呼び方で喜んでいられるうちは良いのですが・・・。
テレビを見ないもので、各地の状況をツイッターやFacebookで確認し、驚きの週明けでした。
今なお困難な状況にいらっしゃる方達の為、ご無事で少しでも早く日々の生活に戻られる事を祈ります。

京都は土曜日の朝には雪もとけ、いつもの生活と変わらず・・・が、お隣滋賀県へゆけば、畑や土の地面が多い分、そこは一気に銀世界。感覚の違いを味わい、さらに山奥へとゆけば、普通の靴では歩けないほどに・・・。自然の事を思えば、人間はなんてちっぽけな存在だろうと改めて思う休日でした。

 

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別冊太陽『栄西と臨済禅』

 

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平凡社の別冊太陽シリーズに、新たに『栄西と臨済禅』が刊行されました。
弊所が監修をさせていただいております。

さすがは平凡社さん。写真が美しく資料豊富で、禅宗僧侶のみならず、一般の方にまで広く読んでいただけるような一冊となっています。
お求めはこちらからどうぞ。
栄西禅師関連本はこちらです。

【もくじ】

第一章 栄西の生涯と事蹟
栄西の生きた時代
(一)少年栄西の出家と叡山での修行 中尾良信(花園大学教授)
(二)正法を求めてー第一回入宋 中尾良信
(三)天竺をめざすー第二回入宋 中尾良信
(四)帰国後の活動と禅宗排斥 中尾良信

『興禅護国論』を読む 安永祖堂(花園大学教授)

(五)鎌倉下向と建仁寺創建 中尾良信
(六)鎌倉幕府の政変と栄西示寂 館隆志(花園大学非常勤講師)

建仁寺 開祖栄西禅師降誕会と四頭茶会
「禅宗寺院の古式茶礼を伝える」

中国の禅宗史 伊吹敦(東洋大学教授)


第二章 臨済禅の確立と隆盛
◇鎌倉時代前期から中期の禅院 館隆志
円爾と承天寺・東福寺 高柳さつき(中村元当方研究所研究員)
無本覚心と興国寺 高柳さつき
蘭渓道隆と建長寺 館隆志
無学祖元と円覚寺 館隆志

◇鎌倉時代後期
西澗子曇と一山一寧 館隆志
鎌倉五山の成立 館隆志
無関普門と南禅寺 今泉淑夫(東京大学名誉教授)
京都五山の創設と五山制 今泉淑夫
宗峰妙超と大徳寺 オズヴァルド・メルクーリ(花園大学国際禅学研究所研究員)
関山慧玄と妙心寺 廣田宗玄(花園大学非常勤講師)

◇室町時代の禅宗 山家浩樹(東京大学史料編纂所教授)
夢窓疎石と天龍寺 加藤一寧(花園大学非常勤講師)
春屋妙葩と相国寺 山家浩樹

◇近世禅林の展開 竹貫元勝(花園大学特任教授)
幕府の宗教政策と禅宗 竹貫元勝
近世禅宗の動向と隠元渡来 竹貫元勝
禅の近代化 竹貫元勝

第三章 禅と日本文化

禅宗絵画の諸相-禅機図と禅画を中心に 藤元裕二(浅草寺学芸員)
禅の庭 町田香(京都造形芸術大学非常勤講師)
禅宗様建築 佐々木日嘉里(花園大学非常勤講師)

『十牛図』を読む-禅修行のプロセス 西村惠信(禅文化研究所所長)


コラム
栄西およびその門流と俊?の興隆 西谷功
建仁寺での栄西と道元 館隆志
入宋僧と渡来僧 加藤一寧

臨済禅 法系図
用語解説 西村惠信
年表 加藤一寧
臨済宗・黄檗宗 十五本山案内

*表紙 明庵栄西像 京都・両足院蔵

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宗教者マラソン NHKラジオのおしらせ

 

140214.jpg明後日16日の日曜日に、京都マラソンの併設大会として「interFaith駅伝~平和を願い祈る駅伝~」が開催されます。

信仰の違いや国境を超えて各教派聖職者のランナーがタスキをつなぎ、都大路を走られるとの事。
海外からはキリスト教をはじめさまざまな宗教の聖職者20人が来日。国内参加の20人と共に4人10チームに分かれ、京都マラソンのコースを一般ランナーと共に走ります。

