トップページ » 2009年2月27日

-梅は寒苦に耐えて咲く- えしん先生の禅語教室 その2

寒苦に耐えて咲く

季節柄もう一つ、「梅」の話をしておきましょう。
禅僧はあまり普通の花を描いたりしませんが、蘭・菊・梅・竹などはよく描いています。これらは「四君子」として尊ばれるだけに、いずれも高い気品を備えているものばかり。
ここでは梅の木を採りあげましょう。

梅の木は、春未だしという季節に「寒苦に耐えて」、雪中に早々と蕾を膨らませます。寒さの苦しみに耐えた結果として、他のどんな花よりも早く春を伝える梅の姿を見て、禅僧たちは「苦しい修行」があったればこそ咲く「悟りの花」の美しさを思い、梅を好むのです。
たとえば徳川時代の白隠慧鶴(はくいん・えかく/1685~1768)は、その著『毒語心経(どくごしんぎょう)』(是無等等呪の項)の中で、梅の徳を讃えて次のように頌(うた)っています。

旧年寒苦梅。得雨一時開。
疎影月移去。暗香風送来。
昨是埋雪樹。今復帶花枝。
喫困寒多少。可貴百卉魁

旧年寒苦の梅、雨を得て一時に開く。
疎影月移り去り、暗香風送り来たる。
昨は是れ雪に埋む樹、今はまた花を帯びる枝。
困寒を喫すること多少ぞ、貴ぶべし百卉(き)の魁(さきがけ)。

年末には寒さに耐えていた梅が、今日の雨で一時に花を開いた。
月とともにまばらな梅の木の影が移り動き、風に乗ってどこからともなく好い匂いがしてくる。
昨日は雪に埋もれていたのに、今日はもう花を一杯つけている。
どんなにか寒苦を味わったことか。それが今、百花にさきがけて花開くとは、またなんという貴いことであろう。

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by admin  at 07:30  | Permalink  | Comments (0)  | Trackbacks (0)