公益財団法人 禅文化研究所

English Site

  • 調査研究
  • 刊行普及
  • 資料収集
  • ソフトウェア

刊行普及

このエントリーをはてなブックマークに追加
禅語こよみ 2016年 -霊源慧桃禅師画賛-
画部分縦20cm/カレンダー部分縦22cm/横幅17.5cm
12ヶ月 月めくり
定価:550円(税込)
発行日:2015/10/01
【表紙・福禄寿画賛】
童は撫でて能く鹿を馴らしく
翁は呼んで善く亀を狎らす
松に倚って猶お久しく立つ
雲外鶴の来たること遅し

-各月の禅語とうたの紹介-

1月
福寿の海は無量なり(観音偈のもじり)
されど 四苦八苦 アセかきベソかき 四苦八苦 少しの幸せ 四苦八苦
*観音偈の「福聚海無量」の聚をおめでたく寿に変えたもの。日本のみに見られる書き変え。


2月
一点梅花の蘂{ずい} 写し来たる老祖の真(自作)
春きたり ひと枝の梅 ほころびて 祖師のこころを 香らせるかな
*梅花図。「老祖真」は、祖師真に同意。達磨の真面目を梅花に比す、五山文学以来のモチーフ。


3月
蛤{はまぐり}の身を現わして為に法を説く(観音経のもじり)
それぞれに それぞれ生きる 娑婆世界 三十三身 なおも足りぬか
*蛤観音図。賛は、観音経の三十三身説法「即現仏身而為説法」などのパロディー。


4月
雲わはるかのふもとにて
煩悩も さもあらばあれ そのままに 清き心の 曇りのち晴れ


5月
是{これ}でも楊柳観音なり
観音の すがた見えねど 観音の 慈悲のみこころ そこの柳に
*楊柳観音図(留守模様)。


6月
大津ならやに来たりゃこそ ふみもなろたよ唐うすを
奉公は 大津の奈良屋 米問屋 唐臼踏んで 読み書き習た
*六祖唐臼図(留守模様)。唐臼は六祖碓房修行のシンボル。賛は、白隠の「小車の翁」に出るが、もとは曹洞宗の虎蔵主こと大空玄虎(1428~1505)の作という。


7月
しんの心はうちとけないて 他人ふりすりゃなおいとし
他人向き すればするほど なお不憫 真のこころは 打ち解けおるに
*挽き臼図。上の石は心棒を回って下の石と打ち解けあってガラガラ鳴るが、二箇の石は決して一つにはならない、なんと不憫ではないか。


8月
金太郎ではござらぬ てんひるわいの
お買い得 活きのいい魚 昼日中 うそは申さぬ 食えば分かるぞ
*魚売り図(仮称)。「金太郎」は、てきや仲間で、詐欺商売を言う隠語。「てんひる」は、天昼。白昼の意であろう。カゴの中身は、恐らく魚であろうが、抹香くさく言えば、仏教の譬喩。


9月
是{これ}を他人に呑せらりょか
ああやっと この一杯の 甘露かな これを呑むため あるき続けり


10月
諸仏無上の妙道は、曠劫{こう ごう}の難行にして、(行じ)難きを能く行じ、忍び難きを能く忍ぶ、汝等きょう心慢心{きよう しん まん しん}、争{いか}でか敢えて軽がるしく得ること有らんや
達磨さん 恐い顔して えらそうに 仏と人とは ムだけの違い
*菩提達磨が二祖慧可に教えた言葉をアレンジしたもの。


11月
山色{さん しよく}、夕陽{せき よう}の時
美しい 不立文字 美しい 教外別伝 ただ美しい
*『虚堂録』巻三に「泉声、中夜の後、山色、夕陽の時」と。


12月
鳳林、之れを咤{た}す
魔というは よこしま心 それを言う 心きよけば そのまま仏
*釈迦降魔図。「鳳林咤之」は『虚堂録』巻一・四に出る。詳義不明なるも、大略は、「デタラメを言うと、鳳林和尚から叱られるぞ」の義。

コメントを投稿する