我らが臨済宗からは、円覚寺派管長で、研究所の理事でもあらせられる横田南嶺老師がなんと10キロもの道のりを走られます。皆さま応援を宜しくお願い申し上げます。

さらに横田老師ですが、NHKラジオ第2「宗教の時間」という番組でお話なさいます。

放送日は

平成26年2月16日(日)NHKラジオ第2放送 午前8:30~9:00

再放送は

2月23日(日)午後6:30~7:00

となっております。

お聞き下さいますようお願い申し上げます。

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我が師を語る -東福寺管長・円覚寺管長-

140213.jpg研究所が毎年作らせていただいているカレンダー。
来年2015年は、小池心叟老師の書画カレンダーを制作予定です(昨年末には撮影の為、東京の白山道場(龍雲院)にもお邪魔してきました)。

そんなご縁から、小池心叟老師を得度の師とされるお二方、東福寺管長・遠藤楚石老師と、円覚寺管長・横田南嶺老師に、先日東福寺にてお話を拝聴しました。

老師方がご自身の師匠について語られるのを直接拝聴できるのは、私にとりましても、多くの学びや気づきが訪れる至福の時間となります。
「老師のお側近くにはべる事は、大自然の中に身を置いた時の学びと似通っているなぁ・・・・・・」と思いました。老師ご自身がまさに大自然そのもののよう!

この対談のようすは、少し先になりますが、季刊『禅文化』の秋号(2014年10月25日発刊予定)にて掲載予定です。おたのしみに!

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よしもとばなな作品

 

140211-01.jpg自分が見えないようにしている痛い所をえぐり出されて見せられ、目を背けるわけにはゆかない。対峙しなければならない。
悶絶しながらよしもとばななさんの本を読んでいる私ですが、彼女の作品の常として、最後に一筋の光明が差します。まさに目から鱗、救われる瞬間です。

「お能と一緒だなぁ・・・・・・」などとぼんやり考えていました。
最近、乾いていた心に潤いを与えるかのごとく、ばななさんの本を読み続けています。流行りもん嫌いな私(愚かです)は、よしもとばなな作品を一冊も読んだ事がありませんでした。
昨年11月に、ダライ・ラマ法王の京都講演にて、猊下がばななさんと対談される事となり、それが初めてばななさんに触れる機会となったのです。

「何故よしもとばななさんなのだろう?!」と怪訝に思っていたのは、あまりばななさんを知らない者にとってはごく自然な疑問だったかもしれません。
そんな我々の気持ちを察してか、自身が初めてでかけたネパールのチベット寺院で、前世はチベット仏教の僧侶であった事を思い出した話、その後はチベット仏教について学んだり、ダライ・ラマ法王のご健康やご多幸を毎日お祈りし、チベットの人々の為に、できる限りの事はこつこつとしてきたことを述べられ、今日、ここにいさせてもらう事に何ら後ろめたい事も、恥ずかしい事も無い。とはっきりまずは宣言されたのです。
その後につづいた講演のすばらしさは、言うまでもありません。

その時を境にたくさんある作品を読み漁っている私ですが、“自己をみつめる”為に良い本が山ほどあります。昔読まれた方も、いまいちど読まれたならば、また違う発見があるかと思います。
生涯に亘って、私にとっても彼女の作品は良き友となることでしょう。

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「北奥耕一郎の世界」と、いつかの法話

 

140210.jpg京都を中心にご活躍中の写真家・北奥耕一郎先生の作品を拝見し、10年ほど前に聞いた法話を思い出した次第です。

「心の余裕がない人は、定点観測を始めましょう」というお話でした。通勤途中にある一本の木でも、駅のホームから見上げる空でもいい。ほんのひとときであれ、あるものをじっと観察する習慣に意味がある。毎日繰り返すうちに、今まで見逃していた小さな変化、ちょっとした美しさに気づけるようになってくると、それがやがて心の余裕にも繋がっていくのです――。

日差しの変化、雲の表情、葉っぱに落ちた露の動き……。禅刹の四季を追った写真を眺めながら、法話とともに、いつも穏やかな先生のお顔も浮かびました。

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臨済義玄禅師

 

140207.jpg白隠慧鶴禅師 「無」 個人蔵


わが臨済宗の開祖・臨済義玄(りんざいぎげん)禅師は、唐代の禅僧で、867年に亡くなられました。平成28年には、臨済宗を挙げて、1150年の大遠忌法要が営まれます。

