公益財団法人 禅文化研究所

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第二回 禅文化賞 授賞者

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日付 2004/9/25
場所 授賞式:京都東急ホテル
詳細 (財)禅文化研究所創立40周年記念式典にて、『禅文化賞』奨励賞は下記の1団体2個人の方々に授与されました。なお、功労章は今回は該当無しとされました。
 

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【奨励賞】

授賞理由
アジアの友を支援する RACK アジア難民の自立援助と社会の諸問題への積極的な参加を通じ、世界の平和と文化の発展への貢献を目的として昭和六十年に開設以来、アジア各地の宗教者と連携して、恵まれない人々のための教育援助・医療支援等、また国内では、老人ホーム遠足介助・定住難民の学業支援等、充実した支援活動を実践した。應に「下化衆生」を旨とする宗門の模範である。
高橋通方 師
神宮寺住職(長野県松本市)
永年にわたり、一宗教者として「いのち」への思いをもとにボランティア活動に積極的に関わり、チェルノブイリ原発事故被災者支援をはじめその国際的な活動は瞠目に値するものがある。また、自坊を開放し「尋常浅間学校」「ごく楽倶楽部」等、寺院の将来を模索する活動を展開、その行動力は宗教者として宗門の模範となるものである。
劉 建 氏
(大谷大学非常勤講師)
仏教文化の研究のため来日以来、京都市観光親善大使として、禅刹の紹介や日中の禅僧交流に尽力するなど、日中仏教交流の業績は多大なものがある。また、日中仏教学術会議や日本敦煌学研究会などの発表論文の翻訳、学術会議の通訳を務めるなど、日中両国の仏教学術交流促進に尽力。更なる日中両国の仏教及び仏教学術交流への活躍を期待するものである。

授賞者紹介

アジアの友を支援する「RACK」

祥福寺専門道場の河野太通老師を会長として、1985年(昭和60年)に設立。「爽やかな風が 君の心にそよぐなら 彼の心にも風を送ろう 人から人へ 国から国へ 世界の幸せは私の幸せ 君よ かんのんに なりたまえ」をスローガンに、アジア難民の自立援助、社会の諸問題への積極的な参加を通じて、世界の平和と文化の発展に貢献し、個人と社会の精神的豊かさの実現を目指し、バングラデシュやインド(ナグプール)、スリランカ、タイ、カンボジア、ベトナム、台湾で現地の宗教者と連携しつつ、恵まれない人々のための教育援助、医療支援などを展開しているほか、国内でも老人ホーム遠足介助や定住難民の学業支援などを行なうなど、設立以来20年間にわたる支援活動を続けている。
平成16年現在の会員数500名。

【主な活動】

1.支援活動

【日本国内】
老人ホーム遠足介助等諸活動。定住難民の国内留学、また奨学金貸与事業。
長島愛生園にて毎年患者の慰問と講話。物故者供養と施食(せじき)供養法要。
【バングラデシュ】
バングラデシュ、チッタゴン郊外のマハムニ村にあるマハムニ母子園で活動される福井宗芳上人を通じて母子園を支援。
【インド ナグプール】
コンダサバリのラック病院の運営と医療活動を支援。佐々井秀嶺師、ボディー・ダンマ師の仏教復興運動。寺院、学校施設の建設、井戸掘り等支援。
【スリランカ】
内戦による孤児を人種、宗教に関係なく引き取って養育しているワジーラ・スリ教育福祉財団に対し、施設の建設と援助金の提供。日本語研修の援助等。
【タイ】
バンコク市にあるクロントイ・スラムの教育援助。プラティープ財団と協力して継続。
【カンボジア】
現地NGO団体IFODと協力して、裁縫学校の建設、運営の援助。大規模な水害への緊急援助。古着類の提供。現地僧侶育成学校建設への援助。渋井修師みどりの基金への援助。
【ベトナム】
福祉婦人会を通じた黄金寺学校の支援、奨学金の支給。妙覚寺学校の支援。ハンセン病患者治療村の図書館兼集会施設建設支援。ストリートチルドレンのための寺子屋の支援。
【台湾】 
大地震に対する緊急援助。

2.会報「RACK」の発行

高橋 通方(たかはし つうほう)

