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禅スタイル?!

先日、テレビを見ていたら、NHK教育放送の「おしゃれ工房 」で、和風モダンなリビングコーディネートのことをやっていて、「禅スタイル」と呼んでいた。
曲がりなりにも禅寺で生活し、禅と大いに関係する仕事をしている身として、どのあたりが禅なんだろうかと気になった。というのは、正直、どこにもいわゆる「禅」らしさを感じなかったからである。

ネットで検索してみると、これは「ZEN Style」という欧米で確立した言葉であるようだ。『ZEN Style』という本まで出ているではないか。


ZEN Style

余談ながら、「禅」で検索してみると、弊所ホームページよりも上に出てくる、禅とは無関係なものがあるのには、なんとかならないものだろうか。

さて本題。これはどうやら、欧米人の目から見た日本の生活スタイルで、いわゆるシンプルな和風モダンのことをいうようである。決して民芸調ではない。色はモノトーンや焦茶を基調としている。どうやら欧米人が日本の禅寺で受けたインスピレーションからうまれたもののようだ。

なぜ欧米では禅がブームなのであろうか。
思うにそれは、欧米の個人主義が自我を尊重しすぎるあまりに行き着く所に行き着いてしまい、人間性の喪失が問題となってきたからではないだろうか。そして、無我を追究する禅思想に自己を見出す方法を見つけ出そうとした・・・。それがライフスタイルにまで影響を与えたのかもしれない。

そこで思い返せばわが国のことである。欧米化してプライベートを尊重し、いつのまにか、家の中は個室だらけ。親兄弟とも会話の少ない生活に成り果てている。
こんな欧米からの逆輸入によるうわべばかりのファッションやリビングスタイルはともかくも、禅の文化を育んだ日本に生きる我ら日本人は、本当の禅を学び、禅の精神を体験してほしいと思う。

by admin  at 07:30
コメント
  1. こんにちは。
    私もこの番組を見ていました。
    曲がりなりにも禅のファン(?)としては、「え、なにこれ?!」とふがいない思いで見ておりました。
    究極のシンプルなどとうたっていましたが、禅宗の、不必要なものがそぎ落とされた美しさと、「禅スタイル」とやらが主張する無機質な究極のシンプルとは、全くもって違うものだと感じました。
    海外でならまだしも、逆輸入されて日本でああいったスタイルを「禅ってこんなもの」と勘違いされたくないものですね。

    by indi  2007年7月19日 09:48
  2. コメントありがとうございます。
    「禅」「ZEN」という言葉が一種の流行のように使われていますね。
    そういうものを目にするたびに、托鉢している雲水の姿とは違う世界を感じてしまいます。

    しかしながら、そうしてでも禅になんらかの関心をもたれた方が、さらに学んでみたいと思われるような情報を提供したり、出版したりするのも我々の仕事だと思っております。

    by 禅文化研究所  2007年7月19日 12:25
  3. こんばんは。
    禅スタイル(笑)、そんなスタイルがあるとは露とも知りませんでした。

    >欧米の個人主義が自我を尊重しすぎるあまりに行き着く所に行き着いてしまい、人間性の喪失が問題となってきた・・・

    って、これ日本のことですよね、もはや。

    >禅の文化を育んだ日本に生きる我ら日本人は、本当の禅を学び、禅の精神を体験してほしいと思う。

    いやー、これには激しく同意します。でも、禅を学び、体験するってことを極論すれば坐禅・参禅して見性しろってことになりますかね、臨済宗では。私なんかは大いにそうしろ、坐禅しろって主張したいほうなんですが、やっぱりそればっかりじゃ広がって行かないんでしょうね、大衆に。禅が。

    そういえば、この間まで書店に並んでたサライの7月号?は禅の特集でしたね。ご覧になりましたか?白隠禅師の達磨図が表紙だったので思わず買ってしまいました。白隠禅師も、大衆にわかりやすいようにいろいろの手段を以て禅を説かれましたが、もし禅師なら現代においてどんな方法でおやりになるんでしょう。案外ブログを使ったりして(笑)

    このブログ禅も、禅に関するいろいろな話題をご提供くださっているので、禅にまったく興味のない方も、このブログに検索でヒットして訪問するという“縁”をもって、少しずつ本当の禅に近づいてほしいです。

    by kanno  2007年7月19日 18:06
  4. kanno様、いつもコメントありがとうございます。
    サライの7月号、もちろん知っております。実は執拗にお願いして、西村惠信所長の紹介のところに弊所から出ている『臨済録をめぐる断章』を紹介してもらったのです。(笑)
    白隠禅師がおられたら、もちろん、WEBやブログは大いに活用されていたことだと思います。なにしろ、白隠さんはあれほどの著作や墨蹟を遺された人ですから、とてつもない広報力をお持ちだと思うのです。使わない手はないでしょう。
    というわけで、もちろん、kannoさんの見透かされているとおり、このブログは、禅だけを言うのではなく、周辺のことから禅や禅文化研究所を知ってもらえるような方が増えればと思い始めたことです。

    by 禅文化研究所  2007年7月19日 18:16
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