臨済禅師の行状はいくつかの書に記されていますが、弟子の慧然禅師が著わした『臨済録』を見てみましょう。
それによりますと、臨済禅師は若き日に黄檗希運禅師のもとで、まことに純粋に修行に打ち込んでおられたようです。その修行態度を見た首座(先輩)が感嘆して、あるとき「あなたはここにきてどのくらいになりますか」と尋ねます。
三年という答えをきいた首座は、それでは、黄檗禅師に参じて、「仏法の根本義は何ですか」と問うてごらんなさいと言います。言われた通りに臨済が質問すると、黄檗禅師はすぐさま臨済を棒で打ちます。
その後、再び首座に励まされて黄檗に参じますが、また打たれ、結局、三度尋ねて、三度打たれることになります。
臨済は「せっかくお心にかけていただいたのに、奥義を悟ることができません。お暇をいただきます」と首座に言って黄檗の元を去ろうとしますが、そのとき首座は、「それなら、必ず黄檗禅師にご挨拶をしてから行きなさい」と言います。首座は臨済より先に黄檗禅師のところに行って、「なかなか見どころのある若者ですから、どうかよろしくお導きください」と頼みます。黄檗は、「ここを去るなら、大愚和尚のところに行け」と言います。
大愚を訪ねた臨済は、「黄檗和尚に三度、仏法の根本義を尋ねて、三度打たれました。何が悪かったのでしょう」と聞きます。大愚は、「黄檗はそんなに親切におまえに対してくれているのに、ここまでやって来て、何が悪かったのでしょうと私に尋ねるのか」と言います。
臨済禅師はそこでたちまち大悟するのです。

難解な禅語録や史書は、入矢義高先生、柳田聖山先生をはじめとする諸研究者方のおかげで、こんなふうに私たちにも親しめるようになりました。

禅師たちの悟りの機縁には黄檗禅師や大愚和尚のようなお師匠さんたちの「親切」がごろごろあふれています。
棒で打ちのめすことのどこが「親切」なのかとも思われるのですが、弟子にとってはもちろんのこと、師の方も棒で打ってやろうなんて微塵も思っていなかったに違いない。この棒は「思いもよらない」ところから湧き出たものでしょう。「何故無し」の棒だからこそ棒が生きる。生きた棒は真の禅者を誕生させます。

こんなふうに、わたくしたちの時代まで、脈々と灯が伝わってきたのです。1150年は大した「時間」です。しかしもし今、わたくしたちが真に臨済禅師に会うことができたら、この1150年は瞬時に消え去ることでしょう。

臨済禅師からおよそ400年後に出られた大燈国師は、「とんでもなく離れていても、かたときも離れていない」と言っておられます。時を経ていても、大燈国師は臨済禅師とピタリとひとつであったに違いありません。それこそが「禅」であり、「伝灯」でありましょう。祖師に見(まみ)える。このことは僧俗も問わないかもしれません。

こんな融通無碍な「系譜」を思うと、凡夫の私のこころも何とはなしに浮き立ってくるのです。

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全生庵住職の本『坐禅のすすめ』

 

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今年の新年早々に幻冬舎から出版された新刊のご紹介です。
弊所には古くから出している同名の書籍『坐禅のすすめ』(山田無文・平田精耕 他著)がありますが、まったく違うタイプの本です。
著者の平井正修(ひらい・しょうしゅう)師は、東京は谷中の全生庵現住職。
彼は私も修行した三島の龍澤僧堂の後輩にあたります。同じ時期に道場にいたわけではありませんが、私と違って彼は長く道場に在錫していたので、親しくしてもらっています。
実はこの本、よく売れているらしいのです。それで彼に本書を無心し、さっそく電車の通勤時に読ませてもらいました。

自らの経験・体験を組み入れて(大切なことだと思います)、仏教や禅の言葉をひもときながら、現代人の生活にピタッとくるように書かれています。

ただ実は、私にとっては、何も目新しく感じたことはありませんでした。だって考えてみたら当たり前のことなんです。私たちは同じ道場の釜の飯を食んで修行させてもらっていたのですから。

道場の指導方針というものには、一つの筋が通っているものなんですね。
私は彼のように長く僧堂にいられませんでしたが、知らない間に、老師や先輩の雲水から同じことをたたき込まれていたのだなと、改めて感じさせられました。
この本に書かれていることと同じようなことを、時々私も檀家さんにお話させてもらっています。

臨済宗にはたくさんの修行道場があり、それぞれの道場に家風というものがあります。仕事柄、あちこちの道場の出身者と知り合う機会がありますが、同じ臨済宗の僧侶で有りながら、なにか違うものを感じることが時々あります。

ただ、龍澤僧堂を出た人たちとは、老若を問わず、なんだか同じ風を感じるのです。不思議なものです。
このことを改めて感じさせられた一冊の本でした。

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臨黄ネット 今月の禅語より

 

140205.jpg臨済宗黄檗宗の公式サイト(事務局は禅文化研究所です)、臨黄ネットの今月の法話。

親者不問 問者不親
とうものしたしからず、したしきものはとわず

皆さまはどう思われますか?厳しいでしょうか、それとも、うんうんと頷かれますか?

