トップページ » 2012年3月 9日

師匠の点前




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茶の湯の稽古を始めてはや12年。
潔癖症で人一倍変にこだわりのある私が、茶の湯の世界を大好きになり続けて来られたのも、ひたすらに学び続け、茶の道に対して真摯にあり続ける師匠のおかげです。

先日のお稽古で、涙が出るほどに感動し、心うち震えた師匠の姿。
稽古中の弟子が、茶杓を清める所作に移ったところ、
「宗心宗匠(表千家・堀内宗心宗匠)はね、このように茶杓を清められるわよ」と手本を見せて下さった、その所作。
もうそれは、宗心宗匠が乗り移ったか、そこにいらっしゃるかのようなのでした。
まさに伝統とは、道とは、このように受け継がれてゆくのだなと改めて思ったわけなのです。

齢八十を超えた師匠。娘時代から続けてきた茶の湯の稽古なわけで、身体にしみついてしまった点前は、そうそうすぐに変える事ができない事は、たった12年しかお稽古していない私でもよくよくわかります。
ですが、いつもいつも宗匠のお稽古で新しい事を学んでこられると、すぐにそれを実践し、今までの点前と違っていても、「この間の会で、宗匠がこのように仰ったから……」と、とても柔軟に対応されます。

稽古を続ければ続けるほど、素直にならなくてはいけないと思います。
長年稽古を続けてゆくうちに、どうしても自身の癖が顔をのぞかせます。長くなればなるほど、師匠に注意されても、自分を律して素直に従う事ができにくくなってゆくように思います。我の強い私はことさらです。
そんな自分を捨て去って、ひたすら素直に、全身で師匠の教えを受け取りたいと願う今日この頃。
『歩々清風』(堀内宗心著・禅文化研究所刊)の大好きな文章を思い出します。茶の湯の稽古をされている方には是非手に取っていただきたい本です。

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by admin  at 07:30  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)