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田舎のよさ -ドラゴンカヌー大会で思う-




ドラゴンカヌー大会

関東まで梅雨明けしたというのに、近畿地方は未だにあけず天候も不安定で、豪雨が降ったりして、夏らしくテリッと晴れる日はいつくるのだろう。
そんな中、毎年、自坊のある地元の琵琶湖の内湖で行なわれている「ドラゴンカヌー大会」に、今年も選手として出場した。
写真でもわかるかとは思うけれども、ドラゴンカヌー大会というのは、ペーロンのような船での競技である。8人の漕ぎ手と太鼓士1人、そして舵取り1人で1チーム。
ただこの競技、全国で唯一の特徴がある。それは折り返し地点があってUターンして戻ってくるということである。
このお蔭で、圧倒的な差が一気に縮まったりして、なかなか面白い。Uターンでは舵取りの技量も求められる。……実は私は毎年舵取りの選手として出ていて、別に自慢でもないし何も練習していないのであるが、皆が言うには上手らしく、おかげさまで法事と重ならない限り、必ず選手で使ってもらっている。

そんなことはともかく、都会の方には分かりにくいだろうが、この大会は市内の町内対抗戦なのである。町内(といっても市町村合併で村が町と表記されているだけだが)で選手を募って出場する。

もちろんこのご時世で皆が嫌がるので、選手集めをする役員方にはいろいろ苦労が伴うようである。しかし、こうして集まった選手たちの中に、都会にない団結力が生まれる。また試合のない時には、世代間での会話が明るく交わされる。昔の小学校の運動会の応援席的なイメージだ。

私は舵取りをして何年もやっているし、必死になって漕ぐ選手たちのコーチ的な役割もある。どちらかというと無気力気味な若者たちに、ちょっとしたコツや秘策を教えたりすることで、彼らにやる気を起させて、内心ほくそ笑んでいるのである。

こうして我がチームは、予選1回戦、操縦ミスした他船に接触を受けながらも2位通過。負けたチームは2回戦へむけての敗者復活戦に挑む。そこで、つづく2回戦までに我々は大分余裕がある。その間にみんなで同じパック弁当をいただいたり、地区の困り事を話し合ったり、冗談をいいあったりしながら和合をふかめていく。去年初めて参加した若者も今年はもう何年も来ているように、明るく語りかけてくれている。役員の人たちは、すでに夜の打ち上げ慰労会の手配をしていたりもする。
2回戦は残念ながら僅差で破れ、準決勝へ進出は断たれて退散した。だが夕方からの慰労会は大いに盛り上がったのは言うまでもない。

ふと思うのだ。我々禅宗では和合をとても大切にする。どこの社会や世界にも和合は必要だ。それも何か一つの目的に向かって一致団結することは、きっと誰もが楽しく思っているに違いない。普段は隣の人と挨拶するくらいに成り果ててしまった村落社会でも、こういう行事が残っているからこそ、都会で起きているような事件が起こりにくいのじゃないかと思う。

今、日本社会でのもめ事は、皆が一つの目標に向かっていきにくいこと、個々人が自分の主張ばかりするようになったこと、これが原因で起きているのではないか。
世の中にうまい話はそう落ちていない。もっと足下を見てわがまま言わず、ちょっと協力さえすれば、かなり楽しい酒が呑めるのではないだろうか。

by admin  at 07:30
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