私は、はっきりと思っていました。
たとえばダライ・ラマ法王や、佐藤初女さんの講演会などへと足を運び、最後に貴重な時間を取って行なわれる質疑応答。なんと愚問の多い事かと・・・・・・。
「講演者の著書を一度でも読んでから来たのだろうか?そこにその答えはあったはずだ」。「まさに今、お話になられた中でその事(質問の答えになること)に触れ、語っておられたではないか・・・」。
講演へと足を運びながら、本気で“聴く”という事ができていないのだと思います。

誰もが直接、あのような方達に話を聴いて欲しいのは共通した願いで思いです。ただ、本当に切羽詰まっている方の為に身を引くという選択もあると思います。自分本位ではなく、万人の為となるような質問であれば、有意義な時間となるでしょう。自分が言っている事を正しいと皆の前で認められたい・・・というような欲が見える質問も目立つのです。
ただし、法王猊下や初女さんともなると、本質を見抜く力をお持ちですので、利己的な質問は軽く流されますし、ご自分でお考えなさいと一掃されます。質問者はがっかりしたような顔になりますが、いつかその意味もわかる時が来るでしょう(来ると思いたいです)。

私の中で色々な名言が印象的な、福森雅武先生(土楽窯7代目)も、「自分の中で8割方答えが出ている事を聴きなさい。そこまで考えて初めて質問しなさい。何も無しにただただ質問するのでないっ!」とある方に言われた事があります。
ハッとさせられました。先生のことばや、この禅語を肝に銘じていたいと思います。

 

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『秘花』

140204-1.jpg瀬戸内寂聴さんの『秘花』を読みました。
題名からもおわかりのように、世阿弥の生涯を描いた作品です。

昨年は忙しすぎて、好きだったお能の世界から遠ざかっていましたが、この本がまた呼び水となり、ふつふつとあの幽玄の世界へ入ってゆきたい衝動に駆られています。
舞台を観に行くのはもちろんの事、福森先生のお言葉「どこへでも、自分で足を運んで訪れてみると良いよ」に従い、まずは世阿弥の長男、元雅が尉面を奉納した、天河大弁財天社に詣でようと思っています。おそらく面は美術館などに寄託されていらっしゃるでしょうが、拝見できずとも、室町の空気を肌に感じ、元雅が面を奉納する前に舞った姿を思い描きたいと思います。

また、能における禅の教えの影響も気になるところです。世阿弥も、東福寺の僧・岐陽方秀との交流があった事が知られています。我が国の伝統芸能や文化、道などに興味を持てば持つほどに、禅とは切っても切り離せない関係性がある事を知り、知れば知るほどにまた楽しくなってくるものです。

昨日は実家の本棚を漁り、いま一度読みたい本を物色。懐かしい能面の写真集を眺めていますと、お隣韓国や、以前訪れたブータンの面、正倉院に奉納されている、シルクロードを渡ってやってきた伎楽面などが次々浮かんでは消えて、この極東の文化がどう成熟していったのか、お隣やまたそのお隣の国のことにも思いを馳せる時間となりました。
世界は、遥か昔から繋がっている。お能から、そんな世界観をも養えます。

禅に関心がおありの方は、その周辺から禅というものを知ってみるのも良いのかな?!という老婆心切でした。

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実践講座 サンガセミナー 2013年第4回

 

第4回サンガセミナー

去る1月27日、本年度の実践講座 サンガセミナー第4回を、京都市の円町にある法輪寺(だるま寺)さまを会場に開催いたしました。
1講座目は、寺院の財務管理。公認会計士で朝日税理士法人の木村匡成氏にお話をいただきました。今回の講座は公益事業を行なう寺院のごく基本的な財務のことを、明確にお話し頂きました。

2講座目は、第3回のセミナーに引き続き、東福寺派青蓮寺住職、山添耕雲師による「漢詩初級講座2」。漢詩の作詩法の基本をご教示いただきました。

3講座目は、妙心寺派長昌寺住職の田口誠道師による「寺院規則見直し講座」と題し、旧来の寺院規則のままで現状に見合っていないようなものを見直していくということについて具体的にお話し頂きました。

今回の受講者はお寺のご住職や寺庭婦人様ばかりでしたが、熱心に受講されており、受講後の質問も具体的に問われていたのが印象的でした。

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さて、本年度のサンガセミナーはこれにて終了しました。各セミナーのあとにアンケートを採らせて頂いておりましたので、その内容も検討した上で、来年度もサンガセミナーの開講を計画し始めております。
またホームページや本ブログでもご案内いたしますので、受講をご検討頂ければ幸いです。

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