1948年松本市生まれ。松本深志高校から龍谷大学、同大学院東洋史学科中退。西宮海清寺専門道場で修行後、76年神宮寺副住職となる。
1981年国際障害者年を契機にボランティア活動に深くかかわり、障害者共同作業所「筑摩工芸研究所」の設立に参画。91年チェルノブイリ原発事故以来、その支援活動や現在ではタイのHIV感染者・患者の支援など海外活動を展開。いのちを取り巻くさまざまな問題を一宗教者としての目でとらえ、市民社会との協働(きょうどう)関係を作り出している。
また、新しい寺院のあり方を模索し、神宮寺7つの基盤、
(1)宗教的基盤(いのり・いやし)
(2)精神的基盤(あんしん)
(3)経済的基盤(とうめい・しんらい)
(4)人的基盤(つながり)
(5)地域拠点基盤 (ひろがり)
(6)文化基盤(まなび・あそび)
(7)平和・人権の基盤(おもい・ねがい)
をもとに情報公開を始め、ユニークな活動を展開。寺では学びの場「尋常浅間学校」(永六輔校長・無着成恭教頭)を月1回開校し(生徒数1200、教師数90)、10年100回の授業を継続中。また地域のお年寄りが集う場「ごく楽倶楽部」を開設するとともに、子ども図書館「おてら文庫」を開設し、異なった年代の融合を行なっている。本堂の襖絵88枚は「原爆の図」の画家、故丸木位里(まるきいり)俊(とし)夫妻の筆による。

現在
神宮寺住職、NPO法人・長野県NPOセンター代表、NPO法人・NPO夢バンク事業組合理事長、NPO法人・ライフデザインセンター代表、NPO法人・ケアタウン浅間温泉理事、NGO・アクセス21代表、日本青年奉仕協会評議員。
東京大学大学院非常勤講師、松本大学講師、信州大学医学部非常勤講師。

著書
『チェルノブイリの子どもたち』(岩波書店)『死にぎわのわがまま』(現代書館)『現代いのちの用語辞典』(水書坊)

共著
『ホスピス-最後の輝きのために』(オフィスEMU)『インフォームドチョイス』(医歯薬出版社)『スワンソング』(日本看護協会出版会)『風下の村から』(平原社)『生き方のコツ・死に方の選択』(集英社文庫)他

劉 建(りゅう けん)

1953年11月23日生まれ。国籍は中国。1982年中国遼寧大学外国語学部日本言語・文学学科卒業。82年~88年中国仏教協会国際部日本課に勤務。日中臨黄友好協会訪中団の受入れに尽力。89年京都大谷大学大学院仏教文化専攻修士課程入学以来、仏教文化の研究に努め、その研究成果及び業績は多大なものがある。現在大谷大学非常勤講師を勤めながら中国と日本の仏教交流に尽力している。
 

社会活動業績

1. 1982年9月、中国仏教協会に就職。以後、同協会国際部日本課課長・日本臨済宗・黄檗宗担当として、中国の臨済塔・趙州塔・径山万寿寺・黄檗山萬福寺の復興、日中相国寺姉妹寺院締結など、日中仏教界の親善友好・交流事業に携わる。
2. 1988年10月、日本仏教を勉強するために、日本に自費留学。以後、勉学や教育・研究活動の傍ら、引き続き日中仏教界の親善友好促進に尽力。
3. 高台寺の拝観事業に携わり、中国人留学生ガイドの養成や関係資料の製作に務める。2000年より京都市観光親善大使・高台寺顧問・国際部部長として、中国観光客誘致のため数回にわたって訪中し、日本の仏教事情・京都の観光事情宣伝に尽力。特に中国における観光寺院の代表である上海玉仏寺と高台寺・金閣寺・銀閣寺との親善友好・交流往来事業の企画・実施に務める。
4. 1993年~2001年、日本中外日報・中国社会科学院世界宗教研究所共催の第5~9回日中仏教学術会議や、日本敦煌学研究会主催の「草創期の敦煌学」日中合同ワークショップなどの発表論文翻訳や学術会議通訳を務め、日中両国の仏教学術交流促進に尽力。
 

研究教育業績

1. 著書
「仏教東漸」(中国社会科学文献出版社)「大学漢語」(白帝社)「中国文化漫談」(白帝社)
2. 訳書
「禅僧生涯」(中国社会科学出版社:原著「禅僧の生涯」有馬頼底)
3. 学術論文
「俊闃ソの戒律復興について」(修士論文)「日宋仏教交渉について-源信の『往生要集』を中心に」(『国際東方学者会議紀要』38号)「俊闃ソの北京律について」(『大谷大学大学院研究紀要』10号)他
4. 学会発表
「日宋仏教交渉について-源信の『往生要集』を中心に」  1993年5月 第38回国際東方学者会議(東京)
5. エッセイ
「留学雑感」(『大谷広報』3-4号)「20歳を迎える諸君へ」(『大谷広報』129号)
6. 講演
「子供と国際化」 1999年11月17日 京都アスニー生涯学習総合センター
「日宋仏教交渉について-入宋僧と渡来僧を中心に」建仁寺